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1991.1.6 プレミア3

山下: 全国のみなさん、あけましておめでとうございます、山下達郎でございます。えー、昨年の4月から始まりました、この東芝プレミア3もついにめでたく年を越すことになりました。東京FMをキー・ステーションとしまして、全国26局ネットでお届けしております。東芝プレミア3、毎月第1と第3の日曜日は私、山下達郎の担当でお送りいたしております。正月早々で、なんとなくボケておりますけど。えー、めでたく1991年になりました。21世紀すぐでございます。あと10年、大変なもんでございます。だからどうだという訳ではありませんけども、えー、かねて申し上げておりましたとおりに、今年も新春放談、もう今年で8回になります。なんでこんなもの、8回もやってきたかという話もありますが、そもそもは1984年の1月に、私の当時レギュラーをやっておりました、某国営放送局で、「なんか正月ないかなー」、「じゃあ大滝さんと二人で、昔、時事放談って番組がありましてですね、細川隆元さんと小汀利得さんという二人が、言いたい放題毎週日曜やってる、まだやってるんでしょうね、時事放談?メンバー代えてやってるんだと思いますが、そういうのがありました。それをとりまして、もじりまして、新春放談。二人で言いたいことを言い合いまして、いろんな番組に場所を代えて、はや8年、大変なもんでございます。えー、今日も大滝詠一さんをお迎えしております。どうも。

大滝: みなさん、あけましておめでとうございます。また、8年目でひとつ呼んでいただきまして。

山下: いえいえ、とんでもございません、今年もひとつ。という訳で、えーっと、この番組は構成作家が萩原健太さんでございまして、萩原さんの番組にも何回も何回も、萩原さんがレギュラーをやってるときに、その場所を借りて、新春放談を続けさせていただきました。今日は萩原さんも入りましてですね、3人で行きたいと思います。萩原さん、ひとつよろしくお願いします。

萩原: どうも、おめでとうございます。

山下: 国際会議みたいになってきましたけど、3人で。えー、という訳で、今日はお正月で、おめでたいので、デー・バイ・デーはありません。別にめでたいからない訳ではないのですが、えー、今日1月の6日とそれから1月の20日と、1月の2回はこの新春放談、3人で楽しくいってみたいと思います。最後までごゆっくり。

番組テーマ



山下: えー、今年は私の一応番組なので、去年まではずーっと萩原さんでしたから、ここ2〜3年ね。彼が司会でしたが、

萩原: 司会者。

山下: 私の場合は、今年から私が司会しますんで、ヘラヘラしちゃって。

大滝: フフフ。

山下: えー、ところでですね、大滝さん、あれでしょう?もう、1年に、放送出てくるのが、1年ぶりぐらいじゃないですか?

大滝: えー、いやー、あのー、萩原さんとこに1回出たんで、

萩原: スペシャルで出ていただいて。

大滝: ですから、去年2回。

山下: 2回。

大滝: で、今年は、

山下: 自慢できるようなもんじゃないでしょ。

大滝: いやー、自慢させてくださいよ。

山下: しょうがないね、ほんとに。あのですね、いつもハガキくれます、豊島区の吉田光良さん。これ僕、とっといたんです、これ、ハガキ。「達郎さん、健太さん、大滝さん、新年あけましておめでとうございます。いよいよ今年も年に1度、大滝詠一さんの声が聴ける新春放談があるということなので、早速リクエストさせていただきます。ところで、大滝さん、3月21日に発売される予定のニュー・アルバムは、」

萩原: 出ましたね。

山下: 「リリースされるのでしょうか?」、「おリリースされるのでしょうか?もし、発売されないのであれば、嘘付きはナイアガラの始まりといわれないように、ご自分で歌った熱き心にを歌ってざんげしてください」

大滝: なんで?しょうがないね。

山下: そういえば、私も何年か前に、というか、6年ほど前に、7年前だ、

萩原: うん。

山下: 「EACH TIME」が出た時に、

萩原: はい。

山下: 次はどうするのか?「1991年ナイアガラの旅」というセリフを、僕は聴いたことがありますが、

萩原: 私もですが、

大滝: あっ、それは2001年、2001年です。

萩原: 2001年ですね、それは。

山下: 2001年。

大滝: それは2001年です。

萩原: 「ニュー・アルバムが1991年にある」ということを、

山下: ねえ、なんかそんな話がありましたねぇ。

萩原: 3月21日だっていうことを、僕、随分あちこちの雑誌にですね、インタビューで書いた覚えがある。

山下: ありましたよね。私、人のこといえませんけど。

大滝: まあ、なんか、正月早々から、私の話題で申し訳ないんだけどね。そのハガキの人も、でもすごいね。なんでそれが「おリリース」っていうのかっていうのはね、

山下: クックックック。

大滝: とある所で、私が放送したときに、えーっと、「なんとかかんとかで、これは発売予定になっています」というような話をしたときにですね、「宣伝はいけない」っていわれたんで、録り直しをしたことがあるんですよ、その一部分を。

萩原: ほー。

山下: えぇ。

大滝: その時に、同じことをいうのが嫌だったので、

山下・萩原:フフフ。

大滝: 「だいたい、あのー、半年ぐらいあとにおリリースされる予定になっております」っていうふうに、

萩原: えぇ。

大滝: 得意のまあ、そういう言い回しがあるでしょう。

山下: なるほど。

大滝: で、いったことがあるんですけども、

山下: ちゃんとそれを聴いてるんですね。

大滝: 多分、そんときに、それを聴いてる人なのではないかというふうに思うとですね、

山下: かなりの剛の者ですね、この人。

大滝: なかなかちょっと、身も引き締まる思いですけれども、

萩原: ハハハ。

大滝: 一応あれですよね、あの、番組上として、構成として、こういう質問がある場合は、あのー、答えっていうのは、後半に延ばすっていうのが、普通の場合、番組の進み方としてはあるんじゃないかと思って、

萩原: ハハハ。

山下: はい。

萩原: なるほど。

大滝: まずは取り合えず、まあ曲かなんかから、

山下: じゃあ、その間に考えてもらってですね、いろいろと。

萩原: フフフフ。

大滝: 三平さんじゃないんだからね。

山下: ここ2〜3年、大滝さんはあれですよね、あのー、自分のやつはさて置いて、

大滝: えぇ。

山下: 人に曲を提供するのもそうですけど、割とそういう、何といいましょうか、昔の音源を、こう監修するというか、

大滝: そうですね。

山下: トニー谷さんでありますとか、

大滝: えぇ。

山下: クレイジー・キャッツの、あのー、なんつうか、デラックス、

大滝: えぇ。

山下: CDになりました、

大滝: やっときました。

山下: 今年も橋幸夫さんと、

大滝: 一応昨年になってしまいましたよね。

萩原: 昨年。

山下: ごめんなさい。昨年、橋幸夫さんとアストロノウツと、

大滝: アストロノウツね。

山下: 凄い組み合わせですね。

大滝: えぇ。

山下: えー、それから植木等さんの、

大滝: 一応なんかね、これはもう、あのー、ほんの少しですけども、ご協力というような。一応そのー、ちょっとボーカルを録るときに、顔出しをしたとか、

萩原: ハハハ。

大滝: そういう程度のものですけども、えーっと、解説の場合は「あっけらかん」という、

萩原: はい。

山下: なるほど。

大滝: 厚家羅漢という名前の、「あっけらかん」とも読むんですけども。そういう名前でやってますけども、1991年からは、名前をまた創りました。

萩原: フフフ。

山下: 何ですか?

大滝: それで、英語名で、

山下・萩原:はい。

大滝: 「臨機応変」と書いて、

萩原: ハハハハ。

大滝: これ、レナード・コーエンの弟子で、

山下: 誰も知らねーっていうの。

大滝: 「リンキー・オーエン」、「オーエン」と読んでいただきたいんですけど、一応「応変」と書きます。

萩原: なるほど。

大滝: で、「リンキー・オーヘン」という名前が、今年は3回ぐらい出てくると思いますので、ひとつ、

山下: フフフ。

萩原: 予定としては?

大滝: えぇ、予定として。

山下: という訳で、えー、植木等さんの、信じられない話ですが、植木等さんの作品としては初めてチャートに出たという。まあ、もっともクレイジー・キャッツの時代はチャートがなかった。

萩原: うん。

大滝: えぇ。

山下: ので、シングル、LPともにチャートに出たの初めてだという、「スーダラ伝説」という、これ何年ぶりのLPです?

萩原: 14年ぶりかな、15年ぶりかな?アルバムとしては。

大滝: アルバムはね、植木等のアルバムとしてはそういうことですよね。

山下: 私があのー、風の便りで聴く、風説によりますとですね、ほんとは大滝さんが、始めは曲を書く予定だったんですけど、

萩原: フフフ。

山下: また得意のうんじゃらかんじゃらがありましてですね、お書きにならなくて、なんとその代役として、登場いただいたのが、三波春夫大先生だそうでございまして、

大滝: 三波春夫さんに書いていただいたんですけどもね。よかったんでしょうかね、山下さんのね。

山下: いや、私の、

大滝: 実はね、

萩原: アイドルですから。

大滝: 大アイドルでしょう。

山下: そうです。ファンです。てなもんで、これシングル・カットなんですか?

大滝: シングル・カット。えー、今年のですね、1月1日に見事にシングル・カットされましてですね、

萩原: 出たと。

山下: そうですか。なるほど。

大滝: アルバムはなんと10万枚を超える大ヒットになったということですから、

山下: おー、それはすごいですね。

大滝: えぇ。

山下: なにせ、この、三波春夫作曲で、植木等歌という、この組み合わせも、しかしこの20年ぐらいまではとても想像できなかったというね、

大滝: できなかったね。ただ、あのー、東京五輪音頭映画の中で、植木さんが植木節にして歌ってるんですよ。

山下: ふーん。

萩原: ほー。

大滝: で、それを前に観たことがあったので、

萩原: それでひらめいたという。

大滝: えぇ。で、三波節も合うのではないかというふうに私は考えました。

山下: なるほど。という訳で、植木等さんの「スーダラ伝説」という新譜のアルバムから「二十一世紀音頭」

 曲:

植木等 with 三波春夫/二十一世紀音頭

山下: えー、という訳で、伊藤アキラ作詞、三波春夫作曲、井上鑑編曲、スーパーバイザー宮川泰、リンキー・オーヘン。

萩原: ハハハ。

山下: てな訳で、

大滝: 「スーダラ伝説」っていうのは、ほんとにすごい、なんかあのー、メドレーでね、

萩原: えぇ。

大滝: これがなんか、一番のできで、

萩原: うん。

山下: なるほど。

大滝: で、この「二十一世紀」とカップリングされる「地球温暖化進行曲」、

萩原: 進行曲。

山下: 進行曲。

大滝: これがなかなかいいんですよ。

山下: 伊藤アキラ作詞、作曲・編曲宮川泰。

大滝: 私は全然関係ないんですけどね、非常にできとして、私は気に入りましたね。

萩原: 植木さんが、こう、高度成長時代にいろいろ「ワー」っとやってたことの、ツケがこう、今回ってきたとして、

山下: なるほど。

萩原: それを、さらにこう、吹き飛ばしてるみたいな、ものすごい曲ですよね。

大滝: あー、さすがに評論家はいうこと違うよね。

山下: 作詞家萩原さんですね。

萩原: 大滝さん、今の、でも、ちょっとバージョンが違ったんじゃないですか?

大滝: わかった?やっぱり違うよね、評論家はね。

萩原: いやいや。

大滝: 耳が違う。

萩原: ググググ。

大滝: 江川の耳みたいになってるんじゃないの?

萩原: いやいや、そんな、

大滝: そんなことない?

山下: ちなみにですね、スーダラ伝説ってのは、いわゆるクレイジーのヒット曲をメドレー形式で、ざっといってるやつで、その他に、そのー、伊藤さんと、伊藤アキラさんと宮川泰さんのオリジナル・ソング2曲。

大滝: うん。

山下: それから浜庫さんのカバーが2曲と、

大滝: そうなんですよ。

山下: これがなかなか面白いですね。「花と小父さん」が入ってるという、

大滝: 入ってる。

山下: 珍しい世界。

大滝: リメイクですけどね。

萩原: これは植木さんが以前、アルバムでね、

大滝: アルバムでやってるんで。

山下: そういう世界ですが、なかなかこの、路線としては、こう、なんというか、いい得て妙というかね、そういう感じがしますね。

大滝: だから、新作とかね、それが旧作に比べて、例えばその、パワーがどうのとかいう人とか、割合いるんだけども、でもあれですよ、60でね、

萩原: 4才?

大滝: 以上で、これだけの声が出て、で、これだけのキャリアの人が、今これだけのものができたっていうのにね、あんまり細かくごちゃごちゃ文句いって欲しくないんだけど、いかがでしょうかね。

萩原: そうですね。文句結構出てますかね?

山下: あんまり出てないんじゃないですか?

大滝: あのー、あれなんですよ、年の人は割合いう人はいるかもしれないけど、若い人は割合なんかすんなり聴いてるって感じがあるんじゃないですか。

萩原: あのー、六本木のWAVEという輸入レコード屋さんでですね、

大滝: ほー、個人名が出ますね、ここはね。

山下: いいんですよ、別に。

萩原: あのー、見てたんですよ、いろいろ、レコードをね。

大滝: なるほど。

萩原: そしたらバックで、「ハッピー・マンディ」とかね、そういうあのー、こうマンチェスター・サウンドがガンガンかかってたんですけど、それが終わってですね、いきなり「スーダラ伝説」がかかって、

大滝: えっ!

萩原: 売り場がみんな一瞬「バッ」って止まった、空気が止まってですね、

大滝: やっぱりまだ空気止まります、そういうふうに?

萩原: 止まって、

大滝: 止まるんでしょうね。

萩原: 「オーッ」っていう感じになったのがね、おかしかったですけどね。

大滝: 「オーッ」っとなった?

萩原: うん、なりましたよ。

大滝: 昔「ナイアガラ音頭」をディスコでかけたときのようなものを、また思い出してしまいましたけどね。

山下: いや、でも、例えば筋肉少女隊とか、そういうものがあるんであれば、これはさ、容易に受け入れられる世界だと僕は思うけどね。

萩原: そうですね。

山下: で、これ僕の立場からいわせてもらうと、あのー、なんつうの、プロジェクトがね、全然要するに、そのー、例えば年寄りの人っていうかさ、あのー、一般的にそのもう、だから一線を過ぎた人のためのプロジェクトじゃないんですよ。

萩原: うん。

山下: 例えばミキサーひとつとってみても、ちゃんとしたっていうとおかしいけど、エンジニアリングは要するに年寄りがやってる訳じゃなくて、要するにね、ちゃんとしたエンジニアリングの人がいるし、それからミュージシャンもちゃんとしたミュージシャンというか、変な言い方だけど、要するにその、今の、その例えばヤング層のね、をターゲットにした歌謡曲とか、アイドル歌謡とかバンド物の、要するになんつうの、影武者とかさ、

萩原: うん。

大滝: 影武者!

山下: そういうようなことをやってる、いわゆるスタジオ・ミュージシャンの一線どころがちゃんとこう、ついてるし、

萩原: 今のビートをつくってる人達ですからね。

山下: そうそう。そういう要するに、プロジェクトというか、そういうものがね。それで宮川さんっていうのは、そういう意味では、割とそういう所のクロス・オーバーの人だから、そういうスタッフといい潤滑油っていう感じでしょ。

萩原: うん。

山下: スーパーバイズっていうね。

大滝: そうそうそう。で、シビレ節の作者でもあるし、ウンジャラゲの作者でもあるし、まあクレイジー・サウンドを知り尽くしているということと、

萩原: そうですね。

大滝: あの人の今日性というかね、そういう新しいものも好きだっていうところがうまくいったんだと思いますけどね。

山下: 一番最初にこれをつくろうと思い立った人は誰なんですか?

大滝: 植木さんじゃないですかね?

山下: ご本人ですか?

大滝: スーダラ伝説っていうの、多分お考えになったのもご本人だと思いますが、

山下: なるほど。

大滝: これは実に、このーネーミングというんですかね、今風にいえば、

山下: なるほど、コピーですね。

萩原: えぇ。

大滝: それの勝利じゃないですか。

 



山下: 老いたというほどは老いてませんけど、とにかくお年を召して、ますますさかんってとこですね。

大滝: ほんとに、すごいですよ。

萩原: はい。

山下: さて、そういう訳でですね、大滝さんが手がけられた、これは完全に監修なんですが、もう1枚ありましてですね、邦楽が、去年。橋幸夫さんの「スイム・スイム・スイム」という、

大滝: いいねー。

萩原: ハハハ。

山下: 「夏だ、エレキだ、リズム歌謡だ」

大滝: このコピーはどうかと思うけどね。

山下: レジャンドリー・リマスター・シリーズ、監修、厚家羅漢。

大滝: いやー。

萩原: ハハハ。

山下: これはですね、いわゆる橋幸夫さんという方を、お若い方、知ってるでしょうね。

萩原: まあ、ボンチのおさむちゃんが真似してたという、

山下: そうですね、「いたこのいーたろう」

大滝: それも、

萩原: それも古いなー。

大滝: それもすごいな。

山下: 橋幸夫さんは60年代の初期にですね、いわゆるエレキ・ブームってのが日本でありましてですね、ベンチャースを代表する。橋幸夫さんも、そのエレキ・ブームにあやかって、いろいろなオリジナルでヒット・ソングを出されたと。

大滝: ふんふん。

山下: その、いわゆるエレキ路線の名作だけを集めてCD化したという、いかにも大滝さんらしい企画ですね。

大滝: そうですね。

萩原: まあ、あのー、エレキ路線プラスその手のやつですね。

山下: その手のやつ、はいはい。

萩原: ちょっとその周辺ですね。

山下: 周辺ですね。

大滝: えぇえぇ。で、橋幸夫さんというのは、当時一番だからあのー、はやってた訳ですよ。

山下: そうですね。

大滝: だから、今でいえば、

山下: オリジナル御三家ですからね。

大滝: プリンセス・プリンセスのようなものでしょう。

萩原: フフフフ、まあそうですね。

大滝: ちょっと比較があれだけど、受けていたという意味合いではね、

萩原: そうですね。

山下: まあ、そうでしょうね、そうですよ。

大滝: 若い人がみんな聴いていたんですよ。

山下: 「炎のように燃えようよ」ってのは、そういう曲でしょう。

大滝: そういう曲だったんですよ。

山下: 「ダイアモンズ」みたいな曲でしょう、やっぱり。

大滝: ものすごく強引に、グッーと持っていけば、ビートルズのようなものだった、

萩原: はいはい。

大滝: ともいえなくもないですよ、とにかく。

萩原: うん、うん。

大滝: その割にはですね、ほとんどだから、そこに光があてられていないというか。

萩原: うん。

山下: 大滝さんは、これはなんでそれを橋幸夫さんの、このー、要するに、しかもエレキ路線というかな、その周辺っていうのかな、そういうものを、こういう発想で、要するに、そのー、CD化しようと思い立ったんですか?

大滝: 基本的にはね、とにかくだから、そのー、すごく存在が大きくて、流行がものすごく大きくて、存在が大きい割には、ほとんどそのー、今、光があたってないっていうのがひとつと、

萩原: うん。

大滝: 僕の友人で、橋幸夫の顔真似から歌真似まで全部やるという、

萩原: ハハハ。

大滝: 中学時代の友人が一人いて、で、歌謡路線はあまり共感できなかったんだけど、このエレキ路線だけは、一応聴いて聴けないことはなかったという、中学時代があって、

山下: なるほど。

萩原: うん、うん。

大滝: それをちょっと、こう、

萩原: 重ね合せて、

大滝: 重ね合わして。

山下: 1曲いってみたいんですけど、何にしますか?

大滝: これはね、なかなかいいのはね、えーっと、「恋と涙の太陽」っていうのがね、

萩原: ハハハ。

大滝: これがいいんですよ。

萩原: 確かにね。

山下: 知ってますよ。小学校5年。

大滝: 恥ずかしい。

萩原: ハハハ。

大滝: 当時はね、でも、はっきりいってね、でもあのー、本気で聴いたことは一度もないんですよ。

萩原: ハハハハ。

大滝: 実は。

山下: 実をいうと、私もそうです。

萩原: 耳にはガンガン入ってたんでしょう?

大滝: うーん、入ってはいたんですけど。だから、よくね、こういうものをなんか、集めてやったりとか、紹介したりすると、いかにもなんかその人は、そういうものに、

山下: その時からね。

大滝: どっぷりと浸かっていたかのごとくにいわれるでしょう。例えば、60年代のフィル・スペクターを語ると、

山下: フフフ。

大滝: 当時から全部レコードは持ってて、全部聴いてたかというと、そんなことないんですよね。

山下: だって、そういう具合にいうんだもん、大滝さん。

萩原: ハハハハ。

大滝: 私が?いいました?

萩原: いやいやいや。

山下: 全部知ってるような感じでいうからね。

大滝: 私がねー、

山下: そう。

大滝: 失礼いたしました。

山下: あっ、そうなんだ。そんなにどっぷりとは聴いてなかったんだ?

大滝: いや、はっきりいって、あまり好きではありませんでした。

山下・萩原:(爆笑)

山下: ひでーなー、

大滝: いや、あんまりはやっているというのは、ほら、若いときはね、

山下: マイナー趣味なんですね、やっぱりね。

大滝: ちょっと横向くでしょう。

山下: そうでしょうね。そうじゃなきゃ、大滝さんみたいな人格が生まれるわけないですもんね。

萩原: ハハハハ。

大滝: なんなんだ?誉めたな。

山下: フフフフ。という訳で、「恋と涙の太陽」橋幸夫。

 曲:

橋幸夫/恋と涙の太陽

山下: 「どうして僕達 いけないの、愛し合ってるのに いけないの、燃える想いを かくしてすまして、若すぎるのか 僕達二人、ああ 太陽と恋とで 一ぱいの、湖なんだぜ ビーチだぜ」ってのが、

萩原: すごいですね。湖のビーチですからね。

山下: 「恋と涙の太陽」という。

萩原: どんなビーチなんでしょうね。

山下: 確かにこういう世界でしたよ、ほんとに。私、小学生でしたけど。

大滝: そうでしたか。

山下: ラジオでひっきりなしに、こういうのかかってたんですよ。

大滝: うーん。ほんとにかかってたんだよね。

山下: 美樹克彦さんとかね、「俺だって」みたいな、ああいう世界ですよね。

大滝: 詳しいね。

萩原: でも、あのー、ビーチ解釈するのが、サーフィンものとかね、そういうのが日本に入ってきたときに、ビーチっていう光景が湖とダブっていたとしたら、ものすごいものがあったでしょうね。

大滝: そういう幻想の中のビーチだったんでしょうね、そういう意味合いではね。

山下: 幻想でしょうね、結局ね。あのー、サーフィンっていうのも、非常に観念的なものでしかないでしょ。

大滝: 非常になんか、デビット・リンチ的なものが、一瞬感じてしまいますけどね。

萩原: そうですね、うーん。

山下: あのー、まあ、そういう訳で、結局その、サーフィン・ミュージックとかインストゥルメンタルとかエレキとかいうものが、日本に入ってきて、歌謡曲のフィルターを通ってくると、こういう形で出てくるというね、これオーケストラ・フル・バンドな訳で、

大滝: そうそう。

山下: ちょっと昔の、一昔前の、オーケストラ編成なんだけど。

大滝: これ、でもね、十分これで洋風だったんですよ。

山下: そうですね。

萩原: うんうん。

大滝: だからそれをね、今聴いて当たり前とかね、歌謡曲ってふうに聴こえるかもしれないけど、これ、当時の人は本当に、そのー実に、これで洋風だというふうに思ってたし、十分に洋風だったし、どう聴いても洋風に聴こえるんですけどね、私には。

萩原: ハハハ。

大滝: いかがなもんでしょう?

山下: やはり日本の音楽が、これだけマーケットを席巻するようになりますとですね、やっぱり歌謡史っていうのは、ほんとにちゃんとやんないとだめですね。

萩原: あー、そうかもしんないですね。

山下: 歌謡史を、今までみたいな、はんちくなんじゃなくて。

萩原: そうですね。これまでは、ちょっとこう、変に演歌の方にねじ曲げていく、

山下: 屈折するっていうかね、

萩原: ありましたからね。

山下: 屈折した自己正当化か、もしくは完全な否定か、なんつうか、進行かね。そういうものじゃなくて、なんかこうね、全体、もっとなんていうか弁証法的というか、

萩原: はいはい。

大滝: えー、簡単にいえばね、要するに、「クリスマス・イブ」をつくった山下達郎と「悲しい酒」をつくった古賀政男を並列に書けるような歌謡史。

萩原: うんうん、そうですね。

大滝: はい。きまりました。

萩原: はい。

山下: きまりました。

萩原: すばらしい。

山下: えー、もう1枚、大滝さんが監修された、監修ばっかりですね。

大滝: まだあったっけ?

山下: これは私、買ってさんざん聴きましたが、アストロノウツのCDでございまして。

大滝: あー、これはね、よかったね。

山下: アストロノウツというのはですね、大滝さんに代わって申し上げますとですね、

大滝: どうぞ。

山下: 日本では、いわゆるインストゥルメンタルのグループなんですが、

萩原: うん。

山下: アメリカではボーカル・グループな訳で、LPというと、だいたいまあ、ボーカルの方が多いんです。

萩原: ボーカルが多いですね。

山下: それで、実をいうと、そのインスト・オンリーのアルバムっていうのが、

萩原: ないですね。

山下: ちゃんとしたものがないんでしょ?で、CDは特にこれが初めてですよね。

大滝: です。

山下: インストゥルメンタルだけを集めたCDというのはね。

大滝: ない。

山下: これで全部でしょ、それで?

大滝: 多分ね、ほとんど網羅したと思いますよ、これで。

萩原: うーん。

山下: 22曲入りですが、

萩原: これであと、日本録音の変なものとか、そういうのが残ってますけどね。

大滝: そういうインストありますけどね。

山下: めぼしいものは、これで全部だという感じがしますよ。

大滝: ええ、思います。

山下: で、実をいうと、これしか結局ないんですね、インストがね。

大滝: これしかない。要するに、あとはみんな歌、歌ってるんですよね。

山下: そうですよね。

大滝: うーん。

山下: あと、「ワッツ・アイ・セイ」とかそういう世界ですもんね、

萩原: そうですね。

山下: 「アンチェイン・マイ・ハート」とかね。

萩原: はい。

山下: えー、何かけますか?

大滝: これ?何がいいの?山下さんでしょ、やっぱり。

萩原: これはね、やっぱり、

山下: やっぱり、「ムービン」のステレオ・バージョンいきましょうか?

萩原: ハハハ。

大滝: 枯れたねー。

山下: だめですか?

大滝: 選びが枯れたよ。

萩原: いいんですか?いいんですか?

山下: いや、「ホット・ドッギン」か「バージャ」がいいかと思ったんだけど、さんざんかけてるからさ。

萩原: あー。

山下: やっぱり、「ムービン」のステレオ・バージョンって渋かったんだもん、これ。

萩原: あー、じゃあそれですか。

大滝: ね、モノ・バージョンも渋いけど、ステレオもなかなかね。

山下: ステレオもなかなかこれ、捨てがたいものがあります。

大滝: なるほど。

山下: 日本では「太陽の彼方に」という、

萩原: はい。

山下: 「ムービン」といってもわからなかったんですが、今では「ムービン」といえば、この曲だという認知、ほんの何百人かの間でされるようになったというだけでもすごい世の中になりましたよね。

萩原: サファリズは「バッド・マン」というタイトルでこの曲やってますけどね。

大滝: ムービン?

萩原: なんだかよくわかんないですね。

大滝: さすがに、インスト・マニアは違うね、いうことが。

萩原: 失礼しました。

山下: 「乗ってけ、乗ってけ、乗ってけ、サーフィン」ですからね。

大滝: ほんとに。

山下: これをはめた人はすごいですよ。

大滝: だから、曲を知らない人でも、あの「乗ってけ、乗ってけ」っていうのを、知ってる人は多いでしょうね。

萩原: 多いですね。

大滝: うーん。

山下: という訳で、アストロノウツ、「ムービン」

 曲:

THE ASTRONAUTS/MOVIN'

山下: 2分ポッキリしかないという。

萩原: ハハハ。

山下: テームひとつしか「チャッチャチャ、チャッチャチャ」あのメロディーしかない。

大滝: それをずーっと転調によって、

山下: 延々、ただやって、

大滝: 延々あげて、戻ってくるというなかなかね。

山下: まあ、ヒップ・ポップの草分けみたいなもんですな。

萩原: 最後あのー、ドラム・ソロで戻すとこの強引さすごいですね。

大滝: あれがいいですね。あれがポップスのあり方で。でね、このアストロ、ごめんなさい、アストロノウツの、こういうサウンドを橋幸夫の中に活かしてあるというところがミソなんですよ、

山下: そうですね。

大滝: 実は。こう、続けてやったには、そういう理由があるということです。

山下: なるほど。

萩原: でも、大滝さん、聞くところによると、アストロノウツもあんまり好きじゃなかったって。

大滝: はっきりいって、嫌いでしたね、アストロノウツは。

萩原: ハハハハ。

大滝: こんなね、だから、なんか時代を経て、なんか良さがわかるっていうか、

萩原: はー。

大滝: 嫌いだったなー。はやってたからね。

山下: やっぱ、子どものところの時間軸っていうのがあってね、例えば僕、アストロノウツ好きだったから、

萩原: あーあー。

山下: 僕にはとってもエキサイティングに聴こえたんですよ。たった、大滝さんと五つしか違わないんだけど、

萩原: うん。

山下: だけど僕は小学生で、大滝さんはもう高校いくかっていう感じだったでしょ?

大滝: 高1。

山下: だから、やっぱり、そこの自意識の差っていうのは、ものすごく激しい訳ですよ。

萩原: うん。

山下: だからそれは、その時の価値じゃ絶対判断できないんだね。

大滝: そうなのよね。

山下: ここで、今、僕37になって、大滝さん42になって、

萩原: うん。

山下: このぐらいの年になって初めて、要するに、もうちょっと冷静にね、

萩原: はーはー。

山下: 時間軸をちょっと圧縮したというのかな、5年程度のさ、その子どもの自意識というか、別に子どもをバカにしている訳じゃないけど、子どもの自意識ってのから離れたさ、ほんとの意味での価値尺度っていうの?

萩原: うん。

山下: つくってね。ほんとはだから、そういうので、歌謡史ってのをやんなきゃなんなかったんでしょうけど、

萩原: 確かにそうですね。

山下: なんで誰もやらなかったんでしょうね、日本で。

大滝: ね。

山下: すぐその話になっちゃいますけど。

大滝: なんかね、まあね、いろいろあるんでしょうけど、まあ後日にしましょうか。

山下: しましょう。

萩原: ハハハハ。

山下: ところで、大滝さん、最初のあの質問なんですがね、

大滝: あー、あー、なんでしたっけ?

萩原: 忘れてるじゃないですか。ダメですよ。

大滝: あっ、そうね。では、

山下: ハハハハ。

大滝: ついにこれについて結論を出しましょう。

萩原: ほー。

大滝: これがあのー、宝島という本で、1984年の5月号というのがありまして、

山下: ハハハ、持ってきてる。

大滝: なにゆえ1991年に、僕がアルバムを出すかということの一番大元になったのは、この雑誌の対談によるんですよ。

山下: 誰との対談なんですか?

大滝: で、この時の対談の相手がね、今見ると、あの、あれですけど、萩原なんとかさんという人なんですね、インタビュアーが。

萩原: ハハハハ。

山下: これ不思議だね。

大滝: で、1984年の5月ですから、もう6年前ですか?

萩原: ですね。

大滝: で、これの一番最後に、「1990年からレコーディングに入って、1991年にアルバムを出す」と。で、「自分のソロ・アルバムから20年後になる」と「ロング・バケーションから10年後」、「タイトルが『1991』、レコード番号も1991」

山下・萩原:フフフ。

大滝: で、「2001年には『2001年ナイアガラの旅』」っていうふうに書いてあるんですけど、この間にある言葉が省略されて、ずっと伝播されたんです。

山下・萩原:ハハハハ。

大滝: というのは、

山下: きたきた!

大滝: えー、「レコード番号も1991、仮だよ、いっとくけど」って書いてあります。

萩原: あっ、私も、

大滝: 「『2001年ナイアガラの旅』、うん、仮だよ、いっとくけど、2度(笑い)」それから、えー、それで、「とにかく企画倒れは世界一だからね俺は、ほんと、ギネス・ブックにのらないかな。企画倒れの世界記録でギネスにのらないかな」っていうふうにいっております。

萩原: はー、確かに私も書いた覚えがあります。

大滝: あります?

萩原: その「仮だよ」っていうのを。

大滝: 「仮だよ」

山下: しかし、84年の宝島を持ってるっていうのがすごいよね。

萩原: フフフ。

大滝: いやー、これがないとね、やっぱり事実に基づいて僕は物をいいたい。

萩原: ハハハ。

大滝: で、すみません、仮でした。

山下・萩原:(爆笑)

山下: それで大滝さん、あれなんですけど、忌憚のないところなんですけど、レコーディングはどうするんですか、レコードは新しいのは出ないんですか、当分?

大滝: うーん。

山下: 人のことはあんまりいえませんけど。

萩原: ハハハ。

大滝: ねえ、どっちかというと、今切り返そうかと一瞬思ったんだ。

萩原: うん。

大滝: うまいね、先にいっちゃって。

山下: だから、始めにちょっとフォローしました。

大滝: だから、一応「仮」だからね。だから、この約束を守るか、企画倒れ世界一のギネスにのるのをとるかっていうふうになったら、どうもそっちの方をとろうかなっていうふうに、一瞬思ったんじゃないかっていうふうに思うんですけど。

山下: 何とお応えしていいかわかりませんね、ほんとに。しょうがないですね。

大滝: まあとにかく、1991年は山下君の年ですので、

萩原: ハハハハ。

山下: よくいうよ。

大滝: みなさん、山下君のアルバムを期待して、とにかく山下君の年ですから。

萩原: ハハハハ。

山下: あのー、

大滝: いっときますけども、これだけは。

山下: 1曲かけたいと思いますが、えー、最近あれですね、最近というか、去年、おととしぐらいから、また、ニュー・オリンズなんていうことが、よくいわれるようになりましてね。

萩原: はいはい。

山下: ネビル・ブラザースが、なんか再評価受けたりですね、

萩原: そうそう。

山下: 日本でもなんかそういうような、

萩原: ありましたね。

山下: フォロワーっていうか、ニュー・オリンズを意識した音楽というのをやる方がたくさん出てきてますけど、私はあのー、そういうのは全然ルーツにないので、傍観者的なことしかいえないんですけど、私は「ナイアガラ・ムーン」という大滝さんの75年のLPにずっとかかわりあって、あれしてきましたんで、それから細野さんのLPとかも、ああいうとこで、ずーっと見さしてもらってるんで、最近ニュー・オリンズとかいっててもなんか、全然底が浅いなっていう感じが、

萩原: そうですね。あのー、最近ですね、ニュー・オリンズ・サウンド、R&Bのね、特集をしたですね、レコード・コレクター雑誌がありましてですね、

山下: はい。

萩原: そこでですね、日本での影響について書いてある対談みたいなのがあったんですけど。そこでですね、久保田真琴さんまでは名前が出てるんですけどね、ほんとに重要なですね、その細野晴臣さんと、そしてもうお一方、

山下: うん。

萩原: 大滝詠一さんの名前がそこに出てなかった。

山下: だって、その時日本でニュー・オリンズなんてないでしょう、

萩原: ねえ。

山下: あの2枚なきゃ。

萩原: この二人がいなかったら、日本にニュー・オリンズ・サウンド聴いてるやつがいたんだろうかと。

山下: いたんだろうかっていうね。

萩原: まあ、当時出してる人が一人いましたから、その人ぐらいは聴いてたんじゃないかと思いますけど、再発をね。

山下: うん。

萩原: と思うんですけどね。

大滝: 誰ですか?

山下・萩原:ハハハ。

山下: という訳で、大滝詠一さんの「ナイアガラ・ムーン」のアルバムから、「三文ソング」

 曲:

大滝詠一/三文ソング

山下: という訳で、大滝詠一さんの「三文ソング」

大滝: 後ろで「さーんもーん」っていってる声があるでしょう、

萩原: はいはい。

大滝: 私より大きい声でね。

萩原: ハハハハ。

大滝: この人なんだよ、実をいうと。

山下: あっ、そういえば二人でやったんだよね。

大滝: やったんだよー。あれみんな一人に聴こえるんだよ。

山下: 「さーんもーんソーング」

大滝: そうだ、その声。

萩原: この声?

大滝: あれはね、こっちなの。意外に、これは知られてない。

萩原: そうですね。

山下: 二人でやったんだ。あのころはクレジットなんか、1曲1曲、こう明確になんかしなかったもんね。

大滝: すみませんね。

山下: いやいや、みんなそうだったもん。

大滝: してくれって。

山下: フフフ。

萩原: ハハハ。

山下: えー、このハガキはね、よく来るんですよ、いろんな人から。これは船橋のラジオ・ネーム、明治の伊藤さん、「直訴!」

萩原: ハハハ。

山下: 「大滝さん、萩原さん、達郎さん、こんにちは。新春放談は1回目から聴いています」

萩原: はー、しぶとい人ですね。

山下: 「早速ですが、大滝さんに1件。89年に『ロング・バケーション』や『トライアングルVOL.2』等のCDが廉価盤再発になりましたが、どうして『さらばシベリア鉄道』や『A面で恋をして』等の名曲がカットされているのでしょう?初版がまだ出ていた頃は、私は予備校生で、CDなどという高価なものは買えませんでした。再発盤の方はなんだか、昔別れた彼女が整形手術をして戻ってきたようで」

萩原: ハハハ。

大滝: フフフフ。

山下: なかなかしゃれた表現ですね。「ちっともうれしくありませんし、」

萩原: ちっともうれしくないって、ハハハ。

山下: 「特に『A面で恋をして』を抜きに『VOL.2』を語ることはできないと思います。佐野さんや杉さんも、きっと泣いていますよ」何だよ、それ!

大滝・萩原:ハハハハ。

山下: 「1日も早くもとの姿に戻して、再発してください。私と同じことを考えている人は多いと思います。PS、達郎さん、NHKの頃と比べて、声が明るくなりました」って、余計なお世話だって。あれは夜で、これは昼だから、こうやって、

萩原: 人間が丸くなったんですよね。

大滝: そうね。

山下: 違います。昼間喋ってるからです。

大滝・萩原:フフフフ。

山下: 夜は暗いんです。というね、これ結構たくさんきてるんですよね。

大滝: あっ、えーっとですね、これはお答えしましょう。えー、3月21日に、

萩原: はい。

大滝: 「ロング・バケーション」、「ナイアガラ・トライアングルVOL.2」、「ソング・ブック1、2」、「イーチ・タイム」、「ビーチ・タイム・ロング」のこの6W、それから、えー、このー、1980年から1989年までの、この10年間の、SONY時代の作品をすべて集めた「大瀧詠一作品集」というのを、もう1枚つけて、

山下: へー。

萩原: ほー、ほー。

大滝: えー、3月21日に発売予定でございます。

山下: なるほど。

萩原: なるほど。

大滝: で、これもまたリマスターいたしまして、ちゃんと全曲オリジナルどおりです。ですから、この前の再発よりも曲が減るものもありますけど、いっときますけど、それはオリジナルがそうです。

山下: オリジナル・シークエンスだっていうことですね。

大滝: えぇ、ひとつ前の場合、だから前は、その2曲減ったということをいってますけども、何曲か増やしているアルバムもあるんですよ。

萩原: うん、ありましたね。

大滝: で、それはあまりいわれなかったんですけども、

山下・萩原:ハハハ。

大滝: ですから、今度はくれぐれもいっときますけど、もうあと僕は1年ラジオ出ませんから、

山下・萩原:ハハハ。

大滝: いっときますけども、えーっと、減ったといっても、それはオリジナルの形そのままですので、ひとつお間違えなきよう。

山下: 今度、納涼放談っていうのやりましょうかね。

萩原: ハハハハ。いいかもしれませんけどね。

山下: ひどいよね、そうですか。

大滝: ひとつよろしくお願いします。

山下: ということですので、ひとつ全国のナイアガラ・ファン、大滝詠一ファンのみなさん。で、私何度もお尋ねしますけど、アルバムはもう、当分ないと思ってた方がいいんですか?

大滝: いや、そう思うと、

萩原: ハハハハ。

大滝: 私はジーニアスと呼ばれている。

萩原: ハハハハ。

山下: フフフ。

大滝: また、このネタだよ!10年に1回はいわして。天才といわれた男。天才は忘れた頃にやってくる。

萩原: (爆笑)

大滝: いかがでしょう?

山下: 何回聴いたかな、俺。

萩原: おあとがよろしいようで。

大滝: 10年に1回。

山下: という訳で、そろそろお時間が近づいてきたようでございましてですね、この間、去年の12月にリクエスト大会で、私、ロイ・オービソンの「クライング」をカバーでやりまして、

大滝: 私聴いてましたよ!

山下: 嘘ばっかり!

大滝: 聴いてましたよ、あの「クライング」を!だからもう、ほんとにね、涙なしでは聴けませんでしたよ。

山下: あれがえらい評判よくてですね、

大滝: でしょうね。

山下: 「もう1回聴きたい」というハガキが、

大滝: いや、これは私もリクエストしたい、うーん。

萩原: はいはい、ラジカセ、ラジカセ、チェック、チェック。

山下: すいません。えー、あれなので、今日の最後は、そういう、お正月に免じて、

大滝: よーよー。

山下: 昼間のアンコールにお答えしまして、ひとつ恥ずかしながら、

大滝: 明るい声で歌ってるからね、これが。

萩原: フフフ。

山下: 「クライング」、自宅録音の「クライング」

 曲:

山下達郎/CRYING

山下: えー、てな訳で、大滝詠一さん、萩原健太さん、そして私、山下達郎と3人でお届けしてまいりました、東芝プレミア3の正月スペシャル、新春放談VOL.8。えー、この続きは、1月の20日の、また同じこの時間、セイム・チャンネル、セイム・タイム、これでまた楽しくいってみたいと思います。今日は大滝さんの身辺というか、

萩原: ハハハ。

山下: 昨年1年の活動状況というか、そういうものを追求したりしましたけど、

萩原: 言い訳と。

山下: 次回はですね、

大滝: ご説明といってください。

山下: 次回は、まあ、何なんですか?次回は、こう、何というか、ここ1年ぐらいの再発CDとか、そんなものをポツポツとかけながら、よもやま話に花を咲かせていきたいと思います。

大滝: なるほど。

萩原: 仮だよ。

山下: 大滝さん、萩原さん、次回もひとつよろしく。

大滝: よろしく。

萩原: よろしくお願いします。

山下: それではみなさん、1月の20日のこの時間まで、ごきげんよう、さよなら。

 この回の放送も「SNOW TIME」特集に匹敵するくらい面白かったですね。「EACH TIME」発売直後から、大滝さんがいっていたアルバム「1991」ですが、「仮」が抜けて広まっていたんですね。この放送を聴いたとき、まさか今までアルバムが出ないようなことになるとは思いもしませんでした。ただ、ここ数日の大滝さん、健太さん、ノージさんのページを見ていると、ほんとにワクワクしてきますよね。考えてみたら、この3人ってインターネット版「NIAGARA TRIANGLE」みたいですね。

 樋口秀夫様、時事放談の情報ありがとうございました。

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