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2階の片隅では、ごろろごろろと音をたてて電動臼がまわっていた。 明日の朝食のために、南インド独特の軽食=ドーサやイドゥリを仕込んでいるのである。 精米や豆をこの臼でペースト状にすりつぶし、半発酵させた後、鉄板でクレープのように薄く焼き上げたのがドーサ。 専用の蒸し窯でレンズ状にふっくら蒸しあげたのがイドゥリである。 ちょうどいい量を毎日仕込むので、巷の食堂みたいに水っぽくなく、ふくよかで飽きない美味しさだった。 |
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1階でみかけた伝統的な石臼。 アットゥカル(手前)は、上の電動臼と同じようにドーサやイドゥリを仕込む南インド独特の石臼。 中央部の円形の凹みに精米や豆を入れて、円筒形の石棒をつっこんで、水を注ぎながらゴロゴロと旋回させてすりつぶす。たいへんな重労働なので、ここではチャトゥニー(ドーサやイドゥリのつけ合わせのタレ)を作る時にしか使わないという。 左奥にあるのは、イドゥリ用の蒸し器。 右はサドルカーンと呼ばれる全インド的に広く使われている伝統的な石臼。味の決め手となるマサーラーをすりつぶす専用の臼だ。 日本の台所は、包丁とまな板が奏でるトントントンという音で始まるが、インドでは、地鳴りのようなゴロゴロゴロという石臼のすりつぶし音が響いてくる。 |