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1992.1.12 プレミア3

山下: みなさんこんにちは、山下達郎です。サンデー・アフタヌーン、いかがお過ごしでしょうか?えー、東京FMをキー・ステーションに、全国27局をネットしてお送りいたしております、東芝プレミア3。1月、えー、新年早々の1月のこの4週間は、私、山下達郎がみなさまとお相手をいたします。えー、新春恒例の新春放談であります。大滝詠一さんをお迎えいたしまして、今日も楽しくやってみたいと思います。大滝さん、今日もひとつよろしくお願いしまーす。

大滝: よろしくお願いしまーす。

山下: えー、今日は大滝さんの、最近というか、ここ数年間の一番得意な分野でありますところの映画について、いろいろとウンチクを傾けていただいたり、また、去年出ましたもろもろのCDを、またかけながら、ひとつ、55分間ゆっくりとやってみたいと思います。ひとつ、みなさんお楽しみに。

山下: えー、とにかく、この「EACH TIME」以来、今年でもう8年。

大滝: そんなになる?

山下: 84年でしょ?

大滝: 4年。

山下: 8年。

大滝: 8年かー。

山下: 遂に8年目を迎えます。

大滝: あっという間だったね。

山下: その間、とにかく、ほとんど何にもじゃないや、ほとんどパブリックには姿を見せず、

大滝: 山口百恵じゃないんだからさ。

山下: 山口百恵か大滝詠一か。

大滝: ハハハ、なんなの、それ?

山下: 福生の隠居と呼ばれています、今や。ほんとに。

大滝: それでも、10何年前に、みんなそう言ってなかった?

山下: 言ってました。

大滝: うん。17年前にみんなに言われましたよ。

山下: 体質だとは知っていますけどもね、その時はでも、まだレコード出してたでしょう。

大滝: あんときはね、やってたね。

山下: しょうがない。創作意欲がない?

大滝: ない!

山下: しょうがねー、はっきり言っちゃってるよ、ほんとに。ひどいな、もう。

大滝: でも、なんなんだ?

山下: だけどさ、

大滝: 昔ってさ、うん、なに?はい、山下君。

山下: 映画でもさ、

大滝: あっ、議長のあれを得るようになんて、よく国会でやってるよね。

山下: 映画年間、ウン百本、100何十本観てさ、相撲にしろ、野球にしろさ、子細に分析して見つつさ。それぐらいのエネルギーあったらさ、曲、なんか書いてみようかなとか、

大滝: そうなんだよ。

山下: 思いそうなもんですけどね。

大滝: 面白くてさ、

山下: うん。

大滝: 野球観にいってて、まあ、ひいきのチームを応援してて、

山下: えぇ。

大滝: それで、どーしてもね、そのピッチャーに勝たせたかった場面があった訳。

山下: えぇ。

大滝: で、そんとき神にお願いした。

山下: うん。

大滝: アルバム1枚つくるか、そいつに勝たすか。

山下: どうしました?

大滝: 悩んだな。

山下: なーに?

大滝: ハムレット。

山下: 結局、どうしたんですか?

大滝: でね、結果がなんか半端に終わったんだよ。

山下: えぇ。

大滝: なんか、それがフォア・ボールだったんだよな。だから、もしあそこで、打って逆転して勝ったらね、もうアルバムつくるのをやめようと。

山下: 下駄が縦に立ったみたいなもんだね、それね、要するに。

大滝: そうそうそう。それでアウトになったら、「これはお前はアルバムをつくれ」っていう、そういう暗示かなって。それがフォア・ボールだったんだよ。

山下: いい方に解釈するのは、そういう時だけ。

大滝: フフフ。まあ、でも、山下君はずっとコンスタントに、ジャンジャンやってるし、

山下: あたしだって、あたしですらね、

大滝: 「あたしですら」ってなんだよ?フフフ。

山下: だんだん志ん生みたいになってきましたけどね、私ですらあれですよ。遅いっていわれるんですからね、出すのが。働けど、働けど。

大滝: うーん。だめだよ、ちゃんと期日どおりに出さなきゃ。レコード屋の人、困ってたよ。

山下: ひっでぇー。

大滝: 「なんとか言ってください」って言われたもん、俺。

山下: 大滝さんに言われると、

大滝: なんで?だから、「俺に頼むのは間違ってるよ」とは言っといたよ。

山下: そのとおりです。

大滝: うーん。フフフ。

山下: まったくです。憤慨してます、私は。という訳で、曲を1曲いってみてから、その話を続けたいと思いますが、えー、クリス・モンテスのCDも出ました。

大滝: 出ましたね。

山下: これもなんか、すごい、あのー、もう、レーベルを超えて、一大コンピレーションになってますが、クリス・モンテスで私が一番好きなのは、「コール・ミー」であります。

大滝: なるほど。

山下: えー、トニー・ハッチ、

大滝: はい。

山下: 名曲であります。

大滝: ペトラ・クラークも歌ってるところの。

山下: そうです、「コール・ミー」

 曲:

クリス・モンテス/CALL ME

山下: だいたい、こういう、あのー、バカ話というか、そういうのは、曲がかかってる時の話の方が圧倒的におもしろいというね。

大滝: 曲を聴いてる時に、なんかふっと思い付くんだよね、なんかね。

山下: あれなんですが、これを曲をつくってる、トニー・ハッチというのがいましてですね、

大滝: うん。

山下: ペトラ・クラークの「ダウン・タウン」でありますとか、名曲がたくさんありますが、イギリスのバカラックと言われる人ですが、

大滝: うーん。

山下: その人は一体どうしてるんだか。

大滝: 「今どうしてるんだろうね」っていう話をして。それで、俺が「今どうしてるだろうね」とか言ったら、なんか、多分トニー・ハッチがどっかの田舎でディスク・ジョッキー持ってて、「お前に言われたくない」って言ってるかとかさ。そういうくだらないこと言ってたの。

山下: そんなもん、トニー・ハッチがどうしてようと、

大滝: フフフ、大きなお世話だって?

山下: 大きなお世話だよ。そして、トニー・ハッチ、「やっぱり、作家っていうのは、ある日突然に書けなくなることがありますからね」って言ったら、「それっていい口実だ」って。ひどいよねー、ほんとに。

大滝: だって、トニー・ハッチだってさ、俺を数倍上回る、あれだけの曲数と、名曲の数々を、あれだけ、

山下: あれだけ書いたから、書けなくなるんでしょう。

大滝: 俺書いてないのか。

山下: で、映画の話を聞こうと思ったら、こういうことで結局、もう1曲いってみましょうかね。

大滝: トニー・ハッチは急に書けなくなったんだなー。

山下: 言ってろ、そうやって。聞く耳持たんわ。アイ・ハブ・ノー・イヤーズ。えーっと、あれです、去年はなぜか、チェスを某レコード会社が獲得いたしまして、チェスのリイシューが、CDがたくさん出たんで、音はあんまりよくないんですけど、とにかくデータだけ出たという。チャック・ベリーがどっと出ましてですね、えー、チャック・ベリーだと、私「オールモスト・グロウン」が好きなんです。

大滝: ふん、だろうね。

山下: そうですか?

大滝: フフフ。

山下: 簡単に理屈づけをされてしまいました。

大滝: フフフ。

山下: えー、「オールモスト・グロウン」を、チャックベリー、かけてみたいと思います。

 曲:

CHUCK BERRY/ALMOST GROWN

山下: 1959年のチャック・ベリーのヒット曲でありますが、「もう、ほとんど私は大人よ」という、「オールモスト・グロウン」でありました。このあとで「オッオッオッー、ライドデイ」という、これが好きだから、これが好きなんですね。

大滝: なるほどね。

山下: チャック・ベリーを日本でまともに聴けるようになったのは、1970年にチェスが、日本コロムビアがチェスと契約して、チャック・ベリーのベストというのを、2枚組で出して、全貌というか、一端を知るあれでございましてですね。それまでチャック・ベリーというのは、まともに日本で発売されたことがない。「初めて聴いた」、そんなのばっかりで、それに「オールモスト・グロウン」が入っててね、

大滝: あっ、そうなのね。

山下: えぇ、感動した覚えが、たかがそれだけのもん。

大滝: いやいやいや。

山下: 若干19歳。

大滝: ほんとにねー。

山下: それで、大滝さん、今年というか、去年ですが、

大滝: えぇ。

山下: どのような映画が面白かったですかね?

大滝: なーにがありましたっけ?

山下: 観過ぎてわからないでしょう。

大滝: ほんと、ほんと。

山下: ほんとに。

大滝: うん。今年はね、まあ「羊の沈黙」かな?

山下: ふーん、そうですか。

大滝: でもさ、これ全然関係ないんだけど、えーっと、最近の映画タイトルで、

山下: えぇ。

大滝: あのー、邦題とか、そういうの付いてる時に、「羊たちの沈黙」っていうふうに、複数になってるんだね。

山下: ふーん。

大滝: 確かにさ、原題は、なんか「ラムズ」に、「ラムズ」だったかな?なんか要するに複数なんだけど、でも、羊っていうか、日本語に単複の概念ってないじゃん。

山下: うん。

大滝: だから「羊たちの沈黙」。で「ダンス・ウィズ・ウルブズ」なのよね。で、ウルフっていう、千代の富士のニック・ネームとかさ、ウルフってあるんだけど、

山下: うん。

大滝: 「ウルブズ」なのよ、敢えて。だから、両方とも複数を強調してるんだよね。

山下: 原題がそうだからじゃないですか?

大滝: いや、確かね、昔の、大昔の原題の邦題っていうのは、

山下: 単数にするんですか?

大滝: 単複はあまりこだわったことがないんじゃないかと思うんだけど。

山下: あ、そう?ほーん。

大滝: 概念的にないでしょ?「羊たちの沈黙」ってのもさ、まあ、確かにわかんないことはないんだけど。でも「羊の沈黙」っていうと、笑える感じもするんだよね、なんかね。

山下: うん。

大滝: 羊がなんか1匹で、沈黙してるっていうのはさ、ハハハ。

山下: なんか不眠症の映画かなって感じがするね。

大滝: そうそう。画を考えると、なんか笑えるものがあるんだけど。

山下: 「羊たちの沈黙」っていうと、なんかちょっとね、ストーリーがさ、

大滝: ありそうな。

山下: ありそうな感じがする。

大滝: なんかでも、ほら、あのー、なんていうの、ミステリーのタイトルなんかは、そういう複数ってあったような気がするんだけど、映画って、割合、そういうのはないし、

山下: うーん。

大滝: で、昔、ピンク・レディーも含めてだけどさ、単複の、

山下: ふんふん。

大滝: ピンク・レイディーズではない訳だからさ。

山下: うん、なるほどね。

大滝: あんまり単複って、そういうふうに考えずにやってきたのに、なんか、そのタイトルがね、両方とも、このーなんか、そういうね、複数を強調したっていうのは、なんかあるんだろうかっていうふうに一瞬ね。だから、映画よりも、そっちの方考えてね。

山下: しょうがねーな、ほんとにもう。

大滝: 羊が出てくるたんびに、なんか笑ってたな。「あれは『たち』なのか」っていう、フフフ。「そうか」って。

山下: レコードも出さんと、まったくそんなことばっかり考えて。

大滝: いやー、あれはね、面白いな。

山下: 何を聞こうとしてたか忘れちゃったじゃないですか。

大滝: いいじゃないですか、それで。

山下: あっ、そうそう。

大滝: 思い出したの?

山下: 聞こうと思ったのは、去年は「GO! GO! Niagara」が復活するかもしれないって言ったじゃないですか。

大滝: 「かもしれない」とは言いましたね。

山下: で、どうなんですか、その後?

大滝: しませんでしたね。

山下: なんだよ、それ!で、大滝さんは、やっぱり「GO! GO! Niagara」あるべきですよね。

大滝: うん。「GO! GO! Niagara」は絶対あった方が、僕もいいと思いますから。

山下: いいと思いますよね、えぇ。

大滝: そろそろ、ひげも剃ったし。

山下: で、今回ね、今度、もし「GO! GO! Niagara」4月からやるとしますよ。

大滝: うん。

山下: 選曲、どういう曲かけるんですか?

大滝: これが難しいんだよ。

山下: ですよね。

大滝: うん。

山下: えぇ、難しいと思いますよ。

大滝: どうしたらいい、なんかリクエストない?

山下: いや、前とおんなじがいいです、僕。

大滝: 前とおんなじって、どういうの?

山下: だから、リーバー&ストーラーの特集とかさ。

大滝: あぁ、ポップス?

山下: うん。

大滝: なんか、ああいうのもなんか、ミョーな人を一杯育てるような感じしません?あれやると。最近、この時代では。

山下: だって「マイケル・ジャクソン物語」が堅気な人を育てると思いますか?でも。

大滝: あれまたやるんですよ。

山下: うっ。

大滝: やる予定があるんです。

山下: いつやるんですか?それは。

大滝: やる予定があるんですよ。かもしれないんで、また、予定ですからね、なんとも言いませんけども。

山下: なんかもっと「プリンス・ストーリー」とか「マドンナ・ストーリー」とかさ、大滝さんとファー・アウトに違うやつをやって欲しいな。

大滝: 「マイケル・ジャクソン出世太閤記」です。

山下: ぐっ。どういうものを、主演は誰なんですか?

大滝: 主演は片岡鶴太郎。

山下: また、鶴さんですか?

大滝: いや、そうじゃなくて、前のやつのリミックスですよ。

山下: あー、なるほど。

大滝: ラジオの。

山下: なに、あれ、マルチ残ってるんですか、まだ?

大滝: 残ってます。

山下: そうですか?

大滝: これは滅多にないことですよ。

山下: そうすると「GO! GO! Niagara」が始まると、少しこう、表に出てくる機会が多くなって、

大滝: 多少はね。

山下: 人との接触が増えてくると、いろいろ刺激もありますから、「じゃあ、私もレコードをちょっとつくってみようかな」とか、

大滝: なるんですかね?

山下: なってほしいですね、そうね。

大滝: なるほどね。トニー・ハッチにもよく言っといてください。

山下: この人だって、まだレコーディングしてる。新作、80年代になっても、まだ出してる。

大滝: みっともないって?フフフ。

山下: この人ができるんだったら、大滝さんにできない訳がない。

大滝: なーんだ、そうか!

山下: デュアン・エディ。

大滝: あぁ!いやー、デュアン・エディはいいねー。デュアン・エディ大好き。

山下: 息子さんが好きだという。

大滝: フフフフ。

山下: なんたって、その名もズバリ、デュアン・エディというタイトルでしてね、

大滝: うん。

山下: プロデューサーが複数なんですが、ジェフ・リンに、あとはー、ポール・マッカートニーがやって、ライクーダーがやって、そんなようなやつですが。えー、この中で、やっぱりね、ジェフ・リンのやつが出色ですね。

大滝: いいです。

山下: えぇ。何と言っても。

大滝: うん。

山下: で、異常にやっぱり、イギリスらしい、よくデュアン・エディを知ってるという、プロダクションで。

大滝: うん、ほんとにね、あの人がいないと、最近のシーンもかなりつまんなかったろうな、僕にとってはね。

山下: うーん。

大滝: 毎年同じようなこと言ってますけどね。

山下: なるほど。

大滝: かける人が違うか?ジム・ホーンのアルバムもやってるんですよ。

山下: ほー、なるほど。

大滝: で、その、ほら、デュアン・エディと、

山下: はい。

大滝: レベルズ。あのー、あそこで、ジム・ホーンだから、ホーンを吹いてる。

山下: デル・シャノンもよかったですもんね。

大滝: なかなかに。

山下: すばらしかったですもんね。

大滝: うーん。やっぱりね、ジェフ・リンだな。

山下: なるほど。大滝さんと近いものがありますね。

大滝: ありますね。

山下: えー、という訳で、デュアン・エディを1曲いってみたいと。これほんとによかった。えー、「サムシング・リアリー・インポータントのテーマ」デュアン・エディです。

 曲:

DUANE EDDY/ SOMETHING REALLY IMPORTANTのテーマ

山下: 東芝プレミア3、1月、この4週間は「山下達郎新春放談 with 大滝詠一さん」でございます。えー、相変わらず、このリイシューのCDの山の中から選んでいくんですが、リック・ネルソンなんていってみたいと思います。

大滝: あぁ、いいですね。

山下: 「今更なんだと」言われると思いますが、

大滝: 言われるでしょうね。

山下: えぇ。

大滝: まぁ、ネルソンという、ネルソンズでしたっけ?あれ。ネルソンで止まるの?

山下: ネルソンで止まる。

大滝: 止まるんだよね。また、単複の話になってしまうけど。

山下: すいませんね、もう。若い人じゃないから、よくわからない。

大滝: だから、息子達の、もう世代になってるっていうね。

山下: そうですね。

大滝: まぁ、そのひとつ前の、お父さんの。

山下: 2世ものが流行ってますね。

大滝: 最近はね。

山下: 日本もそろそろなりそうな感じがしてきましたね。

大滝: なるでしょうね。これ、私、10年前に予言してましたからね。

山下: あー。

大滝: うん。

山下: あのー、なんだっけ?相撲と野球と音楽界とか、芝居とかいうものは、ほとんど、あと20年もすれば、全部2世になるだろうっていう説すらありますね。

大滝: はいはい。えぇえぇ。書きました、私は。

山下: 怖いですね。

大滝: どこにも出さない論文を。

山下: うちで書いてどうする?

大滝: うちで書いて、みんなに渡した。

山下: しょうがないなー。

大滝: はいはいはい、まぁ、いいでしょう。

山下: という訳で、もう私たちとは関係なくなりました。「ヤング・ワールド」という曲を、

大滝: 「ヤング・ワールド」ね。もうずいぶん前にヤング・ワールドでしたけどもね。

山下: という訳で、「ヤング・ワールド」バイ・リッキー・ネルソン。

 曲:

RICKY NELSON/YOUNG WORLD

山下: えー、惜しくも亡くなってしまいましたリッキー・ネルソン、1962年の全米5位まで上がるヒット曲でございます「ヤング・ワールド」。間奏のギターは、もちろんジェームス・バートンであります。えーっと、あと何かけようかな?ドゥ・ワップもね、ずいぶん出ましたよね、CDが。

大滝: 出ましたね。

山下: あんまり音よくないんですけど、でも、出るにこしたことはないという。

大滝: うん。

山下: えー、ダンレアーズだっていう、

大滝: お勧めが?

山下: えぇ。「ワン・サマー・ナイト」なんていってみましょうかね。

大滝: うん。

山下: ダンレアーズはですな、えー、調べてる間にかけてみましょう。

大滝: フフフ。

山下: 「ワン・サマー・ナイト」

 曲:

THE DANLEERS/ONE SUMMER NIGHT

山下: 1958年の大ヒット曲でございます、ダンレアーズの「ワン・サマー・ナイト」でありました。結局、あのー、大滝さんと新春放談やるとですね、かかるレコードはほとんど50年代末期から60年代初期と。今年もまた、先週とあれとずーっと見てますとですね、ほとんど60年、61年、62年ばっかり。

大滝: なんかね、すいませんね、なんか。

山下: いやいや、結局、そういうあれになるんでしょうかね?

大滝: うーん。

山下: で、ガール・グループもん、ガール・シンガーもんをなんかいってみたいんですけどね。

大滝: なんかいきたいですよね。

山下: なんにしましょうか?

大滝: どれがいいですか?

山下: 私、マーシー・ブレーンですね。

大滝: マーシー・ブレーンね、なかなかね。

山下: えぇ。

大滝: いってみましょうかね。しばらく聴いてないしな。

山下: 「ボビーズ・ガール」ね、これもCDで出ましてですね、

大滝: おーっ。

山下: ヨーロッパ盤ですが、

大滝: へぇー。

山下: メイド・イン・EEC。これ、なんだこれ?ゴールド・スターつって、要するに女の子のばっかり集めたという、

大滝: うーん。

山下: そういうのが好きな人がいるんですよ、どこにでも。

大滝: いるでしょうね。

山下: ガール・シンガーが好きというね、えー、アングラ中年がいる訳です。

大滝: フフフ。

山下: えー、それに入ってます、これは、えー、やっぱりあとで調べておきます。マーシー・ブレーン、「ボビーズ・ガール」

 曲:

MARCIE BLANE/BOBBY'S GIRL

山下: この曲がまた62年の曲で、全米3位まであがった大ヒットであります。えー、マーシー・ブレーンという人は44年生まれですから、この時18歳という。

大滝: ね。

山下: えー、当時中学生だった大滝さんは、修学旅行で銀座の三越で、このレコードを、

大滝: シングル盤を購入しました。

山下: 購入したそうでございまして。えー、思い出の、青春の、

大滝: 「ボビーに首ったけ」というね、なかなかいい邦題。

山下: いいですね。

大滝: うん。

山下: なかなか言わないが、ガール・シンガー好きの大滝さんのあれでございました。

大滝: フフフフ。

山下: ほんとは好きなんですけど、えー、そういうことなかなか言わないという。

大滝: いえいえ、とんでもございません。

山下: あのー、先場所はあれですね、小錦が優勝してしまいましたね。

大滝: ねぇ。

山下: えぇ。で、大滝さんはその、初日からそれをだいたい、

大滝: だいたいさ、自慢する訳じゃないけどさ、自慢するけどさ、いっしょに観たことあるでしょ、

山下: はいはい。

大滝: 私と、お相撲とか、まあ野球とか、そういうの。よくあたるんですよね。

山下: あたりますね、えぇ。私はだから、体育会系というか、要するに、運動がね、ほとんどあれなんで、そういうフィジカルなさ、コンセントレーションっていうのが、あんまり体感的に理解できない人間なんでね。

大滝: えぇ。

山下: で、野球なんかでも、今シーズンすごい絶好調だった人が、翌シーズンになるとね、別に怪我もないのに、なんとなく調子悪いとかね、

大滝: あるんですよね、そういうのはね。

山下: あるんですかね、やっぱり?

大滝: うん、ありますよ、やっぱり、うん。だから、急にいい曲書いてた人が、急に1曲もできなくなるとかね、そういうことが。

山下: なんでもそういう方向に持っていこうと、今年はなりますね、そういうふうに。

大滝: いやいや。急にあるんです。で、あれ、不思議なんだけど、なんなんだろうかな?やっぱり、あのー、やったつもりになってるんですよね。

山下: うーん。

大滝: あのー、ビートたけしだったかな、おやじさん、お父さんかな?

山下: えぇ。

大滝: 相撲観てて。なんか、ちゃぶ台持って、両手こう持ってて、「うっちゃれ、うっちゃれー」って言って、ちゃぶ台ぼんと投げたとかさ、ほんとか嘘か知らないけどね。

山下: うんうん。

大滝: なんか、そういう種類の見方をするんですよ、私も。

山下: うーん。

大滝: だから、その、バッター・ボックスに立ってるっていう雰囲気と投げてるっていう、その、

山下: 人の運転している車に乗ってて、自分でこうブレーキかけてしまうというね、

大滝: なんかそういうような感じの。

山下: 足突っ張ってしまうという、そういう世界ですね。

大滝: うーん。ああいうふうにすると、なんかぼんやり観ているときよりも、なんかわかるものがあるんですよ。

山下: あー、なるほどね。

大滝: うーん。あと、もうひとつね、一番大事なのはね、相撲ってのはね、やっぱり基本的にね、ショウなんですよ、ほんとは。

山下: はー、はー。

大滝: で、その観点を忘れて、「スポーツ、スポーツ」っていうふうにいくとですね、非常に誤った道に進みそうな気がするのね。

山下: なるほど、それは非常によく理解できる。

大滝: うーん、あれね、ショウであるからこそ、その視点はね、忘れちゃまずい訳。

山下: なるほど。

大滝: うーん、これがね、私の一番言いたいとこ。

山下: 異様によくわかる、それは。

大滝: 「最近ちょっとつまんないな」と思うのは、そこですよ。だから、野球でも、だから悪役って、役なのに、その人が役であるにもかかわらず、でも、普段日常的にもし役を演じると、なんかその人が、そのー、大工から、こう、なんかね、嫌がらせを受けるとかさ、そういうようなことがあったんで、好んで悪役を演じるっていうようなタイプの人が少なくなってきている。

山下: うーん。

大滝: で、悪役がイキイキしてないと、そのショウとか、芝居は面白くない訳。

山下: なるほどね。そうですよね、だから、役者なんか悪役の方が難しいんですからね。

大滝: ていうことなんだよね。

山下: うまいんですからね、実際に。

大滝: だから、そこね、ちょっとスポーツだから強いものが勝つとか、技術があるものが勝つとかいうようなこととはね、相撲はちょっと違う。

山下: 「みんな悪役になりたがらない」っていうのもあるんじゃないですかね?

大滝: まあね。

山下: だけど、例えば安芸ノ島なんてのは、面構えからして、あれなかなか、

大滝: いいよー。

山下: いいですよねー。

大滝: うーん。必殺仕事人みたいな感じでしょ。

山下: あのー、人ナメてるみたいなあの顔、いいですよねー。

大滝: 私は安芸ノ島が一番好きなのよね。

山下: あー、そうですか。

大滝: うん。

山下: 安芸ノ島、考えたら、大滝さんにちょっと似てるなー。

大滝: て、よく言われるんだよな。

山下: 誰かに似てると思ったら、そう。

大滝: 安芸ノ島でしょ?

山下: うん。似てる、ちょっとタレ目の感じのさ。

大滝: なんか他人と思えないんだよ。

山下: そう?

大滝: うん。相撲っぷりも結構ね、

山下: 俺、「誰かに似てるな」と思ってた。

大滝: 豪快に勝つんだよ。千代の富士を土俵の真ん中で投げるんだけど、下に負けんだよ。

山下: なるほど。

大滝: あれが似てるなー。

山下: ハハハ。

大滝: ほんと、強い相手には強いんだけど、弱い相手に弱いっていうかさ、

山下: すごいなー。とりあえず曲いきたいと思います。

大滝: あっ、曲いってください。それがいいな。

山下: ディメンション・ドールズがCD化されました。

大滝: しましたね。

山下: えー、そんなこと一口で言って、何人の人がわかるかっていうね。

大滝: ほとんどわからない。

山下: はい。えー、あれいきましょう。

大滝: なんか、もう、あれだね、人生行路の横にいるオバサンみたいになってきちゃったな。

山下: ハハハハ。えー、「イット・マイト・アズ・ウェル・レイン・アンティル・セプテンバー」

大滝: おっ、出ましたね。

山下: キャロル・キングです。

 曲:

CAROLE KING/IT MIGHT AS WELL RAIN UNTIL SEPTEMBER

山下: どうも話をしているとすぐ時間が経ちますが。

大滝: ほんとにね。

山下: あのですね、ジョージ・ハリスンがきましたよね。

大滝: ほーほーほー。

山下: ジョージ・ハリスンとエリック・クラプトン。

大滝: ジョージ・ハリスンが来たね。

山下: えぇ。クラプトンとね、ジョイントやったでしょ。まあ、みんなそれで盛り上がっていると思うんですけど。

大滝: うん。

山下: なんと!

大滝: えっ?

山下: えー、あれのバックでですね、

大滝: なに?

大滝: アンディー・フェアウェザー・ロウというね、

大滝: ん?

山下: この人は、昔、エーメン・コーナーという、

大滝: どこまで名前なの、それ?

山下: アンディー・フェアウェザー・ロウ。

大滝: ずいぶん長い名前だな。

山下: この人はあれですよ、あのー、エーメン・コーナーという、いわゆるブルー・アイド・ソウルのバンドがあったんですが、

大滝: うん。

山下: イギリスでね。デラムイ・ミディエとですね、ジーン・ハウス・ブルースであるとかね、ハーフ・アズ・ナイスとかね、全米ナンバー・ワン・ヒットがありますが、大ヒットがあるんですが、

大滝: うん。

山下: その人がなんと、ギターで来てるんですよ。

大滝: ジョージ・ハリスンのバック?

山下: えぇ。

大滝: ほー。

山下: 「マイ・スウィート・ロード」でスライド弾いてたりしてるんですって。

大滝: ジョージ弾けないのかな、もう?

山下: いや、そんなこと、何を言ってる。

大滝: フフフ。

山下: ほら、だってやっぱり、「オールシングス・マスト・パス」ですからね、

大滝: ねっ。

山下: やっぱりギター3本、4本の世界でしょ。

大滝: なるほどね、へぇー。

山下: エリック・クラプトンがアコースティック・ギターで、ちゃんとストローク弾いてるという。

大滝: うんうん。

山下: まあ、それはいいんですけど、「何!アンディー・フェアウェザー・ロウが来てる?」って、僕エーメン・コーナーのファンだったんですよ、なんとね。

大滝: 変なもんが好きだね。

山下: それで、ワーナーの関係の人に頼んで、サインもらいましたけどね。

大滝: なにそれ?

山下: 私一人だったらしいけど、当たり前だって。

大滝: そういうこと知ってる日本人、ほとんどいないんじゃないの?

山下: なんか、喜んでいただけたそうで。もうでも、当時はエーメン・コーナー、17歳ぐらいでね、超アイドルだったですよね。

大滝: うーん。

山下: それが、どうしてジョージ・ハリスンのバックで、「マイ・スウィート・ロード」のスライド弾いてんだっていうね。

大滝: わかんないもんだよねー。

山下: えぇ。何してるのか、あの人どうしてるのかなって、そういう雰囲気ですけどね。えー、という訳で、またドゥ・ワップのもので、ジェスターズ、「ウインド」

 曲:

JESTERS/WIND

山下: という訳で、ジェスターズ「ザ・ウインド」でありまして、

大滝: 全然話と関係ないのね、選曲って。

山下: ハハハ、何でエーメン・コーナー、エーメン・コーナーさんざん言った後で、なにがジェスターズ、

大滝: 俺、エーメン・コーナーがかかんのかなと思ってたんだけどさ。

山下: すいませんね、来週持ってきますよ。

大滝: ジョージ・ハリスンもエーメン・コーナーもかかんないんだよね。

山下: 来週持ってきます。持ってきたってしょうがねーんだけど、そんなもの。

大滝: まあ、イントロだけでも。

山下: という訳で、来週からは萩原さんが。3人になりますと、これがまた、うるささが倍になる。

大滝: ねぇ。

山下: ねぇ、いないから言ってる、ひどいね。えー、来週からは萩原さんが入ってきまして、3人でまた、ドタバタいきますから、曲が必然的にかけるのが少なくなりますが、なんたって、今週と先週で16,7曲かかってますからね。

大滝: すごいね。

山下: 立派!何が立派だ。えー、最後何かけるんですか?

大滝: なんだよ?

山下: ひどいね、その場で決めてるんだから、全部。

大滝: もうすぐに忘れるね。

山下: あっ、スモール・フェイセス、そうそうそう。で、エーメン・コーナーだからいいんじゃないですか?スモール・フェイセス。

大滝: まー、強引だなー。

山下: イミディエートで、おんなじでしょう。当たらずとも遠からずっていうね。

大滝: まあね、当たらずといえども、遠からずね。うん。

山下: 遠い親戚の関係でしょう。えー、そうです、それで「イチック・パーク」っていうヒット曲がありまして、それのB面。

大滝: ふん。

山下: で、あのー、アメリカ編集のね、「ゼア・バット・フォー・ア・スモール・フェイセス」っていうタイトルの、イギリスじゃそういうタイトルのないんですけど。アメリカで適当に組み替えてね、

大滝: ふーん。

山下: 出したアルバムが、当時、洋盤つったら、アメリカ盤しか入りませんでしたから、それを買って、それが好きだったんですけどね。

大滝: 手短に言うと、スモール・フェイセスが何がいいの?ぱっと、ここがいいと。

山下: スモール・フェイセス、スティーブ・マリオットの声ですよ、やっぱり。

大滝: ほー。じゃあ、それを中心に聴いてみましょうかね。

山下: はい。スモール・フェイセスの「アイム・オンリー・ドリーミング」、これを最後に聴いていただきましょう。

 曲:

THE SMALL FACES/I'M ONLY DREAMING

山下: という訳で、東芝プレミア3、1月4週間は、私、山下達郎が大滝詠一さんと恒例の新春放談でお送りいたしておりますが、来週1月19日からは萩原健太さんが入って、3人で新春放談、えー、お送りしたいと思いますが。だいたいあのー、私が言ってる話をだんだんこう、揚げ足をとるようになってきますと、話も本調子になってくるという。

大滝: 私の話を揚げ足とるんでしょ?

山下: 違いますよ!

大滝: なんだよ!

山下: お互いがそう思っているという、このすごい話。

大滝: フフフ。

山下: これでだいたい、だんだん調子が出てくるというね。これでまた、萩原の健ちゃんが来ると、またぐしょぐしょになってくる。えー、まあ、来週も、もうひとつよろしくお願いいたします。

大滝: よろしくお願いいたします。

山下: えー、東芝プレミア3、新春放談。次は1月の19日、日曜日の午後12時でございます、サンデー・アフタヌーン。また、お楽しみに。山下達郎でした。それではみなさん、来週まで、さよなら。

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