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1998.1.4 サンデー・ソング・ブック

山下: みなさん、新年あけましておめでとうございます、山下達郎です。毎週、日曜日午後2時からの55分間は、私、山下達郎がお送りいたします「ジャックス・カード・サンデー・ソング・ブック」の時間であります。1998年、最初の「サンデー・ソング・ブック」、今年も1年間、よろしくお引き立てのほどお願い申しあげます。えー、1月の4日でございますのでですね、明日から会社、始まるところも多いですかね?まだ、お屠蘇気分が抜けないというですね、せっかくのお休み、もう終わっちゃうのかという感じでございますが、えー、私、山下達郎、今年はですね、去年はほとんどなんにもしませんでしたので、今年は忙しく、活発に活動しようと思っております。今年はアルバムがちゃんと出ますのでですね、ひとつ、お楽しみにお待ちいただきたいと思いますが、とりあえずは1月の28日のニュー・シングルから、「ドッ」といってみたいと思っております。今年もよろしく。という訳で、1月、新春早々の「サンデー・ソング・ブック」は、恒例になりましたですね、もうすっかりおなじみでございますけれど、大滝詠一さんをゲストにお招きいたしまして「新春放談」。思い起こせば1984年のお正月からですから、もう14年。13回目になるんですかね?数えること。いつまで続くかというですね、感じでございますが、えー、大滝詠一さんとまた、デコボコ放談、いろいろとやってみたいと思いますが、今年はなんてったって、13年ぶりの、大滝さん、新譜ですからですね。シングル出ましたし、いろいろと濃いい、中身の濃いい話をですね、伺えると思います。今週、来週、へたすると再来週までいくかもしれませんがですね、いつまで続きますか、恒例の「山下達郎サンデー・ソング・ブック、新春放談」、ごゆっくりお楽しみいただきたいと思います。えー、お正月でございますんで、大滝詠一さんがゲストなので、「ロックン・ロールお年玉」、大滝詠一さんの「ナイアガラ・カレンダー」、1978年のアルバムに入っております。これのリクエストいただいております。東京都田無市、コバヤシケイイチさん、山口県の下関、ミナミヤスヒロさん、いつもありがとう、そして、福岡県はオギモトトシノブさん、今日の1曲目、大滝詠一さん、「ロックン・ロールお年玉」。

 曲:

大滝詠一/Rock’n Roll お年玉

山下: あれ、だけど、大滝さん、前、会った時、ヒゲはやしてたもん。

大滝: だって、ここ何年、2年ぐらいずっと。

山下: 2年ぐらいでしたかね?

大滝: うん。

山下: もう、だんだん、時間感覚が、あれですね。

大滝: そうそうそう。もうね、どの顔なんだか、訳がわかんないよ、もうな。

山下: だけど、あのー、ともあれ、13年ぶりのニュー・シングルで、大ヒットで、おめでとうございます。

大滝: あー、どうも。

山下: えぇ。もう、始まってるんですよ。

大滝: あー、そう?いや、ありがとうございます。

山下: フフフ。

大滝: なんだかね。

山下: いきなりですね、去年の、あのー、だって、新春放談の時はさ、

大滝: ふん。

山下: あのー、あれもなかったじゃないですか。おくびにもなかったじゃないですか。実際なかったんだろうけど。

大滝: うーんと、実際、去年の暮れぐらいに、そういうのがあるかもしれないってのはあったんだけど、本決まりでもなくて、

山下: ふーん。

大滝: で、春に、巨人VSヤクルトの開幕戦の日に、打ち合わせ初めてやって、

山下: うーん。

大滝: でも、それも話しはこういう話じゃなくて。

山下: うん。

大滝: で、夏ぐらいに、そのー、話が変わって、

山下: ハハハ。

大滝: その時にまた、あのー、「やるか、やらないか」みたいなところもあって。もう、紆余曲折がもう、山のようにごちゃごちゃあって、

山下: はーん。

大滝: えっらい長い1年だったよ。

山下: あっ、そう?ハハハ。

大滝: うーん。

山下: もうなんか、10年分ぐらいの、

大滝: 12年ぐらい、なんかね、経ったような気がしてね。

山下: そうでしょうね。

大滝: もうくたびれた。

山下: いや、よくやるなって。

大滝: よくやったよね。

山下: うん。

大滝: いや、俺もほんとは、自分で自分を誉めてあげたい。

山下: いや、もう、だって、「カレン」がずっと番宣かなんかに出てたじゃないですか。

大滝: そうそうそう。誰が考えたってもう、バレバレだろ、あれでね。

山下: うん。だけど、まさかね、新曲を書くようには努力するけども、

大滝: ふんふんふん。

山下: あのー、なんだっけ?「書けるとは思うな」とか言ってるんじゃないかっつってね、

大滝: うーん。

山下: じゃぁ、まぁ、向こうも、「それじゃぁ、しょうがないから、最悪の場合にはあり曲で」。だからさ、僕だって、ほら、昨日や今日の「ポッと出」じゃありませんから、そのぐらいのね、

大滝: フフフ。

山下: 裏側のその、力関係と言いましょうか、そういうのはわかりますから。

大滝: 読めてる、読めてるね。

山下: だから、僕、友達と賭けやったんですよ。「書ける訳ないじゃねーか」って。「書いてきた、ほんとに新曲だよ」っつって、

大滝: 記者発表が、記者会見があったんですよね。

山下: えぇ。

大滝: 主役の二人の。

山下: えぇ。

大滝: あれ、過ぎてからですよ。

山下: ヘヘヘ。

大滝: フフフフ。

山下: どうせ、そんなことじゃねーかと思ってたんだけどさ。だけど、しかも、A・Bって今言いませんから、

大滝: うん。

山下: 2曲でしょ?

大滝: いや、それがさ、いろいろあってさ。まぁ、だから、もうご存知のとおりだから。あのー、こういう、あの二人じゃなかったんだよね、最初。依頼受けた時。

山下: あー、そうなんですか?

大滝: うん。

山下: へぇー。

大滝: で、割合、年齢にふさわしい、普通にできるかなっていうふうに思ったんで、受けたんだけれども、

山下: へぇー。

大滝: あの二人に替わって、「ちょっとこれは違うんじゃないかな」と思って、

山下: ハハハ。

大滝: お断りしに行ったんですよ。

山下: へぇー。

大滝: なんだけど、「まぁ、どうしても」っていうようなことでね。まぁ、思い切ってやってみようかとは、

山下: 「思い切って」ってのはいいですね。

大滝: とは思ったんだけれども、「できるのかな、どうなのかな」ってのは、まぁ、全員。

山下: はー。

大滝: うーん。

山下: 大変だったでしょ、でも?その、段取りとかさ、

大滝: うん。

山下: そういうのは別にして。大滝さん自身ね。

大滝: うーん。

山下: だって、13年ぶりでしょ?

大滝: ほんっとに、自分用の曲って書いてないんだよね。

山下: でしょうね。「EACH TIME」以来ですもんね。

大滝: そう。

山下: それでいきなり、その、プロジェクト大きいしさ。

大滝: でかい。

山下: ねぇ。

大滝: うん。

山下: だけど、まぁ、それは僕も脇から伺った話ですけど、その、プロデューサーの方が、例えば、大滝さんのファンだったとかね、

大滝: うーん。

山下: そういうのが、まぁ、あるから、

大滝: もう、唯一ね、

山下: うん。

大滝: それだけが支え。

山下: ハハハ。

大滝: たったひとつ。で、あのー、主役の人も当然そうだし、他のプロデューサーの人とも、誰にも会ってないしさ、

山下: あー。

大滝: そのー、永山監督と、たった一人にしか会ってないのよ。

山下: ヘヘヘ。

大滝: 誰とも会わなかった。

山下: あー、そうなんですか?

大滝: うん。で、脚本も読まなかったし、ラッシュも見なかったし。

山下: ふーん。

大滝: だから、毎回毎回オン・エアが、どういうふうに使われるのかっていうのが、楽しみで楽しみで、

山下: ふーん。

大滝: 3ヵ月間ずっと見てた。

山下: だけど、それはやっぱり、追い込んだ人がうまいんだな。

大滝: もうね、

山下: うーん。

大滝: すごいね、あの人は。尋常じゃないね。

山下: あー、そう?

大滝: 待ちの姿勢なんか、私の10倍ぐらいあるんじゃないかな。

山下: あー。だけど、ほんとにそれは、偽らざる心境で、そう思いましたよ。だから、それは追い込んだ人がうまかった。

大滝: うーん。粘り強いっていうような言い方でもないんだけど、ほんっとにすごい人だね。

山下: フフフ、そう?

大滝: よく、よく待つよねっていう。

山下: いや、知らないことの強みですよ、それは。

大滝: まぁ、なんだかさ。でも、その人もすごい人らしいんだよ。

山下: あー、なるほど。

大滝: 締め切りが、ずーっと、行くんじゃぁ、その方ではナンバー1らしんだよ。

山下: 井上ひさしみたいな人なんですね、きっと?

大滝: なんか、すごい人らしくて。だから、そういうことで、なんか、ギリギリ、締め切り近くなっても、

山下: えぇ。

大滝: できないときに、そのー、途中、スタッフがみんな慌てる訳じゃない。

山下: えぇ。

大滝: 「どうしよう、どうしよう」って。で、本人は、まぁ、泰然自若。

山下: ハハハハ。

大滝: 「物をつくる人を追いこんじゃいけない」って言ったっていうからね。

山下: どっかで、遠縁なんじゃないですか?

大滝: フフフ、いや、ほんとにすごい人だなと思って。

山下: へぇー。

大滝: だから、ほんとにね、その人だけが頼りで、

山下: えぇ。

大滝: 今回やりましたね。

 曲:

大滝詠一/幸せな結末

山下: しかし、だけど、ほんとに、それはあれですね。どっかで呼んだんですね。

大滝: うーん。

山下: きっとね。

大滝: そうなんだと思うね。

山下: だって、やっぱり、結果っていうのはさ、そういうものとは違う訳だし、

大滝: うん。

山下: その、段取りっていうのも、そんなに、ほら、スムーズに行く場合と、どんなに、要するに、お互いに「惚れて、惚れられて」ね、

大滝: うん。

山下: 蜜月で「一緒に行きましょうね」って言っても、やっぱり、トラブる時はトラブるし。

大滝: トラブる時はトラブる。

山下: うまくいかない時は、いかないじゃないですか。

大滝: 時はいかないんだけれども、今回はね、

山下: なんの問題もなく「スーッ」と。

大滝: なにひとつなかった。微塵もないケースっていうのは、人生で3度目ぐらいだった。

山下: でね、変な話ですけど、

大滝: うん。

山下: あのー、ドラムのユカリが復帰したでしょ?

大滝: うん。

山下: あれ、なんか待ってたように復帰したじゃないですか。

大滝: なんかね、

山下: だから、それ、だって、ほんとに、話決まる一月前とか、

大滝: そうなんだよ。

山下: そういう世界じゃないですか。

大滝: そうなんだよ。

山下: たまたまさ。

大滝: たまたまなんだよ。

山下: 不思議ですよねー、「縁」っていうのはね。

大滝: 相変わらず、このパターンなんだなー。今回は、でもね、さすがの私も驚いたな。

山下: フフフ、驚いたの?

大滝: 驚いた。

山下: 「さすがの私も驚いた」というやつですね。

大滝: 驚いた。まぁ、だから、こんなことは、ほんとにないだろうって思ったけれども。まぁ、あのー、松さんの事務所の社長が、とにかく「はっぴいえんど」時代からの知り合いだったんだよ。

山下: あー、そうなんですか?

大滝: そう。

山下: へぇー。

大滝: で、もう20何年間ぐらいかな?いっしょに麻雀もしたりとかね。

山下: それも「縁」ですね、でも。

大滝: それはね、非情に、あのー、異常な「縁」があるのよ。

山下: ふーん。

大滝: で、まぁ、本人は「秘密にしてくれ」っていう、あれなんだけども。そのー、えーっと、音楽関係でね、

山下: えぇ。

大滝: いろんなんで、僕の曲の背景で仕事をしたりしてたっていうような人でもあるのね。

山下: はぁー、なるほどね。

大滝: で、それと、そのー、永山監督と、フジ・テレビのね、

山下: うん。

大滝: その3人、ほとんどその3人だけで、すべて行った。

山下: ふーん。

大滝: 3人とも7月生まれだったの。

山下: フフフ。

大滝: いや、たいしたことないんだけども、「はっぴいえんど」の3人っていうのが、3人とも7月生まれだったのよ。

山下: 7月生まれですよね。なるほど。

大滝: で、7月生まれが。で、「ロング・バケーション」の時にディレクターの人が同じ誕生日で、朝妻さんの息子さんも俺と同じ誕生日で。

山下: あー、そう?

大滝: で、朝妻、白川、僕って、同じ誕生日が3人揃ったんだよ。

山下: そんな話初めて聞いた。

大滝: あー、なんかね、

山下: そうなんですか?

大滝: 3人7月生まれが揃うとね、フフフ、

山下: 獅子座の集合体ですね。

大滝: まぁ、かに座なんだけどね。

山下: あー、かに座か。

大滝: うん。かに座と獅子座が混じってんだけど、

山下: ふーん。

大滝: まぁ、7月生まれなんだけどさ。

山下: なるほど。

大滝: なんか、その時から、なんとなくね、ひょっとするとっていうような予感はあったんだけど。

山下: うーん。よくしかし、だから、偽らざる心境で、よくできましたね。

大滝: そう。だからさ、すごいね。12年もやってないと。さすがにね、もう、あのー、鉄筋コンクリートを木の棒で打ち砕くようなもんだね。

山下: 浦島太郎状態ですね。

大滝: いいや、もう、こんなもん軽くできると思ってたけどね、

山下: ハハハ。

大滝: ダメだったな。ほんっとにもう、ギリギリのギリギリ。で、作品的にイマイチなんじゃないかっていうのが、だいたい大方の意見だったけど、あれっきゃできなかったの。

山下: フフフ。

大滝: 自慢じゃないけど。あれが限界だった。

山下: 何を言ってるんですか?できただけすごいですよ、でも。

大滝: フフフ、それ誉めてんの?

山下: ハハハ。

大滝: いや、いや、自分でもね、「あっ、できた」と、

山下: ふん。

大滝: 「できただけすごいな」と自分で思った、ほんとに。

山下: いや、すごいですよ。

大滝: うん。

山下: たいしたもんですよ。だって、初めてでしょ、自分の声、デジタルで録るの?

大滝: まぁね。

山下: 売り物のやつ。

大滝: いや、大当たり。

山下: ねぇ。

大滝: うん、デジタル、だから、ほんとにずっとアナログでやってて、

山下: どうでした?感触違うでしょ、でも。

大滝: うーん。まぁ、いろいろこの間、マスタリングなんかやってて、デジタルとアナログの違いとか、そういうこといろいろ考えてね、

山下: うん。

大滝: で、まぁ、結構いろんなことはやってたんだけどね。

山下: スタジオの、だって、スピーカー・チェックまでなさったっていう。

大滝: やりましたね。

山下: えぇ。噂はたくさん。

大滝: で、例えばだから、裕が10何年ぶりに復帰して、

山下: えぇ。

大滝: で、あん時にだから、前のレコーディングって「EACH TIME」でしょ。

山下: えぇ。

大滝: で、「EACH TIME」のマスターをかけて、ドラムだけオフってね、

山下: ふーん。

大滝: ほいで、そのー、裕をダビングの時にドラム叩かして、

山下: へぇー。

大滝: 以前の音とか、そういう、こう、

山下: へ、へー。

大滝: ものが戻ってくるかっていうような、そういうリハーサルを結構延々やりました。

山下: あー、そうなんですか?なるほど。

大滝: あとは、そのー、レコーディング、本チャンのレコーディングをよそにですね、5〜6曲録りました。

山下: はーん。

大滝: だから、ほぼ、もう、アルバム分やりましたね。

山下: それはどういう曲を録ったんです?

大滝: えーっと、あります。

山下: あります?

大滝: あります。

山下: じゃぁ、のちほどかな?あー、そうですか。

大滝: のちほど、あのー、聴いていただいて、

山下: なるほど。

大滝: まぁ、そのー、えー、自分が思うところの曲を、リハーサル代わりと、まぁ、ある意味合いでは、もう遺作と思って。

山下: なにが遺作だ、フフフ。だって、今回も2週間ありますから、ゆっくり話さなきゃなんないんですけど、「2001年」あるんですからね。

大滝: 「2001年」は確かにあるけども、「2001年」は、ほら、「出す」と言ってるだけだから、

山下: なるほど。

大滝: 自分でプロデュースするとか、内容がこうだとか、今まで言ってないから。

山下: ハハハ、いや、だけどまぁ、あれですね。

大滝: ねっ、例えば。

山下: でも、去年の、僕は新春放談は思い出すけど、最後のセリフっていうのがね、大滝さんの最後のセリフ。

大滝: あー、なんっつった?

山下: 「いや、俺はレコードなんか出さなくたって、新春放談は出るよ」っつってね、

大滝: フフフ。

山下: それが一番最後のセリフだったから、

大滝: はー、はー、はー。

山下: だから、まぁ、当分ね、御隠居さんでいくのかなって思ってたんだけど、ほんとになんか「ポッ」とやって、「ポッ」と出てきたじゃないですか。

大滝: うん。

山下: なんの、こう、なんっつうの?こう、うまく言えないけど、無理なくね、

大滝: うーん。

山下: 無理なくね、そうそう。

大滝: そうそうそう。

山下: だから、なんか「おーっ」っつってやった訳じゃないじゃないですか。

大滝: うん、全然。

山下: ねぇ。

大滝: うん。

山下: それがだから、ほら、よくできたって、そういう意味なんですよ。

大滝: あー。あのー、だから、さっきも言ったように、だから、相手側と言うか、物はでかい訳じゃない。

山下: うん。

大滝: で、そういうようなこと、全然気にしないでさ、

山下: そうね。

大滝: 全く関係なく、自分自身の、例えば、遊んでるっていうのは変だけど、

山下: うん。

大滝: レコーディングを行って。で、なんかやって、一応向こうの依頼があって、「こういうんでどうでしょうか?」って言ったらさ、「気に入りました」って言われたから、「あー、これで気に入っていただけるなら、ほんとにうれしい」っていうことで、あのー、向こうへ提供して。ほんとはB面どうでもよかったのに、あのー、「いや、こうなったら、なんでも書きますから言ってください」みたいなことを言ったら、「露天風呂のシーンが何話かであるから、じゃぁ、露天風呂のシーンにいいような、すごい明るい、めいっぱいハッピーな曲をお願いできますか?」っていうことで、それでB面つくったの。

山下: ふーん。

大滝: 最初っから、あの露天のシーンはあったらしいんだよ。

山下: なるほど。

大滝: だから、すごく楽だったのは、だから、その演出の人といっしょにやるっていうのが楽で。だから、今回はね、音楽の再開でも何でもないんだよ。

山下: ヘヘヘ。

大滝: ねっ。すぐにね、あれだよ、「這えば立て」だよ。「立てば歩め」の親心で、必ず次々、次々に言うけども、

山下: けど、

大滝: とりあえずね、

山下: それが世の中の、

大滝: 世の中なんだろうな。

山下: 世の中ですよ。だって、普通はそう考えるじゃないですか、どんな人だって。

大滝: そこだよ。

山下: ねっ。

大滝: 俺はね、でも、長い間よーく考えてきた、27年間。「はっぴいえんど」から。

山下: フフフ。

大滝: そんな既成概念と戦ってきたよ、俺は。ずーっと。

山下: だって、目が覚めれば歯磨くし、顔洗うっていうのは、普通のこと。

大滝: そう?

山下: えぇ。だから、ズボンの上からパンツははかないって。

大滝: そこだ。

山下: ねっ。

大滝: そこが普通の人と俺の違うとこなんだよ。

山下: ヘヘヘ。だけど、ほんとに、あのー、まぁ、戦後、戦前通してね、明治120年、130年?

大滝: はい。

山下: の歴史の中で、芸能というところでは、

大滝: うん。

山下: こんな前代未聞なね、ものはないんですよ。

大滝: 君だけだよ、そう言ってくれるの。

山下: いやいや、私、よーく知ってますからね。

大滝: 君はほんとによく知ってるよな、ほんとに。

山下: フフフ、何年付き合ってると思ってるんですか?

大滝: 俺は言いたいんだけど、それ言えないんだけどさ。

山下: 来年で四半世紀ですよ…。(フェードアウトでCMに入る)

山下: それは、僕、初めて「はっぴいえんど」見た、ステージ見た時のこと、いまだに覚えているけど、ステージの上に3人しかいなくてね。

大滝: うん。

山下: 誰も歌ってないのに、誰か声がしてきて、

大滝: なんだよ、それ?

山下: で、一番おしまいに、大滝さんがね、ハモンドの後ろから「ヨッコラショ」って出てくんの。

大滝: フフフ、そうなの?

山下: そこに座って、ハモンドの後ろに座って、隠れて歌ってる。「なんなんだ、これ!」ってね。いまだに覚えてますけどね。

大滝: うーん。だから、まぁ、今回の結論もそうなんだけどさ、あのー、どうして日本の人は「歌」好きなんだろうね?

山下: ハハハ、「歌」好きなのって、どういう意味?

大滝: だから、キング(?)歌謡、いや、要するにほら、あのー、79年に日本の歌謡史研究して、

山下: えぇ。

大滝: 85年に、あのー、84年に「分母分子論」出して、

山下: はい。

大滝: で、89年に「普動説」まで来て、

山下: 「普動説」。

大滝: 自分で、で、それの、一番の根本をその、日本のキング(?)歌謡の、それを原点としてやってるんだけど。やっぱりそのー、作曲したとか、編曲、アレンジ、例えば作詞、いろんなことをやっても、「ワー」、「キャー」って言わないんだけど、歌うと違うんだよなー。

山下: うん。

大滝: だから、ほんとになんか、

山下: フフフ。

大滝: この国の人はさ、歌謡が好きなんだなー。

山下: 確かにそうですね。

大滝: 僕はさ、個人的にはっていうか、いつも言ってるとおり、まぁ、当たり前のことなんだけども、総合芸術だと思っているからね。

山下: えぇ。

大滝: 作詞もあり、作曲もあり、

山下: はい、そうですよね。

大滝: 編曲もあり、ミキシングもあり、エンジニア、演奏もあり、その中で歌もあり、そのー、音楽に限らずいろんなもんてのは、総合芸術だと思ってるんで、

山下: うん。

大滝: その「ワン・オブ・ゼム」だと思うんだけどさ、歌だって。なんだけれども、やっぱ主役と脇役っていうか、

山下: うーん。

大滝: そのー、メインに置いて、他は背景という、

山下: うん。

大滝: まぁ、それがカラオケ文化を生み出す基本の構造な訳なんだけれども。

山下: そうですね、うん。

大滝: なんだけどさ、あのー、でも、で、この間ずーっと、裏方をやってて、

山下: えぇ。

大滝: 「12年間何もしてない」と、「仕事をしてなくて、急に仕事を始めたのだから、この不況も本物だろう」と悪口を言ってるやつもいるけども。

山下: ふーん、そんなことを言うやつがいるんですか?

大滝: あぁ、悪口じゃないんだ。いやいや、俺に受けようと思って言ってるんだと思うんだけどもさ。

山下: なるほど。

大滝: 別に仕事してなかった訳じゃないですからね。

山下: そうですね。

大滝: で、そうなんだけれども、「歌を歌うっていうことが特別なことなんだ」っていうのが基本的な物の考え方の背景にありそうな気がしてね。歌を歌っちゃうと裏方になり得ないんだろう、きっとそれが表方なんだろうな。

山下: そうでしょうね。

大滝: ところがだ、俺は決めたんだよ。

山下: ヘヘヘ。

大滝: 俺はね、日本初の「裏方歌手」だよ。

山下: ハハハハ。いいよ。

大滝: 「裏方歌手」。

山下: 「裏方歌手」?

大滝: そうそうそう。だから、今回プロモーションしなかったし、一切出なかったっていうのも含めてだけど、

山下: ふーん。

大滝: あのー、まぁ、どこまでこの、あれが通じるかどうか知らないけどさ。あのー、いいんじゃないかと思って。いろんなことやってきたからさ、もう他のこと、もう飽きてんだよ、はっきり言って。

山下: だから、まぁ、僕が昔言ってたようなことと、大滝さんが言うことは、基本的にはそんなに変わんないんだけど、ベクトルが逆なんですよね。

大滝: うん。

山下: 大滝さんは、だから、自分が歌手だと思いつつ、でも、自分は「裏方歌手だ」って言うでしょ。でも、ほとんどの作曲家の人は、本音を言ったら、自分は歌手として成功したかったんです。

大滝: そのとおりだよ。

山下: それこそ、浜圭介さんにしろね。

大滝: そのとおり。いや、古賀さんだって、ウラムラさんだって、やっぱりほら、自分で歌ってる時、自分でどうしても歌いたいんだもんな。

山下: そうでしょ?

大滝: そうなんだ。

山下: ほんとは自分の歌で、その曲がね、一番栄えるような、

大滝: そうなんだ。

山下: ものが、一番欲しかったんだけど、そうはならなかったんでしょ。

大滝: うん。まぁ、キャロル・キング、バリー・マン、みんなしかりだったよね。

山下: そうですよね。

大滝: うん。

山下: だから「それは贅沢だ!」とか言われますよ、だから。

大滝: フフフ。

山下: 「おまえは歌手なのにね」、フフフ。

大滝: そう。だから、このね、基本的にあのー、なんかね、貧乏臭いような気がするんだよね。芸能ごととか、芸術ごとが。だからね、贅沢なことをやってみたい訳よ。

山下: ハハハ。

大滝: フフフ。そういう一世一代のね、

山下: 1万円札で焚き火するとか、そういうやつですよね、要するに。

大滝: そうそうそう、そういうこと、そういうこと。うん。だから、そういうやつが、この何年かにね、ひとりか二人ぐらいいてもいいんじゃないかっていうようなことで。

山下: グッ、フフフ。

大滝: で、できればほんとはね、許されないだろうけれども、あのー、市販しないで、ドラマの中だけでいたかった訳よ。

山下: ハハハ。

大滝: 俺、裏方歌手なんだから。

山下: よくわかります。

大滝: そうでしょ?

山下: よくわかります。

大滝: うん、わかるでしょ。

山下: はい。

大滝: なんだけど、で、永山さんって人もそういう人で、「自費出版しちゃおうか」みたいな、そのー、

山下: なるほどね。

大滝: すごいね、あのー、考えがよく似ている人だったのよ。ただ、それって、まぁ、そうしちゃうと、あるいは今の市場に、自分はあわないんじゃないかっていうふうになんか、あのー、逃げ腰なんじゃないかっていうふうに思われるのも嫌だったしね。

山下: うん。

大滝: で、それはそれで正々堂々とやったつもりなんだけれども、

山下: うーん。

大滝: 本来的に、もし許されるんだったら、そうするし、で、これからもいろいろレコーディングは行うが、リリースするつもりはないよ、俺は。

山下: ハハハハ、なるほどね。

大滝: 今日、だから、その間、あのー、レコーディング、この何曲かやってるけれども、

山下: えぇ。

大滝: ここでかけたらもう終わりだよ。

山下: あー、そうですか?ありがとうございます。

大滝: 自慢じゃないけども。要するに、そういう、なんかリリースを前提とした音楽活動というのをね、やめた。

山下: うーん。

大滝: 裏方だから、俺は。

山下: まぁ、だから、要するに、僕いつも、いろんなあれで言ってることなんだけど、結局、音楽っていうのは、文化の中で数少ない拡大再生産ができるものじゃないですか。

大滝: うん。

山下: 要するに大量頒布が可能なメディアだから、

大滝: コピーライトっていうぐらいだからな。

山下: 本もね。本もレコードもそうなんですけど、結局それが商品性を持つがゆえの、悲喜劇っていうのかな、

大滝: ふん。

山下: そういうものじゃないですか。

大滝: 人生だよね。

大滝・山下:フフフ。

山下: だけど、だけど、大滝さんの人生はいい人生ですよ。

大滝: あー、そうなの?

山下: うん。と僕は思いますけどね。

大滝: フフフフ。

山下: とか言ってね、

大滝: 隣の芝生じゃないの?

山下: いやいやいや。とか言って、だけどね、やっぱりね、

大滝: 君の人生の方がうらやましいような気がするな。

山下: そんなことありませんよ。

大滝: えぇ?

山下: 大滝さんって、どうしてそんなにさ、こう、達観主義的にさ、あれできるの?心配とか不安とかなんない?

大滝: ないんだよ。

山下: あー、そう。

大滝: うーん。

山下: それ、ちっちゃいときから?

大滝: うーん。まぁ、一番最初に悪いこと考えるからね。最悪の状態から、必ず。

山下: あー、そう?じゃぁ、そんなにネガティブなんですか?大滝さんって。

大滝: うん。だから、あのね、それを、そっから考えるからね、だからそういうこと考えるの馬鹿らしくなる訳だよ。

山下: ふーん。

大滝: で、そういう意味合いのオプティミズムがあるんだよ。

山下: ふーん。非常に、それがやっぱり、ねじれてますね。

大滝: 黙ってても、前頭葉で、その、最悪の状態が「サーッ」と入ってくる一番の明るい話なんだよ。

山下: じゃ、小学生の時とかね、

大滝: うん。

山下: 大きくなったら何になるっていう得意の話があるじゃないですか、日本人的な。

大滝: あー。

山下: あれって、何になりたいと思ったんですか?

大滝: えーっとね、ものごころついて、エジソンになりたかった。

山下: 発明家。

大滝: そうそうそう。で、柳家金吾楼さんが好きだったもんな。

山下: まぁ、だけど、大滝さんそういう意味では、この、要するに、70年代以降のフォークとロックの基本的にエジソン的なものがあるわね。

大滝: そうでしょ?

山下: うん、ある。

大滝: だから、平賀源内とかさ、とりあえずなんかね、日本風に言ってみたりとか。

山下: だから、あのー、教育受けた技術者じゃ、絶対為し得ないアイデアっていうのかな?

大滝: そうそうそう。

山下: そういうもの出してきてる人だもんね。

大滝: エジソンの漫画、昔、伝記物が多かったでしょ?

山下: うーん。

大滝: 漫画で読んだ時に、とにかくね、一番、いまだに、いつも言ってる、前にも言ったよこれ、すごい、いまだに印象残ってんだけど、列車の一番後ろの1両を借りて、実験室にしてたっていうね。

山下: ほー。

大滝: で、「ドーン」と破裂、そこで火事なんか起こしても、最後だけだから、離れてね、全部は火がまわならいっていうんで、それがね、いまだに。だから僕はね、

山下: ハハハ。

大滝: そういう、その、列車の最後尾を研究室に貸してくれるような人といっしょにやりたい訳よ。

山下: なるほど。

大滝: で、それを、一番最前列に持ってこようってやつが世の中にいるんだよ。

山下: うん。

大滝: 俺はね、そういうのは嫌いなんだ、はっきり言って。

山下: ハハハ。

大滝: まぁ、とにかくあわないんだ、だって。

山下: なるほど。

大滝: 俺は一番後ろのところで、関係なく、ひとりで実験させててくれればいいの。ねっ。

山下: アナーキーなのよね、そういうところはね。

大滝: わかるでしょ?

山下: よくわかります。私はわかります。

大滝: うーん、わかるんだよ。君だけなんだよ、わかってるのは。

山下: ハハハ。

大滝: ほとんど、だから、

山下: それは「わかれ」って方が無理ですよ。

大滝: 無理かな?

山下: えぇ、無理ですよ。だからみんな、そういう意味では、やっぱり、その、教育っていうもののね、日本の教育が目指すものは、だって、それだったら、やっぱり、だって、労働価値が低下してくるじゃないですか。労働意欲が。

大滝: いや、俺は楽しいよ。

山下: だからそれはね、フフフ、だからやっぱり、歯車育てるには、それは不都合な論理じゃないですか。

大滝: とにかくなんかね、向こうが「そう動け」って言われるの、とにかく命令されるのが、とにかく嫌なんだよ。

山下: 「右向け」っていわれたら、「嫌だ」って、左向きたくなるんでしょ。

大滝: 絶対左向くんだよ。

山下: うん。

大滝: わかるでしょ。

山下: よーくわかります。

大滝: もう、とにかく嫌なんだよ。

山下: はい。

大滝: 「左」って言われたら、右向くんだよ。

山下: よーくわかります。

大滝: わかるでしょ。

山下: よーくわかります。

大滝: もう、命令されんのと、したり顔してなんか語るやつと、

山下: クックックック。

大滝: このふたつがとにかく嫌なんだよ。

山下: ヘッヘッヘ。

大滝: 「今までこうなんだから、おまえもこうしろ」とか言うようなやつは、たとえ正しくても、俺は反抗する。

山下: ヘヘヘ。

大滝: 絶対に反抗する。

山下: そのタチが嫌なんですよね。

大滝: フフフ、タチが嫌なんだ。

山下: フフフフ、いいですねー。でもね、さすがにやっぱりね、新譜出るでしょ。このぐらい、やっぱり、大滝さんの嫌いな世の中のですね、

大滝: フフフ、「嫌いな世の中」ってのがいいなー。

山下: 世の中のですね、光の中でですね、仕事をされますとですね、あのー、今年はですね、手紙来るのがですね、僕ね、割と10代のそういう、例えば、高校生とかそういうのね、子がたくさん来ると思ったんだけど、確かに来てんだけど、普段の常連がよこす手紙の濃さ。あたまのひとこと「大滝さん、久しぶりの新譜が大ヒット中にもかかわらず、取材拒否の日々、いかがお過ごしでしょうか?」

大滝: フフフ。

山下: これ、いいでしょう。このセンス。最高ですよ。

大滝: 拒否じゃないんだよ。

山下: これもいいですよ。これ、来年のリクエストか。ハハハハ。

大滝: なんだよ?おいおい。

山下: もう、読んでるんですよ、来年なにかけてくれるかって。

大滝: あー、なるほどね。

山下: 今のうち言っとけば、1年後にやってくれるだろうっていうね。

大滝: なるほどねー。

山下: すごいですね。もう、あのー、あれですね、七夕のあれですね。乙姫と彦星みたいな番組になってきましたね。

大滝: フフフ。

山下: 「来年の今月今夜」って、ちがうか、あれは「金色夜叉」か。なんだかよくわかんない。これはね、あのー、ヨシダミツヨシさんっていう、豊島区のね、あのー、

大滝: 常連さん?

山下: えぇ、常連さんがいるんですよ。「長嶋が復活したら、ナイアガラが復活する。ナイアガラが復活っていうのは、私、ヨシダミツヨシも復活すべく全身全霊でこの手紙を書いております。イーチ・タイム以降、いわゆるナイアガラ・サウンドはあったけれど、やはり大滝さん自身の声が聞こえてきた時は感動もひとしおでした。やはりナイアガラ・サウンドにジャスト・フィットするのはイーチ大滝自身の声なのです」。ちなみに、これね、毛筆で書いてあるのね。へたくそな毛筆なんだけどさ。「この番組でひとあし早く」、この番組って、僕の番組ね。「ひとあし早く新曲をかけていただき、CDが発売される頃にはソラで歌えるようになっていました。『この新曲を世界で一番たくさん歌ったのは、この私です』と言いたいくらい歌い込みました。ですから、CD発売時にオリジナル・カラオケが入っていないのは、とても残念でした。しからば、なんとか、この『幸せな結末』のオリジナル・カラオケを、なんとか『おリリース』してはいただけないでしょうか?」

大滝: フフフフ。

山下: 「ぜひともご一考のほどを。まだ申しあげたいことは山ほどあるのですが、この辺で私の手紙は『おフィニッシュ』でございます」

大滝: フフフ。

山下: 「最後に一句。『新春の ひかりのどけき 放談に 落ちる涙は ナイアガラ』。我田引水の自称弟子の『くりーむそーだすい』のそのまま自嘲弟子であるところの『すらすらすいすい』ことヨシダミツヨシでした」

大滝: すごいねー。

山下: いいよねー。

大滝: いやー、まいったなー。

山下: これは例年にない濃さですからね。いやー、なかなか楽しい。ところで、どうしてカラオケ入れなかったんですか?

大滝: いや、僕はね、自慢じゃないけど、1976年に「ナイアガラ音頭」というのをプロデュースした時にですね、B面に「あなたが歌うナイアガラ音頭」という、

山下: 「音頭」ってありましたね。

大滝: カラオケを入れた、まぁ、最初の方の人間なわけですよ。

山下: わかりますよ。

大滝: そしたら、まぁ、カラオケをB面で出したら、「手を抜いてる」とかですね、なんか「もうちょっと考えた方がいいんじゃないか」って、あの頃批判をされたんで、

山下: ヘヘヘ。

大滝: やめたのよ。

山下: ハハハ。

大滝: 1976年にやってるんだよ、俺は。もう、とっくの昔に。

山下: (爆笑)

大滝: 今は97年でしょ。もう、20年も経ってんじゃん。もういいじゃないのよ。

山下: 人生行路になるな、もう、ほんとに。

大滝: 俺は決めたんだ。20年前に決めたの。

山下: だけど、それが許していただける、

大滝: なにが?

山下: いや、それがね、許していただけるというのが、やっぱり「大滝詠一」だからなんですよ。

大滝: 確か、でも、ほら、12年なんにもやんないんで、「シングルの1曲だけでもいいから出したらどうだ」って言うから、だから出したんじゃないか。

山下: ハハハハ(大爆笑)。

大滝: 1曲あるだけまだいいじゃん。無音溝も出したことあるんだぜ、俺なんか、昔。フフフ。

山下: まぁ、俺もカラオケ入れるようになってから、まだ2年ですけどね。

大滝: 君、カラオケ入れてんの?

山下: いや、最近はもうさすがにね、

大滝: うん。

山下: あのー、時代の趨勢には抗えないっていうかですね、

大滝: フフフ。そういう調整型のところ好きだよ、俺、すごく。うらやましいんだ。

山下: ハハハ。で、あれなんですか?カラオケはミックスもないんですか?

大滝: カラオケのトラック?

山下: えぇ。

大滝: あるよ。

山下: それはあるんですか?

大滝: あるある。

山下: 大滝さんはいつも、例えばその、シングル出してた時に、

大滝: うん。

山下: 例えば、「青空のように」とか出した時に、カラオケはあるんですか?

大滝: 見本盤。今まで全部あります。

山下: あー、あるの?

大滝: うん。全部つくってる。だから、見本盤のB面はカラオケっていうことを長らくやってましたよね。

山下: あー、そうなんですか。

大滝: うん。

山下: それで「ブルー・バレンタインデイ」、

大滝: 「ブルー・バレンタインデイ」も、

山下: なるほど。

大滝: カラオケB面と。

山下: これ、ナカエ・布谷マニア・カズマっていう、これ、ナカエカズマさんっていうね、この人もね、世田谷区の超常連なんですけどね。ナイアガラ・フリークなんですけどね。「昨年は大滝さんの新曲発売で、ハッピーな1年でした。うれしさのあまり大滝さんの歌を歌ってしまいました。その結果、」、これカラオケで歌ったっていうことですね。「その結果わかったことは、やっぱりオリジナル・カラオケで歌うのが一番ということです。そこで、一番のお気に入りであるところの、『ブルー・バレンタインデイ』のカラオケをぜひかけてください。確かこの曲はプロモ盤で聴くことができるのですが、あまりに高額なため、手が出ません。来年でもかまいませんのでよろしくお願いします」っつって、

大滝: フフフ。

山下: カセットが入ってて、そこで「ブルー・バレンタインデイ」歌ってるんですよ。

大滝: あー、はー、はー、はー、なるほど、なるほど。

山下: 通カラで。

大滝: なるほど、なるほど。

山下: えぇ。でも、これがね、

大滝: あー、あー、あー、そうか、そうか。

山下: うん。

大滝: いや、放送で流すことは、全然やぶさかじゃないんだよ。

山下: あー、そうですか?じゃぁ、来年お願いしますよ。

大滝: あー、かけよう、かけよう。

山下: えぇ。ハハハ、「来年だ」っつうんだから、すごいよね。でもね、この人の歌う「ブルー・バレンデイ」ってね、

大滝: うまいの?

山下: いや、大滝さんそっくりなの。

大滝: あー、そう?

山下: 一種のモノマネかな?

大滝: はー。

山下: ちょっと、聴いてみてくださいよ。

大滝: そんなんあるの?

山下: えぇ、あるんです。

大滝: おもしろそうじゃん。

 曲:

ナカエ・布谷マニア・カズマ/ブルー・バレンタインデイ(途中まで)

山下: なかなか似てるんですよ。

大滝: うん、すごいね。

山下: 私の歌よりうまいですよ。

大滝: いや、私のよりうまいと思う、俺は。

山下: ハハハ、ひでーなー。この人はね、昔からね、くれる人なんですどね。

大滝: 自分のカラオケの方が、なんか、テンポなんかが自分にあってて、いいんじゃないかと思うんだけどね。

山下: ねぇ。これ弾き語りですかね?

大滝: うーん、なんかね。

山下: 最近は通カラだから、もう、なんか、あっと驚くような「はっぴいえんど」のね、

大滝: あるんだってね。

山下: ねぇ。とんでもないのがありますよ。「風来坊」とかね、「風来坊」、通カラでやってるの。

大滝: あー、そうなの?

山下: やつがいるんですよ、しかも。

大滝: へぇー、すごいなー。

山下: 私の友達が、もう、「昨日は7曲歌ってきたよ」とか言って、

大滝: あー、そう?

山下: 言ってましたけどね。

大滝: 洋楽カラオケに近いものがあるよね。その「はっぴいえんど」のカラオケっていうのはね、ちょっとね。

山下: それすごいですよね。

大滝: ちょっとね。

山下: えぇ。こんなのどうでしょうかね。札幌市、サイトウシンジさん。「『幸せな結末』のビデオ・クリップを最後まで見たいのですが、どうすればよいか。1曲分ちゃんとあるのか不安」

大滝: ないよ。

山下: ハハハ、やっぱりな。

大滝: ハハハ、ない。ある訳ないじゃん、そんなもん。

山下: だけど、あれ、ドラマ用にミックスしてるんですか、あれ?

大滝: スポット用に、15秒のスポットは、ちょっとね、ちょっと変えた。

山下: ドラマん中で出てくるやつ、歌詞違うやつ出てきましたでしょ?

大滝: あー、B面。

山下: えぇ。

大滝: B面は歌詞違ってる。

山下: 違うんですか?

大滝: うん。A面はおんなじだけど、えーっと、ちょっと、

山下: 違うでしょ、あれ?

大滝: ちょっと、少し。

山下: なんか、いきなり歌から出てきて、

大滝: そうそう。歌から出てんのは、ちょっと技を。

山下: ちょっと?毎週やってる訳、それ?

大滝: えー、違う、違う。最初から、もう、最初から8つぐらいのパターンを、

山下: 8つあるんだ、なるほどね。

大滝: うん。全部つくって。

山下: いや、「大滝さん毎週こもってる」って噂もあったからね。

大滝: いや、でも、その間いろんなことがあってね。で、始まったら、「ストリングスが欲しい」っていうことで、

山下: へぇー。

大滝: ストリングスをまた、「ソング・ブック」のコンビで、井上鑑といっしょにやって。で、それ途中から使われたよ、じゃんじゃん。

山下: ふーん。

大滝: だから、結構、なんかね、ドラマといっしょに音楽も進んだっていうような感じでしたね。

山下: あと、これ多いんですけどね、「キャリア初CDシングルの値段が税抜き777円なのはどうして?」

大滝: そうなんだよ。7月生まれ、3人揃ったからね。

山下: ハハハハ。

大滝: ゲンかついで。

山下: フフフフ、大した理由じゃない、要するに。

大滝: そうそうそう。だから、大したことないって言ってるじゃん、前から。

山下: そう、ハハハ。

大滝: だから、あまり深く考えないでよー。

山下: だからね、だけどね、世の中っていうのはそんなもんじゃありませんよ、あーた。

大滝: あー、そう?

山下: えぇ。これを初めて買った中学生の人とかね、

大滝: うん。

山下: 神奈川県相模原市、アトムラナオユキさん。素直なあれですよ。「大滝詠一さんに質問。僕は毎月音楽雑誌を買っているのですが、大滝さんの新譜に対するコメントや、本人のインタビューなど一切載っていないのです。大滝さんはテレビやラジオ、雑誌といった、そういうメディアが嫌いなのですか?」

大滝: ん?

山下: 嫌いなのですか?

大滝: あー、好きじゃないな、あんまり。

山下: ハハハ。「実も蓋もねー」ってやつだほんとに。

大滝: まぁ、だから、あのー、不運だと思って、

山下: フフフ、不運だと思って!

大滝: まぁ、中学の時に突然、谷崎読んだとかいうような人もいるかもしれないから、そういう人にさ、

山下: うん。

大滝: あのー、あれでしょ。当時の、漫画のような、わかりやすさを要求しても無理だろう?

山下: フフフフ。

大滝: だから、それは、聴いちゃった人はさ、そういうもんなんだから。それは不幸だと思うしかないんじゃないの?

山下: あー、熱が出てきた、急に、ほんとに、もう。

大滝: どう?

山下: えー、リクエストがね、たくさんあるんですけどね、「『熱き心に』のデモを、フル・コーラスで聴かせて欲しい」

大滝: ないよ、そんなもん。

山下: フフフ。「ミックス違い聴かせろ」とかね、そういうのが多いですよ。

大滝: あー、だから、あのー、テレビでかかったバージョン違いは持ってきたよ。

山下: そうですか?

大滝: うん。

山下: じゃぁ、それ聴かせてもらいましょうか。

大滝: そう?

山下: えぇ、ぜひ。

大滝: じゃぁ、聴こう。

山下: それでは、「幸せな結末」の方ですね?

大滝: えーっと、「Happy Endで始めよう」。

山下: 「Happy End」の方ですか?

大滝: B面の方です。えー、これの「草津バージョン」と呼ばれてるもので、

山下: 有名な。

大滝: ございます。

 曲:

大滝詠一/Happy Endで始めよう(草津バージョン)

大滝: この「どエンディング」がね、

山下: なるほど。

大滝: 変でしょ?

山下: なにが?

大滝: 「何」って聞いてくると思ってたんだよ。

山下: なにが?

大滝: で、これ、どうせ一生言っても、あのー、誰も見つからないような場所に隠れた、かくれんぼみたいなもんだからさ、言っとくけどね、

山下: フフフ。

大滝: で、要するに、「露天風呂のシーンで使うような曲を書いてくれ」って言われたときに、なんか、ひとつ、その、パロディー的なことをやろうと思って、思い浮かんだものがなかったんだけども、最初は「THE 温泉ソング」っていうタイトルにしようと思って、

山下: うん。

大滝: いろいろやってたんだけれども、

山下: うん。

大滝: そこで、思い出されるのがね、私は個人的に思い出されるのは、五月みどりのね、「温泉芸者」っていう歌なんだよ。

山下: グッ、なるほど。

大滝: で、それがね、その歌があるんだよ。それをちょっと聴いてもらおうかと思って。ほんのちょっと、さわりだけ。

山下: ほんのちょっと?

 曲:

五月みどり/温泉芸者(終盤部のみ)

山下: なるほど。

大滝: その「あ、ジャブジャブ、ジャーブジャブ」っていうのを、やっただけなんだ。

山下: 大滝さんらしいね。

大滝: ヘヘヘ。

山下: 「聞いてみなきゃ、わからないね」ってやつですね。

大滝: そうそう、「聞いてみたから、わかったよ」っていうね。それを、ああいうようなこともあるんだよ。

山下: 25年言ってるよね。「聞いてみたから、わかったよ」ってね。

大滝: ネタ探しは、みんな洋モノだけだと思ったら、大間違い。

山下: 千葉県花見川区、横尾マサトさん(達郎さん、読み間違えたようです。正しくは「誠さん」)。

大滝: はい。

山下: それから、船橋市のジャン日本酒でいいや・イトウカズノリさん。えー、「Happy Endで始めよう」、今年の冬は草津に行こうバージョン、リクエストちゃんといただいております。

大滝: おっ。かけましたよ。

山下: フフフ。

山下: という訳でお送りいたしてまいりました「山下達郎サンデー・ソング・ブック」。新春恒例の大滝詠一さんをゲストにお招きいたしまして、新春放談。えー、第1回目、さすがに今年はですね、大滝さんは新譜が出ましたので、テンション高い。この続きは、また来週でございまして、いきなり唐突に終わりますがですね、番組の枠なんか考えて、台本なんかやってたら、とてもですね、終わりませんのでですね、ひとつ、その唐突さは、内容の濃さに免じて、ご勘弁いただきたいと思います。そんな訳なんで、1分、1秒でもですね、話がしたかったので、今週、来週はですね、お誕生日のメッセージの代読、お休みさせていただきたいと思います。ひとつ、あしからずご了承ください。よろしくお願いします。「山下達郎・ジャックスカード・サンデー・ソング・ブック」来週も引き続き新春放談、セイム・タイム、セイム・チャンネルでおめにかかります。来週のこの時間まで、ごきげんよう、さよなら。

 やはり新譜の出たあとというのは、盛り上がりますね。大滝さんが動き出すきっかけを作ってくれたフジテレビの永山耕三さんに心から感謝しています。大滝さんは、永山監督のことを「待ちの姿勢なんか、私の10倍ぐらいあるんじゃないかな」とおっしゃってました。しかし、我々ナイアガラ・フリークの我慢強さも相当なものがあると思うんですが、いかがなものでしょう?
 「幸せな結末」の製作は「音楽の再開でもなんでもない」という発言もありましたので、またまた我慢でしょうかね。でも、いいんです。まさか今世紀中に大滝さんの新曲が聴けるとは思ってもいなかったし、こうして、インターネットを通じてたくさんのナイアガラ・フリークと交流できてますので、とても充実した日々が送れていますので(でも、この「活字起こし」が終わったら、何やろうかな)。私が今後期待しているのは、「All About Niagara」の改訂版と「CD BOOK」、それから「BLACK BOOK」の発売なんですよ。大滝さん、頼みますよー。


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