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サウンド・ストリート 1985.1.17

山下: こんばんは、ご機嫌いかがでしょうか?山下達郎です。今日も木曜日になりまして、山下達郎のサウンドストリートの時間でございまして、先週に引き続きまして、大滝詠一さんをゲストにお迎えいたしまして、今日はどういった話が飛び出しますか、全く台本がございません。新春放談パート2でございます、話が飛ぶのが得意で、わざと飛ばすのが好きな人を相手にしていますとですね、受け手側も、なかなかいろいろと物思いにふける今日このごろでございます。

大滝: 何を言ってんだろうね。

山下: というわけで、なんか1曲かけていきましょうね。話し始めると10分くらい続きそうですから。

大滝: そうですね。

山下: 大滝さんに気使って、大滝さんの好きそうなレコードを持ってきまして。

大滝: 毎度毎度ありがとうございます。

山下: クラレンス・ヘンリーなんてどうですか?

大滝: いいね、フロークマン(?)。

山下: このタイトルの話し先週もしましたが、これもタイトルいいですね、「YOU ALWAYS HURT THE ONE YOU LOVE」、「あなたの愛している人を君はいつも傷付けている」

大滝: なんとなくあれですね。山下君の自伝的な、そういう。

山下: 何を言ってんの、僕はそんなことしませんよ。僕は心やさしき青年だったんですから。

大滝: そうですね、はい…。何なんだ、この一瞬の沈黙は!

山下: すぐそうやってね、自分の、

大滝: これ、ほんとにいい歌だよ。サウンドでちょっとごまかされる感じあるけど、なかなかに良いですよね。

山下: こういうね、いなたい歌が、

大滝: 何だって、いなたい歌?東京方言じゃないのそれ。

山下: 関西だという話しがあるんですけど、山岸が言ってたんです。

大滝: いなたいっていうのを?どういう意味なの?

山下: いなたいってのはね、要するに、いなかといなたい、いなかでいなたい、ドロくさいとか、カントリーだとか、ちょっとこうなんというか、ソティスフィケートされてないというか。

大滝: 都会に出て行ってはいけないということを、子どもが言ったとか、そんなことじゃないの?「いなかにいなたい」って。

山下: 山岸が言ってたから、つくったんじゃないかな。まぁ、いいや。一応、61年のヒット曲でございまして、あんまり説明しないと怒られますから、クラレンス・ヘンリー、「YOU ALWAYS HURT THE ONE YOU LOVE」

 曲: クラレンス・ヘンリー/YOU ALWAYS HURT THE ONE YOU LOVE

山下: うん、そう。あっ、終わっちゃった。クラレンス・ヘンリーの「YOU ALWAYS HURT THE ONE YOU LOVE」

大滝: 短いのがいいなぁ。

山下: いいですな。のんびりした曲がいいですな。

大滝: 昔はこういう、短くさっと終わって、そこはかとなしという文化が以前あったような気がしますけど、どこ行っちゃったんでしょうね。

山下: と、思ってたら、ロバート・プラントが歌ってますよね。

大滝: どうしたんだろうね、あの大歌謡曲?

山下: あれ、ベスト10はいってるんですよ、しかも。

大滝: あれ、大笑いですね。

山下: ああいう曲がベスト10はいるというね、面白いというか、うれしいというかね。

大滝: ちょっとアメリカもイギリス的になったというか。

山下: でも、やっぱり歴史の重みってのを感じるんだよ、僕、ああいう曲が出てくると。

大滝: 「SEA OF LOVE」、ふーん。

山下: 「SEA OF LOVE」というのはですね、カバーなんですよね。

大滝: オリジナルがありましたね、以前に。

山下: フィル・フィリップスという人がやってたんですよね、60何年ですかね、あれ。今日レコードリサーチ持ってきたんですけど。

大滝: なかなか、でも、今なぜ、「SEA OF LOVE」なのか?

山下: わからないね。59年の曲ですね、全米2位まであがってる。ワンヒット、一発屋なんですね、この人。黒人か白人かもわからないという、このね。

大滝: ワンヒット、ワンエラーといいますからね、関係ないか、これは。

山下: ルイジアナの人だそうです。それがなぜか突然、だいたいハニー・ドリッパーズって何なんでしょうね、これ?

大滝: 何なんです、このハニー・ドリッパーズって古い名前は?

山下: なんかLPのライナーを読むと、ロバート・プラントを盛り上げようというね、みんなでよってたかってつくったと。

大滝: あぁ、御輿、ふーん。

山下: プロデューサーがアーメット・アーテガンなんですよね、アトランティックの、

大滝: アトランティックの社長ね、以前の。

山下: その、アーテガンの名前を逆にして、ネグルッテでしたっけ、あれで、書いたんですよね。それはもう50年代のアトランティックのレースミュージック華やかなりし頃に、自分でつくってたペンネームでね。

大滝: 誰がわかるかって感じで使ったかもしんない、懐かしいみたいに。

山下: それで、やってるんだけど、カバーがたくさんはいっててね、ドリフターズのカバーとか。

大滝: ほとんどカバー?

山下: ほとんど全部カバー、これがなかなかいい歌だったんですよね、ロバート・プラントの歌が。

大滝: やっぱりね、海をテーマにするといいんじゃないですか。あれを見てて、僕はプロモーションビデオ見てましたけど、おやじの海を思い出しましたけどね、関係ないですか?だめかな。

山下: というわけで、そのフィル・フィリップスのオリジナルを、ほとんどみなさんラジオでもかかんないと思いますが、「SEA OF LOVE」、フィル・フィリップス、1959年のヒットでございます。

 曲: フィル・フィリップス/SEA OF LOVE

山下: というわけで、今ロバート・プラントのハニー・ドリッパーズでヒットしております「SEA OF LOVE」のオリジナルでございまして、フィル・フィリップスという人の、1959年全米2位まであがったヒット、今度のやつ、「SEA OF LOVE」も全米6位か、そんなところで。

大滝: 現代がテンポが速いとか、リズムが切り刻まれてスピード感が、とかいうけど、久々にこの、全音符がやたらに多い歌だと思いませんか、これは?

山下: 村木健一といい、

大滝: 「(海は)ヨー」って感じになると思うんだけど。

山下: さっき僕は言ってたんですよ、大滝さんのね、23年生まれですけどね、もし28,29の僕と同じくらいの年回りで、大滝さんと同じ性格をした人がいたとします。その人をここに呼んできます。あっ、これはきっとリガニーズだなっていうでしょうね、これはね。

大滝: 「君は素敵だな」って歌えちゃうんだよね。

山下: そうすると、大滝さんが横で出てきて、「海はヨー」ってね。何を考えてるんだか。

大滝: 何を言ってる、お呼びでないだよ、これじゃぁ。

山下: 全くもう、ほんとに、でも、歴史の重みってのをなんかね。

大滝: これ、でも、「DO YOU REMEMBER」ってくるとこをみると、やはりどういうんだろ、常に現代人が忘れがちな、

山下: またこじつけるんだから、そうやって。

大滝: 人間性と以前の暖かかったあれを、なぜ忘れたかという亡霊のような歌なんじゃないの、これ。浪花節だよ人生はと張るんじゃないかね、この流行りかたが、びっくりしたね。

山下: 近いものがありますね。腰抜かしましたよ、私はほんとに、いきなりこれですもんね。

大滝: なんでと思ったよね。デル・シャノンが4年位前にカバーしてね、90何位まで行ったんだけど、その時はその時代じゃなかったみたいだね。

山下: 割とそういう人気のある曲ってあるんだよね。今、向こうもカバー増えてるかな?今に始まったことじゃないか。ドナ・サマーがゼア・ゴーズ・マイ・ウェイやったよね。

大滝: うん、やった。ドリフターズのね。あの駅のシーン、プロモーションビデオの駅のシーンだったけど、哀愁みたいな感じだったけどね。

山下: 向こうもやっぱり迷いがあるんでしょうかね。

大滝: 必ず、でもいいことですよね。

山下: そうですね。日本もそういうのがあってほしいです。

大滝: と思いますね。あまりにも、なんかこう、急げとか、進めとか、新しいとか、強迫されてやってるみたいなね。

山下: それはありますね。

大滝: ああいうのは、別に脅迫されてやるんじゃないんじゃないかな。楽しい音楽をとか何とかいいながら、新しいとかいうのを脅迫されてやってたんじゃ、楽しくならないのではないかというふうにですね。

山下: 僕はアレンジャーの友達とか、作家の友達とかたくさんいるけど、とても、最近レコードをつくって、エンジョイしてやってるとか、楽しんでやってるとはとても思えませんね、なんかもう。

大滝: 思えないね。

山下: これでもか、これでもかって、ハンマーで頭ぶん殴られながら、もうスタジオの音量は目一杯出して、デジタルでドカドカはいってくるし。

大滝: なんかあんまり楽しそうにやっている人は、

山下: とても思えませんね、僕は。

大滝: どうしちゃったんでしょうね?

山下: 僕ね、自分で、セーター脱いじゃおっと、ドラム叩いている曲があるんですよね。

大滝: この辺から本筋にはいるんですか?

山下: いや、そういうわけじゃないですけど、みんな笑うんですよ、僕がドラムを叩いてる姿を見て。なぜ笑うかっていうと、おまえはドラムを叩いてるときが一番楽しそうにやるって。

大滝: そういうところは昔からありましたね。

山下: うれしそうにやっちゃあ、いけないのかってね。

大滝: それを言ったら、身も蓋もないでしょ。言い返すところが山下君らしいですね。

山下: でも、スタジオの中でエンジョイすることを軽蔑する傾向がありますよね。

大滝: あるんだね、どうしたのかね、あの人たちは?

山下: だから、僕はスタジオミュージシャンやりたくないんですよ。

大滝: でも、それはわかってて、さすがにリーダーだね。そこを和ませようという。顔が面白い顔して叩くとか、そういうのじゃないんですか?

山下: そんなことありませんよ。

大滝: あぁ、そうですか。

山下: うれしいんですよ。おかずをできるって「スタンストンスタンスタットンジャン」

大滝: 不思議に細野さんもそうですね。1回ドラム叩いてもらったんだけど、レコードのセッションで、楽しそうにやるのよね。でも、あれだけ楽しいものはないですね、でも。

山下: そうですよ。僕の叩いたドラムのレコードってのは、全部おしまいは3連ですからね。

大滝: 「タンタンタンタンタンタン」

山下: あくまで、全曲やってやるってね。死ぬまで、全曲ハル・ブレインでいってやるんだから。

大滝: これです、これですよ。この一途な想い、ロマンティストじゃないと、こうはなりません。

山下: 文化財ですよ、こうなったら。

大滝: 文化財?こりゃすごい。

山下: バリー・マンはね、フォーエバーって大阪に雑誌があるんですけど、バリー・マンの原稿書いたんですよ、バリー・マンの30選みたいなの。バリー・マンも、やっとおかげさまで、3分の2位まできたんですよ。バリー・マンの曲がね、たいしてないの、300ちょっとしかないの。

大滝: まだでも、一応は現役でしょ?

山下: まだオリンピアとかヒットはあるから、その割には割と少ないんだけどね、この間ね必死になって、最近買ったやつで、変なのがあってね、バリー・マンっていうと、いわゆるそのティーン・エイジャー・ソングの代表選手だけど、シンシア・ウェルと組む前に、ジョニー・マティスに書いてる59年位の曲っていうのは、これがもう、とにかく、あっその前か、その前にね、その曲はこの後にかけるんですが。

大滝: 置いといて。

山下: 今日はぜひ御大に聴いていただこうと思って。

大滝: 水之江さんだね、これは。

山下: これはね、この間買ったんですけど、ルビー・アンド・ロマンティックスのウィル・ラブ・アゲインって、これラストヒットなんですよ確か。

大滝: アワー・デイ・ウィル・カムのヒットでおなじみの、ルビーとロマンティックス。

山下: ヘイ・ゼア・ロンリー・ボーイってのもありますが。

大滝: 好きだなー、あのボサノバがいいんだよね、ボサノバ調のアレンジが。オルガンがいい音してるんだよね。

山下: あっこれヒットしてないや。

大滝: 難波君にも聴いてもらいたいな。なんだかわかんないな。

山下: 独り言いわないでくださいよ。

大滝: 失礼しました。

山下: このね、ルビー・アンド・ロマンティックスに書いたのウィル・ラブ・アゲインって曲は、全くアワー・デイ・ウィル・カムなんですよ。

大滝: へぇー。

山下: 最高なの、これが、笑っちゃった。

大滝: 聴いてみましょう。

山下: 大笑いっていう、大滝さん得意のフレーズ。

大滝: こりゃまたみなさん、大笑い。

 曲: ルビー・アンド・ロマンティックス/ウィル・ラブ・アゲイン

山下: というわけで、ルビー・アンド・ロマンティックス、ウィル・ラブ・アゲインでした。途中で突然ね。

大滝: 突然ね、アワー・デイ・ウィル・カムに。

山下: アワー・デイ・ウィル・カムになっちゃうんですよ。もう1曲ね、これが面白いんだよ。ジョニー・マティスのね、これコロンビアのシングルなんですけど、クワイエット・ガールっていう、これラリー・コルバーかなんかがつくってるんですよ、いや、違う違う、ジョー・シャーマー、グラデュエーション・デイ(?)。

大滝: ジョニー・マティスというと、最初男なのか女なのかわからないというね。あの辺から入り乱れましたかね。

山下: アメリカの美川憲一ですかね。

大滝: あれっ?

山下: ちょっと違うか?

大滝: その後に、クリス・モンテスなんかがでる前の、わけのわかんなかった声ですよね。

山下: 今まで、一番LPがロングチャートになったのは、このジョニー・マティスのグレイテスト・ヒッツでしょ。

大滝: ジョニ・マティスだったですかね。ただ、どう言うんだろうね、ジョニー・マティスみたいに歌うってのは、なんか気色が悪いというか、そういうひとつの笑いのネタにされることがある人ですね。それだけ、だから一世を風靡したっていうことなんでしょうかね。

山下: なるほど、郷ひろみとか、そういうのと同じですね。

大滝: なんかね。

山下: でも、ジョニーレイにはかなわないでしょう。

大滝: あの人もいたね。

山下: 「(ジョニー・レイのマネをしているのだろうが、聞き取り不能)」、1回かけましたけどね、というわけで、ジョニーマティスの、これ確かヒットしたんですが、クワイエット・ガール。

 曲: ジョニーマティス/クワイエット・ガール

山下: というわけで、これがバリー・マンの曲かと思われる、この。

大滝: ねぇ、この人、山下君がよく、バリー・マン大好きだというあれだと、そういうしっかりした、普通の曲もというか、ちゃんとしたものも、しっかり書けたうえに、そういうポップスを書くというかね。

山下: 始めはこういうのやりたかったんじゃないかと思うんだけど。

大滝: だんだん後半になってから、そういうところが出てきているのかな。

山下: ブロードウェイの作曲家になりたかったらしいですね、始めは。ミュージカル作家というか。

大滝: なるほどね。それでフー・プット・ボムだもんね。そこが面白いところだね。

山下: あれは、結局、自分のハイスクールのノリなんでしょうね、キャロル・キングとかと同じで、ニール・セダカとか、それもやっぱり、上にみえるものはもっとアカデミックな。

大滝: こういうふうな曲がひょっとすると、あれですかね、今度の山下君の作風に出てくるのではないかという。

山下: 何をいう、もう時代が違うでしょう、だって。

大滝: いやー、でも出てるような気もしますよね。

山下: 大滝さんこういうのやんないの?

大滝: こういうのだめですよ、だって。

山下: クールナー・ボイスだから、いいんじゃない?

大滝: なんだけど、ああいう歌い上げるのは不得意だもの。

山下: あぁ、そう。

大滝: 笑っちゃうんだよな。

山下: でも、ペリー・コモみたいなやり方もあるでしょうね。

大滝: まあ、そうだね。

山下: 張らないでさ。

大滝: キャッチ・ア・フォーリン・スターね。だから、なんていうのかな、自分の声って、普通の声だったんだよね。要するに普通の声。面白いね、でもね。歌って面白いね。歌のときにどうしても声をつくるってのじゃないけど、やっぱり歌のときに話すように歌うということもあるけれど、でもやっぱり歌うときには、ちょっと話すときと違う声になるっていうのは、誰でも少しはそうだよね。

山下: いや、話す声と歌う声が全く同じ人もいるよ。

大滝: 同じっていう人もいるのよね。

山下: でもそういう人は、うまくないんだよね、だいたい。

大滝: だから、ちょっと自分から少し離れるっていうんだろうかな、なんか、本人からっていうかさ、そういうのが歌のひとつの面白いところのような気がするね。そうすると、人の歌を聴いてて、あぁいいなと思うと、その人の、不思議だね、歌いかたとか、心を真似しようとするんじゃなくて、声を真似しようっていう時期が若い頃にはあるんだね。だから、自分の声を作り替えようとかいうね、例えば、レイ・チャールズがしわがれ声で歌うと、自分もなんか歌ってみようと思うんだけど、すぐに咳き込んじゃったりしたとかさ、そういうのもあると思うんだけどさ。

山下: 大滝さん、今から考えてみるとさ、はっぴいえんどのときに、全然違う声じゃない。本来の、要するに大滝さんの声とさ、すごいつくった声じゃない、あれ。

大滝: ないのよね、そう。

山下: だから、なんでああいう声にして歌おうと思ったの?

大滝: 多分、どういうのかな、外側に攻撃しに行くときに、そういうある種の武力を身につけるというか、そういうものだったんじゃないかというのと、すごい憧れが大きくあって、それへの一体感というのかな、そういうものを求めて、全部似せちゃおうみたいな。

山下: あれは誰を意識してるんです、あの歌いかたは?

大滝: よくわかんないんだけどね、当時スティーブ・スティルスを意識したようでいて、結局デル・シャノンにもならなかったというもののように、今にして思うけども。ただ、あれを僕は、全然否定したりしたくないと思うのは、その頃に対象に向かう、どういうのかな、強さみたいなのをね、そういうのはああいう時しかできないんだろうね。退いて見ちゃいけないかな。

山下: ほんとに、でも癖あったもんね、当時はね。

大滝: あの頃ね。

山下: 歌う言葉の言い回し方も癖あったでしょう。

大滝: うん、おもちを食べながら歌を歌ってるとかいわれたことがあるけどね。

山下: ほとんど口を開けないって噂。

大滝: 春日八郎ともいわれたことがある、古いねこれは。

山下: 春日八郎ってそんな歌いかたしたっけ?

大滝: 春日八郎ってのは、口をほとんど腹話術のようにして歌う人だったんですよ。それが面白いよね。

山下: なるほど。

大滝: 日本語っていうのは、でもあまり口を大きく開けて発音してはいけないことになってたんです。腹話術のようにして話すと。だから耳が発達したんじゃないの?そんなことはないかね。

山下: うまいこじつけして。

大滝: こじつけの大滝って言われてるんだよ、俺。

山下: 僕もほとんど口開けないでしゃべるから。

大滝: いや、たいてい、だって落語見てごらんなさいよ。そんなに大きく口を開けていう人は、いませんよ。三平さん以降じゃないの?名人てのは、やっぱり、そういうふうに横の方から息を漏らすんですよ。これがでもね、粋っていうもんじゃないですか。違いますかね、これが。

山下: なるほどね。

大滝: だからやっぱりね、あまりね、外に出てアピールする、強く自分をアピールするっていうのには、あまり向いてないっていう言い方はおかしいけども、ひとつの文化の型としてあることだけは事実でしょうね。だからどうするかっていうのは、また個人の問題なんだけどね。いかがなもんでしょう。

山下: 年寄りじみますね。

大滝: 年寄りじみてるね、だめだね。もっと日本文化を大事にしようじゃありませんか。何を言ってるんだ。

山下: 最近はビデオ三昧でしょ?

大滝: うん、そうですね。お茶とビデオの日々というかね、なんというかね。

山下: 去年、1枚ぐらいしかレコード買わなかったって?

大滝: えぇ、1枚だけ。サーフィンのインストゥルメンタルを1枚。

山下: ジョン・アンド・ナイトライダーズ?

大滝: ジョンとナイトライダーズというね、スプラッシュバックという曲が面白いんですよ。なかなか面白いと思いましたけどね、ほとんどだめですね。相変わらずレコードを買ってるという?

山下: レコードは買ってますけどね、一応。でも、新譜ついていけませんね、もう、カタログ多すぎて。すごい量出てますもん。

大滝: どうなんだろ、やっぱり、年をとったということなんでしょうか、何が変わったんでしょうかね、これ?

山下: 昔は1週間に1度はレコード屋に行きましたけどね、今はひと月に、やっぱり1回、2回くらいですよ。

大滝: 今、普通の人もみんなそういうふうになっているんじゃないだろうか。

山下: 多分ね。だから音楽というか、ロックンロールっていうか、そういうような音楽自体が、生活の主要なファクターじゃなくなってきたんじゃないかな。

大滝: ミュージシャンがみんなでいっしょになって、そういうふうに言い過ぎるんじゃないですか?そんなことはないか。

山下: いや、だからそれは、僕はミュージシャンの責任だと思う。だって、やってる奴が音楽をエンジョイしてないもん。

大滝: ねぇ、やってる方が楽しくなければ、相手も楽しくないに決まってますよね。

山下: お金を生むようになったのが、やっぱり悪いんでしょうかね。

大滝: やはり、またハングリーというのがでてくるんでしょうかね。ポール・リビアとレイダースになってまいりましたが。

山下: 去年の映画でナンバーワンは何ですか?

大滝: 去年の映画で、

山下: ガープですか、やっぱり?

大滝: あれっ、ガープって去年だっけ?おととしじゃないの。

山下: そうだ、おととしだ。去年の新春放談でガープって。

大滝: 言ってたからね。いや、あまり1位とかないけど、レベルになってきましたね、だんだん、だんだん。昔の映画が黒白スタンダードで、ザーザーザーザーいってるんだけど、あれが、新しく観る方法というのを会得しました。

山下: どうやってやるんですか?

大滝: もちろん、自分の心の中をちょっとチェンジするんだけど。

山下: そうか、精神的な問題ですね、技術的な問題じゃなくて。

大滝: うん、そうそう。だから、音楽もね、同時に昔のジャズとかクラッシックがね、新しく聴く方法を会得しましたね。これはもうだめなんでしょうね、末期症状だね。

山下: だんだん、精神的な問題になってるんでしょうね、きっとね。始めはスタイルとか、先週のスプートニクスのギターの音がとか、フレーズとかさ。

大滝: そっから離れるのも年をとる証拠だということがね、

山下: そうなのかね。

大滝: やはり、スタイル、だからスタイルに近づくとかなんとか考えているときに、声をつくるとかいうことも、あの頃のエネルギーを、あぁ、だめだな、やっぱり。だんだんそっちの方に行っちゃうな。

山下: 日本の映画は観てるんですか?

大滝: 日本の映画は、最近のは観ないけど、昔のもんは、どうして小林旭と宍戸錠のをみんな観てくれないかな、いまはやってないけどね。錠と旭の友情ってのは好きですよ、僕は。どうみても敵対してるんだけど、どことなく、ついつい関係なく助けてしまうってのが、表面上敵対するというね、西部劇のパターンによくありますけど。

山下: 大滝さんの青春ですよ、それは。

大滝: は?

山下: 大滝さんの青春なんですよ。

大滝: 青春が違うの、君たちと?

山下: 僕らはやっぱりあれですもん、大島渚ですもん、世代が。

大滝: あー、儀式?

山下: うん、「東京戦争」とか「少年」とかね。

大滝: 「青春残酷物語」。

山下: そうそうそう。それじゃなかったら、やれ、「エロス+虐殺」じゃ、「無情」じゃ、暗いのばっかり。

大滝: 暗いね、あぁ、そうなのか。

山下: 思春期でしょ、やっぱり思春期の映画じゃない?で、ニューシネマが華やかなりし頃だから、「イージー・ライダー」とはいわないけど、「バニシング・ポイント」とか、「真夜中のカーボーイ」とかね。

大滝: なんか敵に向かいに行くときも、カッコ付けて行くのよ、旭とか錠のってのは、で、別に行くとも何ともいわないで行くんだね。ヤクザ映画あるでしょう、行く前に顔をぴくぴくさせたりして、俺はこれから行くぞとか、ああいうの観てゲラゲラ笑ってたね、俺。

山下: いくつぐらいのときなの?

大滝: 二十歳ぐらい、旭と錠が好きだったのは小学生だよ、5年、6年とか。あと中学とかね。

山下: 僕小学校のときはジョン・ウェインだもん、やっぱり、時代が。

大滝: ジョン・ウェインね。

山下: この年になって、やっぱり大滝さんが小林旭、宍戸錠っていうように、ジョン・ウェインだもん、なってきちゃってね。

大滝: 西部劇いいと思うんだけど、どうして西部劇ってこのごろみられないかね?

山下: やっぱり、だから日活のあれと同じじゃないの。

大滝: 同じだね。

山下: ああいうのは、低級なんだよ、きっと。

大滝: あの種の友情は低級なのか、じゃあ?

山下: 僕は、あのリオ・ブラボーの、

大滝: 好きだねぇ、あの辺の。

山下: 酔いどれのあれが、だんだん立ち直っていくって、あんなの好きなんだけどね。

大滝: あれ、いいけどね。

山下: 若造のさ、

大滝: リッキー・ネルソン。

山下: リッキ・ネルソンが、すごい若造然として、ジョン・ウェインが絶対に今のロバート・デニーロみたいなもんでさ、何者にも負けない不屈の男っていうか、そういうね。

大滝: あの図式はいいと思うけどな。やっぱり、時事放談なんだな。

山下: なんか1曲かけましょうかね。あっそうだ、ジョニー・ティロットソンいきましょう。ジョニー・ティロットソンで、今日はベストを持ってきましてですね、大滝さんに、

大滝: これ、不思議なのは、知らない人が聴いて、声を聴くと、みんないい男だなぁと思うんだろうけどね、きっと。不思議だね、でもね。いい男が出す声がきまってるって、誰が決めたんだろうね。

山下: わるーございましたね。社会が決めることで、私たちは関係ございません。ジョニー・ティロットソンの4曲目の、渋い曲を選びましたね、またね、42位までしかあがってませんよ、この曲。

大滝: 好きなんだよ、そういうのって。

山下: ホワイ・ドゥ・アイ・ラブ・ユー・ソー

 曲: ジョニー・ティロットソン/WHY DO I LOVE YOU SO ?

山下: ジョニー・ティロットソンでホワイ・ドゥ・アイ・ラブ・ユー・ソー。声についての談義がありましたがね。

大滝: 例えばさ、日本の、日本だけじゃないかね、顔と声が違うのは詐欺だとかいうのは、日本だけじゃない?そういうばかげた質問を平気で言う人たちって。

山下: こだわってますね。

大滝: それはなんかさ、文化のあるところが崩壊しつつある証拠だと思うな。

山下: 言ってる人は、それほどそういうことが本質的に気になってるかっともいえないんだよね。言ってる人が、それだったら、レコード買ってくれてさ、レコード買ってくれるというのが、今のレコードの文化ってのが、高揚する一つの手段なんでしょ。それが、その人が誠実にレコードのA面の最初からB面の後ろまで聴いて、やってくれるかっていうのは疑問だな。そうやって、つまんないことを言ってるのが、一番関係ないところにいる気がしてるんだけど。

大滝: なるほどね、まぁ、少数の人だからね、気にするなって言われて、気にしては全然いない割には、今とりあげたね。なんかでも、この頃いわゆるクルーナーっていわれる、こう、

山下: やさ男の、アイビーカットの、

大滝: 清らかなこういう声が、いい顔をしてたんだろうな、たまたま。

山下: そうでしょうね。

大滝: 逆も真ならずっていうとこだ、ざまあみろ。何なんだ、よくわかんないな。

山下: 何を言いたい?

大滝: 何を言いたいんだ、俺は一体。

山下: 大滝さんは、それで次のLPどうするんです?

大滝: えっ?

山下: 次のLPどうするんです?

大滝: いやー、これはもうね、ほんとになんにもないね。どうしたらいいと思う?

山下: どうしたらいいって?

大滝: そういうところにぶつかるといつも山下君の意見を、よく。

山下: 同じように、やりゃぁいいじゃないですか、ずっと。だって、あれ他にいないんだもん。

大滝: そうかね?

山下: 替えが効かないものっていいんですよ。

大滝: うーん、1着しかない服みたいなもんかね。

山下: そうですよ。

大滝: 擦り切れちゃうよ。

山下: シャネルの5番は、シャネルの5番しかないんだから、なんか例悪いけど。

大滝: 腐っても鯛というのがね、これが。

山下: よくあるでしょう、地方の、石川県あたりに行くと、塗り物があってさ、昔は200軒からの塗り物屋があったのが、今は1軒になって、孤軍奮闘してる、それでも30年頑張ると、盛りかえしてくるからね、きっと。

大滝: そうだね。

山下: それが人間国宝とかいわれるという、変な世の中だね。

大滝: 人間国宝?なんだそれは。すげーな、そりゃぁすごいな、でもその名前。

山下: 無形文化財とか。

大滝: それはなんかでも、あれだね。山下君的に山下君のような強い精神力を持った人はやれると思うし。

山下: 大滝さん、やってんじゃん、だって。

大滝: 精神力強くないもん。

山下: よくいうよ。

大滝: いや、ほんとに。

山下: どこの世の中に、あんなやり方してやろうと思う人間いないよ。

大滝: 何が?

山下: 普通、だってあれだよ。抵抗、反発をかいくぐってやってきたじゃない。

大滝: いやー、そんなことないよ。ただなんか、間抜けなことばっかりやってきたみたいな感じがするけどね。

山下: 大滝さんやっぱり、レコーディング始めるというと、ミュージシャンが空になるからね。インペグ屋(?)が泣くという。

大滝: あれはねぇ、ああいうサウンドつくりたい、まぁ、ミュージシャンはね、日本のミュージシャンというのは、例えば僕らがどこに出たとか聞かないから。だからみんなに言おうと思うんだけど、ああいうサウンドをつくりたいがためだけに、ああいうふうにやってんじゃないの。つまり、あの人たちはスタジオでなれてるわけ、同業者を4人ならべると、緊張するんだよ。

山下: なるほどね。

大滝: これはね、ただただスタジオを活性化するためだけの手段なのよ。しょうがないんだよ。だから、同じことやっちゃううんだ、だって、いろんなことをやらす必要ないもの。あれはだから、結局最終的には、4人なんだ。ドラムとベースとギターとピアノの音しかとってないんだよ、12人いても。

山下: あれは、例えばキーボードだったら、なんていうの、いわゆる俗に白玉ってあるでしょ、コードを弾くというさ。フレーズとかは全然弾かせないの?

大滝: あんまりないんだよね、時々だけ。あとは、そういうのはダビングでやるから。

山下: 今のはフレーズが多いからね、今の音楽ってのはね。マルチトラックになってからさ、一発録じゃなくなったでしょ、4人なり、5人なり人間が来て、ドラムとベースとキーボードとギター2人とか、来てやるから、やっぱり人間の性として、そこで完成させちゃおうとするでしょ。

大滝: なるほど。

山下: そうすると、キーボードなんかでも、コードが書いてあって、メロディーが自分で歌ってやると、必ず合いの手入れて弾いたり、ほんとは、この後にブラスが入って、弦が入って、コーラスがこういうフレーズやりたいんだっていうけど、そこにキーボードがきたって困るわけ、そこで弾かれると。

大滝: やかましいんだよね、そこで弾かれると。

山下: だからなんにもやんないで、4つでジャンジャンってやってくれって言うと、ふてくされるわけよ。

大滝: 1人の時でしょ?それはね、4人でやればいいの。でね、要するに、違うことやる楽しみもあるけど、同時にやる楽しみもあるんだという、その両方あって、初めて音楽ということを体言するんだよ。だから、セッション終わるとキーボードの連中は、腕をふって前に出てくるわけ、疲れたーって、必ずでてくるわけね。疲れなければいけない。

山下: いえるね。腕が痛くなったとかね、そういうのがないとダメなんだよね。

大滝: そうそう、腱鞘炎になったっていうんで、よおし、じゃあ保険掛けてやるからってね、そんな事言った。入り口に保険のあれ置いとくから、大丈夫だって、みんなだから、はいってくるときはね、ミュージシャンはみんな生命保険に入る。嘘だよ、当たり前だね。

山下: 大滝さんと僕って両極端なんだよね。

大滝: 何が?

山下: 2人ともコンピュータを使わないでしょ。

大滝: ダビングのときだけだけどね。

山下: 要するにだから、コンピュータのリズムとかさ。

大滝: 基本のリズムで、人間がやんないのは、いやだね。

山下: でしょ。で、大滝さんは一度に10何人いくじゃない、僕は今ドラムとベースとボックス3人だけでやるの、はじめから。それで、1人呼んで、2人呼んで、最終的に、例えばキーボードだったら、3人分とか4人分とかやるんだ。

大滝: 圓生さんみたいなね、スタジオ落語とかわりに好きな方のタイプなんだよね、あの人は、よく知ってるんだよ、俺。僕は観客がいないと、要するに、

山下: それもわかるけどね。

大滝: 観客がいた落語でないと、今一つだめなんだ。

山下: 僕にとって落語って、観客の反応はどうでもいいの。笑っても、笑わなくても、その人がやってることの方が全然重要だから。

大滝: そうだよね。

山下: だから、芝居とか映画とか観てても、家で、ビデオで映画とか観ても、全然抵抗ないの。画面小さいのとかは別にして。かえって、映画館行って、ギャグの後笑うとか、あんまり好きじゃないですね。

大滝: 人の反応が邪魔をするというやつね。

山下: だから、一番嫌なのは、友達と2人で行って、ポップコーン食って、コーラ飲みながらっていうのはだめなんですよね。

大滝: 映画は1人で行くもんですよ。例え、親類でも、誰でも、絶対1人で行かなきゃだめです。

山下: 特に、最近の寄席は、何かこう変な具合になってるから、全然違うんだよね、いらいらするときがあるの。末広亭(?)とか行ったら。

大滝: 行くことある?

山下: 時々ね、落語はまだそうじゃないけど、漫才なんかだとね。だから、言っちゃ悪いけど、笑っていいともとか、どうしてあそこで笑うのかってすごい思うよ、俺。

大滝: 笑いの会とかいう人もいるんだよね、笑の会とかいうね。

山下: あっ、そう?そんなのがあるんだ。

大滝: だって、黛俊郎さんが1回やってたんだよ、クラッシックというかなんか、笑の会の人をいれて、それでコミカルソングじゃないや、面白いような音楽をやって、笑の会の人たちがずっと笑うわけ、なんで笑うのか、みんなわからないのだけど、その人たちがわぁーっと笑うわけ。ひどいことするけどね、でも面白かったけどね。だから、その時につられて笑った人たちは、非常に薄ら寒い思いをして、会場を出たと思うんだけど。

山下: 一種の大衆煽動なんだよね、それは。

大滝: なかなかにこれは、面白かったですな。

山下: あぁ、そうか、やっぱりそういうの、はいってんだろうね。

大滝: そりゃぁ、いますよ。

山下: そうしないと、あんな一斉に笑えるわけないもんね。

大滝: まぁ、それと、みんな気持ちを同じくしているからね、前にも言ってたけどさ、最後になるとみんな立って、わーっとやるもんだというようなのが、コンサートの常例になってっていってたけど、あそこの中へ入れば、なんかやったら、わーっとうけなければいけないと、全員が使命感に燃えてるというか、入る前から一人一人が、そういう考えがあるみたいだね。かといって、家に帰ってわかったわけじゃないんだよ、あれ。そりゃぁ、わからないよね、面白くないんだもの。

山下: でしょ。

大滝: そうだよ。

山下: でね、あるバンドのコンサートなんか行くと、ある曲の、そのなんとかっていうとこで、みんな立ち上がって、どうしたこうしたってのがあって、それまでは絶対立たないわけよ。それがかかって、ドンってきたときに、ドーンとみんなで、これ新興宗教だね、一種の。

大滝: 元々日本の盆踊りとか、ああいうもんですよ。

山下: そうなのかな?

大滝: さぁ、みなさんごいっしょにって言わなきゃやらないじゃん。ほら、型なんだよ。

山下: ここんとこ、テレビでコント結構見るけど、全然笑えないよ、面白くもなんともないしさ。それでも、ワッハッハって笑っている人もいるし。あれは、テレビで見ているから我慢できるけど、それが寄席で同じことがあったら、すごく嫌なんだよね。別に、自分が超えてるとか超えてないとか、そんなことじゃなくて。

大滝: ないんだけど、でも笑わないよ。外国映画観に行ってると、笑わないね、みんな。ゴースト・バスターズだって、みんな笑ってなかったよ、うけてるみたいだけど。みんな楽しいとか、わぁーとか言ってるみたいだけど、笑ってなかったよ。だって、そんなにわかるようなもんじゃないんだよ、俺もわかんなかったけど。なんだ、何を言ってるんだろうか。

山下: やはり、日本映画が一番いいんだよね。

大滝: 言葉がよくわかるということは、実に包まれ方がいいね、母性的で。

山下: 所詮、字幕の世界ってのは、絶対にわからないときってあるね。

大滝: あれはね、分離されてるもん、だって。自我が分離されてるからって、なんだかよくわからないけど、失礼しました。

山下: やっぱ、映画ってのは、習慣とかに密着しているから、音楽もそうなんだけど、ボブ・ディランは最終的には絶対理解できないってのと同じで。

大滝: そうそうそう、あれですよ。わかったといっても、わかったような気になったか、させられたんだな。わかるはずないよ。そっからスタートしなきゃ、だって。だから、なかなかわかりませんって、当たり前なんだ。わからないとっから、スタートしてるんだからね。

山下: もうね、時間がきたようですよ。

大滝: もう、時間がきた?

山下: 来週もやりましょうね、来週も。去年だって3週やったんですから、今年もやっても、いいじゃありませんか。今日の最後はカスケーズやりましょうね、カスケーズ。

大滝: いい声なんだ、この人も。

(ここで、番組のテーマ曲が流れる)

山下: ひどい、テーマがでてしまった。もう早くやめろとそそのかされています。

大滝: いやいや。

山下: ひどい、今日は4曲、あっ、5曲しかかからなかった。

大滝: よくかかりましたね。

山下: あっ、そうですか。来週の頭はカスケーズのフォー・ユア・スイート・ラブ、ひどい番組だね、ほんとに。

大滝: いいじゃないですか。続きがあるということは、非常にいいことです。

山下: というわけで、1月のひと月は、大滝さんをゲストにお迎えしまして、新春放談、来週はパート3でございます。ほんと、大丈夫なのかな。

大滝: すみません。

山下: それでは来週のこの時間まで、みなさんごきげんよう、おやすみなさい。

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