マクロスメカ図版探しは賽の河原。
〜マクロス SFチャレンジゲーム特別編〜

*マクロスSFチャレンジゲーム 小学館刊 定価9800円
これはLDで供給されたゲームソフト(?)。付属のアンケートハガキの使用期限が昭和60年なので
おそらく84〜85年の劇場版直後の発売と思われる。
所謂、LDゲームというやつなのだが、今となっては死語と思われるので、
LDゲームの概要を説明しておくと、
80年代半ばLDの実用化によって繰り返し再生可能な動画メディアとしてこれが
アーケードゲームに応用された。ところがこれがとんだ食わせ物だったのである。
当時のアーケードゲームといえばグラディウスやゼビウスや
マリオが現役の時代であり、ゲーム画面上で動くものといえば
数十ドット四方で描かれたキャラクターをスプライト表示するのが普通であって、
ムービーはもちろんTVアニメ並のグラフィックなんか夢のまた夢だったのである。
当時のファミコンでも、たとえ箱に(いまでいう)萌え萌えなアニメ風キャラが
描かれていようと、加藤直之ばりのハードなSFメカが描かれていようと
実際の画面に出てくるのは偽装したマリオみたいなやつや小さい飛行機の側面図か
上面図だったわけで、その落差たるや並み大抵ではなく、箱絵はむしろ画面のアイコン状の
ドット絵を想像で補うためのイメージソースだったのである。
そんな中、「TVアニメ並(というかそのまま)のグラフィックが
動画として動くゲーム」としてLDゲームはゲームセンターに鳴り物入りで登場したのである。
実際、画面はLDを再生しているだけだからTVアニメそのままのグラフィックだし、
当然TVアニメそのままに動くのである、(実際には安い制作費で作られていたらしく
作画も動きもろくなもんじゃなかったが、)問題はそのゲーム性であった。
100円入れてスタートボタンを押すとLDが再生されてイントロ部分が説明される。
例えば、「平和な村が魔物に襲われ、主人公の美少女戦士が立ち向かう、
対峙する魔物と美少女、そして魔物の腕から電撃が放たれた!主人公の運命やいかに?」
と、そこで画面は停止画になり4方向の矢印が表示され、プレイヤーは制限時間以内に
十字キーで主人公の逃げる方向を(場合によっては行動の選択肢が表示され、いずれかを)
入力するわけである。4方向の中には当たりがあって外れれば
「あなたは電撃で殺された。」とかのバッドエンドのムービーチャプター再生されてオシマイ。
当たりを選べばストーリーの続き、(これも「また同じ攻撃をしてきた!!」とか言いながら
さっきと同じムービーが流れる場合が多い。)が数秒間再生されてまた選択肢を入力、
外れればさっきと同じバッドエンドのムービー、当たれば、ストーリーの続きが数秒、
(「さらに攻撃してきた!!」とかいいながらさらにもう一回、、、。) ふたたび選択肢を、、、、、。
といったあんばいで、反射神経や知性や工夫もへったくれもないサドンデスの当て物くじ引きの
世界だったのである。例えシューティングゲームで瞬殺されても己のスキルの低さだと
思えば納得の一つも出来ようが、こんな当て物ギャンブルで、へたをすれば一つの選択肢を
突破するのに400円を奪われ、突破したところで繰り返し同じムービーを見せられるだけでは
納得するほうがどうかしている。アメリカ方面ではこの種のゲームが普及してそこそこの
ヒットとなったらしいが、(PSのハリウッド製ガンダムゲームはまさにこのジャンルの生き残り)
日本では総スカンを食らい、数種が見られただけでゲームセンターからは早々に消滅した。
なんてったってLDのチャプター再生だけでゲームを成立されようってのが土台無理な話。
いうまでもなくCDロムなんかまだ実用化されてない頃だからLDを広大なデータ庫として使うなんて
ことも出来なかったのであります。

そんな荒れ地に家庭用して発売されたのがこのマクロスチャレンジゲーム。
まず円盤を入れて再生するとTV版主題歌のあと、28話の本編(ボトルザー大戦後
復興中の地球の件。)が数分再生される、この後、強制的に停止画になり、
テキストの設問が示される。この場合、地球の復興の為、各種クローン生物/植物を
を選択して地球上に数カ所ある養殖/農場をこれまた選択して再生プロジェクトを
展開せよというもの。同時にクローン生物/植物の資料映像/解説と
養殖/農場地の所在地、2009年時点の地球の気候分布図の停止画チャプター数が
示され、参考資料として閲覧できる。(従って、チャプター操作のできないLDでは遊べない。
しかも移動するとほかのページ数が分からなくなるので設問のページで示されたチャプター数を
メモしていかないといけない。気候分布図も同時に2枚は参照できないので、
数枚を行き来させられるためパソに取り込んでプリントしたくなる。)
煩雑なチャプター操作ののち、場所と生物を決定しならば当該資料のチャプター数を設問の指示に
従って四則計算し、出た数字をチャプター数として呼び出すことで解答する。
書くだけでも恐ろしく面倒な手続きで、現代に生きるPSやらのお手軽操作に慣れちゃってる
筆者はこの段階で5日は放置した、と同時にファミコン版ウィザードリー1のマッピングの
記憶がよぎった。

、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、。
面倒臭いので、とりあえず最初から順に停止画を覗いてみる。
ちなみにゲームは前述の地球開拓のほか、

*「フロンティア2011」(遺伝子操作によって生み出されたクローン生物で地球を再開拓。)
  導入は第28話のイントロ
*「コスモルート2009」(エンジンが損傷したマクロスを誘導して地球へ導く。)
  導入は第1話のバスターキヤノン発砲シーン+3話の冥王星での再編成シーン。
*「盗まれた写真」(ミサの盗まれた写真を探す。)
  導入は第23話やら色々
*「シャミーズコマンド」(オペレーター不在の危機をシャミーになって乗り切る。)
  導入は第25話あたり
*「バルキリー迎撃司令」(ヒカルになって小隊を指揮。)
  導入は第27話決戦シーン
*「テストフライト2007」(テスト機パイロットとなって不慮の危機を突破する。)
  導入は第33話。

の6種入っているが、ゲーム形式は前述の通り、資料を参照してチャプター数を割り出し
再生するものなので努々、高度なものを期待してはいけない。
これに伴って、無数の停止画像が参考資料として収録されているのだが
バルキリーのテスト機の図版としてMAT刊「マクロスジャーナルエキストラエディション」の
ガウォークモード発見時の図版(カトキハジメ氏による)のカラー版(!)が収録されている。
同様にイジェクションシートの解説図などMAT同人誌の図版が多数流用されており、
その意味で非常に価値があるかもしれない。もちろんスタッフロールにも
MATと千葉昌弘氏の名前が入っている。面白いのはVF-1の各部スラスターの解説で
ここでもMAT同人誌「マクロスジャーナルVol.3スカルエンジェル」の解説図版が
用いられているのだが、原本には収録されていないものが一枚混じっており
(作者はほかの流用図版と同じと思われる。カトキ氏?)
これではインテイク部側面のセンサー様のバルジが
リバース用の逆噴射ノズルと書かれていること。よってこれを公式と見るならば、
お馴染みのスタープロ作画で見られた当該バルジからの閃光描写は
知られざる中口径ビーム砲の射撃などではなく、敵機との相対速度をあわせる為の
逆噴射機動の様子ということに、、、
(本気にしちゃいかんよ。)
注:TIAマクロスプラスに収録のVF-1透視図(田中精美氏画、解説は二宮茂樹氏)では
  ちゃんとカウンターバーニアスラスターになっております。
このほかほとんどはTV版の流用画像での構成なのだが
結構な数の書き下ろしの画像が入っていて、(セル画をビデオで撮影しているようだ。)
地球開拓編の遺伝子操作によって生み出された動植物(ミドリブタ=自ら光合成を行ない
一部ミネラルを除いて、カロリー摂取を必要としない家畜。トリプル麦=ライ麦/小麦/大麦が
一本の麦から得られる。フンバリドリ=4本足のニワトリ。マルチベジタブル=芋とトマトが同時に
得られる。等。)の図版と解説が特にいかしてて楽しい。テイストとしては70年代によくあった
「未来の農場」とか「21世紀の生活」といった感じ。巻末にTV名場面集をバックに
ミンメイが歌うビデオクリップが4曲入っている。
なおこのゲームはVHD版でも発売されていた。




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