logo.gif

1985.1.24 サウンド・ストリート

山下: みなさんこんばんは、ご機嫌いかがでしょうか?山下達郎です。1月の最後じゃないんだな、まだ31日がありますな、西向く侍、ありますが、今週は3週目でございまして、新春、もう新春じゃありませんね、成人の日も過ぎましたしね。1月の第4週になりましたサウンド・ストリートでございまして、新春放談第3弾、今夜もまた大滝詠一さんをゲストにお迎えしまして、先週のおしまいは、段々グショグショになってきましたが、今週はもうちょっと、まともな話ができるかどうかわかりません。のでよろしく、志村けんみたいになってきましたが、えー、先週のおしまいにかけそこなった曲からいきたいと思います。カスケーズ、恋の雨音、フォー・ユア・スウィート・ラブ。

 曲:

カスケーズ/FOR YOUR SWEET LOVE

大滝: ねぇ。

山下: 声がひとつはいった。カスケーズの、これは4曲目ですかね?RCへ移籍して、やったやつで、バリー・デ・ボードンがプロデュースしたのかな、これは?わかりませんが。

大滝: バリー・デ・ボードンはまだやってたね。

山下: これ、バリー・デ・ボードンはカスケーズのメンバーで、来日したことがあるでしょう?

大滝: あー、そう?へぇー。

山下: なんか末期に。

大滝: あのー、なんだっけな。なんていう歌だっけ?恋の雨音じゃなくて、一番流行ったのなんていうの?

山下: 悲しき雨音。

大滝: 悲しき雨音、日本だけだって、印税がくるのが。

山下: へぇー。

大滝: まだお得意さんなんだって。

山下: 日本人好みの曲なんでしょうね、あれはね。

大滝: これは、一番なんかあるね、シンプルだしね。万葉集の雰囲気がするんだよ、俺。

山下: どこが万葉集なの?

大滝: どこがっていわれても、ちょっとよくわからないんだけどね。なんか、感じがするな。朗々とした感じがね。

山下: ドラムのおかずのね「タカタッタ」

大滝: あれがね。

山下: 誰もやってくれないんですよね、最近。

大滝: もうだって、あれをやる場合には、僕はだってもうね、ただひとりのドラマーしかいない、日本に。

山下: 誰?

大滝: 山下達郎。

山下: あー、そうか。今度僕にドラム叩かしてよ。

大滝: いや、今度ドラムやるから、来てよ。

山下: おかずだったらば。

大滝: あればっかり。

山下: おかずで走るってのが、ちょっとね。

大滝: 難点ですか?

山下: 難点っていうか。今マルチがありますから、ベードラだけ先に入れて。

大滝: 足が疲れるの?

山下: そうそう。

大滝: なにを、そいうことやっちゃあだめだよ。

山下: 坂本、自分でドラムやってるレコードあるでしょう。

大滝: へぇー、自分でやってるの?

山下: あるんですよ。あのね、ター坊の黒のクレールとかね、いろいろあるんだけど、自分のレコードでも結構ドラム叩いてるんだけど、それベードラ先にやるんだって。

大滝: そんな馬鹿な。昔のドラム叩けない人が、強引につくったドラムみたいだな。スティービー・ワンダーはちゃんと全部自分で叩いてるぞ。

山下: だって、うまいもん。

大滝: なんだよ、だめだよ。

山下: 心得があるんだもん、あの人。

大滝: スタジオミュージシャンやってたんだよね、あれでな、ちゃんと。

山下: リズム&ブルース1曲かけてみましょうかね。

大滝: あー、いいね。

山下: 今はね、リズム&ブルースというとですね、最近モータウンがブームだといわれてますが、といわれて何年か経ってるでしょ。

大滝: 何年か経った?

山下: 経ったでしょ。

大滝: きっかけは何かね、あれは?

山下: なんでしょうね。

大滝: ホール&オーツとか、なんかああいうところかね。

山下: あの頃でしょうね。

大滝: ユー・キャント・ハリー・ラブをカバーした人もいたね。

山下: フィル・コリンズでしょう。

大滝: あぁ、フィル・ウォークスかと思っちゃったね。フィル・スペクターじゃないのね。

山下: そういうこといってるから、年寄りだっていわれるの。

大滝: 失礼しました。

山下: あとね、ジャムのポール・ウェラーって人がいて、その人は人間フリークなんだよね。フィート・ウェーブとかジャムでもやってたんだけど、それで、スタイル・カウンシルというバンドをつくって、それで、なんかちょっとモータウンっぽくやってるんだけど。でね、僕はね、気が付いたんですよ。今やモータウンという言葉は、われわれが認知しているモータウン、メンフィス、ああいうものじゃないんですよね。60年代のリズム&ブルースのことを、今はモータウンというんですよ、ちまたでは。

大滝: あらっ、オーティス・レディングはどこへいくの?

山下: どこいくのかわかんない。

大滝: スタックス・ウォルトは?

山下: この間ね、ラッツ&スターがテレビ出てたの。あるアイドル歌手がいた、男の。

大滝: うん。

山下: 君たちってさ、リズム&ブルースなんでしょう、ああいうモータウンみたいな?って、僕はそれで悟ったの。

大滝: うーん、社会学。

山下: 僕らのいってるカテゴライズされた、モータウンのデトロイトで生まれて、デトロイトを本拠にやって、こっちにはメンフィスがあって、ニューヨーク、ニュージャージーがあって、シカゴもちゃんとカーティスとかインプレッションズがあって、そういうような地域性に基づいてカテゴライズされたひとつの、定位のモータウンじゃないの、もう。モータウンというと「ドンチット、ドンチット、ストストドン」といきゃあ、まずモータウンだっていうところから始まって、もうそれがとっこっちゃって、今やもう60年代風リズム&ブルースはモータウンなの。

大滝: モータウンいいけどさ、なんであの「トンツト、トンツト、トトントトン」ユー・キャント・ハリー・ラブのリズムだけがモータウンになっちゃったの?

山下: だから「ドンツトドン、ダン」がフィル・スペクターだったというのと同じでしょう。

大滝: 勘弁して欲しいな、あれだけはね。いいんだけど。

山下: 全部カスタネット入るじゃありませんか、ああいう場合には。

大滝: カスタネット入れるらしいね。

山下: 私は、あれは大滝さんのあれだよ、影響だよ。

大滝: いいじゃない、あっ、そうか。なんだよ「ドンストドン」とやって、カスタネット入れると、フィル・スペクターになるの?

山下: うん、なりますね。スペクター風にっつうと、みんなそうですからね。

大滝: 風に。あー、もう料理だね、ほとんど。

山下: そうですね。フランス料理っていう定義がないですもんね。あるんですけどね、ほんとは。

大滝: でもほら、あれがあるじゃないですか、トンカツが。あれが日本の文化でしょう。フランス人が食べてもおいしいトンカツ。

山下: カステラ。

大滝: ね。なんか、ああいうところのように思うんですけどね、わからないだろうね、でも。

山下: そこまでデフォルメされてませんね、日本では。

大滝: 何をかけるんでしたかね?

山下: そうです、そうです。リズム&ブルースで、ジェシー・ヒルで、これもリズム&ブルース。

大滝: これがリズム&ブルースの一番、リズム&ブルースじゃないですか。

山下: リズム&ブルースですよ、そうです。ジェシー・ヒル、1960年、大滝さんの大好きなニュー・オリンズ・リズム&ブルース。

大滝: 好きだね。

山下: ウー・プー・パー・ドゥ・パート1。

 曲:

ジェシー・ヒル/ウー・プー・パー・ドゥ・パート1

山下: ジェシー・ヒルの1960年の大ヒットでございまして、ウー・プー・パー・ドゥでございましたが、他にもレイダースとかたくさん、日本でもいろんな人がやっておりました。イントロが纏の呼び声に似てるという。ここから大滝さんは、「呆阿怒哀声音頭」を考え付いたというすごい関連性もありますが。

大滝: でもあの、呼べば応える山のこだまという単語もありますけどね、これが、

山下: 人のこと年寄りだっていえないよ。

大滝: やっぱり、コミュニケーションの基本のような気がしたのね。ヨォー、ヨォー、あのね、ヨォーっていうのは面白いの。このイントロを、例えば録音して聴いてた人はもう一度聴いてほしいんだけどね、あそこ外人の場合はね、ヨォーっていうと、ヨォーになるんだけど、日本の場合は、ヨォーっていうと、イヨォーって「イ」が入るの。これが日本語の特徴だね。

山下: どこまでほんとかわからないところが面白いとこですがね。盤がなにしろ古いものですから、盤質の方は勘弁いただきたいと思います。毎度断っておりますが、盤質がよかろうと悪かろうと、実をいうとあまりたいして気にしておりませんで、音でなくて、内容なんでございます。

大滝: このレコードも、新品のときはいい音してたんですよ。

山下: うまい。

大滝: えっ?

山下: うまい。

大滝: なんで?そうだよ、最初からこうチリチリしたんじゃなくて、ほら、昔の映画なんて観てたら、ザーってなんか雨の降ったような音で、最初から雨が降ってたわけじゃない。仏像だって、最初からあんなに汚い色してたんじゃないよ。みんな最初はきれいだったんだからね。

山下: なんで仏像は、なんか剥げてると、なんか骨董品でいいっていわれるのに、レコードはチリチリやると、こんな音の悪いレコードFMでかけるなとかいわれるんだろうね?

大滝: いわれる?

山下: いわれますよ。

大滝: 耳のいい人が増えたってことなんだろうね。

山下: でも、これしかないんだもん。

大滝: そっ、これしかない場合はこうなる。美空ひばりの復刻盤なんか見るとね、レコード会社にないレコードがあるわけ。そうするとファンの人がもってて、それを持って来て。それを、どういうのかな、録音をして、レコードになってるっていうのは多いわけ。そうすると、いい録音でも、多分あれ、CDかなんかで出したら、一番冗談になると思うんだけど、ザァーっていったまんまの音なんだね。

山下: なるほどね。

大滝: このへんが面白い。

山下: なかなかね。

大滝: 深いね、これがね。

山下: もうCDの時代ですからね。

大滝: CDは出してるよね?

山下: 出してます。

大滝: どうです、CDについては?

山下: うーん、僕は嫌いじゃないですけどね。内周は特にいいでしょう、あのアナログより。

大滝: うん。

山下: 内周はほら、どっちにしろレベル落ちてくるし。

大滝: 内周というか、外周。内側からいくんだからね、あれ。

山下: だから、アナログレコードの内周っていうんですか?

大滝: そうだね。

山下: それは、段々レベルは入れられないし、声は歪んでくるしさ、そういうのがぜんぜんないからね。

大滝: うん。

山下: でもやっぱり、A面の1曲目とか、B面の1曲目は、めいっぱいレベル入れて切ったときはさ、あの突進感っていうかさ、突撃感っていうか、そういうのはないですね、やっぱりCDには。

大滝: SL趣味だね。ジェット時代に置いていかれるよ、そんなことはないか。

山下: だってSPとか聴くといい音するんだもん。

大滝: いいんだよ、SPのほんとのいいってのを聴くとね、もうダメです。

山下: 古いといわれようが、何しようが。

大滝: いや、いいんです。よく、例えば、最近の音楽雑誌を見てると、みんなで新しがりましょうって、みんな書いてるけど、なんか新しい、古いという、ふたつに源平にわけたがるところがどうもあるのね。

山下: 源平!紅白歌合戦ですな。

大滝: いいんじゃないかっていう感じがいつもあってね。新しくやろうとしている人、でも、なんで昔のものを評価する人が、古いことをやろうとしているのとも違うんじゃないですかね。いかがです、これは?

山下: そうですね。大滝さん、自分で番組やってるときにさ、盤質の悪いレコードとかどうやってたの?

大滝: いやー、だって平気でかけてたよ。

山下: あっ、平気でかけてた。

大滝: とあるね、電波のあまり強くないところでやってたんでね。

山下: でも、大滝さんのレコード全部コンディションいいからね、あの例の10円で買ったやつが、多いからさ。

大滝: そうだね。割合いいコンディションだね。

山下: いいよね。

大滝: うん。

山下: ものすごく文句いわれたことがあるわけ、1回。全曲さ、45分、全部モノラルでかけて、サーフィン・ホット・ロッドやったときに、ほんと盤質悪いんだよね、それでそれしかないからさ。みんなインパクトじゃ、なんじゃいうドアじゃさ、マイナーレーベルばっかりだから、入手しようにもそれしか来ないわけでしょ。オムニバスに入ってれば、なるべくそっちをかけてるんだけどさ、「FMでモノラルばっかりかけやがって」つって、「あんな音の悪いレコードかけるな」とか、他のあればかけますけど。

大滝: でも、耳のいい人で、耳のいい人ってさ、高周波を聞き分けられるんだよ。そうすると、スクラッチのチリチリというのだけが耳障りになってって、でもあまり耳のよくない人ってのは、上の方聞こえないから、そうすると真ん中だけ聞こえて、歌が聞こえるということがあるかもしれないね。

山下: どこまでほんとかわからないね。

大滝: 救いにならないね、これがほんとに。

山下: だから、ほんとにそういう古いレコードってのはさ、例えばほら、

大滝: ねえ、どうしてだと思います。どうしてこんなに古いことがいけないことに、いつからなったんですかね?

山下: いやでもね、まんざら、古いことがいけないとは思えないんですよ、僕には。

大滝: いや、僕らは古いことがいけないとか全然思ってないですけどね、僕は。

山下: だけど、実際に、ものすごいナウいといわれることがね、

大滝: あれだけ古いもんもないですよ、いっときますけど。

山下: でも、すごく古いと思うよ、今。

大滝: 実に。

山下: こんな古い時代ないんじゃない?

大滝: まったくそのとおり。

山下: 66,7年なんか、あんな新しい時代なかったんだから。

大滝: まあ、あれが新しいっていえば、ほんとに新しかったね。

山下: でしょう。でも、やることなすこと、実際に新しかったからさ、いい悪いは別にして、サージェント・ペパーとかペット・サウンズとかさ、ああいうとこいく地平ってのが、ほんとに新しかった。

大滝: 新しかったね。

山下: 今まで、前人未踏のあれでしょ?今、そういうのないからね。

大滝: 70年いって、ぶちあたっちゃったけどね、あれも。

山下: そういうのがないでしょ、今。

大滝: そうだね。

山下: あんまり意味のない話を延々と。

大滝: 失礼しました。

山下: もう1曲いきましょう。

大滝: もう1曲いってみましょう。

山下: ジミー・ジョーンズ。

大滝: ジミー・ジョーンズね。

山下: これはあれですよ、最近ジェームス・テーラーで、数年前、

大滝: 最近!

山下: 最近じゃないですかね?

大滝: 人のこともいえないでしょう。ハンディー・マンをジェームス・テーラーがカバーしたのは、もう6年くらい前になりますよ。

山下: 6年前は最近なんですよ、僕にとっては。

大滝: やっぱりね。

山下: そうでしょう?だいたいね、大滝さんが僕にいうことってのは、だいたい自分の潜在意識でね、そうだなって思ってることを、人に託すという悪い癖があるんですよ。

大滝: いやいやいや、母性原理の社会でね、お先にどうぞといって、まず相手からね。

山下: そういう歌をつくりましたね。

大滝: そうそうそう、よく知ってるね。

山下: コーラスやりましたよ。

大滝: 相手に自分の意見をいっていただくということがあるんですよ。ありがとうございました、ほんとに、代弁していただいて。

山下: 話は違いますけど、シュガー・ベイブのソングスがCDになるんですか?

大滝: ソングスをね、CDで出します。これをね、めいっぱいスクラッチノイズ入れて。

山下: なにをいってる。

大滝: そんなことはないな。やっぱりね、シュガー・ベイブが、なんとその、ソングスっていうレコードを出して、今年で10年目になるんです。

山下: 74年ですもんね、75年か。

大滝: 75年です。まあ、10年一昔と申しますけどもね、

山下: そんなに経つんですか?

大滝: 10年なります。それをまあね、どうなんだろうかな?今ちょうど、もう一度しっかり聴いてもらいたいというアルバムの一番にあげたいのは、ソングスですよ、自慢じゃないけど。代わりにいったんだ、今。自慢じゃないけどね。

山下: 私はそんなこと。

大滝: あー、そうか、なんなの?だっていいアルバムじゃないですか。ちょうど10年目が節目ということもね、で、20年たつと僕がどうなってるかわからないんで、今しか、ほんとに。12年記念とかどうしていわないかというくらいですけどもね。だから10年ちょうどいいところなので、今しかチャンスがないという分も含めて、ひとつソングスをね。

山下: いつ出るんですか、それ?

大滝: それはね、だいたい今年の、今年が終わらないうちに、上半期のうちには必ず出します。

山下: そうすると、ちょうど10年だ。あれ4月発売だったですかね、確かね。

大滝: 4月の発売だったね。

山下: 詳しいことは覚えてませんが。

大滝: いやいや、なかなかに。これはね、ほんとに聴いてないんだったら聴いてください。

山下: 聴きます。

大滝: いいアルバムですから。なんなんだよ、君もまた人にいわせて。

山下: 自画自賛。

大滝: そんなことないか。

山下: そんなこと!

大滝: だけど、そんなに悪いなんて思ってないじゃないですか。

山下: いやだけど、声が若いからね、恥ずかしい。

大滝: あたりまえでしょう。どうしてそんな最初から小浜利得みたいな声出して産まれてくる人がいるんです?

山下: 「やっぱりね!これはね!」(ここ真似しています)

大滝: そういう人はいないでしょう。

山下: そりゃそうですけどね。

大滝: いいんですよ。

山下: 大滝さん、自分で声変わったと思う?

大滝: いや、全然思わない。

山下: 大滝さん、あんまり声変わってないね。

大滝: そう、やっぱり変わってない?あー、よかったな。変わってない?

山下: 昔より若くなったよ、声が。

大滝: よくいわれるんだよね。

山下: ロング・バケーション聴いたらさ、なんか全然、すごい、えらい若いさ、青年がさ、

大滝: なんとなんと。

山下: 歌ってるような感じだったよ。

大滝: だって、その前までは仮の姿だもん。

山下: 世を忍ぶ仮の姿。

大滝: そうそう。

山下: ある時は若い歌手、

大滝: なんだよ、それは!ある時は若い歌手っていうのは!

山下: というわけで、

大滝: シュガー・ベイブ聴きましょうよ、シュガー・ベイブ。

山下: いいんですよ、ハンディ・マン先いきましょうよ、僕好きなんですから。せっかく持って来たんですから。

大滝: そうかそうか。

山下: というわけで、その、

大滝: ハンディー・マンも10年目かね?そんなことはないね。

山下: これもいろんな人がカバーやっててまして、デル・シャノンとか、あとジェームス・テーラーとか、それのオリジナルでございます。グッド・タイミングとかミスター・ベースマンとか、有名な曲をたくさん持っておりますが、ジミー・ジョーンズ。

 曲:

ジミー・ジョーンズ/HANDY MAN

山下: というわけで、ハンディー・マンのオリジナルヒットでございまして、ジミー・ジョーンズでございました。大滝さん、3週間も来てくれて、あんまり話を聞いてないですが、今年はなんですか、じゃあレコードでないんですか?

大滝: 自分の?

山下: えぇ。

大滝: いや、そんなことないですよ。なんかだから、あの、

山下: 問い詰めたりして。

大滝: いいのがあれば。

山下: いいのがあればって、なんですか、それは?

大滝: 見繕って。

山下: スーパーマーケットの例えじゃないんですよ、それは。

大滝: なんかそんな感じになってきちゃったね。あの、ほんとに、

山下: プロデュースとかしないの?

大滝: やんない。僕はね、休む時はね、なんか徹底して休んでしまうんですね。

山下: でも、全然やってない時なんてなかったじゃない。

大滝: そんなことないですよ。

山下: そお?

大滝: 78年末から9年、79年というのは一切やんなかったですよ。

山下: あぁ、ほんと?

大滝: うん。まるで。あの時期に、今はよく似てるわ。

山下: でも79年、レコーディングしてたでしょ。

大滝: 80年から。

山下: 80年だったかな?

大滝: 80年の3月。

山下: ゆうちょの、郵便貯金の、あの。あれ、暮れか?

大滝: あれ80年の12月。そうそう、ほらまた、年代のことで、もう1回繰り返して、僕はいつもいいたいんだけど、みんな覚えてるじゃない?ぼくらってのは、何年に何やったかとか。

山下: ふん。

大滝: それで、よくさ「よく年号を、あわせて覚えてられますね」っていうけど、いいですかみなさん。どうせ、たかだか生きたって、50年か70年ですよ、自分の歴史が。

山下: うん。

大滝: 50の数字覚えるのが、そんなに苦痛ですかね、70の数字が?自分は、どうせ、たかだかそれしか生きないんですから、どこまでいったって。だったら、何年に何したかぐらい、たいしたことを使わなくても、その程度のことは覚えられますよ。

山下: でも、わかんない場合もあるんだよね、でもね。

大滝: は?

山下: わかんない時もある。

大滝: そら、そうだよ、そうだけどさ。何でも覚えろっていうあれじゃないよ。

山下: 話の腰を折っちゃあいけないですね。

大滝: その一番大事なとことか、ポイントとか、節目とかね。そうすると、いつもいうけども、自分はこうだったけども。そうすると、話をしているときに、相手側は何年ってのがわかってれば、自分はこうしてたなとっていう話ができると思うんだよね。昔の人ってさ、植木さんとか、話をしたとき、昔の人ってすぐ「あれは昭和何年だった」とか、みんないうよ。

山下: いうね。

大滝: どうしたんだろうね、途中か、僕らのあとの人は?なんかね、それが悪いみたいにいうんだよね。悪いのかな、やっぱり?

山下: あの、だから大滝さん得意のモラトリアムじゃないけど、寿命が50年から79年にまであがるから、多分、

大滝: たかだか20年じゃない。

山下: 多分ね、10代から20代はじめまでに、物事ケリつけないとだめだったじゃない、昔は。それが今は、30過ぎても大丈夫だなんて思ってるんだよ、きっと。

大滝: 思っちゃってるんだろうけど、どんな保証があって、

山下: いや、それはわかんないよ、僕には。

大滝: 自分にどんな保証があるのかと思ってるんだろうかね?疑問だね。

山下: 割とそのプログレッションというかね、スローテンポになってきてるんでしょ?

大滝: なるほどね。

山下: すごくそう感じる。今27でデビューしても、全然遅くないし、レコードでもね。

大滝: そうだ、だから僕のような考えが、今のみんなに迷惑がられてるっていうのがわかる。スタジオやってても「いいじゃん、明日なくてもいいじゃん、今日中、今日これで終わってもいいじゃん」っていっても、みんなに怒られるもんね。やっぱり、だからあんまりレコーディングはやらない方がいいね、俺。「いやー、明日は早いんですよ」なんていうから、「悪いなー」と思っちゃうもんね。俺、いやなんだよ、そういうのって。

山下: あぁ、そう?

大滝: うん。要するに、「どうせ、今日がこれで最後だっていう日が必ず来るんだからさ、いいじゃん、今日だって」って気楽についつい思っちゃうんだけどね、だめかね、これは?

山下: 俺は割とそうやって、やってるよ。

大滝: ん?

山下: だからそれが、例えば5人、人数が多くなればなるほど、スタッフにしてもミュージシャンにしても、人数が多くなればなるほど、その人の都合が、いろんな都合が入ってくるでしょ?だから、最小限でやれば、都合が最小限ですむから、融通きくじゃん。

大滝: そうだね、山下君のやりかたはそうなんだよ。逆なんだよね、いつもね。

山下: だからね、人と喧嘩できない人だから。喧嘩できないというか、気使っちゃう人だから、

大滝: 知ってる、知ってる。

山下: だめなんだよね。それだったら、要するに、例えばその、人に歌を歌わせるとか、ドラマーに演奏させるとか、できないのを無理矢理やらせる人もいるんだよね。で、そういうの、すごいできない性格だから、その人がやったら、どういう具合にやったらうまくいくかとかさ、そう考えると、5人よりも4人、4人よりも3人の方が楽でしょう。

大滝: なるほどね。

山下: そういうあれで、なっちゃうね。だから、よく14人もさ、バーっとならべて、俺とってもできないね、そんなこと。

大滝: そうかね?

山下: うん。

大滝: ふーん。

山下: 結構話は聞くけどさ。

大滝: 苦労はあるよ。

山下: でもね、あのー、去年の新春放談の、その、やっぱり3週間続けてやったときにね、あのあとすごかったの、反響のはがきが。

大滝: あぁ、そう?

山下: 望まれてるんですよ。あのとき、ほらまだ、「EACH TIME」出てなかったからさ。

大滝: あー。今年はなんにも出ないっていってもだめかね、これは。

山下: 怒られるよ、ほんとに。

大滝: 怒られるの、そうかな?どうなんだろう、でも。ハレー彗星なんてのはさ、だめか、だめか、これ。

山下: だって、ハレー彗星きたってさ、別にそれは綺麗だとか、天文学者は歓ぶけどさ、普通の人は別にその、月の代わりにハレー彗星が、ただあるだけでさ。だからといって、別に、自分の気持ちがどれだけ変わるかっつたら、全然違うよ。70何年に1回来てもらったって、、別にありがたみわかないよ。

大滝: まあハレー彗星だって、別に好きで70何年に1回来ようと思って来てるわけじゃないとは思うんだけどさ。

山下: 望まれてるんだからね。

大滝: そうかな?

山下: そうですよ。

大滝: まあ、なんとかね、面白いなと思えるのができたら、やろうかと思うんだけど。

山下: 普通は、浮世のしがらみがあってね、やっぱり。福生にいるとそういうのがないでしょうけどね。すごく外野からいろいろ話が聞こえてくるわけですよ。だから、大滝さん、放送とかやってない人だから、

大滝: やってない。

山下: 出ないでしょ?

大滝: 出ないことはないよ。

山下: そお?

大滝: 山下君とか、佐野君とか、もう杉君もみんな、井上鑑も、難波も、もうみんな番組持ってるじゃない。面白いじゃん、みんな、おのおの。

山下: よくいうよ。

大滝: 聴いてるよ。昔、だって俺しかやってなかったじゃない、その昔。75年に、ゴー・ゴー・ナイアガラ始めたときに。

山下: だって、全然客のこと考えてないんだもん。

大滝: そんなことないよ。だって、あー、そうかもしんないな。ステージやらないからさ、お客さんがいるもんなのか、いないもんか、よくわかんないだよ。

山下: いるんだって!ものすごいんだよ、それは。

大滝: いるんだろうけどさ。でも、車とかそういうところで、あのー、どういうのかな、ドライブしながらとか、うちで本読みながらとか、そいういうときに、いろんな人の音楽の中で、ひとつ聴かれてるものなわけだから、音さえなんとかマシにつくっとけば、別に。要するにその、無記名性というか、別に僕でなくてもいいじゃん。

山下: でもさ、それじゃあ、あれだよ。ゴー・ゴー・ナイアガラの設立趣旨に反するじゃありませんか。

大滝: ゴー・ゴー・ナイアガラはね、もう終わっちゃったの、78年に。あれは死なの。

山下: あっ、そう?小さい放送局で終わったの?

大滝: そうそうそう。

山下: あの段階で終わってる?

大滝: あの時代が生んだもんだと思ってる。あの頃の僕はもう死んだと思ってください。なんなんだ?

山下: 観すぎだよ、映画の。

大滝: なにが?亡霊だもん、だから。亡霊だからいっとくけど死なないよ。

山下: 愛染かつらじゃないんだよ、ほんとに。

大滝: なんなんだ、なんで愛染かつらなんだ?

山下: なに、シュガー・ベイブかけるの?

大滝: かけようよ。なにがいいですか?リクエストしてくださいよ。

山下: うーん、そうですね。

大滝: これはね、10年前の音だと。10年前の音ってね、10年というものはなんなのかっていうことをね。山下達郎の10年がなんだったのか。で、大滝詠一の10年がなんだったのかということをね、しみじみちょっと感じて欲しいんだな。

山下: じゃあ「雨は手のひらにいっぱい」いきましょうかね。

大滝: やったねぇ。

 曲:

Sugar Babe/雨は手のひらにいっぱい

山下: というわけで、シュガー・ベイブで、「雨は手のひらにいっぱい」でございました。

大滝: だからね、古いも新しいもなかりけりなんだよね。

山下: そうですか?はい。

大滝: 聴く人々の耳にあわねばということじゃないですか?

山下: でも、僕はね、今年で32になるんですよね、またジジ臭い話をするんですけど。

大滝: いや、32でどうしてそういうふうに!だめですよ、ふけたら、32は若いよ、いくらなんでも。俺だって、36は若いよ、ほんとに。

山下: いや、そうです。それはそうなんです。だからそれは、さっきの話じゃないけど、平均寿命伸びたから。

大滝: どしたんだろう、俺が一番いやなのは、二十歳くらいの人が「私も小さなときは」だって。小さいじゃねえか、もうとっくに二十歳だって。

山下: 二十歳はとっくにオバンだって。今二十歳はオバンだってね。

大滝: なんでー、どうしてそんな、

山下: ばかばかしいね。

大滝: 中学生かなんかが出てきてね、「私の小さい頃は」だって、小さいよ、まだ。

山下: でも、その精神的な寄りっていうの?極端な寄りっていうのは、すごくあるね。

大滝: なんかそうだよね。

山下: 高校入ったら、オバンになって、

大滝: じゃあ、どこいってもオバンだ、それ以上は。

山下: で、われわれの世代になると、まださ、ほんとは結局、それでね。まだ全然昔の32と比べたら、全然こう、なんか頭の回転がフレッシュでさ。

大滝: 全然若い。

山下: ねぇ。

大滝: うん。

山下: モラトリアムだけどさ。

大滝: 僕らもまだ若い。

山下: そういうあれは、すごいあるね。

大滝: 全然、大人とは程遠いね。

山下: うん。何が大人なのかも、ちょっとわかんないけど。

大滝: もちろん、そういうあれはあったとしてもね。なんとなく、そういうもんじゃないの?

山下: 僕はね、今年で、だからこのシュガー・ベイブが10年でしょう。

大滝: ほい。

山下: で、17,8の、洋楽聴きはじめたのが小学校6年なんですよ。で、17,8年目になるんですよ、今年。洋楽を聴きはじめてね。

大滝: うん。

山下: でね、この頃つくづく思うけど、なんで日本人はっていうか、われわれの世代は、この洋楽というか、ロックン・ロールね、アメリカのロックン・ロールと、イギリスの音楽ですよね、これが歌謡曲よりいいと思ったのか?

大滝: だからその前に、ハワイアンとウエスタンが、ものすごく大学で流行ったっていう時代がひとつ前にあって、その前にジャズが流行って、フランク・シナトラが好きで、フランク永井と、ペギー・リーが好きで、ペギー・葉山と。そういう時代があって、で、ある人にいわすと、「戦争前の方がもっと、アメリカのジャズそのものがいっぱい流れてた」っていってたね。それで戦争が終わって、東京ブギウギで服部さんが、日本のポップスのオリジナルみたいなものを、戦後華々しく始まったわけなんだけども。それの、ずーっと延長線上なんだろうね。多分だから、あの、話を妙に文化的にすれば、遣唐使だとか遣随使だとか、そういうふうな話のとこまでいくかもしれないけど、まあ、最近の戦後のところで限っていけば、ちょうど60年のところ、64年の東京オリンピックっていう、その国威発揚の、世界に日本ありということを、終戦後立ち直ったということをいいたい、そういう東京オリンピックっていうビッグ・イベントの前の雰囲気というんだろうかな、ワーっと盛り上がっちゃったんじゃないの?

山下: あのね、和製ロカビリーってのができて、ロックン・ロールに限っていえばよ、そのウエスタン、ジャズ、その前を除けば、ロックン・ロールに限っていえば、ロックン・ロールがどっと入ってきて、いわゆるビューヘーレ(?)じゃなんじゃあって、それで日劇のウエスタン・カーニバルの和製ロカビリーってのができたでしょ。

大滝: うん。

山下: 初めは全部カバーだったわけでしょ。それがだんだんオリジナルをつくるようになってさ、それの伏線があって、歌謡曲にいかずにいった人もいるのよね。

大滝: うん。

山下: その歌謡曲歌手で、それでやってる人もいるし、平尾昌章なんかそうでしょ。そういうのじゃなくて、大滝さんは僕より5つ上だけど、そのぐらいの人がさ、かまやつさんとか、そのまま洋楽の流れ汲んで、今度は日本語で同じ事をやろうとしはじめたでしょ。それが日本のロックになって、だんだんきて、75,6,7,8ぐらいはさ、そういうのがほんとにあったでしょ。

大滝: あったね。

山下: ねぇ。で、今くると、またそれがその、なんつうの、そうやってた人がみんな、そういう形がなくなってきて、元々主流だった日本の歌謡曲という傍系があるわけよね。例えば、御三家、新御三家、そういうのがあって、それのまた流れにだんだん、だんだん戻りつつあるような気がするわけ。それで、洋楽から走った、洋楽で日本語をやるっていう人は、オリジナリティーが見つけられないから、この間もいったけど、例えば、向こうからエンジニアを呼んでやるとかさ、向こうへ行ってレコーディングするとかさ、洋楽のカバーをやるとか、もうだから、向こうの流行ったら、即、取り入れていこうと。

大滝: 今流行ってるものね。

山下: うん。なんでもかんでも取り入れていこうというさ。ものすごく貪欲じゃない。でも、ほんの数年間だったけど、全然そういうの関係なしに、日本の音楽で勝手にやってた時代があるのね。それこそトロピカル・ダンディじゃないけどさ、そういうものがさ。で、大滝さんのナイアガラ・ムーンなんて、全然関係ないわけでしょ、流行とか。

大滝: うん。

山下: そういうレコードって、ほとんどないよ、今。

大滝: なるほどね、確かに。

山下: それにまた、すごくそれが決して、売れたとか売れないとかいえばさ、たいして商業的に成功しなかったという、10代のそういうものを志向している人間の精神文化に、ものすごく大きな影響があるんだよね、今。その当時ね。今の10万枚のレコードが昔の1万枚のレコードより、精神的な影響力が少ないからさ。でも、やっぱり歌謡曲はちゃんとあるわけでしょ。だから、あの時代が変わってたのか、すごく異常な時代だったのかね、70年安保過ぎたひと時代が。最近わからなくなってくるわけ、それが。で、このままいくと、一体そういう、ここほんと10年間自分でやってきたけど、こういうもので培われたものって、だんだんまた剥がされて、なってきてて。今のアイドルシンガーってのがいるんだけど、そういう子のインタビューとか読むと、自分は「ピンク・レディーを聴いて育った」と、自分は、例えば「河合奈保子みたいな歌手になりたくて、この世界に入ってきた」、松田聖子は郷ひろみのファンだった。そういう圧倒的な歴史っていうのは、厳然として、我々はその時代、そういうのは全然関係なしに育ってきたから、ないようにみえるけど、日本の主流は、やっぱりそれなんだよね。

大滝: そうだね。

山下: だから、アイドルはものすごい予備軍もってるわけでしょ。でもしかるに、例えば、そういうものをつくるスタジオ・ミュージシャンとか、我々が始めたスタジオ・ミュージシャンとか、日本語のフォーク、ロック、古いいい方だけど、そういう音楽の予備軍というのは、ほんと悲惨なほど少ないね。

大滝: 予備軍って、ほんと

山下: 果たして、いるのかわかんないよ。

大滝: いないような気がする。

山下: そういう予備軍といわれる人たちも、出てくる手段つったら、昔みたいなライブ・スポットから、コツコツじゃなくて、コンテストで一発あてて、そのためにバンドつくって。

大滝: 予備軍の人はだって、どこでマネージメントして、何パーセントでとかって、そういうような話からくるっていう、

山下: 始まるわけでしょ。

大滝: あれは予備軍じゃないでしょうな、きっと。だから、いないんですよ。我々は孤島です。

山下: 結局、そうなんだね。

大滝: I AM A ROCK,I AM AN ISLAND.

山下: アイランド?うーん。

大滝: どうせ島国だからいいじゃないですか、アイランドで。ONE AND ONLYの方が面白いでしょう。

山下: 異形のものなのかね、これは?

大滝: 異形のもの!ポランスキーだね、ほとんど。異形のものってのはいいね。悪魔の赤ちゃんだね、もう。何なんだ!結局、ONE AND ONLYだということを、意識しはじめると、気が楽になりますよ。

山下: そうですか?

大滝: うん。志ん生さんもね、好きでああいうふうな芸になったんじゃなくて、「しょうがなくて、ああなったんだ」ってな感じで。

山下: 非常に、だから僕は絶望的なんですよ。そういうところ、

大滝: なるほどね、その10年間を考えてね。

山下: 考えてみると。だから、僕がバンドやってたときは、たくさんバンドがあってさ、それがどれもマネじゃなくて、どれもそれぞれに主張してることがあって、オリジナリティーがあって、他はバカだと思ってて、若いから。自分達がナンバー・ワンだと。でも、それが不思議に重複しないというか、いろんなバンドがあって、10個あったら、10それぞれ、なんか取り柄があるというか、そういうのがすごくあったんだけどね。

大滝: またなんか、同じような傾向になってきたね、みんなね。

山下: 今、インディーズというさ、割と動きがあるから、そういうので、メジャーなレーベル使わないで、インディペンデントで、自主制作みたいなレコードとかカセットブックとか、そういうのやって、やってる音楽には、そういうものがすごくあるけどね。

大滝: うーん。

山下: やっぱり、その人たちの世代が、今後どれぐらい、結局だから、新しいところまで食い込んでいって、同じようにならなきゃいいんだけどね。

大滝: ジョン・ウェインだね。

山下: そうなのかな?

大滝: いよいよ、そろそろジョン・ウェインに、一歩踏み出しつつあるかね。

山下: だから、あれなんですね、そういう、昔は食えなかった頃は、曲書いて、人に曲書いて、CMもたくさんやったし、だんだん、だんだんやりたくなくなってくるわけよ。そういうのあるでしょ?人に曲書きたくないとかさ。

大滝: あるね。もともと、そんなに書きたいとは、俺はあんまり思わなかったけど。

山下: でも、すごく書きたいと思ったときもあるんだよね、俺。

大滝: なるほど。

山下: そういうのがさ、例えば、

大滝: どっちかというと、だって職業作曲家を、バリー・マンをあれなんでしょ?

山下: 目指してたんだ、僕。

大滝: だとしたら、あまりやらないね。

山下: だからさ、例えばさ、そうだな、その当時、誰を想起してたかわからないけど、松田聖子がいるとして、ああいう人に、例えばシェリー・フェブレみたいな曲を歌わしたら面白いとかさ、そういう、こういうアルトの人だったら、どんな人がいいとかさ、そういう欲求が、ほんとなくなってきちゃった、全然。多分むなしい作業になると思っちゃうね、それは。

大滝: 自分のが満足してるからなんじゃないの?

山下: そうなのかね?

大滝: 違う?自分のが満足してないから、人の方に動くんじゃない?

山下: そうかね?

大滝: うーん。

山下: 欲求不満が出てきたら、また人のことやるのかな?

大滝: うーん、その辺も難しいけどね。そういうんじゃないのかな?

山下: でも結構、精力的にかなんかわかんないけど、みんなすごく人に曲を書くようになってるでしょ、こう?

大滝: 最近。

山下: ねぇ。

大滝: うん。

山下: 歌謡曲歌手とかさ。みんな、どうしてやるのか?

大滝: お休みの時間が近づいているような感じになっちゃったな、もう。

山下: なかなか、この、

大滝: これはでも、今の10年を振り返った、山下達郎の独白というのは、興味深かったね。

山下: そうですか?

大滝: うん。

山下: だからもともと、「なんでこの商売をやってるのかな」とふと思うことがあるんですよ。

大滝: ふと思う?

山下: うん、ふと思う。で、ほんとは大学入ったわけでしょ。だけど、全然面白くなくて、やめちゃったでしょ。やめて、別にそれが将来計画とか、なんにもなかったわけですよ。

大滝: ね!山下君にしては珍しく。

山下: 大滝さんだってそうだったでしょ、でも?

大滝: 俺はもともと、だって計画とか、そういうのには全然疎いもん。

山下: あー、そう?

大滝: うん。

山下: でも、結構計画あるじゃない、いろいろ。

大滝: ないよ、なんにも考えないんだもん、だって、ほとんど。

山下: あとで、つじつまをあわせるという。

大滝: そうそうそうそう、つじつまの大滝っていわれてんだよ、ほんとに。

山下: これから先どうなっていくかというのもね、なかなかね。

大滝: これは、サウンド・ストリートをいつも聴いている人はなかなかね、独白をしないからね、こんな。

山下: そうですか?

(番組のテーマ曲がバックに流れはじめる)

大滝: 垣間見たよ。

山下: 終わっちゃったよ!

大滝: 終わったの、もう?

山下: ひでー。

大滝: 早いな。いやー、3週間もどうも居座りまして申し訳ありませんでした、ほんとに。

山下: レコードを出さないから、インフォメーションも聞けないというね、

大滝: いや、ほんとにね、

山下: ファンの欲求不満がね、ありますから。

大滝: そうだね。

山下: えぇ。もっといろいろと伺いたかったんですけど。

大滝: ひとつなんか、面白いことをひとつぐらいはやろうと考えてますから。まあ、そうですね、2000円くらい、ちょっと用意しといていただければ。

山下: これね、いってるわりには、結構なんか考えてやる人なんですから。

大滝: 誰が?

山下: いや、大滝さんがね。

大滝: そうかね?

山下: なんか出るんだよね。

大滝: そうですか?

山下: でも、絶対正攻法でやってくださいよ、正攻法で。

大滝: うーん、難しい。正攻法でやるには、また3年かかる。ちょっとまた横丁で、藤たけし。

山下: なめくじみたいですな、ほんとに、もう。

大滝: なんだかわかんない。

山下: なめくじが木の上にいくという、そういう感じですが。じゃあ、あれです。レコードが出れば、またそれで、私の番組の役目はないんですが、出ない場合は、また夏前にでも、ひとつ追求大会をしたいと思います。

大滝: はいはい。今年もサウンド・ストリートを楽しみにしていますので、頑張ってください。

山下: えぇ、及ばずながら頑張りたいと思います。ほんとに、新春ののんびりしたところを、まことに申し訳ございません。

大滝: のんびりしすぎまして、どうも申し訳ございません。

山下: 今年もひとつよろしく。というわけで、ラジオをお聴きのみなさんも、今年もひとつよろしくお願いしまして、新春放談3回にわたりまして、でたらめでやってまいりましたが、終わりたいと思います。山下達郎のサウンド・ストリート、本日はこれまで。それではみなさん、来週のこの時間まで、ごきげんよう、おやすみなさい。

 いやー、この回は疲れました。オン・エアされた曲は少ないし、話の内容は難しいし、文字数も、これまでの最高です。
 ところで、番組中に達郎さんがいってますが、大滝さんって郵政省のCMやった事があるんですか?私、全然知りませんでした。知ってる方がいたら
教えてください
 この時に「SONGS」10周年ということで、再発の話をしていますが、現在店頭に並んでいる「SONGS」も考えてみると、20年目の再発ですよね。今年は「夢で逢えたら」20年ということで、再発されるようですが、「CD BOOK」、「BLACK BOOK」の他、「All about Niagara」等の書籍関係もこのペースで発表されるのでしょうか?
 次回の更新は、1週間もかからないと思います。9割方できているのですが、一部分がまだなのです。このペースで行けば、年内に完成できるかもしれません。


新春放談 index