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1986.1.23 サウンド・ストリート

山下: みなさん、こんばんは、ご機嫌いかがでしょうか?山下達郎です。本日は、この番組が「GO! GO! NIAGARA」でないことは、どなたにもおわかりいただけると思いますが、大滝詠一さんをお迎えしましての新春放談パート3でございまして、去年と同じく3週目に突入してまいりました。今週もひとつよろしく。

大滝: 今年も3週目にはいってしまいました。

山下: 今年はしかし、去年みたいに惰性じゃなくて、わりと、ちゃんと1週目はあれで、そんなことないですかね?

大滝: そういうふうに聴いてる方が思ってくれると、このうえない幸せですけど。

山下: どうもすいません。いろいろ、でも、だいぶはがき読んだんですよね、先週はね。それであれですよ、これだ、面白いんだ。福岡の初田美幸さん「『ナイアガラ・カレンダー』の『Rock'n Rollお年玉』で古くから大滝家に伝わるお正月の遊びで、」これなんて読むんです?

大滝: えっ?「おもはたけ」。

山下: 「おもはたけ」。

大滝: うん。

山下: 「『鬼泣き』というのがありますが、どういうふうな遊びなのですか?」

大滝: ない、ないんだ、そういうのは。

山下: そういうのは、ないそうでございます。だまされやすいから、まだまだ。

大滝: ほんとにね、これはあまりね、質のいい冗談じゃないんだよね。

山下: なるほど。

大滝: 「かるた」で、その軽い田んぼということから、重い畑ってのはあるかという、非常に単純な発想なんですよ、「おもはたけ」ってのはね。

山下: このぐらいでびっくりしているようでは、大滝詠一ファンとしては、修行が足りないと。「鬼泣き」ってなんですか?

大滝: 「鬼泣き」ってなんだったけな?忘れちゃったけど、なんか笑うんだ。福笑いだ。

山下: そうか、福笑いの逆か。

大滝: 面白くもなんともないや。

山下: かわいそうに、ほんとに。

大滝: かわいそうだね。

山下: これで40円損した。

大滝: だから、あんまり深く聴かない方がよいと思いますよ、昔のものは、とにかく。祟りがあります、昔のは。最近のだけ聴いてください。

山下: 嘘つけよ、ほんとにもう。まったくほんとに。さて、じゃあ1曲、今日はドゥー・ワップをかかってないので、ハープ・トーンズをいってみたいと思います。私好きなんです、この曲。「マイ・メモリーズ・オブ・ユー」。

 曲:

ハープ・トーンズ/MY MEMORIES OF YOU

山下: ニュー・ヨーク、ストリート・ドゥ・ワップを代表するハープ・トーンズでございまして、「マイ・メモリーズ・オブ・ユー」という、この次のあれには入れたいと思っているんですがね、これを。もういいですね。

大滝: 深い。

山下: 歳ですかね?こんなんしか聴かないんですよ、家で。

大滝: うーん、よくわかる。

山下: わかるんですか?

大滝: そういう感じがする。

山下: それで、どうしてそんな1986年に向けてのサウンドがつくれようか。

大滝: 何をいってんだよ、何なんだ?遅れた弁解ですか、これ?

山下: いえいえ。いや、一生懸命やってますよ。

大滝: やってんのは、わかるよ。すごく期待してるよ、今度の。「マーメイド」を聴いて、今度のアルバムの質の高さはみんなわかってると思うんだよね。楽しみにしてるんだよ、ほんとに。

山下: これで、コンサートを延期してさ、遊んでたらぶっとばされるもん。

大滝: そりゃそうだよね。

山下: 映画も観てないし。映画どうですか、最近?

大滝: 遊んでるっていえないもんね、やっぱりね。

山下: 遊んでませんよ、はっきりいって。

大滝: やってないよね。

山下: 映画なんか観てませんよ、僕は。ビデオも観てないというこのまじめさ。

大滝: もし観てても、いえないよね。

山下: ひどいな、それ。いいね大滝さん、映画観れて。

大滝: 私はだって、いや、映画もあんまり観てないですよ、このごろ。レコード聴いてます。

山下: ほんと?戻っちゃった。

大滝: そう。本家、先祖帰り。

山下: だいたい熱しやすく冷めやすいというね。

大滝: んなことはないけど。

山下: でも、相当観たでしょ、映画?

大滝: うーん、でもないよ。

山下: そう?

大滝: やっぱり、昔の人に比べれば、全然観てないわ、だめだ。だから、ようやく西部劇の入り口に立ったぐらいだから、遅い。

山下: 僕の友達でね、日本大学の芸術学部の映画学科に、友達というか従兄弟なのね、同じ年の、入ったやつがいてね。そいつは日本映画の超強力マニアで、僕が高校の時に、そいつは年間、高校生で何本ぐらい観てたっけな。365本以上なの。

大滝: はぁー。

山下: 380とか90とか、そんぐらい観てるんだよね。

大滝: すごい。

山下: 弁当もちで。だからよく知ってたね、やっぱり。ほんとに映画好きなやつは、高校とかそのぐらいやってんだろうね。

大滝: そうだろうね、寺尾次郎ね。

山下: そうそうそう、シュガー・ベイブのベース。

大滝: シュガー・ベイブのベーシストがね、今。

山下: 今、某映画会社にはいって。

大滝: あいつも詳しかったもんね。

山下: あれ、毎日フィルムセンター通ってたもんね。

大滝: やっぱり、弁当持って?

山下: うん。

大滝: 僕も弁当持ってね、とある放送局のレコード室に毎晩いたことあります。その努力を評価してください。

山下: 僕は弁当も持たずに、とある人のレコード室に1週間いたことがあります。

大滝: わたしゃぁ、その間グーグー寝てましたけど。

山下: それでですね、面白いはがきがあるんですよ。前橋市の宮沢誠一郎君、「大滝大先生へ、大滝ファン、もしくは『GO! GO! NIAGARA』ファンの人でないとわからない笑い話をふたつほど。新春のくだらなくも面白い放談にさしあげませう。ひとつは、竹内まりやさんのLP、バラエティの中の曲で、インマグロに…」でた!

大滝: そんなこというやつは、もういないんだから。

山下: 「インマグロに、イントロ、結婚行進曲が使われているんですね。『Let's get married』だったっけかな。まだこの事を知らない時、レコード店に行ったら、いきなりパーンとかかったんですよね。その時僕は、あっ、クレイジー・キャッツの『この際かあちゃんと別れよう』だと思ったの、そしたら、まりやさんの声。ドテっと倒れてしまいました。うーん、僕はここまで大滝色に染まっていたなんて!」

大滝: なんだ、なんだ、関係ないんだよ、それは。すごい曲思い浮かべるな、しかし。「Let's get married」とそれじゃあ、まるで逆だよ。

山下: そういう人が支えているんです、大滝詠一さんのファンをね。

大滝: ありがとうございます、ほんとに、おかげさまで。

山下: ところで、この前、国立競技場で「はっぴいえんど」再結成しましたね。

大滝: ありましたね。

山下: あの時のイベントのプログラムつうのがありましたね?そこで、好きな映画ってありましたね、欄が?で、みんな「トリュフォー」とか書いてる中で、一人だけ「血煙高田馬場」って書いてる人がいましたね。

大滝: 誰でしたか?なんかでも、あのパンフレット面白かったけど、みんなまじめに書いてたね。僕はアンケートってね、まじめに書くの嫌いなの、すごく。

山下: 知ってます。

大滝: いかに、受けるようなことをさ、書こうかっていうことばっかり考えてるんですよ。

山下: あれ、某渋谷のあそこで、東京国際映画祭のマキノのフェスティバル行ったんですか、大滝さん?

大滝: いや、行きはしませんでしたけど。とあるところで、ちらっと見ただけです。

山下: 見たんですか?

大滝: えぇ。

山下: 僕はあの時、牧野を見ようか山中貞雄を見ようかと迷いまして、結局山中貞雄に行ってしまったんですよ。1週間通ってしまいましたよ。

大滝: 日本映画、でもずいぶん少ないね、出てるものがね。観れる機会がまるでないでしょ。

山下: ないない、ほんとに。

大滝: 昔の映画はいいんだよね、日本のものは。

山下: いいね、ほんとに。

大滝: 昔に限るね。

山下: 少しずつはよくなっているようなことはいってるけどね、業界の人は。

大滝: なんかでも、あとテープなんかでも、エノケンさんなんかの映画なんかもあるんだけど、欠落があるらしいね。もう、途中のフィルムがなくなってたり。

山下: あぁ、そう。

大滝: だからストーリーがポーンととんじゃったりしたとかね。

山下: 「ちゃっきり金太」も総集編が、なんかちょっと抜けてるやつしか現存してないんでしょ?

大滝: そういうことがあるらしくて、早くに観て、日本にもこういうすごいものがあったっていうことをね。

山下: 斎藤寅次郎の映画なんつうのは、ほとんど観れないでしょうね、今では。

大滝: あんまりないんじゃないですかね。

山下: 「法界坊」ってビデオ持ってるんですけどね、エノケンの。途中で、長屋でラジオ体操やるというさ。変なギャグのさ。

大滝: ありますね。昔はだから、昔の映画ってのはギャグの宝庫だよね。だから、なかなか面白いですよ。

山下: なかなかね、そういうのを好きになると、あまりのものの無さに、

大滝: どうしようもない。

山下: 愕然とするという。なんでこうなるのかってね。

大滝: 今年、じゃあ、ひとつだけまじめな話をひとつ、3回目ですんで、いおうかなと思うんですけど。クレイジー・キャッツのビデオが発売される可能性があるんですよ。それであのー、

山下: 前も出てたんじゃないですか?

大滝: いや、それの総集編のようなもの。「ベスト・オブ・クレイジー」のようなもの。これに今、私は燃えてる、私がやるわけじゃないのね、早くできることを願ってるていうだけのことで、あれなんだけども。それから、できたらそのサウンド・トラック。クレイジーものってのはあれなんですよ、レコードと違うから、ほとんど映画の中に入ってる歌が。未発表のものもあるし、それのアルバムをね、今年は。

山下: そんなものやれる、つくれるんですか?サウンド・トラックからおこすわけですか?

大滝: サウンド・トラックから起こす。で、それを私は今年の、今年はこれでいこうということで。それをひとつやったらまた、ロング・バケーションにはいろうかなという、そんなことはないか。

山下: それはあれなんですか、監修するとか、そういうことですか?

大滝: 監修っていうほどのもんじゃないですけどね、できたら一番最初に観るっていう約束を取り付けたっていう、ただそれだけで。そういう監修の仕方もあるわけで。

山下: ところでこの間、小林旭さんのレコード出しましたね。

大滝: あー、曲書きました。去年の6月頃レコーディングしたやつだけど。

山下: あれテレビでCM流れてたときに、一瞬加山雄三さんかと思ったけど。

大滝: それで面白い話があってね、加山雄三さんのオフィスに、なんか時々かかってきたという。まあ、これは人づての話ですから、ほんとかどうか知りませんけども、「今やってますねって」電話したら、そのオフィスの人が「はい」っていったという話があるくらいに似てたんですかね。

山下: 似てるね。でも、僕見て、やっぱり加山雄三の声かなと思って、メロ・ラインがなんか、そうなると絶対弾厚作しかないでしょう?

大滝: そうだね。

山下: メロ・ラインがなんか違うなと思ったら、「今、加山雄三のあれが流れてたね」って、うちのかみさんにいったら、「なにいってるの、あれ小林旭よ」って。「小林旭か、じゃあ大滝さんだ」と思ったんだよね。

大滝: すぐに。

山下: うん。私、フランク永井さん。

大滝: 私、小林旭さん。

山下: いつかやるっつてたもんね。

大滝: んー?

山下: いつかやるっつてたもんね。

大滝: あー、小林旭、ずっと昔に、必ずや1曲はという。

山下: あれはどうしたんですか、向こうからお話が来たんですか、こっちからアプローチしたんですか?

大滝: CMが最初で、CMつくる人も、小林旭と僕とでやろうことを、なんか2〜3年あっためてたらしいの。全員がなんか、あっためてたっていう企画と構想で、これがもし、ひょっとして、ただ聞いた裏側に何かを感じるとしたら、そこに男のロマンを、

山下: 1週、新春第1弾に戻りますね。

大滝: それを感じてもらえるかなっと思ってね。

山下: ふーん。

大滝: そうなんですよ。「マイ・メモリーズ・オブ・ユー」ですからね、あれもね、そういう。

山下: なるべくしてなったという雰囲気ですね。LPはやらないんですか?

大滝: LPまでつくる自信ないんだよね。結局、なんかLPがあそこに集約されたみたいな、1曲に集約されたものをつくろうみたいにつくったから、結局はなんか、それの焼き直しか、その部分的な発展しかないと思うんだよね。僕はそういうのだめなんですよ、1曲書いちゃうともうできなくなるんです。才能がない、素人。1曲だけはよいっていうね、やっぱり素人ですよ。

山下: でも、制作費かかったでしょ?

大滝: は?

山下: 制作費かかって、びっくりしたでしょう?

大滝: CMですから、あれは。

山下: あっ、そう。でもフルサイズあるじゃないですか。

大滝: フルサイズしかとらない。なんとCMサイズがないというCMの、多分日本初か10曲ぐらいのうちのひとつじゃないかと思いますけどね。CMバージョンは1個もなしですよ、フルだけ。

山下: そうですか、なるほど。

大滝: だから歌が始まった時に、どこで終わるかが最初なんにもわからずに、ただ適当につくった。だからなんかね、ホニャホニャホニャっていうんで、8小節くらいで終わるでしょ。「それからどうした!」っていいたくなるようなところで終わるんだよね。

山下: いえるね。

大滝: それは何にも考えないで、ただつくったんですよ。

山下: なるほど。

大滝: 大笑い。

山下: いや、いつかはやると思ってましたけどね。

大滝: やはり。

山下: こんなに早く来るとは思ってませんでした。

大滝: こんなに早く来るとは思ってなかった?ちょうどギリギリ、いいところじゃないかな、ロイ・オービソンとしてはね。

山下: なるほど。さて、ところでですね、なんかかけないと、また怒られますんでね、

大滝: かけましょうよ。

山下: あれが見つかったんですよ。

大滝: 何!?

山下: おととしの、大滝さんと2人でやったデュエットもののテープがね。

大滝: でた。あれもう、おととしですか?

山下: おととしです。

大滝: おととし、いつ頃ですかね?

山下: ニュー・サウンズ・スペシャルですからね、夏です。

大滝: 夏。

山下: おととしじゃねえか、さきおととしか?

大滝: か?

山下: そうそうそう。

大滝: かなり前ですね。

山下: 3年前だ。なので、ご存知の方もたくさんいるんですけど、知らない人もいるので、評判がよかったので、やったのがエバリー・ブラザーズと、あの時はなんかこまごま説明しましたけど、

大滝: 男のロマンですね。

山下: もう先週、先先週全然説明してないので、なんにも、いいかげんなんで、ハープ・トーンズって一体なんだろう?関係ないというさ。そういうあれなので、

大滝: それでいきたいですね。

山下: で、今聴くとすごく、あれなんです、涙なくして聴けないんです、恥ずかしくて。なんですけど、恥をしのんでやってみようというあれで。

大滝: 何ともいいようがありません、私は。

山下: まず、高い方を歌ってんのは私です。

大滝: それだけはいわないとわかんないから。

山下: 低い方を歌ってんのは大滝さんです。ほとんどわかんないです、歌い出し聴くだけじゃ。じゃあ、エバリー・ブラザーズ、ゴフィン=キングの曲で、ゴフィン=キングの曲で、

大滝: ゴヒン=キング!

山下: ゴヒン=キングという作曲家はとか、そういうことになるんですけど、キャロル・キング、ゲリー・ゴフィンの夫婦の作曲でございまして、大ヒットでございまして、それをカバーしました「クライング・イン・ザ・レイン」。

 曲:

大滝詠一、山下達郎/CRYING IN THE RAIN

山下: というわけで、再発見されました大滝詠一、山下達郎デュエットのテープ。

大滝: これは涙なくしてはちょっと聴けないよね。

山下: 聴けないでしょう?ご愛敬、ご愛敬。新春のご愛敬。

大滝: 泣いてたよ、ほんと。「クライング・イン・ザ・レイン」だよ、俺。「I'LL BEEN CRYING・・・」泣いちゃうよ、俺。

山下: 歌詞はね、あの時初めて見てるからね。曲は知ってるけど、詞知らないから。この次の曲なんて、曲目、実をいうと、大滝さんにこの曲やろうといわれるまで、この次の曲はね、知らなかったの。

大滝: あぁ、「ラブ・ハーツ」?

山下: うん、あんまり聴いたことがなくてね。で、これやってからね、こんないい曲がね、

大滝: 世の中にあったか!

山下: あったかって、それでリユニオン・コンサートでもやってたでしょう、エバリーの。

大滝: やってたね。

山下: あれ、涙なくして見れなくてね。

大滝: いいんだよな、「ラブ・ハーツ」だからね。その周りの状況考えてみるとさ、

山下: そうそうそうそう。

大滝: その喧嘩して、別れてまたいっしょになった時の感じがね、ある歌だから、

山下: そうですね。

大滝: 「恋の痛み」という日本語のタイトルだったからね。

山下: そうです。続けて聴いちゃったりして、「ラブ・ハーツ」。

 曲:

大滝詠一、山下達郎/LOVE HURTS

山下: 半音上がるとこが、ちょっとひっくり返るんだけど、愛敬愛敬。時間なくてね、こん時ね。

大滝: 言い訳の多いやつらなんて思ってるんじゃないかね、みんな。レコードができなきゃ、できないっつう言い訳ばかりいって。なんだかな。

山下: コンサート延期したっちゃ、延期した。

大滝: 出すっちゃ、出さなくてもう、ほんとに。

山下: そういえば大滝さん、昔1回コンサートが流れてさ、

大滝: その話はいわない約束でしょ。

山下: あったな、そういうことが。

大滝: 僕はね、なんか前科が多いんだよ。

山下: 考えられることは、全部あるという。

大滝: 悪い方の見本は、全部やってるよ、俺は。だからあの、ほんとにあれですよ。あとの人たちは、それを教訓にね、やってもらわないと、私は浮かばれないんだよ。

山下: 大丈夫。

大滝: なにが大丈夫なの?

山下: いやーしかし、でもね、これやってみるとわかるんだけどね、難しいんだよね。

大滝: 難しいね、ほんとに難しいな。

山下: 英語だっていうのもあってね。

大滝: 英語も難しいね。「夏のリビエラ」歌った時もそうだけど、やっぱりなんか、あたりまえだけどさ、なんか全然違うんだよね。なんか浮いちゃうんだよね。

山下: それでね、この次の曲はフリート・ウッズの曲だから。これは、あのほら、多重録音して、大滝さんが真ん中で、私両端に2人いるという、

大滝: 私があんまり歌ってないパターンだからね。

山下: いや、大滝さんたくさん歌ってるよ。

大滝: そうだっけ?

山下: リードボーカルだから。

大滝: 怖いなー、これもまたな。

山下: こっちの方ができがいいの、全然。

大滝: ほんとに?

山下: エバリーってほんとに難しいから、

大滝: エバリーは難しいな。

山下: フリート・ウッズの方はちょっと軽いから。

大滝: あっ、そう。

山下: こっちの方が雰囲気あるから、こっちの方で一応ちょっとね、あれで。

大滝: 何?

山下: 名誉回復。

大滝: 口直し?なればいいけど、俺祈っちゃうな、ここで。

山下: 「カム・ソフトリー・トゥ・ミー」。

 曲:

大滝詠一、山下達郎/COME SOFTLY TO ME

山下: いかがですか、このセンターのリード?

大滝: あのー、今年になって決意したことがあります。

山下: なんですか?

大滝: 引退します、私。

山下: 何を言ってるんですか?

大滝: だめだ、こりゃぁ、もう。

山下: なんで?

大滝: いやー、だめだね。

山下: 何を言ってるの?

大滝: 曲をつくることに専念しよう、もう。歌うのやめた。

山下: だめですよ、それは。

大滝: すごいものがあるね。

山下: いいじゃないですか。

大滝: 音量でかくして聴けば、なんとかなるかな。どうもね、バックはよかったけどね。

山下: もう1曲いってみましょう。これがいいんですよ、「ミスター・ブルー」が。

大滝: これなんか、ドラムとベースとか、派手にギターとかギャーと入れて、ごまかそう。

山下: でも、あのね、やってみればわかるんですから、難しいってね。

大滝: ほんとにやってみると、なんか難しいね。

山下: この「ミスター・ブルー」がいいですよ、これは。

大滝: そう?なんか聴くのが嫌になっちゃった。

山下: 暗くなってんじゃ、

大滝: ガマの油のガマみたいになってきちゃった。冷や汗タラタラで。

山下: いやもうね、いつもね、エコーに包まれた大滝さんの声が赤裸々に出てくる、これはなかなか得難い体験でね。

大滝: 昔のナイアガラのレコード聴きゃあ、なにひとつエコーもなんにも入ってないよ、あれは。

山下: でもあれは、ルーム・エコーというものがありましてですね。

大滝: あれは録ってるところが板間だったからハネたってだけでさ。

山下: 福生のスタジオの。それだって、歌はすごくオフでしたからね。

大滝: あー、フェード上げなかった?

山下: そうです。だからこれは意識的にフェード上げて、オンに録ってありますから。

大滝: 失礼いたしました。

山下: 1K(?)をちょっと上げております。そんなことはないか。

大滝: 怖い、俺は。

山下: 「ミスター・ブルー」。

 曲:

大滝詠一、山下達郎/MR.BLUE

山下: というわけで、フリート・ウッズのヒット曲が2曲続きまして、「ミスター・ブルー」。

大滝: ブルーになってきちゃったよ。

山下: こういう赤裸々に声を聴かせると、大滝さんは必ずこういうあれに出るという、態度になるというね。

大滝: いやなんだよなー、どうも自分の声を、なんかね、まのあたりに聴くというのは。嫌いだなー、私。

山下: だいたい、大滝さんの歌ってる顔を正面から見た者は誰もいないというね。

大滝: 見ると俺、横向くからな。

山下: そう。昔「はっぴいえんど」やってる時はですね、オルガンの影に隠れてしまった。なんでリード・ボーカルや、歌ってる人間がステージの上で見えないのか。どっかから声は聴こえて来るんだけど、3人しか見えていないというね。誰も歌っていない。

大滝: 俺はロック界のシラノ・ド・ベルジュラックっていわれてたからね。

山下: スタジオで歌を入れる時は、ついたてを立てて、カーテンをひいて、ドアを鍵閉めて、部屋を真っ暗にして、それで歌入れをするという珍しい人なの。

大滝: ほんとにそうなんだよね。どうも、やだよ、俺。自分の声は、ほんと。

山下: だからこういうテープを持ってくればね、弱みが。これで一生弱み持てるね。なんかあったら、このテープをね。

大滝: シュガー・ベイブの練習のテープ持ってこようかな。

山下: このテープに葵の御紋を描いて、このテープが目に入らぬかって。

大滝: でも、シュガーのさ、

山下: はい。

大滝: 福生でコーラスやってる、練習のコーラスやってるのが、あれがよくハモってるんだよね。

山下: 知らない、そんなの。

大滝: いやあのー、なんだ、コンサートをやる時に、バックをやってくれた時に練習してて、で、4チャンネルに入れて、ダビングしてあるんですよ。

山下: そんなのがあったの?ふーん。あっ、そう。

大滝: 聴きたいですか?

山下: 聴きたい。

大滝: それから、「ダーリン」を歌ってるのとかね。あれ、あるよ。

山下: あれ、ひとつ高いんだよね、声がね。ピッチがね。

大滝: あとオケがちょっとね、歌とのバランスがあれだっだけど。

山下: そうそうそう。

大滝: コーラスはすごくいいよ。

山下: あー、そう?

大滝: うん。

山下: ふーん。

大滝: リクエストが多かったら、かけます?なんか妙ないいかただな。

山下: 怖いな。なんかブルーになってきたな。なんか他の曲かけようかね。

大滝: あるぞ、いっぱい。

山下: なんかねーかな。

大滝: よかった、これで矛先が、ようやく。

山下: なんか少しちょっと、あんまりこうジョニー・ティロットソンとか、そんなのかけると差が出るからさ、アソシエーションとかそういうのにしません?

大滝: そういう差の出るやつはやめよう。

山下: コーラスがさ、パッと出るやつ。

大滝: リズム・アンド・ブルースにした方がいいんじゃない、一挙に?

山下: じゃあ、クリス・ケナーいってみます?

大滝: クリス・ケナーいいな。

山下: 「アイ・ライク・イッツ・ライク・ザット」(?)。

 曲:

クリス・ケナー/I LIKE IT LIKE THAT

山下: ちょっとスクラッチが多いのは、お許しください、古いレコードですので。これも61年で、今回の新春放談に使用されたレコードは、ほとんど61年という。

大滝: 61年が多かったね。

山下: ゴールデン61年でございました。

大滝: 昭和61年でしょう?今年はね。こじつけの大滝といわれてますからね、これが。言い訳とこじつけばっかりだな。

山下: しかしもうね、先週笑いすぎてね、エネルギーが枯渇しましたよ、ほんとに。

大滝: それで今週は、ガマの油だもんな。

山下: なんですか、そのガマの油ってのは?

大滝: ガマの油です。だからタラタラと。

山下: あぁ、タラーリタラリ?

大滝: うん、タラーリタラリ。わからない人は聞き流してください。

山下: 誰もわからないってんだ。目の前にいる人間ですら一瞬わからないんだから、ほんとにもう。というわけで、もう1曲かかりそうだな。じゃあちょっときれいに、アソシエーションズ、「エブリシングズ・ザット・タッチズ・ユー」、「恋にタッチは御用心」。

 曲:

アソシエーションズ/EVERYTHING'S THAT TOUCHES YOU

山下: 「エブリシングズ・ザット・タッチズ・ユー」という、当時の出た時の日本題が、「恋にタッチは御用心」という、

大滝: すごいタイトルだね。

山下: 今のヘビメタなみのタイトルで、1968年全米10位まで上がるヒット曲でございまして。「オール・ユー・ニード・イズ・ラブ」よりも先か前かという、大滝さんの質問に関しては、

大滝: なんかラブ・ラブ・ラブ・ラブっていったら。

山下: 関してはですね、えーっと、「オール・ユー・ニード・イズ・ラブ」、67年、こっちは68年、あとですね。

大滝: なるほどね。

山下: そうですね。

大滝: で、このプロデューサーはさ、ボンズ・ハウっていうね、

山下: はい。

大滝: プロデューサーが、

山下: (聴き取り不可能)とか、やってる人ですね。

大滝: この人がね、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」まだ観てないでしょ?

山下: 観てないです。

大滝: レコーディングが終わらないと、観れないと思うけどさ。それと、チャック・ベリーを、今度メンフィスかけるでしょ。

山下: はい。

大滝: で、そのチャック・ベリーと、このボンズ・ハウと、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ってのは関連があるんですよ。

山下: へぇー。

大滝: それは観てのお楽しみで。

山下: あー、そうなんですか?

大滝: いわないことにしときますけど。

山下: もう観たんですか?

大滝: 私は2度も。

山下: いいですね。

大滝: えぇ。頑張ってつくってください。こっちは楽しみにしてますから。

山下: しゃあねえな、ちくしょう。ほんとにもう。えー、まだはがきが、ちょっと読みます。大阪府和泉市、葛城めぐみさん、けいさん?女の子「大滝さんに質問、」こういう質問、今まで読んでない。「何年何月何日にお生まれになりましたか?」

大滝: そういう質問、受けたことないよ、うん。

山下: でしょう?

大滝: でも、なんかに書いてあるな、プロフィールに。1948年ですよ。

山下: 何月何日なんですか?

大滝: 7月の28です。

山下: 7月の21日がフィル・スペクターでしたっけ。

大滝: あぁ、そう?

山下: えぇ。

大滝: へぇー。そら知らなかった。

山下: 違ったかもしんない。あっ、9月の21日。

大滝: 違う、フィル・スペクター1月だよ。

山下: そうでしたっけ?

大滝: うーん。違うかな?

山下: まあいいや。「出身地?」

大滝: 岩手県、宮沢賢治のふるさと。

山下: 花巻市?

大滝: 花巻市じゃない。花巻は高校で1年いただけ。

山下: あぁ、そうですか。一番最初のお生まれはどこなんですか?

大滝: 江刺市ってとこ。

山下: 江差市?江差追分のとこですね。

大滝: 違う方の江刺。

山下: あっ、違うんですか?

大滝: 追分がない方の、馬子唄の方。

山下: 江刺馬子唄っていうものがあるんですか?

大滝: うそだよ。

山下: すべてこの調子ですからね。これで僕は12年も付き合っているんですから。えーっと「血液型?」

大滝: AB型です。

山下: ほんとにABなんですか?

大滝: うん、僕はね、おふくろがA型だってんで、高校2年までA型だと思ってたんだけど、高校2年のとき調べたら、AB型っていわれて、その日から人生が変わりました。

山下: ふーん、そこで人生が変わるほど、あれな問題だという。

大滝: んなことないか。たいしたことはないな。

山下: 「ご自分の作品で気に入ってる曲は?」ほんとにしないでくださいね、何いっても。

大滝: あんまりないですよ。

山下: 謙遜。

大滝: いやいや、あんまりだめ。これから、ネクスト・ワン。なーんつって。

山下: 誰のセリフでしたっけね、それ?

大滝: えー、ヒッチコック。

山下: あっ、そうか。

山下: 「86年の抱負は?」

大滝: えー、そうですね、山下君のアルバムをじっくり聴いてから、それから考えようと。

山下: 今年はどうするんですか?マジな話で。

大滝: 私?私は、だから、そういうその、クレイジー・キャッツのそのね。自分が、自分が聴きたいなと思うようなレコードをちょっと、自分のじゃなくてね。そういうのをつくってみたいなと思います。

山下: ああいう小林旭さんに書くとか、ああいうようなことはやるんですか?

大滝: 曲の提供は多少あると思いますよ。

山下: そうですか。「フィヨルドの少女」みたいに、自分のシングル出すとか、そういうのあるんですか?

大滝: それはないと思いますね。

山下: ないんですか。

大滝: えぇ。

山下: 自分の作品は、何も出ないんですか、今年は?

大滝: 多分ないんじゃないかと思いますけどね。

山下: 「CD VOX」はどうなるんですか?

大滝: それは出します。

山下: それでは曲で、もう1曲かかりそうでございまして、1回目かな?先週か先々週に、メンフィスの話に言及をいたしましたが、

大滝: はいはい、えぇ。

山下: チャック・ベリーの「メンフィス」をかけてみたいと思います。

大滝: 今年はチャック・ベリーの年だね。

山下: ふーん。

 曲:

チャック・ベリー/メンフィス

山下: チャック・ベリーのメンフィスでございまして、大滝さんは、チャック・ベリーの歌で何が一番好きですかね?

大滝: チャック・ベリーは何だろうかな?僕も「ジョニー・リバース」から入った方なんで、だからこれといって、1曲ってのはあまりないんですよね。

山下: なるほど。

大滝: 「メンフィス」?

山下: 「オールモースト・グロウン」。

大滝: 「オールモースト・グロウン」ね。

山下: 「フォッフォッフォ」っていうコーラスで決まりだという雰囲気で。

大滝: クリスタルズのバージョンではいりましたもんでね。

山下: なるほど。

大滝: なんかどうも、「アイム・オール・グロウン・アップ」という「オールモースト・グロウン」の、まあ、何をいってるかわかんないでしょうから、先にいきましょうか。

山下: バディ・ホリーはどうですか?

大滝: バディ・ホリーもほとんどサーチャーズとか、そういうリバプール・サウンドで入ったんでね。

山下: 入ったからね、なるほど。

大滝: ビートルズとかね。だから、あんまりこれといって1曲ってないんですよ。だから55年から、50年代のロックン・ローールの人たちいるでしょ。バディ・ホリー、ジーン・ビンセント、エディ・コクランとか、みんなあとで聴きましたよ、僕だって。自慢じゃないですけど。

山下: 僕だって、そうだよ。あっ、そうなの、ちょうどだから僕がね、高校の中間くらいで、一番ロック、ロックつって、頭がいっぱいになっていた頃に、そういうバック・トゥ・ザ・ロックの運動みたいなものが、一番ポッと出てきた時だよ。それで、それまで日本で全然出なかったチェスのチャック・ベリーの全集だとか、バディ・ホリーの全集とか一挙に出たのよ。

大滝: 一挙に出ました。

山下: だから、いきなりそれが聴けたの。だから一番好きな曲がいえるんだよ。

大滝: なるほどね。僕はそれをオリジナルっていう形で聴いたんだよね。誰かのカバーを先に聴いてて。

山下: というわけで、巻きが入っておりますが。

大滝: 巻きが入っちゃった。

山下: なんか、最後になって面白い話になってきたんですけどね。じゃあ、そういうことでございましてね、どうも3週間すみませんでしたね、ありがとうございました。

大滝: いや、ほんとにありがとうございました。山下達郎ファンのみなさまにはまた、多大なるご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした。

山下: いえいえ。なるべく、レコードをなんか、形で出していただけるように、みなさんで大滝さんのうちへ手紙を書きましょう。替えがない音楽でございますので、本人が動くよりはしょうがないという、皮肉な結果でございまして、怠惰な大滝さんを励ますお便りを書きましょう。というわけでございまして、その私と大滝さんのデュエットで、3年ほど前にNHKの番組でやりましたところのテープから、やはりエバリー・ブラザーズのレパートリーでございまして、「オール・アイ・ハフ・トゥ・ドゥ・イズ・ドリーム」。

 曲:

大滝詠一・山下達郎/ALL I HAVE TO DO IS DREAM

 「BACK TO THE FUTURE」の話で、チャック・ベリーとボンズ・ハウが関係あるって大滝さんいってますが、はっきりとは覚えてませんが、パーティーの最後に主人公がギターをもって演奏しているときに、チャック・ベリーに電話をかけていた人がいましたよね。その人がボンズ・ハウなんでしょうか?さぁ、みなさん、レンタル店へ急ぎましょう。
 それから、シュガー・ベイブの「ダーリン」ですが、リクエストが多かったらやるっといってましたけど、リクエストなかったんでしょうね。かかったのが去年の新春放談ですから・・・。


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