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1998.1.11 サンデー・ソング・ブック

山下: みなさん、こんにちは。ご機嫌いかがでしょうか?山下達郎です。毎週、日曜日午後2時からの55分間は、私、山下達郎がお送りいたします「ジャックス・カード・サンデー・ソング・ブック」の時間であります。東京FMをキー・ステーションといたしまして、全国35局ネットでお届けしております。えー、早いものでございまして、1月ももう、なかば近くになってまいりました。えー、お屠蘇気分がすっかり抜けて、普段の生活に戻りつつあると。私はですね、次の作品の曲書き、ちょっとコマーシャルの音楽をやらなきゃなんないというのがありましてですね、曲書きをやっております。結構きれいなコマーシャルですので、今回のやつは、ちょっと、なかなかいいやつだと思いますが、それをあと2〜3日でデモ・テープあげなきゃなんないんで、なんか、年がら年中デモ・テープあげてるような気がいたしますがですね、それだけ、まぁ、一生懸命働いていると思ってください。ちょっと疲れ気味ですけどもですね。えー、先週に引き続きまして、今週も大滝詠一さんをゲストにお迎えいたしまして、毎年1月恒例の「新春放談」。先週も濃かったですけど、今週も結構すごいことになりそうでございます。今週もひとつ、最後までごゆっくり、先週、今週続けて聴かないと、なかなかわからないこともたくさんあるんですけども、その辺はですね、もう、ここの1月のあたまのここだけはですね、全くリスナーのことを顧みない、勝手なプログラムでございますので、ひとつ、「新春放談」、本日も「山下達郎サンデー・ソング・ブック」、55分間お楽しみいただきたいと思いますが、「幸せな結末」に、さすがにたくさんリクエストをいただいておりますのでですね、それにお応えして、今日の1曲目は夷隅郡ってどこだ、これ?千葉?ドバシマリコさん。いつもありがとう、富山県のサントウマサアキさん。この方も超常連の北海道の岩見沢市のクドウイツカさん。えー、この方は東京都小金井市、石原康広さん、恵美さん、ご夫婦ですな。えーっと、その他、ほんとにたくさんリクエストいただきました。今日の1曲目は大滝詠一さん「幸せな結末」。

 曲:

大滝詠一/幸せな結末

山下: あのー、カップリングの方はね、イメージはわかるんですけど、「幸せな結末」ってのは、どういう曲を書こうと思って、つくったんですか?

大滝: よく言ってくれましたね。で、あのー、あれはね、自分自身で考えたのはね、あのー、タイトルがあるんですよ。もちろん、向こうの「ありもん」なんだけども、「True love never runs smooth」。

山下: あー。

大滝: で、これ、まっ、ご存知のとおり、ジーン・ピットニーの曲で、

山下: バート・バカラックですね。

大滝: うん。バカラックで、ハル・デイビットで。で、これ昔「GO! GO! Niagara」でも言ってるんだけど、邦題がね、「恋は異なもの」っていうんですよ。

山下: そうでしたね。

大滝: うん。「恋は異なもの」で、味なものはないんだけども、きっと、こういうドラマってのは、だから、「くっついて離れて、くっついて離れて」っていうドラマなんだろうっていうふうに自分自身で思って、聞いたら、「そうだ」っていうから、

山下: うん。

大滝: じゃぁ「True love never runs smooth」というような意味合いの雰囲気の曲でいいのかって言ったら、もう、それはもう、そのー、「バッチリだ」っていうことだったんで、まっ、だいたい「くっついて離れて、くっついて離れて」、最後に元に戻るっていうようなことを考えたんですよ。

山下: ふーん。

大滝: で、あの原曲、「True love never runs smooth」とは全然関係なかったんだけれども、そしたら、あのー、木村君の、キムタク君の部屋の中の冷蔵庫に貼ってあるポスター、

山下: は、はー。

大滝: 女の子が「ガラスの林檎」を持ってるんだけど、

山下: はい。

大滝: あそこに「True love never runs smooth」って書いてあるんですよ。

山下: はいはい。なるほど。

大滝: あれ、私の、そのー、それを、「いや、これいただいていいですか?」みたいなことになって、

山下: あー、そうなんですか?

大滝: そうなの。

山下: なるほど。なんかそういうハガキが来てた、さっき。

大滝: あぁ、やっぱり?

山下: えぇ。

大滝: で、それがね、そのポスターに使われて、背景、ドラマのストーリーの背景として、それを使われたっていうようなことで。

山下: なるほど。

大滝: だから、ただ単純に、曲を書いたっていうんじゃなくて、ほんとにそのドラマの中に溶け込んで、

山下: うん。

大滝: 自分自身も考えてっていうようなことを、この曲をつくるとき、そう考えた。

山下: ちょうどうまく「ハモッたんですね」。すべての流れがね。

大滝: なんかね。

山下: ねっ。

大滝: そしたら、バカラック、まっ、あれ、ハル・デイビットなんだけど、

山下: えぇ。

大滝: みんな、なかなかあれなんだよね。あのー、メロディーとか、いろんなネタじゃないと、そういう背景は見えないんだと思うんだよね。

山下: 確かにね。

大滝: だから、こういうののネタばらしって、なかなか向こうは見つけにくいんだと思うんだけども、

山下: うん。

大滝: で、まぁ、あのー、ハル・デイビットはどっから持ってきたかというと、あのー、あれなんですよ、シェイクスピアなんですよ。

山下: ふーん。あぁ、なるほど。

大滝: 「真夏の夜の夢」の、そっから、あるセリフなんですよね。

山下: うん。

大滝: それをちょっと、

山下: あの人、シェイクスピア好きですもんね。

大滝: 好きなんだ。

山下: 「ワイブス・アンド・ラバーズ」かなんかから、そのへんから持ってきたんでしょ?

大滝: だから、ハル・デイビットはそういうもんで。だから、あのー、根源にはシェイクスピアがある訳だよ。

山下: なるほど。

大滝: まぁね、ずっと向こうに。そしたら、ちょうどバカラックが来日、偶然にしてて、

山下: うん。

大滝: で、バカラックにこの話を、そのー、朝妻さん、私の知ってる出版社の社長がね、したんだって。

山下: ふーん。

大滝: たら、あのー、「ぜひいい曲だから、なんか機会があったら、あの曲も使ってくれ」って言ったっていう話がね、フフフ、

山下: ハハハ、なるほど。なるほど。

大滝: そういうような、なんかオチもあってね、

山下: ふーん。

大滝: なんか、非常に偶然なんだけど、いろんな意味合いで。

山下: 僕が、なんか聴かしていただいたのは、なんとなくソニー・カーティスとかね、

大滝: あー。

山下: クリケッツ、バディ・ホリーのバラードとか、そういうのを目指したのかなっていう、

大滝: いや、あのー、遠からずといえども、あのー、近辺に来てるよね。

山下: なるほど。

大滝: うーん。

山下: あの、もう、クルーナー然としたね、

大滝: 全く。

山下: ああいう感じで。

大滝: まぁ、あのー、清水ミチコから「鼻歌だ、鼻歌だ」って、

山下: ハハハ。

大滝: 高田さんが、「今日も大滝詠一の鼻歌を。今日はお湯がいっぱい入ってます」っていう、フフフ。

山下: それで、えーっと、最初の頃にお話してた、そのー、他に録った曲?

大滝: あー、ありますよ、自慢じゃないけど。

山下: あれをひとつ聴かしていただきたい。

大滝: 6分もあるからさ、もう、いやになるよ、言っとくけど。

山下: ハハハ、あっ、そう?

大滝: 6分27秒もある。えー、プレスリーは42才でなくなって、私、49になっちゃったから、もう7つも年上になっちゃったんだけど。まぁ、だから、さっきも言ったように、これがダメだったら、やめようと思ったから、プレスリーに、そういうデディケーションを捧げるレコーディングを1回やっとかないとダメだと思って、

山下: へぇー。

大滝: 本格的なやつ、今までやってないからね。パロディーみたいなのはやってるけど。

山下: 確かにね。

大滝: うん。なもんで、ちょっとね、

山下: 確かに。

大滝: 納めのレコーディングっていう意味合いで、

山下: 「納めのレコーディング」、フフフ。

大滝: だからこそ、ユカリも必要だったし、そのー、茂も必要だったし、村松も必要だったっていうようなことでセッション・メンバー選んでやりました。あのー、「陽気に行こうぜ」というエルビス・メドレーをちょっと、

山下: はい。

大滝: えー、聴いてもらいたいと思いますけど。

 曲:

大滝詠一/陽気に行こうぜ(エルビス・メドレー)

山下: 2曲ですね?つうことは、これは。入ってるのは、「オール・シュック・アップ」と「リップ・イット・アップ」。

大滝: 「リップ・イット・アップ」と「オール・シュック・アップ」。

山下: なるほど。

大滝: うん。

山下: で、編成は、いつものナイアガラの10何人編成なんだけど、

大滝: そうね。

山下: レクオンカン(?)がちょっと減ってるのと、

大滝: うん。

山下: 生ギターが、ちょっとバランス的に低いんですね。

大滝: うん。

山下: これって、だけど、あれですね、最近のナッシュビル・カントリーのオケだと言われても全然、

大滝: 感じないね。

山下: 違和感ないですよね。

大滝: うーん。やっぱり20年、30年か、

山下: うん。

大滝: 日本の、このタイプのサウンドを、みんなで輸入して、研究して、模倣しながら、

山下: 血肉化されてますよね。

大滝: あのー、リクリエイトして、ここまできたら、別段、なんか、無理した感じじゃなくて、

山下: 確かにね。

大滝: 普通に、全員が自然にやれるようになってきたっていうのが、なんか、すごくうれしかったけどね。

山下: やっぱりだけど、ユカリがこの時期に戻ってきたっていうのが、

大滝: だからさ、

山下: 呼んだんでしょ、これ。

大滝: 俺はそう思ってるけどね。

山下: うん。

大滝: なんかだから、まっ、呼ばれてくるやつもなかなかのもんだし、

山下: うん。

大滝: 呼んだんだと思ったし、

山下: ほんとにそうですよ。

大滝: 呼ばれたんだと思うな。

山下: これ、やっぱり、これをその時にやるって言ったって、ドラムはどうしようかって、やっぱり、このノリで、今、誰やんのかっていう。

大滝: 考えるでしょ?

山下: うん、考えちゃいますよね。

大滝: うん。

山下: ですよね。

大滝: うん。

山下: それはすごいや。

大滝: ほんとにもう、渡りに船。渡りに船、渡りに船で、

山下: うん。

大滝: その、船が、

山下: 船が?

大滝: そう。行き着く先なくて船出してるんだけど、なんか、行くと次の船があってさ、行くとまた次の船があって、なんか結果的に、何のあれ、

山下: 問題もなかった?

大滝: 問題もなく、

山下: 実はリモコンがついていたってやつですね。

大滝: 向こう岸に着いたっていうのが、なんか、今回のあれだったんだけどね。

山下: ほんとにそうですね、でも。

大滝: うーん。

山下: 僕はだけど、やっぱり、大滝さんと一番最初に仕事した頃は、ソロの後で、「ナイアガラ・ムーン」の前だったから、

大滝: うん。

山下: このぐらいのエコー感の方がね、大滝さんの歌は、僕なんかなじむんですよね。

大滝: うーん。

山下: いわゆる「ロンバケ」以降のエコーの深いとこよりも、こういうちょっと、ドロ臭くて、

大滝: うん。

山下: ちょっと、あのー、ルーム・エコーのね、感じっていうかね、そっちの方が僕はなんかね、「あっ、大滝さんっぽいな」と思っちゃうんですよね。

大滝: うん。パーソナルな感じは出るよね、そっちの方がね。

山下: そうですよね。これのパターンで何曲録ったんですか?

大滝: これでね、まぁ、5、6曲。

山下: へぇー。

大滝: 大体、録って、まぁ、表に出す用と、ほんとの練習っていうのとあって、

山下: へぇー。大滝さん自身のリハビリも兼ねてますね。

大滝: あー、そういうこと。で、自分のリハビリと、ユカリのリハビリを、

山下: リハビリと。

大滝: 同時に行って、行けるんだろうか、どうだろうかってんで。もしね、やっぱり、あのー、どっちかがダメだったら、頭下げようと思った。

山下: あー、そう?ハハハ。

大滝: うん。頭下げて。で、とにかく、途中、出だしであれだったんだけど、そのー、なんつうの?そのー、監督さんの説得っていうのがすごくてさ、

山下: ふーん。

大滝: まぁね、俺は異常に疑い深いのと、

山下: 確かにね。

大滝: あーたも言ってたけど、この業界はほら、そのまますんなりいかないことが多いじゃないさ。

山下: うん、そうですね。

大滝: だから、なんだけどさ、もう、そのー、新曲が関係なく、ドラマと関係なく、新曲が聴きたいと言ってくれたのと、

山下: ふーん。

大滝: で、それでもダメかもしれないって言ったら、「カレン」、旧譜使っていいかって言う訳。そこまで言われるとさ、あーた。

山下: すごいですよね、今時。

大滝: ちょっと、12年経って、旧譜使われちゃぁね、

山下: ヘヘヘ。

大滝: また、「また、お前なんにもしないで」って言われたら、それももう、終わりだもの。だから、そう言われたんでさ、「もうこうなったら、イヤだって言っても、もうつくりますよ」っていうような感じになったんだけどな。

山下: ふーん。まぁ、だけど、その、あれですよ。やっぱり、そのプロデューサー、ディレクターの方が、結果的にはのせ方知ってたっていうことでしょうね。

大滝: まぁ、そういうこと。

山下: 本人は、そういうあざとい心情でおっしゃったんじゃないんだろうけど、

大滝: ないんだけれどね。

山下: だけど、それで、

大滝: やっぱり、大プロデューサーなんだと思う、彼は。

山下: なるほど。バイブレーションですね。

大滝: フフフ。

山下: さて、せっかくあれなんで、そういう、あの、リハーサルといえども、せっかく音があるんだったら、聴かせてくださいよ。

大滝: あぁ、それね。これはですね、えーっと、私の「普動説」のひとつの行き着いた結果の表現という、

山下: ヘヘヘ。

大滝: 難しく言えばですよ。

山下: はい。

大滝: 自分自身のひとつの、あのー、明治近代から始まったところの中であがいた「はっぴいえんど」から始めた、日本語で新しい音楽づくりの、やって、ここまできたときの、最後の結論として、これはやっとかないと、引退できなかったろうなと思ったんで、やったものがありましてですね。

山下: フフフ、はい。

大滝: えー、「私の天竺」というタイトルにはしましたけれども、聴いてもらえばわかると思います。

山下: はい。

 曲:

大滝詠一/私の天竺

山下: いや、しかしあのー、これがね、大滝さんの、その「普動説」から行き着いたひとつの結論であってね、

大滝: 結論だ。

山下: それで「私の天竺」でね、

大滝: ふん。

山下: それは、私はよくわかりますけど、

大滝: うん。

山下: この、この番組聴いてる、その「幸せな結末」聴いてた人って、「なんなの、それ?」っていう、あれでしかないでしょう。だから、なかなかそれ、僕はわかりますよ、だから、そのー、意味もあれもわかりますけど、なかなか説明しずらいですよね、それね。

大滝: いいのよ、わからなくて。

山下: あー、そうですか?いや、私、ちょっと、

大滝: あのー、

山下: なんか解説しようかなと思って、いろいろ、今、考えてたんですけどね。

大滝: なんにもわかんなくていいんだよ。で、なんてぇのかな?あのー、つながって聴いている人は、つなげて聴いてもいいんだけども、別段、1個、1個のもんだと思うんだよ。

山下: フフフ。

大滝: で、1個聴いて、「あー、いいな」と、1個聴いて「あー、違うな」とかなんか、音楽ってそういうものでいいと思ったんだ。

山下: うん。

大滝: まぁ、ひとつだけ言っておくけど、だから、これが日本のジャズ・ソングのね、

山下: えぇ。

大滝: 第1号だったっていうことで、二村定一が歌って、

山下: うん。

大滝: まっ、クルーナーの二村定一が歌うと。それをエノケンがカバーするってことによって、日本に広まると。だから、コミック・ソングとかなんとかっていうようなものっていうのは、本来的には、ないん、日本に、だから、エノケンのスタイルになったんで、大きく広がったんだよね。

山下: うん。

大滝: 二村定一でも、確かに売れたけれども。

山下: やった人のキャラクターが、曲と結びついちゃった。

大滝: っていう、やっぱしキャラクターなり、歌手っていうようなものは非常に大きいっていうことと、その、コミック・ソングだけが特別なもんじゃなくて、

山下: ふん。

大滝: 日本の、そういう、そのー、カバーの輸入の音楽っていうものに必ずくっついてくるっていう種類のもんで。僕は、音楽を研究するって意味合いで、コミック・ソングを研究してるってことなんだけどね。

山下: まぁ、だから、非常に、あの、不思議なことなんですけど、大滝さんの、そのおっしゃってるスタンスっていうのは、あれですよね、いわゆるアーティストなんですよね。あの、いわゆる商業芸術の分野じゃなくて、どっちかというとファイン・アート?今までの16,7世紀の、その、パトロネージをバックにしたね、

大滝: そんなえーもんじゃないと思うよ。

山下: いやいや、だけど、そっちの方の、やっぱり発想に近い、

大滝: 結果的にそうなっただけなんじゃないの?これが70年代、例えばあのー、あれでしょ、「ナイアガラ・ムーン」なんかで、スタジオでさ、

山下: えぇ。

大滝: みんなでジャム・セッションして、「ワーッ」とやってたのが、ちょこらっと、ただ、ここでかけただけってだけのことじゃん。

山下: まぁ、そうなんですけどね。

大滝: まわりと、そのー、まわりが、まぁ、世の中も変わったし、会社なり、ビジネスなり、なんとかっていうのが変わっただけで、別段、やってる側はさ、好きでやってるんだからさ。

山下: だから「モノみんな商売」の世の中ですからね。

大滝: あー。

山下: えぇ。

大滝: あの、これを「レコード出せ」とかなんとかっていうのは、一切受け付けないから。

山下: ハハハハ。

大滝: もし、1通でもきたらね、また休む。だから、結局さ、なんでやらなかったかっていうと、うるさいからだよ。

山下: ハハハハ。

大滝: なんかやると、なんか言うじゃん。

山下: ヘヘヘヘ。

大滝: そんなんうるさいんだよ。俺はさ、ただこれを歌いたくて、ただスタジオで1回歌ってさ、それでみんなで、あのー、楽しくセッションしただけだよ、自分のお金使って。

山下: うーん。

大滝: だから、とりあえずさ、まぁ「じゃぁ、出さなきゃいいじゃないか」って言うから、「それだったら、また休もうかな」っていうことで、まぁ「1回ここでオン・エアしてるんだから、いいじゃないのよ」っていうことなの。だから、そのー、どう言うの?ブツが配布されるとか、それが売れるなんてことはね、たいしたことじゃないんだよ。

山下: 確かに、そうです。えぇ。

大滝: モノつくった人間としては、もう、どんな形でもいいから、空気を伝播して流布されればいい訳、

山下: 確かにね。

大滝: なんだよ。だから、そういう意味合いで言えば、「よく聴いてろ」と。新春放談聴いたり、

山下: フフフ。

大滝: ラジオ出演とか聴いたり、1回きゃかかんないこととかあるから、

山下: 確かにね。

大滝: で、それ聴いて、聴いたらラッキーだよ。

山下: うん。

大滝: で、そうすると、「私は聴けません」とか「聴きませんでした」。知るか、そんなこと!

山下: ハハハハ。

大滝: それは「縁」がなかったんだよ。諦めろよ!世の中、人生、会える人間なんて、たったのちょっとしたもんなんだよ。

山下: もっと言って。

大滝: だからそれを聴きそびれたらさ、「縁」がなかったんだよ。

山下: もっと言って。

大滝: 諦めろよ。

山下: ハハハ。

大滝: まだ生きてるだけましじゃねぇかよ。

山下: いやー。

大滝: とりあえずまだ命あるんだ。

山下: いやー、いいな。

大滝: どないだっか?

山下: いや、僕は「EACH TIME」が出たあとのさ、新春放談思い出しましたよ。

大滝: あー、そう?

山下: えぇ。

大滝: 俺さ、ブツがでない限り強気に出ないことにしてんだよ。

山下: ヒヒヒ。

大滝: 俺、卑怯だと思うからさ。

山下: 普通、普通そうでしょ?ハハハハ。

大滝: あー、やっぱそうか?なんだよ?

山下: でね、今日の極めつけなんですけどね。

大滝: あー、出ましたね。なんでしょう?

山下: ふたつあるんですけど、これがなかなかね、感動的なんですよ。

大滝: 福島県の伊達郡、ユアサリカさん。えー、「達郎さん、こんにちは。私は27才、2児の母です。主婦してます」、「主婦してまーす」。「初めて手紙を書いたのには、大変不躾なことをお願いしたいのです。私の主人シゲオ君、27才は、大滝詠一さんの大大大ファンです、16年前から。大滝さんの話をする時の目は普通と違います。昔、高校の時買ったものを、レコード、CDなど、大切に大切にしています。今、大滝さんのものはすごく高くて買えませんから。主人は私が言うのもなんですが、最高の夫、父親です。仕事が忙しくても嫌な顔ひとつしないで、子どもと遊んだり、本を読んだりしてくれます。休みの日には外に遊びに連れていってくれます」。いろいろなこと書いてあります。「私のことをいつも気にかけて」、うんたらうんたら。えー、「大滝さんのレコードだって、『お小遣い貯めて買ったら』って言っても、『高いから見てるだけでいいよ。それならナツミ、タイチ(子どもの名前)に何か買ってあげようね』なんて感じで。私前から思ってたんです。一生のうち一度でいいから、大滝さんと会わせてあげたい。でも、どうしていいかわかりません。主人は日曜日の達郎さんの『サンデー・ソング・ブック』を聴いています。この前、主人が『もうそろそろ正月休みだなー。毎年新春放談、楽しみだなー。大滝さん○○持ってきてくれるかな』とか言っていました。私には専門用語みたいなのでわかりません。それで思い付いたんです。新春放談の時に大滝さんにエールを送ってもらえるように頼んでほしいんです」。

大滝: なんだ?

山下: 「『シゲオ君がんばって』って、『応援してるよ』でも、なんでも構いません、大滝さんのお言葉なら。お願いします、主人にお年玉をください。今から、『子どもにもこういう曲を聴いて欲しい』とか言っています。ちなみに私が主人に初めてもらったテープも、大滝さんの『ビーチ・タイム・ロング』でした。10年前の話ですけど。ともかくよろしくお願いします」。いいよね、最高。フフフフ。

大滝: いや、だってもう、あれだよ。シゲオちゃんには、もう、ずーっとエール送ってるよ、俺は。

山下: あー、そうですか?

大滝: そうそうそう。

山下: 知り合いですね。

大滝: だいたい、ほら、長嶋茂雄だから。

山下: なるほど。なんだい、それ!

大滝: 他人だと思えない、シゲオは。ちなみに伊達郡はあれだよ、伊達藩の一番の、あのー、南の城があったところだよ。

山下: あー、そうですか?

大滝: あそこらへんまで、あのー、伊達藩の、

山下: 田舎が仙台なのに、因果と存じませんで、すみません。

大滝: フフフ。

山下: もうひとつあるんですけどね、これは、愛知県のワタナベカズトさんっていうね、この人は昔から私の常連なんですけど、

大滝: うん。

山下: 「私事ではございますが、去年4月15日に長男が産まれ、名前を『エイイチ』とつけました。そこで、ぜひ、この子の名前『エイイチ』は、大滝さん公認としていただきたく、お手紙しました。写真を同封しますので、『これならよかろう』と思われましたら、色紙に『大滝さん公認、ワタナベエイイチ』という名前を、一筆お願い申しあげます。追伸、『これならよかろう』と思わなくてもお願いします」

大滝: クックックック、なんなの?

(このあたり、2人とも大爆笑)

山下: これ、写真が入ってるの、これ。

大滝: 写真が入ってるの?あーら、かわいい子じゃん。

山下: はー。

大滝: あら、あー、3枚も入ってる。

山下: これ、どこまで冗談だかわかんない、ハハハ。

大滝: フフフ。あら、まぁ、エイイチ君ねぇー。

山下: 最高でしょ、これ。

大滝: まいったー、まいったなー。

山下: ヘッヘッヘ、よろしくお願いしますよ。わたしんところだけがなんか、あれですよ、「007」のスパイのさ、中継基地みたいになってますからね。

大滝: フフフ。

山下: 「ここへ来れば、大滝さんに連絡がとれる」

大滝: すいませんね、なんかね。

山下: しょうがねーな。

大滝: いやいや、公認、こんな、俺がだって別段さ、日本中の「エイイチ」の、あのー、あれじゃないんだからさ。コピー・ライト持ってる訳じゃないしさ。

山下: だけど、こうやって、

大滝: いやー、まいったなー。

山下: 名前付けて、僕、確認してるだけでも、「エイイチ」っていう名前は4人はいますからね。

大滝: あとで付けたっていうこと?

山下: えぇ、そうですよ。自分の子どもに。

大滝: ネイムド・アフターっていう意味?

山下: そうです。自分の子どもに「エイイチ」って、大滝さんとおんなじ名前付けたのがね。

大滝: 敢えて?

山下: えぇ。

大滝: ほぉー。

山下: 「タツロウ」っていうのも、僕、確認しただけで、やっぱり4〜5人いますからね。

大滝: あー、いるでしょうね。

山下: えぇ。

大滝: すごいのは女の子に「まりや」で、男の子に「タツロウ」って付けてる人いますしね。

大滝: あー、やりましたね。

山下: 「お前ら、子どもの将来、何考えて」ってね、そういうね。

大滝: うーん。

山下: ありますよね、勇気。

大滝: まいりましたね。

山下: 勇気というか、暴挙というか。

大滝: フフフ。

山下: だけど「公認」ってのは、

大滝: 「公認」っていうのはすごいね。

山下: 最高。

大滝: フフフ。

山下: もうね、昨日僕は、一晩これで床でのたうちまわってましたよ。

大滝: フフフ。

山下: うちで読んで。いやー、いろいろありましたけど、だけど、ともかくあれですよ。あのー、

大滝: あー、だからさ、

山下: えぇ。

大滝: あのー、わたしはもう終わった訳だから、

山下: えぇ。

大滝: 続いて、君だよ。

山下: なんです?

大滝: 問題は君だ。今年の新春放談は、ずーっと山のように、まぁ、しゃべるのを黙って聞いてきたけどね、

山下: はい。

大滝: 主眼はそれじゃないんだよ。

山下: あー、そうですか?フフフ。

大滝: 君。えっ?その、しらばくれるの、やめなよ、それ!頼むから。

山下: ちょっと、例年と立場が違いますね、ヘヘヘ。

大滝: 中国式の、その、卓球の前面速攻やめなよ、それは。

山下: なんか「アラスカ魂」って映画、じゃなくて、「マクリン・ドック」って映画観たことありますか?

大滝: フフフ、それじゃないよ。もう、あのね、許さないよ、俺は、言っとくけどね。

山下: あー、そうですか?ハハハ。

大滝: 俺は、もう、今年は強い。

山下: ヘラヘラする。

大滝: 俺は強いよ、言っとくけど。

山下: ヘヘヘ。

大滝: それはもう、言ってあげないと、君。「『どうなってるの?』って、誰も言えないらしいから、言ってくれ」って、俺言われたんだけど。どうなってるのよ?

山下: 大丈夫ですよ。今年は出ますから。

大滝: 出るんだってね?

山下: えぇ。

大滝: それは聞いた。

山下: ヘヘヘ、ひとことで終わっちゃうやつ。

大滝: それはね、自慢じゃないけど、シングルだけじゃ、君の場合ダメよ。

山下: はい。アルバムちゃんと出ます。大丈夫です。

大滝: アルバムも出なきゃいけないし、

山下: はい。

大滝: ステージはやらなきゃいけないし、

山下: はい。

大滝: カミさんのアルバムはつくんなきゃいけないし、曲提供もジャンジャンやるんだけど、

山下: いいよね、「自分はやめる」とか言ってた。

大滝: そうそうそう。俺は、ほら、やらないんだから、

山下: フフフ。

大滝: もう。

山下: 言った方が、

大滝: だって仕事ないもの。君、あるじゃん、山のように。

山下: ハハハ。

大滝: まだオファーがあるじゃないのよ。

山下: ちょっと、セーター脱いじゃう。

大滝: そら、オファーしない人のさ、気が知れないとか言ってるけど、事実、俺はないんだからさ、自慢じゃないけど。

山下: これから、来ますよ、だけど。

大滝: ねっ。

山下: ほっとかないもん、だって。

大滝: いや、断るもの。

山下: ひっでぇー。断るの前提で言ってんじゃない、それ!

大滝: あったりまえじゃん、そんなこと。

山下: ひっでぇー。

大滝: やりたくないんだもの、はなから。んなー、知ってるだろー。んなことぐらい。

山下: ひっでー。

大滝: 働けよ。君はマジメなんだから。

山下: なんか俺さ、論理的に矛盾感じるんだけど、この世界。

大滝: いや、ダメダメ、感じちゃダメ。

山下: この辺の空気に。

大滝: 感じちゃダメ。信じるものは救われるんだから。

山下: しょうがねーなー。

大滝: これは、もう、ジャンジャンやってもらわなきゃいけないしね。今年はとにかく、まぁいいや、終わっちゃったんだから、俺は全部終わったから、

山下: 全部!

大滝: 今年は、もう「山下達郎イヤー」で、グングン攻めてってもらわなきゃいけないしね。で、保さんも、はりきってやってるし、

山下: フフフ。

大滝: もう、吉田。で、あのー、吉田保、山下達郎、大滝詠一っていうのを、「ナイアガラ・サウンド・トライアングル」って名付けたから。

山下: フフフフ。

大滝: だから、

山下: いいですね。

大滝: うん。これで、「グッ」といくのがいいんじゃないかっていうふうに思ってるからね。で、あのー、自慢じゃないけどね、あのー、このあとにね、

山下: えぇ。

大滝: あのー、「C→E7」の歌が、世の中に絶対出てきて欲しいと思ってたんだよ。

山下: 「C→E7」?

大滝: うん。

山下: あっ、そう。

大滝: 俺ね、これがないと、

山下: あっ、そう?「C→E7」?ハハハ。

大滝: それがないと、ダメだと思ったのよ。

山下: いやね、皮肉なことにね、あのー、今度、1月の28日、シングル出すんですけど、それ、3年ほど前の、実は1回、TBSの朝の番組で、用につくったんだけど、その時は「大滝さんがどーせ、新譜出さねーんだから」、ねっ、

大滝: うん。

山下: 「ナイアガラの音をさ、じゃ、僕やろうかな」って思ってつくったんですよ、あれ。

大滝: うんうん。

山下: まさにね。

大滝: うん。

山下: 全く。だけど、14人「ドーン」といくのもさ、芸ねーから、じゃぁ、自分のノウハウでやろうと思ってね、

大滝: うん。

山下: で、まぁ、ちょっと、だから、厚さが違うんですけど、一応、要するに目指すところは「ハイ・トーンのナイアガラ」っていうね、

大滝: うーん。

山下: これ、キャッチ・フレーズだったんですよ。

大滝: キャッチ・フレーズだったの?

山下: えぇ。あのー、「上で気張ってるナイアガラ」っていうね。

大滝: ハハハ。

山下: そういう、あのー、あれだったんですけどね。

大滝: うーん。

山下: そしたら、大滝さんの方が先に出ちゃったというね。

大滝: なーんだかね、珍しい。それはどっちも、

山下: それがね、

大滝: どっちも、それはね、不思議なあれでね。

山下: 大笑いでね。

大滝: 大笑いだったね。

山下: たまたま、だって、僕、初めてですよ、ああやって、まともに、正面きって、ああいうの、つくったの。

大滝: あー。俺も自分のセルフ・パロディーは初めてなんだよね。

山下: あー、そうなんですか?

大滝: A面も、B面も完璧にセルフ・パロディーにした訳なんだけど、

山下: 確かにね。

大滝: うん。だから、みんな、タイトル気付かなかった人が多かったけど、

山下: うーん。

大滝: だから、自分でなんかやってて、なんか人のもんやってるような感じがしたよ。

山下: なるほどね。

大滝: 「マネしてんのかな?俺」みたいな感じで、ゲラゲラ笑いながらやってたけどね。

山下: はぁー。

大滝: うん。だから、「あっ、そうか」って思って、なら徹底的に27年間マネしてやれと思って、それで、そのー、「ハイカラ・ギター」なんかも敢えて入れたりとか、

山下: なるほど。

大滝: 徹底的に、もう、何度も、

山下: で、あのジャケットもああいうことになった訳ですね。

大滝: ああいうことになって、「ファースト」とおなじようにして、

山下: なるほどね。

大滝: まぁ、終わりにしても、ちょうど帰結としてはいいだろうっていうことと、やったんだけどな。で、最初、俺、1回目、これのイントロって、「C→E7」なんだけどさ、

山下: えぇ。

大滝: あのー、コード表間違えてさ、

山下: えぇ。

大滝: 「C→E7」でやってたんだよ、出だし。

山下: へぇー。あー、その、あれをね。

大滝: 出だし、やってたんだよ。

山下: えぇ、えぇ。

大滝: 「シー・オブ・ラブ」みたいになっちゃうんだけどね、俺がやると。

山下: はー、はー、はー。フフフ。

大滝: そうそうそう。君のように「ガーン」とカンツォーネ調にいかないからさ、いいんだけど、

山下: へぇー。

大滝: ああいって欲しかったのよ。で、ああいう曲が必ず続けて出てくるんじゃないかって思ってたら、不思議で。俺、偶然に「C→E7」で、間違えてたんだよ、コードが。「幸せな結末」はそれの「C→E7」のがあるんだよ。

山下: うそー?聴いてみましょう。

大滝: 聴いてみようじゃないのよ。

 曲:

大滝詠一/幸せな結末(「C→E7」のイントロ部分のみ)

山下: おかしいや。

大滝: だろう?

山下: なるほどね。

大滝: これがさ、

山下: へぇー。

大滝: あのー、キー変えた時に、間違えてこれになって、まぁ、もう1回録り直すか、ここだけ差し替えればいいかと思って、

山下: へぇー。

大滝: あのー、やってたんだけど、

山下: フフフ。

大滝: でも、絶対ね、今の世の中、「C→E7」の歌がないとダメだと思った訳よ。

山下: なるほど、ふふふ。あっ、そう?しょうがねー。

大滝: 思った訳よ。で、行ってさ、デパート買い物行ったらさ、

山下: うん。

大滝: 「カンツォーネ・フェア」っていうか、「イタリア・フェア」ってやってたんだよ。

山下: ハハハ。

大滝: ほんとに、その時期。

山下: あっ、そう?

大滝: で、「あー、呼んでるな」と思って、

山下: 「呼んでるなー」って、大滝さんそういうの、

大滝: 好きだから。

山下: ゲンかつぐからね、ほんとに。

大滝: 俺はすごく好きでさ、

山下: うん。

大滝: よくそういうこと多いからさ、

山下: フフフ。

大滝: 絶対「C→E7」のね、「ドーン」といくやつがね、

山下: あっ、そう。

大滝: なきゃダメだと思っていたらさ、

山下: いや、だけど、

大滝: 君のが「ガーン」ときたんだよ。

山下: 僕はあれをシングルにする予定、全然なかったんですよ。

大滝: ふーん。

山下: 次のアルバムまで、とっとくから、予定であれしたんだけど、CMのタイ・アップやってる人があれが好きでね、

大滝: うん。

山下: シングルにしてくれって言うんで、急遽シングルになったんで、

大滝: うーん。

山下: だから、ほんとはだから、最初に録ったオケは4リズムで録り直したんですよ。

大滝: ふん。

山下: シングル用にね。で、カスタネットが、ひとりでやってんの、あれ、元は。

大滝: あっ、はぁ。

山下: で、これでシングルにするんだったら、やっぱりナイアガラのカスタネットにしたいと思った訳。

大滝: うん。

山下: それで、大滝さんいつもやってるように、4人パーカッション呼んできて、

大滝: うん。

山下: 僕、それまでハンド・カスタをね、1個持って、「シャカシャシャ」ってやってた訳。

大滝: うん。

山下: そしたら、3連、きれいに出ないんですよ、プロじゃないから。あの人たち、あのさ、要するに、難易度の高い技をどうやってやってんのかと思って、4人呼んで、見たら、みんな両手でふたつ持ってやってて、「ズルだよー」とか言ってね。

大滝: それ、レッド・ツェッペリンの、あのー、ダブル・ドラムだったってやつじゃない?

山下: あー、そうそうそう。

大滝: 2個だったのを、どうやって1個で叩くんだっつってさ、足攣ったって、その話じゃないですか。

山下: 「ズルだよー」って。だって、「大滝さん全部ふたつ持て」って言われて、

大滝: そうだよ。だって、

山下: スレイ・ベルもね、

大滝: そうだよ。

山下: 全員ふたつ持ってて、

大滝: だって、

山下: そうだよなって。

大滝: 休ますの嫌なんだ。

山下: それだったら、あんだけ厚い音出るよなって。俺、ひとりで3回かなんかダビングしたってさ、

大滝: フフフ。

山下: 多勢に無勢だもんな、よくわかりました。次はだから、14人でやってみたいと思います、僕も。

大滝: やってくださいよ。フフフ。

山下: フフフ。

大滝: 「ナイアガラ・サウンド・トライアングル」なんだから、それでね、がんばってもらわないと。「C→E7」、君の季節が、

山下: はい。

大滝: 遂にやってきたよ。

山下: じゃ、次のシングルも「C→E7」だ。

大滝: フフフ。

 曲:

山下達郎/ヘロン(途中まで)

山下: 今年はなんか、レコードもほとんどかけないし、すごい世界でしたね。

大滝: すいませんね。

山下: いやいや、

大滝: たまになんかやると。もうないから。あと12年、またないんだから。

山下: なにが、また12年だよ。

大滝: でなきゃ、24年なくてもいいよ。そんな生きないけどさ、俺。

山下: ハレー彗星みたいなやつだな。

大滝: いいじゃない。とりあえず12年やって、やったっていう歴史的な事実はつくったんだからさ、とりあえずは。

山下: だけど、「2001年」って、大滝さん、あと何年?4年?

大滝: 3年か、4年。

山下: たいしたことない。

大滝: すぐじゃん。

山下: 2年で2曲、あっ、2ヵ月で2曲かけるんだから、1年に1枚だって楽勝じゃないですか。

大滝: できる訳ないじゃん。

山下: 3年で12枚出したんですから。

大滝: やる気ないんだもん。

山下: フフフフ。

大滝: 2001年まで待とうよ。来るのか、21世紀なんて。

山下: そうか、僕、僕わかった。大滝さんの乗せ方というのをね、ちょっと僕はね、

大滝: フフフ、君、なんか毎年言ってたよ、そういうこと。

山下: いや、僕の乗せ方じゃダメだったんだ、やっぱり。

大滝: 失敗したのか。

山下: うん、そう。

大滝: もうひとつ、プロデューサーとして、もう一歩いくには、乗せ方、

山下: いやー、

大滝: そうそう。

山下: やっぱチバシュウサクにはなれねーな。

大滝: なんだかなー!なんだ、それ?やっぱり「押してもダメなら、引いてみな」ってこともあるんだ、世の中にはさ。

山下: うーん。ほんとにそうね。

大滝: そうなんだよ。

山下: 引くとあれですよね、うん。

大滝: 引いても来ないときがあるから、ヤダってんだ、ハハハ。

山下: ハハハ。

大滝: フフフ。

山下: しょうがねーなー。

大滝: そうそう、わかったと思うところが、またね、わからないことの始まりなんだよ。

山下: うーん。日々是勉強。

大滝: まっ、

山下: よくわかりませんが、ひとつ今年も、

大滝: また、呼んでください、また、来年も。

山下: よろしくお願いします。

大滝: ひとつよろしくお願いいたしますー。

山下: お送りいたしてまいりました「山下達郎サンデー・ソング・ブック」。新春恒例、大滝詠一さんをゲストにお迎えしたしまして、新春放談。いかがでしたでしょうか?また、来年になりますとですね、気が変わる人なのでですね、1時間や2時間の言葉で絶対にその気になってはいけません。また、いきなり「レコードをつくる」と言い始めるかもしれませんしですね。気が付いてみたら、アルバムが出ちゃったとか、油断もスキもない。そういう訳でございまして、えー、また来年も新春放談、いろいろと音源持ってきていただけることと思いますが、今年はとりあえずここでお開きでございます。また来年をお楽しみに。そういう訳で、先週、今週と新春放談のプログラムなので、お聴きのように話が長いので、いつも、恒例のですね、エンディングの誕生日メッセージの代読、今週と先週はですね、お休みさせていただきますので、あしからずご了承ください。来週のレギュラー・プログラムから、また、復活いたします。来週はとりあえずですね、そんな訳で、デモ・テープずっとつくっておりますので、「棚からひとつかみ」、得意のパターンでございまして、年末のリクエスト・カードの残り、残りって、「残り物には福がある」、そういうようなものに助けていただきまして、来週は「棚からひとつかみ」。「山下達郎ジャックスカード・サンデー・ソング・ブック」。来週もセイム・タイム、セイム・チャンネルで、1998年、がんばっていきたいと思います。来週のこの時間まで、みなさんごきげんよう、さよなら。

 ついに最後まで終わりました。ふとした思いつきで始めましたが、この企画のおかげで1年半以上もネタに困ることはありませんでした。まだ、1984年の1回目、2回目、それから、1990年の「新春大放談」が残っていますが、これもぼちぼちやっていきます。さて、これ以後の展開ですが、まずは、再度聴き取りを行い、内容の精度を上げていく予定です。みなさんからの校正情報をお待ちしています。
 今回の放送ですが、なんとなく最終回的(総集編的)な感じを受けました。あそこまで大滝さんが「ネタばらし」をすることは、これまでなかったような気がしますし、「陽気に行こうぜ」では「収めのレコーディング」という言葉が出てくるし、「私の天竺」では、日本ポップスの総括をやったようだし、この活字起こしをしながら、「大滝さん、ほんとに一区切りつけるみたいだなー」と感じると同時に、「この一区切りが次の始まりであって欲しいなー」とも思ったのでした。この活字起こしの作業中、神田の古本屋で入手した「ポップス・イン・ジャパン」で、大滝さんの「ポップス“普動説”」を偶然読んだんですが、二村定一さんの「私の青空」について言及してますし、「アミーゴ・ガレージ」にて紹介された「ドラマと主題歌」についても語られていますので、どうして「私の天竺」に至ったかに興味がある方は、ぜひともこの「ポップス“普動説”」を読んで欲しいと思います。といっても、なかなか見つからないと思いますので、今後発売されるであろう「All About Niagara」の改訂版に期待するとしましょう。

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