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1993.1.9 サタデー・ソング・ブック

山下: みなさんこんにちは、ご機嫌いかがでしょうか?山下達郎です。毎週土曜日、午後3時からは、私、山下達郎がお送りいたしております「ジャックス・カード・サタデー・ソング・ブック」、東京FMをキー・ステーションといたしまして、全国31局ネットでお届けしております。先週に引き続きまして、新春放談、大滝詠一さんと二人で、今日もいろいろと楽しいお喋りをくっちゃべってみたいと思っております。そろそろお正月の気分も抜けてきかけたかなという感じでございますが、1993年、今年もきっと、あっという間に過ぎていくのかなというような感じがいたします。私は、今年はそろそろレコーディングに入るかなと、今、曲を一生懸命書いておりますが、レコーディングに入って、新しいアルバムを一刻も早く出したいなという感じで考えております。お楽しみにお待ちください。という訳で、今日も先週に引き続きまして、先週の話しの続きから始まりますけれども、大滝詠一さんと二人でやってみたいと思います。最後までどうぞごゆっくり。

 曲:

大滝詠一/指切り(「Debut Special」より)

山下: これ、大滝さん自分の?

大滝: わたしの。そう、だってやっぱり、この辺で今度はそっちにいかないと。

山下: なに?別に私はいいんですよ。

大滝: いや、いい。

山下: 私はいつも言ってるんですから。

大滝: なにが?そうだけどさ。

山下: そうですよ、いいんですよ。

大滝: あー、そうか。

山下: そうですよ。だから、大滝さんが年に1回しかここに出てこない。メディアに出てくるの、だいたい、もうほとんど年に1回。

大滝: うん。

山下: でしょう?

大滝: そうそう。

山下: だから、この際ですから、それをたっぷりいかないとダメなんですよ。

大滝: あー、なるほどね。じゃぁ、えーっと、「青空のように」の、

山下: 「青空のように」のね、モノ・ミックスのリクエストがあるんですよ、どっかに。

大滝: よくそんなもんを知ってるやつがいるなー。

山下: えーっと、どこだったかなー。ということで、あのー、

大滝: 何が「ということで」なんだよ。

山下: あのー、あれなんですよ。

大滝: 「青空のように」の話しをいきましょう。

山下: 「青空のように」のリクエスト来てるんですけど、すいませんね。ハガキがわかんなくなりましたが。モノ・ミックスっていうのはね、

大滝: 何の?

山下: 「青空のように」のシングル。

大滝: リクエストが?

山下: うん。シングル・バージョン、モノラル・ミックス聴かせてくれって。

大滝: そんなもん、世の中にあるっていうのを知ってる人がいるのかね、しかしね。

山下: いますよ。だって、「オール・アバウト・ナイアガラ」とかさ、もう、微に入りさいをうがって読んでるんですから。

大滝: うーん。

山下: どうなってるんです?

大滝: いくつぐらいの人ですか、そんなの聴きたいって?

山下: 20、やっぱり3、4の人ですね。

大滝: 若いよねぇ。

山下: えぇ、若いんですよ、今、そういうナイアガラ・ファンもね。若返りしてるんですよ。

大滝: うーん。

山下: でもね、あれ好きなんですよ、僕、あの曲。

大滝: あれは、曲は、いい曲でね。でね、あのー、今までだーっれにも話したことないことがあるんですよ、この曲について。

山下: たくさんありますね、いつも、誰にも話してないのが。毎年、誰にも話してない話っていうのは、毎年ひとつや二つありますよ。

大滝: 家族にも言ってないと思う、これ。

山下: あっ、そう?家族にそんな話したって、

大滝: たいていのことは家族に話してるんですよ、私。

山下: そういう話を?

大滝: いや、いろんなことも含めて。

山下: あー、そう。

大滝: うん、ほとんど言ってるんですけど。

山下: 最後に布谷さんの風呂から上がる音入れた話とか、

大滝: あー、そう。そういうのも言ってますよ。

山下: 奥さんに言ってるんですか、それを?

大滝: カミさん言っても覚えてくんないから、やんない。ハハハ。

山下: ハハハ、息子に言ってるんですか、じゃあ?

大滝: 息子は知ってたはずだけどなー。

山下: よかったですね、息子がいて。

大滝: 息子がいるっていうのは、まあ、いいことだね。

山下: ほんとに。息子が聞いてくれて、それ。

大滝: うーん。ほんと、それはうれしいよね。でも、そんなことよりもね、

山下: ハハハハ。

大滝: 息子がに関して言えば、キャッチ・ボールができるっていうのも、これ無上の喜びなのよ、ほんとに。

山下: うーん。

大滝: でね、世にね、幾万と、こう、子育て論とか、なんとかっていうようなことがいっぱいあるじゃない。あー、おやじと息子はキャッチ・ボールができれば、それでいいんじゃないかと思うんだけど、そういうような、

山下: なんか、似たようなことを言ってる人がいましたね、昔。

大滝: で、結局「フィールド・オブ・ドリームス」なんていう、ああいう外国の映画で、ああいうふうに感動するんだったら、そのー、子供の時に息子とキャッチ・ボールする方が数百倍いいと思うんだけどね。

山下: うーん。でも、キャッチ・ボールができないお父さんって、いるんですよね、今。

大滝: だから、その途中で、だから、歴史をつなぎそこなったんで、長嶋がもう1回歴史をつむぎに出てきたんだというふうに僕は解釈してるんですよね。

山下: なるほど。ということで、「青空のように」

大滝: 秘密言ってないんだけど。

山下: フフフ。

大滝: じゃぁ、終わってから。

 曲:

青空のように(MONO MIX)

山下: この頃のレコードは16チャンネルですから、マスターもサンパチ、

大滝: サンパチ16。

山下: 2トラック、ノン・ドルビーと。

大滝: うん。

山下: ねっ。

大滝: で、これ、ミックスしたときに、あのー、あれなんですよ。スピーカー1個でミックスしたんですよ。

山下: モノラルだから。

大滝: うーん。だから、あのー、ミックス・バランスを再現していただくためには、これを1個のスピーカーで聴いていただかないと、

山下: 1個スピーカーはずして。ほんとにする人がいるんですよ、でも、そういうこというと。

大滝: そういうふうにしていただくと、なんか、その、ミックスのときのバランスが甦るはずなんですけどね。

山下: あの当時のね。

大滝: それにしても、エコーが少ないよねー。

山下: 今聴くとね。

大滝: ほんとにね。

山下: だけど、やっぱり70年代中期のレコードってのは、他の洋楽、邦楽問わず、みんな、ほとんどノー・エコーでしょ。

大滝: だったよねー。

山下: だから、バリー・ホワイトもね、この間やっぱりCDボックスが出たんですよ。

大滝: うん。

山下: で、ちゃんとしたマスタリングで初めて、まぁ、要するに、まとまった音源でね、聴けるようになったんだけど。今聴くと、エコーかかってんのは、弦だけなんですよね。

大滝: あー。

山下: で、フォー・リズムまでもほとんどね、スタジオの、こう、デッドな音で出てるんですよ。でも、あの頃はあれだって結構ね、「ラブ・アイのテーマ」、「ラブズ・ティーム」とか、ああいうの聴いていると、「結構エコー多いな」と思って聴いてたんですけど、

大滝: 向こうのは、でも、ノー・エコーでも、なんか、こう、あのー、録り方がうまくてさ、

山下: 音像があるんですよね。

大滝: うん。ちょっと、こう、あのー、リズム隊なんかも、甘いところとしっかりしたところといろんなのがあって、

山下: そうそう、遠近感というかね。

大滝: 日本の場合はゴツゴツした感じだったんですよ、全体的に。

山下: そうですね。

大滝: だから、これでも、すっごくエコーかかってるように自分じゃ感じたんだけども、

山下: あー。

大滝: 今聴くとね、

山下: フフフフ。

大滝: 77年だから。

山下: 「ナイアガラ・ムーン」なんてのは、ほとんどノー・エコーですもんね。

大滝: あれはね。ああいうのは、

山下: ああいうのは、わざとそういう、

大滝: うん、ああいう素朴な感じにしようっていうふうに思った。

山下: 今、しかし、この曲を聴くとね、久しぶりに僕、聴いたんですけど、おもしろいじゃない。これ、要するに、アフター・ビートのベースでしょ。だから、レゲエとかスカとか、ああいう、

大滝: そうそう、2・4にアクセントがあるっていう、うん。

山下: 入ってるやつで、それだけど、上ものはジャック・ニッチェしててさ、

大滝: うん。

山下: で、最後はシーグラムが出てきてさ、変なアレンジだね、これ、今考えるとね。

大滝: 訳わかんないな、訳わかんないんだけどね。

山下: だけど、ちゃんと、要するに、いわゆる、ほら、そういう、なんていうのかな、あのー、ヒスパニック・ミュジックというかさ、エスニック・ミュージックていうか、そういうようなもんの、こう、影響があるでしょ?

大滝: うーん。

山下: 大滝さんが、だから、結局やっぱり、ほら、スカとかレゲエとか結構聴いてたから、

大滝: あの頃はね。

山下: あと、バイオンだ、メレンゲとかさ、

大滝: メレンゲとかね。

山下: フフフ。

大滝: 「恋はメレンゲ」っていう曲があるぐらいだからね。

山下: そうですよね。

 曲:

大滝詠一/恋はメレンゲ

 曲:

シリア・ポール、大滝詠一/THE VERY THOUGHT OF YOU

 曲:

大滝詠一/COBRA TWIST

山下: 僕はね、去年の夏にペレス・プラドのオーケストラ見に行ったんですよ。

大滝: うん。

山下: 最近、僕、ペレス・プラド結構好きでね、よく聴いてるんで見に行ったんだけど。すごく感動したのはね、来てる人がやっぱり、50代、40代後半から50代くらいの人なんですよね。

大滝: うん。ファンの人。

山下: 要するに、わりと年配の人ばっかりなんですけど、最後にみんな踊り出すんですよ、その人達が。

大滝: いいねー。

山下: だけど、若い頃はみんなマンボ踊ってたでしょ。

大滝: 踊ってたよ。だって、マンボって、マンボ・ズボンっていうぐらいで、もうとにかく大流行、ツイストの前に大流行したんだもん。

山下: だから、変なロックのコンサートなんかより、全然踊りうまいんですよ、お客が。

大滝: あー、なるほどね。

山下: ダンサーがみんな下来て、踊り始めるでしょ。そうすると、そういうのといっしょにおじちゃん、おばちゃんが踊り出すんだけど、うまいのみんな。

大滝: 年季が入ってるしね、あの頃は、ほら、中川一郎じゃないや、三郎さんか、

山下: 中川三郎さん。

大滝: そういうダンスの人とか、スマイリー小原とか、なんかそういうんで、ダンスも流行してたからね。

山下: だから、僕らの世代っていうのは、ほら、ほんとにティーンエイジ・ミュージックっていうの?

大滝: うん。

山下: ロックン・ロールと呼ばれる、その、12、3歳のためにつくられた音楽っていうのを、浴びるほど育ってるから、とにかく若い人だけがさ、

大滝: うん。

山下: そのー、新しいものを持ってて、若い人だけが、要するにさ、すべての意味で文化で頂点だっていうことをさ、死ぬほど叩き込まれてきた世代だから、あのー、ああいう光景ていうのは、すごく感動的ね。

大滝: あー。だから、やっぱり、テーマとして、やっぱり、おじいさんがいて、お父さんがいて、子どもがいてっていうのが、やっぱりよいんだよ。

山下: そうでしょうね。

大滝: だから、貴花田の人気はね、何度も言うけど、貴ノ花で、若ノ花がいてっていうところがなければね、ただ、強いだけで、あのー、かっこいいだけでっていうだけではないんですよ、これ。

山下: うーん。これから、だから、子どもの数が減ってきて、どんどんやっぱ、大人の数が多くなってくると、やっぱり、大人の、今までみたいにね、若者、若者っていうさ、

大滝: うん。

山下: 要するに、メディアでさ、「今若者に人気の」、「若者が今支持してる」、

大滝: うん。

山下: ていう、

大滝: 「ナウなヤングの」ってやつね。

山下: やっぱり、そういう形容詞でさ、くくりきれないものが絶対出てくるでしょう。

大滝: そのとおり。だから、大人が伝えなければいけないことを伝えてこなかったので、

山下: うん。

大滝: あのー、ずいぶん混乱があったように思うけど。一茂を育てるっていうことは、もう一回、自分としての監督を、もう一度自分が育つことでもある訳だからさ、まぁ、結果的には、

山下: フフフフ。すべてそれになる、今回は。

大滝: だって、そういう、全部長嶋について語るつもりじゃないんだけども、なんか、確かに全く無関係でね、長嶋に会ったこともなければ、何の関係もないんだけど。だから、我が内なる長嶋茂雄を私は語ってるんであって、

山下: でも、長嶋さんに関しては、そういうことは、ほんとに、昔から言われてきたことでしょ?

大滝: うん、言う人多いんだよね、不思議にね。

山下: だから、そういう人はやっぱり、言われる人も幸せだし、言う人も幸せだと思うな。

大滝: あー、そういうことだと思う。だから、尊敬があって、先達への尊敬があって、それで、自分をまた見てくれる背中を、また見てくれる人がいてっていう、やっぱりそういうのは、ちょっと永遠普遍のテーマだっていうふうに思うし。で、我が長嶋茂雄っていうのは、だから、長嶋茂雄は「我が巨人軍は永久に不滅だ」って言ったんで、今の「読売巨人軍が不滅だ」と言ったことは一度もないんだよね。

山下: うーん。

大滝: 「我が巨人軍」で、「我が内なる」っていうのが、

山下: 内なるもんなんですね。

大滝: カッコされているのであって。

山下: なるほど。

大滝: だから、僕が長嶋って言ったり、なんかって言うときは、内なるっていう意味なのであって、

山下: いや、もちろんそうでしょう。

大滝: うん。

 曲:

大滝詠一/スピーチ・バルーン

山下: また話しはあれなんですけど、

大滝: ほい。

山下: 「幸せにさよなら」のシングル・バージョンってのがすごいんですよ、リクエストが。

大滝: あっ、それは、オリジナルのシングル持ってきてる?

山下: 持ってます。

大滝: あっ、じゃぁ、オリジナル・シングルかけようよ。

山下: えぇ、じゃぁ、オリジナル・シングルで。えー、聴いて、あれもしかし、ハハハ、

大滝: あれもしかし、ああいう試みもさー、

山下: クックック。

大滝: でも、あんまり、若い頃、乗り気じゃなかったんじゃない?

山下: いや、僕はあれは楽しかったけど、

大滝: よかった。

山下: あれは、翌日に写真だって言われたのに、前の日にカメラマンが来たから、僕は頭に来たんだ。

大滝: だーからさー、あー、いや、みんなだって、変な格好してるんだよ。だって、写真撮られるなんて思ってなかったしさ。

山下: だって、スタジオにさ、行くんだもん、はっきり言って肉体労働でしょ、スタジオなんて、その当時。

大滝: でもね、自慢じゃないけど、なんか、写真っていうのは、なんか、そういうイメージにすごく効果があるんだってのは、わかったのは、僕はつい最近なんですよね。

山下: あー、そうですか。

大滝: だから、昔、70年代に、写真を撮られるから、なんか服を替えようっていうふうに思ったことって一度もなかったね。

山下: いや、だって、僕らだって、そんなにあれですよ。

大滝: でしょ。

山下: えぇ。

大滝: そういうんだったら、一言教えてくれって言いたかったけど、なんかそのへんが田舎もんなんだなーと思ったなー。

山下: 服買う金があったら、レコード買ったもん。

大滝: それは言えてるんだよ。

山下: それは正直なとこでね、

大滝: 俺はご飯、メシを食う金があるんだった、レコード買った。

山下: ということで、「幸せにさよなら」

大滝: 「幸せにさよなら」か、変なタイトルだな。

 曲:

ナイアガラ・トライアングル/幸せにさよなら

山下: えー、「幸せにさよなら」でした。このシングル・バージョンっていうのはですね、えー、「ナイアガラ・トライアングル」というアルバムを1976年に「VOL.1」っていうのを出して、今の20代の方でしたら、「VOL.2」の杉真理さんと佐野元春君と、それから大滝さんの3人の方が有名なんですけども、76年に「VOL.1」ってのがありまして、私と伊藤銀次と大滝さんという3人でやった時に、それのシングル・カットとして作られた曲でありまして、作詞・作曲は伊藤銀次なんです。

大滝: これね、「想い出にさよなら」だったのよ。

山下: そうでしたね、原題はね。

大滝: ふーん。で、ラフ・ミックスは「想い出にさよなら」の、

山下: 「さよなら」でしたよね、えぇ。

大滝: ラフ・ミックスがあってね。で、なんか同じタイトルの洋楽が同時に出たのよ。

山下: あったんですよね、確か。

大滝: うん。それでしょうがなくて代えたんだけど、

山下: それで「幸せにさよなら」に、

大滝: 「幸せにさよなら」しちゃあ、やっぱりまずいよな。

山下: ハハハ。

大滝: 「想い出にさよなら」するなら、まだいいけどさ。

山下: やっぱ、ちょっとヘビーでしたかね、詞が。

大滝: うーん、これじゃ売れないのかな、ハハハハ。

山下: それから、あれは「ナイアガラ・トライアングル」っていう名前なんですよね。

大滝: グループ名なんですよ。

山下: グループ名なんですよね。

大滝: うーん。

山下: それで、一節ずつ歌うんですが、誰がどこを歌うかっていうのを決めたのは大滝さんなんですが、どうしてああいうさ、フレーズの選び方になったかって。で、大滝さん、必ずさ、「つらーいけーれど」って、そこだけしか、どうして出てこないのかっていうさ、ハハハ。

大滝: でもさ、今にしてみれば、でも味わい深いでしょ?

山下: そうだけどさ、クックック。

大滝: あれ、だから、クレイジー・キャッツの「実年行進曲」とか、あれも一人ずつ歌うんだけども、我ながら、やっぱり、その配置の見事さにね、

山下: フッフッフ。

大滝: すごいと思ったね。で、やっぱりあれはね、あーですよ。

山下: 「つーらいけーれど」、「かなしーけーれど」フフフ。

大滝: なにさ、あれは歌詞が悪いじゃないか、だって。ああいう順番で、やっぱ1番、2番、3番って、打順が大切なのよ、野球じゃないんだけど。

山下: だけどさ、

大滝: 銀次の歌だから、しょうがないからじゃないんだよ。銀次で一応始まってね、足の速い選手が1番なのよ。

山下: 足の速い選手?1番バッター?

大滝: そうそう。で、セカンドに盗塁して、やっぱり、カーンとヒット打って、そこでやっぱり3番が登場するっていう。

山下: でも、あれ、かなりのとこでギャグ、スレスレのところまでいってますよ。

大滝: まぁ、近いものがあるね。

山下: 「つーらい…」クックック、

大滝: 笑える?

山下: 俺、あれ出てくるたんびに笑ってたの。

大滝: 笑っちゃう?ちょっとなー。

山下: でも、あの頃はね、僕あれ、未だにあの「しわよせに」、しわよせになっちゃう、「幸せにさよなら」のシングルのカッティング行ったでしょ。

大滝: どっか行きましたね。

山下: コロンビアの、

大滝: あー、コロンビアでカッティングしたんだ。

山下: コロンビアでカッティングしたんですよ。で、あの時のカッティングのエンジニアの人って過激でさ、

大滝: うん。

山下: あの頃は、日本のシングル盤っていうのは、要するにレベルがね、カッティング・レベルが低かったでしょ。

大滝: 低かったもんね。

山下: で、我々がとにかく目指してたことは、とにかく、1デシでもね、カッティング・レベルを上げると、

大滝: そうそう。

山下: そうすると、針飛びするっていって、だいたい普通のカッティングのエンジニアは嫌がるんですよね。

大滝: うん。

山下: 「針飛びするから、やっぱりさ、針飛び基準ってのがあるんだからダメだ」と。ところが、あの時のコロンビアの人は、僕は今も思い出すけど、あんな過激な人はいなくてね、

大滝: ふん。

山下: プラ6デシっていうのやったの。

大滝: やったね。

山下: そしたら、途中で溝がなくなっちゃって、飛んで。

大滝: ヘヘヘ、あのあともやってね、

山下: あー、そう?

大滝: 「ブルー・バレンタイン・デイ」は未だに歪んでるんだ、信じられない、へへへ。

山下: フフフフ。

大滝: もう情けない。

山下: でも、あの人、楽しい人だったな、そういう意味で。

大滝: で、最後の最後、あのー、同心円のとこに音入れたでしょ。

山下: えぇ。

大滝: で、あれは、あれを入れるんだったら、「JISマークがはずれる」っていうふうに言われて、

山下: えぇ。

大滝: で、「コロンビアはJISマーク全部付けて出してるんだ」っていうふうに言われて、で、「どうしても入れたい」って言ったら、「まあ、大滝だからしょうがないか」って。

山下: へへへ。

 曲:

山下達郎/ドリーミング・デイ

山下: だいたい、でも、今年はなかなか充実してますね、新春放談。

大滝: ありがとうございました、なんか。

山下: えぇ。

大滝: ひとつ、ふたつネタがあってよかったです。

山下: そうですね。

大滝: はい。

山下: これ、なかったら、どうしようかと思いましたよ、私も。

大滝: これでもう、心置きなく休むことができるかと思うと、

山下: フフフ、しょうがないなー、ほんとにもう。

大滝: こんなに楽しいことはない。宣言もしてしまったから。

山下: じゃあ、とにかくアルバムが出るという。

大滝: そうですね。

山下: まぁ、あのー、普通のほら、物差しじゃないですからね。

大滝: ただ、できたらすぐ出しますから。

山下: あー、そうですか。そりゃそうですよ。

大滝: フフフ。

山下: できてから10年も寝かせとくバカはありませんよ。

大滝: なんだ、「えっ」って言ってくるかと思った。

山下: ヘヘヘ、そのぐらいの突っ込みじゃね、

大滝: もうダメか。

山下: 負けないようになってます。

大滝: もうダメか。

山下: もうだって、大滝さん、今年で私とあなたは、丸20年ですよ、付き合い。

大滝: そんななる?

山下: 遂に。今でも覚えてますけど、1973年の8月に、僕は大滝さんの家、初めて行ったんですから。

大滝: うーん、あっ、73年でしたか、あの夏の日は未だに忘れられませんねー。

山下: そうですよ。

大滝: 8月でしょ?

山下: そうです、8月です。

大滝: 暑かったんだよ。セミが鳴いて。

山下: 8月のね、18日とか、そのぐらいでしたよ。

大滝: うーん。

山下: それで、9.21のその、

大滝: あー、あのためにね。

山下: 「はっぴいえんど」になるわけですよ。だから、「はっぴいえんど」の解散から20年でしょ、実に。

大滝: ふーん。まぁ、死ぬ時にいろいろ思い出すと思いますけどね、

山下: ハハハ。

大滝: あの暑い夏の日は思い出すと思いますよ。

山下: クックック。

大滝: まぁ、ひとくぎりということで、じゃあ、次のまた20年目指して、

山下: 素晴らしい。

大滝: うん、終わりましょう。

山下: ひとつ、みなさん新作を首を長くして、いや、「つくる」って、まず、言い始めるとっからじゃないと始まらないから、この人は。

大滝: だいたいでも、今まで一度たりとも「つくる」とは言いませんでしたからね。

山下: そうですよ。

大滝: 何十年間も。

山下: それ言わせようと思って。

大滝: つくったから、あのー、「つくる」って言ってから作らなかったっていうことは、今まで一度もないですけども、「つくる」って言ったのは始めてですから。

山下: まあ、わかりませんけど、まあ、そうですね。

大滝: ふん。たまにはストレートな言い回しを、10年にいっぺんぐらいは。

山下: しょうがねーな、ほんとにもう。

 曲:

大滝詠一/ペパーミント・ブルー

山下: という訳で、2週間、いろいろと大滝さんとおしゃべりをしてまいりましたけど、話は尽きないんですが、そろそろお時間でございます。でも、このままで終わるのはもったいないので、来週は萩原健太さんが来てくれます。えー、萩原健太さんと大滝詠一さん、そして私の3人で、新春放談のまたこれは続きであります。先週、今週は大滝さんの個人的なことをいろいろ詰めておりますと、なんとレコーディングを始めるという、うれしい話もありますし、えー、そういうようなものでありましたが、来週、萩原健太さん、大滝詠一さん、私の3人で集まりますので、去年出たCDの中で、自分の好きだったものでありますとか、去年のレコード・ハンティングの成果なんてものをかけてみたいなというように考えています。いつものように全くマニアックな世界になりますが、「たまにはこういう番組があってもいいじゃないか」というような感じであります。来週も楽しい時間になりますので、ぜひ聴いてみてください。それでは、また来週のこの時間まで、みなさんごきげんよう、さようなら。

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