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1991.1.20 プレミア3

山下: みなさん、こんにちは。ご機嫌いかがでしょうか、山下達郎です。えー、1月も、もう15日、成人式を過ぎまして、中盤を過ぎますと、もう、完全にお正月なんてもんじゃなくて、普通の日常でございますが、私、山下達郎の東芝プレミア3は相変わらず新春放談でございます。新春ってのはいいですね、新しい春、新春、だからどうだって訳じゃないんですけど。えー、今日も、前回1月6日に引き続きまして、大滝詠一さん、そして萩原健太さんをお招きしまして、萩原健太さんは、お招きするじゃないですね、表に出てきてもらいまして、3人で今日も新春放談、いろいろと楽しくやってみたいと思います。大滝さん、どうも。

大滝: よろしくお願いいたします。

山下: 萩原さん、ひとつよろしく。

萩原: どうも、表に出てきました。

山下: えー、てな訳で、今日は楽しく、山下達郎、東芝プレミア3。えー、ここ数年間は、CDが完全にアナログ盤に取って代わりましてですね、そのせいか、CDでもって、昔のアナログ盤のアイテムを再発するというか、そういうものが、こう佳境に入ってきまして。大体有名どころは一段落しましたんで、あんまり無名どころというか、マニアックなものというか、コレクターズ・アイテムというか、そういうようなものが、すさまじい量で、あふれんばかりに巷にありますけど、

萩原: 出てますね。

山下: そのおかげで大滝さんは、なんか、またレコード買う量が増えたという。

大滝: 増えましたね、えぇ。

山下: 去年買ったんで何がよかったです?

大滝: 去年?

山下: えぇ。

大滝: 何がありましたかねー?

萩原: ハハハ。

山下: 覚えてない。こういう主義なんですよね。買っても聴いてない。

萩原: うーん。

大滝: いや、結構聴きますよ。

山下: 聴いてました?そうですね。

大滝: うん、聴きましたよ。

山下: ポール・リビアのそれ、リミックスだと僕知りませんでしたから。

大滝: うん、リミックスですから。おたくでしょ、聴いてないの。

山下: それで、私なんかにとりまして、去年は一番よかったのは、ビーチ・ボーイズが、

萩原: (拍手)

山下: CD化されたという。

大滝: ねぇ。

山下: えぇ。あんだけやれば、まあビートルズに匹敵する価値があるだろうと、

萩原: まあ、少なくともキャピトル時代に関しては、もう見事に。

山下: 萩原さんほどの喜び方は、あれですけど、萩原さんは狂喜乱舞、文字どおり。

萩原: フフフフ、一時浮かれてましたからね。

山下: それでですね、それは散々かけましたんで、ワーナー時代のね、

萩原: ブラザー・リプリーズ時代ってやつですね。

山下: ブラザーの、ブラザー・リプリーズ時代のカタログが3W、「サンフラワー」、「サーフス・アップ」、えー、

萩原: 「オランダ」

山下: 「オランダ」と、この3Wが。「カール・アンド・パッションズ」はどこいっちゃったかというのはありますが。「サンフラワー」というLPは、これ、なかなかいいできで、

萩原: すばらしいアルバムですね、全然売れなかったですけどね。

山下: そうですね、えぇ。それは、遅れてきた世代でありますところの、私でありますとか、萩原さんの世代にとりましては、「サンフラワー」いいLPだな、

萩原: うん。

山下: 大滝さんなんかは、「グッド・バイブレーション」から以降、ビーチボーイズ聴かない。

大滝: はっきりいってね、

萩原: ハハハ。

大滝: 「ペット・サウンズ」は嫌いでしたね。

萩原: ハハハハ。

大滝: フフフフ。

萩原: 前回に引き続きですね。

山下: 細野晴臣さんも、おんなじようなことをいってましたね。やっぱり、40年代後半生まれの人は、みなさんそうですね。

萩原: はー。

山下: ビーチ・ボーイズっていったら、やっぱり、

大滝: こういういい方するとさ、いかにもなんか、全然聴いてなくて、なんかそれをさ、こう、

山下: そうそう。

大滝: まるで何もやってないというのではないんだけど、必ず、そういういわれ方して。

萩原: うん。

大滝: だから、僕なんか、あれですよね、「ビートルズを聴いてない」というか、「嫌いらしい」とかいうふうになると、ビートルズ関係の依頼って一切来ないんだけど、

山下: そうですね、いえますね。

大滝: いっときますけど、ビートルズで一番好きなのはね、「クライ・フォー・ザ・シャドウ」ですからね。

山下・萩原:ハハハ。

大滝: 誰も知らないでしょ?まあいいや、先いってください。

山下: 私はだから、ビートルズはまったく逆で、「サージェント・ペッパーズ」以降はダメなんだよね。

萩原: あー、そう。

山下: ビートルズっていったら、誰がなんていおうと初期です。

萩原: あー。

山下: 「セカンド」、「ハード・デイズ・ナイト」、「ヘルプ」、「フォー・セール」

萩原: 私、もう気がついた頃には「ホワイト・アルバム」出てましたからね。

山下: そうですか?てな訳で、

大滝: 先いきましょう。

山下: そのブラザー・リプリーズ時代の名作であります「サンフラワー」、まったくほんとに売れませんでした。一番ビーチ・ボーイズが低迷、売り上げ的に低迷した時代なんですが、内容はすばらしく、「オール・アイ・ウォナ・ドゥ」

 曲:

THE BEACH BOYS/ALL I WANNA DO

山下: えー、ビーチ・ボーイズの「サンフラワー」というアルバムから、「オール・アイ・ウォナ・ドゥ」でした。リード・ボーカルはデニス・ウィルソンですな。

萩原: はい。

山下: えー、大滝さん、そういえば前回の、1月6日には言及しませんでしたけど、本の監修もなさりましたね。

大滝: あっ、やりましたね。

山下: ヒーズ・ア・レベル。

大滝: えぇ。

山下: 出るはずの「フィル・スペクター・ボックス」が出ないで、

萩原: ほんとに。

山下: 本が先に出てしまったという。

大滝: で、このボックスが出ないのを、私のせいだというふうに、

萩原: ハハハハ。

大滝: いわれてる、あのー、巷では何人かは、

萩原: はいはい。

大滝: そういうふうにいってるようですけれども、

山下: 私のせいだといってる人もいますからね。

萩原: うん。

大滝: あー、そうなの?

萩原: いますねー。

大滝: どちらかというと、そっちが近いんじゃないかという気がしないでもないけど、

山下: 違うもんね。

萩原: うんうんうん。ただ、まあいろんな説がありますよね。

大滝: まあね。でも、二人のせいではないんだよね、

山下: そうです。

大滝: 実をいうと。

山下: そうです。でも、絶対出します。

大滝: ね。

山下: 絶対出しますからね、待っててください。

大滝: この解説はね、私はずいぶん気を入れて書いたんだけどね、

山下: そうですよね。

萩原: ハハハハ。

大滝: もう、だんだん古くなっていっちゃってさ、

山下: 「フィル・スペクターを256倍楽しむ方法」ってやつですね。

大滝: そうそう。それをね、誰かが最近使ってたのよ、どっかで。この256倍。

萩原: 256倍?

山下: なるほどね。

大滝: うーん。

萩原: これ使われちゃうとね、

大滝: 私の方が、ちょっと早かったんだけどなー。

萩原: 早かったんだけどねー。

山下: これはしかし、このボックスはね、あのー、重大な欠陥がありましてですね、

萩原: はいはい。

山下: 「ベスト・オブ・ザ・ロネッツ」に入ってる「アイ・ワンダー」はクリスタルズのやつなんですよね。

萩原: うん。

大滝: そうなんです。

山下: で、クリスタルズに入ってる「アイ・ワンダー」もクリスタルズのやつなんで、

大滝: そうなんです。

山下: 「アイ・ワンダー」のロネッツ版が、これ間違えてるんですよね、デジタル・マスターがね。

大滝: うーん、だったねのよねー。

山下: ひどいですね、これ。

大滝: 今となってみると、あのアナログ盤が価値が出るという。

山下: 「このやろう!」ってやつですな。えー、という訳で、なんかフィル・スペクターもえらい、生き長らえてますね。「アンチェインド・メロディ」がすごかったでしょう、去年は。

大滝: ねえ。

萩原: アメリカでも全米の、あのー、いわゆるアダルト・コンテンポラリー・チャートっていうんで、1位です。

大滝: で1位、普通のチャートで4位。また4位でしょ。

萩原: そうですね。

大滝: 65年も4位だったけど、

萩原: うん。

大滝: すごいよねー。で、スペクターの本はね、おかげさまで、ものすごく高価であったにもかかわらず、ちょっとあれ高いと思いましたけどね、私も。

萩原: 高いですね、確かにね。

大滝: でもね、売れたんですよ。

萩原: はー。

大滝: 作った分、全部はけたんですよね。

山下: あー、そうですか?

大滝: うーん。

山下: あれはなかなか面白い本でしたよ。

萩原: 面白かったー。あれ、2日ぐらいで読んじゃいましたよ。

大滝: 結構ね。

萩原: うん。

山下: でもね、やっぱり、わかっている人には面白いけど、

萩原: そうね。

山下: 全く音を、なんにも聴いたことがない人が読んだら、チンプンカンプンだろうとは思いますよね。

萩原: うーん、まあ確かにね。

山下: 当たり前ですけどね、そんなこと。

萩原: そうですね。

大滝: そういうもんでしょう。それでね、本を買ってですね、「音がないのにわかるか!」って怒るってのは、それは本末転倒っていうもんなんじゃないでしょうか。

萩原: はー、はー。

山下: いえますね。

大滝: いかがなもんでしょう?

萩原: 私もでも、そういうふうに怒った原稿書いたことありますけど。

大滝: 失礼しました。怒られたような気がするな。

山下: だけど、ほんとはね、このCDボックスが出るのを前提とした翻訳がなされている訳なんですよ、ほんとはね。

萩原: そうなんですよね。

大滝: ほんとはねー。

山下: だから、残念でしたけど、でも、そのうち出るでしょう。

萩原: ハハハ、そうなのか!投げ出すように、

山下: いや、出したくない訳じゃないんですから。

大滝: 断言したね。

山下: という訳で、それではじゃあ、えー、「アンチェインド・メロディ」、ライチャス・ブラザース。

 曲:

THE RIGHTEOUS BROTHERS/UNCHAINED MELODY

山下: ところで、昨年の11月になりますが、作曲家の浜口庫之助さんがお亡くなりになりましてですね、浜口庫之助さんの息子さんは、浜口元哉さんといって、パーカッショニストでございまして、われわれがよく存じ上げておるんですが、そのお父さんなんですが、日本を代表する、いわゆる流行作家ですね、ヒット作家、大ヒット作家でございまして。しかも、そのー、作詞・作曲・編曲と、シンガー・ソング・ライターの草分けというか、そういう方でもあられまして、私は何とその、2月に浜庫さんの追悼特集をしたいと思って、いろいろ資料を集めたりしてるんですが、私のところの、事務所の若い人で、若いといっても30ぐらいなんですが、そのぐらいの人になると、もう浜口庫之助さんがどなたかというのを知りませんね。

大滝: でしょうね。

山下: えぇ。で、あのー、例えば、曲ですね、「愛して愛して愛しちゃったのよ」とか「夜霧よ今夜もありがとう」とか「人生いろいろ」とか、えー、それから「黄色いさくらんぼ」とか、そういう曲目は知っていますけど、それが要するに浜口庫之助さんの作詞であり、作曲であるということは知らない人がほとんどでありまして、そんなもんなのかなと、曲が残って、作家は、

大滝: そういうのもあるんですけどね、一般の人にはね、一般の人は、いちいち誰がつくったとか、誰が歌ったとかなくて、

山下: そうですね。

大滝: 例えば、歌詞もなくて、メロディもなくて、「ああいうのがあったな」っていうので、それでまあいいんだと思うんですけども、

山下: うん。

大滝: 業界内がそれと同じレベルでは、多少まずいものがあるかというふうに私は思うんですけども。

萩原: あー、そうですね。

山下: うん。

大滝: で、どっかでね、どっかでなんか一つ踏みはずしちゃったんですよ。それ以前の人だと、だから五木さんとか細川さんだと、春日さんとか三橋さんの歌はコンプリートに歌えるようなんですね、話を聞いたり、テレビ見ても。

山下: あー、そうなんですか。

大滝: で、当然やっぱり、それで育っているから、ああいうふうな歌になる訳でしょう?

萩原: うん。

山下: その頃までは、伝統と継承というのは存在してた?

大滝: あったんですよ。

山下: 日本のロックが悪いんだ、やっぱり。

大滝: 悪いんですね。

山下: うーん。

萩原: なるほどね。

大滝: そこが見事に分断して、断ち切ったところに、アンチとして演歌という逃げ込みの二つのものができて、で、相容れることなく進んできたということでしょう。

山下: まあ、いわゆるその、メイン・ストリーム、まあ、今となっては何がメイン・ストリームだか、これから先は全然わかりませんが、少なくとも昭和45年ぐらいまでの歌謡史を見ますと、そのー、作家としてもメイン・ストリームってのがあってね。例えば、古賀政男さん、吉田正さん、例えば遠藤実さん、そういうような方がいらっしゃって、そのまた反主流として、服部良一さんであるとか、宮川泰さん、それから、えー、浜庫さんもそうですし、筒美京平さん、それは売り上げの大小っていうことじゃなくて、なんかこう、前回もいいましたけど、洋楽のコピー商品としての歌謡曲という側面がね、かなりの部分であって、そういうような洋楽と邦楽という、なんかそれも第三世界音楽みたいな、今では死語だけど、そういうような分け方をした場合での主流、反主流みたいなのがね、1975,6年頃まではあったような気がするんですよ。

萩原: うん。

山下: 日本のロックってのが、こんな市場を得る前まではね、歌謡曲ってのが、一番メイン・ストリームだった時代は。そういうところでの浜口庫之助さんの位置付けというのが、非常にこう、いってみればユニークというか、あのー、後にも先にも、浜庫さんは浜庫さんしかいないというか、いかがなものでしょうか?その辺を。

大滝: いや、いいですね。あのー、一応でも、服部さんやその他も含めて、今出た人は、割合メイン・ストリームですよ。

山下: そうですか。

大滝: 大きくいうと。で、浜庫さんもメイン・ストリームなんだけども、この人はそのー、やっぱりあり方、やっぱりさっきいったように、詩曲編っていう、全部自分でやるという、シンガー・ソング・ライターの側面が異常に、まあ、どっちみち歌手で始まった人でね、

山下: そうですね。

大滝: 紅白歌合戦にも出てる人で。で、この人ってのは、自分で歌うといいんですよ。

萩原: うん、いいですよね。

大滝: 自分の作品ってのはね、なんかどの作品でも、自分で歌うといいっていうのは、やっぱりシンガー・ソング・ライターなんでしょうね。

山下: うん、なるほどね。

萩原: 歌ってつくってるんでしょうね、そういうのはね。

大滝: うーん。あのー、ね、古賀政男さんなんかは、やっぱり自分でお歌いになるよりは、歌手の方がお歌いになった方がよいという。やっぱり、そういう、あのー、その作家の人なんかにもいろいろ持ち味があるんじゃないかと思うんだけど。

山下: そうですね。

大滝: うーん。

山下: そういうところが、なんかやっぱり、僕らなんかは、自分の曲を自分で歌うから、割とすごくシンパシーを感じるのかもしれませんね。

大滝: 流れからいくとね、浜庫さん、かまやつさんっていうふうな流れで来てるんだっていうふうに、

山下: あー、なるほど。

大滝: 私は解釈してるんですけどね。

萩原: あー。

山下: という訳で、あんまり話ばっかりもなんなんで、心からご冥福をお祈りいたしますが、えー、浜口庫之助さんの、とにかくキラ星のように、4000曲という説がありますがね、

萩原: ふーん。

大滝: 冥福の割には、選んだ曲がちょっと、

萩原: ハハハ。

山下: 違う?でも、いいんじゃないですか?らしいじゃないですか?

大滝: でもね、これがね、実はね、あのー、わかっていただきたいというのはおかしいけど、僕の考えでは、その何曲もあるんでしょう?

山下: えぇ。

大滝: これベスト・ワンだね、

山下・萩原:うん。

大滝: 浜庫さんの中で。でね、一番浜庫さんをいいあててるような気がするけどね。

萩原: あのー、なんか、テレビで、当時ね、歌ってらっしゃる映像ってのを、最近見ましたけどね、みょーによかったですよ、やっぱり。

大滝: いいんですよね。

山下: で、発売された当時は、放送禁止になった、いろんな紆余曲折がありましたが、これがかなり、やっぱり出世作に近い世界ですよね。

大滝: そうでしょうね、うーん。

萩原: スリー・キャッツの「黄色いサクランボ」

 曲:

スリー・キャッツ/黄色いサクランボ

山下: えー、という訳で、スリー・キャッツの「黄色いサクランボ」。これは星野哲郎さんの作詞で、浜口庫之助作曲で、編曲もご自分でなさってらっしゃいます。えー、このスリー・キャッツの25cmLPというのを、今日は大滝さん持ってきていただきました。これはすごいですね、スリー・キャッツとセクシー・ムード。

萩原: ハハハ、いかしてるなー。

山下: で、「芸者ワルツ」が入ってるんですよ、これは。古賀政男さんの曲ですが。

大滝: 古賀政男さんのね、「芸者ワルツ」は当時ね、でもあのー、まあ同じ会社だったんでできたんだと思うんですけども、なかなかあのー、もう既に、60年代ですから、古賀さんはもう、大作家で、

山下: そうですね。

大滝: だから、カバーをするっていうのは、ずいぶん、なんか問題があったんじゃないかという気もするんだけど、

萩原: あー。

大滝: 意外にね、この作品ができたら、古賀先生は気に入っていただいたというので、作品化になったんじゃないかというふうに類推しているんですけどね。

山下: なるほど。

大滝: うーん。

山下: いわゆる、知的なお色気というやつですね。「芸者ワルツ」とか、放送禁止なんですよね。

大滝: なってんだけど、どこもね、いわゆる不適切と思えるようなところはないんだけど、当時のね。

山下: 他にも、その「ピンク・ムーン」というタイトル、

大滝: これはちょっとすごいですけどね。

萩原: フフフ、「ピンク・ムーン」

山下: 「こんな私じゃなかった」これも古賀政男さんの曲ですよね。「広い世界に唯ひとり」というですね。

萩原: そうですね。

大滝: これ昔の歌なの、うーん。

山下: 「おへその曲がり角」って、これもすごいですね。星野・浜口コンビですけども。

大滝: 星野さんはなかなかね、こういうのが多いんで、昔「ホルモン小唄」というのを、

萩原: はいはいはい。

山下: ありましたねー。

大滝: 小林旭に昔、「熱き心に」の10年前に、小林旭に曲を書いたとき、「ホルモン小唄」っていう歌だったんですけど、それは結局ボツになりました。

山下: えー、という訳で、浜口庫之助さんの曲でございました。これは、2月になりましたら、追悼特集という、

大滝: 聴かせていただきたいと思います。

山下: ご本人が歌ってる「夜霧よ今夜もありがとう」とかいろいろありまして、

大滝: へぇー、

山下: それをいってみたいと思いますので、

大滝: 楽しみ。

山下: ひとつお楽しみに。これはしかし、どういう、若い人がね、どういう受け止め方をするかっていうのを、若い人っていうのはおかしいけど、20代前半の人がどういう受け止め方をするかっていうのはね、非常に興味があるんですけど、だけど、我々も、我々っておかしいですけど、今、例えばほら、30代ぐらいの作家の人だって、20年経っちゃえばね、

萩原: うん。

山下: 50になる訳で、

萩原: まあそうですね。

山下: そうすると、その時に20代の人がね、やっぱり同じように古いと思うんでしょうかね?

萩原: どうなんでしょうね?

山下: 思うんでしょうね。そういうの、なんとなくつまんないですよね。できることなら、62年のやっぱり、ニール・セダカとね、今の例えば、そうですね、ジミー・ジャブ、テリー・ルイスとおんなじ部屋で聴きたいもんですね。

萩原: あー、それはいえますよね。

大滝: まあ、山下さんは古くなりませんから、心配することはないですよ。心配してないから、そういってるんだというのは、もうみなさんお分かりだと思いますけどね。

山下: なに?いいますねー、なかなか。

大滝: 失礼いたしました。

山下: それでですね、今日は、そのー、浜庫さんの追悼で、あんまりしみじみやると、なんかこう、浜庫さんの人間性がなんか、お怒りになられるというか、

大滝: うん。

山下: で、そのこのー、今の「黄色いサクランボ」がヒットした時代にですね、なんと外国でカバー曲があるそうなんですよ。

大滝: えっ!

山下: これは、私も今日初めて聴きましたけど、これは大滝さんのスタッフの方から持ってきていただいたんですが、パン・ワン・チンという、これはインドネシアの歌手の方だそうです。

大滝: のようですね。

山下: 63年というから、ほぼ同時期に「イエロー・チェリーズ」という、

萩原: 黄色いサクランボ。

山下: 直訳。

大滝・萩原:フフフフ。

山下: 黄色いサクランボ。

大滝: そうだよね。直訳しないとね、点数もらえないらしいからね、学校じゃ。

萩原: ハハハハ。

大滝: 意訳するとね、半分、サンカクつけられるんだよね。

山下: 何もいえない。

萩原: 「イエロー・チェリーズ」、これもいかしてますね、タイトルが。

山下: だけど、これがとにかくすさまじく、抱腹絶倒の作品でございまして、

大滝: なかなかね。

山下: 聴いていただきたいと思います。

大滝: 2曲もかけちゃうというね、いいんでしょうか、お昼時に。

山下: いいんです。

萩原: ハハハ、太っ腹です。

大滝: ほんとに。

 曲:

パン・ワン・チン/イエロー・チェリーズ

山下: という訳で、シンガポールのパン・ワン・チンが歌うところの、「イエロー・チェリーズ」、すごいですねこれ、でも、ほとんど細野さんですね。

大滝: ね。

山下: えぇ。

大滝: それでね、浜倉さんは特集のときにも、まぁあのー、重複するかもしれないんだけど、戦中に南方の方にいらして、それで、その感じが残っていたんで、「スリー・キャッツ」のジャケットを見ると、

萩原: あー、確かに。

山下: うーん、ありますね。

大滝: 実は、だからこれは、ある意味合いでは、浜倉さんが製作動機を考えていくと、逆カバーの可能性もあるんですよね。

山下: あー、なるほどね。

大滝: だから、そういうあれがあってね、とまあ、どういうんですかね、でもね、お色気っていうんですかね、

萩原: フフフフ。

大滝: ていうのが、大人、この当時のいかにも大人が、こういうものを楽しんでいたという、子供が聴いてはいけないという世界が、如実にあったという時代だったんだと思いますけどね。

山下: なるほどね。あまり変わらないですね、今と。

萩原: ハハハハ。

大滝: 失礼いたしました。

山下: えー、なぜか84年の正月以来、8回目になりますが、なんでこんなに永く続くと、誰が予想したでありましょう。えー、大滝詠一さんをお迎えいたしまして、新春放談でございますが。えーっとですね、あのー、ピー・バインという会社がありましてですね、

大滝: うん。

山下: ここでクラシックス・シリーズっていう、ビートルズ・クラシックス、ローリング・ストーンズ・クラシックスっていう、あのー、ビートルズがカバーした曲のオリジナル、ストーンズがカバーした曲のオリジナル、それに続きまして、エルビス・クラシックスっていうのが去年出ましてですね、

萩原: 出るとこまできたって感じですね。

大滝: ねえ。

山下: これはなかなかに素晴らしい企画だと思うんですよ、私。えー、聞いたこともないような人がいるの。

大滝: いましたね。

山下: ね。

大滝: えぇ。

山下: 大滝さんは、もうエルビス・フリークですから、大滝さんに1曲選んでいただいたところが、この「エイント・ザット・ラビング・ユー・ベイビー」。これは元々、作家のあれを見ますと、クライド・オーティスとアイボリー・ジョー・ハンターで、いわゆるブルース系の曲でございますけども、これのオリジナル・バージョンだというような感じなんでしょうけど、エディ・リフという、見たことも聞いたこともない名前、

大滝: なんか怪しい名前ですね。

萩原: そうですね。

山下: 1958年ニュー・ヨーク、ドーバーの102という原盤の番号だそうです。

萩原: はー。

山下: で、なぜこれが入ってるかというと、アイボリー・ジョー・ハンター自身もクライド・オーティスも自分ではレコードを残していないと。

大滝: 「冬のリビエラ」をスタッフの川原が歌ったテープが残ってるんだけど、

萩原: ハハハハ。

大滝: そういうもんかな。

萩原: そうかなー?

大滝: すいません、ちょっと個人的になってしまいました。

山下: 怖いなー。という訳で、このエディ・リフという人が歌ってる、エルビス・プレスリーの64年のヒット曲ですけれども、「イン・ザット・ラビング・ユー・ベイビー」

 曲:

エディ・リフ/AIN'T THAT LOVING YOU BABY

山下: えー、アイボリー・ジョー・ハンターというと、プレスリーの曲では、他に「アイ・ニード・ユー・ソー」なんてのがありますが。

大滝: ありますね。

山下: アイボリー・ジョーハンターとクライド・オーティスというコンビの曲でございまして、「エイント・ザット・ラビング・ユー・ベイビー」、エディ・リフという、なんかありそうでなさそうな名前だから、なんか誰かの変名という感じもします。

萩原: フフフ。

大滝: トニー谷が入ってたような気がしましたけど。

萩原: ハハハ。

大滝: ソロバンじゃない、あれ?

萩原: それはソロバンと違う。

大滝: 違う?そうか。

山下: えー、CDのその、再発というのはですね、もう、そういうのは相手にしないでいかないと、時間がないんです、時間が。

萩原: あっ、そうですか。すみません。

山下: CDの再発というのがですね、ほんとにたくさん出ましたけど、ドゥ・ワップが最近は充実してますね。

萩原: はぁ。

山下: ここ2〜3年。

大滝: 出たね。

山下: えぇ。

萩原: ライノが頑張りましたですよね。

山下: ライノ頑張ってます。非常にいい音で、しかも懇切丁寧な解説書と、

萩原: はい。写真が楽しい。

山下: えぇ。だけど、日本ではドゥ・ワップなんて伝統がないですから、あんなのいくら出ても結局、ほとんどやっぱり、ね。

大滝: あのキャデラックスはよかったね。

山下: よかったですねー。

大滝: うーん。あれはずいぶん価値があるよ。

山下: すばらしいですよ。

大滝: 古いの買うとなると、すごい高いし。

萩原: そうですね。

大滝: うーん。

山下: えー、という訳で、私はほんとに、去年はもう、ドゥ・ワップで涙して、CDで。

萩原: はい。

山下: でも、いいんですよ。けどね、ほんとは、やっぱり、あのオリジナル・シングルのあの、「カチャカチャ、チッチッチ」っていう、あれがいいんですけどね。まあ、こうノイズのないドゥ・ワップていうのも、なかなかなもので。

萩原: ハハハハ。

山下: という訳で、ハートビーツが出ましたね、去年は。

萩原: はい。

山下: 「サウザント・マイルズ・アウェイ」

 曲:

HEARTBEATS/THOUSAND MILES AWAY

山下: ハートビーツの「サウザント・マイルズ・アウェイ」でございました。

萩原: ジーンときてしまいます。

山下: だいたい、大滝さんと、ほとんど1年に何回会うかという世界なので、曲がかかってる間は、

萩原: しゃべりっぱなし。

山下: しゃべりっぱなしだという。

大滝: ほんと、1年間の、もうね、つもる話が、

萩原: フフフ。

山下: すごいですね。

大滝: それで、今年1991年で、ほんとにね、ここ何年間、5年間ぐらいはね、こう、もう山下君のところにいつもお邪魔して、山下ファンの方には、全く申し訳なく、1時間、1日ね、いつもつぶしてしまっててあれなんですけども、ついに1991年に私のラジオ番組であるところの、

山下: はい。

萩原: ほぉ。

大滝: 「ゴー・ゴー・ナイアガラ」が復活する予定があります。

萩原: おっ!

山下: ハハハ。

萩原: やったぁー。

山下: 予定ですね。

大滝: ただし、

萩原: 仮?

大滝: 企画が、ハハハ、あくまでも仮だよ。

萩原: ハハハ。

大滝: いっとかないとまずいね。で、1回目には、もう間違いなくですね、

萩原: はい。

大滝: まあ、向こう、こちらの方でも、えー、「新春放談の大滝版」というのを、必ず山下君を呼んでですね、

山下: ぜひ、お願いしたいですね。

萩原: すばらしいですね。

大滝: ここの5年間ぐらいの借りを、一挙に返して、

山下・萩原:ハハハハ。

大滝: もう、3月間ぐらい連続して、新春放談をやってしまおうかっていうぐらいに考えておりますので、

萩原: ハハハハ。へぇー。

大滝: いっとくけど、仮だからね。ひとつよろしくお願いします。

山下: レコードといい、番組といい、仮とはいえ、一抹の光明を見たような気がしますね。

萩原: しますねー。ほんとにね。

山下: えぇ、一本の光明という感じで。だいたい、CDが山のように再発がありまして、どれかけても、1日終わるという世界だと、だいたい選ばれるのは変なもんばっかりになるんですね。

萩原: フフフ。

山下: アレックス・チルトンという人がいましてですね、

萩原: 出たー。

山下: フフフ。

萩原: この人はねー、

山下: 私が選んだんです。

大滝: 誰でしょう?

山下: ボックス・トップスというのがいましてですね、「ギブ・ミー・ア・チケット・フォー・・・」ね、

萩原: はい。

山下: ボックス・トップスの当時、若干16歳のリード・ボーカルだったの。

萩原: はい。

大滝: へぇー。

山下: このボックス・トップスをやめまして、ソロ・シンガー、ならびにギタリストになって、マイ・ペースで、マイ・ペースでといえば聞こえがいいが、相当に、

大滝: 山平和彦と、関係ないか。すみません。

萩原: ハハハハ、そりゃあ古いなー。

山下: そーとーに病気のLPをつくり続けてまいりました。

萩原: はい。

大滝: うん。

山下: で、今回もミニLPで、なんと日本盤が出た。それでですね、なんと、ロニーとデイトナスの「GTO」をやってるんです。

大滝: ジョン・バック・ウィルキン!

山下: えぇ。

大滝: あらっ。

山下: これ、アレックス・チルトンがね、あのね、すごいんです、とにかくオケがくらーいオケなんだけど、これが。

萩原: ハハハハ。

山下: それが「GTO」をやるとどうなるかと。

萩原: どうなるんでしょうね。

山下: 今日、こんなのを選ぶ予定じゃなかったんだけど、

萩原: 車の音入ってないでしょうかね?

山下: それはないでしょうね、きっとね。

大滝: いいんじゃないですか。細野さんの「サーフィンUSA」聴いたことあるから、

山下・萩原:ハハハ。

大滝: 少し構えて聴いちゃお。

山下: という訳で、アレックス・チルトン「GTO」

 曲:

アレックス・チルトン/GTO

山下: 相変わらず、曲の間は、もうしゃべりっぱなし。

萩原: ハハハ。

山下: 私はほとんどしゃべらない。萩原さんと大滝さん、二人でしゃべりっぱなしです。

大滝: よくいうよ。

山下: という訳で、新春放談、2回にわたってお送りしてきましたが、えー、時間あっという間ですね。なかなか、

萩原: うん。

山下: 4回分あれば。この時だけは、なんか毎週あるといいですね。

萩原: ハハハ。

山下: 4回、これ付き合わされる、しかし、聴視者の皆さんも大変だと、

大滝: ほんと、ほんと。

山下: 思いますが、どうも大滝さん、ありがとうございました。

大滝: いえ、もうこんなに早く、来年が待ち遠しくていいのかしらという。

萩原: ハハハハ。

山下: ほんとに、しょうがないな。しかし、結局やっぱり、レコーディングに関しましても、大滝さんのレコードに関しても、確定的な答えは、得られませんでしたねー、萩原さん。

萩原: でもまあ、あのー、しょうがないんですけど、ただ、

山下: あーた、マネージャーみたいなこといってますね。

大滝: さて、そろそろ、

萩原: ただですね、やっぱりあのー、達郎さんの方をですね、ちょっともう、

大滝: どちらかというとね。

山下: 私のはできますよ、もうすぐ。

萩原: でも、ずーっとそういってるじゃないですか。

山下: いやいや。

萩原: 去年8月ぐらいから、

山下: すみません。

萩原: 「もうすぐです」、「もうすぐです」とかいって、

大滝: 8月からいってるの?

萩原: 8月からいってますよ。だって、4月ぐらいの段階では「8月に出す」って、

山下: すいませんです。(消え入りそうな声です)

萩原: で、みんなが「そんなの無理ですから、そんな事いわない方がいいです」って、「俺はやるっていったら、やるんだ!」みたいに、

大滝: そういえばね、あのー、夏、8月ぐらいにレコード屋さんいった時に、なんか予約とってたような気がしたけどなー。

萩原: そうですよ。

山下: 皆さんのが正しかったです。

大滝: 名前、一瞬書こうと思ったんだけどさ。まあ、遅れるんじゃないかと思ってね。

萩原: でね、発売延期ならいいですけどね、その後「発売中止」という告知が出ましたからね。

大滝: 「中止」って出たの?

萩原: 中止ですよ。

山下: みんな私が悪いの。という訳でですね、

萩原: あれっ?

山下: 何ですか?

大滝: 結論出たんだっけ、これ?

萩原: いや、出てないですよ。

山下: いや、もうすぐできますよ、これ。がんばってやってますからね。えぇ。

大滝: フッフッフ。

山下: という訳でですね、えー、そろそろ、

萩原: 終わりですか?

山下: へへへ。

大滝: もう終わるの?あれっ。

萩原: おかしいなー。

山下: 最後の曲なんでしたっけ?

萩原: えー、「ガールズ・オン・ザ・ビーチ」を聴きたいなと思ってるんですけど、

山下: あー、そうか。

大滝: いいね。新曲?

萩原: ハハハハ。

大滝: うけた?

山下: 人のこといえないでしょ。

大滝: なにいってるの!

萩原: ハハハ。

大滝: フフフフ。

山下: いってください。

萩原: あっ、それでは新春放談を占めるこの1曲です。山下達郎、「ガールズ・オン・ザ・ビーチ」

 曲:

山下達郎/GIRLS ON THE BEACH

山下: えー、という訳で、2回にわたって大滝詠一さん、それから萩原健太さんをお招きしましてお送りしてまいりました、山下達郎東芝プレミア3、新春放談。えー、いかがだったでしょうか?今日はなんか「レコードをかけたい」という気持ちが焦るあまり、話がいまいち少なかったがというご不満も、大滝詠一ファンの方にはございましょうが、それは、私の責任ではございませんで、1年に2回しか出てこない大滝さんの責任でございます。もっとラジオやってくださいよ。

大滝: いやいや、

萩原: やろうとね、

大滝: これから、この1年間ね、この山下君の放送のリスナーになれるかと思うと、

萩原: ハハハハ。

大滝: 今から楽しい気分でございます。

山下: これだもんね。こうやってね、いつもね、こうなってしまう訳ですよ。という訳で、とにかく、だから、大滝さんにしつこく、そのー、「レコード出せ」、「番組やれ」と言い続ければ、ねっ。

萩原: なんか言い訳考えて来るって。

山下: そうです。

萩原: フフフ。

山下: で、最後には、考えきれずに、つくろうかっていう。

大滝: 最近は、「もう2度とつくらせない会」というのをつくった方がいいのではないかという説もあるようですけど、

山下: しょーがねーな、まったくな。

大滝: 「自分でいっちゃあしょうがない」っていうぐらいの。

萩原: なるほどね。

山下: とにかく、でもね、本音の部分で、ちゃんと早く次つくって欲しいよね、早くね。

萩原: ねぇ。そうですね、早く聴きたいですよね。

山下: という、全大滝詠一ファンの声を代表して、

大滝: なにをいってんだか、

山下: 今日は締めさせていただきたいと思います。

大滝: 自分のことはどうした、自分のことは!

萩原: ハハハ。

山下: えー、これをやり続けると、罵り合いになるので、このへんでやめにしまして、

萩原: ハハハ。

山下: どうも、大滝さんありがとうございました。

大滝: どうも、失礼しました。

山下: どうも、萩原さんありがとうございました。

萩原: どうも。

山下: えー、次の私のプレミア3は、2月の3日になります。浜口庫之助さんの追悼特集でいってみたいと思います。2月3日のこの時間をお楽しみに。それではみなさんごきげんよう、さよなら。

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