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1996.1.7 サンデー・ソング・ブック

山下: みなさん、新年あけましておめでとうございます、山下達郎です。毎週、日曜日午後2時からの55分間は、私、山下達郎がお送りいたします「ジャックス・カード・サンデー・ソング・ブック」の時間であります。今年も、1996年、1年間何とぞよろしくお願いいたします。えー、もう1月の7日でございまして、七草がゆ。明日からは、もう各方面本格的に仕事が始まる季節でございますけれども、今年も毎年恒例の、大滝詠一さんをゲストにお迎えいたしまして新春恒例、新春放談。今週と来週、下手すると3週間いくかもしれませんけれども、いけるとこまでいってみようと。とりあえず、まず第1週目でございます。えー、大滝さんと今年もいろいろと四方山話、去年の新春放談よりは、ちょっと話題が豊富だと。いろいろな話ができると思います。今年はですね、大滝さんと2人で、久しぶりにサシでいきますのでですね、いろいろとまた、突っ込んだ話などもできると思います。最後までどうぞごゆっくりお楽しみください。

山下: という訳で、明けましておめでとうございます。

大滝: おめでとうございます。また、

山下: 今年もよろしくお願いします。

大滝: 今年もやってまいりましたけども。

山下: 11回目ですよ、もう。

大滝: うそ、12回目じゃないの?

山下: 12年目ですけど、あいだ1年抜けてるから11回目です。

大滝: あー、そうなの?1年抜けてんの?

山下: えぇ、そうですよ。

大滝: あらっ。初めて知ったこの事実。

山下: そうです。久しぶりにサシです。

大滝: 何年ぶりぐらいかね、サシは?

山下: 何年ぶりかな、6年、6〜7年、あれでしょう。

大滝: うーん。もう、だから、2人で話すとかいうのを聴いたことある人は少ないんじゃないの?

山下: そうかもしれないですね。

大滝: リアル・タイムじゃ。

山下: 実を言うと、僕はずーっとサシでやりたかったんですよ。

大滝: 私がそういうふうにした訳じゃないんだけど。

山下: そうなんだけど、なんか加減でね。

大滝: うーん。

山下: 僕ね、だから、今でも覚えてるんですけど、大滝さんが「EACH TIME」出した時ってサシだったんですよ。

大滝: 80、

山下: 4年かな。

大滝: 4年、うん。

山下: 出したあとだったかな、前かもしんない。

大滝: うん。

山下: だけど、その頃のノリはね、割と、なんつうの、意外とずーっと話続いててね、面白かった。すごい面白かった記憶があってね、

大滝: あー、なるほど。

山下: 「それがいいや」ってね、今年はだからそれで。

大滝: 初心に戻すということで。

山下: えぇ。それで、えーっと、ご無沙汰してるんですけど、

大滝: いや、もう、こちらこそ、なんか。

山下: 最近は何を?

大滝: えー、去年1年は、

山下: えぇ。

大滝: あのー、久しぶりに現場に復帰をいたしまして、1年間スタジオに入りました。10年ぶりにスタジオに入りましたけど、

山下: だけど、その間いろいろあったじゃないですか。例えば「快盗ルビイ」とかさ、

大滝: あー、でも、たまにでしょ。

山下: たまにね。

大滝: 例えばだから、「1週間に3日連続スタジオ入る」とか、これはもう、まるまる10年ぶりですよ。

山下: あー、そうですか。

大滝: うーん。

山下: なるほど。ヘヘヘヘ。

大滝: でね、だからね、360日間中100日ぐらい入ってんじゃないの?

山下: へぇー。それはほんとに入ったんだ。

大滝: うーん。

山下: 風呂だね、それは。なに言ってんだ。

大滝: 珍しい、まぁ、10年ぶりに帰ってみたら、一応そこそこに、

山下: なるほど。

大滝: 楽しかったですね。

山下: 何ですか、それ!

大滝: これでね、だから中に入ってさ、

山下: えぇ。

大滝: なんか、こう「スタジオ行くのやだな」とかいうふうに、

山下: あー。

大滝: 思ったら辞めようと思ってる訳なのよ。

山下: ふーん。

大滝: で、それがないんだね、やっぱり。

山下: 入ったら楽しかった。

大滝: また、延々、どっちかというと、音を出すよりも、スタジオの中で話をしている時間の方が長いっていうぐらいのもんなんだけど、

山下: グッ。で、何をやっているか。

大滝: 大した事やってないです。

山下: あらっ。

大滝: だから、今年のじゃない、去年の年頭に申し上げましたとおりに、えー「うれしい予感」と「針切りじいさん」っていうことで、「ちびまる子」のテーマを、シングルを出した、

山下: えぇ。

大滝: ばっかりに、こういうことになってしまったじゃないんだよ。えー、出しましたので、「その両者のアルバム・プロデュースということをやる」ということを申し上げましたので、やりました。

山下: なるほど。

大滝: 植木さんは6月、7月に出来上がりまして、

山下: 出ましたね。

大滝: えー、渡辺満里奈さんのが、ようやく、昨日、

山下: えっ!

大滝: 昨日っていうと、大晦日じゃないんだからね。

山下: 録音ですから、大丈夫ですよ。えっ!

大滝: えー、できあがりまして、

山下: できたんですか?

大滝: できあがりました。

山下: ほんとにできたんですか?

大滝: 12,3曲録ったんですけども、

山下: えっ!

大滝: で、5曲のミニ・アルバムという形になりました。

山下: うそだー、ハハハ。うそだー!

大滝: うそじゃないよ。ほんとにできたんだもの。5曲プラス1ボーナス「うれしい予感、アルバム・バージョン」

山下: 6曲入りなの?

大滝: そうそうそう。

山下: 12曲も録って!

大滝: 実質5曲。

山下: グッ。俺、できたって、全部ミックス・ダウン終わったって聴いたから、

大滝: 終わりました。

山下: 10曲入りのアルバムになるのかと。

大滝: うん。だから、最初はもちろん、その、フル・アルバムを目標につくったんだけども、あのー、いろいろ紆余曲折がありましてですね。

山下: らしいちゃ、らしいよな、それって。

大滝: うーん。

山下: なるほど、6曲入りなんですか。そうですか。

大滝: まあね。

山下: で、いつ発売なんですか?

大滝: えーっと、この春のよき日を選んで、

山下: フフフ、あのね、結納して結婚するんじゃないんだから。

大滝: 多分、だから、3・21に決定を、いたしました。

山下: 3・21?

大滝: はい。

山下: そうか、意外だったなー。絶対僕の方が早いと思ったのに。

大滝: 君はいつ出る訳?

山下: 僕、まだわかんない。6・25ってのを、一応予定してるんですけどね。

大滝: なんだ。うそだな。

山下: ハハハ。

大滝: えーっと、多分8・25じゃないかなー。

山下: ハハハ、うるさいな。

大滝: 受けてんなー、向こうで。

山下: しょうがないな。

大滝: なんだ?言ったことは守りなさいよ、少しは。

山下: 人の、

大滝: フフフ。

山下: あのね、

大滝: フフフ。

山下: あのね、

大滝: あのさ、もうそろそろ私のせいにするの止めようよ。

山下: フフフ、いや、

大滝: 自分の責任でやってくれ、頼むから。

山下: 「めくそ鼻くそをわらう」っていう世界だから、やめましょうよ、これ。あのー、今日は適当に、あのー、あれです。1曲もかからなくてもいいんですけど、

大滝: うん。あっ、そう、新春放談というわりには、あんまり、なんか、話をしなかったんだよね。

山下: そうなんだよ。だから、3人いると、どうしても、ほら、ほんとの雑談になっちゃうから、

大滝: うーん。

山下: だから、こうサシでやると、ほら、論点はっきりしてるっていうか、

大滝: そうそうそう。

山下: いいんですよね。

大滝: 20年前を思い出しますけどね。

山下: えぇ、そうですね。フフフ、あの福生のね。

大滝: 延々、福生で語り明かしたもんでしたけども。

山下: 4時、5時であれですよね。

大滝: うーん。

山下: もうあれから20年、丸。

大滝: あれだけの人数の中で、でも、あのー、えー、いつまでも寝ないっていうのは、君ぐらいのもんでしたね。

山下: クックック。

大滝: たいてい、やっぱり、明け方近くになるとダメでね。

山下: あのー、全然話し変わるんですけど、

大滝: えぇ、変わりましたね。

山下: あのー、なんか、ほら、全部話であれすると、あれだから。「話であれすると、あれだから」じゃわからないよね、それじゃあね。

大滝: いや、日本語はわかるんですよ、それで。

山下: そうそう。ダイアナ・ロスとシュープリームスのね、

大滝: あらっ、突然に。

山下: アンソロジーってのが出て、

大滝: うん。

山下: なんと、あの、ライノのアルバム、こういうものを全てやってるビル・イングロットという名門の、マスタリング・エンジニアがマスターしたやつで、

大滝: やったね。

山下: 2枚組みで。これになんと「シングス・アー・チェインジング」というね、

大滝: 我々スペクター・ファンにとっては、

山下: とっては、あのー、超有名な、

大滝: 超ウルトラ・スーパー・レアな、

山下: そうですね。

大滝: ものが。

山下: 元々、そのブロッサムズという、

大滝: うん。

山下: ダーレン・ラブのグループが、それをやって、

大滝: おくらになって。

山下: おくらになって。

大滝: えぇ。

山下: で、おんなじオケでシュープリームスがやってるらしいという噂がね、

大滝: 噂を、

山下: 資料はあったんですけど、

大滝: 噂を昔聞いた。

山下: それがなんと、ほんとにCDになって、出てきちゃった。

大滝: 突然、もう、今はね、だから、これ、例えば、昔はほら、マニア垂涎の的とかいって、

山下: えぇ。

大滝: あれでしょ。カセット・コピー、カセット・コピーで、ひどい音でみんな聴いたとかいう時代が、もう25年前とかあったじゃないですか。

山下: そうですよね。

大滝: 今はそれがよりよい音で、突然、また廉価で「ボーン」と出てくる。

山下: そうですよね。

大滝: まぁ、こういう時代ですよ。

山下: 「スマイル」がだって、ビーチ・ボーイズの「スマイル」がCDになってね、「キャピトル」がオフィシャルで出ちゃうんですからね。

大滝: それがもう、世の中というものでしょう。

山下: グググ。という訳で、これは、えーっと、元々ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンが、えーっと、フィル・スペクターと、まあ、共同作業みたいな形でつくりかけたんだけど、結局うまくいかなくて、そのままほっぽらかしといたのを、スペクターが、なんでしたっけ?えーっと、なんかのキャンペーン・ソングに、

大滝: キャンペーンで、なんかあったんですよね。

山下: 使ったんですよね。

大滝: うーん。

山下: それで、ブロッサムズのバージョンをやったのが、えーっと、噂によるとシュープリームスと、それからジェイとアメリカンズもやってるらしい。

大滝: ジェイとアメリカンズも入ってましたよね、なんかのCDに。

山下: なんですってね。で、ついにダイアナ・ロスのこれが出できて、

大滝: 出ましたねー。

山下: これを聴くと、実に、あのー、モータウンとスペクターの、そのー、

大滝: 違いが。

山下: いや。あとは、要するに、スペクターがモータウンに対して持ってるもの?

大滝: もの。

山下: みたいなものが、すごくダイアナ・ロスが歌うとね、すごく面白いという。

大滝: うーん。

山下: これをぜひとも。こういうの、ほら、あんまりかけられないから。

大滝: うん。

山下: ぜひとも。

大滝: 普段かけないの、そういうのって?

山下: いや、俺、うっかりしてかけるの忘れて。

大滝: なんなんだ?

山下: で、大滝さんが新春放談やるから、それまでとっとこうと思って。

大滝: しょうがないな、しかし。

山下: そういう訳で、えーっと、65年ぐらいかな?「シングス・アー・チェインジング」、ダイアナ・ロス。

 曲:

DIANA ROSS & THE SUPREMES/THINGS ARE CHANGING

山下: えー、元々はブライアン・ウィルソンとフィル・スペクターの共同作業で、つくりかけでうっちゃられておりましてですね。それを、ちょっと、解説書が手に入りましてですね、これはジョンソン大統領のですね、時代で、「黒人および少数民族のアメリカ国民に対する雇用機会不公正是正」、

大滝: ははーん。

山下: それのためのキャンペーン・ソングだそうです。

大滝: なるほど。

山下: それで「シングス・アー・チェインジング」というタイトルで、スペクターがこれを引っ張り出してきて、ブロッサムズに歌わしたと。

大滝: おー。

山下: これのバック・トラックをアレンジしているのは、えーっと、ジャック・ニッチェではなしに、ジェリー・リー・オペルでね、

大滝: なるほど。

山下: 「パレード」のね。

大滝: うん。

山下: で、ジェリー・リー・オペルが語るところによると、これを、要するに、シュープリームスにトラックだけ貸したって。

大滝: うん。

山下: だから、プロデュースは一切関与してないと。

大滝: ふーん。

山下: で、ブライアンはブライアンで、これを要するに、この曲をたたき台にして、「ドント・ハート・マイ・リトル・シスター」

大滝: 「リトル・シスター」

山下: をつくる訳でございましてね、

大滝: うん。

山下: えー、それのシュープリームス版というのが、いよいよ陽の目を、すごい時代ね。

大滝: でも、シュープリームスがやると、なんか、あのー、シュープリームス調になるってところが、

山下: なりますね。

大滝: なんかね、おんなじオケでありながらも。

山下: ですよね。

大滝: うーん。

山下: だから、サマになる、なんていうの?思ってたより、ずっとサマになってたというかね。

大滝: うん。

山下: だから、ダイアナ・ロスっていうのも、一歩間違えばですよ。

大滝: うん。

山下: デトロイトじゃなくて、ニュー・ヨークで生まれてたら、ベロニカみたいになってるかもしれないですよね。

大滝: なってる可能性はあるよね。

山下: えぇ。声の質もそうだし、

大滝: 似てるよね、どっかね。

山下: おもしろいあれですね。最近はしかし、こういうものが、もうほんとに、CDで手軽に手に入ってね、

大滝: うーん。

山下: 僕、今でも覚えてますけど、バリー・マンが自分で歌った、あの「ウィーブ・ゲット・アウト・オブ・ディス・プレイス」。あのフォーエバーレコードという大阪のね、有名なコレクターの宮下さんって、今お亡くなりになっちゃったけど、その方にいただいて、あんなものを、もう「シャー」っていってる中でかすかに聴き取れるようなね、

大滝: フフフ。

山下: そういうテープで必死に聴いてた時代を思い出すと、ほんとに夢のようで。

大滝: うーん、いいんだか悪いんだかねー。

山下: なんだか、でも、こう、非常に乏しい情報の中でね、

大滝: うん。

山下: 60年代中期っていうのは、こう、例えばフィル・スペクターにしろ、「どうやって演奏してるのか」、「どうやってやってるんだろ」、それを無限のイマジネーションっていうんですかね、そういうののよさがあったじゃないですか。

大滝: ありましたね。

山下: それを今、だから例えば、ビーチ・ボーイズなんかでも、ものすごいなんつうのかな、バック・トラックつくっていく過程のね、

大滝: うん。

山下: その、我々が、だから、スタジオ入って、カセットのコピーもらってかえるような、そういうカセットを、要するにブートでドンドン出してくる訳でしょ。

大滝: うん。

山下: だから、フィル・スペクターもそういうのが、

大滝: あるんですよ。

山下: アウト・テイクのカセットが出たんですって?

大滝: あるんですよ、うーん。

山下: そうすると、なんか、こう、バック・トラックのつくり方なんかが、明瞭にわかるのは面白いんだけど、あんまりそれが赤裸々にあれするのも夢がなんか、壊れるっていうかね。勝手なんでしょうかね、それって?

大滝: まぁ、だから、情報がない場合は、だから、そういう、ある種の補完作用的にね、イマジネーションがだんだん湧いてくるから。だから、なかった頃のよさ?

山下: うーん。

大滝: だから、そういうふうにいくと、近代っていう意味合いからいくと、明治が一番面白いっていうか、

山下: うーん。

大滝: だから、明治の頃の想像力っていうの?

山下: うん、西洋文明に対するね。

大滝: それを、近代が入ってきた頃の、誤解も含めて。そういうようなことって、情報量の多さによって、だから、いいんだか悪いんだかっていうね、

山下: なるほどね。

大滝: そういうような感じが。だって、だから、その想像力が、あのー、非常に固有だったものっていうのを、だんだん、だんだん追い求めていくと、

山下: えぇ。

大滝: 近代に関しては、明治から始まってる訳だから、

山下: はい。

大滝: 明治のあたりの、この、近代のすっごく少ない情報を、こう、「あーだろうな、こうだろーな」って思ってた頃のものっていうのを見るとね、

山下: それがやっぱり、新しい、全く別のイマジネーションを生むんでしょうね、きっとね。

大滝: うーん。だから、それの、そのー、どう言うの?意図的にそういうことができるかどうかは別にして、

山下: うん。

大滝: えー、これくらいの情報量が多い時代に、「どういうふうにやっていったら」っていうのはね、その人の、あとは、選択になると思うんだけど。

山下: そういえば、大滝さん、夏に、いわゆる「日本の音楽史」のような特集をNHKでなさいましたね。

大滝: えぇ。ラジオでやりました。それでつくづく思ったんですけどね。

山下: なるほどね。

大滝: うーん。

山下: そう言えば、そうそうそう。あのね、ジャニーズってあったでしょ?

大滝: はいはいはい。

山下: 60年代に。今のジャニーズ系の一番オリジネーターですよね。

大滝: はいはいはい。

山下: あの人達が66年にね、海外レコーディングをやって、

大滝: えぇ。

山下: 「ネバー・マイ・ラブ」

大滝: 「ネバー・マイ・ラブ」の話ですか?

山下: ついに手に入ったんですよ。

大滝: あー、入りましたか。

山下: なんと、しかし、そのアルバムを聴いたらですね、

大滝: うん。

山下: 驚くべきことに、

大滝: うん。

山下: サークルの「ビジット」やってたの。

大滝: あー、はー、入ってます。

山下: これ66年ですから、だから、これも前なんですよ。

大滝: 前なんですよね、オリジナルなんですよ。

山下: オリジナルなんですよね。だから、これはすごくショッキングで。で、マスターがどこにあるのか、ちょっと今、探しているんですけど。

大滝: それはジャニーズ事務所にあるでしょ。

山下: いや、だから、メリー喜多川さんにカセットだけいただいたんですけど、

大滝: あー。

山下: それはもう、やっぱり、ものすごい「雨降り」カセットで、

大滝: 雨降ってました?

山下: えぇ、「シャー」って中から、もう。だけど、ほんとに典型的なウエスト・コースト・ソフト・ロック。

大滝: そうです、そうです。「ネバー・マイ・ラブ」は私、どっかでかけましたね、一回、ラジオで。

山下: あー、大滝さん持ってるんですか?

大滝: 持ってます、持ってます、えぇ。

山下: あー、そう。それどっから手に入れたの?

大滝: だって、「それをジャニーズやってる」っていうのは、もう既にラジオで私が言って、かけて、

山下: いや、だから、ほら、それは大滝さんに教えてもらったんだけど、

大滝: そうそうそう。

山下: 音は?

大滝: あの後「かけないで」って言われたような気がしたんだけど、フフフ。

山下: あー、そう。

大滝: だもんで、あのー、ちょっと黙ってましたけどね。

山下: なるほどね。

大滝: うーん。

山下: そうですか。

大滝: えぇ、えぇ。

山下: あー、そうなんだ。

大滝: そうなんですよ。

山下: なるほど。それは、それは。

大滝: 言ってくれればよかったのに。

山下: それは、教えてくれればよかったのに、フフフ。

大滝: いやいや、フフフ。「教えて教えて」ってやつ?フフフ。

山下: そんな、よくわかんない。それでですね、

大滝: えぇ。

山下: えーっと、大滝さん持ってると思うんですが、

大滝: うーん。

山下: じゃぁ、こんなんいってみましょうか。

大滝: 出ましたね。ジャニーズから。ジャニーズの前、

山下: いきなりから、スリー・ファンキーズいってみましょうか。

大滝: ジャニーズの前にこういうグループがありましてね、スリー・ファンキーズという、このー、日本のアイドルの、男性アイドル・グループのはしりですよね、これは。

山下: 手塚茂雄、林政男、ナガサワジョウ。

大滝: あー、これはあれがもういなくなってからですね。

山下: そうですね。末期ですね。

大滝: 高橋源太郎が。

山下: ヘヘヘ。これはしかし、

大滝: 何が気に入ったんですか、そん中で?

山下: 「サマー・ミーンズ・ファン」

大滝・山下:フフフフ。



山下: いいんですよ、これ、でも。日本語版「サマー・ミーンズ・ファン」。

大滝: スリー・ファンキーズはいいですよ、なかなかに。「抱きしめたい」もよかったですからね。

山下: 「オー・イェー・アイル」ですね。

大滝: えぇ。東京ビートルズよりは、まぁ、なかなかに。

山下: 違う詞ですよね、当然ね。

大滝: 全然違いますよね。

山下: 漣さんじゃね。

大滝: えぇ、違うんですよ。

山下: じゃぁ、えー、どうして、こう、あれでしょうね?人に対する先入観っていうのがあって、

大滝: うん。

山下: やっぱり大滝さんで、新春放談やる時は「こういう音源がいいんじゃないか」とかね、

大滝: ふん。

山下: すぐ、そういう具合に決め付けてかかる傾向があるので、

大滝: 傾向があるね。

山下: えぇ。

大滝: 君の持っている私のイメージがそうだっていうことで解釈しておきましょう。

山下: ハハハハ。桑田君のね、

大滝: うん。

山下: むかーし、番組にゲストで出た時に、

大滝: えぇ。

山下: 桑田君っていうのも、音楽が諧謔な世界じゃないですか。

大滝: タートルズの話ですね?

山下: いや、もっと前の話ですよ。

大滝: はぁーん。

山下: それで、「こういうの喜ぶんじゃないか」と思って持っていったのが、レインボーズの「バラバラ」とかね、

大滝: ヘヘヘ。

山下: そしたら、本人ね、なんか「ポカーン」としててね。

大滝: うん。

山下: 彼は、もっとだから、要するに、趣味的には繊細っていうかメローな人なんですよ。だけど、そういう、なんかこう「あっぱらぱー」なやつをね、

大滝: あってるように思うけどね。

山下: 思っちゃうんですよね。

大滝: うーん。

山下: 僕って、そういうとこ、すごく決め付けなんですけど、

大滝: フフフ。

山下: まぁ、いいや。そういう訳で、スリー・ファンキーズのですね、これはブルース&テリーの、ブルース・ジョンストン、テリー・メルチャーのグループで、ブルース&テリーのヒット曲で、「サマー・ミーンズ・ファン」

 曲:

スリー・ファンキーズ/SUMMER MEANS FUN

山下: アフター・ビートのかけらもないというね。

大滝: これは、でも、私のイメージにピッタシだと思う。

山下: でしょ!

大滝: うーん。

山下: 大滝さん喜ぶと思ったもん。

大滝: いや、これ、だって、「よーるのはまべで・・・」、これがいいもの。

山下: あごが上下するやつですね。

大滝: 結局、でもね、あのー、明治までは全部こうだったの。

山下: ハハハハ。

大滝: いや、だから、音頭もそうだけど、まんなかにピッタリあうということが、日本の文化だったんだから。

山下: ふーん。

大滝: 「あたまうち」で。

山下: ふーん。

大滝: 「タンダラタンダラダン」って。で、アフター・ビートが近代なんだよ。

山下: ふーん。

大滝: だから、あのー、必ず行列の時に足がずれたりする人とかさ、その「うらうち」っていうのを、幼稚園の時から無理矢理仕込むっていうのがね、実はこれが近代なんだ。

山下: だから、アフター・ビートの方が、要するに、高級、

大滝: 高級であって、

山下: ハイカラってやつですね。

大滝: そうそうそう。「あたまうち」っていうのが「古い」っていうのが、日本の捉えた近代だったんだね。

山下: 我々のだから、ほら、10代から20代にかけての語ることっていったら、「今日行ったら、客がさ、全部あたまだよ。ワン・ツー・スリーって手拍子やって、あのライブってダサイよな」っていうような会話してましたでしょ?

大滝: そうそうそう。そしたら最近、三波春夫さんとか、音頭なんかのときでも、みんな「うらうち」するようになっちゃってさ。

山下: あー、なるほどね。

大滝: これが座りが悪いんだよ。

山下: ハハハ、なるほどね。

大滝: そうそうそう。そっちになったら、私はひっくり返るから。バランサーだから。絶対論理、

山下: うーん。ヘヘヘ。「へそ曲がり」といいなさい、「へそ曲がり」と。

大滝: いや、「へそ曲がり」だよ、「へそ曲がり」。バランサーだ、バランサー。

山下: グググ、モノは言いようという感じがありますが。

大滝: いやいやいや、そうだからね。

山下: ブレンデルズの「ラ・ラ・ラ」のね、シングル買ってきたんですよ、ロスで。

大滝: 好きだね、君も、「ラ・ラ・ラ」が。ほんとに。

山下: クックック、これかけません?ラティーノ・ロックの。

大滝: どうして、あんな「ラ・ラ・ラ」にこだわるかね?ほんと、好きだね。

山下: いやー、好きなんです、こういうの。「バラバラ」とおんなじ。

大滝: 「バラバラ」なのは、君なんじゃない?

山下: いや、そうなんですよ。

大滝: 桑田君じゃなくて、実はね。

山下: まさにそうなんです、そうそう。だから、自分が共有するものを相手と共有して欲しいというね。あっ、自分が、要するに、内包しているものをね。

大滝: というよりも、ほら、レインボーズの「バラバラ」だとか「ラ・ラ・ラ」とか、

山下: えぇ。

大滝: 自分がソロの時とか、ひとりの時はかけないのね。

山下: あっ、そうね!確かにね!

大滝: 「あー、そうね」じゃないだろ。

山下: ハハハ。だから、やっぱ、

大滝: 人が来た時を「これ幸いに」とかけるんだ、これが。

山下: どこか後ろめたいところが、ハハハ。

大滝: なんで後ろめたいんだよ、そんなもんが!堂々と、今からは堂々と行け、堂々と!

山下: だけどね、坂本君の「サウンド・ストリート」に、ゲストで呼ばれた時には、何を持っていったかというと、ビーチ・ボーイズの「スマイリー・スマイル」の中に入っている「ウインド・チャイムス」といって、

大滝: フフフ。

山下: 「ウイーン・チャーイムス」って訳のわかんないやつと、ジェームス・ブラウンの「ゼア・ワズ・ア・タイム」と、あとなんだっけな?そんなようなね、それはでも、彼は喜んでくれた訳。

大滝: なんで坂本の時はそれ持って行った訳?

山下: 「きっと彼はそういうの喜ぶだろうな」と思ってね。

大滝: 「わかんない」と思って、持って行ったんじゃない?

山下: いや、坂本は付き合い長いから、ずーっと一緒にいたでしょ?

大滝: うん。

山下: プライベートでも、すごい付き合い長いから、

大滝: はいはい。

山下: だから、それは本気で喜んでくれた。

大滝: ほんとに?

山下: うん。「これはいい」って。

大滝: ジェームス・ブラウンわかる?

山下: 「ジェームス・ブラウンすばらしい」って言ってた、こん時。

大滝: うっそー。

山下: いや、

大滝: フフフフ。

山下: 疑っちゃダメですよ。

大滝: あー、ほんとに?

山下: 素直に人の言うこと、とらなきゃ。

大滝: あー、そうか。まぁ、いいや。

山下: えー、ブレンデルズというですね、これはいわゆるシカノ・ロックというね、メキシコ系アメリカ人の、あのー、もう60年代、これ、もう、あれですよ。その辺のガレージで録ったやつ、そのままヒットしたというね。えー、あれです。「ラ・ラ・ラ・ラ・ラ」という、

大滝: そうです。

山下: 「ラ・ラ・ラ・ラーラ・ジン・ジン・ジン」、

大滝: 何が面白いんだ、そんなもん?

山下: 「ルイルイ」みたいなもんですね、えぇ。

 曲:

ブレンデルズ/LA LA LA LA LA

山下: もう、いい(曲の途中です)!でも、これだって、

大滝: これ、でもね、まぁ、どうぞ。

山下: いや、ハハハ。

大滝: なんだって?

山下: 一応ヒットしてるんだよ、これ。

大滝: こんなもんが?

山下: これ、あの、いわゆるラティーノ・ロックだからロス・ロボスの「爺さん筋」というか、まぁ、非常に、あの、「フーテンじじい」っていうか、そういう感じ。

大滝: まぁ、「ラ・バンバ」から流れてきた感じかな。

山下: そうそうそう。

大滝: それから、あとは「ランド・オブ・ア・サウザント・ダンシーズ」?

山下: そうですね。

大滝: 「ラーララララーン」とか。これって、でもね、

山下: えぇ。

大滝: 100%君だね。

山下: ハハハハ。

大滝: この「落してから、また最後に上げる」、「終わるかなと思ってんのに終わらない」。

山下: フフフ。

大滝: もう、まさに、これ。

山下: 誰がそういう具合に仕込んだと思ってるの?ハハハ。

大滝: なに言ってんだよ?前からこうだったんだから!もう、だから、三波春夫、ジェームス・ブラウン、この「ラ・ラ・ラ」、みんなおんなじだもの。一番聴くと全部見えるんだけどさ。

山下: あ、汗出てきちゃった。

大滝: 最後までずーとやられるからな。

山下: ハハハハ。

大滝: 「付き合わなきゃ、しょうがねーだろな」と思っちゃうんだよな、これが。

山下: ハハハ。

大滝: フフフ。

山下: ところで最近、あのね、大滝さんの、要するにレコードっていうのは、コレクターの間で高値を呼んでるのね、昔からそうなんだけど。最近とみにそれがエスカレートしてきたの。

大滝: うーん、ちょっとエスカレートしましたね。

山下: ねっ。「レコード・マップ」っていう本があって、

大滝: うーん。

山下: 毎年、もう、この季節になると売ってるんですけど、その日本全国、北は北海道から南は沖縄まで、ありとあらゆる「レコード屋」って名が付く、要するに新譜、セコ・ハン屋、ありとあらゆる通販も含めて、

大滝: ふん。

山下: ほとんど考えられる限りのものは網羅してるんですよ。

大滝: あらっ。

山下: それのね、索引ってのがあるの、最後に。

大滝: ふん。

山下: 「ロック」とかさ、「フォーク」とかさ。「大滝詠一」ってのがあるんですよ。

大滝: 索引になっちゃったの?

山下: 索引、「大滝詠一」って。で、中古の邦楽ロック中心の店、店のウリ、「大滝詠一関係は特に充実している」、「力を入れている」、

大滝: 充実しちゃってる訳?フフフ。

山下: 「ナイアガラ関係に力を入れている」とかね。

大滝: 力を入れてんの?

山下: そこらじゅうにあるんです、そういうの。

大滝: だって、中古の、あのー、宣伝とか、必ずなんか「ナイアガラ」から始まってるじゃん、リストとかにも。

山下: そうですよ。だから、どんな邦楽ロックでもさ、必ず大滝さんのさ、シングル、ナイアガラ関係シングル、アルバム、なんか1枚は必ず載ってますもんね、写真。

大滝: ジャケット必ずのっかってるよね。

山下: うん、そう。「青空のように」とか、

大滝: なんか「これを持ってないだろー」みたいな感じのやつの写真がのっかってて、

山下: そうそうそう。で、これ、今日ね、大滝さんとこのスタッフに見してもらったんだけど、名古屋あたりのコレクターのオークションのリストなんだけど。これ、携帯電話なんだよね、電話番号がさ。

大滝: あのさ、あぶないビデオじゃないんだから、

山下: ねぇ。

大滝: 携帯電話でやるのやめてよね。

山下: だけど、意外とリーズナブルですよね、これね、値段。

大滝: そうなの?

山下: うん。あのー、だって、このあいだ新宿のあれ行ったら、なんだっけ?あのー、

大滝: これミニマム・ビットなんだってよ。

山下: いや、これ「すべてセット・セール」って書いてありますよ。

大滝: あー、そうなの?

山下: えぇ。

大滝: へぇー。

山下: 「すべてセット・セールですが、どうしても欲しい商品はオーバー・ビット、料金上乗せ大歓迎いたします。100円単位」

大滝: フフフ、あー、100円単位なんだ。

山下: えぇ。

大滝: へぇー。

山下: それで、「大滝詠一、ナイアガラ関係を落札された方は1点につき、1本下記のテープを差し上げます。違うアーティストのラジオはゲストが大滝です」といって、要するにAM、FMの、ここ10何年の、要するに、その、大滝さんがゲストで出演したラジオのエア・チェック、もちろん私の「新春放談」もたくさん入ってますけど、すごいですよ、これ。もっとすごいのは「巨人VSヤクルト」のナイターの解説まで、

大滝: フフフ。

山下: ちゃんとエア・チェックして持ってんの、この人。

大滝: レコード買って、そんなもんもらってどうするんだろうね?ハハハ。

山下: ハハハ。

大滝: 2時間半野球がずっと入ってるだけなんですよ、それ。

山下: すごいよね、でも、これ。

大滝: 驚いたね。

山下: うーん。

大滝: よく、こんな、私がないものもあるよ。

山下: だって、「FM中九州」ってなに、これ?FM中九州。

大滝: それ、中九州の好きなディレクターの人がいて、特集つくったらしんだ、ナイアガラの。

山下: これ、大滝さんは直接出てないわけ?

大滝: いや、出てない。後で送ってきた。よくそんなもん持ってたねー。

山下: だからね、

大滝: あと、あのー、売野の「リアル・リゾート」っていう番組なんかも、これも九州だけなのよ。

山下: へぇー。

大滝: 九州の人かね?

山下: 5週間出てんですね。

大滝: 出てんですよ。

山下: 全部ありますよ、これ、リストに。

大滝: すごいねー。

山下: どうして、しかしね、だから僕がラジオで何を言いたかったというとですね、

大滝: いやー、驚いた。

山下: 「EACH TIME」から、もう11年経ってるんですよ。

大滝: 経ちましたねー。

山下: 大滝さんのオリジナル・アルバムって11年出てないんですよ。

大滝: うーん。

山下: ねぇ。それなのにさ、「ナイアガラ関係LP」って、こんだけオークション・リストあるし、それから、「レコード・マップ」でさ、「大滝詠一」って索引があるっていうのは、いったい何なんだっていうさ。すごいですよね。

大滝: 出てないからでしょ?出ると、「パー」っとひくんだよ。

山下: そうかなー?

大滝: どう?

山下: そうかしら?

大滝: で、えー、お年玉。

山下: へぇー。

大滝: ナイアガラお年玉で、このリストを作った人はね、多分、かなり落胆されると思いますよ。

山下: なんですか?

大滝: えー、3月21日に、

山下: えぇ。

大滝: ナイアガラ・シリーズ、

山下: えぇ。

大滝: 例の、今年も出しましたが、

山下: はいはい。

大滝: 1500円の、

山下: はい。

大滝: 1500円のシリーズですけれども、

山下: はい。

大滝: えー、このオークション関係で、人気の一番高い、

山下: はい。

大滝: ところの、「SNOW TIME」、

山下: おー、ついに!

大滝: これをついに、

山下: ついに。

大滝: 1500円で、

山下: ヘヘヘ。

大滝: 売ることにしましたー。

山下: へぇー。

大滝: みなさん、欲しい方は300人ぐらいの方はいらっしゃるという噂ですけども。

山下: 業者の人が泣いてます。

大滝: でも、ただ、中古市場で値が上がるのは、言っときますが、私、個人の責任ではありません。

山下: フフフフ、念を押さなくたって。

大滝: だからよく、そのー、そういう、その「宣伝盤をつくるな」などと申しますけども、私はもう20何年間ずーっと宣伝盤をつくってまいりまして、宣伝をするためには、盤をつくる以外に方法はないし、昔からつくってるんです。「お前がそういう物をつくるから、市場が上がるんだ」って言われても、それはね、ちょっと違うと思うんですよ。

山下: フフフ。

大滝: ですから、

山下: そういうのつくるのが好きなんだもんね、それで。プロモ盤もね。

大滝: 前々からね。だから、山のように、昔つくってたのに、

山下: うーん。

大滝: 誰も「欲しい」って言わなかったんだよ、20年前なんて。

山下: そう、今更なんだっていうさ。

大滝: うん。だから、今、ドッサリあるんですよ、昔の見本盤なんか、うちに。

山下: フフフ、それ、

大滝: 嘘ですけどね。

山下: ハハハ。

大滝: もう、ありませんよ、そんなもんは。

山下: これ、だけど、EP見るとね、まだ、なかなか「この業者も甘いな」っていうね、

大滝: おー。

山下: シリア・ポールのシングルとかないもんな。

大滝: 来たか、ハハハ。

山下: やっぱりそれは一番近くでやってる人間が一番強いよな。ざまーみろ。

大滝: ハハハ、何なんだ、それ、一体!

山下: よくわかんない。

大滝: 何なんだよ、これ!

山下: ところで、それで、大滝さん、そのー、ほら、「ナイアガラ・ムーン」とか去年お出しになって、

大滝: 出しました、出しました。

山下: あれに関しては、来週ね、

大滝: えぇ。

山下: やりたいんですけど、

大滝: ほー、ほー、ほー。

山下: 続編はどうなってるんですか?

大滝: 続編は、

山下: えぇ。

大滝: えーっと、

山下: 「ゴー・ゴー・ナイアガラ」、「カレンダー」、

大滝: 来年は「ナイアガラ・ヴォックス」を出そうと思います。

山下: あー、そうですか?

大滝: えぇ。あと、「オール・アバウト・ナイアガラ」という本があってね、

山下: あー、ついに出るんですか?

大滝: それがありますけど、それを改訂版を、来年あたりには出そうと思ってますから。

山下: ふーん、なるほど。

大滝: えぇ。で、まとめて出ますんで、ひとつ。

山下: で、ですよ、

大滝: はい。

山下: そうなってくると、いよいよニュー・アルバム、オリジナル・アルバムをさ、

大滝: ふん。

山下: 「2001年ナイアガラの旅」じゃないけど、

大滝: の前に?

山下: えぇ、

大滝: 1枚出さないといけないという、

山下: 少し前倒しが、

大滝: ちょっとね、

山下: えぇ。

大滝: 景気もあるから、少し前倒ししなきゃいけないと思いますけども、

山下: そういう噂はないんですか?

大滝: えっ、アルバムですか?

山下: えぇ。

大滝: 出しますよ。

山下: 出しますか?

大滝: できたら。

山下: フフフ。

大滝: ハハハ。

山下: 再来年だな。

大滝: うーん、フフフフ。えー、どんなもんでしょ?いや、

山下: なかなか鋭い、

大滝: 「はっぴいえんど」の1枚目というのは、4日間でつくりました。

山下: フフフ。

大滝: もういい?もういいか。

山下: クックック。さて、それでですね、

大滝: はい。

山下: いきなりその、「はっぴいえんど」のライブが出たんですよね。

大滝: えぇ。

山下: URCがここんとこ、東芝EMIで、URCを獲得しましてですね、

大滝: えぇ。

山下: これは、だから、前にアナログで出たことがありますけど、当時はオフィシャルでは発表されませんのよね。

大滝: ふんふんふん。

山下: URCからはね。

大滝: そうです、そうです。

山下: で、「はっぴいえんどライブ・オン・ステージ」というですね、

大滝: うーん。

山下: 実に奇妙奇天烈な、

大滝: こんなもんがあったんですな。

山下: えぇ。で、これって、なかになんにも、デートもなんにも書いてないんですけど、

大滝: えぇ、えぇ、えぇ。えーっと、半分がね、「加橋かつみコンサート」っていう、

山下: なんだよ、その「加橋かつみコンサート」っていうのは?

大滝: なーんかね、あの人がだから、タイガースやめてソロになった時に、なんかあのー、やったんです。そん時にゲストだったような気がしたけどなー。

山下: 何がどれだか覚えてますか、これ?

大滝: えーっと、だから、「12月」から、えー、あっ、思い出した!これはですね、「ももんが」とか「空いろのくれよん」、「春らんまん」はですね、えーっと、日比谷の野音コンサートです。

山下: へぇー。

大滝: 72年の「風街ろまん」ができた頃。

山下: 記憶力いいなー。

大滝: はい。この日、調子よかった日、私が、ボーカルの。

山下: へぇー。

大滝: その日です、これ。

山下: なるほど。

大滝: この日、結構声出てます、自慢じゃないけど。これが一番で、この日がピークで、

山下: えぇ。

大滝: あとは、ずーっと落ちたんです。

山下: ハハハ、なんだそれは?

大滝: ですから、一番よかった時の声がこれですね。

山下: ということは、このCDに入っているのはすべて同じ日にちのものなんでしょ?

大滝: えーっと、どこだったかなー?えーっと、それは「かくれんぼ」まで。

山下: まで。

大滝: で、「いらいら」と「しんしんしん」が、その「加橋かつみコンサート」、

山下: 加橋かつみ。

大滝: で、「抱きしめたい」から「春よ来い〜アンコール」までが、これがえーっと、72年のそのー、中津川フォークジャンボリー。

山下: ふーん。

大滝: というもので、バラバラです。

山下: なるほど。その時に、

大滝: なんか書いてくださいよ、萩原健太さん。違うか。

山下: その時に録音したという記憶があるんですか?

大滝: あります。

山下: 録音されたやつですか。

大滝: うん、当時カセットで持ってたから。

山下: あー、そうなんだ、なるほど。

大滝: うーん。

山下: ちゃんと健ちゃん書かなきゃね。

大滝: ねぇ。

山下: 解説。

大滝: いや、でもなんかね、ここの再発のところに、予算がなくて、この程度ぐらいのものしかなかったというふうに、あのー、再発の人が言ってて。で、買ったファンの人が「何にも書いてねーな」と言って怒ってましたけども、私は関係ないですからね。

山下: そうだよね。

大滝: えぇ。これ、再発したのは、ここの東芝の人達ですから、

山下: なるほどね。

大滝: ずいぶん予算がなくて苦労したらしいですよ。

山下: 「予算ない」ったってね、こういうの文化事業なんだからさ。

大滝: 「もうちょっと、やってもいいかな」とは思いましたけどね。

山下: ねぇ。何か1曲かけてみよう、僕、これまだ聴いてないんですよ。

大滝: 聴いたことないの?

山下: 今日、初めて聴くんですよ。

大滝: なーにがいいんでしょうかね?どういうのがお望みですかね、これが?えー、

山下: いかようにでも。

大滝: いかようにでも、じゃあ「ももんが」、

山下: クック、あのー、まじめにやってくださいね。

大滝: ダメか。じゃあ「空いろ」ですかね、「春らんまん」?

山下: 「春らんまん」ね。

大滝: も、あんまりおもしろい曲じゃないから、

山下: 「空いろ」ですか?

大滝: 「空いろのくれよん」かなー?

山下: スチールの入ってない、バンド・バージョンってのも、いいですね。

大滝: あのー、そうそうそう。スライド・ギター、ギターを横にして、初めて茂が弾いたっていう。

山下: へぇー。じゃあ「空いろのくれよん」いってみましょうか?

大滝: 音はずしてたからなー。

 曲:

はっぴいえんど/空いろのくれよん

山下: えー、曲がかかってる時に、いろいろ大滝さんに話を伺いましたがですね、このジャケットの見開きのとこに写ってる写真で、後ろを向いている人は岡林信康さんだそうです。

大滝: 岡林さんのあれですね。最後のコンサートかな?ちょっと、写真は覚えがあるんだけど。

山下: ふーん。この時は、えーっと、大滝さん、24才になったばっかりの歌声だそうです。

大滝: 24才でしたね、えぇ。初めて「空いろのくれよん」をステージでやった日。

山下: あー、そうなんだ。

大滝: うん。要するに、まぁ、「風街ろまん」の発表記念みたいなやつだったんですよ。

山下: ふーん。「風街ろまん」発表直後のあれですね。

大滝: はい、直後で。で、茂は曲を知らなかったんじゃないかな?

山下: フフフ。

大滝: 結局、ほら、レコーディングは駒沢のスチールでやったから、

山下: そうか、そうか。

大滝: 茂が入ってないんですよ。

山下: なるほどね。

大滝: だからギターを横にして、初めてコードに合わして、「スライドもどき」をやってるっていう感じかな。

山下: そういう時は、本人も来ないんですか、スタジオには?

大滝: あの、いやー、なんかいたのかもしれないけど、フフフ。

山下: ハハハ。あの、いわゆる「はっぴいえんど」っていうのは、

大滝: えぇ。

山下: 未発表曲ってないんですか?

大滝: 結構、というよりも、少しはあるんです。で、細野さんの「風をあつめて」っていう、有名なね、

山下: えぇ。

大滝: 曲の、前のバージョン、詞も違うし、曲も違うし、録音も違う、歌も違うっていうのが、オクラになってる。あと、細野さんは結構オクラ多いですよ、あの人。

山下: あー、ほんとに?

大滝: うん。何曲か、まるまる詞曲のものもオクラにしてるし。

山下: それ、ちゃんとレコーディングしてオクラになったの?

大滝: して、オクラになった。デモ・テープ段階のオクラもあるし、

山下: へぇー。

大滝: で、そういうのありますね。だから、あとは、まぁ、何度も録り直したものとかね。「12月の雨の日」みたいにバージョンがいっぱいあるとか、

山下: あの、他にも、二つのほかにもあるんですか、シングルとアルバムの他にも?

大滝: あのー、幻の「吉田保オクラ・ミックス」っていうね、

山下: へぇー。

大滝: それがあって、それは完全に2チャンで、しっかりした音で残ってますけど。

山下: あー、そうですか。

大滝: えぇ。

山下: そういうの、ボーナス・トラックに入れればいいのにね。ああいう、例えば、「ゆでめん」のさ、あれとかさ。

大滝: というふうに言ってくるんだったら、そういうふうにとも思ったんだけどね。

山下: だよね。なんか、ちょっと、

大滝: ちょっと、だから、マスター、

山下: 納得できないの?

大滝: 「コンピレーションがなんか半端かな」といつも思うんですけど、

山下: そう思う。

大滝: なんか、向こうは向こう側のあれがあるみたいで、私は一切関わっておりませんので、

山下: あー、そう?

大滝: ひとつ、えぇ。これは。

山下: こういうのは、だから、ほら、やっぱりオーナーのさ、胸先三寸というか、

大滝: うん、なんかね。

山下: もうね、

大滝: 結局だから、原盤というのは、だからもう、持ってる人のあれになってしまうから。だから、いかに、ねぇ、なんか貫き通すためには、「そういうところも持ったりしなければいけないか」というようなことも将来的にはありますけどね。

山下: どうせ出すんだったら、もうちょっとさ、

大滝: と思うんだけどなー。

山下: ねっ。

大滝: 「どうして言ってこないんだろな?」と思うんですけどね。でも、だから、私が関わると、あのー、制作費がかさむとか、そういうような神話があるから、言ってこないんじゃないですか。

山下: だけど、売れればいいじゃん、それで。絶対それの方が、だって、枚数が出るというか、変な言い方だけど。

大滝: うーん。

山下: やっぱり解説書があるのとないのじゃ、全然違うから。

大滝: と思うんですけど。

山下: ねっ。

大滝: まあ、でも、私のだけじゃなくて、他にもみんなメンバーがいるから、

山下: えぇ。

大滝: あとは、「メンバーの全員の統一した意見をとって歩いたりするのが面倒だ」とかいうようなことが、もう、担当若い人だから。

山下: うーん、なるほど。

大滝: 「とかいうようなこともあるのかな?」という気がしますけどね。せっかく、でも、聴いてる人にはね、

山下: ねぇ。

大滝: もう少し、あのー、まとまったコンピレーションした方がね、親切だと思うんだけど。

山下: だって、これ、なんか何度も出すようなもんじゃないじゃないですか。

大滝: ないと思いますけど。

山下: このチャンスでさ、まとめて出るから、あれね、

大滝: そう。

山下: 出せるわけで、

大滝: もう2度目ないんだけど。で、「もし、これがよかったら次にしよう」みたいなことを、だけど、ホントはないんだよ。

山下: そうですよね。

大滝: 2度目なんて、絶対に。

山下: フフフ。

大滝: うーん、なんだけどね。

山下: だから、やっぱり、あのー、例えば、ほら、たとえ1500円の旧盤といえどもさ、「ナイアガラ・ムーン」とか、ああいうやつはちゃんと、要するに、きっちりあれして、ボーナル・トラックもあって、

大滝: うん。

山下: あれすれば、やっぱり、あれで少なくとも、むこう10年はもつわけでしょ。

大滝: うん、もちますね。

山下: きっちりさ。

大滝: うん。

山下: それで、あれがどうやって出たんで、それで再発になった時には、どういうコンディションになったかって、ちゃんとあるし、

大滝: うん、ある。

山下: ベスト・コンディションな訳じゃない?値段とは関係なしにさ。

大滝: うん。

山下: そういう具合にやればいいのにね。

大滝: と思うんですけどね。

山下: ねぇ。

大滝: 「はっぴいえんど」なんかは、もうちょっと、ちゃんとしなきゃいけないのに。グループ物は難しいんじゃないですかね、だから?まあ、だから、ナイアガラの場合は、もう、なんせ、オーナーとプロデューサーが自分で原盤を持ってるっていうようなことも含めて、何をやっても誰にも文句を言われないし、

山下: なるほどね。

大滝: だから、「これを入れる」とか、「入れない」とか、「これは未発表にしよう」とか、「なにしようとか」っていうようなことが、

山下: あー、なるほどね。

大滝: グループの場合だと難しいんじゃないですかね?

山下: 特に「はっぴいえんど」なんかは、

大滝: うーん。

山下: 要するに割と、民主主義的というか、

大滝: そうそうそう。

山下: みんな平等でやってるからね。

大滝: 「誰かがリーダーで」っていうもんじゃないからね。

山下: シュガー・ベイブなんか、全部事後承諾ですもん、僕。

大滝: ねぇ。

山下: えぇ。フフフ、だってやりたいだけだったから。

大滝: ねっ。

山下: だけど、そんなの、そんなのっておかしいけど、いちいち、そういうほら、全部やってたら、それこそホントに時間とカネかかっちゃうから。

大滝: 結局出ないしね、そういうことやってると。

山下: うん、そうなんですよね。

大滝: うーん。

山下: なかなか。

大滝: 難しいものがありますけどもね。

山下: 来週は、そういう訳で、ナイアガラの95年に出たリマスターのすばらしい音質で、

大滝: いよいよ。

山下: えー、ぜひ、私、トライアングル、久しぶりにあれ聴いて、「いい音してるな」と思いましたけどね、えー、そういう、

大滝: トライアングルの、じゃあ、トライアングルがちょうど、だから、今年で20年目ということになりますから。

山下: 20年目ですよ、ちょうど、だから、1月でしょ。

大滝: ねっ、レコーディングやってたのがね、あの頃のちょうど。

山下: なんか長いような短いような。

大滝: うーん。

山下: いろんなあれがありますね。えー、来週もそういう訳で、ひとつよろしくお願いしまーす。

大滝: よろしくお願いいたします。

山下: お送りいたしてまいりました「山下達郎サンデー・ソング・ブック」、えー、毎年、新春恒例の大滝詠一さんをゲストにお招きいたしまして、「新春放談」。まずは第1週目終わりでございます。えー、今週は割と、そうしたオールディーズの話題でいきましたけども、来週は1995年に発売されましたナイアガラの初期のカタログ「ナイアガラ・ムーン」、「ナイアガラ・トライアングル」、そんなものに関してのちょっと裏話的な、私もだいぶ関わりました者なので、そうした裏話的なものを中心に初期のナイアガラのレコード、CDをかけながら、いろいろといってみたいと思います。来週も引き続き、ぜひ、お聴きください。えー、今日はそろそろお別れのお時間でございます。来週のこの時間まで、「ジャックスカード・サンデーソング・ブック」、またセイム・タイム、セイム・チャンネルでおめにかかります。来週のこの時間までみなさん、ごきげんよう、さよなら。

 いやー、やっとできました。これまでの最高文字数のようです。前回の更新から1ヵ月以上。一部のみなさん、お待たせしました。
 さて、番組中で話題になった名古屋の中古レコード店ですが、私もかつてはリストを取り寄せたりしていました。実は、大滝さんが「よく持ってたね」とおっしゃっていた「FM中九州」、売野さんの「リアル・リゾート」は、私がダビングしたものだったんです。話題になったリストのひとつ前のリストから、あのようなプレゼントが始まりました。その時に、私が持っていたテープと、そのリストにあったテープを交換したんですが、そのテープがあんな形でリストに掲載され、商売の元として利用されて以来、その店とつきあうのをやめました。大滝さんも、暗にその店を「ナイアガラ・ブローカー」と「アミーゴ・ガレージ」に書いてて、かなり気を悪くしてらっしゃったようで、私も「悪いことをしたな」と反省していました。
 また、番組中「『プロモ盤を作るな』とか言われる」というようなこともおっしゃってますし、「SNOW TIME」のライナーにも「『そんな宣伝盤は作るな!』などとシロートさんから言われたりする世の中になってしまいました。」と書いてらっしゃいますが、私、この年か前年の新春放談に同様のハガキを出したんです。もちろん、「面白く書けば取り上げられるかもしれない」という意識があり、「生活が苦しいから」とかいう理由を書いていたと思います。
 そんな訳で、この回は、「SNOW TIME」が発売されるというビッグ・ニュースがあったにもかかわらず、ブルーな気持ちになった新春放談でした。

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