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1989.1.19 ミュージック・シティ

萩原: こんばんは、萩原健太です。ミュージックシティ、木曜日はヒット・ポップス・アンコール、1950年代から現在まで、さまざまな時代のヒットチャートを賑わしてきた素敵なポップ・チューンをたっぷり詰め込んでお届けする45分間です。さて、今週も前回、前々回に引き続きまして、大滝詠一、山下達郎両巨匠をお招きしての新春放談、その第3回目ですね。いよいよ新春放談の最終回であります。今週もどんな話が飛び出しますか、楽しみでありますが、その前に今週もとりあえず1曲目のリクエストをお届けしましょう。去年に続きまして、今年もガンガンとリクエストカードの大攻勢をかけてくれている東大阪市の中島清美さんですね。「フォーチュンズの曲で、ロジャー・グリーンウェイとロジャー・クックが作詞作曲したものをかけてくれ」ということでですね、そのご希望に応えたいと思います。1965年に本国イギリスで2位、アメリカで7位まで上昇したナンバーです。ザ・フォーチュンズ、ユーブ・ガット・ユア・トラブルズ。

 曲:

THE FORTUNES/YOU'VE GOT YOUR TROUBLES

萩原: さて、3週目に突入してしまいました。

大滝: いよいよ。

萩原: いよいよであります。佳境に入ってまいりました。

大滝: 入ってきましたね。

萩原: もう、これで最後だぞ。

山下: いつまで続けられるでしょうね、これ?

萩原: どうでしょうね?でも、なんかの形で続きそうな気がしますけどね、私は。なんかの形でね。というわけで、大滝詠一さん。

大滝: どうも。

萩原: と、山下達郎さん。

山下: よろしく。

萩原: 今日もよろしくお願いします。さてですね、本日もまた、いろいろとですね、昔の物を引っ張り出して来たわけですけど、今年はあのー、いよいよ本格的に、達郎さんの待望のフィレス・レコード再発が始まる、

山下: やっとやれますよ。

萩原: ねぇ。

山下: 3年かかりましたからね。

萩原: もうね、番組の方にですね、「僕は達郎さんじゃない」といいたくなるぐらいですね、「あの再発はどうなったんですか?」って。

山下: やっとクリスマスが出たっていうね。

萩原: 去年にね、いよいよクリスマス・アルバムも出て、

山下: おかげさまで。

萩原: 大滝詠一先生のすばらしいライナーが。

山下: 大滝さんの名ライナーでね。

大滝: いえいえ。また、ところどころ、主観と多少の小さな嘘シリーズも混じってますけども。

山下: やっぱり、こういう物がないと、特に若い人は。ただ、CDの音だけを渡されても、やっぱりその背景というか、そういうものがわからないと、何のことだかわからないという。

萩原: このクリスマス・アルバムをね、入門編にするには一番いいんじゃないかという。

山下: 絶対に国内盤を買ってください。

萩原: 強調が入ってる。

大滝: これ以上の物はないでしょうね。

山下: ないです、はい。

大滝: で、私思うにね、1989年はいよいよあれですね。少なくとも日本で、「スペクター元年」になりそうな気配がするんですよね。

山下: フフフ。

萩原: ほう。というのは?

大滝: で、ようやくそのー、フィル・スペクターが、正確な形で再々々評価っていうか、でも、それが始めて正確な形での評価っていうのかな、そういうのが今年ではないかと。で、それがなんとなくですけどね、海の向こうでも、その種類に近い、なにがしかの動きがあるのではないかという。これは予感なんです、単なる。

萩原: はー、予感?

大滝: うん。

萩原: でもなんか、ある意味でスペクターが浮上してくるだろうと。

大滝: 本人がどうか?例えばだから、去年ブライアンが出て、ビーチ・ボーイズが20何年かぶりで、

萩原: 22年ぶり。

大滝: 首位を獲得とかね、曲の善し悪しや、その出方に関しては各々、個人的にみなさんあるようですけども、

萩原: お二人とも嫌いなようです。

大滝: あのー、少なくてもブライアン本人は、あまり大して華々しいセールスしなかったけども、そのまわりが活気づくというかね。そういうような意味合いでいけば、ある種フィル・スペクターっていう人も、本人じゃなくて、まわりが非常に大きな影響を、まわりに大きく影響を与えた人なので、本人がどうっていうことあまりないと思うんですけども、その関係者というかね、関連のものがね、なんとなくあるような気がしますね、今年は。

萩原: 来るんじゃないかと。やっぱ、一役買うのが達郎さんとこですね。

大滝: えぇ、もう山下君のところで再発っていう、

山下: いや、大滝さんのご助力なしでは。

大滝: 終わんないのかね?ぐるぐるまわして。

山下: で、とりあえずですね、インフォメーションだけさしてもらうとですね。契約上の問題でボックスが最初に出ることになります。

萩原: シングル・ボックスみたいな?

山下: いや、

萩原: 違うんだ。もうすでに、できあがってる、

山下: できあがってるボックスです。

萩原: なるほどね。

大滝: 杉さんとこですね。

山下: で、ロネッツ、クリスタルズ、何いってるの?そんなん無視して。

大滝: はい。

山下: ロネッツ、クリスタルズ、ダーレン・ラブ、えーっと、

萩原: ライチャス。ライチャスあったよね?

山下: ライチャスはベスト物ですかね。スペクターズ・グレイテスト・ヒッツっていうのかな。なにしろ5Wです。5WがCDのボックスとなって、やります。それを全面的に大滝さんに監修してもらう。

萩原: やったぁー。

山下: で、この際ですから、やはり、フィル・スペクターのやつが非常にいい解説書いていただいたんですけど、今回のボックスに関しては、「これ以上、とにかく全世界的にね、考えてもこれ以上の形では絶対にこのボックスは出せない」というぐらいしますから。だから、オリジナル・ディスコグラフィーはもとより、オリジナルのジャケットの写真、そのために大枚あれして、オリジナル・ジャケ買ったんですから、僕。

萩原: はぁーっ。

山下: で、だから、グレイテスト・ヒッツのジャケットとか、そういうのコンプリート、大滝さんのと僕のと合わせればコンプリート揃いますから。要するに、カラー写真とかブックレットとか、全部、要するに非常に充実したものをつけようと思ってますから、

萩原: なるほどね。

山下: ひとつ、

萩原: 大滝さん、また筆がうなりますか?

山下: よろしくお願いしますよ。

大滝: どうもね、このごろ。まあでも、あのー、ほんとはね、もう何度もいってることで、あれなんだけど、「スペクターだから大滝がどうの」というような感じじゃない方がね。いろんな人がいろんなこといえるのがいいと思うんだけど、クレイジー・キャッツとかトニー谷をやって、ひとつ体験したことは、それを例えばかける際にね、例えばDJの人、またはミュージシャンの人とかラジオ番組とかいろんなとこ持ってるでしょ。で、いろんな事、その曲の前、後にいうわけですよ。それを、なにを元にしていうかというと、解説を元にして全部いってるんだよね。

山下: そうですね。

萩原: うんうんうん。

大滝: だから、そこの解説に何を書かれるということは非常に重要なのよね。

山下: そうです。

萩原: なるほどね。

大滝: そこでだから、非常に間違ったこととか、まるで関係ないあさってのこととか、そういうようなことが、そのまんまいくと、何年もそれが語り継がれるみたいなことになっちゃうでしょ。だから、できるだけね、

萩原: そうですね。

大滝: 主観は主観として、正確なデータはデータとしてというふうに書いていこうかなと思いますけど、どうでしょう。

萩原: なるほど。

山下: 話が長くなりましたが。

大滝: どうも失礼しました。

萩原: しかし、今日もですね、目玉がありますからね。

大滝: 鬼太郎ですね、これが。

萩原: ラジカセ、ラジカセ、ラジカセ。

山下: デジタル・マスターは、おととしの暮れの段階で届いてるんです、5本とも。

萩原: はい。

大滝: 一人で聴いてる。

山下: いや、一人で聴いてるわけじゃないです。一応チェックだけしたんですが、曲目がね、ロネッツの、ご承知のように、ロネッツもクリスタルズも基本的にLP1枚というね、

萩原: うん。

山下: 世界なんですが、ロネッツは特に1枚なんですが、シークエンスが全然違うんですよ。「また、いじりやがったな」と。なんと、ほんちゃんの曲順からはずれて、なんか1曲、2曲跳んで、後ろの方まで入ってる。

萩原: それはおかしいと。

山下: 変だなと。おかしいとチェックしたら、なんと別テイクだったんですよ、これが。

萩原: やったぁー。

山下: これはぶっ飛びましたから、今日はだから、今年出しますから、それはね。

萩原: いやー、やりましたね。

山下: で、今日は、ロネッツのそのー、「アイ・ワンダー」というね、私ロネッツの曲で一番好きな曲なんですけど、これの別テイクっていうのが持ってきましたんで、

萩原: いってみましょう。

山下: 聴いてみてください。

 曲:

THE RONETTES/I WONDER

萩原: あれっ?あれっ?終わっちゃいましたね。

山下: いいんです。

大滝: いいねぇ、やっぱり。これはいいわ。これはほんとに、一押しで。

山下: こっちが先のような感じがしますね。

大滝: こっちが最初だろうね。最初だと思うよ。あっちがLPバージョンみたいだから、ドラムで始まる。

山下: 「ダ・ドゥー・ロン・ロン」と重複さけるため、もうちょっとそのー、コーディング変えてみたいな、そういう。

萩原: 「ゼン・ヒー・キス・ミー」

山下: 歌詞は同じみたいですね。

大滝: 「ゼン・ヒー・キス・ミー」の感じを「トコトン」とかね、やってたけど。

萩原: なるほどね。

山下: というようなもんで、まだあるんです、それで。

萩原: あるんですねぇ。

山下: それで、フィレスのレーベルだけでなく、コルピックスのロネッツのね、レコーディングとか、そういう物も入っていますから。

萩原: そうですね。さっき、ちらっと、ちょっと聞こえてましたけどね。

大滝: ちらっとね。

山下: あ、そうか。そういうのが入って、なかなかに、やっぱ、工夫があります、

大滝: ありますよねぇー。

山下: ので、ひとつ、

萩原: なるほどね。

山下: よろしく、うん。

大滝: これはすごいよね。これはちょっとね、今まで出てないしね。うーん。

萩原: お年玉を貯めとくように、という感じですけどもね。

山下: 春か夏の、初夏ぐらいに出ます。

大滝: はー、よかった。楽しみだね。

萩原: 楽しみですね、ほんとに。

山下: 大滝さん、よろしくお願いします。

萩原: えー、というわけで、今年はスペクターが盛り上がるんじゃないかという。

大滝: いや、間違いなく。

萩原: 大滝さんの予言もありますけども。

大滝: 私がいうことはね、だいたい「ハズレなければ、あたるだろう」っていう種類のものですから。

萩原: なんだそれは、なんだっつうの、それは?さて、これに続いてですね、またいろいろ聴いていきたいと思いますが、

大滝: あのー、あれですよね。あのー、クリスマスのアルバムを買った人は、もう既に文章読んでいただけたと思うんですけど、

萩原: はい。

大滝: だから、当時の60年代初期からの、66,7年ぐらいから、こうフラワー・サウンドというか、そういう政治的な動きにもなっていくんだけど、その間の西海岸の音楽の動きっていうのはね、スペクターを通して、こう音楽の変遷みたいなのをたどってみると、まあアメリカン・ポップスのひとつの側面というか、西側の側面みたいなのがね、見れて。で、あそこにも書いたんですけど、そのー、「花咲くサンフランシスコ」のスコット・マッケンジーとかね、ママズ&パパスのジョン・フィリップスとか、それからまあ、バーズのプロデューサーのテリー・メルチャーとか、そういう連中が集まって、ビーチ・ボーイズのココモっていう曲ができてるっていうのが、やっぱりいかにも、その流れというか、それが未だにどういう流れなのか、具体的には知りませんけども、

萩原: うん。

大滝: その続いているというところが、非常に興味深いですけどね。

萩原: でも、ある意味では、非常にこう、狭い人脈の中の人達が、割とこう、凄いこといろいろそれぞれにやってたというのが、60年代後期以降、中期ぐらいからかな。

大滝: なかなかに。まあ、だから、60年ぐらいっていうのは、だからそういうロックン・ロールからポップスになって、だんだん商売として、華々しくなっていく時期でもあるので、ちょうどね。

萩原: はい。

大滝: そんなにプロデューサー、フィル・スペクターのような独立プロデューサーみたいな、そう数が多い時代ではなかったですけどね、当時はね。

萩原: でも、これ、さっきのなんかやってた頃、スペクターって異常に若いんですよね。

山下: 23とか4とかじゃない?

大滝: 2,3とか、なんかその辺でしょ。

山下: クリスマスつくった時が3ぐらいでしょ。

大滝: うん。

萩原: なるほどね。

山下: 異常ですよね。

大滝: すごいよね。すごいっていうかね、

萩原: あきれてしまいますけどね。

山下: で、次はなにかけるんですか?

萩原: 次はこれいきますか、これ?

大滝: あぁ、これ?

萩原: これ。

大滝: えー、それで、まあその、スペクター・インフランスというか、あのー、私なんかもそれから抜けきれずに、ずっと少年のままで、早何年。ちっとも抜け出せないっていうところに入ってるわけですけども。

萩原: はい。

大滝: まあ、ブライアン・ウィルソンもほんとに、そういうような人だったようなんですよね。

萩原: そうですね。

大滝: で、スペクターのセッションを見に行って、それであのー、なんというのかな?身動きできないくらいに、そのセッションを、金縛りにあったように、そのセッションを見ていたというのを、ジャック・ニッチェがインタビューで告白してましたけどね。そういうのって、まあ、わかるような気がするんですけども、さっきの「アイ・ワンダー」でもかかってたけど、パーカッションを多用しますよね、スペクターの場合は。

萩原: えぇ。

大滝: そのパーカッションの中で、マラカスとかシェーカーの類を、必ず担当していたのが、ソニー・ボノという人で、

萩原: はい。今、なんか市長さんかなんかになっちゃって。

大滝: この方。ハームスプリングスの市長をやっておられるという方でね。

萩原: はい。

大滝: で、この人が以前にグループを組んでて、ソニーとシェールという、シェールっていう人は、昨年「月の輝く夜に」というので、

萩原: グラミー賞、じゃないアカデミー賞を。

大滝: アカデミー賞を獲ったという、今にして思えば、ハームスプリングスの市長とアカデミー女優がいっしょにグループを組んで、歌を歌ってたというのは、これは非常に結果的に、

山下: 夫婦だったんだよね?

大滝: うん、当時夫婦だったんですけどね。で、結果的にこれがそのー、貴重な物に、

萩原: ひどい、なにが?

大滝: なってしまったという感じがして。

萩原: はい。

大滝: で、この人たちが「グルービー・カインド・オブ・ラブ」という、最近、

萩原: フィル・コリンズがカバーして、

大滝: やってましたよね。フィル・コリンズがカバーした曲を、スペクター調でやってる録音があるんで、今となっては、全部新しい人たちにも、何かしら共通項があるのではないかと思うので、

萩原: なるほどね。

大滝: 持ってまいりました。

萩原: いってみましょうか、それ?

大滝: じゃあ、ソニーとシェールで、「グルービー・カインド・オブ・ラブ」

 曲:

SONNY & CHER/GROOVY KIND OF LOVE

萩原: 「グルービー・カインド・オブ・ラブ」

大滝: という、まあ情けないものでしたけどね。

山下・萩原:ハハハ。

大滝: まあ、歴史的っていうのは、こんなもんですよ。

萩原: 市長の声がなかなか。

大滝: 市長とアカデミー女優の声がね。市長のハーモニーが大笑いだったよね。

萩原: なかなかね、唐突に来たりなんかしてね。いいもんですね。

大滝: 曲はいいんだけどね。

萩原: フィル・コリンズのバージョンはあまりよくないですね。

大滝: 僕はあんまり好きじゃないですね。

山下: あんまり好きじゃない。

萩原: ちょっとだるい感じがして。

大滝: マインド・ベンダスのオリジナルが一番よいと思いますけどね。

萩原: よいですね、はい。

山下: さてですね、

萩原: さて、今度は?

山下: 私持ってきたのは、この、大滝さん好みではないかというね、ドリーム・ベイビーズというね、

萩原: はい。シリーズでいくつか出したんですよね。

山下: それのうちの1枚でね。で、クイズかなんかがあって、

萩原: トリビアが。

山下: うん。えーっと、なんだっけ、「キャロル・コナーズのいたグループは何か?」とかね。

大滝: テディー・ベアーズだ。あたってんな。

山下: それから「ビートルズのファースト・アルバムでカバーしてるガール・グループの曲は何か?」

萩原: なるほどね。

大滝: 「ノット・セカンド・タイム」、じゃねぇや。

山下: 「プリーズ・プリーズ・ミー」

萩原: じゃない。中でですね?

山下: 「プリーズ・プリーズ・ミー」のLPの中でカバーしてる、

大滝: 「ノット・セカンド」入ってないか。「ベイビー・イッツ・ユー」、「プリーズ・ミスター・ポストマン」?知らないんだな、オリジナル。

山下: えーっと、「チェインズ」と、

萩原: あっ「チェインズ」ね!

山下: 「ベイビー・イッツ・ユー」と、

大滝: あれ、1枚目に入ってるの?

山下: 「ボーイズ」ですね。イギリス編集ですから。

萩原: あっ、「ボーイズ」ね。

大滝: あっ、なるほど。「ボーイズ」ね。

萩原: 「ボーイズ」ね、シレルズ。

山下: で、これがとにかくウエスト・コーストだということで、

大滝: クイズやってどうすんだって、こんなとこで。

萩原: ハハハ。

山下: 全編、リーバー・ストーラーがプロデュースしている作品を除いては、全編、ほとんど全部スペクターのイミテーションなんですね。これは実におもしろい。

大滝・萩原:あー。

山下: だから、いかに、こういう業界筋で売れないレコードをね、数多くがスペクターのイミテーションで。

大滝: あー。

萩原: これは、要するに60年代中期のものばっかり集めてるというね。

山下: 中期でしょうね、初期から中期ですね。で、いろいろあるんですけど、何を?

大滝: 向こうに生まれてれば、私もこの中に1曲ぐらいは。

萩原: ハハハハ。

山下: 絶対そうですね。

大滝: 当時うまれてますよね。

山下: だから、マン・ウェイルの有名な「CHICO'S GIRL」ってのがありましてね。

大滝・萩原:はぁー。

山下: これはスティーブ・ダグラスがやって、これはシングル持ってますけど、

大滝: どうですか、それ?

山下: いやー、まあまあです。

大滝: まあまあ。

山下: えぇ。マン・ウエィルの中では、あまりいい曲じゃないですけど。エキサイターズの「オール・グロウン・アップ」というのは、

大滝: それ、ちょっと大笑いですよね。

山下: これは、なかなかリーバー・ストーラーのいいあれですね。

大滝: やっぱり。

山下: いってみましょうか、これ?

大滝: うん。「オール・グロウン・アップ」もクリスタルズの2バージョンあるんですよね。

萩原: そうそう。

山下: えっ?

大滝: あるんですよ。

山下: そうなんですか?

大滝: それで、それも今度のボックス・セットには出ますけども、

萩原: おー。

大滝: そのまたエキサイターズのバージョンっていうのは、これがまた大笑い。

萩原: 大笑い。

大滝: うん。

山下: これはしかし、エキサイターズの、このボーカリストってのは、うまいですね、歌が。

萩原: この人あれでしょう?エリ・グリニッチがもう、「このボーカルがいるから、どうの」ってね。

大滝: ほんとにね、ない声ですよ、この人、他に。

萩原: ふーん。動物園で歌ってた人ですよね。

山下: いちお、プリビアスリー・アンリリーストって書いてありますね。プロデュースド・バイ・リーバー・ストーラー、

萩原: じゃあ聴いてみましょうかね。

山下: スペクターとグリニッチ・バリーで、リーバー・ストーラーのプロデュースときたら、悪いはずがないと。

大滝: ないね。

山下: では、「オール・グロウン・アップ」バイ・ジ・エキサイターズ。

 曲:

ALL GROWN UP/THE EXCITERS

萩原: よいですね、これ。

山下: なかなかよいですね。

萩原: エキサイターズうまいな。

山下: これはまだ、割と泥臭い、リーバー・ストーラーですからね、特に。泥臭いですけど、他のやつは割とこのー、なんていうの?エコーの「ワァー」っていうね、浮くようなトレード・マーチンのアレンジとかね、ジャック・ニッチェとのね、そういう手ですね。これはなかなかよかったです。

萩原: なるほどねー、いろんなもんが出てますけどね。あのー、去年ですね、いろいろドーっと出ました中で、新しいメディアとして、注目されてんのかどうか知らないですけどね、3インチCDってのがあって、オールディーズの再発がいっぱい出たんですよね。これ前ね、番組で、何の意味もなく特集したことがあるんですけど、

山下・萩原:ハハハ。

萩原: あのー、ただね、オールディーズのファンにとってみると、要するに、CD1枚で再発できないアーチストっているでしょう。

大滝: なるほどね。1発ヒットの人のね。

萩原: そういうためにはね、1番これね、いいメディアなんですよね。

大滝: あー、なるほど。

萩原: 下手すると、10曲入っちゃいますからね、こん中に。入れようと思うと。これはね、今後もう少しいろいろ出してもらえないかと思ってね。期待してるんですけどね。どうなんですか、シングルCDって?あんまりよくない、達郎さん?

山下: 私はあまり・・・。

大滝: 山下さんは出したことあるんですか?

山下: もちろんあります。

大滝: 私1枚も出したことないのよ、シングルCD。

萩原: あっ、そうか!

大滝: うん。私にはまだ未知のメディアだから。

山下: なるほど。

萩原: 達郎さんはあれですよね?「ゲット・バック・イン・ラブ」出して、「クリスマス・イヴ」出して、チャート・インしちゃって、

山下: しょうがない。

大滝: 毎年ね。ほぼもう、日本のビング・クロスビーという感じになってきましたもんね、もうね。

萩原: フフフ。

山下: 去年はこれが出たじゃありませんか。

大滝: 出ましたね。

萩原: フォー・シーズンズのね。

大滝: フォー・シーズンズがね。

萩原: とうとうね。とうとう出まして、オリジナル・アルバムも3枚出ちゃいましてね。

大滝: これの、返す返すも、何度もいいますが、「エイント・ザット・ア・シェーム」は違うバージョンで。

山下: だったですね。

萩原: この「ドーン」もアルバム・バージョンですね。

山下: そうですね。

大滝: ぐっと。

萩原: ちょっとね、タイムが違うのも、あったりするんですよね。

大滝: 調べたな。

萩原: いえいえ。

山下: やっぱり「スウェアイン・トゥ・ゴット」とか、やっぱりフル・バージョン入れてほしいですよね、CDだからね。8分何秒のね。

萩原: あー、なるほどね。まあ、一応まあ、シングルと同じフェード・アウトしてますけどね。えー、というふうにいろいろ出たわけですけれども、何かかけましょうよ、何か。

山下: 何かけるんですか、それで?

萩原: スパイク・ジョーンズも出ましたけど。達郎さん、インプレッションズ聴きましょう。

山下: インプレッションズですか?

大滝: うん。

萩原: インプレッションズがですね、

山下: 何が入ってるんですか、それ?

萩原: 別になんの意味もないんですけど、これ、「ジプシー・ウーマン」、「イッツ・オール・ライト」、「エーメン」、「ピープル・ゲット・レディ」と。

山下: 「ピープル・ゲット・レディ」じゃないですか?

萩原: 「ピープル・ゲット・レディ」がいいんじゃないかと。僕あのー、かつてですね、中学校のときにですね、八木誠さんの番組に初めてリクエストハガキ出して、初めてかかったのが、この「ピープル・ゲット・レディ」だったというね。だからどうしたという感じもありますけど。

大滝: そう?

山下: 何もいえない。

萩原: すみません、話が止まってしまいましたけど。

大滝: 八木ちゃん。

萩原: あのー、カーティスの再発が、そこそこ、

山下: はいはいはい。

萩原: 来ましたね。

山下: ライブが出たんで、これ割かし、

萩原: ライブ・イン・ヨーロッパ。

山下: これこれこれ。

萩原: ね。それから、スーパー・フライが、

山下: あっ、出ましたね。

萩原: CDになりましてね。

山下: やっぱり、もうちょっとだしてくれないと、困りますね。

萩原: そろそろ、これも再評価、カーティス再評価あってもいいんじゃないかと。

山下: そうですね。ジェームス・ブラウンとか異常ですもんね、最近。

萩原: ねぇ。凄い数出てますけどね。

山下: 20年ぐらい前、ジェームス・ブラウン聴いてると、バカにされましたけどね、ほんとに。

萩原: フフフフ。まあ、そんなこんなを、思いを含めてですね、

山下: えぇ。

大滝: へぇー、それは知らなかったなぁ。

萩原: 僕にとってだけの思い出の曲です。

大滝: いいねぇ。

萩原: インプレッションズで、「ピープル・ゲット・レディ」。

 曲:

THE IMPRESSIONS/PEOPLE GET READY

萩原: すみませんね、ほんとに。もう、私だけの思い出の曲でしたけど。

山下: すばらしいですよ。

大滝: うん。

萩原: さて、再発といえば、忘れておりましたが、これだ。

山下: こんなのまで出ちゃいますからね。これ、スプリングといいましてですな、ブライアンの元奥さんです。今離婚してますけど、マリリン・ウィルソン、マリリン・ローベルですな。

大滝: はい。

山下: それと、妹のダイアン・ローベルと二人で、初めはもう一人いたんですが、二人だけになってしまった。

萩原: あのー、ハニーズといわれてたところの、二人ですね。

山下: そうですね、元ね。それがスプリングというあれで、70年かな?69年かな、そのぐらいに出たんですよね。

萩原: はい。

山下: それでLP、日本盤出たんですけど、

萩原: 出ましたね、僕もシングル買いましたよ。

山下: 日本盤のLP持ってたんだけど、人に取られてしまいました。

萩原: なんで取られちゃったの。

山下: これがなんと、また別テイクとか、別テイクじゃない、未発表テイクとか、いろんなね、

萩原: はい。

山下: 「ハット・フォン・イヤーズ」という「フィフティ・ビッグ・ワンズ」に入ってる曲とか、入ってますけど。

萩原: これイギリスだけで出てたんですよね、確かシングルね。

山下: そうでしたっけ?

萩原: 確かね。

山下: で、それをまあ、ちょっと。こんなもん出ちゃってどうすんの、ほんとに?

大滝: よく出るよね。

山下: 誰が買って、誰が聴くの、これ?

萩原: でも、今だったら売れるでしょうね、やっぱりね。

大滝: そうかなー?

萩原: まあその、ブライアンの、

大滝: ブライアン、ビーチ・ボーイズ余波も、スプリングまでいくとは思えないけどね、私は。

山下: ねぇ。で、やっぱりだから、ライノの、これはもう、ほんと個人的趣味でしょ?

萩原: そうですね。でも、あのー、

大滝: で、ごめんなさい、どうぞ。

萩原: これ聴くと、いわゆる今、まだバンドがあるんで、こういういい方していいのかどうかわからないんだけど、中期ビーチ・ボーイズっていうか、あの時期のビーチ・ボーイズの音づくりっていうのが、よくわかりますよね。

大滝: うん。で、やっぱり、ブライアンが出て、ビーチ・ボーイズ周辺が騒がしくなったせいなんじゃないの、やっぱり?

山下: でしょうね。やっぱりそれだけブライアンが出ること望んでたからね。

大滝: 出たっていうのは大きいんだよ。

萩原: そうですね。

大滝: そういう人っているよね。本人はあまりいい目を見ないけど、きっかけになって、周りがワァーっとなってくっていない?ダメ?いや、私はね。

山下: それで、「シンキング・アバウト・ユー・ベイビー」という曲がありましてね、

大滝: これがまたいいんだなー。

萩原: さる曲ですね、さる曲の。

山下: 実は、ビーチ・ボーイズのヒット曲の「ダーリン」という曲がありまして、私カバーしてますけど、「ダーリン」という曲とおんなじ曲なんです、これ。

萩原: はい。

山下: 詞が違うんですよね。

萩原: シャロン・メリーっていう人がね、

山下: シャロン・マリーですね、はい。

萩原: バージョンもありますけどね。

山下: そうですね、えぇ。それで、私「高気圧ガール」っていうシングルのB面に「ダーリン」って入れてるんですけど、そのケツに、なぜか「シンキング・アバウト・ユー・ベイビー」って出てくるんですよ。なぜかっていうと、これでわかるという。

萩原: 種明かしですね。

山下: ひとつ聴いていただきたいと。

大滝: 凝ってるねー、ほんとに。

萩原: じゃあ、いきましょう。

 曲:

SPRING/THINKING ABOUT YOU BABY

萩原: スプリングでありましたけどね、いやー、ほのぼのしちゃって。

山下: すごいですね。

大滝: 笑うしかないね、もう。

萩原: でも、よくぞ出ましたって感じでね。

山下: 誰が買うんでしょうね?そればっかり。

萩原: さて、本年度のですね、新春放談3週にわたって、

大滝: 締めくくりとして、

萩原: お送りしてきましたけどね、そろそろ締めなければいけない。

大滝: はい、どうも。

山下: 早く大滝さん、LPを出しましょう。

萩原: そうですね、ほんとにね。お願いしますよ。

大滝: ね。頑張って、

萩原: 頑張って、再来年、

大滝: 1991年3月21日にリリースされるところの、アルバムをひとつよろしく。

山下: やれやれ。

萩原: 達郎さんの方は、ツアー控えてらっしゃるということでね。

山下: はい、そうです。それが終わると、またレコーディングが始まります。

大滝: また、新しいね、新作を期待していますから。

山下: いや、そろそろ、まりやのLPをつくりはじめないとだめなんで。

大滝: 交代交代で出てくるという、この楽しみな。

山下: もう、ひとりで2枚つくってるという、2人分つくらなきゃあ。

萩原: いいねぇ。

山下: 夜も眠れなくなっちゃう。

萩原: なんなんだ、それは?

大滝: 懐かしいな、そのネタ。

萩原: というわけで、最後にですね、締めくくりに1曲かけてですね、景気よく。どうでしょうね、今年を締めくくる。

大滝: ナイアガラ音頭とか。

萩原: ハハハ。

大滝: 違ったね。

山下: 「もう、この番組ではかけるな」といわれてるものをかけましょうよ。

萩原: そう、この番組でですね、かけすぎてましてね、「もうやめろ」とか、

大滝: もうやめろ!

萩原: 「もう飽きた」とかですね、いわれてるアーチストが1組おりましてですね。

大滝: 誰だろ?全然気がつかない。

萩原: これがですね、ビーチ・ボーイズっていうグループなんですけどね。

大滝: もう飽きた。

萩原: 「もういい」とか「もうたくさんだ」とかですね、

大滝: そんなにかけてるの?偉いね。そういうふうにいわれるくらいまでかけるってのは、偉いよ。

山下: 偉い。

萩原: 嫌われてもかけるということで。

大滝: 嫌われたら、なおかける。これでいかなきゃだめだね、今年は。

萩原: というわけでですね、その曲で締めちゃうんですか?

山下: えぇ。

萩原: いいんですか?

山下: いいですよ。やっぱり、村上春樹の小説のタイトルになったくらいですから。

大滝: 「ノルウェーの森」ですか?

山下: 違います、違います、違います。

大滝: そう?

萩原: じゃあ、

山下: えー、それでは、やっぱり、御大がいわなきゃ。

萩原: あっ、そうか。じゃあ、新春放談、ほんとに今年はどうもありがとうございました。

大滝: どうも、失礼をばいたしました。

萩原: またね、このような機会、きっと何かの形で行われるに違いありませんね。

大滝: また何かございましたら、ひとつよろしく。そのへんを見繕っていただいて。

萩原: また来年ということで、大滝詠一さんと山下達郎さんに来ていただきました。

大滝・山下・萩原:どうもありがとうございました。

萩原: それでは、最後にビーチ・ボーイズ、ダンス・ダンス・ダンス。

 曲:

THE BEACH BOYS/DANCE DANCE DANCE

 大滝さんは、この番組の終わりの方でも、88年の新春放談に続いて、「1991年3月31日にアルバムを出す」といっています。この番組を聞いていた当時(ちなみにこの日は私の22才の誕生日でした)は、この発言を聞いて、「よし、大滝さんはまだやる気があるぞ」と思ったものですが、改めて聴くと、大滝さんの話しぶり、達郎さんの反応から推測すると、もうこの時点で出ないような雰囲気です。まさか「2001年ナイアガラの旅」も同じようなことにならないでしょうね。大滝さんは、1997年の新春放談で、「コンピレーションででも必ず出す」というようなことをいってましたが、だんだんトーンダウンしているようで心配です。ノージさん、しっかり見張っていてください。お願いします。

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