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1994.1.8 サタデー・ソング・ブック

 曲:

山下達郎/BORN TO BE WILD

山下: みなさん、こんにちは、ご機嫌いかがでしょうか?山下達郎です。えー、今日も「サタデー・ソング・ブック」、1月8日でございますが、新春2回目の「サタデー・ソング・ブック」であります。今日も、先週、元旦に引き続きまして、大滝詠一さんと萩原健太さんをお招きいたしまして、新春放談を続けておる訳です。今年の、1994年の新春放談、第2回目でございますが、私はつくづくこの二人を連れてくるんじゃなかったと後悔することしきりでありましてですね。

大滝: 日光の猿軍団じゃないんですからね。

萩原: ですね。ロックン・ロール!

山下: うるさいなもう、ほんとに。これをやらなければ帰ると言われまして、

萩原: ロッケン・ロール!

大滝: ワイルド、ワイルド。

山下: バカやろう、フフフ。

大滝: 実はね、これが、あのー、山下君の、今まであまり見せてないっていうところのね、

萩原: はい。

大滝: 我々が知ってるところの、この、内面暴露なんですよね。

山下: 生まれて初めてですよ、こんなの歌ったの。ねぇ。

萩原: いやいや。でもね、

大滝: なんか、よく歌ってたよこういう種類のもの。

山下: 歌ってませんよ、こんなの!

萩原: いや、でも、達郎さんはね、あのー、「シュガー・ベイブ」で出てきた時に、あの、ブルース・ブームの世の中でですよ、野音で対場に「ウエスト・ロード・ブルース・バンド」とか、そういうものをおきながら、あのポップ・ソングを歌ってる姿はですね、まさに、この「ボーン・トゥー・ビー・ワイルド」、存在としてはこれでしたよ。

山下: よくそういうさ、プロパーを平気で言えるよね、そうやって。

大滝: ハハハ。

萩原: いや、ほんとに。ほんとに心の底から、

山下: ったくもう、ほんとに。

萩原: ロックン・ローラーとしてのね、やっぱりね。

大滝: 意外なね、自分を発見したんで、驚いているんだよ。

萩原: そうかもしれないですよ。

大滝: でも、照れ屋だから、そうは言えないもんね。

萩原: 照れてる。

大滝: やっぱり、俺は「ボーン・トゥー・ビー・ワイルド」だったんだって言えないもん、いまさら。

萩原: ハハハハ。

山下: 人を女装が趣味のような人間に言わないでくださいね、ほんとに。お願いします。

萩原: フフフ。

大滝: 「シーズンズ・グリーティングス」の次がこれかと思うと、なかなか即、言えないものがあるんだよ。

山下: ・・・(聴き取り不可)、ほんとに。

萩原: やっぱりね。

大滝: やっぱり、エスタブリッシュメントしてしまった人間は違うな、これがな。

萩原: 「グロリア」歌った後じゃね、ちょっとね、なかなか難しいですよね。

山下: つうことでですね、私は今日は復讐させていただきたいと思います。

大滝・萩原:フッフッフッフ。

山下: ほんとはですね、先週はですね、そういうカラオケ大会やるつもりだったんですけど、

萩原: ハハハハ。

山下: みなさん、それで逃げられてしまいましたから、

萩原: まずかったかな?

山下: もう、これでですね、みなさん、今日はですね、

大滝: ワイルドな特集。

山下: ひとつ、萩原健太さんの、

萩原: げっ!

山下: プレイズ・ベンチャーズ。

大滝: フー、フー。

山下: ね。

萩原: ハハハ。

山下: 大滝さんだってね、これ止めようといって、ちゃんと録音は残ってるんだからね。

大滝: ホー、ホー。

山下: 知ってるんだからね。

大滝: 俺、持ってかえるぞ。

山下: フフフ。

大滝: ボブ・クリルとスペクターたしたような男なんだからな、俺は。

山下: クックックック。

大滝: テープがなくなったら、スタジオごと持ってかえるからな。

萩原: フフフフ。

山下: という訳で、えー、今日もお時間まで。という訳で、シュガー・ベイブがね、4月の10日に発売決定になったんです。

大滝: イェーイ(拍手)。

萩原: 4月になっちゃったんですか、でも?

山下: はい、そうなんです。

大滝: 4月の10日ね?

山下: そうです。

大滝: うん、よかった、よかった。

山下: よろしくお願いします。という訳で、今日はシュガー・ベイブからいきたいと思います。

大滝: いきましょう。

山下: えー、何かけようかな?

大滝: 「SHOW」だろうな。

山下: じゃぁ、「SHOW」ですね。

大滝: うん。

 曲:

シュガー・ベイブ/SHOW

山下: という訳で、1月の8日、新年2回目の新春放談でございますけども、えー、今日はシュガー・ベイブをかけましたけども、大滝さんのナイアガラ・レーベルから、我が弊社にですね、ライセンス契約をさせていただきましてですね、

大滝: いえいえ、とんでもない。

山下: 「SONGS」のアルバムを4月の10日に発売することになりました。この番組では、ずっと言っております。

大滝: あっ、なるほど。

山下: えぇ。大滝さんのライナー・ノーツなんていう、これがね。

萩原: 大滝さん書くんですか?

大滝: これから。

萩原: あっ、それで発売が延びたとか、そういうことじゃない?

大滝: いや、違う。そんなことないと思いますよ。

萩原: あー、そうですか。

大滝: 山下さんの、マスタリングが時間かかったんじゃないですか?

山下: いやいや。一応、あのー、ボーナス・トラックがつきますんでね。

萩原: はい。

山下: ライブまで入れちゃおうと。

大滝: やりましたね。あらっ!

山下: 「素敵なメロディ」の。

大滝: ライブ?あー、そう。

山下: それでですね、

大滝: ほー、こりゃすごいね。

萩原: ねっ。

大滝: うん。

萩原: 豪華なものができますね。

大滝: 予約しましょう。

山下: という訳で、おハガキがいろいろ来ております。

萩原: はい。

山下: えー、いろんな人がいますよ。これは福岡市のミネケンジさん。「どうか大滝さん本人の手にわたりますように。お願いします。大滝さんこんにちは。僕は『はっぴいえんど』の解散コンサートから約1ヶ月半後に生を受けたものです。」

萩原: ほー。

山下: 「大滝さんのサウンドと出会ったのは、ちょうど10年前の1984年。当時、まだ10歳の小学生でした。そんな僕が、なんで大滝さんの曲を聴くハメになってしまったのか。それは10歳年上の、その時大学生だった兄のせいでした。そばで一緒に聴いているうちに感化されてしまって、『恋のナックルボール』なんか大好きでした。多分うちの小学校でこれを歌えたのは、僕だけだったでしょう。その後、兄も家を出て独立、僕もしばらく大滝さんから離れていました。どうせ新しいアルバムもそれっきり出てませんからね。」

大滝: フフフ。

山下: 出てませんからね。「そして今、10年経って、僕も大学2年生、この間二十歳になったばっかりです。」えー、息子さんと同じですね。

大滝: 同い年ですね。

山下: えぇ。「大学入学時、多少経済に余裕も出たので、大滝さんのアルバムを集めまくりました。とはいえ、市場にあったのは廉価盤と、『コンプリート・イーチ・タイム』ぐらい。あとはみんな廃盤だったけど、中古レコード屋に行っても、まずない。みんな大事に持ってるんでしょうね。それでも、兄からもらったり、小さなレコード屋の隅に偶然見つけた『レッツ・オンド・アゲイン・スペシャル』などといい、どうにかほとんどそろえることが出来ました。」

萩原: ハハハ。

山下: 「去年の夏、萩原さんの番組で言ってた旧盤の再発はどうなるのか?そして大方の予想を裏切って、今世紀中にニュー・アルバムが出るか?これからの大滝さんからは目が離せません。どうか、これからもマイ・ペースで、それでもすばらしい作品を僕たちに聴かしてください。ハナ肇さんに捧げる曲なんかいいな。」

萩原: さぁ。

山下: しーん。

大滝: アッとおどろくー、

萩原: ハハハ。

大滝: ためごろーう。えーっとですね、だから、あのー、

山下: ヘヘヘ。

大滝: 失礼をしました。ありがとうございます、ほんとに。で、そういうことで、私は個人としてですけども、

萩原: はい。

大滝: まぁ「ロング・バケーション」、「イーチ・タイム」から10年なりましたけども、個人としてアルバムを発表する場をですね、えー、またソニーと再契約いたしまして、

山下: あっ、そう?

大滝: ソニーから出ることになりました。

山下: あっ、そう?

萩原: あっ、そうなんですか?

大滝: それで、以前の旧譜、その他含めて、えー、ナイアガラ・レーベルとしては出していきますが、ものによって、そのー、必然性があって、他の会社で出た方がいいというものは、じゃんじゃんライセンス契約をしていきます。それの第1号が「シュガー・ベイブ」で、山下君のレーベルから、ナイアガラ・レーベルで出てきますので、

山下: ありがてー。

萩原: なるほど。

大滝: 他のところで、「我こそは、我がレコード会社は、その作品に関して、自分のところが一番必然性がある」という会社がありましたら、ジャンジャン私あてに、

萩原: ハハハハ。

大滝: あのレコード、「レッツ・オンド・アゲイン」をぜひとも出したいとかですね、何かありましたら、あのー、言ってきてください。

山下: そうですか?10年目にしてソニーに戻る。

大滝: 戻るというか、まぁ、その間出てませんからね、なんにも。

山下: あっ、そうか。

萩原: あー、そうですよね。

大滝: えぇ。で、そういうことになりましたので、ひとつ、みなさまよろしくお願いをいたします。

山下: そうですか?それでレコーディングはいつから始めようというハラなんですか?

大滝: で、これがですね、実はみなさんに隠れて、こっそりと、えー、録音したものがありますので、

山下: ほんと?

萩原: えっ!

大滝: えー、そのー、あれに入ってる8のやつを、あのー、かけてください。

萩原: おっ!

山下: うそ!

萩原: ワンス・ライトCD。

山下: 私たち知らなかった。

萩原: 知らない。

山下: 最も近い人間が知らない。「敵を騙すには、欺くにはまず味方から」ってなもんで。

萩原: ハハハ。

大滝: まったくおっしゃるとおり。「孫子の兵法」ってくらいなもんですから。

萩原: ハハハ。

山下: 「将を射んとすれば、ます馬を射よ」

大滝: 「鯉の滝わたり」ってぐらいなもんですからね。

萩原: 滝わたりは大変難しいですので、

大滝: 大変難しいですから、

山下: という訳で、私たちも意外な展開を見せましたが、

大滝: はい。

山下: みなさん、じっくり聴いてみたいと思います。

 曲:

大滝詠一/カウント

大滝: えー、ということで、

山下: ちくしょう・・・。

大滝: 去年の夏、萩原健太さんの番組に出た時に、「大滝さん、カウントぐらいは入れてくださいよ」っていうふうに言われましたので、

萩原: ハハハハ。

大滝: カウントを入れるセッションを開きました。

萩原: ハハハハハ。

大滝: ということで、みなさん、カウントは入っておりますので、

萩原: なんだー。

大滝: あとは秒読み段階だということでございます。えー、2001年まであと6年。

山下: 私と健ちゃんで、二人で顔を見合わせました。

萩原: やられましたね。

山下: やられましたね。いやー。

大滝: 落語家になっとくべきでしたよね、私はね。

山下: まじめに捉えた私たちがバカでした。

萩原: なんだー、ドキドキして失敗しましたね。

山下: ねっ、「いつのまにそんなのやってんだろうなー」ってね。

萩原: ねぇ。

大滝: フフフ。

萩原: そういえば、ちょっと、しばらく音沙汰のない時期があったからとか、一瞬、こう、思ったりしましたけども。

山下: うーん。なんか、ここの2〜3週間なんかさ、割とね、

萩原: ねぇ。

山下: 連絡ねーなと思ったら、

大滝: 今のテンポと今のイントロは、でも、今までにあった曲ではないですからね。誰も聴いたことはないはずです。

萩原: あー、そうですか。

大滝: それだけは確かですから。

山下: そこまで言うか。

大滝: なんか、昔の、あのー、使いもんではありませんので。それは申しておきましょう。

萩原: 「呆阿津怒哀声音頭」とか、そういうのじゃないですね?

大滝: 全然、そんな昔の使い回しじゃない。そんなケチなことはいたしません。

萩原: あー、そう?

大滝: はい。

山下: なるほどー。

萩原: なるほど。

山下: じゃあ、なんか、大滝さんの曲を1曲かけてから、

萩原: はい。

大滝: まぁ、いいですよ、私は。

山下: またハガキを読みたいと思います。

大滝: 私は今、かかったも同然じゃないですか。

萩原: ハハハ、新曲が!

大滝: 今聴こえてなかった?

山下: ダメです。

大滝: ダメだなー。

萩原: ハハハ。

山下: ダメです。

大滝: 心の扉を開きなさいよ。聴こえたでしょ、今のカウントのあとに。

萩原: ハハハハ。

山下: ダメです、ほんとに。しょうがねーな、ほんとにもう。

大滝: 狭い心だな。これから生きていくにはね、広い心を持たなきゃダメですよ。

山下: じゃあ、ハガキ読みます。

萩原: はい。

山下: この人結構レギュラーなんですが、名古屋市の吉田カズヒロさん「大滝さんはじめまして。新年あけましておめでとうございます。年に一度の機会なので、大滝さんに質問いたします。大滝さんの『ウララカ』の歌詞は、とある小説からヒントを得てかかれたものと思われますが、」そうなんですか?

大滝: えっ!ほんと?

山下: 「『ウララカ』の2番の歌詞にある『3時のおやつは何でしょね』という部分は、すなわち謎解きであり、答えはこの小説の登場人物の名前と考えてもよろしいのでしょうか?」どんなもんでしょう?

大滝: 知らない。

山下: ひどいよなー、こういう。ディラニストみたいな人がいますね。

大滝: あー。

萩原: すごいですねー。

大滝: いや、あれ、だってほら、あのー、普通のCMからとっただけのことでね、

萩原: そうですね。

大滝: 何かそういう小説があるんだ。

山下: 深読みしてるんですね、きっと。「正解の暁には、クッキーズの『プレシャス・ラブ』をかけてください。」

大滝: でもね、あのー、深読みってね、楽しいんですよ、やってる方は。

山下: うん。

萩原: そうですね。

山下: なるほど。えーっと、

大滝: ばれたか。

萩原: ハハハ。

山下: なんにしようかな。

大滝: フフフ、がっかりしてない、なんか?テンション落ちてるよ、さっきのカウント以降から。

山下: 東京都北区、ペン・ネーム、ドン・ピシャーリさん、えー、女の方ですね。「ドン・大滝さんに質問があるのですが、」

萩原: ドン!

山下: 「ナイアガラ・ヴォックスの再発はしていただけないのでしょうか?私が中学生の時に、欲しくて欲しくてコツコツお金を貯めていたら、いつのまにか廃盤になっていました。」

萩原: ハハハハ。

山下: 「もし、してもらえるのでしたら、ぜひ、プロモ盤の『SNOW TIME』を入れていただけたらうれしいです。」

萩原: ハハハ。

山下: 「ちなみに、私はこのアルバムを」、「SNOW TIME」ね。「アルバム名を初めて聞いた時、なにをどう聞き違えたのか、『相撲タイム』と聞こえてしまい、」

大滝・山下・萩原:(爆笑、拍手)

山下: 「いくら相撲好きな大滝さんとはいえ、またどうして?ひょっとして、ジャケットはナイアガラの滝をバックに、大滝さんがまわしの姿で、四股を踏んでいたりするのかしら?」

大滝・山下・萩原:(爆笑、拍手)

山下: 「でも、多羅尾伴内楽團ものの路線から考えたら、それもありえるしと本気で考えてしまいました。」

大滝: ないことはない。

萩原: いいかもしんない。いただきじゃないですか、これはもう。

大滝: いやー、もう、バレちゃったのね。

萩原: ハハハハ。

山下: あと、「毎年質問が出て、毎年答えが違う『GO! GO! NIAGARA』復活の件ですが、ぜひまじめに検討していただけないでしょうか。先日、某FM局でDJスタイルの大滝さんの声を拝聴し、『GO! GO! NIAGARA』をリアル・タイムで聴けなかった私は涙がちょちょぎれそうになりました。」二十歳ですよ、この人。「ニュー・アルバム制作状況については、もう、さんざん突っ込まれていると思いますので、敢えて申しません。」

萩原: フフフ。

山下: 「『忍耐強い』と書いて、『大滝ファン』と読むらしい。」なかなか、

萩原: 涙が出てきますね。

山下: 「せめてそれが出るまでの慰めとして、シングルの発売はないのでしょうか?カップリングは、イーチ大滝 with ドン川上で、東京ビートルズ『ツイスト・アンド・シャウト』のカバーになりそうですか?最後にリクエストは大滝さんの未発表曲という、『あったとたんに一目ボレ』のアンサー・ソングで、『あつたトタン屋根の猫』です。」

大滝: フフフフ。

山下: 「よかったらぜひ歌っていただけないでしょうか?」

萩原: ハハハハ。

山下: こーれはすごいわ。たいしたもんだわ。

萩原: 結構追っかけてますよ、この人はね。

山下: いやー、これはすごいわ。

大滝: うーん。

山下: 二十歳ですよ。

萩原: 二十歳ね。

山下: 感謝しなければいけませんよ、ほんとに。10年も出してないんですからね。

大滝: ちょっとね。親御さんに手紙出しときます。

萩原: フフフ。

山下: すごいですよ、何かあげましょうよ、この人。

大滝: ちょっと、方向転換した方がいいんじゃないかと思って。

萩原: 考え直せって?

大滝: 将来がちょっと心配です。あー、参りましたね、しかし、これは。

山下: すごいですね。

大滝: 立派なもんですね。

萩原: うん。

大滝: 文才がありますね、この人はね。

山下: クックック。

萩原: いいですね。

山下: うまい逃げ方。

大滝: センス・オブ・ユーモアはあるし。

萩原: 持っていき方がうまいですよ。

大滝: うーん、そうですね。

山下: という訳で何か1曲かけたいんですけどね。

萩原: はい。

山下: 大滝さん。

大滝: 山下さんのいきましょうよ。だって、順番ですから。

萩原: そうですね。

大滝: 私はもうかけたもの。

山下: 私ですね、

大滝: いやー、いい曲だったなー、あれはな。

萩原: ハハハ。

大滝: 聴こえたでしょ?

萩原: いやー、大滝さん。

大滝: 聴こえてたでしょ?僕には聴こえたんです。

萩原: ハハハ。

大滝: どうなるんだろう、あの先?

萩原: ハハハ、ねっ。

大滝: 楽しそうだね。

萩原: ねぇ。

山下: 実は去年、生まれて始めてロンドンなんてとこ行きましてね。

大滝: あらっ。愉快な?

山下: えぇ。

萩原: 楽しい?

大滝: うん。

山下: 楽しい。で、ラブ・アフェアーでもかけましょうかね。

萩原: あっ、いいですねー。

大滝: おー。

山下: 「ブリンギング・オン・バック・ザ・グッド・タイムス」

大滝: いいですね。

萩原: ほー、ほー。

山下: フィリップ・グッドハンドテッドの曲ですね。

大滝: ふん。

 曲:

LOVE AFFAIR/BRINGING ON BACK THE GOOD TIMES

山下: えー、ラブ・アフェアー、

萩原: うん。

山下: 「ブリンギング・オン・バック・ザ・デイ・タイム」、あぁ、「グッド・タイムス」

萩原: いいですよね、ブリティッシュ・ポップってのはね。

山下: イントロが「クリスマス音頭」みたいだという。

大滝: なんか、瞬間ね。「エバーラスティング・ラブ」よりは「クリスマス音頭」の方に似てたかな。

山下・萩原:ヘヘヘ。

山下: 相変わらず、新春放談ならではで、話が長すぎるというあれですが、

萩原: ハハハ。

山下: まぁ、いいですよね。ほとんど、だって、1時間で3曲ぐらいしかかからなかったこともありますからね。

大滝: だって「放談」ですもの。

山下: あー。「あんなものはねー」ってやつですね?

大滝: うまいねー。似てるな。ほんと、それ聴きたくて。

萩原: 元がわからないからなー。

大滝: いや、元がわかんないとこがいいんですよ。だって、「バウバウ」だって、あれが高田文夫さんの真似だなんてわかっている人がどこにいるの?

萩原: あー、そうですね。

山下: はー。

大滝: だから、今はね、元がわかるか、わからないかじゃないんですよ。

山下: なるほど。

大滝: うん。だから、東京ビートルズはいいかなと。

山下: 普遍性があると。

萩原: ハハハ。

大滝: 関係ない?関係ないな。

萩原: やっぱ、そうですよね。

大滝: そうでしょ?

山下: 枝葉を取り除いたら、普遍性が残るか。

大滝: 普遍性でもないの、なんか。

山下: はー。

大滝: なんていうの、普遍性のまるで裏側のもん。

山下: あっ、なるほど。

大滝: うん、瞬間芸っていうか、あのー、裏芸っていうか、

萩原: あー、なるほどね。

大滝: まるで、普遍性のまるで逆の。

萩原: あー。

大滝: ほんとに瞬間。まぁ、もって何ヶ月。これが楽しいね。

山下: なるほど。

大滝: うーん、どうぞ。

山下: という訳で、じゃぁもう1曲かけて、お知らせいって、それから、えー、待望の、芸を聴かしていただきたいと思いますね。

大滝: すごいよ。

山下: えー、なに?なんかかけるのありません?

大滝: 秘密だからね。

山下: いや、だから、

大滝: 待望。

萩原: ハハハ。待望は秘密。

大滝: 待望は秘密。

萩原: 「秘密を知りたい会」っね。

山下: 萩原さん、なんかかけてくださいよ。

萩原: そうですね。えっ、私がなんかかけていいんですか?

山下: えぇ、いいですよ。

萩原: 私ね、今年はね、スワンプ・ロックの年じゃないかと思ってるんですよ。

山下: トニ・ジョー・ホワイトですね。

大滝: いいよみしてるねー。

萩原: という訳でね、ちょっと、今年はこれかなっと思って、

大滝: それは鋭い。

萩原: 去年、ちょうどベストも出ましたんで、ベストCDもね。

大滝: ウエスタンだね。

萩原: ハハハ。

山下: これ日本盤も出るんでしょうかね?

萩原: 出てます。

山下: 出た?

萩原: もう出てます。トニー・ジョー・ホワイトというね、人がいるんですけれども、なに聴きましょうかね。こん中だとね。

大滝: 「種付けぐも」(?)は入ってないのかね。

萩原: でも、もう、堂々といきましょうか。

大滝: 「ポーク・サラダ・アニー」?

萩原: 「ポーク・サラダ・アニー」。

山下: 「ポーク・サラダ・アニー」ですか?それではトニー・ジョー・ホワイトの、エルビスで有名な曲ですが、

大滝: ウーフー。

大滝・萩原:フフフ。

山下: オリジナルであります「ポーク・サラダ・アニー」

萩原: 来るよ、来るよ。

大滝: もう言っちゃったの?

 曲:

TONY JOE WHITE/POLK SALAD ANNIE

山下: 1969年のトニー・ジョー・ホワイトの、これもベスト10ヒットですが、えー、その後、エルビスで、日本では超有名になりました、

萩原: はい。

山下: 「ポーク・サラダ・アニー」でした。それでは、お知らせです。

山下: 山下達郎の「サタデー・ソング・ブック」、新春放談、恒例の新春放談、大滝詠一さんと萩原健太さんをお招きして、今日は先週よりはちょっと、まじめな感じでございましたが。実を言いますとですね、先週も今週も、この番組のオープニングはですね、私が歌った、なぜか「ボーン・トゥー・ビー・ワイルド」でございまして、

萩原: ワイルドでいこう!

大滝: これの、なんかでも、ネタばらしというか、あのー、なかなか出てきませんね。

萩原: あぁ。

大滝: 「なんでこうだったのか」っていうか、

萩原: そうですね。

大滝: その続きというか、そのー、起承転結のつながりが。

山下: それでですね、あのー、いわゆるアメリカのカラオケでございましてですね。まぁ、割と日本のカラオケよりはいいんじゃないかと。で、いろいろと大滝さんに打診をしまして、「なにか歌ってくださいよ」と頼みましたところですね、えー、「それでは、ビートルズをやります」と言いましてですね、

大滝: なぜかね、今年は、僕はビートルズだと思うんですよ。これ断言します。

山下: 30周年ですからね。

大滝: えぇ。30周年でね、なぜか「ビートルズ」という、なんか言葉がですね、

山下: えぇ。

萩原: はぁ。

大滝: なんか意味なく一人歩きするんじゃないかという予感があるんですよ。

萩原: あっ、いろんなもんが頭に付けられたりしながら。

大滝: うーん。それと「東京」と「ビートルズ」っていうのが、なんか、こう、非常にクローズ・アップされるのが1994年ではないかと。

山下: あのー、某衛星放送で、去年暮れにビートルズ特集ってのやりましたでしょ。

萩原: はいはいはい。

山下: 17時間。

萩原: えー。

山下: それのコピーが、だって「すべてはここから始まった」ですからね。

大滝: あれが情けないですね。

山下: 違うつうの!

萩原: 「ちょっとお待ちよ」って感じですね。

大滝: 「ちょっとお待ちよ」ですね。

萩原: 私も雑誌に書いちゃいましたけどね。

山下: それはちょっとちゃうだろうと。

大滝: まったく違いますね。

山下: ねぇ。

大滝: えぇ。すべてが始まったわけじゃなく、まぁ、そのビートルズ・ブームはそっから始まったことだけは確かですね。

山下: うん。

大滝: それは間違いない。

山下: そうですよね。

大滝: なんだけども、とりあえず、僕がね、今年やろうとしているのは、ビートルズが出てくる前のことを、ちょっとやろうとしています。

山下: ふーん。

萩原: あー。

大滝: いかにして、ビートルズが出てきたかっていうのを、

山下: ぜひやって欲しいですね。

大滝: これ、語られてませんので。で、そうでないと「すべてはここから始まった」ということの、そのー、今、一派がおりましてですね、

山下: うーん。

大滝: すべてそっちの方に持っていこうという、黒い意図を感じるので、

山下: 黒い、フフフ!

大滝: 実は、全然そんなもんが、すべて始まったわけではないということをですね、

山下: そうですね。

大滝: やるために、今年はビートルズを、その前後ということで、やっていこうということで、それでビートルズを取り上げさせていただきました。

山下: なるほど。

大滝: じっくり、

山下: という訳で、この、

大滝: じっくり聴いていただきながら。

山下: 今日のあたまの、あのカウントにも匹敵するすごさでございます。

萩原: すばらしい。

山下: じっくりお聴きください。

大滝: はい。

 曲:

大滝詠一/DO YOU WANT TO KNOW A SECRET(「LISTEN」まで)

(しばし沈黙)

大滝: 聴いていただけたでしょうか?

萩原: ヒヒヒ。

大滝: じっくり聴いてください。

萩原: クイー。

大滝: ほんとは、「リステン」と言いたかったんですけどね。

萩原: リステン!、ハハハ。

大滝: 「リステン!」っていうふうに言いたかったんですけども。

山下: 要するにあれでしょ、ジョージのリバプール訛りをやりたかったと。

大滝: まぁ、そういう「つもり」ですから。なんでも、これはもう一発芸ですから、あまり深く突っ込まないようにしていただきたくて、

萩原: いやー、ハハハ。

山下: 大滝さんはいつから、一発芸の人になったんでしょうね?

大滝: いや、もう、だから、あのー、一発芸っていうのは普遍性に通じるということを、最近知りましてですね、えぇ。

萩原: 普遍性の裏側ですけどね、まったく。

大滝: 裏側ですから、究極で、

萩原: 正反対ですからね。

大滝: まるで逆側にあるわけですから、

山下: じゃぁ、やっぱり僕の「やっぱりねー」ってのもいいわけですね、それで。

大滝: まったく!

萩原: ハハハ。

大滝: あなたはだから、もう、既にわかってる方ですからね、敢えて言いませんでしたけども。

山下: しょうがねーなー。

萩原: 「ボーン・トゥー・ビー・ワイルド」のシャウトとかね。

大滝: 「ボーン・トゥー・ビー・ワイルド」を、ほんとはあのー、小汀利得でやってくれるとね、

山下: 「やっぱりねー、リッチョ・モーター・ランニンだよ」

大滝: そうそうそうそう!

萩原: ハハハハ。

大滝: 言うとやるんですよ、この人!

萩原: ですね。

大滝: うーん。やっぱ、そういうシチュエーションをこれから作っていくようにいたしましょう。

山下: もう20年前からですね、大滝さんと伊藤銀次さんと、二人でですね、こういうことを責められる訳ですよ。

萩原: ハハハ。

山下: そうすると、ねっ。まぁいいや。それでですね、

大滝: うん。

山下: 萩原さん、

萩原: はぁ。

山下: 去年の暮れにあれですよね、末に、プロデュースしてましたよね。

萩原: はいはい。

山下: バンドの。

萩原: はい、やってました。

山下: なんていうバンドでしたっけ?

萩原: ビンゴ・ボンゴっていうんですけどね。

山下: また、あのー、要するに大所帯好きの萩原さんの、

萩原: 15人編成のですね、ラテン・ロック・バンドですよ。

山下: いわゆるあれですね、マロとか、そういう世界ですね。

萩原: そうそう。今年はラテン・ロックですよ。

山下: それ、いつ出るんですか?

萩原: ちょっと先なんですけど、

山下: あー、そうですか。

萩原: 4月ぐらいなんですけどね。

山下: へぇー。あとで、じゃあ、来週でもかけさせてくださいよ。

萩原: はい。

山下: えー、それでですね、萩原健太先生ってのはですね、実は、世の中ではですね、音楽評論家、ディスク・ジョッキー、

大滝: うん。

山下: えー、著名な著述家、

萩原: 著述家!

山下: いろんな顔がありますけど、

大滝: うん。

山下: 実はギタリストとしての顔も、

萩原: フフフ。

山下: 大変に有名なんですね、これが。

萩原: 有名じゃないですよ。

大滝: これはかなり有名ですよ、業界内では、もう。

山下: えぇ。いわゆるBSに対するCSでですね、いろいろ、ご覧の方は、まだ全国で何百人しかいないはずですけども、

大滝: えぇ。

山下: えー、健太さんは有名なベンチャーズ・ファンでございましてですね、

萩原: はい。

山下: 昔から、その、ギターを、ベンチャーズを弾かせたら、なかなかすごいと。今日はぜひ、私はしかしですね、萩原健太さんがギターを弾いているとこを見たこともない。音は時々聴くことがあるんですけど、姿を見たことない。で、ラジオで実に残念なんですがですね、

萩原: はい。

山下: 私が個人的に、単に、萩原健太さんのギターを弾いているのを見てみたいと。

萩原: もう指がもつれちゃいますよ。

山下: それでですね、素材を、さすがにベンチャーズのカラオケってのはないと思うでしょ。ところがあるんですね、これが。ベンチャーズ自ら出してる。「プレイ・ギター・ウィズ・ザ・ベンチャーズ」というアルバムがですね、VOL.1からなんとVOL.7まであるんですね。

萩原: 教則レコードですね。

山下: そうですね。そん中に入ってるのはですね、いわゆる曲の弾き方、そしてギターのチューニングから始まりましてですね、

大滝: おー。

山下: えー、例えば「ダイアモンド・ヘッド」でしたら、テンポを1/3に落として、「ターンツタンツタッタン、チャーンチャチャチャチャチャン」と、こういうような教則レコードが延々ありましてですね、そのあとに模範演奏、そして「リズム・ギター抜き」、「ベース抜き」、そして最後に「リード・ギター抜き」という3パターン入っているという。

萩原: フフフフ。

大滝: すごいですね。

山下: すごいんです。

大滝: なんか柔術を教えるような感じですね。

山下: 今日はですね、その中からですね、

大滝: はい。

山下: 「シークレット・エイジェントマン」、「秘密諜報員」。

萩原: はぁ。

山下: なんと、ワン・コーラスしかないという。

大滝: あらっ!

山下: 始まったとたんに終わってしまうという、とんでもないやつなんですが、

萩原: ハハハハ。

大滝: はやりですかね、これ?

山下: これもやっぱり、一発芸のうちに入るんじゃないかと。

大滝: 入るような気がしますね。

山下: ぜひ、今日はその、萩原健太さんが、なんと私のギターを弾いて、

大滝: よっ!

山下: 演奏していただいているという。

萩原: スパーク!

山下: 私のギターとアンプを持ってきて、演奏していただく。恐れ多いことでございますけど、

萩原: いやいや、とんでもない、ブルブル。

山下: そういう訳で、萩原健太さんプレイズ「シークレット・エイジェントマン」

 曲:

萩原健太(演奏)/SECRET AGENTMAN

山下: いやー、すばらしい。

(拍手)

山下: すばらしい。

大滝: これ、すごいですね。ナッシュビル・ピッキン。

萩原: フフフフ、何が!?

山下: たいしたもんですよ。ちゃーんと、だって、こっちの指使ってるんですよ。

大滝: いーや、なかなかに。ウェイン・モス調。

山下: 中指。たいしたもんですよ。

大滝: うーん。なかなかできないですよ、あれは。

山下: 徳ちゃん、徳武君まっ青って感じですね。

萩原: いや。

大滝: なーんだ、いたんだ、一人。

山下: もっとやってもらいましょうよ、今度ね。ぜひ。

萩原: うーっ。

大滝: 2コーラスはあるやつがいいでしょうね。

萩原: ハハハ。

山下: そうですね。

大滝: えぇ。

山下: 私も意外でしたよ。

萩原: これ、こんなに速かったでしたっけ、テンポって?

山下: いや、実は私も、このアルバム生まれて初めて針落としたもんで、

大滝: ひでー。

萩原: こんなに速い!

大滝: 「7集まである」なんて言って。

山下: いや、7まで全部あるんですけど、1枚も聴いたことないんですよ。

大滝: 聴いてないのはひどいなー。

萩原: これ、スラッシュ・ベンチャーズっていう感じですね、これじゃあ。こんなに速くって、もう。

山下: すごいですねー。

大滝: いやー、すごい。

山下: だけど、これなんか、まだいいんですよ。ベース抜きってのは、すごいですからね。ベースが入ってないんですからね。

萩原: なんだか、訳わかんないですよね。

山下: あれで「ほんとにベース弾く練習するやつがいるのかな」ってぐらいですからね。いやー。

萩原: あー、驚いた。

大滝: いや、やっぱり「ドゥ・ユー・ウォンツ・ノウ・ア・シークレット」よりは数段いいですね。

山下・萩原:フフフフ。

大滝: やっぱり。

山下: ほんとはね、大滝さんに、そういうエルビスとかさ、歌って欲しいんだけどさ。

大滝: いやいや、とんでもございません。とても、とても。そんなもん、あれでございませんので。

山下: いやー、あれですよ。

大滝: あのー、今年はビートルズですから。

山下: ククク。

大滝: えぇ。今年はその年だからね。まぁ、ラテン・ロックだとも言ってますからね。一応ラテン・ロックも横に置きながら、

萩原: ハハハハ。

大滝: ビートルズのラテン・ロック「ベサメ・ムーチョ」どうですか?

萩原: あー、いいですね。

大滝: ねっ。ちょうどあわせると。

山下: 大滝さん、昔さ、NHKで二人でエバリーやったことあるでしょう。

大滝: やりましたね。

山下: あれで初めてそれを聴いてね、

萩原: うん。

山下: それから「エバリー集めてる」ってやつがいるんですよね。

大滝: ほー。

山下: それ、業界の人ですけど。

大滝: へぇー。

山下: やっぱり、30そこそこの人間ですけどね。あれで初めて「キャシーズ・クラウン」を聴いて、それで、

萩原: 「いいなー」と。

山下: 「これはいい曲だ。これは誰の曲か。」つって、「キャシーズ・クラウン」を買って。だけど、あのー、僕なんかが聞くと、すごい恐れ多いんだけど、やっぱり僕らの歌の方を最初に聴いたから、エバリーを後から聴いても、「こっちの歌の方がよく聴こえる」っていうね。

大滝: まあ、最初に聴いた方がね、その人のイメージだから。

萩原: 最初に見たものを親だと思うという。

山下: 親だと思うっていうね。

大滝: ありますね、やっぱりね。

山下: あのテープをね、探そうと思ったんだけど、今、ちょっと大掃除してて、テープが出てこなかったんです。

大滝: あらー。

山下: 今日持ってこなかったの。

萩原: また歌ってくださいよ。

大滝: いや、もう、私はもう、ダメですね。

萩原: そうですか?

大滝: あれがもう、最後のあれですから、白鳥の歌。

萩原: あれが?

大滝: 「THIS IS MY SWAN SONG」

山下: なにそれ!?

大滝: なんか、そういうあれで。まあ、とにかく、だからエバリーがないとビートルズがなかったことだけは確かですからね。初期は、少なくとも。

萩原: エバリーいきましょうよ、エバリー。

山下: いいつながり方しましたね。それでワーナー時代のエバリー・ブラザースのCDがですね、去年復刻されましたからね。

大滝: 我が社ですからね、お宅の。

山下: えぇ。

大滝: お宅の我が社。

山下: これはよかったですね。すばらしいですね。

大滝: うーん。

山下: ある意味では、こっちの方が好きなんですよ、ケーデンスより。

大滝: こっちの方がいいんです。

萩原: 音もよかったですよね。

大滝: うーん。

山下: 何いきましょうか?

大滝: なんでもいいんですよ。

萩原: もう、どの曲でもね。

大滝: なんたって、自慢じゃないですけど、バック・マンは、みんなエルビスといっしょですからねー。

萩原: うーん。

山下: なるほど。

大滝: 結局、そういうことだったんですけどね。

萩原: ねぇ、つながっていきますね。

山下: 何を、何かけましょう?

大滝: もう、好きなのかけてくださいよ。弊社ですから。

萩原: ハハハハ。

山下: 必ず私だと「ゴーン・ゴーン・ゴーン」になっちゃうんですけど。

大滝: いいんじゃないの「ゴーン・ゴーン・ゴーン」

山下: いいですか、「ゴーン・ゴーン・ゴーン」で?

大滝: このバディ・ハーマーのドラムを聴いてくださいよー。

山下: 素晴らしいですね。じゃあ、エバリーブラザースの、これは何年の、えー、調べときます。「ゴーン・ゴーン・ゴーン」

 曲:

エバリー・ブラザース/GONE GONE GONE

山下: 「ゴーン・ゴーン・ゴーン」ですか?4です。

萩原: 4?そんな前なんだ。

大滝: うそっ?なら、「抱きしめたい」の頃に、もう出てんの?

山下: そうですね。

大滝: えーっ!

山下: 64年の10月、初チャートですね。

大滝: まあ、後半は後半だな。

萩原: でも、まあ、それにしたってねぇ。

大滝: やってるよね。

萩原: ねぇ。

大滝: 負けずに。

山下: えー、64年の初頭のヒット曲ですから、もう、いわゆるビートルズとリンクしてますね。

大滝: もう、「イッツ・オール・オーバー・ナウ」なんかよりも前なんじゃない?

萩原: そうですね。

大滝: あのー、ストーンズの。

萩原: えぇ。ストーンズの。

山下: そうですね。

大滝: すごい。

山下: えー、印象としては、66年ぐらいの感じかな、

大滝: うーん、なんとなく。

山下: っていう感じですけど。これは、僕はベンチャーズの「ノック・ミー・アウト」で最初に聴いて、あの頃はだってなかったんだからね、

萩原: そうですね。

山下: アルバム自体が。戻っていったという。「戻っておいでエバリー・ブラザーズ」という、

大滝: 「私の時間」ね。

山下: 「ゴーン・ゴーン・ゴーン」、えぇ。

大滝: どうしてる?

萩原: なんだー。

大滝: うちでご飯つくってるの?

山下: でも、そう考えてみると、

萩原: お節料理かなんか作ってね。

大滝: やっぱりね。

山下: 人が喋ってるって!

大滝・萩原:フフフフ。

山下: このバディ・ハーマンのニュアンスって、メル・テーラーはよく表現してましたよね。

萩原: あっ、そうですね。今にして思えば。

大滝: うん、やってるねー。

萩原: で、達郎さん、どっちかっていうと、最初に見たのがベンチャーズ、最初に聴いたのがベンチャーズ、ベンチャーズが親っていう感じですね。

山下: えぇ、そうですね。でも、これはすばらしいですよ。

萩原: うん。これ、今回の、この、あのー、2枚組のベスト、

山下: はい。

萩原: 初めてバディ・ハーマンのことなんか書いてあったんじゃないですか、エバリーのことで?

大滝: 初めて。僕はね、あのー、自慢じゃないですけど、今回、プレスリーの解説、初めて書いた時に、

萩原: はい。

大滝: バディ・ハーマン書きましたけどね。

萩原: うん。

大滝: まあ、時間的に言うと、こっちの方が早く出たかもしれないけど、世界中にバディ・ハーマンのドラミングを、なんか、あのー、いいとか言った文章って、今まであんまりお目にかかったことないんですよ。

山下: 1回も見たことない。

大滝: でしょう。

萩原: そうですね。

大滝: 驚いたなー。ましてや、ビル・ポーターのエンジニアリングなんてのを書いた人を、

萩原: うんうん、そうですね。

大滝: 僕はいまだに、

萩原: いませんよね。

大滝: いないんだと思いましたけど。

山下: いないでしょうね。だって、それは結局、大滝さんのまさにセイム・ゼネレーションというか、同時代の世界でしょ?

萩原: うん。

大滝: うーん。

山下: ねっ。だから、その時代の、やっぱ、音楽評論家の人とか、そういうことに関して、やっぱり、ほら、スタッフに関しては、あんまり着眼しない時代だったでしょ。

大滝: うーん。ちょうど僕が、あのー、中1、2、3、中学校のまるまるプレスリーだったんだけど、その頃、スタッフとかプロデューサーとか、そういうのを、あのー、着眼しない時代だったんですよ。だから、東京ビートルズになっちゃうの、

山下: ふーん。

萩原: なるほどね。

大滝: 実は。

山下: なるほどね、クックック。

大滝: イギリスにはジョー・ミークがいて、ノリー・パーマーもいて、その、マイク・スミスはいるし、そのうち、ストーンズをやるアンドリュー・ウォールダーは出てくるし、そののち、ミッキー・モーストが出てくるっていう、プロデューサーがいるんですよ、イギリスには。

山下: うーん。

大滝: だから、早めにああいう事ができたんだけど、日本は、

山下: プロデューサーがいなかったんですね。

大滝: ロカビリーの前の、ジャズの流れの伝統しかなかったの。

山下: ふーん。

大滝: だから、ポップスはやりやすかったの、ジャズの変形だから。

山下・萩原:うんうん。

大滝: ロックン・ロールのプロデューサーとか、アレンジャーとか、ミュージシャンっていうのの、その考え方はまるでなかったんですよ。それが気の毒なことに、東京ビートルズになっちゃったの。

山下: 僕はね、去年も話したかな、「君といつまでも」ってあるでしょ?

大滝: うんうん。

山下: 加山さんのね。

大滝: はいはい。

山下: 「あれは一体誰がやってるのかな?」って思ったんですよ、このあいだふとね。

大滝: なるほど。

山下: 3年ぐらい前。それで、いわゆる、インペグ屋というか、あのー、当時の、要するにミュージシャンを調達してる人の親玉みたいな人に聞きに行ったの。

萩原: うん。

山下: そしたら、あれは石川アキラさんと、

大滝: 石川さん。

山下: 江藤さんと、

大滝: 江藤さんです。

山下: それから、えーっと、杉本さんか、だと思うって言うんですよね、ギターがね。

大滝: うんうん。

山下: で、キーボードはちょっと忘れちゃったけど、それで森岡健一郎さんでしょ?

大滝・萩原:うん。

山下: だいたい63,4年でロカビリーものの、中尾ミエ、弘田三枝子さんのあの辺から、ずーっと変わらないんですって、それが。

萩原: あー。

山下: だいたい60年代のロック系というか、いわゆるロカビリーて「ジンジンジンジン」っていくやつは、ほとんどその人達だと。

大滝: うん。

山下: で、あとは要するに、ブルー・ジーンズとか、要するに既成のバンドがバックをやってる、

大滝: ブルー・コメッツとかね。

山下: そういうパターンか、どっちかだろうということをおしゃってましたね。

大滝: 人がね、いないんですよ。人間がいないの。ほんとにだから、おんなじ人達が、あのー、ありとあらゆるものをやっていたという時代でもあったんですよね。

萩原: なるほどねー。

山下: だから、その部分だけがずば抜けてて、あとは、もう、要するに、2段、3段、みんな落ちてしまうという、そういう、

大滝: 一番いいのはね、黛ジュンですよ。

山下: はー。

大滝: あの、ニュー・ハードのドラムの人もいるんですよね、石川さんの他にもね。

山下: ふん。

大滝: 黛ジュンの音もいいんだ。

山下: うーん。

萩原: かっこいいですよね。

大滝: かっこいいんだよ、すごいロックしてるでしょ。

山下: 東芝の全盛期の、

大滝: うーん。

山下: やっぱり。

萩原: 「ハレルヤー」ってやつとか、すごいですよね。

大滝: そうそう、そうそう。だから、あの辺になって、ようやく、だから、GSがサウンド的には追いついてる頃だとは思うんだけどね。

山下: うーん、なるほど。

大滝: うん。

山下: えー、これでまた、もう1曲なんかかけようと思ってたんですが、そろそろまた時間が、話してると時間が長くて、

萩原: もう1曲、いい曲なんですよね。

大滝: これだよ。

萩原: これがね。

大滝: これのために今まであるようなもんだよ。

萩原: そうそう。もうね、すべて、

大滝: 自慢じゃないけど、私が自慢しても、全く意味がないけどね。

萩原: もう、ほんとに、前座の前座ですよね。

大滝: 全く失礼いたしました、ほんとに。まあ、退散いたしますわ。

山下: ほんとはね、だからね、大滝さんにそういうのやって欲しかったんだけど、頑強に、やっぱり「オケが気に入らない」とかね、

大滝: とんでもございません。

山下: 「テンポが嫌だ」とか、いろんな、

大滝: いやいやいやいや。

山下: やっぱり完全主義者でね。

大滝: 山下さんのこの曲を聴くために、本日はやってまいりました、みなさん。

萩原: すばらしいですねー。

山下: すいませんね。いろいろ物色しましたが、あのー、この曲は、いわゆるオリジナルがそういうクラブ・バンドっていうか、パブ・バンドのあれなんで、ちょっとチープさがあるので、カラオケ化しても、原曲のイメージがあんまり変わんないというので、昔から好きだった曲を。これは、いわゆるアメリカの、要するに、市場で売られているカラオケの、使ったあれなので、別に自分がレコーディングした訳じゃありません。今日の最後でありまして、また来週もよろしくお願いします。

萩原: えぇ。

山下: 来週はひとつエルビスで。

大滝: 次の曲は保存版ですよ、みなさん。

萩原: はい。さあ、

大滝: 他の、今までのやつはね、健太さんのはどうかわかりませんけど、

萩原: さあ、カセット用意。

大滝: 私のはいりませんよ。

萩原: ハハハ。

大滝: はい、どうぞ。

山下: という訳で、カジノスのカバーで、「ゼン・ユー・キャン・テル・ミー・グッドバイ」

 曲:

山下達郎/THEN YOU CAN TELL ME GOODBYE

山下: てな訳でお送りしてまいりました、山下達郎の「サタデー・ソング・ブック」、来週も新春放談、第3回目でございます。だいたい、ここんとこ毎年3回続きという感じで、

萩原: 泣けましたね、今の。今の曲はね。

大滝: いいね、いい歌。

萩原: 泣けましたねー。

大滝: コピーしてください、私に。

山下: ダメ。来週も「ボーン・トゥ・ビー・ワイルド」ですか?

大滝: 寝る時に、

萩原: もちろん。

大滝: あっ、これはもう、ワイルドで。ワイルドで行こう。もうわかったんだよね、これが。なぜこれがかかったか。

萩原: ねっ。

山下: 今週でやめちまえばよかった。

大滝: いやいやいやいや。

山下: ほんとに、もう。

大滝: 3度目の正直ってもんで。

山下: 来週はぜひ、大滝さんの去年、えー、ライナーを書かれました、エルビスの「シックスティーズ・ボックス」。これはすばらしい。その話を、ぜひ聞かしていただきたいと思います。

大滝: よろしくお願いします。

山下: また来週もよろしくお願いします。

大滝: ども。

山下: 大滝詠一さん、萩原健太さん、来週のこの時間まで、来週は1月の1、8、15。15日、成人の日じゃないですか。

大滝: そうなんですよ。

山下: 成人の日で、いよいよビートルズの時代ですね。

大滝: やっぱりね。

山下: なんだかよくわかりませんけど。

大滝: ようやく、だから、日本もこれから成人するかというところでしょう。

山下: ヘヘヘ。という訳で、また来週もよろしく。えー、来週のこの時間まで、みなさんごきげんよう、さよなら。

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