logo.gif

1989.1.5 ミュージック・シティ

萩原: こんばんは、萩原健太です。ミュージック・シティ木曜日は、ヒット・ポップス・アンコール、1950年代から現在まで、さまざまな時代のヒット・チャートを賑わしてきた素敵なポップ・チューンをたっぷり詰め込んでお送りする45分間です。年があらたまりました今年も、昨年以上にご愛聴をよろしくお願いいたします。さて、お約束のとおり、今年もミュージック・シティ木曜日、1年の幕開けは大滝詠一、山下達郎両巨匠をお招きしての新春放談であります。去年同様、どんな話が飛び出して、どんなふうにあちこちに飛んでいくか、予断を許しませんが、とりあえず、今年最初のリクエスト曲をお届けしましょう。この曲のあとで、大滝、山下両先生の登場であります。東京都豊島区、山之上巧さんからのリクエスト、1973年に全米チャートで65位と、順位的にはちょっと地味なんですけど、1年を始めるにあたっては、なかなか景気のいい曲って感じであります。僕も大好きです。今度は本気だぜという感じのナンバーですね。タワー・オブ・パワー、ディス・タイム・イッツ・リアル。

 曲:

TOWER OF POWER/THIS TIME IT'S REAL

萩原: というわけで、ついにやってきてしまいました。新春放談のお時間でありますけど、今年も来ていただきました、大滝詠一師匠、

大滝: どうも、よろしくお願いします。

萩原: よろしくお願いいたします。山下達郎先生です。

山下: ひとつ今年もよろしく。

萩原: というわけでね、去年もこの番組であけてしまいましたが、

山下: 何回目になるんですか、これで?

大滝: 始まり方、いつもいっしょなのね。

萩原: いつもいっしょです。去年のものをここに持ってきても、あまり変わらないといいう。

大滝: 去年もって、

山下: このまま1年間据え置きでも、

萩原: 据え置きでもいいっていわれて。達郎さんが何回やったんですか、これ?

山下: 私3回やりましたよね。最初の年からやりましたから、僕3年やりましたから3回でしょう。それで次は佐野君が1回やって、

萩原: で、去年、今年と。数えると、

大滝: 6周年!

山下: 6回目。

大滝: 6周年を迎えましたね。

山下: すごいですね、長寿番組ですね。

大滝: ほんとですね。

萩原: お正月はこれがなければということですけどね。えー、というわけでですね、去年もそうだったんですけど、基本的には、いろいろやまのように出た再発レコード、その他ですね、いろいろ集めて、聴いていこうというね、

大滝: 毎年説明がいるよね、この番組。

萩原: あいだ1年あいちゃいますからね。まぁ、そのような趣旨なわけなんでありますけれども、今年はちょっとやっぱり、とりあいですね、去年と違って、おふたかたともですね、一応動きがあったという、

山下: 私は毎年動いてますよ。

萩原: あっ、そうか。えー、てのがありましてですね、

大滝: すみません。

萩原: その辺の話から、ちょっといきたいななんて思ってるんですけど、とりあえず、どちらからいきましょう?

大滝: それはもう、派手に動いた人から。

萩原: 派手に!派手に、あのー、何年ぶりのニュー・アルバムですか?

山下: 2年半ぶりです、すいません。

萩原: 2年半ぶりのニュー・アルバム。

大滝: 何?何年ぶりのニュー・アルバムって日本語あるの、それ?

萩原: あっ、そう、おかしかった?

大滝: 大笑い。

萩原: 「僕の中の少年」ですけどね、

山下: おかげさまで。

萩原: 売れましたね。

大滝: 売れたねー。

山下: おかげさまで。

大滝: 大成功じゃないですか?

山下: おかげさまで、

萩原: よかったですね。

山下: これもひとえに全国のみなさん、ありがとうございました。

萩原: 僕、あのー、米米CLUBっていうのをね、プロデュースやったんですけど、

山下: はい、よかったですよ、あれ。

萩原: いや、どうもありがとうございます。発売日を決めるにあたってですね、男闘呼組と達郎さんを避けなくちゃいけないというね、

大滝: 何考えてるの、あなた?よしなよ、そういう考え方。

萩原: そうしなきゃ、だめだと思ってですね。思ったらみんな臨発になっちゃいましてね、

山下: うん。

萩原: 正当に出したら、何もなかったんですが、1位が獲れなくてですね、とんでもないことになりましたけどね。というわけで、今日ちょっとこれ、達郎さん、聴かせてもらいたいんですけど、

山下: えぇ。

萩原: なんと!

山下: せっかく、こういう新春放談ですからね、要するに、巷でどこでも聴けるようなものを持ってきてもつまらないと。

萩原: やった。

大滝: えっ!

萩原: きましたよ。

山下: 大滝さんがそういうこというと、白々しいと思うんだけど。

大滝: 例えばレコード逆回転するとか、

萩原: 違う違う違う、それ違う。

大滝: そういうんじゃないの、違うの?

山下: どうして、そうあれなんでしょうね。えー、あのですね、この中にマーマレイド・グッドバイという曲があるんですが、

萩原: はい。

山下: テイクがふたつあるんです、実をいうと。

萩原: というのは?

山下: 全く演奏の違うテイクがありまして、

萩原: えぇ。

山下: デジタル・レコーディングでしょ。これの、レコードに入っているのは、デジタル・レコーディングなんですけど、

萩原: はい。

山下: 16チャンで録ったやつがあるんですよ。

萩原: 16チャン、アナログ。

山下: えぇ。で、各種取材でもいってますけど、デジタルの音に非常に辟易とした時があって、デジタル・レコーディングはちょっと嫌だっつって、16チャン買ったんですよ、僕。で、16チャンでリズムを録ったんです。で、それは結局これには入れなかったんですけど、その後、いろいろローパス・フィルターとかね、いろいろ改善して、デジタルでなんとかなったんで。16チャンで、全く、だから違うテイクが1個あるんですよ、何曲かね。

萩原: えぇ、えぇ。

山下: で、今日それ持ってきましたんで、ラフ・ミックスなんで、あんまりちょっと、一応DATですけど、ラフ・ミックスなんで、あんまり、

萩原: さぁ、大変だ。用意用意、準備準備準備準備!

大滝: いやー、これはすごいよね。

萩原: いやー、だんだん新春放談、立派な番組へと成長しつつありますね。

大滝: これは貴重な番組になりましたよね。

萩原: きましたねぇ。

山下: 一応、歌入れも全部やってあるやつですんで。

萩原: さぁ、ラジカセ、ラジカセ、ラジカセ!

山下: 聴いてみてください。

萩原: はい、じゃあ紹介してみてください。

山下: じゃあ、マーマレイド・グッドバイ。

 曲:

山下達郎/マーマレイド・グッドバイ

萩原: やったぁー。

大滝: いやー、

山下: なんですか?

大滝: 早々ね、こういうもんが聴けるとは。

山下: サックス・ソロだけは、デジタルと同調、同期して、

萩原: 同じものを?

山下: 写してありますけどね。あとは、演奏が全然違います、全部。

萩原: 大滝さんどうですか、これ?

大滝: いや、出た甲斐があったよ、番組に。

萩原: なんなの。

山下: よくわかんない。

大滝: いいもん、聴かしていただいてね、ほんとに。

萩原: 達郎さん、今ツアーをね、

山下: あー、してますね。

萩原: やってる真っ最中で、このニュー・アルバムの曲と、ポケット・ミュージックの曲と、

山下: えぇ。

萩原: あとは、わりと古い曲を中心に、

山下: そうですね、10年以上前の曲ばっかりですね。

萩原: なんか理由あるんですか?

山下: ないんですけど、久しぶりに、今回はツアー久しぶりなんですよね。その前は、でもね、毎年比較的コンスタントにやってたんですよ。そうすると、なんつうか、ルーティーン化するというのかな、わりと新しい曲というか、82,3年以降の曲というかな、ここ4,5年の曲ばかりやってたからね。

萩原: うん。

山下: もうだって、LP14枚でしょう。

萩原: うん。

山下: だから、120曲ぐらいになるんですよ。だから、少し、

大滝: すごいね。

萩原: 大滝さん、もっとありますよ、きっと。

大滝: 小林亜星さんみたいね、関係ないか。

萩原: なんなんですか、それ?

大滝: ほんとに曲数多いわ。

山下: だから、昔の曲、やってないから、ずっと。もう5年も6年も。だから、少しやってみようかなって。

萩原: あのー、音楽的な、こう肌触りとかね、目指すというか、できあがりのその感触とかが、わりと昔のやつに近くなってるとこあるでしょう、今度のアルバムなんかはね。

山下: そうですね。どんどんそうなってきてるみたいですね。

萩原: そういうのも、もしかして、反映されてるという感じ?

山下: あのー、なんかこう、ほら、盛り上がるとかさ、受ける、あのー、なんつうの、のるとかあるでしょ。

萩原: うん。

山下: そういうのが、だんだん嫌になってきて、

萩原: はぁ、はぁはぁはぁ。

山下: なんか1曲目から総立ちになるとか、そういうのすごい嫌でね。1曲目から総立ちになったら、もうできないなと思ってやってるんですよね。

萩原: あー、そう?

山下: えぇ。

大滝: うるさいんだからな、これが。

萩原: なかなかね。

山下: まぁ、そういうことないですけど。だから、なんつうかな、のるよりも聴かせたいというか、のらせるより、聴かせたいというか、そういうので、なんかだんだん、そういう感じになってきちゃったんですよ。

萩原: 達郎さん、それであのー、この僕の中の少年、去年出したのと、あのー、私これ好きなんですけど、

山下: あー、そうですか。鈴木君のやつですか?

萩原: 鈴木雅之さんのラジオ・デイズというね、やつをプロデュース、半分ぐらい、

山下: 半年もかかって、3曲しかできない。

萩原: 去年の、それであのー、この新春放談で、達郎さんがAngel Babyへのオマージュを書いたって、ロージー、

山下: はいはいはい、いいましたね、そういえばね。

萩原: そうそうそう。その曲があるんでね、これは僕はですね、あのー、家でですね、

山下: えぇ。

萩原: 家で自分のベスト5とか、子どもの頃つけてませんでした、ベスト10とか?

山下: えぇ。

萩原: 私まだやってるんですよ。

山下: あ、そう?少年ですね。

萩原: それでですね、この、これからかけるですね、鈴木雅之さんの、

大滝: 君の中の少年ね。

山下: 奥さん大変だ、ほんとに。

萩原: いえいえ。あのー、おやすみロージーというね、これがですね、赤丸初登場1位を獲得した時期がですね。

山下: なんだそりゃぁ。いいよね、そういうの、でも、ほんとに。ほんとはね、LP半分やるっつう話で始めたんですよね。でも、なんか何ヵ月たってもね、延々進まなくて、スタッフから「もうダメ」とかいわれて、3曲しかできなかった。

萩原: でも、ある意味ではあれでしょ、達郎さんがこうボーカルで、達郎さんのボーカルのスタイルってのもあるんだけど、ではないところのものを求めたというか、感じあるでしょ。

山下: そうですね。やっぱりドゥー・ワップに関しては、自家訳注ですからね、彼は。

萩原: そうですよね。

山下: そのー、一切、要するにその、説明を必要としないというの、自分のフィーリングっていうので、要するに、この曲っていうと、おやすみロージーって、いわゆるドゥー・ワップですけど、それを持ってけば、自分の物として歌えるという、それはもう。で、彼は実にそういう意味ではね、ほんとの意味での、ちゃんとしたというのはおかしいけど、いわゆるドゥー・ワップの音ってあるんですよ。

萩原: あぁ。

山下: そういう、音のきっちりくんだドゥー・ワップの音って、やったことないんですよね。

萩原: ほんとうのやつはね。

山下: うん。

萩原: 確かにね。あのー、レコードではやってないですよね。

山下: うん、だから、それふうの曲はありますけど。あと、カバーとね。オリジナルとして、ほんといわゆるドゥー・ワップのルーティーンというかな、そういう様式持った曲というのは、あんまりやったことないんですよね。

萩原: 彼らをレコード・デビューさせたですね、最初の張本人は、こちらにいらっしゃいますけどもね。ちょっとそれを含めて、聴いてみたいと思いますけどね。

山下: ほんとは、自分で歌ってるやつがあるんですけどね、どっかいっちゃったんですよ。

萩原: 持ってきてくれないんですからね。あの、3週間ありますんで、もし気が向いたら、持ってきてくださいね。えー、鈴木雅之さんで、おやすみロージー。

 曲:

鈴木雅之/おやすみロージー

萩原: いやー、大好き。

山下: これはよくできた。

萩原: 素晴らしい曲ですけどね。

山下: これでね、ほんとはね、このラジオ・デイズというLPが、半分やれば、A面だけ僕がやるっていうね、予定で、

萩原: うん。

山下: そしたら、A面の一番最後に、そのロージーのね、SPで、そのーなんというかな、ドゥー・ワップってほとんどSPなんですよ、レコードって。

萩原: えぇ、もとはね。

山下: だから、そのSPから出てくる音で、針があれして終わることにしたかったんですけど、

萩原: チリチリチリという。

山下: その音源素材もつくってたんだけど、結局使ってくれなかった。

萩原: あー、こちらが使われてしまった。

山下: で、持ってきた。だから聴いてみてください。

大滝: また!

萩原: きましたね。

大滝: これがねぇー。

萩原: じゃあ、ちょっとそれ聴かしてください。

 曲:

鈴木雅之/おやすみロージー(SPレコードバージョン、終盤部のみ)

萩原: まぁ、いろんなこと考えてるわけですね。これは、あのー、似たようなこと大滝さんも、ソロ・アルバムの1枚目で、

山下: ありますね。

萩原: いかすぜ!この恋、やってた覚えがありますけど。

大滝: やりましたけどね。

萩原: あの時はカセットでしょ?

大滝: ラジオ音を入れたんですけどね、アルバムに。で、それをラジオでかけたら、どうなるって、くだらないこといいましたけどね、当時。

山下: これは、ほんとにSPから出てる音なんですよ。

大滝・萩原:はー。



山下: あの、普通のアンプのスピーカー・アウトからね、トランデューサーという機械がありまして、それを発信する機械があって、それの上に、SPの針を、プレーヤーの針を置くんですよ。そうすると、SPのスピーカーから音が出てくるって機械があるんですよね。

萩原: へぇー。

山下: それでスクラッチは、ほんとにエンジェル・ベイビーのロージー&ザ・オリジナルズのエンジェル・ベイビーのスクラッチ・ノイズをサンプリングして、それをいっしょに出してるんです。

萩原: 凝っちゃってもう。

大滝: 凝ってるねー。

萩原: 大滝さん、カセットに入れて、カチャって再生しただけなのに。

山下: あんなの、時代が時代だもん。何年前?

大滝: だんだん、あれですね、凝り方も時代とともに、あれですよね。うーん。

萩原: 面白いものを、今日は。

大滝: それがラジオ・デイズということだったんですかね。

萩原: あっ!

山下: うーん、

大滝: 一応は。

山下: ラジオ・デイズって、僕が決めたタイトルじゃないんですけどね。これはディレクターが、

大滝: 山下君が決めたにしては、珍しいなと思いましたけどね。

山下: 僕じゃない。だから、それは僕はプロデューサーじゃないんです。だから、曲のことはやってますけど、全体のトータルプロデュースは僕じゃないですからね。

大滝: なるほど。

山下: そのディレクターの人が、

大滝: これで疑問が氷解しました。

萩原: と、疑問が氷解した大滝さんにですね、

大滝: ところで、

萩原: 話を移してみようかなと、

山下: そうですよ。

大滝: えっ、もう移っちゃうの?私何もないよ。

萩原: そんなこたぁない。んなこたぁないですよ。えー、ルビルビ・ドゥビドゥビがありますけどね。

大滝: あっ、ルービーとオリジナル、違うか。

萩原: 違う違う。

大滝: ルービーとロマンティックス。

萩原: あのー、大滝さんもあれですよね、あのー、

大滝: CDがあるんですけど。

萩原: あっ、そうね。久々のあれですよね、アイドル・ポップ。

大滝: アイドルもの。

萩原: 今回は、まぁ映画音楽ってこともあって、結構、

大滝: あのー、和田誠さんということで。で、いわゆるあのー、映画をね、観るようになったのも、小林信彦さんとか和田誠さんとか、そういう本を読んで、それで、古い映画とか観て、それでこう、理解が一層深まったというかね。だから、そういうことがあるんで、そういうお話をいただいて、一度、だからそういう話であれば、これはまたとない機会だと思って。

萩原: 今回も結構凝ってますよね、だからね。

大滝: うーん、でしょうかね?普通にやったんですけどね。

萩原: あのー、面白かったのは、まぁ、すでにベスト・テン番組とかいろいろ歌番組に、もうすでにこう、出てきてて、やっぱその流れの中で聴いたときの、この曲っていうのは、面白い響き方してますよね、やっぱり。

大滝: ほんとは、映画の中だけで使われてもらえれば、ほんとによかったんですけどもね、ほんとうは。

萩原: あー、まぁそうですよね。その辺、でもこうあれでしょう。両立させるの難しかったでしょう、ある意味では?

大滝: だから、そう両立も考えなきゃいけないでしょう。例えばだから、あのー、映画だからってことで、ぐっと強引に押そうと思えば押せるわけなんだけど、なんていうの、テレビとか出て、歌ったりもしなきゃいけないし、なんか凄く難しかったですよね、そういう意味ではね。

萩原: で、まぁその、折衷のところに、

大滝: 折衷のところでしたよね、ちょうど。

山下: 大滝さんのつくる音は、テレビで再現するの難しいでしょ。

大滝: 音自体はね、前からやっぱりここ7,8年ぐらいの。それは、だから歌う人に気の毒でね。

萩原: はぁはぁ。

大滝: で、それはもう、山下君も同じことで、よくわかっていると思うんだけど、とびっきりの音をレコーディングでつくっちゃって、そのカラオケで気持ちよく歌うわけだから、それと同じオケには、絶対なり得ないわけなんですよね。

萩原: そうですよね、なるほどね。

大滝: そういうライブってのは、すごく歌う人が、こういうんじゃない、こういうんじゃないって思ったりするからね、歌う人は大変なんですよね、そういう意味では、ライブはね。レコードは、よく彼女は歌ってると思いますよ。

萩原: でも、あのー、ほんとに久しぶりのレコーディングというか、

大滝: レコーディングはね、クレイジー・キャッツ以来でしたからね、

萩原: あー。

大滝: 3年ぶりぐらいですかね。

山下: あれもう、おととしですよね。

萩原: すごいですね。

大滝: 85,6年ぐらいですね。

山下: トニー谷以来ですかね、だから。関係したのは?

萩原: スタジオにこもったのは。

大滝: レコードをね、一応昨年は、トニー谷のざんすミックスというので、スタートしましたから。ああいうもんで、ずっとお笑いの路線をいってましたけど。

萩原: 今年はキュートなポップスものにきたわけですけど、今日はちょっとボール・ルーム・バージョンというのでね、

大滝: これ、シングルで、あのー、いつもラジオとか、そういうとこでかかってるものではなくって、特別なバージョンで。

萩原: これの方がですね、途中のサビなんかのところが、遊び心の部分とかね、

大滝: ぐっと。

萩原: 結構いろいろ聴こえてきたりしてね。

山下: これ、どう違うんですか?その、ボール・ルーム・バージョンって。

大滝: これは、ボール・ルーム・バージョンはですね、一発録りの音なんです。

山下: ふーん。

大滝: で、シングルで出したのは、えーっと、ドラム以外を全部、少しクリアにしようということで、全部ダビングして、

山下: はぁー、なるほど。

大滝: で、少し、ほんのちょっと、ビートを少しつけたというか。で、こっちはもう、ゆったりめに、聴いてるとのんびりしちゃうというか。これをだから、あれなんですよね、ちょっと長くなって申し訳ないけど、

萩原: いやいやいや。

大滝: 映画館なんかで、そのレコード・バージョンをそのまま聴くとね、しらけるんですよ。

山下: 確かにね。

萩原: はぁー。

大滝: で、それから、外向きのテンポっていうのは、やっぱちょっと速くて、1時間半ぐらい座ってて、聴いてるとね、速いテンポやられると、落着かないんですよ。で、映画館で聴いて、ちょうどいいテンポっていうのを、テレビとかそういうとこで聴くと、ほんとに遅いんです。何年か前のというふうに、どうしてもなっちゃうんですよ。

萩原: はぁー。

山下: 確かにね。

大滝: ほんとに。で、同じテンポでのりを変えて、やってみたんですよ。ゆったりしたのりと、ちょっとアップテンポののりと。そういうことができるのかどうかっていうことを、ちょっとやってみたんですけども。

山下: 深い。

萩原: 深い、さすがですけどね。じゃあ、そのボール・ルーム・バージョンで聴いていただきたいと思います。

 曲: 小泉今日子/快盗ルビイ(ball room virsion)

萩原: キョンキョンでしたけども、これあのー、途中のやつでですね、こう、順番にいろいろ、サビのところ、裏にタンゴが入ったりとか、

大滝: 「好きよ金銀サンゴ」サンゴということで、左チャンネルから、ビヨンド・ザ・リーフという、珊瑚礁の彼方にという、ひとふしが、

萩原: スティール・ギターがひとふしね。

大滝: えぇ、そのためだけに、来てね、「ビヨンド・ザ・リーフ」って弾いて、「どうもありがとう」、「えっ、これだけですか?」って帰っていきましたけどね、

萩原: そのあと、タンゴってのがでてきたので、

大滝: タンゴが入って、「タッタッタッタ」って、あの人がバンド・ネオンの大御所の人なんですけど、

萩原: これだけで。

大滝: 今までのレコーディングで最短時間だったんじゃない?「タッタッタッタ」、「どうもありがとうございました」これでおしまいだもんね。

萩原: それでまぁ、ひとつとばして、キッス・オブ・ファイアのとこで、キス・オブ・ファイアのあのアレンジがね、入って、

大滝: 「チャンチャンチャンチャンダガダンダガダン」ていうね、キッス・オブ・ファイアっていう曲で、

萩原: 私、ひとつだけ、どうしてもわからなかったのがですね、

大滝: わからなかった?疑問点が、

萩原: サファイアってとこの後ろになんか、サイケな音が入ってるんですが、

大滝: えぇ、左側に。一応、あれは意図としたのは、あれはあのー、電気シタールなんですけども。で、サファイアっていう曲のついたタイトルの、あまり有名な曲っていうのは、あまりなかったんですよ。で、ほんとに探して、そしたら、ポール・モーリアかなんかで「サファイアの瞳」って曲があって、その中に、それはインド映画の曲、なんか主題歌って書いてあったんで、まあ、インド映画だからシタール、実は楽曲知らないんだよ。

山下: サタジット・レイとか出てるんじゃないですか、ひょっとして。

萩原: そういうんじゃないような気がするけどな。

大滝: なんか知らないけどね。で、曲聴いて使えそうなフレーズ、無理矢理強引に入れて、

萩原: こりゃぁ、わからなかったな。

大滝: わかんないでしょう。私もわかんなかったんだけど、一応でも、あれがサファイアなんだ。

山下: それは詩が先なんですか、つうことは?

大滝: これはね、断片ができたんですよ、詩の。一番最初に、「キッス・オブ・ファイア」のところが、「欲しいのはサファイア、それとも素敵なキッス・オブ・ファイア」だったかな、それができたんで、それで、断片を2,3個いただいて、それで曲をつけるっていう、そういうやり方をしてみました。

山下: ちなみにB面は違うんですよね、オリジナル・シングルは?

大滝: オリジナル・シングルのB面は、

山下: B面は大滝さん書いてないでしょ。

大滝: えぇ、私は、

萩原: あれは和田さんが作詞作曲なさったんですよね。

大滝: 和田さんの、この方は多才な方で、

山下: AB書かないっていう、すごい。A面しか書かない。

大滝: えぇ、A面で恋をしてっていうことですからね。全然関係なかったか。

萩原: なんだ。

山下: それで、大滝さんのLPはどうなんですか?

大滝: えっ!

山下: 新しいのどうなんですか?

大滝: そっちに振るの?

萩原: うん、そうそうそうそう。

山下: 振りますよ。

大滝: いやー、山下君のだからこの、僕の中の少年、ぐっと聴かしていただいて、

萩原: はい。

大滝: これはやっぱり、2年ぐらい聴いてからじゃないと、つくれないなっていうぐらい、すごい大作でしょ。

山下: よくいうよ。そろそろ、年回りとしては、今年はナイアガラ・トライアングルの年だって話があるんですけどね。

萩原: 去年だったという噂もありましてね。

大滝: ナイアガラ・トライアングル、誰かやってくれない?

萩原: ひでぇなー。

大滝: ナイアガラ・トライアングル、バトンタッチしてくれないかなぁ?

山下: しょうがねぇなぁ、ほんとにもう。

大滝: 全然、版権とかそういうこと考えないから、誰か。山下君がナイアガラ・トライアングルやってくれたりしたら、ほんとにうれしいけどね。

山下: VOL.3?

大滝: うーん。

山下: しょうがないな、ほんとに。

大滝: そう、代移してって、その次、佐野君がナイアガラ・トライアングルやってくれるとか、そういうことでも、

萩原: 世襲制になるわけですね。

大滝: いや、世襲制ってわけじゃないんだけど、

山下: じゃあ、それはいいとして、

大滝: いいとして、

山下: 大滝さんの新しいLPはいつになるか。

大滝: 1991年の3月21日。

萩原: ハハハ。

大滝: これもう、何年いってたかな?

山下: だったら、今ごろから取り掛からないと、だめなんじゃないの、もう?

大滝: 来年からで間に合うんじゃない?

山下: あ、そうか。

大滝: 来年がね、来年の4月13日が、ロング・バケーションの「君は天然色」を録音して10年目なんですよ。

萩原: はぁー。

山下: 自分だけがそうやって、

大滝: すみません、来年の4月13日にレコーディングを始めようと思ってるんですけど。

萩原: そうですか。

山下: それで3.21に出るかな?

萩原: 出るかなぁー?

大滝: 出るでしょう。あの頃も4月に出そうと思って、翌年の3月でしたからね。

萩原: あの頃だったから、それで済みましたけどね。これはわかんない。

山下: これはすごいわ。

大滝: それじゃあ、やっぱり、今年の夏ぐらいから、少し下準備を始めようかなと思いますけどね。

山下: 曲ぐらいつくっておいた方が、いいんじゃないですか?

大滝: ほんとにね。ください、カバー。

山下: よくいうよ。

萩原: もう、この際、

大滝: いただいて、いいんじゃないかというね。

萩原: いただいて、

山下: よくいうよ。

萩原: 全部カバーでもいいですから。

大滝: カバーでね。

山下: 大滝さん、そういう、人のカバーでレコードつくろうとか思ったことないんですか?

大滝: つくってよ。

山下: いやいや。

大滝: もらってもいいじゃん、ねぇ。

萩原: 達郎さんが作曲して、

大滝: いいんじゃない。

萩原: 大滝さんが歌う。すっげーな、それ。

大滝: 竹内まりや作詞、山下達郎作曲。

山下: 大滝さんって、考えたら、人の曲で、日本の人の曲をLPに入れたことないですよね。

大滝: 日本のはないですけどね。

山下: 向こうのはね、あれですけど。

大滝: うーん。日本のでやりたい曲は何曲かあるんですけどね。

萩原: 達郎さん、今回あのね、東京ラプソディーのメロディーなんか、中に入れたりなんかしてですね。

大滝: うん、これはすごくあれでしたよね。あのー、アイディアといい、作品といい、秀逸ですよね。

山下: 大変だったんですけどね。あのー、あれのクリアがね、版権の。

大滝: はーん。その辺、でも、

萩原: でも、なんていうのかな、ほら、例えば、今までロックとかね、いわれるフィールドの人達っていうのは、これまでの日本の音楽っていうのをカットして、すべてこう、それを切り捨てたうえで、何か始めるみたいなね、とこからやってたとこがあったと思うんですけど、

大滝: そうですね、私たちはもうね、見事に切り捨てて、

山下: そういう時代ですからね。やっぱ、僕も大滝さんと同じで映画、僕の場合、戦前の日本映画ばっかり観てたときがあってね、昭和10年代の日本映画ってトーキになったばっかりでしょ。そすと、そのなんていうの、監督の映画が若かったでしょ。今の我々、今のというか、もうちょっと前ぐらいのね、洋楽を一生懸命導入してやってた頃と、すごい発想が似てんだよね。やっぱり、ねたみみたいな、俗にいうネタっていうの、なんつうかな、外国で自分が観て、感動した映画のここのシーンをさ、それをまた時代劇へ移し替えてとか、そういう、要するに精神というかな。それで、トーキがうまれて6,7年しか経ってないときだから、いってみれば、まさにデジタルがね、レコーディングで、そういう要するに、意識的なもので、すごい近似点感じたから、こういう感じになった。

萩原: なるほどね。

山下: やっぱり、映画からの影響ですね、それも。

大滝: これはでも、あれですよね。山下達郎宣言とも呼べる、ひとつの山下君の活動のなかでの、ひとつのあれですよね、ポイントでしたよね、このアルバムは。

山下: くすぐったくなりますけど。

大滝: そう思いません?そういうんじゃないんですか?

山下: そんなにこう、大袈裟な、その、だいそれたその、

大滝: だいそれた、

山下: ものでもないんですけどね。

大滝: インタビュー読んでると、かなりだいそれた感じがしましたけどね。

萩原: 私も書いた覚えがありますけどね。

山下: 文章になると、大袈裟になるという。こんなことを「こーんな」に書くから。

大滝: ハハハ。

萩原: そんなことないですよ。あのー、ね、今カバーって話が出たんですけど、実はあれですよね、この番組にも結構ね、「せっかくお二人で来るんだから、歌ってくれ」とかね、いろんな要望あったんですけど、

山下: はぁはぁはぁ。

大滝: うまいね、台本もないのに。

萩原: いえいえ、

山下: ほんとだね、すごいね。

萩原: あのー、以前、

大滝: 大人になったね。

萩原: どうもありがとうございます。

山下: かなり前に、

萩原: かなり前になりますけど、話題を呼んだ、セッションがありましたけど、

山下: あれはNHKですよ。

萩原: ね。

山下: ニュー・サウンズ・スペシャル、

萩原: やった。

山下: 山下達郎の世界。

萩原: ありましたね。

山下: そこで1日大滝さんにお願いして、エバリーのね、カバーを1時間やった事があるんです。

萩原: エバリー・ブラザース。

山下: 覚えてるでしょ?

大滝: ありましたっけ?

萩原: また。

大滝: どうもね。

萩原: あの時はフリート・ウッズなんかもやってたんですよね。

山下: そうですね、フリート・ウッズ2曲カバーして、

大滝: あー。

萩原: すばらしいものが、

大滝: やりましたっけ?

山下: やりましたよ。

大滝: ディス・ダイアモンドリング?

山下: 違うと思う。

大滝: ちがうね。

萩原: おいおい。

大滝: どうしたんだろうな。

萩原: カム・ソフトリー・トゥ・ミーとかやってましたけどね。

大滝: ああ、そうか。

萩原: あのー、そのなんと、それもテープがここにあるということでですね、

山下: そうですね。

萩原: 今日はせっかくお二人来てるんでですね、2人で歌わないで、テープをかけるというのもなんか悲しいものがありますけどね。

大滝: おなじようなもんでしょう。いやー、声が若いよ、私の、少なくとも。

萩原: でも、大滝さんの声しばらく聴いてないから、忘れちゃったよ、歌声。

大滝: 情けない、声を忘れられてしまった。

山下: しょうがない。

萩原: 今日は何がいいでしょう?

山下: 来週かけますけど、ロイ・オービソンが亡くなったんでね、

萩原: はい。

山下: ロイ・オービソンがカバーしている、カバーというか、どっちが先ですかね、エバリーとロイ・オービソンと、ラブ・ハーツは?

大滝: えー、エバリーじゃないんですかね、作家から見てると。

山下: でしょうね、で、ロイ・オービソンがやってますから。僕は大滝さんからあの曲を教えてもらった。

萩原: はぁー、そうなんですか。

山下: ので、ラブ・ハーツなんかをかけてみたいと思うんですけど。

 曲:

大滝詠一、山下達郎/LOVE HURTS

萩原: なんか、懐かしい気持ちになってしまいましたね。

大滝: 懐かしいですね。いつでしたっけ?

山下: いつでしたかね?81年とか82年、81年だと思ったの、確か。

大滝: えっ、ほんとに!

山下: うん。

大滝: あ、そう?

萩原: 昔ですね。

山下: そのぐらいだと思いますよ。

大滝: 8年前。

山下: 7年前、あぁ、8年前。夏ですからね。

大滝: えっ!

萩原: やったぁ。

大滝: もう8年も経ってしまった。

山下: 81年っていってる、向こうで。

大滝: ふーん。

萩原: そうですよね、僕ね、会社辞めた年ですから。

山下: まだじゃあ、音楽評論家やってる前だ。

萩原: まだクイズ番組の問題作ったりなんかしてる頃ですね。

山下: あんたもよく聴いてるね。

大滝: ほんとにね。

萩原: というわけでですね、今日もしんみりと、1回目の新春放談、このへんでですね、

大滝: いいですね、締めとしてはね。

山下: 今年は割としんみりしていますね。

萩原: わかりませんよ、まだ。というわけで、来週に続く。

 みなさん、「快盗ルビイ」にこんな複雑な(?)ネタがあるって、ご存知でしたか?「魔法の瞳」にもいろいろあるし、ナイアガラって深いですね。改めて感じました。
 この番組の中で大滝さんが「1991」について、「何年前からいってたかな」といってますが、私の知る限りでは、1984年の「EACH TIME」発売時からいってました。この放送での発言を聞く限りでは、この頃まではやる気があったようですね。今後の放送で、「1991」が「ナイアガラ恒例の企画倒れ」(大瀧詠一SONG BOOK1のライナーより)におわった理由が明らかになるでしょうか?
 もうすぐ4月13日ですが、「君は天然色」録音日から17年目にあたるこの日、何か動きがあるのでしょうか?最近は「Amigo Garage」の更新頻度がぐっと落ちたり、仕事の打ち合わせとかも入ってるようだし、ひょっとすると・・・・・・。能地さんのHPから目が離せませんね。

新春放談 index