logo.gif

1993.1.2 サタデー・ソング・ブック

山下: みなさん、新年あけましておめでとうございます、山下達郎です。今年もよろしくお願いします。えー、毎週土曜日の午後3時からは、私、山下達郎がお送りします「サタデー・ソング・ブック」でお楽しみいただいております。今年も、1993年も、引き続きこの番組でお楽しみいただきたいと思います。えー、私のレギュラー番組では、毎春、新年恒例となりました、今やすっかり、「新春放談 with 大滝詠一」というやつでありまして、もう、初めて大滝さんをお呼びして、「新春放談」という名前で始めましたのが、1984年の1月でした。えー、その間、ほとんど中断することもなく、私のレギュラー番組を乗り換えて、ある時は、萩原健太さんの番組に出張したりして、いろんなところで続けてまいりました。今年はまた、レギュラー番組ができましたので、ここでめでたくできます。とりあえず、えー、あたまの2週間は、大滝詠一さんと2人で、大滝さんをお招きして、いろいろと、なんたって、1年に1回しか、この番組にしか出ないんですから、あの人の場合。今年はいろいろとですね、ハガキもたくさん来ております。そういうハガキも紹介しながら、じっくりとあの人の今後の活動に関して、追求をしたいと思っております。えー、3週目からは、萩原健太さんに入ってもらいまして、3人でオールディーズ談義、去年出たCDでありますとか、そういうようなものをかけながら、オールディーズ談義に花を咲かせたいという訳でありまして、私のサタデー・ソング・ブック、新春放談スペシャル。ごゆっくりとお楽しみください。

大滝: 持ってきたんでしょ?

山下: うん、持ってきたでしょ?

大滝: 俺、持ってきたよ、ぐっと。これしかないの?

山下: いやいや、だってそれは、

大滝: えっ?

山下: あれですよ。

大滝: 何が?

山下: いちおう、大滝さんがゲストだから、ほら。

大滝: なにがゲストだよ。

山下: 大滝さんの持ってきたものを、

大滝: よく、でも、新春放談を聴いてると、あなた、あんまり自分のことを語ってないね。

山下: そりゃぁ、だって、大滝さんが年に1回ね、ほら。

大滝: そうなんだよな。そういう、どうもな、

山下: なんか、ビートたけしと高田文夫みたいになってきたな、ハハハ。

大滝: あのー、甘えた立場にあるんだよね、私の方がね。

山下: いいんですよ、それで。

大滝: いやいや。

山下: いや、あけましておめでとうございます、どうも、これは。

大滝: あっ、どうも。おめでとうございます。自然な感じでね、今回は。

山下: そうですね。

大滝: またね、風邪ひいて、申し訳ないんだけど。

山下: あっ、また、風邪ひいたんですか?

大滝: でも、新春放談、何度目になるんだったっけ?毎年いつもこうだけど。

山下: 10回目ですよ、これで。

大滝: で、2回目かなんかに風邪ひいてるんだよ。

山下: そうでしたね、なんかそんなことありましたね。

大滝: でしょ!

山下: えぇ。

大滝: で、それからね、しばらくアルバム出さない期間中、一度たりとも、ひいたことないんだよ。

山下: フフフ。

大滝: これがね、ほんとに8年ぶりぐらいでひいたんだよ。

山下: 大滝さんは、ここんとこ、ずーっと健康でしょ?

大滝: 健康。

山下: ねぇ。

大滝: うん。

山下: 昔はよく風邪ひいてましたよね。

大滝: 仕事してるときって、必ず、

山下: ハハハ。

大滝: 必ず、冬になると風邪ひいてたのよ。だって、「GO! GO! NIAGARA」なんて、昔、必ず風邪ひいてたじゃない。

山下: すごかったですよね、うん。すごかった、フフフ。

大滝: でね、これはね、ちょっと体質が変化しつつあるの。

山下: あー。でも、大滝さんは、もともとほら、スポーツやってたから、わりと健康でしょ。

大滝: うーん。基本的な体力は、僕は、

山下: ありますよね。

大滝: あるんですね。

山下: ふん。

大滝: イメージと違って。

山下: ふん。いや、イメージどおりですよ。

大滝: 違うことない?

山下: 実物見るとわかるんですけどね。写真写りが、ほら、かなりね、上げ底というかさ。

大滝: ちょっと、あれは。まあいいや。ラジオ、ラジオ、ラジオ。

山下: ヘヘヘ、ラジオの強みだ、これが。

 曲:

大滝詠一/楽しい夜更かし

山下: 今年はね、あれなんですよ。ハガキがたくさんきてるんですよ。

大滝: これが。

山下: えぇ。それがもう、面白いんです。これが実に。

大滝: 何が面白い?

山下: 愛知県のね、いいじゃないですか、

大滝: 何がいいんだよ。

山下: 愛知県のね、後藤俊二さん、28歳、会社員。「そろそろ新春放談のお知らせが出るころと思い、初めて手紙を出します。今回は、私の崇拝する、あの怠惰な福生の居眠狂四郎こと、大滝詠一さんが、なんと『1曲ぐらいは』などと告知していたこともあり、1年も前から、首だけでなく、手も足も長くして待っていました。」この手のハガキが多いんです、今年は。

大滝: あー。

山下: えぇ。新座市のね、石原雅之さん、21歳。「新春放談聴取歴5年」ヘヘヘ。

大滝: 「聴取歴」ってのはいいよな。

山下: 「今年の新春放談で大滝さんは……」、「今年」ってのは去年ですね。

大滝: 去年ね。

山下: 「……『来年は少しはネタがある』とおっしゃっていましたので、期待しています。証拠のテープもあります」。えー、新潟県の片桐文博さん。「さて、新春放談の季節になってまいりましたが、前回は、大滝さんは『デモ・テープでも持ってくる』とおっしゃっていましたが、いかがなりましたでしょうか?楽しみにしております。」フフフフ。

大滝: えー、だから、去年言ったのは、なんか、少なくともプロデュース、または、なにか関連したもののひとつぐらいは、

山下: なるほど。

大滝: 必ずやると。

山下: えぇ。

大滝: それで、それもなかったら、せいぜいデモ・テープぐらいのものでも、必ずなにか、関連ネタはひとつぐらいはやるっていうような、

山下: なるほど、そういう意味ですか?

大滝: 意味だったと思いましたよね。

山下: なるほど。

大滝: 確かね。

山下: 私は裁判官ではないので、裁定を下すのは止めておきたいと思います。

大滝: テープが残ってるはずなんだけど。

山下: それでね、さっきの後藤さんの派手なレポートに戻りましてですね、

大滝: うん。

山下: えー、「本当に出来たんですか?」続きね、「新春放談での大滝さんの発言は、『GO! GO! NIAGARA』の復活の件といい、嘘が多くて、…」

大滝: ヘヘヘヘ。

山下: 「…でも、やるなら、私のような地方のファンのために、全国ネットのFM局でやってください。今年は長嶋監督も復帰しましたし、…」

大滝: あらっ。

山下: 「…前回、達郎さんが言ってたように、45歳でFUSSA45スタジオにかこつけて、なにか出してくださいよ。お願いします」

大滝: あーらっ。

山下: いいなー。

大滝: まいりましたね。どあたまからね。こういうことでくるとはね。

山下: フフフ。

大滝: まっ、あのー、もう、しょうがないんで、ついでだからね。ついでなんだけども、もうお正月の1回目だから、ほんとは3回目ぐらいにしようかと思ったけども、

山下: えぇ。

大滝: さっき、体質が変わってきたということも含めてなんですけども、

山下: うん。

大滝: あのー、長嶋も復帰したので、

山下: これはなかなか大きいですよね。

大滝: まさに。これが実は大きかったのよ。

山下: クックック。

大滝: ほんとにさ、誰も信じてもらえないと思うんだけどさ、

山下: いつも大丈夫です、誰も信じてないから、ハハハ。

大滝: 誰も信じてないんだよな、やっぱりな。

山下: ヘヘヘ。

大滝: でも、これは僕にとっては、ものすごく大きいことなのよ。

山下: あっ、そう?やっぱり、感動的でした?

大滝: うん。で、なんてぇのかな、あのー、別に僕は、あのー、なんていうの?他動的に生きてるわけじゃないんだけれども、

山下: うん。

大滝: そのー、長嶋だけは特別なんですよ。で、この復帰をほんとに、もう、願っていた。

山下: ふんふん。

大滝: で、まぁ、これを話したら、もうね、1年間ぐらいかかるんで、

山下: なるほど。

大滝: あれなんだけど、そういうことが個人的にあったんですよ。

山下: えぇ。

大滝: で、今だから、なんていうかな?もう、長嶋さんが復帰しなくても、もう時代は次の、次の世代か、二つぐらい世代過ぎててさ、

山下: うん。

大滝: あの人ももう、悠々自適の生活をしてる訳だから、

山下: うん。

大滝: 敢えて、この荒波にね、負けるとまた散々言われる訳じゃない。

山下: そうね。

大滝: 「なんだ、この程度か」とか言われる訳じゃない。「長嶋がなんぼのもんじゃい」っていうふうに、また、叩かれる訳なんだよ。

山下: そうですね。

大滝: そんなとこに、敢えてさ、また出てくるっていう。あれが、ああいうところが好きだなー。

山下: フフフ、そうですか。それで?

大滝: 普通、あの辺になってくると、もう守るからね。

山下: そうでしょうね、年もね、年だしね。

大滝: そうそうそう。その世間の荒波に、またもまれようと、また、長嶋さん、僕より12歳上の、同じねずみ年なんですよ。

山下: あー、そうなの。

大滝: うん。

山下: それは初めて聞きましたね。

大滝: で、その人が、今、これから、世間の荒波にもまれようというのに、12も若い私が、のんびりしていて、いいわけがあろうか、

山下: なるほど!

大滝: いや、ないという、

山下: なるほど。

大滝: ことでね、あのー、今年は始めますよ。

山下: あー、そうですか!

大滝: えぇ。

山下: ヘヘヘ、いいですねー。

大滝: 最初から、結論を言いますけど。そん中で、だからそのー、作品集みたいなのがあって、

山下: えぇ。

大滝: えっと、去年だったかな「1」を出したのは?

山下: えぇ。

大滝: 「1」出したんですけど、今年は「2」を出しますけど、

山下: へぇー。

大滝: そん中でいろいろ入ってて、

山下: あー、そうですか。

大滝: だから、あのー、じゃあ、あたまに、そん中に入れる予定のところの、そのー、デモ・テープを持ってきました。

山下: それはすばらしい。

大滝: まあ、録音は84年のものでして、未発表のものです。

山下: へぇー。

大滝: あるテレビ局の番組のテーマ・ソングになってるんですよ。

山下: なるほど。

大滝: 半年ぐらいで終わっちゃった番組で、ほとんどなんか、あのー、世間の目に触れなかったんで、

山下: なるほど。

大滝: うん。

山下: じゃあ、それをちょっと、ぜひ、

大滝: 聴いてみましょう。

山下: 今年は、なかなかいい流れですね。さっそくこれですもんね。

大滝: スタートで。

山下: それでは、大滝詠一さんの、もちろん大滝さん自身の?

大滝: 私が歌ってます。

山下: でしょ。

大滝: はい。

山下: 「マルチ・スコープのテーマ」です。

 曲:

大滝詠一/マルチ・スコープのテーマ

山下: えー、大滝さんの未発表音源なんてものが出るのは、何年ぶりでしょうね、これはね。

大滝: 歌入りの未発表音源って、これしかないんですよね。

山下: これはカセットのコピーなんですって?

大滝: カセットのコピーで、

山下: なるほど。

大滝: まさにデモ・テープで。あのー、今度の作品集に入りますけど、それはちゃんとしたミックスで、

山下: なるほど。

大滝: もうちょっと違うんですけど。

山下: 「マルチ・スコープのテーマ」

大滝: えぇ、えぇ。

山下: なんとですね、リクエストが来てるんですよ。

大滝: あっ、来てんの?すごいね。

山下: 仙台市の、竹内明子さん。

大滝: よく知ってるね。

山下: 「昔、NHK、…」

大滝: うーん。

山下: 「…、午後6時の番組のテーマ・ソングを歌っていませんでした?『不思議だね、君と』って歌です。…」

大滝: フフフ。

山下: 「…よかったら、この曲リクエストさせてください」

大滝: フフフ。

山下: すごいですね。これは「EACH TIME」のときに録ったの?

大滝: のときに録音して、使わなかった、

山下: あー、そう。

大滝: リズム・トラックを、

山下: ああいう、「Complete EACH TIME」に入れようとか思わなかったの?

大滝: 全然。

山下: あっ、そう。

大滝: うーん。なんか、作品としてはね、もっと長いやつだったの。

山下: へぇー。

大滝: ちゃんとサビもあって、しっかりちゃんと、ABCの構成の歌だったんだけど、それのAの部分だけ、

山下: あっ、なるほど、テレビ・サイズですね、俗に言う。

大滝: うん。それだけ取り出して。

山下: あれは、いわゆるサンプリングでしょ、後ろのエフェクトは?

大滝: サンプリングで、で、

山下: それで、布谷さんの声とか、ああいう世界は、要するに昔の音源を、

大滝: そう、昔のマスターから全部抜きとって、サンプリングして。だから、もしだから、ナイアガラ・ファンの人だったら、今のサンプリングは、どの音源から出たものかっていうのが、

山下: なるほど。

大滝: 全部わかっていただけるのではないかというふうな種類のものを、既につくっておいたんですけど。

山下: 新春そうそう、しかしあれですね。あのー、新しいところに取り掛かるという、長嶋様々ですね、ほんとに。

大滝: フフフフ。

山下: で、いつごろできそうなんですか、そうすると?

大滝: うーん、とにかく、今年のとにかく、春からあのー、曲を作り始めたら、

山下: えぇ。

大滝: さっそく。

山下: なるほど。

大滝: えぇ。

山下: そうすると、まぁ、再来年ですかね。

大滝: どうでしょうかね。

山下: ヘヘヘヘ。

大滝: だから、長嶋もだから、3年後に優勝すればいいというふうに考えている訳ですよ。

山下: うーん。

大滝: 5年契約だからね。で、3年でとにかく、その代わり3年のときは西武を4−0で勝って、日本一にでもなるぐらいじゃないと、やっぱりまずい訳ですよ。

山下: うーん。

大滝: 1年、2年ですぐやれる訳じゃないんだけども、3年後ぐらいに、やっぱりそのぐらいでも、その時に西武にまた負けるようじゃ、やっても意味ないからね。

山下: 僕は野球にそれほど詳しい人間じゃないですけど、

大滝: だいたいでも、この程度の比喩は、

山下: できますかね?

大滝: 比喩はわかるでしょ、でも?

山下: いや、わかりますけど、できますかね?

大滝: できますね。

山下: あっ、そう。

大滝: これがね、なるんですよ、不思議にも。

山下: はーん、なるほど。

大滝: で、ひょっとして、だからね、今年もだから、優勝してしまう可能性があるんだけど、ほんとはして欲しく、西武に勝たないんだったら、優勝して欲しくないのよ。

山下: 要するに、リーグ優勝しても、日本一にならないんだったら、

大滝: 日本一にならないんだったら、やっぱり。

山下: なるほど。

大滝: 長嶋まだ日本一、監督として日本一になったことないのよ。

山下: ふーん。あっ、そうですか?

大滝: うん。2度挑戦したんだけど、できなくてね。

山下: なるほどね。

大滝: だから、そういう、まだ、そのー、し残した、ひとつの夢があるんで戻ってきたということで。まあ、だから、完全無欠でないというかさ、なんかひとつ仕事を残してるっていう人は、あれなんだね。だから、もう一度立ち向かおうっていうふうな気になるんだね。

山下: 若いですよね、でもそれはね。

大滝: 昭和33年に長嶋は入団したんだけども、僕はその時から野球見始めたのよ。

山下: あー。

大滝: ちょうど10歳だったの。

山下: 10歳の時ですね。

大滝: うん。で、35年間見てるんですよ。

山下: ふーん。

大滝: で、多分その年にね、週刊誌なんかが出始めて、週間ベースボールなんかが出始めたのも、その頃で、

山下: うーん。

大滝: 34年が少年マガジンと少年サンデーで、

山下: そうですね。

大滝: その表紙が、片方が長嶋、片方が朝潮だったという。そういう、そのー、なんていうかな、世の中じゅうが、なんか、知らない人まで、長島が巨人に入るっていうようなことが、10歳の子供をして、「それは何だろうな?」っていうふうに引き付け、

山下: ふーん。

大滝: そっから始まってるんですよ。だから、たかが、自分の場合だとね、野球、相撲とか、そのー、エルビスとか、クレイジー・キャッツとかっていうのは、点在してないのよ。

山下: はーん。みんないっしょにある訳ですね。

大滝: いっしょ。

山下: でも、時代的によく考えたら、その時代に集中してるのかな?

大滝: してるんだよね、不思議にね。

山下: えぇ。

 曲:

大滝詠一/恋のナックルボール

 曲:

大滝詠一/カナリア諸島にて

山下: いろんなね、ハガキ来てるんですよ。これでも、このリクエスト参ったな。あのね、愛知県の森田美由紀さん。この人おかしい、「私は大滝さんの作品で、リアル・タイムで聴けた曲は、『Let's Ondo Again』の細川バージョンだけなので、…」

大滝: フフフ。

山下: 「…これからの作曲を楽しみに、楽しみに、楽しみにしています。私は今年の夏…」、去年ね。

大滝: うん。

山下: 「…今年の夏ぐらいから、例のさくらさんの番組を通して、大滝さんのファンになったものです。」

大滝: あー。

山下: 「…『ナイアガラ・カレンダー'78』の再発はいつ頃ですか?」あのー、ナイアガラのカタログの再発っていうことに関しては、問い合わせがすごいあるんですよ。

大滝: うーん。だから、そのー、旧譜も出さなきゃいけないんだけど、

山下: そう、旧譜。

大滝: まず、そのー、新譜と同時に、「旧譜と新譜でどっちらがよろしいでしょうか?」っていうような、

山下: なるほど。

大滝: ことでいくとね、どっちも重要に考えてるんだけど、同時期にスタートして。

山下: なるほど。

大滝: だから、こういう人ってさ、だから、選手時代の長嶋も知らなきゃ、監督時代の長嶋も知らない人が、これから、そのー、93年から始まる長嶋巨人を応援するみたいな種類のもんと。まあ、強引ですけどね、あまりにも、近づけ方が。

山下: なるほど。

大滝: 私が長嶋だというつもりはないんですよ、全然。やっぱりね、時代が近いとね、あの、復刻する時にね、やっぱりある種のテレとかね、失敗とか、そのー、思い出が近いんですよ。

山下: うーん、だから、リミックスしたりとかありますもんね。

大滝: うん。そのー、ひいてね、なかなか、個人的な感じが強くあってね、歴史的な観点に立てないんですよ、人間。

山下: フフフ。

大滝: で、やっぱり、ここまでだっていうことで開き直りっていうんじゃないけど、やっぱり、事実は事実として、やっぱり包み隠さず、事実として残すっていう、それが、まぁ、あとは後世の歴史家に判断していただくという。あのー、歴史の書き換えみたいなことっていうか、そういうのだけは、なんか行いたくないっていうね。

山下: うん。だけど、今はほら、そういうのが風潮でしょ。だから、リミックスっていうのが、ものすごく流行ってんじゃないですか。

大滝: あの頃はさ、

山下: うん。

大滝: 自慢じゃないけどさ、70年代中間ぐらいから、私は既に、もうリミックス・バージョンとか、あのー、CMなんかをひっくり返したりしながらとか、いろいろやってて、誰もやってなかったから、面白かったよ。

山下: 元祖だもん。

大滝: 元祖で。

山下: 15秒で何時間かけてたかっていうさ。

大滝: LPバージョンとシングル・バージョン必ず変えるだとか、なんかそういう種類のもので、

山下: モノ・ミックス、ステレオ・ミックスね。

大滝: うーん。そういうのって、誰もやってなかったから。だけど、今、みんながやるようになってみりゃ、たいしたことじゃないよね、こんなこと。

山下: うん。だけどさ、それはさ、こう、なんていうの?歴史の中でのあれで、今は日本語で歌うなんてのはさ、たいしたことじゃないけど、始めは違った訳だから。そういうのはあるでしょ、やっぱり。

大滝: あるんだろうね。

山下: えぇ。

大滝: うん。

山下: 今言えば、「フィル・スペクターなんて、そんな別に、たいしたことじゃない」って、みんな言うかもしれないけど、だけど、聴けもしないレコードを、どうやって聴こうかっていうさ、そういう時代があった訳だから。

大滝: 時代が、確かにね。しかも、まあ、20年から30年ぐらい前でしかないっていうことでね。

山下: そうですよね。

大滝: うーん。一生懸命声だそうとしてるんだけどな、今日はあれだな、レベルが低いな。

山下: ヘヘヘ。

 曲:

大滝詠一/外はいい天気だよ

山下: まだね、えー、神奈川県の宇津井勝美さん、22歳、このぐらいの人、多いんですよ、なかなか。

大滝: うん。どういうふうにして、知るんだろうね?

山下: わかんねーなー。中学、高校生の時から、聴いてるんでしょうね、恐らくね。

大滝: うーん。

山下: 「今春も恒例の新春放談があるとのことで、非常に楽しみです。今日は徹夜のバイト明けの眠さをこらえて聴いています。…」

大滝: フフフ。

山下: 「…私のもっとも敬愛する、大滝詠一さんの声が1年に唯一拝むことが出来るということで、毎年目を潤ませながら聴き続けて6年目。ほとんどエア・チェックしてありますが、90年のスペクター特集を逃したのは痛い。大滝さんのニュー・アルバムの催促は、耳にタコが出来てしまうでしょうから、敢えて申しません。その代わり質問に答えてください。お願いします。『はっぴいえんど』の写真集出版の噂はほんとですか?…」

大滝: あー、あるらしいね。私は関わってないんだけど、

山下: 知りません?

大滝: あのー、あるという噂は聞きました。

山下: ほー。「…『続 ROCK'N ROLL退屈男』はどうなったのですか?」

大滝: あー、ハハハ、詞はつくったんですけどね、

山下: ヘヘヘ。

大滝: 詞はつくってね、ある雑誌に発表してあるんですよ、80やっぱり5、6年ぐらいだったかな?

山下: ふーん。

大滝: 曲はまだ出来てないんです。

山下: フフフ。「…『SONG BOOK 2』は企画済みだそうですが、いつ出るんでしょうか?」

大滝: あー、それは、もう今年、年内中には必ず発売することを目指して、

山下: フフフ。

大滝: 今、マスタリングがね、まだ出来てないんですよ。

山下: なるほど。今日は何かかけたいのがありますか?

大滝: あー、だから、あのー、最初にじゃあ、僕のを全部やってしまって、

山下: えぇ、しましょう。

大滝: ひとつ仕事をしたという意味合いで、

山下: えぇ。

大滝: 「Let's Ondo Again」のリメイクをやりましたんで、

山下: はいはい。それを。

大滝: で、それを、一応仕事のあかしとして、

山下: フフフフ。

大滝: ひとつかけさせていただいて、

山下: いやー、かなりの進歩ですよ、去年と比べると、ほんとに。

大滝: 私のコーナーをこの辺で締めたいというふうに思いますんで、「Let's Ondo Again」をかけてみたいと思います。

山下: はい。

 曲:

細川たかし/Let's Ondo Again

大滝: で、1個だけ、僕は基本的にね、あのー、ネタばらしみたいなのは、しないんですけども、

山下: えぇ。

大滝: 「イエロー・サブマリン音頭」でも、1個、あのー、謎を入れてあって、それまだ言ってないくらいなんだけど、これはね、これにも謎を入れたんだけども、誰もわかってくれないんでね、

山下: フフフフ。

大滝: それで「ちょっとバランスが、まあ失敗したのかなー」って思ったんだけど、ひとつだけ、あのー、言っちゃいますけども、エンディングに「ジャンジャジャラジャン」っていう時に、布谷さんのオリジナルの時に、お風呂から上がってるでしょ、布谷さん。

山下: 上がってますね。

大滝: あの音いっしょにかぶしてありますから、じっくり聴いてください。

山下: あっ、そう?ちょっとバランスがちっちゃいかな?

大滝: これバランスがちょっと、小さすぎてね、

山下: これ吉田保さんの、あのー、あれだから、エコー入ってっから。

大滝: いや、俺が最後上げたつもりだったんだけど、なんかいまひとつあれだったんで、

山下: なるほど。

大滝: これ、だーれもわかってくれないから、一生俺が言わないと、誰もわかんないんじゃないかなと思って、

山下: クックック。

大滝: 今、言っときます。

山下: いいよね。

 曲:

細川たかし/Let's Ondo Again(エンディングのみ)

 曲:

大滝詠一/乱れ髪

山下: 川崎の一ノ木弘幸さん。「今年も恒例の新春放談、来年と言った方がよいでしょうね、という訳で、ここはひとつ大滝御大に質問があるので、ぜひお答えください。なにか威張った口調になってしまった気がします。どうもすいません。」って、これいいな。

大滝: なんなの?

山下: 「何年か前の、5、6年前の某国営放送で、御大がおっしゃっていた、クレイジー映画のサントラを出すという企画は、いったいどうなっているんでありましょうか?これはほんとに期待しているのですが。」

大滝: あー、そうだったね。

山下: ハハハ。

大滝: あれ、ビデオが出てるから、ほぼ、あの「クレイジー・キャッツ・デラックス」っていうので、大体あれに網羅されてるんで、いいんじゃないかと思いますよ。

山下: ふん。なるほど。

大滝: あと、今年、いろんなテレビ局で、クレイジーの特集なんかがあるんで、珍しいもんがね、2、3本かかるんですよ。

山下: あー、そう?

大滝: うん。それを見逃しないように。

山下: ほー。

大滝: それにちょっと、コメント寄せてるんです、私。

山下: はー、なるほど。最近しかし、あれですね、クレイジー関係もCDに続々なりますね。

大滝: うん。

山下: あとは、クレイジーだけじゃなくて、林家三平さんの音源とかね、

大滝: やってましたね。

山下: なんか、いろんなのが出ますけどね、だいたいあれ、どのぐらい売れるんでしょうかね?

大滝: 三平さんのなんか、あの、でも、あのー、サンプリングしてやったやつは、

山下: えぇ。

大滝: なんか、トニー谷のようにしたかったとかいうコメントをどっかで見たような、読んだような気がして。

山下: あー、そう。影響を与えてるんですね、そうやって。

大滝: いやいや、そんなことはないんだけど。

山下: ほんとに。

大滝: だから、植木さんの復活なんていうのは、やっぱり、僕にとっては、だから、長嶋の復活と同次元のものがあるんですよ。

山下: うーん。結局、でも、あの時代の人は、雄々しく生き残ってるというのはすごいですね。

大滝: うーん、あの生命力というか、で、若いしね。

山下: そうね。

大滝: 未来に向かってるじゃない。

山下: ポジティブですよね。

大滝: ポジティブだよ。で、なんか過去のものに、こう、しがみつかないっていうか、

山下: うん、ほんとにそれはありますね。

大滝: でもなんか、連続したものがあるでしょ、彼らの中に、こう、歴史観みたいなのが。

山下: ある。

大滝: ああいうのがあるべき姿だなと思うんだよね。

山下: 戦後の、やっぱり、復興の生きる人。

大滝: で、今やらないで、昔の遺産で、やっぱり勲章とかもらう人がいるじゃない。

山下: あー。

大滝: そういう人が敢えて悪いとは言わないけどさ、そういう人の顔を見てるとさ、なんかえらそーで、なんか嫌いなんだよな。

山下: クックック。

大滝: だから、ああいうんだけは、なんか、なる要素とか、自分に全くないと言えば、自分で言いきれないんだけど、なるべくなりたくないなと思うんだけどね。

山下: うーん。まあ、大滝さんもアナーキーな人だからな。

大滝: そうですかね?

山下: そういう意味では。

 曲:

大滝詠一/さらばシベリア鉄道

山下: 話はまだまだ続きますが、そろそろお時間がまいったようでありまして、この続きは、来週の山下達郎「サタデー・ソング・ブック」でお届けしたいと思います。また、来週の土曜日、3時をお楽しみにお待ちください。また、引き続き大滝詠一さんと私と二人で「新春放談スペシャル」であります。なんと、いよいよレコードを作る気になったという、これでまた、もうちょっと詰めてみたいと思いますが、えー、来週、もう1週間大滝さんと二人だけでやりまして、再来週からは、萩原健太さんが加わって、3人でやりたいと思います。どうも、あのー、あれなんですよね、人を呼んで話しますとね、妙になんかね、ヘラヘラしてるんです、最近。どうも笑い方が、自分でなんかヘラヘラしてるなと思うんですけど、なんとなく新春の気分がうれしいのかなと感じもいたしますが、来週も大滝詠一さんと二人です。来週のこの時間をお楽しみに。それでは、また来週のこの時間まで、みなさんごきげんよう、さようなら。

 昨年の「来年はネタがある」との大滝さんの発言、長嶋監督の復帰を受け、待ちに待ったこの年の新春放談でしたが、期待を裏切らない濃い内容でした。この放送は繰り返し何度聴いたかわからないほどで、一番聴いた新春放談です。
 「3年で西武を破って日本一になる」という大滝さんの予測は、2年で実現した訳ですが、新作は4年半経った現在でもまだ出来ていません。ただ、「年内中には必ず発売できるようにする」と言っていた「大瀧詠一SONG BOOK 2」が出たのも、95年3月だったので、当然といえば当然ですよね。
 この回は、大滝さん関連の曲ばかりで、調べる手間がかからなかったのと、曲数も多かったため、比較的早く完成しました。この調子で年内の完成なるか?

新春放談 index