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サウンド・ストリート 1984.1.19

山下: こんばんは、ご機嫌いかがでしょうか、山下達郎です。えー、毎週木曜日、夜10時から45分間、NHK-FMは、私、山下達郎のサウンド・ストリートの時間でございます。えー、そろそろお屠蘇気分も抜けたところでございまして、先週に引き続きまして、大滝詠一さんをゲストにお招きいたしまして、いろいろとまたお聞きし、ウンチクを傾けていただき、追求したいと思いますが。どう?

大滝: ヒック(笑)。

山下: 先週、今週とおとなしいですね、割と。

大滝: ウイット。そんなことないですよ。

山下: 1回、でもさ、僕、大滝さんの番組に呼ばれていったときはさ、

大滝: うーん。

山下: 結構さ、

大滝: いや、ところでさ、先週言うの忘れたんだけども、

山下: はい。

大滝: えーっと、「僕が山下です」とか、「僕が大滝です」って言わなくていいんですか(笑)?

山下: 大丈夫ですよ。

大滝: 大丈夫ですかね。「右から聞こえるのが」とか、ステレオ放送ですから。

山下: これ、モノですからね。

大滝: よくないね(笑)。

山下: NHKは伝統的にMCはモノラルということで。

大滝: ステレオ放送なのに。うーん。そこに、でもね、この頑固さがうかがえますね。

山下: すごい(笑)。今日はですね、1曲目はあれですよ。

大滝: んっ?

山下: すごいのが出てるんですよ。「アーリー大瀧詠一」つうの、これ、キングの。

大滝: なに?酔いそうなあれですね。

山下: 「ここからすべて始まった」(笑)、「ファースト・アルバムやココナツ・バンク、はっぴいえんどとして発売された録音などから新編集された初期の大瀧詠一のベスト・セレクション。監修:三浦光紀」

大滝: あらっ。

山下: 「解説:田川律」

大滝: ん!あー、それでね、「大滝詠一さんってフォークの人なんですね」っていわれたことあるけど(笑)、そういう意味なんだ(笑)。

山下: この中の歌詞カードの写真!

大滝: フォークの写真、これ(笑)。

山下: 「春一」のはっぴいえんどのときでしょ?

大滝: えぇ、えぇ。若いねー。いい男だね、割合に。よく撮れてる。

山下: 自画自賛。

大滝: あららっ。

山下: すごいね、これね、でもね。

大滝: うん。

山下: これちょっとまだ見てないけど。

大滝: これがね、出たんだねー。

山下: すごいね、いつ出たのかしらね?

大滝: うーん。

山下: えー、ほんとはあのー、キングの、キングで1枚LPが出てますね。

大滝: 出たんですね。

山下: それがソロの1枚目ですよね。

大滝: ソロの1枚目でね、72年の12月ですから、

山下: 72年?

大滝: えぇ。

山下: はぁーっ。

大滝: 思い起こせば、もう12年前で。

山下: 12年前という。

大滝: それもね、実はね、1年間かけたの。

山下: へぇー。

大滝: 一番最初に「恋の汽車ポッポ」というシングル盤を71年の12月に出したの。

山下: ふーん。

大滝: で、あのー、翌年の72年の12月に1枚目のアルバムが出た訳。

山下: そのあとに「空とぶくじら」という、

大滝: のが出たの。

山下: あれが2枚目ですか?

大滝: 2枚目、シングル盤はね。だから、1年間かけて、そのー、LPをね、あのー、録音するっていうのは、その、デビューアルバムからして、すでに。

山下: (笑)。

大滝: それが、もう、ひとつの定例化となって。これがもうレコード業界に定着したんですね。こういうのを定着と呼ばずして、なにを定着とね、いうの?

山下: 「恋の汽車ポッポ」のシングルを出したときには、まだはっぴいえんどやってたんでしょ?

大滝: あんときまでやってた、うーん。

山下: ふーん。

大滝: で、「なんでやるの?」って言ったら、「話があるうちにやっといた方がいいよ」って、

山下: (笑)。

大滝: 当時リーダーだった、えー、ヨーダ細野がですね、

山下: (笑)。

大滝: えー、進言してくれまして。

山下: 細野さんのソロと大滝さんのソロは、どっちが先なんですか?

大滝: 僕の方が先です。

山下: はーん。じゃ、はっぴいえんどで初めてソロLPとして出したのは、大滝さんが最初なの?

大滝: そそそ。で、細野さんは終わってから、かな。解散してからでした。

山下: あんとき結構センセーションでね。

大滝: ふーん。

山下: 僕なんか、ほら、洋楽しか聴いてなかったでしょ。

大滝: うーん。

山下: あれが、洋楽から邦楽に目を向け始めた時代、でしょ?

大滝: あー。

山下: でさ、ほら、邦楽っていってもさ、結局それまでは、なんてぇの、フラワー・トラベリング・バンドとかさ、

大滝: ふん。

山下: なんとか、あの、ファー・イースト・ファミリーバンドとかさ、

大滝: あー、あったね。

山下: ロック、プログレ?

大滝: ふん。

山下: ハードロックの世界は、割と出てたんですよね。

大滝: うんうん。

山下: レコードが。でも、そういう、なんつうの、アメリカンな、メロディーがきれいなさ、そういう、なんつうの?当時流行ってた、そういう、ウエスト・コーストとかさ、

大滝: うん。

山下: クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングとか、そういうんじゃなくて、

大滝: あー、はー。

山下: あの、もっと要するに、60年代中期っていうかね、

大滝: うん。

山下: それぐらいのメロディー・ラインで出たLPとしては、あれが初めてなんですよね。いろいろ探したんだけど。

大滝: あー。

山下: で、あれ1曲目が、ほら、アカペラで始まったでしょ?

大滝: アカペラで始まった。

山下: あれも初めてなんですよね。

大滝: あー、知らなかった。

山下: そうなんですよ。

大滝: はーん。

山下: おもしろいことやっている人が…、だから、大滝詠一っていう名前がね、はっぴいえんどだってこと、僕、わかんなかった。あのとき、19か18かそこら。

大滝: うん。それがね、次の時代の申し子なんだよ。

山下: ふーん。

大滝: あの、次の時代の申し子ってのはさ、前と、

山下: そうなんですか?

大滝: わりあい関係なく、あの、違う線からくるんだよ。

山下: ふん。

大滝: これがね、このー、歴史の不連続性のね、実におもしろいとなんだ、これが(笑)。

山下: 僕から言えば、あのー、あのときに日本のそういうね、ロックとかフォークの音楽を、なんていうのかな?割と、ほら、プロパガンダっていうかさ、

大滝: うーん。

山下: として高めようとするには、その当時、洋楽のファンだった人間を、やっぱり、邦楽の耳にね、あのー、持ってくるっていうか、

大滝: うーん。

山下: そういうことがすごく必要だったと思う訳。

大滝: 社会学者だねー、相変わらず。

山下: それがすごくさ、あの意味では、僕はあれから、あれが最初に聴いた日本のレコードなの。

大滝: はぁーっ。

山下: まともに、ちゃんと自分で、うちに持ってって、レコードに針を落としたっていうね、最初のレコードなんですよ。

大滝: うーんっ。

山下: 実に。

大滝: 光栄だなー。

山下: それで、8ヵ月後に大滝さんに会うというね、あれなんですが。えー、そのLPから、私の、そのLPで一番好きだったんですよね、この曲が。私、シュガー・ベイブでカバーまでしましたけども、「指切り」でございます。

 曲:

大滝詠一/指切り

山下: えー、大滝さんのソロの1枚目でございます、キング・レコードから出ていました。もうこれはリイシューしてますよね?キングから出てますよね、その原形のね、

大滝: えぇ。「大瀧詠一」っていうね、1枚目のアルバムに入ってて、

山下: あの有名なジャケットでございまして。

大滝: えぇ。

山下: えー、今のが、松本君がドラムで。

大滝: そう、テンポがのろいのはね、松本のドラムのせいなのね、言っとくけど(笑)。

山下: (笑)。

大滝: もうすこしね、あのー、アップテンポにしとくと、こう、もっとね、あのー、今日性を得たと思うんだけどもね(笑)。のろい。

山下: 松本、細野、鈴木茂。

大滝: うん。

山下: キーボードは誰ですか、あれは?

大滝: えーっとね、細野さんがあとでダビングした。

山下: はー、はー。

大滝: で、フルートが、

山下: なんと、

大滝: 吉田、

山下: 吉田美奈子がフルート・ソロをしてる。

大滝: 美奈子が、えぇ。

山下: 初めてシンガーズ・スリーがロックのレコードに、

大滝: そうそうそう。

山下: フィールドに入ってきたやつで。

大滝: 入ったやつ。あの人達をね、あのー、このフィールドで使ったのは張本人で。

山下: これのね、あのー、「アーリー大瀧詠一」っていうのはね、

大滝: ふん。

山下: ライナー書いたのが田川律という人で、

大滝: ふん。

山下: いわゆる、フォーク寄りの人ですが、おもしろいこと書いてまして、

大滝: ふん。

山下: えーっとね、「大滝詠一こそ『はっぴいえんど』の中で、もっとも『はっぴい』らしからぬ人だった」

大滝: ほーっ。なんだかよくわかんないね。

山下: うん。それは、僕もそう思うな。

大滝: あっ、そう?

山下: うん。「でも、不思議なことに、誰も気が付かなかったからか、あの頃は…」ね、この「アーリー」の時代に、

大滝: うん。

山下: 「本人、およびその周辺の友人達以外はそのことを話題にしなかった」

大滝: ふーん。

山下: 「おそらく70年代初期にはロックが主流で、ポップスのことを声高に話すことははばかられた」

大滝: うーん。はばかられたね。

山下: ふーん。

大滝: 隠してたからね、ほとんど。

山下: ねっ、「びんぼう」って曲があるでしょ?

大滝: うーん。

山下: 「びんぼう」ってのはね、「多分リンボーダンスのね、シャレじゃないか」って書いてある。

大滝: するどい!全然違うけどね。

山下: (笑)。

大滝: (笑)。いやー、それは初めて聞いた。新説。チンゼタメトモ(?)、なんだかわからない。

山下: そのね、「それでいてあの頃のフォーク・ソングへのチクリチクリとした皮肉が含まれている」

大滝: あーっ。

山下: 「『貧乏暇だらけ』と言ったり、『パンとラーメンでなく、肉を食う』と言ってるね、それはまさに音楽と歌手の生き方の登場で、フォーク的なことに嫌味を言っていたからに他ならない」

大滝: そうそうそう。

山下: 「どっちかと言えばフォークの方にいた僕が」、

大滝: うん。

山下: この田川さんがですな。

大滝: この人はフォークにいたんだ。

山下: 「あの頃はあまり大滝を聴かなかったのは無理はない」

大滝: この人が知らなかっただけなんじゃないの?

山下: うーん。

大滝: そんなこたぁーない(笑)?

山下: 「だから、このシリーズの中でも」、シリーズ出てるんですけどね、ベルウッドでね。「このアルバムと『アーリー細野晴臣』だけは懐かしさにおそわれずに聴ける」というね。

大滝: ふーん。細野さんのも、ほんとに、今聴いても、全然新しいよね。

山下: いやぁー、あれはもうね、僕は細野さんの最高傑作だと断言しますね。

大滝: あーん、異様なくらい新しいね。

山下: あれはすごいですよ。

大滝: すごいねー。

山下: あのー、それでさ、ほんっとに、今の大滝さんのでもそうですけど、やさしいんですよね、みんなね、歌い方がね。

大滝: うーん。

山下: この頃の方が、全然、歌い方が今に近いですね。

大滝: あぁ、そうかもしれないね。途中、ナイアガラ時代がね、なんか、

山下: うん。

大滝: 色々と模索してたんだけども。

山下: つぶやくような歌い方というか。

大滝: あぁ、地の声に近い。

山下: あのー、細野さんでもね、「扉の陰で息を殺して、つぶやく言葉はさようなら」ってのがあるでしょ。

大滝: そうそうそう。

山下: あーいうところとかね。

大滝: あの人もやさしいんだよね。

山下: やさしいんですね、きっとね。

大滝: 若いうちからおじさんだったんじゃないの?

山下: うーん。

大滝: (笑)、うなづかれても困るな、これ。

山下: 六つも上ですからね。

大滝: (笑)。

山下: 強調しとこう。

大滝: そうか、でも、それはでも、「ターン・テーブルにのっけて、初めての」とかっていうのは、初めて言ったんじゃない?

山下: そうでしょう?

大滝: おれ、初めて聞いたよ。

山下: あー、そう?

大滝: うーん。普通、面と向かってそういう話はしないからね、だいたい。

山下: 人の家(うち)では聴いたけどね。僕の友達が日本のロック、わりと好きで、

大滝: うん。

山下: もうその頃は、いっしょくただったから。早川義夫じゃ、

大滝: うん。

山下: その、はっぴいえんども持ってたし、あのー、小坂忠じゃ、その人のところでは聴いてたけど、それはその人が持ってたのを、僕は家に借りてきて、それで、家に持ってって聴いたんですよね。初めて聴いた日本のレコードですよ。

大滝: ふーん。

山下: GSとか、そういうんじゃなくてね。

大滝: なるほどね。

山下: 今だって、記憶があるんですけど、よく聴いたんですよ、これは、実に。

大滝: (笑)。

山下: えぇ、なんのことはない。でも、僕がきっと、だから、ほら、全く、そういうね、例えば中津川とかさ、

大滝: ふん。

山下: あの当時のフォーク・ロックのほら、あるでしょ?

大滝: コンサートがね。

山下: うん。野音のコンサートとかさ、春一番って、そういうことと全く無関係に生きてきたんですよね。

大滝: ずーっと、ポップス人間だったんだよね。

山下: そう。でも大滝さんもさ、仮にさ、日本のロックにいかなければ、

大滝: うん。

山下: おそらく聴いてない、

大滝: 聴いてないの。

山下: でしょう。

大滝: うん。要するに僕は、だって、ほとんど岡林信康っていう人のバックをやったときに、初めて知った。

山下: ふーん、そう(笑)?

大滝: そう。(笑)、全然聴いたことなかったんだ。だから、最後まで、あのー、あれだったね、そういう感じで。どういう人なのかわからなかったけど、人間はいい人だった。

山下: はーん。

大滝: うん。

山下: それはさ、だから、今の時代でもすごーくさ、示唆してる重要な問題だと思うんだよね。僕、よく言ってんだけどさ。

大滝: あー。

山下: だから、あの、さっき、先週も言ったんだけど、ハガキでね、「日本の音楽しか聴きません」と。ここで、僕の番組、実際に洋楽しかかけないから、ほとんど。洋楽ばっかりで、訳わかんない曲ばかりかけてね、

大滝: うん。

山下: だけど、要するに、ほら、そうじゃなくってですね、全世界、別にアメリカだけ聴けって言ってる訳じゃないけどさ、

大滝: ふん。

山下: アメリカ、イギリス、ヨーロッパ、いろんな音楽があって、クラシックもさ、ジャズもロックもあるけど、そういうところからの方からの見方で、日本の音楽見つめた方が、より、なんか、いろいろ見えてくるんじゃないかとね。

大滝: 世界史分の日本史という訳だね。

山下: そうそう。僕、12月に言ったんですよ。その話。

大滝: あぁ、なんと。

山下: いや、だから、「それを読みましょう」つって。

大滝: これが。

山下: えぇ。

大滝: 「大滝詠一の分母分子論」という。

山下: あれは、なんでした、雑誌?

大滝: あれはー、とあるFM誌でしたけどもね。

山下: (笑)、言っちゃったんですよね、その時に。

大滝: (笑)、この人はほんとにパーソナリティなのかな、これ?

山下: いいんです。

大滝: ほんとに。

山下: 普段、あのー、あれしてますから。普段のおこないがいいですから。

大滝: あれはね、ほんとはものすごく長いやつで、もう、10分の1とか、20分の1とかいう内容なんだけどもね。あれは、あのー、自分で言うのもおかしいんだけども(笑)、あのー、とってもおもしろかったと、自分でも思いましたね。

山下: あれは、いつ頃です?じゅーいち月末に、

大滝: いち月の末くらい。

山下: に出たやつですね?あれはおもしかった。

大滝: そのうちに、あのー、えー、足腰立たなくなって、あのー、口も動かなくなった時には、あれをまとめて、ライフ・ワークにしようと。

山下: あ、そうだ。僕、読んだんですよ、それ。

大滝: あらっ!

山下: あぁ。それ、言うの忘れたけど。

大滝: うーん。

山下: 話聞いてたんだけど、読んだんですよ。

大滝: うーん。

山下: あれおもしろかった、実に。

大滝: にしようと思ってますからね、

山下: なるほど。

大滝: お楽しみに(笑)。

山下: 大滝・野次馬・詠一としてはですね、

大滝: なんなんだ?うーん。

山下: それでですね、今日は、えー、話をしながら、レコードをかけるんですが、

大滝: うん。

山下: 今日は、そういう、ウルトラ・レア・アイテムでございまして。

大滝: おーっ。

山下: あるものは共に聴き、あるものはウンチクを傾けていただくというね。

大滝: なるほど。

山下: えぇ。えー、最初はですね、ビートル…、

大滝: ほう、ほう。これ、大阪漫才のあれなんだ。

山下: あー、そうですか(笑)?

大滝: (笑)。

山下: 最近買ったやつで、一番レアなやつなんですけど。

大滝: ふんふん。

山下: ドクター・フィールグッド(Dr.Feelgood)で、

大滝: なにっ!

山下: ございましてですね。

大滝: ふんふん。

山下: ドクター・フィールグッドの「ドクター・フィールグッド(Dr.Feelgood)」というシングル盤がございまして、

大滝: あらっ。

山下: このB面が何を隠そう、大滝さんみたいになってきたな。「ミスター・ムーンライト(Mr.Moonlight)」のオリジナルでございます、ビートルズがやってる。

大滝: ふーん。

山下: これはあのー、ドクター・フィールグッド説明しようと思って、こんなん出してきた。

大滝: 説明しよう!ドクター・フィールグッド(笑)、

山下: ドクター・フィールグッド。説明する。えーっと、

大滝: 説明って、本をこれ持ってきてる。いまどきね、でもね、そのー、確実性を期すために本を持ってきて、それをね、読みながらね、マイクの前でね、語るディスク・ジョッキーって、あなただけですよ。

山下: そうですか?

大滝: えぇ。

山下: そうですかね?

大滝: うん。

山下: えー、ドクター・フィールグッド。アトランタのブルース・マンですね。

大滝: アトランタ!

山下: 本名、ウィリー・ペリマン(Willie Perryman)。あっ、ウィリー・ペリマンというのはね、あれなんですよ。RCAにあるんですよね。

大滝: なんと!

山下: ピアノ・レッド(Piano Red)ですよ。

大滝: あー。

山下: ピアノ・レッドの、あー、そうなんだ。はーん。

大滝: うーん、自分で感心するところがなかなかのものでございましてね。

山下: そうか。で、えー、インターンズ(Interns)というグループで、

大滝: ふん。

山下: 60年代から出てまして、

大滝: あらっ。

山下: そのデビュー・ヒットの「ドクター・フィールグッド」というシングル盤のB面が「ミスター・ムーンライト」で、

大滝: 先生になれなかったの?

山下: なれなかった。

大滝: あ、そう?インターンだから(笑)。関係なかったかな。

山下: なんだかよくわからない?いや、だから、自分は「ドクター・フィールグッド」で、

大滝: あっ。

山下: 「アンド・ザ・インターンズ」、このしゃれですよ。

大滝: えらいっ!これはしゃれてるねー。

山下: すばらしい。

大滝: うーん。

山下: えー、という訳で、ビートルズ・ファンの方には見逃せない。これはね、

大滝: うん。

山下: 絶対に、あの、日本でこれしかないです、かかったことないですよ。聴いたことないもん。

大滝: そうそう、俺かけなかったもん、もったいなかったから。

山下: (笑)。

大滝: (笑)。

山下: ちくしょー。

大滝: 持ってるんだけど(笑)。

山下: 僕かけちゃうんだよね。

大滝: 聴いてみようかな(笑)。

山下: もう、コレクターだなー。それ、言わなきゃきれいな、そんなことない(笑)?

大滝: 失礼をいたしました。

山下: えー、それでは、「ミスター・ムーンライト」。これビートルズのオリジナルでございます。これね、でも、あっ、ビートルズのオリジナルだという人がほとんどと。

大滝: 多いですね。

山下: ねっ。

大滝: うん。なんとかジョンソンという人がね、作曲してる。

山下: ロイ・リー・ジョンソン(Roy Lee Johnson)。

大滝: あー、知ってるね。

山下: ロイ・リー・ジョンソンが歌ってるという話なんですが、これは異説もあるんですよね。

大滝: あー、そう?俺は聞いたことがない。歌ってんのかね?

山下: いや、歌ってるという人と、「ドクター・フィールグッド」は俺が歌ってると言ってるんですよね。

大滝: ほーっ。同じ人なんじゃないの?あー、でも本名がなんとかって書いてあったね。

山下: えぇ。

大滝: この「ミスター・ムーンライト」っていうのは、ジョン・レノンのあの悲痛な叫び。

山下: そうですね。

大滝: あれとともにね。

山下: よく、でも、あれをあそこまで歌い込んだというね。

大滝: いやー。

山下: これを聴くとよくわかる。

大滝: ほんとだ。

山下: という訳で、「ミスター・ムーンライト」。ドクター・フィールグッド&ザ・インターンズ。

 曲:

Dr.Feelgood & The Interns/Mr.Moonlight

大滝・山下:(笑)。

山下: えー、という訳で、ドクター・フィールグッド、「ミスター・ムーンライト」でございまして、えー、もう1曲、

大滝: うん。

山下: ビートルズのカバーをしてるレコードを、

大滝: ジョン・レノンが歌ってるやつね。

山下: えぇ、そうですね。

大滝: うーん。

山下: この次は、

大滝: 珍しもんでしょうが。

山下: そうですね。この次はですね、アーサー・アレキサンダー(Arthur Alexander)という人の、

大滝: 偉そうな名前だね。関係ないか(笑)。

山下: 知ってるくせに。

大滝: 失礼しました(笑)。

山下: うまいですね、その辺がね。漫才的で。

大滝: ほんと?ほうほう(笑)。

山下: 予定調和ですね。

大滝: エンタツ・アチャコだ(笑)。

山下: 「これはね、アーサー・アレキサンダーという人がやっています」、「ほうほう」。

大滝: (笑)、なんだかよくわかんねなー。

山下: これはですね、ビートルズの日本発売で「5」というLPに入っておりますですね、

大滝: ふんふん。

山下: 「アンナ(Anna)」という曲でございまして、「アーンナー」(歌ってます)というやつでございましてですね、

大滝: うーん。

山下: えぇ。これは実は、何を隠そう、ビートルズのオリジナルではないんでございましてね、

大滝: なにっ!

山下: えぇ。これはですね、

大滝: うん。

山下: このアーサー・アレキサンダーという人の自作でございましてですね、

大滝: ふーん。

山下: アーサー・アレキサンダーは、あの「ユー・ベター・ムーブ・オン(You Better Move On)」という曲がありましてですね、

大滝: 「ユー・ベター・ムーブ・オン」(歌ってます)、ありましたね。

山下: これはローリング・ストーンズのヒット曲でも有名でございます。

大滝: あー、有名ですな。

山下: えぇ。それから人の曲も歌っておりまして、

大滝: 例えば?

山下: 「ウェア・ハブ・ユー・ビーン・オール・マイ・ライフ(Where have you been all my life)」、

大滝: 「ウェア・ハブ・ユー・ビーン」(歌ってます)、どっかで聴いたようなメロディーですけどね。

山下: これはもう、私のもっとも崇拝するバリー・マンとシンシア・ウェイルの曲でございまして、

大滝: うーん。

山下: えー、これを持ってこようと思ったんですけど、まぁ、わかりやすい方で「アンナ」いきましょうか?

大滝: まぁ、あれをかけるといろいろ支障がありますから、えぇ。

山下: 最近、こういうね、リプロがたくさん出ておりましてですね、

大滝: うん。

山下: えー、それまで、全然、もう、あのー、聴くことすらできなかった曲が続々とね。

大滝: これは、いいアルバムだよ。このアーサー・アレキサンダーのリプロっていうのはね。

山下: そうですね。

大滝: とにかくね、リプロを活用しない人はね、コレクターじゃないのよ、これが。

山下: (笑)。

大滝: 実は。

山下: リプロをバカにする人はね。

大滝: うん。真のコレクターはね、オムニバス盤とかね、リプロとかいうのをね、有効に活用してね、

山下: うーん。

大滝: 耳に入れなきゃだめなんだよ。

山下: そうです、そうです。

大滝: 持ってるだけじゃダメなの。

山下: そうです、そうです。

大滝: 急に声を出したりして(笑)、失礼しました。

山下: 「リプロを笑うものはリプロに泣く」っていうのが、

大滝: おぉ、えらいね。もう、聖徳太子みたいな人だね。

山下: (笑)。

大滝: 二宮尊徳だな、これが。うーん。

山下: という訳でございまして、これもビートルズであまりにも有名で、シングルでも「ディジー・ミス・リジー(Dizzy Miss Lizzy)」とカップリングで、「アンナ」ですな?

大滝: あれ「ディジー・ミス・リジー」と?日本だけじゃないの?

山下: 日本だけです、それは。

大滝: あーん、日本だけのシングル盤というのも貴重ですね。

山下: 私が持っているただ1枚のビートルズのシングル盤ですよ。

大滝: ふーん、それはすごい!

山下: (笑)、という訳で、その、

大滝: 山下君が持ってるっていうのはすごい!

山下: 「アンナ」のオリジナルでございます、アーサー・アレキサンダー。

 曲:

Arthur Alexander/Anna

山下: えー、という訳で、ビートルズも取りあげております「アンナ」のオリジナル・ヒット、アーサー・アレキサンダーでございましてですね。えー、ビートルズというのは、そういう意味では、そういう、なんつうの?カバーとかさ、

大滝: うん。

山下: 何をインスピレーション受けて、何の曲を書いたとかが多いですね。

大滝: 多いね。

山下: えぇ。

大滝: あのー、ねっ、さっきも話したけど、この「アンナ」のドラム・リフ、ねっ。

山下: えぇ。

大滝: 「トン・チッ・タッ・トッ・タ」っていうのは、あれ「イッツ・オンリー・ラブ(It's Only Love)」にも出てるしね。

山下: なるほど。

大滝: それから、必ずね、カバーしたものは、そのー、自作に取り入れるということをやってて。

山下: ふーん。

大滝: で、ジョン・レノンっていうのはさ、この、一番影響されたのは、アーサー・アレキサンダーの歌唱法じゃないかなっていうふうに、

山下: ふーん。

大滝: 俺はなんか、感じるのね。

山下: なるほど。

大滝: うーん。

山下: しゃしの(?)、出た。

大滝: (笑)、それでね(笑)、それでさー、あのー、なんてぇのかな?例えばほら、ジョン・レノン追悼のコンサートなんか、

山下: えぇ。

大滝: 例えばあったとするでしょ。そすと、やっぱ、あのー、「アンナ」とかさ、アーサー・アレキサンダーとかね、

山下: ふん。

大滝: うーん、「ディジー・ミス・リジー」とか、「バッド・ボーイ(Bad Boy)」とか、ラリー・ウィリアムス(Larry Williams)とか、ジョン・レノンが好きだった人のを、カバーするとかっていうのがさ、ほんとは「真の追悼」になるんじゃないのかなっていう気がするのね。

山下: ふーん。

大滝: 私は。

山下: ジョン・レノンのブラック・ロックン・ロールとポールの、あの、スタンダード趣味の、

大滝: うん。

山下: 合体がビートルズだといわれておりますよね。

大滝: そうだよね。全くそうだと思うけどね。

山下: 大滝さん、前、キングトーンズでさ、「ラストダンスはヘイジュード」って出したでしょ(笑)。

大滝: うーん。

山下: あれ、ポールは「ラストダンス」を聴きながら「ヘイ・ジュード」をつくったという。

大滝: ほんとにね、「ラストダンス」を、あのー、「ラストダンス」歌うと「ヘイ・ジュード」が歌えて、「ヘイ・ジュード」は「ラストダンス」が歌えるのよ、これが。で、本人が、だから、「あれは下敷きにしてつくった」って言ってんだから。

山下: (笑)。

大滝: 本人が言ってるもん、他の人が違うってったって、わたしゃ知りませんよ。

山下: (笑)、よくそれをさ、レコードにするよ、ほんとに(笑)。

大滝: 笑ったよ。

山下: えらいよ、もう。

大滝: 右と左で違う歌うたうんだからね(笑)。

山下: (笑)。

大滝: 「これぞステレオ」っていうくらいのもんで。

山下: 負けたよ、ほんとにもう(笑)。

大滝: ほんとにおかしかった(笑)。

山下: だからビートルズをやるだけでも、掘り下げていけば3週、4週軽くいけますね、ほんとに。

大滝: うん、いけると思うね。

山下: やったでしょ、昔?あのー、「GO! GO! Niagara」で。

大滝: あのね、僕はね、「GO! GO! Niagara」、いいこと聞いてくれた!

山下: はい。

大滝: これがね、あのー、復活する、

山下: 復活するんですか?

大滝: 「予定」がある。予定があるけどね、また1年遅れたりするかもしれないから(笑)、あまり喜ばしてもあれだけども。

山下: うん。

大滝: でもね、「『GO! GO! Niagara』は必ずや復活する!」って終わったんだよね。

山下: うん。なるほど。

大滝: うーん。なんだい(笑)?

山下: DJマシンが寝てるでしょ、まだ?

大滝: いや、でもね、だからね、あれを絶対いかすためにね。

山下: うーん。

大滝: 僕はね、あのー、歌手の道と音楽家の道は捨ててもね、DJの道は捨てないから。

山下: 道は残す。

大滝: これが。足腰立たなくなっても、もうDJは、俺は。

山下: ほんとは、でもね、こんなレコードやって、つくって、あくせくしてね、

大滝: うん。

山下: やってる人たちがこんなことやっちゃいけないんですよ。

大滝: 言われてるの?でも、これはね、あのー、ある人が言ったけどね、やっぱね、パイオニアのつらさなんだって。

山下: (笑)。

大滝: いいかい?それで、「先駆者」って意味だよ、いっとくけども(笑)。

山下: (笑)、あぁ、そうか。

大滝: おどろかないでね。「どきっ」としないでね。あのー、それはね、つらさなんだ。

山下: うーん。

大滝: なんでもやれちゃうんだ、これが。

山下: なるほどね。

大滝: で、他の、あのー、半端な人よりも、実はやれてしまうんだね。(笑)。

山下: (笑)。怪気炎が出たね。僕の18番が取られたね。

大滝: お株を(笑)、お株を奪った。

山下: (笑)。という訳で、こん次に聴いていただく曲は、ベシー・バンクス(Bessie Banks)という人の「ゴー・ナウ」という、

大滝: うーん、

山下: これは全然ヒットしなかったんですよね、結局?

大滝: お金持ちの人?(しばし沈黙)これは全然ヒットしないか、あれ出たかな?あっ、しなかった。

山下: しなかったでしょうね、えぇ。

大滝: カバーで。

山下: えー、これは、あのー、ムーディ・ブルース(Moody Blues)という、いまやプログレのバンドですが。

大滝: ムーディ・ブルースって、まだ活躍してるんだよねー。

山下: やってるんですねー。すごいですね、あれは。

大滝: うーん。

山下: ムーディ・ブルースの記念すべきデビュー・ヒットでございまして、

大滝: そう?

山下: これ、プロデューサー誰でしたっけ、これ?やらした人。

大滝: これやらした人は、

山下: アンドリュー・オール…?

大滝: リーバー=ストーラーじゃないかな?

山下: いや、イギリス人ですよ。アンドリュー・オールダム(Andrew Loog Oldham)か、あの辺ですよ。

大滝: あっ、アンドリュー・オールダムっていうのは、ローリング・ストーンズをプロデュースした人でしたっけ?

山下: えぇ、そうです。

大滝: はーん。

山下: あの辺でしょ。じゃなきゃ、あのー、これはもう、イギリスの人に聞けば、コージーじゃない、リッチー・コーデ…、

大滝: リッチー・コーデル(Ritchie Cordell)?

山下: えっと、ラリー・コーデル。

大滝: ラリー・コーデルね?

山下: ふん。

大滝: うーん。でもさ、あのー、

山下: あっ、デニー・コーデル(Denny Cordell)!思い出した。デニー・コーデル。

大滝: デニー・コーデル?

山下: だと思った、確か。

大滝: なんか、ランデルス(The Ran-Dellsか?)のボーカルみたいだけど。

山下: (笑)。

大滝: あのー、まぁ、わかんない方は置いといて。あのー、ムーディ・ブルースというのは、でも、この「ゴー・ナウ」だけポップスなのね。

山下: ねっ。

大滝: LPは不思議とね。だから向こうでもさ、一点豪華主義っていうかさ、

山下: うん。

大滝: 日本のGSの時代があったじゃない?

山下: うーん。

大滝: シングル盤は作曲家の先生に頼んで、1〜2曲ヒットを入れて。で、他の人、あとは全部自分達の好きな、外国の曲をカバーするっていうのがね、

山下: うん。

大滝: 60年代の中期から後半にかけて、日本にあったんですよ。

山下: うん。

大滝: だから、そういうようなのが、やっぱり向こうでもあったんだね。

山下: そうなんですよ。

大滝: うーん。

山下: このベシー・バンクスってのは、もう、大滝さんの土俵ですから、リーバー=ストーラーのあれですから。

大滝: うーん。この人はね、なかなかあのー、えー、ねっ、「アイ・キャント・レット・ゴー(I Can't Let Go)」っていう、あなたも知ってるね、

山下: ホリーズ(Hollies)がやったやつですね。

大滝: うん、ホリーズ。「アイ・キャント・レット・ゴー」って、誰かカバーしなかったな、最近?リンダ・ロンシュタット(Linda Ronstadt)とか、あのての人達が。

山下: やってますね、誰かね。

大滝: なんかやってたね。

山下: えぇ、やってますね。

大滝: あの曲のオリジナルっていうかね、

山下: オリジナルですか?

大滝: うーん。

山下: つうことは、当時は要するにリーバー=ストーラー、チップ・テーラー(CHIP TAYLOR)とか、ああいうところも握ってたんですね。

大滝: これがなんと、レッド・バード(Red Bird;レーベル名)のおしまいの方に来ると、あの人達が出てくるというね。

山下: なるほど、うーん。

大滝: うーん。末期に出てくるというね。

山下: なるほどね。

大滝: それでその人達が、次のスプーンフル(Lovin' Spoonful)だとか、ああいう時代をつくっていくというね、うーん。

山下: ちゃんと、受け渡しがちゃんとできてるからいいですよね。

大滝: 続かないと意味がないんだよ、でも。

山下: そうですね。

大滝: ほんとに。

山下: えぇ。

大滝: 私はもう、力説したい。

山下: えぇ。

大滝: 昔「力説達郎」って言われてたの知ってる?知ってるよね(笑)。

山下: (笑)、という訳で、これも最近僕が手に入れたやつで、もう、ほんとにこれ、念願で欲しくてね、大滝さんのより盤質がいいというのだけが救いで、

大滝: 負けてしまいました。

山下: ございまして、このベシー・バンクスの「ゴー・ナウ」というのも、これは非常にレアなアイテムで、

大滝: そうそう。

山下: タイガー・レーベルでございまして、えー、たいしたもんでございます。

大滝: うん。

山下: ベシー・バンクス、「ゴー・ナウ」

 曲:

Bessie Banks/Go Now

山下: 「あっ」という間に終わるのが昔のシングルのいいところでございまして。

大滝: うーん、ほんとに短いのがいいんですよね。

山下: ベシー・バンクス、「ゴー・ナウ」でございましたが、こういう泥臭いやつがなんで最近はないんですかね?

大滝: なんで泥臭いのがなくなったのかというと、ほんとに、あのー、サザン・オールスターズぐらいになりましたけど(笑)、日本は。向こうは、だから、全部、だからね、都会調になってしまいましたね。

山下: うーん、なんででしょうね?

大滝: うーん。

山下: ほんとにね。

大滝: だから、この頃、フィフティーズからそこらっていうのは、ほんとにリズム&ブルースが主流を占めてた頃っていうのは、

山下: ねぇ。

大滝: こういうの「しか」なかった時代もあるんだよね。

山下: うーん。

大滝: だから、パット・ブーン(Pat Boone)だとか、あのー、ああいうクルーナー・タイプのさ、優等生の人達のが、あのー、敬遠されたというかね。

山下: うん、むしろね。

大滝: 「あれは何なんだ」みたいな時代があったんだけど、また戻りましたけどね。

山下: そうですね。

大滝: まっ、それを「保守化の傾向」とかね、いろいろ呼ぶ人がいますけども、その辺は、なんか、あのー、どっかの週刊誌にまかしておいて(笑)。

山下: (笑)。

大滝: 一応、そういう感じがするんだけど。これをね、社会学的な見地は、またさて置いて、

山下: はい。

大滝: この「ゴー・ナウ」のこの曲はね、「イフ・ユー・ガッタ・メイク・ア・フール・オブ・サムバディ(If You Gotta Make a Fool of Somebody)」から来てると、私は踏んでいるんですよ。

山下: うーん。

大滝: 「イフ・ユー・ガッタ・メイク・ア・フール」(歌ってます)ってのは、

山下: あれは誰の曲でしたっけ?

大滝: あれはね、昔のジャズなんだけども、えーっと、

山下: 一番売った人誰なんですか?

大滝: 一番売った人はね、50年代のね、歌手なの。(聴き取り不可能)じゃないしな。

山下: 女の人じゃないんですか?

大滝: 女の人だな。

山下: そうですか。

大滝: うーん、忘れた。

山下: わかんないことは置いといて、

大滝: 置いといて。で、リバプールでパラマウンツ(Paramounts)っていうグループが、

山下: はいはい。

大滝: デビュー作にして、プロコル・ハルム(Procol Harum)に、のちになったんだけど、

山下: はいはい。

大滝: あの曲が、このー、そっからこれ、「ゴー・ナウ」に来てる。

山下: ははーん。

大滝: で、「ゴー・ナウ」からね、レス・リード(Les Reed)の「ラスト・ワルツ(Last Waltz)」ね。エンゲルベルド(Engelbert)、フンパーディンク(Humperdinck )。

山下: うーん。

大滝: で、「ラスト・ワルツ」から西田佐知子の「紅ホテル」にいったというのがね、

山下: うーん。

大滝: これがだいたいの通説なんですよ。

山下: なるほど。「世界史分の日本史」ですな。

大滝: えぇ。ですからね、ほとんどね、だからそのー、船ですね、渡り歩いてて。

山下: やっぱ、マンチェスターとリバプールの、この市場からロンドンに行って、

大滝: うん。(聴き取り不能)じゃねぇな。

山下: ねっ、行ったんでしょ?

大滝: 動いている。動くんですよ。だからそのー、世界史をひとつのね、あのー、地図に例えてさ、人間とか、音楽とか、こう、置くと、あのー、音楽はね、動いてくるのがわかるでしょ?あのー、地域といっしょに動くっていうのがわかるけども、歴史を、また、あのー、時間も含めて、一応平面上と、そのー、時間という概念を3次元に置いてさ、見ていくと、その移り変わりっていうのがね、実に見えるんですよ。これが、コンピュータ・グラフィックを使ってね、これはやろうかなと思ってるの(笑)。フロッピーディスクで売り出そうかな、これ。えっ?

山下: こんどね、あれですね。

大滝: えっ?

山下: 歳とったら、あれにしましょうよ。あのー、NHKで1時間、あの30分もらってね、

大滝: うん。

山下: あのー、FMを。

大滝: 6時半ぐらいから。

山下: 「時事放談」の音楽版。

大滝: これが。

山下: 「あれはねぇ!これは、あれですよ!」ってそういうようなね、

大滝: (笑)、文句ばっかり言うの。

山下: そう。

大滝: 「ダメだ、ダメだ!」って言って。

山下: 毎週30分、これでやってね。

大滝: 俺たちはやれるだろうね。まだ、どこまで現役ができるかっていう感じもありますけどもね(笑)。

山下: えー、この次はですね、大滝さんの好きなデーブ・バーソロミュー(Dave Bartholomew)をいってみたいと思いますが。

大滝: あー、出たね。この人は名前が好きだね、俺。

山下: えー、また、

大滝: バーソロミューっていうのがいいね。

山下: 知らない人のために言っとかないと。デーブ・バーソロミューというのはですね、あれなんですよね、ニュー・オリンズの、この、

大滝: うん。

山下: えー、60年代初期の、

大滝: あのー、ファッツ・ドミノ(Fats Domino)とか、そういうのに曲書いてて、

山下: えぇ。

大滝: ピアノ弾いて、あのー、指導なんかしてるような感じの。

山下: そうですね。要するにプロデューサーのはしりですよね。

大滝: うん、そうそうそう。

山下: えぇ。

大滝: プロデューサーだったんだろうね。アラン・トゥーサン(Allen Toussaint)の、えー、先輩格っていう感じになるんじゃないかと思いますね。

山下: バーソロミューってくらいだから、まっ、クリオールとか、そういうあれでしょうけど、

大滝: そうでしょうね。この名前が好きだね、実に。

山下: それのね、またリプロが出たんですよね。あのー、この人が要するにほら、ファッツ・ドミノ手がける前に、

大滝: うん。

山下: インペリアル(Imperial;レーベル名)で吹き込んだシングル盤の数々をプロモにして出したというね、

大滝: うん。これは貴重です。

山下: えぇ。これは最近のあれでは、非常にいいんですが、大滝さんが来るので「ぜひともこれは持ってこなければなるまい!」と。

大滝: ふーん。

山下: デーブ・バーソロミューという人は、もうファッツ・ドミノのほとんどのヒット曲でございますが、有名ですが、その他でもロイド・プライス(Lloyd Price)、

大滝: うん。

山下: えー、シャーリー&リー(Shirley & Lee)、

大滝: ふんふん。

山下: えー、それからあれですよ、「アイ・ヒアー・ユー・ノッキング(I Hear You Knocking)」のスマイリー・ルイス(Smiley Lewis)、

大滝: ふん。

山下: ボビー・ミッチェル(Bobby Mitchell)、

大滝: んっ。

山下: えー、スパイダーズですね。

大滝: んーっ。ムッシュ。

山下: アール・キング(Earl King)、ギター・スリム(Guitar Slim)、トミー・リッジー(Tommy Ridgley)、シュガー・ボーイ・クロフォード(Sugar Boy Crawford)、ヒューイ・スミス(Huey "Piano" Smith )、フランキー・フォード(Frankie Ford)、ボビー・チャールズ(Bobby Charles)、

大滝: 全部じゃん!

山下: そうですね。

大滝: 当時のニュー・オリンズ系の。ふん、ひとことでも言えますね。

山下: その辺のA&Rなんだそうですね。

大滝: あー、A&Rなのね。アーティスト&レパートリーズという、

山下: えぇ。

大滝: うーん。

山下: なそうです。

大滝: あのー、A&Rを解説しますとですね、歌手とね、

山下: えぇ。

大滝: えー、レコードの、スタジオの中と歌い手との仲を取り持つ巡航船のようなものなんです。

山下: (笑)。

大滝: えぇ。「ここは串本、向かいは大島」っていうぐらいなもんで。古いですね。

山下: (笑)。ちょっと、その古さがあれですね、

大滝: 失礼いたしました(笑)。

山下: 若い人に、いまいちの説得力に欠けるという(笑)、この、

大滝: いけないですねー、ほんとに。

山下: あれですが。その、デーブ・バーソロミューのインペリアルで出した最初のシングル盤で、ニュー・オリンズで10万枚程度のヒットになったというね、

大滝: 結構売れたんですね。

山下: 売れたんですって。

大滝: ふーん。

山下: 全米チャートで調べてみたら、入ってなかったですけど(笑)。えー、「カントリー・ガール」という、もう、典型的なニュー・オリンズのビートですが、えー、デーブ・バーソロミューで「カントリー・ガール」

 曲:

Dave Bartholomew/Country Girl

山下: えー、デーブ・バーソロミューで「カントリー・ガール」でございまして。大滝さんこれ好きですね。

大滝: うーん。あのさ、あのー、いつも、聞こう聞こうと思っててさ、

山下: はい。

大滝: なかなか聞けなくて。

山下: はい。

大滝: で、聞くのやめようかなと思ったんだけど、聞くんだけどさ。

山下: はい(笑)。

大滝: で、こういう泥臭いの好きじゃない?

山下: えぇ。

大滝: 山下君はさ。どうして出てこないかね?

山下: いや、僕、ただ、声にあわないと思うの。自分の声に。

大滝: あっ、そういう意味なのか!

山下: うん。

大滝: うーん。前から言ってたね。

山下: 僕ね、もしバリトン・ボイスで、ちょっとしゃがれた声だったら、こういうのでさ、やろうと思ってるけど。

大滝: 僕は、あのー、そういう、声をね、自分の声を、あのー、全部中心にして考える、音楽を考える考え方というのを、山下君に影響されたの。

山下: ふーん。

大滝: 初めてだった。

山下: ふーん。

大滝: みた、そういう人。

山下: あ、そうなのかしら?

大滝: うん。

山下: あっ、そう?

大滝: 例えば、あのー、「この曲嫌い」って、「どうして?」っていうと、「歌って気持ちよくないから」とかさ(笑)。そういうね。

山下: 僕ね、すごーくね、曲を選ぶの、僕の声って。

大滝: うーん。

山下: だから、例えば、マッチに「ハイティーン・ブギ」って書いたでしょ。

大滝: うん。

山下: 自分で歌った「ハイティーン・ブギ」なんて、くそ面白くないの。

大滝: はぁーん。

山下: 何の感動もない訳。僕、自分でね、なんか、あれなんだ。だから、僕、本当の意味でうまい歌い手じゃないのよね。作品をすごい選ぶから。

大滝: ふーん。

山下: だから、ほんとにうまい歌い手、例えばレイ・チャールズとかね、(聴き取り不可能)とかさ。

大滝: 弘法だね、うまいのはね。

山下: あー、弘法(笑)。

大滝: うん、弘法。

山下: そういうタイプじゃないんですよね。

大滝: はぁーん。

山下: 作品と、すごく、あのー、カラオケの感じとかね、色合いってのが、すごく選んでしまう。

大滝: 密接に、あのー、関係がないと嫌な訳だな。

山下: 関係がないと嫌だっていうか、それを関係づけないと自分の歌がうまく聴こえないっていうか。

大滝: うーん。

山下: 非常に淡泊なものに聴こえたりね、ある時点で。なんか、すごくつまらなく聴こえたりするんですよね。

大滝: だから、あのー、普通のカラオケの、あのー、いい加減なバックでとかいうのはもう、絶対にダメなんだよね。

山下: 全然ダメ。僕、そういうところに引っぱり出されるのが一番イヤだもん。もっのすごい、あれですよ。

大滝: 聴いてみたいねぇ。

山下: 嫌ですよ(笑)、ほんとにもう。

大滝: なんか歌わない、なんか?

山下: 嫌ですよ(笑)。

大滝: 「さざんかの宿」とかさ。

山下: 大滝さん、

大滝: はい。

山下: 2週間ていう予定だったんですけどね、

大滝: うん。

山下: めんどくさいから、もう1週間やろうと、

大滝: えっ!

山下: いうことになりました。

大滝: また呼んでいただけるんですか?

山下: えぇ。

大滝: でも、なんか、あの、まーた邪魔しにくるのかと思ってる人もいるんじゃないですかねー。

山下: (笑)。いや、こういう話はね、久しぶりですよ、ほんとに。

大滝: 久しぶりに会ったんだもんね、実はね。

山下: こういう番組やってても、こういうやり方も久しぶりですしね。

大滝: うーん。

山下: 昔はもっとだらけてやってましたけどね、ほんとに(笑)。「GO! GO! Niagara」という番組がね、

大滝: (笑)、

山下: ありましてね。

大滝: 失礼をいたしましたですね。

山下: 大滝さんよりは、あのー、まともにやってるようだと。

大滝: ずいぶん、きっちりした番組だなとさっきから思ってましたけどね(笑)。

山下: (笑)。もうちょっと話と、もうちょっと曲がかけたいんで、どうしても。

大滝: うん。

山下: 今日はそれでも、コレクターズ・アイテムとかいって、4曲しかかかってないですからね。

大滝: あらっ。

山下: えぇ。お話しが長いというあれもありますので、

大滝: えぇ。

山下: 来週もまた、ちょっとそういうのを補植しまして。もう、どうせ、

大滝: 話しが、なんか、つきないという感じが、なんか、12月まで、またぐるっとまわっちゃうんじゃないかという感じが(笑)。

山下: 年寄りの証拠なんですよ、会話がつきないようになるっていうのはね。

大滝: あー、そう?

山下: こないだ、早朝放談みたいのになるっていうね。

大滝: そういうのを見てるところがいつも、らしい(笑)。

山下: (笑)。

大滝: それで?どうした?

山下: んで、もう(笑)、どうでもいいような話しを延々やってる訳ですよ、もう二人とも。オジンだからね。

大滝: あっ、それはもう老人の徴候なんだ?

山下: そう。

大滝: うーん。

山下: 「あの時は、あの人はどうした」とかね。

大滝: でも、なんか10年前からみんなそうやってんじゃないんだっけ(笑)?頼むよー。

山下: ひどいもんだ(笑)。じゃ、今度銀次もつれてこよう。

大滝: (笑)、あれがいると、もう、朝までになっちゃう。

山下: 銀次入ると、もう、ほんとに、聞いてる人、なんのおもしろみもない話っていうかさ(笑)。

大滝: わからないっていうかね。あの人が一人でかき回すっていうか。なんて(笑)、聴いてたら怒るな(笑)。

山下: (笑)。

(バックに「外はいい天気」が流れ始める)

山下: あの人、でも、雑学すごいからねぇ、ほんとに。

大滝: あの人はすごいね。で、あの人、ほんとに雑学すごかったね。

山下: うん。

大滝: 驚いたよね。

山下: ねっ(笑)。

大滝: で、あれっ、なんかかかってる(笑)とか言って。

山下: (笑)、という訳なので、この続きは来週でございまして、えー、2週のつもりが3週にエスカレートしていくところがまた、めずらしいですが、まぁ、いいでしょう。えー、という訳で、来週も大滝詠一さんをお招きいたします。今日の最後は、その、最初に申しあげました「アーリー大瀧詠一」で、元々ははっぴいえんどのサード・アルバムに入っている曲でございまして、

大滝: はい。

山下: 「外はいい天気だよ」。これを聴きながら、本日は、山下達郎のサウンド・ストリート、お別れでございます。それでは、また来週。みなさんごきげんよう、おやすみなさい。

 曲:

大滝詠一/外はいい天気だよ

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