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1997.1.12 サンデー・ソング・ブック

山下: みなさん、こんにちは。ご機嫌いかがでしょうか?山下達郎です。毎週、日曜日午後2時からの55分間は、私、山下達郎がお送りいたします「ジャックス・カード・サンデー・ソング・ブック」の時間であります。東京FMをキー・ステーションといたしまして、全国35局ネットでお届けしております。えー、だいぶ1月もなかばになってまいりまして、やっと正月気分も抜けた頃かと思いますけれど、私はですね、ちょっと年始に、遊び半分、ちょっと用事半分でですね、ロサンゼルスに行ってまいりまして、またレコード屋に行ってしまいましたのでですね、去年の暮れに、末にですね、11月にロンドン行きまして、買ってきた分とあわせて、かなり、そういうものがですね、アイテムが溜まっております。1月の終わりの方はですね、「棚からひとつかみ」でたっぷりとご紹介しようと思っておりますが、えー、毎年、年始に恒例の、お正月恒例の「新春放談」。大滝詠一さんをゲストにお招きいたしまして、いろいろとくっちゃべる、そういう催しでございますけれど、今年も先週に引き続きまして、第2回目でございます。先週はしゃべってばっかりいましたので、今週は少し「音」関係かけてみたいなんて思っております。今日も大滝詠一さんと、何の話が飛び出しますか、お楽しみに。

山下: っう訳で、1月も2周目になりました。今週も大滝さん、よろしくお願いします。

大滝: よろしくお願いいたしまーす。

山下: それでですね、えーっと、去年、ナイアガラ・トライアングルのあれをかけた時にですね、いわゆるナイアガラ・トライアングル・ヴァージョン、

大滝: おお!

山下: シングル・ヴァージョン。「幸せにさよなら」の3人で歌ってるやつね、それの私が始めから終わりまで歌ってるヴァージョンをですね、

大滝: はいはい。

山下: 今年は持ってきていただけるというですね。

大滝: 持ってまいりましたよー。

山下: リクエスト、ちゃんとありますね。新潟県のセキグチサトミさん、岡山市のマツシマユキさん、えー、いただきましてですね。

大滝: ちょっとリクエストハガキが少ないからやめようか。

山下: いやいや、その他たくさんの方から、いただいて、ハハハ。

大滝: ヘヘヘ。

山下: 全部読み切れないんだもん、だって。

大滝: うまいね、フフフ。

山下: よくある話じゃないですか。さっき言ったばっかりじゃないですか、ハガキが、ハガキってのはなくなるもんなんだって。

大滝: フフフ、何一人で言ってるんだよ、フフフ。

山下: フフフ、えー、いや、考えてること突っ込まれると辛いというですね、よくあるじゃないですか。

大滝: これはね、いいよ。

山下: そうですか?

大滝: うん。あれだよね。あのー、気抜いて歌うことないからいいよね。あのー、軽く歌ってるんだけど、

山下: ふん。

大滝: 君の場合はしっかりフォーマットできてるっていうかさ、あのー、ほんと軽く歌ってるんだけどムラっ気がないっていうか、やっぱり一定して歌うから、

山下: あー、そう?

大滝: ものになるよね。

山下: フフフ、ものになるって何、それ?

大滝: 私のヴァージョン、なんか全然だめなんだよ。

山下: ああ、そう?

大滝: 知ってんじゃん。ムラっ気多いからさー、

山下: そう?フフフ。

大滝: もうどっかのとこでだめになると、もう、ずーっとだめでさ、もう、やる気なくなると、もうずーっとだもんね。

山下: そういうのって完全主義者って言うんでしよ?

大滝: うーん。

山下: だから「あー、だめだー」って、

大滝: 「だめだっ!」って思うともうだめ。

山下: そこで終わりでしよ?

大滝: そうそう、終わり終わり。

山下: だから愚かなものはそこで立ち直ろうとするんですよ。

大滝: なんだい、それ。

山下: フフフ。

大滝: 何が愚かなものだよ。

山下: 僕、実を言うと、だから、一度も聴いたことないですからね、これ。

大滝: ずっと最初から最後までね。

山下: えぇ、聴いたことありませんよ。

大滝: 1回歌ったきりだけだよね。

山下: そうそう。覚えてもいませんしね。

大滝: うーん。これはね、けっこう。

山下: あっ、そう?

大滝: で、すぐかけるのもなんだから、長々とこれから30分くらい伸ばそうか?フフフ。

山下: グッ!フフフ、それは性格悪いと思いますよ、僕は。えー、そういうわけで、山下達郎ひとりの「幸せにさよなら」?

大滝: あー、あのね、サビはね、

山下: えぇ。

大滝: 歌わなかったんだ俺達。

山下: あー、そう?

大滝: うん。サビ歌ってないからね、突然サビからね、

山下: 銀次になるのね?

大滝: 銀次。おぞましい銀次の声が出てくる、フフフ。

山下: あー、そうか!そうだ。サピは銀次がひとりで歌うって初めから決まってたから。

大滝: そうなのよ。適当に歌っときゃよかったんだけどね。

山下: もうなんか、フェリーニの「ローマ」じゃないけど、地下15メーターから発掘されたフレスコ画っていう感じがしません?

大滝: フフフ、でも最近つくったもんじゃないかっていう噂があるけどね、ハハハ。

山下: ハハハ、そうか、言わなきゃわかんないんだよな。

大滝: まっ、そこだよ。ナイアガラもだいたいそんなもんだよな。

山下: ちょっと回転早くして録っときゃいいんだもん。若い声になるんだ。ひでー、フフフ。そろそろいってみましょう、じゃあ。

 曲:

山下達郎/幸せにさよなら

山下: 思い出してきました。これはね、銀次が先に歌ったテイクを聴きながらやったんですよ。まずそれを聴かせてもらって、で、あそこをハモろうとか、

大滝: あー、そうか。

山下: あれしてて。初めはおそるおそる裏声でやってたんだけど、だんだん慣れてきてケツは地声になってるんですよね。

大滝: うーん、そうそう。

山下: だから歌い出し、完全に銀次の真似してやってるんですよ、僕。

大滝: 真似してるよね。

山下: 思い出しましたよ。

大滝: ほとんどあんまり覚えてないんだよね。1,2回聴いて歌ったんだよね。

山下: 全然、覚えてません。

大滝: いや、そうなんだよ。

山下: で、1回しか歌ってないですもん。

大滝: 私もそうなんだよ。君もそうなの?

山下: フフフ、全部そうなんだ。仮歌以下ですね。

大滝: 一生のうち、1回しか歌ってないんだよね、フフフ。

山下: そうなんですよね。曲聴いたのもその日初めてだし。

大滝: そうなんだよ、フフフ。

山下: ひでーなー。

大滝: それでもだって、ちゃんとこのまま出したって、新曲だっていいじゃない、これ、ね。

山下: グッ!あのー、ハーモニカのソロがなんか、初め吹き出しおんなじなんだけど、だんだん違ってくる。

大滝: はいはい、あれはテイク違い。

山下: あのー、ラバクーみたいなあれで。

大滝: テイク2。

山下: そうなんだ?

大滝: うん。後半の銀次のギター・ソロもオリジナルには入ってない。

山下: 入ってませんよね。

大滝: ちゃんとね、その辺は考えてミックスしてるんだから。

山下: フフフ。これ、「CD化してください」とか、きますよそのうち。

大滝: くるだろうけどね。

山下: フフフ。

大滝: 3人ぐらいだろうな、喜ぶのは。

山下: いえますね。

大滝: あっ!君のソロだからいいじゃないのよ。

山下: そうですね。

大滝: うん。

山下: じゃ、ボーナス・トラック。

大滝: 入れよう、ボーナス・トラック。

山下: フフフ、山下達郎レアリティーズ?

大滝: そうそうそう。

山下: 何を言ってる。

大滝: スペシャル・サンクス伊藤銀次だよね。歌い直したって、ちょうどあれはサビぐらいなんとかなるしね。

山下: そうだね。

大滝: ステレオなるしね。いいんじゃないの?そっちの方がいいな。

山下: フフフ、声が若いよな。で、大滝さんのヴァージョンっていうのはないんですか?

大滝: あるんだけどね、これがひどいんだよ。

山下: なんで?

大滝: キーがね、1音高いのよ、君達と。

山下: はぁはぁはぁ。

大滝: だから、全然キーがあわなくて、適当に自分の声が入ってるっていうだけなんだけど、ひどいんだよ。だから言ってたじゃん。「突然私のとこだけ景色変わる」って。

山下: ハハハ。

大滝: 最初っからああいう歌いだしなんだよ。

山下: ほー。

大滝: 来年、今年、最初の節だけやってもいいけどね。

山下: あー、ちょっと、最初の節だけ。

大滝: やる?

 曲:

大滝詠一/幸せにさよなら

山下: これが途中でしぽっちゃうんだな、これが。これ大滝さん、26?

大滝: 6、うん。

山下: 俺、22だもんな。

大滝: で、こう、まったく違うじゃない、色合いが、君のあれと。で、これがさ、あのー、ふたりのユニゾンでやってみると溶けるっていう。

山下: へぇー。

大滝: これ、いこうよ。

 曲:

大滝詠一・山下達郎/幸せにさよなら

山下: ほんとだ、ダブル・ヴォーカルみたい。

大滝: だからさ、

山下: 不思議ですね。

大滝: 1個ずつ聴くと違うんだよ。だから、違うんだけど、

山下: テイストがおんなじなんですよね。

大滝: おんなじなんだろうね。

山下: 一瞬、どっちがどっちだかわかんなくなる瞬間ありますもんね。

大滝: なんか、だから、なるんですね。

山下: フフフ、不思議ですね。

大滝: 不思議だよね。これはぴっくりしちゃった。自分でやっててぴっくりした。

山下: セルメン状態。

大滝: フフフ。

山下: ザ・ピーナッツ状態。

大滝: これはね、なるんだねぇ。

山下: へぇー。なるほど。

大滝: だから、おなじようで、違うようでいておなじって、あのー、細野さんが血縁じゃないかって疑ったっていう、フフフ。

山下: いや、だって、僕の母がね、「おまえの声にほんとにおんなじだ」って言ってた。

大滝: うーん。

山下: 母親が言うぐらいですからね。

大滝: いや、私の母もよく言ってたけどね。

山下: あー、そうですか。

大滝: 前、CM交替で歌ったときがあったでしょ。

山下: あー、あー。

大滝: あんときは「わかんなかった」っつってたからね。ありましたねー。

山下: まぁだけど、やっぱりほら、日本語の発音の仕方っていうの?結局、要するに僕らにとってのメソッドってのは「はっぴいえんど」しかなかったから、そのやっぱり、発音の仕方が生む、やっぱりヴォーカル・スタイルっていうのは必然的にそういう具合に決まってくるから。大滝さん、けっこう決めた部分あるからね、それね。あの当時ね。

大滝: うん。

山下: だから、それやっぱり、そのまっただ中なわけだから。ま、そういう問題だけじゃないんだけど。

大滝: だけじゃないと思うけどね、やっぱり。伊達藩なんだと思うけど。

山下: 3人ユニゾンで、あれ浮いてたの、銀次なんだ、ハハハ。

大滝: 銀次なんだ。銀次は浮くんだよ。どうもね。話す声と一緒だからね、あの人は。

山下: だけど大滝さん、これ26の時の歌でしよ?

大滝: うーん。

山下: なんちゅうかさ、なんとも言えずさ、このさ、悪い言い方じゃなくて、老成してるっていうかさ。

大滝: ふーん。

山下: 今の26の子、こんな歌い方しないよ。

大滝: ふーん。

山下: なんかあのー、だから、40年代のシンガーって、20代になるとこのぐらいのさ、要するにその老成した表現力ってのをさ、結構あれしてたけど。今の子はこんな歌い方できないし、すっごい、だから、ここでもうできあがってるじゃないですか、26の時に。

大滝: いや、だから、できたのに、「ロックン・ロールお年玉」歌ってた訳。

山下: あー、なるほどね。

大滝: わかってたのよ。こうなるだろうっていうの。わかるとさー、やりたくなくなるんだよなー。

山下: うーん。

大滝: で、なんだけど、それで一生終わってさ、俺はわかってたんだぞっていうふうなのは、そういう人生は送りたくなかったから1回証明したんだよ。1回証明すりゃもういいじゃん。

山下: 逆にそういう大滝さんの、もうちょっと、ロックンロールを聴きたいっていうのがさ、あったじゃないですか、随分長いことさ。

大滝: そうね。

山下: ね。もう1回「春よ来い」みたいな曲書いてくれとかさ。

大滝: あー、書けとかね、今だに。「はっぴいえんど」みたいなのそのまんまやりゃあいいのにとかね、

山下: ねぇ。

大滝: よく言われるけど、あんときに言ってほしかったね、フフフ。

山下: ヘヘヘ。

大滝: この頃、だから、こういうのできたからね。あえてやる必要もないっていうふうに自分で思ってたっていうのもまぁ、そう言っていただけると非常にうれしいですけどね。

山下: だけど、不思議と、このー、なんて言うのかなー。オケも曲もね、銀次の曲だけど、飽きこないですよね?

大滝: なんだかねぇ。

山下: ねぇ。オケのグルーヴもさ、不思議ななんかこうさ、普遍性があるっていうかね。

大滝: うん。トライアングルの中でこれを一応代表曲っていうふうにさ、3人の共通項、あのー、最大公約数を選んだっていうのはまぁ、間違いじやなかったような気がするけどね。

山下: 写真撮る日が1日前だったもんね、ヘヘヘ。

大滝: 失礼致しました、どうもね。まったく。

山下: だって大滝さんだって知らなかったんでしよ?大滝さんだって。

大滝: 知らないんだよ。

山下: 全員知らない。

大滝: もうね、あの頃って、なんか、いつ写真撮られるのかってわかってないし。

山下: ですよね。

大滝: うん。で、その写真がどういうふうに使われるかっていうようなことも、まったく考えてなかったっていう。

山下: フフフ、それがジャケットに出るかっていう。あれしかし、ジャケットあれでOK出す人も出す人だよね。

大滝: 出す人だよね。ちょっと考えてほしいよね。

山下: でしょ?

大滝: だって、世の中に出るんだからさ。

山下: ねぇ。

大滝: ちょっとぐらい考えてよね。ひとこと。

山下: 信じらんないですよね。

大滝: ねぇ。

山下: 今だったらさ、それ、もしその日に撮るんだったら、行ってさ、スタイリングなり、なんなりあってさ。だけど、なんにも、撮って、裏も表も、フフフ。

大滝: 私なんかあれだよ、レコード袋にされたんだからね、そんなもんで。

山下: ハハハ、あの写真がね。

大滝: そう。

山下: チャカ・カーンの裏でね、ルーファスの裏か。

大滝: フフフ。ちょっとね、ひとこと、ひとことそういうふうに使うんだったら、まぁ、言ったんだろうけどね、忙しいから聞いてなかったってこともあるような気もするけどねー。

山下: だけど、それを袋にするデザイナーが、「ほんとにこれでいいのかな」と思わなかったんでしょうかね?

大滝: まぁ、だから、あれ見て「買うのやめた」っていう人、ずいぶんいたみたいだからね。

山下: フフフ。

大滝: まぁ、かえってよかったって気がしないでもないけどね。

山下: ハハハハ。すごい時代でしたね、そう考えるとね。

大滝: まぁね。まぁ、どうせ、でも聴く人間はいないんだからっていうふうに思ってたからね。ほんとに思ってたよ。だってそうでもなきゃ、ああいうレコードぱっかりはつくんないもん。

山下: フフフ。だけど、やっぱりさ、ピーター・バラカンがね、あのー「LET’S ONDO AGAIN」聴いて、「すごいな」って思うすごさってのは、絶対あるからね。それは、あれはあの時代っていうかさ、あの状況じゃなきゃ絶対、大滝さん自身だってつくんないじゃない。

大滝: あれは自爆したんだから。

山下: だけどあれは、

大滝: 要するに、終わるつもりだったから、ああいうふうに雪崩込んでいったんだけどさ。

山下: だけど、俺はあれはけっこう感動したよ、俺も。「これはすごい」って。フフフ、だけどさ、なんだっけ?「呆阿津怒哀声音頭」のね、

大滝: うん。

山下: あの、演奏だけ聴いてもすごいんだけど、あの漢字の歌詞カード?

大滝: うん。

山下: すごいさ、意外と、俺はあれはけっこう狂気があって好きなんですよね、今でも。

大滝: あの漢字はね。あの漢字は私、自信作なんですよ。あれが一番じゃないかなと思うんだよね。

山下: ハハハハ。

 曲:

呆阿津怒哀声音頭/越蘭ジミー(フェード・アウト)

山下: ハハハ。

大滝: 半年かけたんだからね、あの漢字探すのにね。漢和辞典と首っぴきで。

山下: フフフ。

大滝: あれはすごいよね。あれ、かなりのことを明治近代言いあててるよね、あれは。

山下: だけどそれ、全然、なんつうの?疲れてたらできないじやないですか、それ。だから、ミョーにさ。

大滝: だけどあれだよ。あのー、売れないとかさぁ、スタジオ閉鎖するとか、そういうような一般的なそういうことはあったけど、普段の状態は何にも変わらなかったよ。

山下: たしかにね、うん。

大滝: なんか普通。おんなじだよ、ずっと。

山下: そうですね。

大滝: うん。べつに、こう、

山下: だからそれでヒステリーになったとかそういうの、ないですもんね。

大滝: ないもの、だって。

山下: なんか、物投げたとかさ。

大滝: とかいうこともなんにもないもの。

山下: ありませんもんね、たしかに。そりゃそうですね。

大滝: 非常に気楽に、音楽作りに関しては非常に気楽にやってたからね。

山下: たしかにそうですね、フフフ。

大滝: もうだから、ほんとに、あそこで、まぁ、何度も繰り返して申し訳ないけどね、「LET’S ONDO AGAIN」で終わってたらね、本物のなんか、あのー、エド・ウッドみたいな存在に、

山下: エド・ウッド、ハハハ。

大滝: なってたんじゃないかなー。そっちもよかったかなって思うけどねー。

山下: あー、いいな。

大滝: どうですかねえ?

山下: はー、涙出てきちゃった、ほんとにもう。

大滝: ほんとにもう。

大滝: 新譜出てもあんなもんだよね、だいたい。

山下: ヘヘヘ。逆にああいうの、もう1回つくってみたいと思いません?

大滝: うーん、っていうか、なんか、みんなといっしょだったらって感じかなー。

山下: 逆にああいう諧謔的なものっていうか、いわゆる、ああいう、あれはコミック・アルバムじゃないけど、

大滝: うーん。

山下: ああいう寝技なアルバムつくるとしたら、どういうのやりたいですか?今、逆に。

大滝: いや、もうだめだ。

山下: あっ、そう?

大滝: あのね、

山下: マジになっちゃってる?

大滝: うん、っていうか、そうじゃなくて、落語もね、正蔵さんがいいもの。

山下: フフフ、あー、そう?

大滝: だからね、半端なくすぐりがもう、あのー、余計になってきた。

山下: ほーん。あー、そう?

大滝: だから、それを枯れたっていうなら枯れたでもいいけど、あのー、

山下: チャップリンみたいになってますね。

大滝: だから、もう、要するに落語と講談との境目がだんだんなくなってきてるって感じかな。

山下: うーん、なるほどね。

大滝: 要するに、話を聞くっていう、人の話を聞くっていう意味合いにおいては同列だからさ。

山下: うん、そうですよね。

大滝: 浪曲、講談、落語、みんなそうだろうし、お坊さんの説法とかさ、そういうのも。

山下: 与太郎話よりもやっぱり。

大滝: うーん、もうなんか、だから、話の中に、あのー、半端なくすぐりが入らない方が、「普通に話を聞いてる方がよい」っていうような、やっぱ50も近くなるとそうなるのかね?

山下: フフフ。

大滝: 昔は正蔵さんの話って退屈だったからね。

山下: ぐっ。たしかにね。それがよくなってきたんだ。

大滝: うーん、なんかね。そういうような心境の変化が少しづつ。

山下: なるほど。

大滝: うーん。

山下: だけど、始めたらやるだろうね、きっとな。

大滝: まぁね。そういうね、もう、なんか、血だからね。

山下: うーん。

大滝: ついつい。

山下: そういうレコードっていうのが減ってるそうなんですよね、でも。

大滝: いやー、でも、コミックとか、いわゆるあのー、今年のね、春先ぐらいに、高田文夫さんが出す本、出すっていうか、なんていうの?あのー、著、

山下: 編?

大滝: 編か。いろんな人たちを集めた本でね、

山下: えぇ。

大滝: そのー、喜劇、笑いについての本が出るんだけど、その中にあのー、いわゆる、コミック・ソングの部の担当をしたのよ。

山下: えぇ、えぇ。

大滝: それにちょっと、あのー、いわゆる、どういうものかっていう、日本でコミックっていうものが、まぁ特別なものに、要するに金語楼さんのようなものとか、ま、ここで笑ってくださいとか、この人はおかしい人ですっていうような感じのコミックでずっととられてきたんだけども、「ほんとの意味合いではそうじゃないんだ」っていうようなことを書いてるんでね、それを読んでいただけると、

山下: うんうん。

大滝: あのー、「なるほど、彦六の方にいったのか」っていうのがね、ハハハ。

山下: それ、いつ出るんですか?

大滝: えー、3月か4月ぐらいに出る予定なんですけどね。

山下: それじゃあ、複数ライターなんですか?

大滝: そう、いろんな人達が。

山下: 高田文夫さんが監修した。

大滝: 監修したっていう形で。

山下: なんていう本なんですか、それ?

大滝: 「江戸前で笑いたい」というものらしいんだけどもね。

山下: ふーん。

大滝: そういうような中に、その、コミック・ソングについて書いてるんだけど、いわゆる、だから、以前あったような、そのー、「さいざんす・マンボ」とか、「カックン・ルンバ」とか、ああいうようなタイプのものっていうのは、求められてないっていう言い方は変なんだけども、

山下: うーん。

大滝: コミックに対する概念が変わったっていうのでもないんだけどもね。

山下: うーん。

大滝: だから、僕はだから、あきれたぼういずとスマップを同じ位置に考えてるんですよ。

山下: なるほどね。

大滝: だから、人気があったんだし、ただ笑いだけで人気があった訳じゃない訳だから、今で見ると、あのー、あきれたぼういずなんか諧謔性っていうことだけからとってるかもしれないけど、すごい人気もあったっていうことだから、そういう意味でいくと、スマップなんてのは、だから、あきれたぼういず、ぼういず物なんだろうっていうふうに考えていくとね、

山下: 逆に変な話ですけど、ダイヤモンズなんて、今、ドゥ・ワップのグループだけど、半分リリオ・リズム・エアーズ、モロですよね。

大滝: あー、そうそうそう。

山下: マジとあれの両方あるから成立してるっていうね、ファクターね。

大滝: あー。

山下: なしには語れませんもんね。だから、それは今はもう、そういうの忘れられちゃってるから。

大滝: フレディ&ドリーマーズなんてのももう、

山下: そうですよね。

大滝: ドリフターズのようにコミック・グループだったっていうようなこととか、タートルズなんかも、

山下: そうですね、タートルズも完全にお遊びですもんね。

大滝: 今はビデオ見ると、お遊びだっていうようなこととか、そういうのも忘れられて音楽だけ残るとね、

山下: そうですね。

大滝: そういう背景がわからなくなってるんだけども。まっ、そういうようなことで、ひっくり返して見てみれば、あのー、スマップもあきれたぼういずなんだっていうのは、そんなに飛躍じゃないと思うんですよね。

山下: なるほどね。それはすごくよくわかります。

大滝: うーん。

山下: いわゆるさっきのトニー谷さんのレコードとか、例えば三平さんのレコードとか、笑いをとろうと仕組んでやってる作品っていうのは、今聴くと古く感じるんですよね。

大滝: そうなのよ。

山下: なんですけど、その、本人は大マジメ、まさにエド・ウッドじゃないけど、

大滝: うーん。

山下: 本人大マジメなんだけど、見てる方からそれがおかしくてしようがないっていう方が結局、要するに普遍性があるっていうか、

大滝: なんかね。

山下: 歴史の試練に耐えてるっていう、すごく皮肉な、それもね話ですよね。

大滝: 東京ビートルズなんかがあんなに笑ったっていうのはね、

山下: ヘヘヘ。

大滝: 非常に皮肉なあれなんだよね。

山下: そうですよね。

大滝: 笑っていいんだか悪いんだかっていうようなものって。

山下: だけど「LET’S ONDO AGAIN」っていうのはさ、

大滝: あー、あれはもう、意図の、

山下: 笑いをとろうと思ってやってるんですか?

大滝: そうですそうです。あれはもう、自分で。だから北海道新聞の人か、誰だったか、まぁ「カレンダー」の時からよく言われて、例の「才に溺れた」っていうふうに書かれてね。

山下: なんだい、それ?

大滝: 溺れるだけの才があったというふうに認めていただいて、ありがたかったとは言い返したんだけども。

山下: ふーん。

大滝: なんか、でも、才気走ってることは確かですね。

山下: うん。

大滝: で、まっ、話はあれなんだけど、川島雄三って映画監督がね、

山下: えぇ。

大滝: 前々から好きだったんだけども、「しとやかな獣」ってのがあってね、すっごい、今観て、再見に耐えうるんですよ。

山下: うん、僕も好きです。

大滝: めちゃくちゃ近代的なんだけども、やっぱり、その、才気走ってるところで、観た後に疲れるんだね、やっぱり。

山下: うーん。

大滝: あのー、彼の、例えばそのー、「洲崎パラダイス」とか、ああいうような普通の「のれん」なんてのも、普通の映画もちゃんと撮って、普通にやれる人間なのに、そのー、才気を前面に押し出したものは近代的っていう意味合いでいくとすごいんだけど、

山下: だけどそれはやっぱさ、

大滝: どっかでくたびれるんだよ。

山下: 本人が恣意的にやってるんでしよ?

大滝: やってんだよ。

山下: わかってないでやってるんじゃなくて、

大滝: うーん。

山下: わざとそうしてる訳じゃない。

大滝: うん。まだだから、そのー、わからないでやった人の疲れとは違うんだけれども、どっかに疲労感が残るな、やっぱり。意図って。

山下: ハハハハ。

大滝: 自分でなんかさ、似たものを、「しとやかな獣」と「LET’S ONDO AGAIN」をずいぶんね、似たような気が自分でするのよ。どっかでくたびれるんだよ、やっぱり。

山下: ハッハッハ。疲れ方がけっこういいんですけどね、それね。

大滝: うん。それはあるんだけど、作った側としてはね、どうもその、恣意的なものはいまいちだったなって、

山下: なるほどね。

大滝: 作った本人としてはそう思う。本物の、でも、天才っていうのはたぶん、意図をそういうふうにこう、あれじゃないかね、カタルシスにできるような人なんじゃないのかな。

山下: きっとそうでしようね。

大滝: ねっ。

山下: えぇ。

大滝: それが全然だめだったんだけどね。

山下: それはだから、やっぱり無手勝流じゃないけど、意図してやれるもんじゃないですよ。

大滝: まぁ、「ある」人だよね、「なる」もんじゃなくて。

山下: えぇ、そう。だから長嶋選手なんですよ。

大滝: うん、最初っから。

山下: 別に、メークドラマなんて、別に前の日からね、

大滝: うーん。

山下: どういうコンセプトで、代理店みたいにやって、考えてるんじゃないんですよね。

大滝: ハハハ、ないんだよな。「やっちゃった」ってやつ?

山下: 「ポッ」と出たものが全部ヒットになるっていうね。

大滝: うんうん。

山下: やったらできちゃったっていう。

大滝: っていうものだよね。

山下: でしよ?えぇ。

大滝: だから、そういうもう、「ある」っていうだけの高みには登れなかったなと思うね。

山下: フフフフ。

大滝: やっぱり、努力がどっかに入ってしまうっていう、ああいう居心地の悪さが、

山下: 努力が嫌いな人なのにね。

大滝: だめなんだよねー、フフフ。

山下: フフフ、だけどやっぱり、あのー、ミュージシャンが作ってるものじゃないですか?

大滝: うーん。

山下: だからあのー、いわゆる企画が先じゃないんですよ。必ず音楽ネタでしょ?

大滝: そう。

山下: あくまでも。

大滝: 基本的に音楽ネタ。

山下: だから、それが結局なんていうのかな、あざとさを援和してるっていう。

大滝: そうだね。あの、流行語なんかにしたっていうのはやっぱりダメだよね。

山下: えぇ、ですよ。

大滝: そん時で終わりになってしまうよね、どうしてもね。

山下: ヘヘヘ。だけど、それを意図して、あのー、あれだ、あのー「拍手、手拍子」作っちゃう訳でしよ?

大滝: うーん、そうなんだよ。

山下: それが今になって、じわじわとジャブで効いてるじゃないですか。

大滝: まだね。「ナイアガラ・ムーン」の頃は、まだ、あのー、「LET’S ONDO AGAIN」ほどのあざとさがなくて、音楽の方に近づいてるから、

山下: ふーん。

大滝: あのー、まだあのー、再見っていうかもう1回、あれじゃない?再鑑賞に耐えるんじゃない?「LET’S ONDO AGAIN」はなんか、意図が出すぎてて、くたびれるな、どうも。

山下: フフフ。という自己評価ですが、「ハンド・クラッピング・ルンバ」、岩手県盛岡市、

大滝: 同郷ですな。

山下: スズキチエさん、25歳猪年。

大滝: 女の子ってなんか、25歳が今年多いね。

山下: そうですか?

大滝: うーん。

山下: 「『風街ろまん』が私の生まれた年に出た作品ということで驚きました」

大滝: うーん、いいアルバムだからね、それなりに。

山下: 「私は咋年の2月頃にはっぴいえんどのアルバムに劇的な出会いをして以来、大滝さんの作品にはまってしまいました」まだ出ますね、たくさん。そういう人がですね。

大滝: うーん。

山下: えー、「ちびまる子ちゃんの『うれしい予感』以降、どんな仕事をしていらっしゃるのか、」フフフ。

大滝: フフフ。

山下: 「これからの予定なども教えてください。あと、そのような活動状況を入手できるファンクラブや連結先、」多いんですよ、だから、このて。

大滝: やっぱりね。なんか、でも、ファンクラブうんぬんっていうのは多いですね、やっぱりね。

山下: でしたらやっぱり、だからホームページにアクセスするのが、

大滝: うん、それがいちばん。

山下: いちばん、リアルタイムで、大滝さんが何を考えているかっていうことがですね、

大滝: もう、あれ以上のことはないかと思いますけどね。

山下: えぇ。いいと思います。

大滝: そうだよ、私もそう思いますけどね。これからはそうしてください。

山下: ヘヘヘ。えー「ハンド・クラッピング・ルンバ」、リクエストいただきましたんで、20年後のこんにちですね、

大滝: うーん。

山下: あの時代のネタがですね、どう聴こえるか。

大滝: どう聴こえるか。

 曲:

大滝詠一/ハンド・クラッピング・ルンバ

山下: えー、大滝詠一さん、1975年?

大滝: 5年ですね。

山下: のアルバム、「ナイアガラ・ムーン」。エレック第1弾ですな。えーっと、これのですね、CDが去年、おととしか、再発になったんですが、この「ナイアガラ・ムーン」のジャケットの裏が、いわゆる表4ってやつですが、これがもともとですね、福生のスタジオに大滝さんが立ってて、その後ろの壁にですねシングル盤をずーっと、45回転のですね、シングル盤をずるっと並べてあるんですよ。で、私の記憶ですとですね、いちばん最初のファースト・イシューのエレック盤の場合には、いわゆるヒットシ・ングル?各洋楽のヒット・シングルがそこにずらーっと並んでた記憶があるんですが、

大滝: おー、見てるね、見てるね。

山下: 今、僕この「ナイアガラ・ムーン」の、その、CDヴァージョンを見ましたらですね、全部ナイアガラのシングル盤に差し変わっているんですよ。

大滝: 見てるねー。これ誰も今まで言ってきた人いないよ。

山下: 僕はほら、僕もこういうのやりたいと思ってたんです、当時。

大滝: で、えーっと、エレック、コロムビア、ソニー、で、今回と、

山下: えぇ。

大滝: これ4つヴァージョンあるんですよ。

山下: ありますね。

大滝: で、4つとも後ろに飾ってあるシングル盤は違うんですよ。

山下: ほー。

大滝: で、今までは外盤なり、肝心なところに「ナイアガラ音頭」があったりっていうようなことをやってました。

山下: えぇ、ありましたね。

大滝: 今回は、全部ナイアガラにしたのはね、今回初めてなんですよ。

山下: ほー。

大滝: しかも、

山下: えぇ。

大滝: しかも、言っちゃぁ悪いけど、まず、モノがないやつでしょう。「君は天然色」の、

山下: ほーっ。

大滝: えーっと、透明シングル、

山下: ハハハハ。

大滝: イエロー・レーベル。

山下: ありましたね、そんなのが。

大滝: えー、「カレン」と「ウエンズデイ」の透明シングル、ブルー・レーベル。

山下: うーん。

大滝: これをね、多分、それを並べて、後ろで、これを全部換算したら100万円ぐらいになるでしょうね、中古で。

山下: ヘヘヘヘ。

大滝: そういうものだけ並べてあるんです。

山下: あー、そうか。

大滝: そうそうそう。

山下: レアリティーズを重要に?

大滝: そうそうそう。

山下: でも、これ全部じゃないでしょ?

大滝: ない。

山下: 要するに、これの他にも、結局、要するにオフィシャル盤としてはまだある訳でしょ?

大滝: ある。

山下: 今度、見して、それ。

大滝: だから、見本盤や、

山下: ははー。

大滝: あとは1回、1枚だけプレスしてやめた「シベリア鉄道」のワン・サイド・ディスクとかね、

山下: フフフ。

大滝: それ、世の中で、「私1枚しか持ってない」っていうようなものや、

山下: しょーがねー。

大滝: とにかく、

山下: ちゃんと「ダウンタウン」のシングルもあるし。

大滝: ありますよ。置いてありますよ、しっかりと。

山下: それで、この後ろに「ナイアガラ・ムーン」のですね、これはあれなんですか、80年代のソニーの?

大滝: それは、そうです。81年の写真。

山下: ソニーの再発ですね。

大滝: はい。

山下: で、それに写ってる写真の後ろに起こってるジャケットが、これは?

大滝: 76年の、

山下: 76年のコロムビア、

大滝: 75年、75年のコロムビア盤。

山下: 盤ですね。

大滝: うーん。

山下: で、それの後ろに入ってるのが、ハハハ、もう見えませんけど、このCDだと。

大滝: えぇ。

山下: そこにエレックの、

大滝: エレックで出た、75年の、

山下: オリジナル盤、

大滝: オリジナル盤。

山下: が飾ってある。

大滝: で、その中に、えー、ベルウッドのソロの中袋の、

山下: あー、そうだったなー。

大滝: えー、子供の。あのー、2歳の写真が。で、これはね、しっかり、今度はパソコンにとりこんで拡大すると見えます。

山下: すごいなー。

大滝: これ、まだ言ってくる人はいなかったな。

山下: 手の間の子供は誰なんですか?

大滝: 子供じゃないんです、これは77年の秋吉久美子の三ツ矢サイダーのコマーシャルの、あのー、顔なんです、これ。

山下: グググ、ここ、手から、ちゃんと出るように撮ったの?

大滝: ちゃんと見えるように角度してあるんです。

山下: クックック、しようがねーやつだな。

大滝: 細かく見てほしい。

山下: すごいなー。

大滝: で、右側にあるのは、「GO!GO!ナイアガラ」のラジ関時代に送ってきた、

山下: はー、はー、はー、これですね。

大滝: ハガキを、

山下: えぇ。

大滝: 当時のまま、保存してあるという。

山下: フフフ。だって、サエキ君?サエキけんぞう君?

大滝: うん。

山下: かなんかが、大滝さんとこ行った時に、自分が番組に出したハガキ、引っぱり出してきてあせったって、誰が言ってたのかな。

大滝: フフフ。まだ全部残ってるから。

山下: よく残ってるよな。

大滝: ほんとだよね。

山下: 全部残ってるんですか?

大滝: 全部残ってるよ。

山下: あっ、そう。すごいなー、それ。

大滝: すごいんだよねぇ。

山下: そういうのが、だから、我々の発想とは違うと言ってるんですよ。

大滝: で、将来、こういう、何て言うの?再利用するっていうか、こういうなんかの時に発表することになるだろうという、そういう予感があったんですよね、ちゃんと。

山下: フフフ、じゃぁ、もう目指すはあれだ、ナイアガラ博物館だ。

大滝: 館長はいるけどね、そこね。

山下: ハハハハ。

大滝: 館長予定者がね、いるんだよね。

山下: しようがねーなー、ほんとにな。

大滝: うーん。

山下: えーっと、ちゃんとリクエストがきますんでですね。

大滝: リクエストいこう。

山下: せっかくリクエストしてくれるんですから、

大滝: 珍しいね。

山下: かけましょうよ。「『恋のナックルボール』、新春放談で必ずお願いします」リクエストだけの人っていうのは大事にしないと。

大滝: あーっ。

山下: 質問も何もない。

大滝: それはいいね。

山下: えぇ。

大滝: シンプルで。

山下: 埼玉県春日部市、ペンネーム・マスダ君、17歳。

大滝: ペンネーム、マスダ君?

山下: うん。

大滝: すごいペンネームだな。

山下: フフフ。えー、「イーチ・タイム」から「恋のナックルボール」

 曲:

大滝詠一/恋のナックルボール

山下: えー、1984年のアルバム、「イーチ・タイム」から「恋のナックルボール」。始めに曲ができて、松本隆さんが詞を作ってきた時に、大滝さんがこれじゃだめだと言ってオケをやり直したというですね、有名な話がありますが。

大滝: そうなんですよ。で、途中にね、難波君のダースベーダーのブレスっていうのがあって、そっちのオリジナルのオケにね、

山下: へぇー。

大滝: 「スー、ハー」っていうのを、あのー、ヘルメットかぶって、バイクの。

山下: へぇー。

大滝: で、彼にやってもらったんだけど、オケごとボツになってしまって。

山下: フフフフ。

大滝: そういう、なんか、よくあるんだよね、そういうことが。まぁ、あるでしょ?

山下: あります。

大滝: 詞ができてきたら、なんかオケがちょっとトロいんで、あのー、スピード感だすためにってんで、変えたりとかね。

山下: リテイクなんだよね。

大滝: そうそうそう。これのね、間奏を、まぁ、聴いててあれだったんだけど。まっ、お正月なんでタネ明かしを1回だけ。まだ誰も言ってきてないんで。間奏を聴いてると、間奏にとある曲のメロディを、あのー、それをSEで、SEが出てくるんですよ。

山下: ふん。

大滝: そのSEはね、とある曲のメロディなのよ。

山下: ふーん。

大滝: で、それを、あのー、ちらっと聴ける。えーっと、バディ・ホリーの楽曲なのよ。

山下: なるほど。

大滝: だっていうことで、ひとつ。

山下: 探してみてください。

大滝: えぇ。そのー、聴いてみていただけると、よくわかるというですね。

山下: なるほど。

大滝: それぐらいのヒントにしておこうと思ってますけど。

山下: 隠し味。ほら、好奇心とか興味とかあってね、ひところ大滝さん、ほら映画のムシだったじゃないですか?

大滝: はぁ、はぁ。

山下: で、そういうような、なんかこう、好奇心はこれから何に向かっていくんですか?インターネット一段落したら。

大滝: 旅ですね。

山下: 旅?珍しいことおっしゃいますね。

大滝: そうなのよ。

山下: あの旅嫌いな大滝さんが。

大滝: 旅嫌いが。もうこれから旅ガラス。

山下: どこへ旅をするんですか?

大滝: もう、どこでもいい。

山下: その、ほんとに具体的に旅なんですか?

大滝: 旅、旅。

山下: 珍しいですね。

大滝: 珍しいんだよ。

山下: そんなこと初めて聞きました、僕。23年いっしょにいて。

大滝: 私も初めて言ったのよ、

山下: フフフフ。

大滝: 48年間。

山下: じゃぁ、とりあえずは、あのー、どこへ旅をしようと思うんです?

大滝: ここだよ。

山下: フフフフ。

大滝: だから、あてがないの。

山下: あぁ、そう。

大滝: うーん、あてなし。

山下: じゃぁ、気の向くまま?

大滝: 気の向くまま、足の向くまま。うーん。

山下: じゃぁ、その、南へとか、北へとか。

大滝: 南へ北へとか、もう、どこでも、西へでも。

山下: まさか、車で野宿じゃないでしょうね?

大滝: まぁ、それもある。

山下: あー、そう?

大滝: うーん。

山下: そういうのって、今から始めようっていうんですか?前もしてたんですか?去年あたりも。

大滝: まっ、ちょくちょく。

山下: なんか、大滝さん、言ってましたもんね。

大滝: まっ、ちょくちょく、そういう、まぁ、旅っていうか、

山下: なんか山、迷いこんで、

大滝: そうそうそうそう。あのー、山に迷いこむ感覚がなんか、よくなったなー。

山下: フフフ、だけど、それでカーナビに救われたんでしよ?

大滝: 救われたんだよ。やっぱりね、文明は捨てられない。

山下: それはだけど、なかなかいい体験ですよね。カーナビの価値ってのがそこでわかりますもんね。

大滝: いや、カーナビはすごいよ。

山下: ほー。

大滝: そういう意味では。

山下: ふーん。

大滝: だから、あれに全部なるといいんじゃないかね、これから。あの衛星に全部のっければ、

山下: なるほど。

大滝: どこでもなんでもいいわけだから。これからはだから、それだよ。

山下: フフフ、旅?

大滝: 「旅するインターネット」だろうな、そのうち。だから旅先で全部、そのー、メンテナンスやなにかをそのまんまって、まっ、やってる人はいると思うんだけどね。もう、できるんだよね。

山下: 大滝さん、車にパソコンのってるんですか?

大滝: まぁ、のっけてますけどね。だから、

山下: できるんですか、そこから?

大滝: できるよ。だって、今、だって、歩きながらアクセス1回したもの。

山下: ほー。

大滝: 携帯持って。

山下: ふーん。

大滝: 別に歩かなくてもよかったんだよ。止まってやってもよかったんだけど、

山下: なんとなく歩いてる方がいいだろうなと。

大滝: 1回だけ歩きながらやってみようかな、と。

山下: やってみたかったんでしよ?

大滝: そうそうそう。1972年に4型の、あのー、テレビをね、買って、歩きながら見たんだよ。

山下: フフフ。

大滝: 1回だけね。みっともないからやめたけど、フフフ。

山下: フフフフ。

大滝: でも誰もやってなかったから1回やってみたかった。

山下: 誰もやってないことやるのが好きなんでしょ?要するに。

大滝: そうなんだよ。そうなんだって。ねっ。

山下: 結局、あのー、

大滝: で、やったことはね、やっぱり、1回やったことだから、もう1回やるにしても、結果同じでもいいから、あのー、なんかどっか違ってるって思いたい訳じゃないのさ。

山下: だからあれなんですよね、だから、12年も13年もさ、アルバム出さないようなこともやってみたかったし、

大滝: うーん、そうそう。

山下: ねっ。

大滝: 1年間に12枚も出したんだから、

山下: 極端だね、それほんとに。

大滝: 12年も、で、いちばんさぁ、面白いのはさぁ、前に、あのー、アルバム出す時にね、

山下: うん。

大滝: あのー、81年に出す時に、売れたことがなかった時に、「シングル・ヒットがなきゃアルバムは売れない」っつって、そのー、大口たたいた人がいるのよ、

山下: フフフ。

大滝: いっぱいまわりに。で、その次に「イーチ・タイム」出した時には、さすがに言わなかったよ。だからシングルも出さなかったし、

山下: うん。

大滝: 何もやらなかったけど。なんか、そうするとさ、「10年も出さなきゃまずいでしょ」、その、なんだ、その「まずい」っていう言葉が、彼が私に向かって言う時の、その、心とさ、

山下: ハハハハ。

大滝: それのどういう背景と、どういう実証できるものは何があってそういうことを言ってるのかってのがさ、面白くてしょうがないんだよ。

山下: 半分「まずい」という言い方には、うらやましいというのもあるんですよ。

大滝: うらやましいの?

山下: 俺だってできたらさ、ねっ、5年に1枚でさ、やってみたいよ。

大滝: やれるよ。簡単だよ、フフフ。

山下: 勇気がないんだよ。

大滝: 君、やってんじゃん、だって、5年。

山下: いやいや、恐れ入ります、ハハハハ。

大滝: どうしようって、張ろうっていうの?その10年ぐらいになった時に、フフフ。

山下: いえいえ。まだ、大滝さんがいるから大丈夫です。

大滝: フフフ、結局、またこんななるんだな新春放談、フフフ。

山下: ハハハ、おんなじ穴のムジナなんですよ、所詮。ねっ。だけど、まだ後ろから追ってる人はね。先頭はつらいですよね。

大滝: 何言ってんだかなー。

山下: 追われる立場は弱いですよね、えぇ。ハハハハ。

大滝: 追われてんの、俺?

山下: そう、フフフ。後ろに女房もいるし、いくらでもいますからね。

大滝: じゃんじゃん、みんな追ってる訳ね。

山下: そうです。

大滝: 記録のばさなきゃな、こうなったらな。

山下: フフフ。

大滝: 意地でものばしてやる。

山下: だけど、一応「2001年ナイアガラの旅」でしょ?

大滝: あっ、そりゃやるよ。

山下: えぇ。

大滝: それはもうね、コンピレーションでもやるから。

山下: ハハハハ。

大滝: いいだろ、別段いいだろ。新作は新作じゃないかよ、フフフ。

山下: ハハハハ、いや、私は人のこと言えませんけどね。

大滝: だって20年前の初めて聴いて、よかったっていう人が3人ぐらいいるんじゃない。いいじゃんか、それで。結構なことだよ。

山下: と、いうわけで、今年はあれですけども、

大滝: えぇ、また、

山下: 来年もひとつ。

大滝: 来年もひとつよろしくお願いいたします。

山下: えーっとですね、だから、来年はですね、リクエストがきてるんですよ。来年持ってきていただきたいリクエスト。

大滝: おーおー、持ってきましよう、なんでも。

山下: ちょっと待ってくださいね。えーっとね、これこれこれ、長崎県のね、大村市、

大滝: 九州が多いね、今年は。

山下: ノムラヒデユキさん。「新曲を出せとは言いませんので、」

大滝: やっぱりね。

山下: 「ぜひ大滝ヴァージョンの『風立ちぬ』か『熱き心に』、もしくは『うれしい予感』を聴かせてください。大滝さんのことなので、きっと、デモ・テープが残ってるんじゃないですか?また『ロンバケ』のミックス違いの曲とかがあれば聴かせてください」

大滝: まぁ、デモ・テープはあるにはありますけどね。えーっと、「風立ちぬ」は1回コンサートでやったですし、あのー「熱き心に」は1回ラジオ関東でワン・コーラスだけかかったことがあるんですよね。

山下: ヘヘヘヘ。

大滝: フフフフ。

山下: いいですね。

大滝: 「ロング・バケーション」のミックス違いはないですね。

山下: ないんですか?意外と、

大滝: うん。ミックスは、もう1回だけでしたね。

山下: いちばん真面目な時期でしたもんね。

大滝: まったくね。

山下: えぇ。ヘヘヘ。

大滝: もう、だって、あれしかないっていう作り方をしてたからね、あの時はね。

山下: 背水の陣ってやつですね。

大滝: っていう感じでね。「どうだ、ざまぁみやがれ」っていう感じでしたからね。

山下: フフフ。これでいいですね。今日のリクエストが来年かかる、かーっ。

大滝: 早すぎない、それ?

山下: フフフ。という訳けで、ひとつ今年もよろしくお願いします。

大滝: いや、よろしくお願いいたしまーす。

山下: という訳で、お届けいたしてまいりました「山下達郎サンデー・ソング・ブック」。えー、毎年恒例の新春放談。大滝詠一さんをゲストにお招きいたしまして、今年は、なんかいろいろ、とりとめもないですけれども。まぁ、毎年この感じでございます。来年ももちろん続きます。えー、いつまで続くかですね、21世紀、「2001年ナイアガラの旅」まで、きっと続くことと思いますけれども、それまで続くようにこの番組もですね、長寿番組を目指してがんばりたいと思っております。えー、今年も1年間、「サンデー・ソング・ブック」、なにとぞよろしくお願い申しあげます。えー、とりあえずですね、来週は、おなじみの、「棚からひとつかみ」で攻めてみたいと思います。この間ですね、海外、何回か出かけましたので、そういうようなものを、いろいろ含めましてですね、来週はいわゆる「レギュラー・プログラム」に戻ります。来週もセイム・タイム、セイム・チャンネルで「山下達郎サンデー・ソング・ブック」。来週のこの時間まで、みなさんごきげんよう、さよなら。

 「GO! GO! Niagara」に来たハガキは全部残しているというのは、いかにも大滝さんらしいですね。これ以外のハガキもちゃんと保管していらっしゃるんでしょうか?そういえば、佐野元春さんの「サウンド・ストリート」で「留守番DJ」をされたときに、「『SNOW TIME』の特集をお願いします」というハガキを出したことがありますが、これも残っているのかなー?
 さて、この「新春放談の歴史」も残すところあと1年となりました。取り組み始めて約1年半、ついにここまで来たという感じです。最近、ちょっとたてこんでますので、少し時間がかかるかもしれませんが、まぁ、半年前の放送なので、あまり需要もないかと思います。
 それでは、次回をお楽しみに。


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