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1988.1.21 ミュージック・シティ

萩原: こんばんは、萩原健太です。ミュージック・シティ木曜日は、ヒット・ポップス・アンコール、1950年代から現代まで、さまざまな時代のヒット・チャートを賑わしてきた素敵なポップ・チューンを50分間たっぷり詰め込んで、お届けしておりますが。さて、今夜はいよいよ新春特別企画、大滝詠一、山下達郎両先生をお迎えしての新春放談1988年版、その最終回をお送りします。お楽しみに。その前に、まずリクエストをいきましょう。今日1発目はですね、新潟県新潟市の伊藤19才君からのリクエスト、黒人女性3人組、ジ・エモーションズがアース・ウインド&ファイアーのバックアップを受けて、1977年に全米ナンバー1に送り込んだ、かっこいいポップ・ソウルチューンであります。ベスト・オブ・マイ・ラブ。

 曲:

THE EMOTIONS/BEST OF MY LOVE

萩原: シカゴの黒人女性3人組でして、エモーションズのベスト・オブ・マイ・ラブでした。さて、取り急ぎですね、もう1曲ですね、リクエストかけちゃいましょう。今度は広島のペンネーム、クエスチョン湯川&ミステリアン良典君ですね、14才からのリクエスト、ロード・アイランドのファミリー・グループです。ザ・カウシルズのデビュー・ヒット、ザ・レイン・ザ・パーク&アザー・シンクスっていうね、雨に消えた初恋というのをかけましょう。1967年に全米2位、当時はですね、日本でもあれです、大橋巨泉さんとかが、「牛も知ってるカウシルズ」とかね、よくDJでぶちかましていましたけども、でですね、この曲をかけて、その次にいよいよ大滝・山下両先生登場による新春放談へと参りますんでね、その前に聴いてください。ザ・カウシルズ、雨に消えた初恋。

 曲:

ザ・カウシルズ/雨に消えた初恋

萩原: また来ていただきましたけどね、大滝詠一先生、

大滝: どうも、こんばんは。

萩原: 山下達郎先生でございます。

大滝: 少しは風邪はよくなったんですか?3週目になって。

山下: だいぶ、だいぶですね。

大滝: まだ?

山下: 声違うでしょ、少しは?

大滝: 少しはね。

萩原: 今日も、でも飴をいっぱい並べて、万全の体制で臨んでいるというね。

大滝: そうそう、歌手は喉が命ですから。

萩原: はい。なんか先週、なんか話すってね、

大滝: そうそう、そうそう。

萩原: 今週になって、なんか話すっていってたのは、

大滝: あのー、あれなんですよね、何でしたっけ?

萩原: 忘れちゃったんですけどね、すっかり。だからまあ、その話題はね、

大滝: いいねぇ、今のタイミングはね。

山下: うちに帰って、トイレいってる間に忘れちゃったのね。

萩原: 忘れちゃったんでね、ちょっとまあ、そのことは置いといてですね、いろんな話題に移りたいと思います。

大滝: 山下さんの今度のニュー・アルバムについてっていうのが、いいんじゃないですか?新春を語る上において。

萩原: あー、なるほどね。

山下: すぐそういう話に振るんですね。大滝さんの今度のニュー・アルバムは、

大滝: だって、1回も出てこないんだもの。

山下: えっ、いいじゃないですか。

大滝: あんたレコーディング中でしょ。

山下: いや、これからですよ。

大滝: 私、企画中だもん。

山下: ひでー。

萩原: しょうがないな。

大滝: レコーディング中の方が多少は早いでしょうが。

萩原: うーん。

大滝: まあ、あまり早いとはいえませんけどね、この人も。

萩原: でもなんか、どうやら、ホット・ロッドもので埋め尽くされる1枚になりそうですね。

大滝: あー、そうそう、そうそう。ホット・ロッドの、

山下: めちゃくちゃ。

萩原: インストと。

大滝: やってほしいなぁ。インストゥルメンタルは、ほんとはね、つくりたいんですよ、この人はね。もう、ウズウズしてるんですよ。

山下: 結構ギターいきますからね。

大滝: いきますよ、これが。トワンギーですよ、トワンギー。

萩原: ドラム自分で、

山下: あーあ、今週は肴か。

萩原: あのー、ツイン・リバーブの前にドラム缶を置いて、採ったという。

大滝: ていうね、そういう凝った人ですからね。今度の山下さんのアルバムはインストですよ。

山下: ホーム・レコーディングがよくなってきましたからね、最近。

大滝: あー。

山下: うちでつくれるでしょうね、多分。

萩原: あっ、そう、ほら達郎さんと別の番組いっしょにやったときに、「踊ろよフィッシュ」のインストバージョンっていうんで、

山下: はいはいはい。

萩原: エレキスタイルで弾いてきたのあったでしょ?

山下: ありましたね、そういうの。

萩原: あれよかったですね、すごくね。

山下: そうですか。

萩原: あれ、うちで採ったんでしょう?

山下: あれはうちじゃないです、あれはスタジオでやったんですよね。

萩原: そうなんだ。

山下: マルチがほら、かからないでしょ。

萩原: だから、ああいうのもついでに入れてですね、インスト・バージョンいいですね。

大滝: インストゥルメンタルのヒットって、もう出て、ギターのね、ギター・インストのヒットって、出なくなって、はや、もう何十年になるんじゃないですか?

萩原: そうですね。

山下: そういわれると、そうですね。

大滝: 何がギター・インストの最後のヒットだったんでしょうね?

萩原: ハワイ・ファイブ・オーとか、あのへんじゃないですか。

大滝: はー、じゃあ、どのへん?72,3,4年くらいかな?

山下: 純粋日本製作だったら、

大滝: 日本ではもっと前でしょ。

山下: レッツ・(聴き取り不能)ぐらいですかね。

萩原: ありましたね。

大滝: 60年代末期ですか。

萩原: ハワイ・ファイブ・オー、69年ですからね。

大滝: あぁ、やっぱりね。70年代入って、ギター・インストのヒットってのはないのかな。

山下: あの高中君とかLPは売れてますけど、シングルのヒットってのはないですもんね。

萩原: そうそう、そうそう。

大滝: あー、あったね。あとは、

萩原: あのー、マンボ5が一応アメリカでマイナー・ヒットを、どっかローカルでしたって話は聞きましたけどね。

大滝: あー、なるほどね。ギター・インストっていう意味合いでいくとそうだね。

萩原: だからやっぱりYMOに取って代わられたというのは、その時代の、

大滝: キーボードに。

山下: そうなんでしょうね。

萩原: やっぱり音がね、エレキギターが、

大滝: 唯一でも、最後の、今世紀最後のエレキ・インストのヒットを出せるのは、山下達郎しかいないんじゃないの?

萩原: そうですね、これしかいないですよね。

山下: 大滝さんやってよ、お願いだから。

萩原: そうそう、そうそう。これはいけますよね。

大滝: これ、いけんじゃないかな。

萩原: 大滝さんちょっと、多羅尾伴内楽團ですべっちゃいましたからね。

大滝: ちょっとね、なんか指が、最近ちょっとむくんできたんで、フレットがなんかね、ふたつ押さえちゃうんだ、同時に。

萩原: 私もね、1回挑戦したことがあるんですよ。見事こけましたけどね。

大滝: みなさんはご存知あるかないかあれですけど、萩原健太さんという人もエレキ・インストの実は大家なんですよね。

萩原: たいか!すべりましたけどね。

山下: すごいですね。

萩原: レコード会社つぶしたともいわれてますが、最近。

大滝: そうらしいですね。

萩原: まずいな。

山下: 自分の番組で、ちゃんとそういうのかけてますか?

萩原: えぇ、かけてないですけどね、ひた隠しにしてきたんですけどね。

大滝: やっぱり、隠してるんですよね。

萩原: インスト聴いてみません?

大滝: インストからいきましょうね。

萩原: 急にインストからいってみたくなっちゃいましたよ、急に。その、もしかしたら最後のヒットかもしれないっていうの聴いてみません?

大滝: ハワイ・ファイブ・オーね。

山下: ハワイ・ファイブ・オーですか、あまり僕好きじゃないですけど。

大滝: いい、いい。あのー、トワイライト・ゾーンっていうスピルバーグの映画のイントロでですね、曲あてをやるんですよ、車に乗ってる連中が、カセットテープが壊れてね、退屈になっちゃって。で、その曲はなんだみたいなことでやるんで、ハワイ・ファイブ・オーが出てきますよね。「ポンプポポポン、ポンプポポポン」みたいにして。

萩原: これね、僕ねベンチャーズのメドレー・レコードってつくったことがあるんですよ。

大滝: 自分で?

萩原: 自分でっていうか、

山下: フォーティファイブ全盛期にですね。

萩原: そうそう。メドレー流行った頃あったでしょう。その頃にね、まあ名前は別に自分の名前じゃなくて、

大滝: スターズ・オン・ベンチャーズ。

萩原: そうそう、そうそう。あれにあやかってですね、やったことあってね、

山下: レコード出たんですか、それ?

大滝: 出たの?

萩原: 出ました。出ましてですね、

大滝: あらっ!

山下: ほんと!もってこなきゃ、そんなの。

萩原: いやいやいや、それでね、ベンチャーズの日本公演で、即売したんですよ、それを。ひどいでしょ、でもちょっと。

山下: へぇー、売れたでしょ、でも。

萩原: まあ、そこそこなんですけど。それでね、

大滝: 昔ギタリストだったんですね。

萩原: いやぁー、それでですね、このハワイ・ファイブ・オーやるときにね、中に入れたんですけどね、ティンパニーがないんですよ。

山下: なるほど。

萩原: だから、ああいうふうにならなくてね、結局すごくせこいハワイ・ファイブ・オーになったという苦い思いでのある曲を聴いていただきたいと思います。ベンチャーズでハワイ・ファイブ・オー。

 曲:

ベンチャーズ/ハワイ・ファイブ・オー

萩原: なんかねぇ。

山下: 先週の続きという雰囲気ですね。

萩原: いや、あのー、でもこれ4位までいってますからね。

大滝: そんなに流行ったの?

山下: 最後のヒット、

萩原: 全米チャートの4位ですから、すごいですけども。でも、

大滝: インストゥルメンタルっていうと、ほら、歌がないっていう印象の方が、今ものすごく強くなったのね。お相撲とおんなじで、はじの方にいっちゃって、

山下: なるほどね。

大滝: 歌がないものはだから、なんか「あっ、歌がないじゃないか」みたいな感じで、

山下: でもさ、ヴァンゲリスとか、そういうのが依然としてあるでしょ。

萩原: まあね。

山下: だから要するに、ギターじゃなくてキーボード、要するにシンセサイザーに取って代わられてるんでしょうね、もうね。

萩原: そうですね。

大滝: エレキ・インストの一番の特徴はですね、早く終わんですよ。曲が短い。

萩原: 早いんですよね。

山下: もたない。

大滝: これが好きだな、俺。

萩原: 早いし、あと作曲が簡単でいいですね。リフ一発つくると、曲が1曲できちゃう。

大滝: それは体験上ですか?

萩原: いやいや、すみません、もうしわけない。あれで1曲、うん、

山下: そういうやっぱり伝統は、ヘビメタに生き残ってるんじゃないですか。

萩原: それはあるかもしれないですね。

大滝: ヘビメタって、でも短い?

山下: いや、短くはないですけど、でもギターのリフとがやっぱり、

萩原: 曲づくりがね、

大滝: あぁ、そういう意味でね。

山下: 勝負でしょう。未だに。

萩原: でなんか、達郎さんこれは嫌いだから、こんなのでインストを代表させるのは嫌だと言ってますからね、さらに。

大滝: ぐっと。

山下: これ持ってきてよかった。大丈夫かな、こんなのかけて?これ、カタリナスといいましてですね。

萩原: はい。

山下: 何を隠そうブルース・ジョンストンとハル・ブレインとビリー・ストレンジとジェリー・コールとレオン・ラッセルがつくってたグループで、

萩原: すごい。

大滝: うわぁー、すごいね。往年の、

山下: 全然売れなかったんですけど、これは名作です。スパニッシュ感覚あふれる、マイナーメロディー。

大滝: うわぁー。

萩原: でもあの、エレキ・インストってスパニッシュとの関連性ってのはね、深いものがありますね。

山下: やっぱり、南カリフォルニアですからね。

大滝: 今の顔ぶれはすごいですね。

萩原: ね。

大滝: 片岡千恵蔵と市川右太衛門がいっしょに出てくるような顔ぶれですね、ほんとに。

山下: 比喩がね。

萩原: ここに、今読み上げてくださったメンツってのは、やっぱりこの番組では結構要望多いところですからね。

大滝: あっ、そう。

萩原: みんな狂喜しているんじゃないかと思います。

大滝: それはよかった。

山下: 要するにバンドっつうか、これは要するにスタジオででっちあがったレコードです、あくまでも。というわけで、その名も、バンザイ・ウォッシュ・アウトというすごいタイトルのカタリナス、有名な曲なんですけど、これ。

大滝: いいなぁ。

 曲:

カタリナス/バンザイ・ウォッシュ・アウト

萩原: なんだと思ったでしょうね、これね、やっぱりね。

山下: 今の10代の人が聴いたら、なんだと思うでしょうね。

大滝: 若い人が聴いたら、あれなんじゃないかな、昔のサイレント映画のチリチリ、ちりちりって、あのおろちとかさ、剣豪が早く動く感じの、そういう古さと、同質なんじゃないかな。

萩原: なるほどね。

大滝: 苦労、無理してると思うよ、すごく。苦痛だと思うよ、俺。若い人がこういうの聴くのは。

山下: そうかもしらんね。

萩原: でも、これなんかはかなりハードですよね。

山下: これはすさまじい音圧ですよ、このシングルは。

萩原: ねぇ。ていうことを、でも感じてもらえないかもしれないですね、もしかしたらね。

大滝: 要するに、歴史の授業するのにさ、縄文とか弥生とかはいられるとわからないじゃない。

山下: 全然実感がないのとおんなじだね。

大滝: そういうような感じに聴こえるはず。

萩原: 違いがわかんないですもんね。昔のものっていうことで、ひとくくりみたいなね。

大滝: まあね。

山下: でも、ブルース・ジョンストンとかレオン・ラッセルとかいうさ、イメージ全然わかないでしょうね。しょうがないよね、でもね。

大滝: しょうがないんじゃない。

萩原: でも結構、若い頃でしょ、みんな。そうでもないのかな?

山下: いや、すごい若い頃ですよ。

萩原: そうでしょ。

山下: だから、こういうスタジオ・ミュージシャンって、みんなそういう62,3年のさ、サーフィン・ホット・ロッドで、こういうことやってて、うで鍛えて、67年ぐらいのロックン・ロール・イノベーションにいくわけですからね。

萩原: 達郎さん、でもね、ここ3週間ね、もう60年代前半までしかかかってない。

山下: かかってないんですよ、実は。

萩原: さっきのハワイ・ファイブ・オー以来きてないのでね、少しですね、ちょっと60年代後半にくるやつも、ひとつぐらいいこうかなと。

山下: せっかく持ってきたから、僕去年ね、買ったCDでね、一番好きだったやつはね、ウォーカー・ブラザーズですよ、ドイツで出た。

大滝: あら。

萩原: ようやく、

山下: やっとウォーカー・ブラザーズのCDが出たんですよね。

大滝: 65年か6年くらいじゃないの?

萩原: そうですね、それでも少しは、後半の方に、

山下: 67年かな。

萩原: 67年。

山下: サン・エイント・ゴナ・シャイン・エニモア。

萩原: いいですね。

山下: いいんですよ。これCDで聴くと、最高。

大滝: 太陽はもう

大滝・山下・萩原:輝かない。

萩原: じゃあ、これ聴いてみましょう。ウォーカー・ブラザーズで太陽はもう輝かない。

 曲:

ウォーカー・ブラザーズ/太陽はもう輝かない

萩原: これは相当いいですね。

山下: これはでもね、アナログ・テープのね、ヒスノイズを防ぐために早めにフェードアウトしちゃっててね、

萩原: もっと長かったんです?

山下: 最後の裏声がね、「フーフフフー」って、あれが出てこないのが、ちょっと一抹の不安がありますけどね、不満が。

萩原: 不満が。これ、新しいと思ってたんですけど、66年ですから、

山下: すみません。

萩原: たいしてきませんでしたね。1966年の全米13位。

山下: じゃあこれで、ブラック・ブックかけましょうか。

萩原: あはは、いいですね。

山下: 去年出た。

萩原: これね、大滝さんの大事な仕事のひとつですけどね。

大滝: そうですね。去年は二つも仕事をしてしまいまして、

山下: 大滝さん、それであれですか?あのー、シュガー・ベイブのオリジナル・マスターでCD出していただけるそうで。

大滝: それはあのー、うん、オリジナル・マスターCDという、SONGSに関してはやります。

萩原: いいですね。

山下: うれしいです。

大滝: それは、やりますから。それと同時に、ほんとはね、シュガー・ベイブの再結成のレコードかなんかも聴ければね、

萩原: いいですね。

大滝: いいですよね。やっぱ、一度はやるべきなんじゃないですかね。

山下: いや、はっぴいえんどが再結成しちゃったからさ。

萩原: そうそう、次は、

山下: あれでめげちゃったんだもん、僕。

萩原: めげちゃった。

大滝: なんでめげちゃうの?

山下: だって、

萩原: 人に先にやられちゃったから?

大滝: いいじゃないの、私が先にやってたって。

山下: だって、シュガー・ベイブとはっぴいえんどじゃ、なんか役者が違いすぎるって雰囲気しない?

萩原: いや、そんなことないですよ。

大滝: そんなことないでしょ。

萩原: やっぱ、我々の目を開いてくれた存在としては、やっぱり大きい。

大滝: はっぴいえんどがいなかった人たちは、シュガー・ベイブからって人たちは多いですよ、最近は。

山下: そうだけどさ。

萩原: ちょっと気を許していると、ミカバンドに先越されちゃいますからね、早めにやっぱり。

大滝: 俺は早めにやった方がいいんじゃないかと思うんだけど。

萩原: 思いますけどね。

山下: 一応オリジナル・メンバー5人中、4人まだ現役で生き残ってるから、

萩原: ねぇ、そうそうそう、いけますよこれは。

大滝: これをちょっとお願いしてよ。

萩原: 私ね、真剣に、

大滝: ファンなんでしょ。

萩原: ファンなんですよ。

山下: こんなんばっかり。

萩原: いやだって、もう、いいじゃないですか。じゃあ、ニュー・アルバムのレコーディング、とりあえずそっちにするってどうですか?

大滝: 後でいいよ、ニュー・アルバム。

萩原: ほんとに。

山下: ひでぇー。

萩原: だって、このまんまいっちゃったら、もしかしたら大貫妙子さんなんか、ニュー・エイジ・ミュージックの方向に行っちゃうかもしれませんから。

山下: いや、当分やり続けるといってますから、

萩原: あー、そうですか。

山下: この間対談して、そういってました。

大滝: ずいぶん、なんか情報があれだね。え?

萩原: いやいや、すっかりですね、私この前、見に行っちゃいましてね。

大滝: いや、待てよ。だから、ということは、可能性が、

萩原: そっかそっか、なるほどね。連絡は取り合ってるといえますね。

大滝: うーん、という感じがしますね。

萩原: これは楽しみなことになってきましたね。

大滝: これは楽しみですね、これは。

萩原: これはあの、フォー・シーズンズのカムバックを、みごとなカムバックをとげたときと、

大滝: カムバックしますからね。

萩原: 同じようななにかを、

大滝: やっぱり、実力のあるバンドだったら、カムバックしたときはあれでしょう、ほんとの実力ってのが出てくるでしょう。

山下: 我田引水っていうんですよ、それ。

大滝: 私の昔のペンネームだよ、それ。もってかないでくださいよ。

山下: 全然関係ないですけど、トニー谷の厚家羅漢というのは、大滝さんでしょう。

大滝: そう、私。

萩原: そうそう、そうそう。最近この名前で解説は、

大滝: そうなんですよね。昔は違う名前を使ってたんですけど、ある筋からクレームがついて以来、やめたんですよ。

萩原: やめました?

大滝: えぇ。

山下: クレームついたんですか?

大滝: クレームついちゃった。

山下: あー、そうなんだ。

大滝: オリジナルの方から。

山下: そうですか。

萩原: まあ、近い筋にいかれましたよね。

大滝: えぇ、だいたい今度はね。

山下: これはしかし、あれですね。ナイアガラ・ブラック・ブックの解説はなかなか細かくて、微にいり細にわたり、

大滝: 一応私の思いの丈を、こう不遇な時代に、

山下: 夢で逢えたらの、このライナーがなかなか泣けるものがありますけど。

大滝: あー、長かったですけどね、これがすごく。

萩原: 詳しかったですね。

山下: 確かにこうでした。

萩原: うん。

山下: えぇ、確かにこうでした。

大滝: 知らない人はなんのことか、

萩原: なんだかわかんない。

大滝: ここで山下さんも、何行か登場してるんですよね。

山下: 今から考えると、私はたいして大きいような問題ではないと思ってましたが、今見てみると、確かにこうでしたね。全然わかんないですね。ぜひこの、

萩原: ブラック・ブックのね。

山下: シリア・ポールさんのLPから。

萩原: ほほー。

大滝: 山下さんのカバーがあるんですよ。

山下: 数少ない私のカバーが1曲。

萩原: 聴いてみたいですね。

大滝: えぇ。

萩原: というわけで、大瀧詠一プロデュース、名作でありますけど、夢で逢えたらというアルバムから、ドリーミング・デイ。

 曲:

シリア・ポール/ドリーミング・デイ

萩原: いい曲でございまして、

山下: これはいわゆる、あれですよ。大滝さんニュー・オリンズがね、伝染してつくった曲なんですよね。

大滝: ドラムがそういう匂い、ニュー・オリンズ・ドラムを強引に。

萩原: そうでしたね。

山下: ディオンがニュー・オリンズ行って、歌ったらどうなるというような発想でつくった曲ですからね。

大滝: あー、ドリーミング・デイ自体がね。

萩原: トライアングルVOL.1の時のね、オリジナル・バージョンですけども。

山下: リーバー・ストーラーなんていうような人をね、ほとんど知らなかったんですよ、実をいうと。

萩原: 当時?

山下: えぇ。

萩原: はー、そう。

山下: いや、だから22,3ぐらいの時ね。するとリーバー・ストーラーってドリフターズとか出てくるでしょう。それから、

萩原: エルビスとかね。

山下: 出てくるでしょ。フールス・フォーリン・ラブって曲があって、「アッアー」ってのはね、フールス・フォーリン・ラブに出てくるフレーズなんですけどね、それちょっとやりたくて、そんなようなもんですよ。

大滝: でも、ほんとその着眼点に驚いたんですよね。もう76年で12年前になるんだけど、ナイアガラ・トライアングルVOL.1の時に、ドリーミング・デイをつくる時にね、毎日「アッアー」ばっかりいってんの、ピアノの前で。なにしてんのかなぁ。

萩原: そっからつくりはじめたんですか。

大滝: それが、だからそういう曲のつくりかたってあるでしょう。テーマがあるとかないとかあるけれど、そういう、どういうの、パートとか部分的な、部分からできる曲っていうような、うん。ライド・オン・タイムにも少しその雰囲気ありますよね。

山下: そうね、みんなそう。あれは「ほっほっほ」ってのは、あれはラスカルズなんだけど、

大滝: はーん。

萩原: 難しい。やっぱ、そのディオンの「ハッハー」と、

山下: でもイタリアン・アメリカンだから、みんな。

萩原: なるほどね。

山下: でも、「ハッハー」というのは、もともとはジョニー・ムーアの、あの時は、クラウド・(聴き取り不能)だとばかり思ってたんだけど、

萩原: フールス・フォーリン・ラブね。

山下: フォーリン・ラブのね。で、あれは、えらい曲としては40年代の、香りの濃厚な曲で、

萩原: あれはでも、見事な曲ですね。ドリフターズのバージョンもね、ほんとにね。

山下: そうですね。

大滝: ドリフターズってのは、ポップスの原形ではないでしょうかね。だから、スタンド・バイ・ミーが、あのー、またここで大きくね、昔のバージョンが10に入るなんてのは、やっぱり出来事でしょう。

山下: すごいことですね。

萩原: あれはチャート始まって以来のね、あの、

大滝: やっぱスタンダードっていうふうに呼べる範疇に入ったんですよ。

山下: 私事で恐縮なんですけど、僕なんかスタンド・バイ・ミーなんて聴いたのは、中学校2年とか3年のときでね、その時にちょっと売れたことがあるんですよ、日本で。その時にゴールデン・ヒットシリーズみたいので、ベン・E・キングのスタンド・バイ・ミーを発売したことがあって、その時に少しだけ日本で話題になったことがあって、その時のシングル僕持ってんですよ。

萩原: はぁー。

山下: あれ、エバーグリーンなんですよ、ほんとの意味でのね。

萩原: あのー、あれが流行る前にね、ベン・E・キング日本に来て、

大滝: ふん。

萩原: その時にちょうどインタビューできたんですけどね、やっぱりなんか、あの1曲で、ここまでずーっとやってこれたっていってましたよね。本人がね、はっきりと。

大滝: なるほどね。

萩原: だから、ベン・E・キングもね、ジョン・ポール・ジョーンズとかね、レッド・ツェッペリンの人とかね、ああいう人と組んでやったりしてるんですけどね、最近もね。でもやっぱり、昔の曲をもう1回歌い直したりとかね、そういう情けないことやってますので。やっぱ、あのオリジナル・バージョンの持ってる強さとかね、

大滝: あー。

萩原: 夢とか、ああいうのかなわないものがありますよね。

山下: トム・ダウドでしょ?

萩原: うん。

山下: あのレコードをさ、ベン・E・キングのあのレコードを前にして、録音部のやつらがみんな社長に説教されてたってね。「なんでうちのレコードはこうできないのか」ってね、「弦・ウッドベースのあの音が最初に出てきたときの、あの音圧がなぜうちのレコードにはないんだ」っつってね、みんな説教されたっていう有名な話が。

萩原: あれももう、リフですべて決まったっていうか、そのイントロのね、

大滝: インストじゃないけどね。

萩原: そういうものありますよね。

大滝: あるよね。

萩原: すべてね。

大滝: でもあのー、ポピュラー・ソングってそういうところなんじゃないかと思うんだよね。あのー、有楽町で逢いましょうっていう、フランク永井さんの「テリンガランガラン」のあのイントロを採るのに、なんか当時として、イントロだけで20分かけたとか、なんかそういう。よく考えてみるとね、歌詞は覚えてないけど、あのイントロのリフだけ覚えてるとかっていうのあるでしょう。それが、実はでもね、ポップ・ソングのポップ・ソングたる所以ではないかと。

萩原: なるほどね。

山下: 先週のラ・バンバなんかでもそうですけどね、スタンド・バイ・ミーがものすごく流行ってるけど、あれはむこうの、ほんとの意味でのエバーグリーンなわけでしょ。

萩原: うん。

山下: それだけの、やっぱり蓄積あるんですよね、向こうはね。

萩原: でも、確かに、そのなんていうんだろ、古いものに目を向けてるだけだと、すごくなんか、こう攻撃されがちなんだけど、今のものを見る目を面白くするためには、結構古いものをね、引っ張り出してくると、なんかいろんな発見できて面白いんですよね。

大滝: まあドリフターズは、とにかく基本の、ポップスの基本型だというふうに思うんですけど。

萩原: ドリフターズ持ってくればよかったね。

大滝: ほんとね。

萩原: さて、それではですね、次にかける曲をですね、

大滝: 次にかける曲を、

萩原: いろいろと物色してみたいですけどね、なにいこうかな。

大滝: いいですね、この辺のゆったりした感じがね。この番組が。

萩原: 去年出たのでですね、面白かった再発モノ、そう!だからその、ビル・メドレーが、

大滝: あっ。

萩原: 復活してますよね。タイム・オン・マイ・ライフっていうダーティ・ダンシングのテーマ曲を全米ナンバーワンに輝かせたですね、

大滝: 映画のサントラ。

萩原: えぇ。復活してしまいましたそのビル・メドレーが、若かりし頃の声なんかを、ちょっと聴いてみようかな、なんて気になってるんですけどね。

大滝: ほー、ビル・メドレーのね。ライチャスの頃ですか?

萩原: ライチャスとですね、フィル・スペクターとやる前の、リトル・ラテン・ループルーっていうやつを、

大滝: はいはいはい。

萩原: あれをですね、

大滝: BERRBE(?)ってやつですね。

萩原: そうそう。

大滝: あれは迫力あるね、あの人の声ってどうしてなの?

萩原: ね。あの頃がよかったって、そういういい方変だけど、

大滝: なんか力がありそうな人だね、この人。そう思わない?すごくなんかね、そういう、

萩原: あの、これの頃ですけど、フィル・スペクターになる前に、映画に出てるでしょう。ライチャスがビーチもの、ビーチもの、えーっと、

大滝: 出ました、出ました、はいはいはい。えーっと、

萩原: で、ジャスティン歌うんですよ。

大滝: 歌いましたね。

萩原: ジャスティン歌うときに、ビル・メドレーが勢いあまって、相棒の顔をコォーンて殴ってるのが、そのまま入ってる。

大滝: ほんとに!

萩原: 持ってらっしゃいます?

大滝: 持ってるはず。

萩原: ぜひそこのところで、相棒の顔を殴っちゃうとこに注目して観ていただきたいんですけど、

大滝: あぁ、そう?あの辺のビーチものの映画ですよね。

萩原: ビーチもの、一連のやつのね。で、くだらないことはどうでもいいけど、ちょっと聴いてください。リトル・ラテン・ループルー。

 曲:

ビル・メドレー/リトル・ラテン・ループルー

萩原: いやー、かっこいいですね。燃えますね、こういうのは。

大滝: 燃えるでしょ。

萩原: 燃えますね。

大滝: サラリーマンやってたことあるじゃないですか。

萩原: ありますね。

大滝: あるでしょう。鬱屈したときにいいでしょう、これ。

萩原: そうそう、そうそうそう。

大滝: なんとなくそういう感じがしますね。

萩原: もうね、騒ぎたいっていうときにね、

大滝: ね。

萩原: 上司に向かって歌ってやりたいですね。達郎さんが次かけるのを物色してますけどね。

山下: アンサー・ソングかなんかいってみますか。

大滝: アンサー・ソングいきましょうね。

山下: ウィル・ユー・ラブ・ミー・トゥモロウのアンサー・ソングとディス・ダイアモンド・リングのアンサー・ソングとどっちがいいですか。

萩原: あー。

大滝: どっちも聴きたい感じだけど、ディス・ダイアモンド・リングのアンサー・ソングはどういうタイトルなの?

山下: えーっと、ゲーリー・プリーズ・ドント・セル・マイ・ダイアモンド・リングという、

大滝・萩原:ははは。

山下: これいってみますか。これはね、ウェンディ・ヒルっていう、これなんかね、サイモン・アロンカかなんかの娘だって書いてあるんですよ、確か。

大滝: ほんとに。

萩原: へぇー。

山下: いや、ちょっと待って、サイモン・アロンカの娘はペイシャス&プロセンスだから、ちょっと待ってくださいね、どっかに書いてあるんだよね、調べときますわ。

萩原: へぇー、でもアンサー・ソング特集やってくれっていう希望、すごく多いんですよね。あれやろうと思っても、元もかけて、こっちもかけてみたいなことしないと、ほんとの面白さがなかなか伝わんなくてね。

大滝: いいんですよ、それで。

山下: そういうのは自分で探してください。

萩原: そのぐらい不親切になった方がいいんでしょうか。

大滝: いいんじゃないんですかね。

萩原: これは、ウェンディ・ヒルちゃんの、ヒルちゃんでいいんですか、女の子ですか?

大滝: ヒルちゃん。

山下: いいんじゃないですか。

萩原: この曲はレオン・ラッセルがアレンジして、

山下: おんなじ曲みたいですよ、多分。

萩原: プロデュースがスナフキー・アレット。同じオケ使ってたりするでしょう、これ。

山下: 同じオケというか、

大滝: 可能性があるでしょうか?

山下: 曲が同じだという。

萩原: はぁー。

山下: 私これ、ちょっとまだ聴いてないんですよ、買ってから。

大滝: 聴いてみましょうよ、じゃあ。

萩原: じゃあ、いってみましょうかね。ウェンディ・ヒルでゲーリー・プリーズ・ドント・セル・マイ・ダイアモンド・リング。

 曲:

ウェンディ・ヒル/GERLIE PLEASE DON'T SELL MY DIAMOND RING

萩原: なんか凄かったですね、おなじ曲でしたね、やっぱりね。

山下: でしたね。

萩原: オケは違うけどね。

大滝: 大砲の音が入ってましたね。

萩原: 凄かったですけどね。

山下: やってんですよね。

萩原: というわけでですね、

大滝: そろそろなんか、締めの時間ですよね。

萩原: そうですよね。終わり向かわなくちゃいけないというね、まあ、そんなわけでですね、3週にわたって、

大滝: 盛り上がったエンディングを迎えましたね。

山下: 今年が一番凄かった。

大滝: 今年?

山下: うん。

大滝: はー。

萩原: 5年目にして、

大滝: 5年目でねー。

山下: すごいね。

萩原: そうですね、みんなわかったでしょうかね、聴いてる人?

大滝: わかんないんですよね、いつもこれで顰蹙かっちゃいますけどね。

萩原: そうですか。

山下: 今年がとりわけ凄かったですね。

萩原: まーね。

山下: 私の記憶からしても。

萩原: それではですね、来年につなげたいと、

大滝: 顔が青ざめてますけど、

萩原: 来年まで、私がここにいればいいなと気もいたしますけどね。そういうわけでですね、今日最後にどの曲がいいだろうかと、3人で協議をした結果ですね、

大滝: 協議をした結果。

萩原: いろいろあったんですけどね、最後は順当に美しいインストで終わろうかということでですね、これをちょっと聴いていただきたいと思います。サント&ジョニーというね、これはスチール・ギターをフューチャーした2人組のインスト・グループです。インストになってしまいましたね、最後は、結局ね。

大滝: 最後まで、やっぱあなたが一応司会だから。

萩原: そうか。

山下: そうです。キング・オブ・インストですから。

萩原: いってみたいと思います。サント&ジョニー、スリープ・ウォーク。

 曲:

サント&ジョニー/SLEEP WALK

萩原: というわけでですね、3週間にわたってお送りしてきました新春放談ということでですね、大滝詠一さんと山下達郎さん、わざわざ3回もお越しいただきまして、ずっと風邪をひいたままやっていただきましたけど、どうもありがとうございました。

大滝: どうも、おじゃまをしまして、ほんとに。

山下: こちらこそ。

萩原: 楽しく、きっとリスナーのみなさんも楽しく過ごしてくださったことと思います。

大滝: 今年もみなさんにとって、よいお年でありますように。(ここでテープが切れました)

 先週のシュガー・ベイブのバックでサーフィン踊りしているユーミンについては、何の話もありませんでしたが、SONGSのオリジナル・マスターによる再発の話の中で、シュガー・ベイブ再結成の話が出ています。94年の(なんと88年から6年もかかった)再発時に、「達郎 SINGS シュガー・ベイブ」という企画がありましたが、これは、この日の放送も影響しているかもしれませんね。今度はほんとに、シュガー・ベイブの再結成を期待しましょう。

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