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1999.1.10 サンデー・ソング・ブック

山下: みなさん、こんにちは。ごきげんいかがでしょうか、山下達郎です。毎週日曜、午後2時からの55分間は、私、山下達郎がお送りいたします「ジャックスカード・サンデー・ソング・ブック」の時間であります。東京FMをキー・ステーションといたしまして、全国35局ネットでお届けしております。えー、早いものでございまして、松の内過ぎまして、10日。えー、もう、仕事がスタートする季節でございますけどもですね、先週に引き続きまして、大滝詠一さんをお招きいたしまして、「新春放談パート2」お届けいたします。今日も「濃いー」のがたくさん聞けると思います。お楽しみに。私の7年ぶりのコンサートツアー、今週は火曜日、水曜日、12、13で福岡でございます。福岡サンパレス、えー、去年の春の「伝説ライブ」から、久しぶりの福岡でございます。やっと福岡にたどり着きました。博多のみなさん、よろしくお願いします。今週末16日、土曜日、そして、来週の17日の日曜日は、NHKホール。初めてのNHKホールでございまして、どんなホールか楽しみでございますね。えー、東京のみなさん、NHKホールにいらっしゃるみなさん、お待ちもうしあげております。そういうわけで、今日は、大滝詠一さんと「新春放談パート2」。えー、最後までごゆっくりお楽しみいただきたいと思います。えー、ずいぶん前からリクエストいただきまして、福島県双葉郡オオヤマススムさん。リクエスト、ピアノソロで始まるイントロの長い「パレード」。1976年のアルバム、「ナイアガラ・トライアングル」に入っております「パレード」のオリジナル・アルバム・ヴァージョンがこれでございます。今日の1曲目は、「ナイアガラ・トライアングル」から「パレード」

 曲:

山下達郎/パレード

山下: 去年より少しあれだけど、あのー、ほっぺたがふくよかになりましたね、大滝さん。

大滝: あー、そうかね?

山下: 去年、ちょっと痩せてましたよ。

大滝: 痩せるっていうか、だから、あのー、2〜3キロ。あのね、簡単なんだよね。

山下: えぇ。

大滝: あのー、これ前にいったっけかな、いわなかったかな?あのー、ベルトの、あのー、えーっと、穴、

山下: 穴?

大滝: の話しは、ラジオでしてないか?

山下: してない。

大滝: えーっと、レコーディング始めて、「これからやるぞ」っていうと、3つぐらい、あのー、締まるんだよ。

山下: へぇー。

大滝: でね、自分で調節できんの。

山下: 自分で(笑)?

大滝: うん。「やるぞ」って決めると、必ず、ベルト3個ぐらいなかに入る。

山下: へぇー。痩せるわけ?

大滝: 痩せるんー、

山下: まわし絞めるのとおんなじ?

大滝: っていうのかな。いや、無理矢理じゃなくてさ。

山下: あー、そう。

大滝: だんだん、1個ずつ減ってくんだよ。

山下: へぇー。

大滝: で、去年もだから、3個ぐらい内側に入ったの。

山下: あ、そうなの?

大滝: で、「やらない」って決めると(笑)、戻るんだよ。

山下: バカだなー(笑)。

大滝: (笑)。いや、自分で調節可能なの、ほんとに。

山下: へぇーっ。

大滝: 不思議なことなんだけど。

山下: そう考えれば、去年はあれですもんね、「幸せな結末」の直後でしたもんね。

大滝: あー、そうか。

山下: 新春放談ね。

大滝: そうね。

山下: ねっ。

大滝: もう1年経った?

山下: 経ちました。

大滝: ずっと前のような気がするな。

山下: (笑)。

大滝: なかった、なかったことのような気がするけどね、今にして思うと。

山下: (笑)。

大滝: うーん、なんだったんだか。

山下: だけど、今年のあれですよ、大滝さんのあれは、本来の、あのー、僕が知ってる大滝さんの顔に、

大滝: ねっ、いつもの。

山下: 戻りましたよ。

大滝: うーん。

山下: 去年はなんか、すごく、「カーッ」とこけててね、

大滝: うーん。

山下: 「体具合悪いのかな?」って思ったもん、一瞬。

大滝: あー。でも、入り込んでたからね。

山下: うーん。顔付きが違ってたもん。

大滝: それで、もう、戻ってきた。

山下: うん、戻ってきた。

大滝: こっちが当たり前なの。いつもの「大滝」。

山下: 今年は、「どうしたのかな?」って。

大滝: なんかよくないね、ああいうのは。

山下: (笑)、なんと申しましょうか。

大滝: (笑)、本来の自分がやっぱり一番、自分としては楽でいいね。

山下: あの、意外とだから、やっぱり、あれなんですよ、芸事の世界で、一般的にそうだけど、「大滝さんはやっぱりそうなんだ」っていうのがよくわかりましたよ。だから、人にはね、「俺は、そんなもん、別にさ、たいしてやってないんだ」って顔をしつつ、やっぱり、それはすごく入り込んで、やってるんですよね。

大滝: あのね、いやいや、歌う…、だから、なんていうの?前に、去年もいってるし、前にもいってるけど、「歌う」ってことは、前面に立つことでしょ?

山下: うん。

大滝: で、嫌が応でもさ。

山下: そうですね。

大滝: で、表に出てやらなくて、コンサートやらなくて、テレビ出て歌わなくても、

山下: うん。

大滝: 「歌う」っていうこと自体が矢面立つことだから、

山下: そうですね。

大滝: 表に立つことと、やっぱり裏方とさ、まるっきり裏表なんだよ。昼とか夜とか。

山下: うん、そうですね。

大滝: わかるでしょ、当然?

山下: わかります。

大滝: やってる側っていうのは、

山下: えぇ。

大滝: 後ろ側にいるか、前側にいるかっていうのは、実はね、磁場の、あのー、

山下: あれが全然違いますよね。

大滝: 反転って、ぜんっぜん違うんだよ。

山下: NとSですもんね。

大滝: だから、それをね、表に出て行ったときに、裏の顔で出て行くと絶対失敗するわけ。

山下: (笑)、確かにね。

大滝: で、表の顔で裏やっても、失敗するんだよ。

山下: うん。

大滝: あの、テンション高すぎて。

山下: そうね(笑)。

大滝: で、それっていうのは、ほんとにね、

山下: 使い分けがね。

大滝: そのー、「ハレ」と「ケ」の、生き方っていうのはね、黄泉の国から、あのー、

山下: (笑)。

大滝: 現世出てくるっていうののあれとかね。そのー、だからあれだよね、格闘技なんかの人なんかで、やる場合に、そのー、何ヵ月間か山篭もりして、

山下: うん。

大滝: 一点に集中するっていうのは、だって、普段からね、

山下: うん。

大滝: あっ、だから、「普段は優しいんですね」って、当たり前じゃない、そんなもの。

山下: (笑)、そうですよね。

大滝: だから、そういうことが必要でね。だから、一旦あっちの国にいってたんですよね。

山下: いいって、いかなくても(笑)。

大滝: だから、いかないとできないんだって。で、戻ってくるっていうことなんだけれどもね。

山下: なるほど。やっぱり、「うた歌い」としての情念っていうかね。

大滝: まぁ、やるからにはね。やらないんだったらあれで、ちょっとしたもんだったら、あれだけど。それでも、やっぱり、矢面に立ってやらなきゃいけないっていうときは、やらなきゃ、そりゃ失礼なんだよね、

山下: うーん。

大滝: 出す限りにおいてはさ。

山下: なるほど。

大滝: うーん。

山下: なかなか、

大滝: どないだっか?

山下: 含蓄のあるお言葉。

大滝: いやいや、なかなかに(笑)。

山下: (笑)、ほんとにだけど、あれですよ、あのー、

大滝: いつもこうだから。

山下: うん。いつもの大滝さんの顔に戻ってますよ。

大滝: そうそうそう、うん。このね、優しい、

山下: (笑)。

大滝: 平穏な(笑)。

山下: (笑)、オヤジの。それで、もう1枚、去年出ました市川実和子さんのですけどですね。

大滝: あー、はいはい。

山下: あれは、あのー、「幸せな結末」とおんなじプロジェクトですね?

大滝: プロジェクトです。全くいっしょで。

山下: プロジェクトですよね?

大滝: はい。

山下: だけど、

大滝: で、彼女がポスターに使われてたっていうところで。だから、まぁ、それの、あのー、後日談のようなものなんでしょうね、これはね、ある意味合いでは。

山下: (笑)。

大滝: おなじプロジェクトですからね。

山下: なるほど、その後の「幸せな結末」ってやつですね。

大滝: そうそうそう。だから、そのー、打ち上げのようなものですかね。

山下: だけど、大滝さんが、えーっと、自分で編曲して、リズム・セクションとったやつでは、初めてカラオケが出た、入ったんじゃないですか、CDに。

大滝: あー、そうでしたね。

山下: ねぇ。

大滝: えぇ。で、違ってますけどね。純カラじゃないですから。

山下: あー、そうなの?

大滝: はい。

山下: (笑)、また。

大滝: 「カラオケの方がいい」っていう噂があるのは(笑)、ちょっと、あのー、いいんだか、悪いんだか、よくわかりませんけど。

山下: テイクが違うってことじゃないんでしょ?

大滝: えーっと、テイクはいっしょなんですけど、ミックスが違う。

山下: ミックス。

大滝: カラオケだけかけますか、じゃあ?

山下: カラオケかけましょうか。

大滝: カラオケ、このカラオケいいんですよ。

山下: カラオケかける(笑)。

大滝: 「カラオケいいんですよ」っていういいかたはね、ちょっとね、あのー、

山下: ひでー(笑)。

大滝: あれですけど、問題ありますけどね。

山下: なるほど。

大滝: 曲はいい。

山下: いや、だから、それが、ナイアガラの、要するに、ああいう、フリークの人は、

大滝: うーん。

山下: 初めて、

大滝: 初めて。

山下: カラオケ聴くから、

大滝: 純カラじゃないから。

山下: なるほど。

大滝: ねっ。これが、このしぶといところなんだよ。

山下: 転んでもただでは起きないっていうかね、まっ、僕もコーラスのバランス換えたりするけどね。

大滝: どないだっか?

山下: (笑)。

 曲:

ポップ・スター(カラオケ)

山下: なるほど。

大滝: そうよ。

山下: 左が茂で、

大滝: 左が茂で、

山下: 真ん中の、あのー、

大滝: 真ん中が徳ちゃんで、

山下: 徳ちゃんで、

大滝: 右方が村松と。

山下: 右が村松君ですね。なるほど。

大滝: 3ギターで。

山下: そうか。入ってない、楽器の編成は、要するに、別に抜いてるとかじゃなくて、

大滝: じゃないですね。

山下: バランスが変わるとかですね。

大滝: まぁ、とにかく、結構バラバラ。あっ、1個だけ。あのー、オリジナルにはアコースティック入ってない。

山下: あっ、そうなの?

大滝: うん、外した。

山下: (笑)、うまりかたがね。

大滝: カラオケは、アコースティック・フィーチャー。

山下: なるほど。

大滝: うん。

山下: これはだから、初めてのナイアガラ・オケのカラオケだっつってね。

大滝: まぁ、市販されたっていうか。でも、以前、アナログではね、

山下: ですよね。

大滝: あのー、「あなたが歌うナイアガラ音頭」という、そのー、

山下: 「ナイアガラ音頭」ってのがありましたね。

大滝: A・B面でカラオケで出して、「手ぇ、抜いた」って非難されましたからね。

山下: (笑)。

大滝: 1977年に。「なんでカラオケつくるのか」って、何度もいうけどね。「なんでカラオケ付けないんだ」、俺は最初からつけてるって。

山下: つけてたって(笑)。

大滝: 77年にやってんの。

山下: いいよな。

大滝: みんなに、やると文句いわれたんだもん、俺は。

山下: (笑)。

大滝: 君じゃないけど、トラウマだよ、トラウマ!

山下: (笑)。だけど、この、あのー、曲はあれですよ、僕のなかでの大滝さんのイメージですよ。

大滝: いやはや。

山下: 久しぶりに。あのー、だから、「ナイアガラ・ムーン」となにも変わってないですもんね。

大滝: うん、痛快だよね。

山下: えぇ。

大滝: 自分でいってる(笑)。

山下: 全然だいじょうぶなのに。

大滝: うーん。

山下: だから、これで、で、あのー、朝妻さんは、「この勢いで、自分のアルバムつくればいいのに」って。

大滝: 「勢い」でつくってんじゃないんだよ、俺は。

山下: (爆笑)。

大滝: 俺は。実力でやってるだけで、んな、「勢い」なんかでやるのはね、素人のうちなんだよ、そんなもんは。

山下: 輪ゴム鉄砲じゃないんだってね(笑)。

大滝: ほんとにもう(笑)。なに考えてんだかなー。あれだよ、「昨日、今日じゃない」って、長年いってんじゃないのよ、そんな。

山下: いや、だけど、「どういったら、つくってもらえるんだろう」つってね、みんなね。

大滝: うん。

山下: いってるわけですよ。

大滝: 「もらえる」とか、そういう種類のもんじゃないでしょ、なんか。

山下: (笑)。

大滝: いいじゃないのよ、ねぇ。

山下: だって、ビジネス絡んでんだもん。

大滝: 向こうはね。

山下: (笑)。

大滝: 俺はなんにも絡んでないんだもの。

山下: いいよねー(笑)。

大滝: なんでー?

山下: 最高だよね(笑)。

大滝: もう飽きたよー。くたびれたよー。

山下: だけど、曲書く意志はあるじゃないですか?

大滝: うん、頼まれりゃぁね。

山下: (笑)。

大滝: でさ、いや、やっぱ、つくづく思ったけどさ、

山下: えぇ。

大滝: あのー、頼まれないと、できないんだね。

山下: (笑)、それはそうですよね。

大滝: ねっ。

山下: 「無」から、「ただ、3曲書け」とかいったって、ダメですよね。

大滝: だからさ、だから、去年、なんで、「ポッ」とやったかって、だから、頼まれたからじゃないのよ。

山下: なるほど。

大滝: で、「その間、なんで?」って、頼みに来ないもの。

山下: なるほど。

大滝: いや、自慢じゃないけど、誰も頼んでこないね。

山下: うーん、なるほど。

大滝: 立派なもんだね。

山下: 論法としては、非常にあってるだけに、なんにもいえません。

大滝: いや、論法じゃありません。事実を述べてるだけなんだよ。

山下: いやいや、

大滝: ほんとに来ないんだから。

山下: 説得力があるな、それ(笑)。

大滝: で、嘘じゃないしね。頼まれないとできないし、頼まれても、できないことだってあるでしょ?

山下: うん。

大滝: 人間の能力があるからさ。

山下: ですよね。ましてや、

大滝: でしょ?

山下: 頼まれてないんだから。

大滝: 「いわんやをや」だよな(笑)。

山下: 「いわんやをや」(笑)。

大滝: なんだい(笑)。

山下: なに?よくわからない(笑)。

大滝: いや、でも、ほんとのこといってるんだけどな。どうして、なんか、みんなわかんないんだろ?

山下: ほんとのことをいうとですね、

大滝: あるんだよ。そういうこといわないの。

山下: (笑)。

大滝: 例えばさ、大家になってさ、なんとかになったりすると、みんな、そのー、注文やなんとかが、どっさり殺到してなんとかって思ってるけど、それは、いるだろ?俺、あんまり見たことないけど、そういう人って(笑)。

山下: (笑)。

大滝: でも、まぁ、世の中みてると、「ジャンジャン」書いてる人いるからさ。「あー、いるんだな」とは思うけどさ。

山下: うん。

大滝: でも、なんで、それで、例えば、評論家かなんかが、「集中することのなんとか」とかさ、

山下: うん。

大滝: あるいは、大きくいえば、「一極集中の是非云々」とかさ、

山下: うんうん。

大滝: 都市、

山下: (笑)。

大滝: そのー、遷都論とか、いろいろそういいながらも、なんだかんだいって、片方はそういうだけで、

山下: うん。

大滝: 現実的には、なんか、そう集中してるものはなにひとつ変わらないと。

山下: そうですよね。動かないですもんね。

大滝: んで、だから、集中を、「じゃぁ、排除しよう」ということで、そういう、隔月とか、こう、あいだをやってると、「何でやらないんだ?」って。

山下: (笑)。

大滝: なんだか、よくわかんないんだよな。

山下: まぁ、だから、

大滝: どないでっか?

山下: 大滝さんに煽られていうわけじゃないですけど、

大滝: うーん。

山下: あのー、ほら、作家的衝動とかね、作曲的な衝動ってのは、別に、ほら、完全に、ただ風呂入って、「さあ、つくるぞ!」とかいって、できるわけないんですよね。

大滝: うん。

山下: だから、

大滝: みんなそう思ってるのか?

山下: いえ、みんなそう思ってますよ。

大滝: あー、そう?

山下: だから、「無」から「有」を、あのー、霊感みたいな、「パァーッ」とあって、「あ、これはこういう曲をつくるんだ」といって、

大滝: あー、錬金術師みたいに、こう、「フッ」と。

山下: そんなこと、できるわけないんですよ。

大滝: なんで?

山下: やっぱり、その、なんか、「物を見る」とか、例えば、「コマーシャルをなんか形にしよう」とか、「どういう曲を書こう」とか、

大滝: うん。

山下: そういう、こう、やっぱり、プロジェクトみたいなのがありますから。ポップ・ミュージックって、全部そうですもん。

大滝: なんかに触発されるもんなんだよな、普通はな。

山下: 特に、作家的な仕事ってそうだから。

大滝: うん。

山下: だから、アイドルがいて、

大滝: うん。

山下: 「この人の新曲をお願いします」って、あれして。

大滝: あー。

山下: だから、スクリーン・ジェームス(?)ですよね。そこで、あのー、ようするに、例えば、女の子のアイドルに書く曲、だから、もっと漠然と、例えば、ヒット曲?

大滝: うん。

山下: 「書け」っつって、そういうとこでもいいんですけど、具体性がひとかけらでもない、

大滝: うんうん。

山下: 作曲なんて、ないんですよ。

大滝: ない。絶対ありえない。

山下: それは、すべての創作がだって、そうじゃないですか。

大滝: そうそう。

山下: それがやっぱりね、あのー、なんかすごく芸術家、

大滝: そうそう、そうなんだ。芸術っていうものを、

山下: ていうものを、

大滝: だから、明治のときに輸入して、

山下: うん。

大滝: なんか、そう、こう、捉え方がね、

山下: なんかちょっと間違ってるね。

大滝: なんか、異常に堅苦しい捉え方をしたまんま、その100何十年間、ずーっとそのまんまなんだよ。

山下: 偉人の伝記っていうかね。

大滝: もう、いい。だから、いいかげんにさ、そういう、だから、「明治の呪縛から逃れよう」っていうことをやるために、ずーっと、「分母分子論」から、「普動説」から、あれだけ語ってるんだけどさ、

山下: (笑)。

大滝: がんじがらめなんだよ、これが。

山下: うん。

大滝: どういうわけだか。

山下: だから、毎年1枚アルバムをつくってね、そのー、ツアーをやって、それがだから、結局、ようするにそのー、「ポップ・ミュージック」としての一番すごい形?

大滝: それになったのも、だって、ここ10何年でしょ、だって?

山下: (笑)、そうですよ。

大滝: そんな、昔の人が毎年アルバムなんて、

山下: あるわけないですよ。

大滝: ヒット曲のある人、ねぇ、ご存知のとおり、

山下: そうですよ。

大滝: ヒット曲のある人しか、アルバムできなかったってんで、

山下: そうですよ。

大滝: 今更こんなことさ、いってもなんだけども。

山下: 御三家とかね、

大滝: うん。

山下: 確かに、シングルの売り上げすごいけど、LPはもう、全然そんなことないですからね。

大滝: アメリカだって、だから、モビー・グレイプがLPデビューしたとかさ、ドアーズがLPデビューした67年ぐらいのところからでね。

山下: やっとですよね。

大滝: うん。

山下: それまでヒット曲の、そういう、寄せ集め以上のものないですからね。

大滝: まだ、30年ぐらいのもんでしょ?

山下: えぇ。

大滝: でも、それ、アルバムの方が「中心になった」なんてのは、また、それから何年か経つし、

山下: うん。

大滝: 日本だって、80年代入ってからなんだからさ。

山下: そうですよね。フォー・シーズンズとかね、そんなもう、アルバムは別に、単なる添え物ですからね。

大滝: うん、そうそうそう。シングルがメインだった時代はね。

山下: うん。

大滝: だから、そういうようなのは、「定型化した」ってこと自体ね、考えるべきでね。

山下: (笑)。だけど、まぁ、ほら、昔からあったと思うじゃないですか。

大滝: たかが20年なんだよ。

山下: 「アナログ盤っていうのがあった」ってことが、もうわからないような時代に、だんだんなりつつありますからね。

大滝: まぁ、あるんでしょうけどね。

山下: えぇ。

大滝: いいんだよ、わかんなくて。

山下: (笑)。

大滝: 最近、こればっかり(笑)。

山下: 今回ね、

大滝: うん。

山下: たくさん手紙が来てるんですけどね。

大滝: たくさんの割には、少ないじゃない、読むのがよ。

山下: すいませんね(笑)。だから、今回はこれからちょっといって。

大滝: (笑)。

山下: 一番ね、おかしかったのはこれ。これ、多賀城っていうのかな?

大滝: あー、多賀城、

山下: 多賀城市ってのかな?

大滝: 多賀城市ってあるんだね。

山下: 九州の方ですかね?佐藤勝さん。

大滝: はぁーん。

山下: 「大滝さん、山下さん、明けましておめでとうございます。毎年、新春放談を楽しみにしているナイアガラ・フリークを自認する者です」

大滝: 自認する(笑)。

山下: 「当然この番組は毎週欠かさず拝聴しております。一昨年のナイアガラの復活、シングル1枚だけですが、昨年の玉カル、市川美和子さんのシングルと定期的なリリースが続き、ファンとしては嬉しい限りです」

大滝: (笑)。

山下: 充分、ナイアガラーとしてのスタンスがおありになってますね。「さて、一昨年でしたか番組の冒頭でファンの方がTシャツを送ってこられ、紹介されておりました。他の方からの『ナイアガラ・グッズは何かないのか?』との質問に、大滝さんは番組の中で『期待するのではなく、自分でできることは自分でやりなさい』というような発言をされておりました。それで私、調子に乗ってナイアガラ・レーベルのロゴ、およびケゴン、発音の仕方は違いますね、プロジェクトのステッカーを作りました」。本業がシール印刷だそうです。

大滝: へぇー(笑)。

山下: 「結構良いできに仕上がりましたので、大滝さんに進呈し、是非番組中で評価していただければと思います」

大滝: (笑)。

山下: えー(笑)、「このステッカーはシルク印刷で制作されており」

大滝: ほぉーっ。

山下: 「色調は青と赤、共にパール調に仕上げてみました」

大滝: あーっ(笑)。

山下: 「表面にはPPラミネート加工を施してありますので」(笑)、

大滝: (笑)。

山下: 「雨に打たれても全く問題がありません。シルク印刷故、耐候性に乏しく」、いや、「著しく優れており、車に貼っていただいても3年は色落ちの心配はありません」

大滝: おーっ、そう?

山下: 通販のカガミみたいな手紙で。

大滝: おーっ。

山下: 「もし、気に入っていただけましたら、ナイアガラ“非公認公認”に認定していただきたいのです。図々しいとは思いますが、なにとぞ、評価のほどよろしくお願いします」

大滝: いやー、昔、つくってたんですよね、ちょうどね。

山下: そうですね。

大滝: 覚えあるでしょ、こういうのね?

山下: いいじゃないですか、それ。

大滝: うーん。いや、これ、このままでしたよ。

山下: (笑)。

大滝: “公認”って、どう、公認して売り出されたって、これ、パテントあるからね。

山下: (笑)、確かにね。だから、まぁ、

大滝: いや、立派なできですよ。

山下: すばらしいですよね。

大滝: うん。ケゴンもずいぶん、こんなでかくしてもらったの、初めてだな。

山下: (笑)。僕、それもらって、車に貼りましょう。

大滝: これを(笑)。

山下: 「3年はもつ」。すごいですね。

大滝: 3年もつんだ。

山下: これ、あれ、あれですよ。やっぱり、あのー、オンライン、テレビでショッピング。

大滝: はい。

山下: テレビ・ショッピングで「ナイアガラ・ステッカー」

大滝: すごいらしいよね、テレビ・ショッピング、今はね。

山下: 「20枚セット、たったの6000円!」とか、そういう(笑)。

大滝: いいんじゃない(笑)。

山下: ナイアガラ・グッズ、いいな、それ。

大滝: 頼もうかな、ここにね。

山下: いいですね。

大滝: 欲しい人に。あっ、製作はこの人に頼んで、あのー、ナイアガラが販売する分には一向に問題ないんだ。

山下: そうですね。単価どのぐらいなんでしょうね?これね、えぇ。

大滝: どんなもんでしょうね?ちょっと、じゃぁ、「委細面談」ってぇことで。

山下: 「委細面談」(笑)。

大滝: えぇ(笑)。

山下: いいね。

大滝: (笑)。

山下: これがすごいんです、これが。ちょっと長いんですけどね。長いわりには、あんまり内容がね(笑)。

大滝: そういうもんばっかりだよな。

山下: えーっとですね、松本市のアオキヨウコさん。

大滝: はい。

山下: えー、「私は36の保母をしているアオキヨウコと申します。職場では『ヨウピン』と呼ばれています。その『ヨウピン』が、2ヵ月ほど前、Kさんの勧めで、昔聴いていた大滝様の曲を聴くようになりました。最初は懐かしいだけの思いだったのですが、1週間ほどしたころから、『なくてはならないもの』になってしまい」、なんか、草加せんべいみたいですね。

大滝: なんだよ、それ(笑)。

山下: 「今現在、はまりにはまってます。私のなかで、何かがはじけてしまった状態です」

大滝: あら、まぁ。

山下: ナイアガラの人って、こういう人多いです。

大滝: おかわいそうに。

山下: 「今は1曲、1曲、じっくり、じっくり味わいながら楽しんだり、苦しんだりしています」

大滝: 苦しんでるって(笑)?

山下: いくら丼じゃないって。えー、「そんな母を見て、3才半になる娘も、いつのまにか、少しずつですが、大滝さんの曲を口ずさむようになりました。『覚えてね』といったわけでもないのですが、自分の気に入った部分を歌って、楽しんでます」。ほら、童謡ですから、これ。

大滝: うん。

山下: 「なかでも、『FUN×4』は大のお気に入りで、突っかかりながらも覚えてしまいました」

大滝: はぁ。

山下: 「娘はナエと申しますが、『ナエちゃん、どうしてお歌を覚えたの?』との母の問いかけに」

大滝: うん。

山下: 「『おかあちゃんが心から教えてくれたからだよ』と」

大滝: おーっ、すごいねー。

山下: 「涙が出るようなことをいうのです」

大滝: そんなこというの?

山下: 「言葉で教えなくても、私が心から大滝様の曲を愛してることが娘に伝わったのでしょう」

大滝: うーん。

山下: 「その娘、ナエが歌っているようすを、ひとめ大滝様に見ていただきたく、思い切って」

大滝: ほぉ。

山下: 「ビデオを送らせていただきました」(笑)。

大滝: あっらー。

山下: 「ぜひ見てください。目をとおして、すてきな想い出をいっぱいくださる大滝様と、その曲を聴くきっかけをくれたKさんに感謝をして、ペンをおきます」

大滝: あらーっ。

山下: はい、ビデオ(笑)。

大滝: もう、ビデオの投稿番組になっちゃったね、もうね。

山下: (笑)、すごいよね。

大滝: すごい(笑)。

山下: ほんとに「濃い」よ(笑)、大滝さんのファンって。

大滝: あやー。これ、見なきゃいけないんだよね、これ、きっと(笑)。

山下: (笑)。渡しましたから。あとは知りませんよ、私。

大滝: あら、まぁー、ほんとに。

山下: いいよねー、ほんとに。

大滝: えぇ。ありがとうございましたというべきか、なんというべきか。

山下: えー、質問関係、結構来てるんですよ。神奈川県大和市クモリゾラ、よくわかんないね、この人(笑)。「大滝さんに10の質問があります」

大滝: 10の質問(笑)。

山下: 「ちゃかさずにまじめに答えてくださいね」

大滝: すごいね、なんなんだ、それ(笑)。

山下: (笑)。

大滝: いつも、なんか、ちゃかして答えてるっていうわけ?

山下: もうあれだね、果たし合いだね(笑)。

大滝: (笑)。

山下: ほんとに。荒木又衛門だね、ほんとに。

大滝: でだしからくるもんな。

山下: えー、「1 兄弟はいますか?」

大滝: こんなもん、ちゃかしても、全然おもしろくないもんね。

山下: ねぇ。

大滝: あー、そうか。この人、いくつぐらいの人なの?

山下: えー、いや、年書いてないです。

大滝: 若い人なのかな?

山下: 今、字だとわかりませんからね。

大滝: あー、まぁね。

山下: えぇ。

大滝: これはね、山下君同様、ねっ、

山下: えぇ。

大滝: わかると思いますけど、一人っ子ですよ。

山下: 私たちは一人っ子です。

大滝: えぇ。

山下: 「2 作曲するとき、何か楽器を使うのですか?」。当たりめーだろ、んなの。

大滝: ねぇ。

山下: 何を、楽器を使うんでしょ?

大滝: 基本的には、最初は「なし」なんですよね。

山下: ほー。

大滝: あの、構想から、だから。

山下: あー、そうですね。大滝さんにとっては、

大滝: 要するに、それは作曲とは呼ばないんだよね。

山下: いや、構想だって、作曲ですよ、立派な。

大滝: うん、そうなんだよ。だから、構想は山のようにあるんだけど、構想は「何もなし」ですよね。

山下: (笑)。

大滝: あのー、そういうことですね。

山下: 大滝さんにとっては、構想は非常に重要なファクターを表してますね。

大滝: そうなんですよ、実をいうと。構想のみでね。

山下: (笑)。

大滝: たいてい、それで、でも、「企画倒れ」って、いつもいわれてるっていうぐらいで。これは茶化しじゃないですよ。これはほんとですからね。

山下: 「3」

大滝: はい。

山下: 「『空飛ぶくじら』でピアノ、クラリネットを演奏してる人を教えてください」。んなこと聞いてどうするんだ?

大滝: 誰だったっけな?

山下: このころって、結構、クレジットはっきりしてないでしょ?

大滝: そうなの。

山下: ねぇ。

大滝: あんまり覚えてないんですけどね。

山下: あれ、なんで「空飛ぶくじら」をクラリネットにしようと?あれ、いわゆる、デキシー・ランド風味にしようと思ってつくったんですか?

大滝: うん、そうそう。あのー、ジミー・ロジャース聴いてたんですよ。

山下: あー、ウエスタン・スイングね。

大滝: それで、「朝寝坊」が、そのー、だから、あのー、ヨーデルを研究したときに。あのー、日本じゃウイリー沖山だけどさ(笑)。で、ウイリー沖山っていったらさ(笑)、昔、一度、この番組でいったと思うけど、

山下: えぇ。

大滝: 「空飛ぶくじら」、じゃなくて、「空いろのくれよん」、初めて日比谷の野音でやって、「ユールレヒ〜」ってやってたらさ、「ウイリー沖山!」っていう声がかかった(笑)。俺は好きだなー、あの男。

山下: それ、センスいいじゃん。

大滝: うん、そうそう。

山下: へぇー。

大滝: 学生、

山下: 学生?

大滝: うん、そうそうそう。「よっ、ウイリー沖山!」って(笑)。

山下: それはセンスがいい。

大滝: そうなんだよ。

山下: へぇー。

大滝: いやー、よかったな、あのころは。

山下: いい時代ですね。

大滝: ああいう、そうそう。好きだったなー。

山下: へぇー。

大滝: ああいう時代で、なんか、あのー、コンサートっていうのはすごく。

 曲:

大滝詠一/空いろのくれよん(ヨーデル部分のみ)

大滝: 君んとこでも、なんかいろいろ、声かかるよね(笑)。

山下: ろくなこといわれないからね。

大滝: いいよね、でも。男から、なかなか、声かかるコンサートって少ないんじゃないの?

山下: (笑)、客は、やってるやつにいうんですよ。

大滝: 最近の、また、男の子はおとなしいしね。

山下: そうですね。

大滝: うーん。

山下: あれ、もう、だって、おじさんですもん、みんな。

大滝: また、一升瓶持ってきたりとかね、

山下: そうそうそう。

大滝: いつものね。

山下: もう、受け狙ってね。たいして変わりはしないですよ、大滝さんのお客と。

大滝: (笑)。

山下: 大滝さんだって、ライブやったら、おんなじノリですよ、あれ。

大滝: うん。

山下: ほぼ。「よっ、なんかやれ!」とか、そういうの。

大滝: 「多羅尾伴内!」とかいってね。よくいわれたしね。

山下: 「江戸門弾鉄!」とか。よくわかんない。

大滝: (笑)。

山下: だけど、あのー、大滝さんのソロ・アルバム、ベルウッドのソロ・アルバム出すころって、

大滝: えぇ。

山下: 結構、要するに、その、いろんな、例えば、その、カントリーとかね、

大滝: うーん。

山下: あのー、そういう、ウエスタン・スイングとか、もっと、要するに、そのー、ジャージーなものとか、こう、スタイル的に結構、好奇心があったんですね?

大滝: そうですね。

山下: あのころ。

大滝: うん。あのー、まだ聴いたことのない音楽だったんです、当時からしてみれば。

山下: うんうん。

大滝: だから、ポップス聴いてきて。ああいう、だから、ウエスタン、バッファロー・スプリングフィールドなり、なんなり、カントリー、カントリー・ロックが、あのー、流行してた時期に、本物のカントリーって、あのー、そう多く聴いてなかったからね。

山下: ふーん。

大滝: ドン・ギブソンだとか。

山下: うん。

大滝: あのー、ああいう、ポップ・カントリーは、たくさん、ジョニー・ティロットソンだとか、そういう、ポップ・カントリーはいっぱいあったんだけど、本物のカントリーは聴く機会がそんなになかったんで、

山下: ふーん。

大滝: あのころ、だから、ハンク・ウイリアムスの「ロング・オブ・ロンサム・ブルース」とか、あのー、ほんとのカントリーを、ずいぶん聴いて。で、ジミー・ロジャースまでいって。それで、ああいう、クラリネットが入ってたり、ジャズとカントリーの融合って、

山下: ふんふん。

大滝: サッチモが弾いて、あのー、吹いてる、

山下: うん。

大滝: あの、ジミー・ロジャースのバージョンとか聴いて、「あー、なるほど」って、

山下: なるほど。

大滝: と思って。で、とにかく、クラリネットなり、あれなり、まぁ、エーカー・ビルクなんだけどね。

山下: 僕、昔から、素朴な疑問あるんですけど、大滝さん、カバーのレコードって出さなかったじゃないですか、ついに。

大滝: まぁ、数曲、中に入れたりね。あったんだけれども。

山下: えぇ。例えば、アルバムとかさ。ストリングスをバックにさ、

大滝: うん。

山下: 例えば、カントリーの曲、やるとかね。

大滝: うん、うん。

山下: そういうようなことって、やらなかったじゃないですか、ついに。

大滝: あのー、オリジナル・アルバムとしてはね。

山下: えぇ。それ、どうしてなんですか?

大滝: なーんで、でも、向いてない。

山下: 向いてない?

大滝: うん。

山下: そうとは思えないけどな。

大滝: あのー、っていうか、ダメだね。

山下: (笑)。

大滝: だから、そういう、番組でやるとか、ステージでやるとか、あなたみたいにね、

山下: えぇ。

大滝: あのー、いいし。で、そうそう。きみのメドレーは、もう、円熟に達しているな。

山下: (笑)。

大滝: あれはやっぱり、そのー、いつものを聴きたいっていう人もいるだろうけど、やっぱり、聴く楽しみだしね。

山下: うん。

大滝: あそこに、一番、そのー、自分なりの主張とかさ、主義も入ってるし。それと娯楽性とで、あれがやっぱり、コンサートの一番の楽しみの部分なんじゃないかな?

山下: (笑)。結局、歳とったせいか、なんか、歌ってて、つまんない曲やってもしょうがないじゃないですか。

大滝: うーん。

山下: 聴いておもしろい曲と、歌っておもしろい曲ってあるんですよね。

大滝: あぁ、確かにね。

山下: で、自分のオリジナルでも、「あれ聴きたい」とかいっても、ちっとも、自分で歌ってて、おもしろくないやつがあってね。

大滝: うん、うん。あるんだよな、これが。

山下: で、そういうのって、やる気ないから、もう、そんなんやっても、結局、4分、5分、なんか自分が苦しいだけで終わるの嫌だからってね。

大滝: でも、だから、いまどきさ、だから、「オン・ザ・ストリート」、きみの場合、「オン・ザ・ストリート・コーナー」あるけれども、

山下: えぇ。

大滝: そのー、コンサートのなかでさ、そういうカバーのものを、しかも、メドレーとかさ、

山下: えぇ。

大滝: 「カバーを1曲入れる」とかっていうこと自体だって、「少ない」ということ、

山下: そうですよね。

大滝: 自体がさ、おかしいんだよ、だから。

山下: そうですよね。

大滝: みんな「オリジナル、オリジナル」って、聞こえはいいけどさ。

山下: えぇ。

大滝: それ、やっぱり、ビジネス優先し過ぎだよ、それ。

山下: (笑)。

大滝: よしなよ、音楽はもうちょっとさ、広く楽しむもんだと思うんだけどなー。

山下: だけど、自分史すらもプロモーションじゃないですか。

大滝: うん。

山下: だから、みんな今、一生懸命教えるんですよね、若い女の子にね。

大滝: ふーん。

山下: 「私はジャニスを聴いて、すごく感動した」とか、そういうこといわせるんですよ。

大滝: ふーん。

山下: 「ツェッペリンがすごかった」とかね。今の20代、30代の子どもが、ジャニス・ジョップリンのわけがないじゃないですか。

大滝: うん、ないよ。

山下: ねっ。

大滝: だって、あれ、70年代しか意味ないんだから。

山下: どうして、それを、「オフ・コース」だとか、「永ちゃん」だと素直にいえないのかっていうね。

大滝: うん。

山下: サザンだとか、それでいいじゃないかって。

大滝: だから、俺らだって、みんなビートルズ。嘘つけって。

山下: えぇ。

大滝: みんな橋幸夫と舟木一夫聴いてたじゃないのよって。

山下: ですよね。うん。

大滝: なんで、それがいけないんだって話しなんだけどさ。

山下: そうですよ。だから、、僕、三波春男さんがほんとに好き、いいと思ったから、

大滝: どう聴いてもそうだもの。

山下: (笑)。

大滝: (笑)。

山下: それ、あとにしましょう。

大滝: あとかよ(笑)。

山下: その話、あとにしましょう。それ、書いとこ(笑)。

大滝: (笑)。

山下: で、まだ質問が続くんですよ。

大滝: あっ、続くのね?

山下: えー、

大滝: なんだ、もう忘れたのかって、思ってたのになー。

山下: ダメです。「4 福生スタジオで録音していたころ、ミュージシャンは電車で福生まで来たのでしょうか?それとも、車ですか?車の人はどこに駐車したのでしょうか?」(笑)、

大滝: (笑)。

山下: きみは駐車場の業者をやろうってのか。

大滝: (拍手)

山下: いい味してるよ、ほんとに。

大滝: ほんとに、まぁ、なんとかね。

山下: 神奈川県の人とは思えないね、ほんとに。

大滝: 思いやりがあるっていうんだか、細かいっていうんだかね。

山下: うん。サム・オブ・ゼム、電車(笑)。

大滝: (笑)、きみは電車のときと、車のときあってね。電車で来て、立川で引き帰ったってこともあったしさ(笑)。

山下: (笑)。

大滝: 立川まで来てんのにね(笑)、「今日は具合が悪い」とかいって、「帰る」ってね、帰ったこともありましたね。

山下: そのとき、熱あったんですもん、だって。

大滝: あー、そうなの。

山下: えぇ。急に熱が出てきてね、

大滝: よく熱出すんだよな。

山下: 特別快速乗ってるときに、だんだん具合悪くなってきてね(笑)、

大滝: (笑)。

山下: 「これ、やっぱだめだ」と思って帰ったんですよ(笑)。

大滝: (笑)。

山下: バカ(笑)。よく覚えてるな、思い出しちゃった(笑)。

大滝: 覚えてるさー。

山下: えー、「5」。これ、だいたい僕が答えられるな、代わりに。「福生スタジオでの食事、泊まり込みの人の風呂、寝場所はどうしたのですか?」

大滝: (笑)。

山下: あんだよ、そこに、ちゃんと。そんなもん聞いたって、しょーがねーじゃん(笑)。

大滝: どうすんの、こういうこと聞いて(笑)?

山下: わかんない(笑)。

大滝: 聞きたいの?聞いて、わかって、どうするんだろうかね、この人は(笑)。おっかしいなー。

山下: えー、「6 『FUN×4』で演奏終了後、『おー、おー、』、『お手を拝借』、『よくやった大滝』、『アンコール、アンコール』といってる人をそれぞれ教えてください」

大滝: いやー、覚えてない。「お手を拝借」は俺だね。

山下: 「お手を拝借」、大滝さんなんだ。「アンコール、アンコール」っていいますね。あれ、誰なんでしょうね?

大滝: だから、「お手を拝借」で、「アンコール」のね、1回目は俺なんだよ。

山下: あー、そう?

大滝: うん。

山下: (笑)。

大滝: あれ、だから、ご存知のとおり、「偶然」だからね。

山下: うーん。

大滝: 「ナイアガラ音頭」とか、「ココナツ・ホリデー」なんかでも、みんな一発録りだからね、ああいうなのは。

山下: なるほど。

大滝: 偶然に。でも、「お手を拝借」って、俺がいってるんだから、まぁ、ある程度「意図的」ていわれりゃぁ(笑)、それまでなんだけど。

山下: いいんですよ、それは。

 曲:

大滝詠一/FUN×4(終盤部のみ)

大滝: まぁ、みんなでさ、あれ、ダビングだからね、

山下: ふん。

大滝: ヘッド・フォンで聴いてるわけですよね。

山下: えぇ。

大滝: で、ただ、こう、手だけ、叩いているから、その現場ではみんなで、こう、拍手なわけだから、そのー、異様なわけだよね。ただ、手叩いてるだけだけなんだから。

山下: まぁ、しかし、大滝さん、ほんとに好きだよね、それがね。

大滝: 好きだね。

山下: ねっ。

大滝: いや、だから、基本は、日本の歌は、「手拍子」と、あのー、「独唱」だと考えてるわけ。

山下: 「最後に騒ぐ」というさ。

大滝: うん、まぁね(笑)。

山下: もう、それがないアルバムって、1枚もないでしょ?

大滝: (笑)、きみは出だしから騒いでるじゃない。

山下: それは布谷さんにはかないませんよ、だけど。

大滝: 「FUSSA STRUT」の出だしに、大声出してるの、きみなんだからさ(笑)。

山下: あれは、単に、

大滝: とにかくさ、コーラスの前はうるさいんだよ。静かにしないんだ(笑)。それはね、よくわかるんだ。俺もそうだけど。

山下: (笑)。

大滝: 「シーン」とするのいやだから、

山下: そう。

大滝: ずーっと、しゃべってるわけ。

山下: そうそうそう。

大滝: 「これがさー」なんていって。で、みんな硬いんだ、他のやつは、顔色が。

山下: そうそうそう(笑)、準備してるからね。

大滝: 準備してるの。でね、「グッ」と硬くなっているから、なんか笑わそうってんで、

山下: そうそう(笑)。

大滝: 「この前さー、あんなことがあってさー」って、ゲラゲラ笑ってて、

山下: 確かにそう。

大滝: で、こっちもそのタイミングでさ。あのー、ほれで、「ポン」と始めるっていうね。

山下: (笑)。

大滝: いつものパターン。だから、そういうときに、「じゃぁ、お願いします」だとか、「いきます」とか、いわないんだな。即、そこでイントロ始めるっていう。

山下: (笑)。

大滝: まぁ、長い間のね、そういう、レコーディング・テクニックのひとつなんだよ(笑)、これっていうのは。

山下: で、あそこで本性が、みんな、出ますよね。

大滝: あの、緊張したときのね。

山下: えぇ。

大滝: うーん。

山下: だから、ああいう、あのー、シュガーのね、シュガー・ベイブの「ソングス」の、「シュガー」のうしろのあれ、10人以上いましたかね?

大滝: ずいぶんいたよね。

山下: あれで、「う゛ーっ!」っていうやつとか、「あ゛ーっ」っていうやつとか、

大滝: (笑)。

山下: その、ノリがね、

大滝: それ、出てくるよね。

山下: えぇ。

大滝: 出てくる、出てくる。

山下: で、なんで、それで、布谷さんが、「ユルシテーナー、ユルシテーナー」なのか、

大滝: 俺、よくわかんないんだよ。

山下: よくわかりませんね。

大滝: あの人、細かい芸するからね。

山下: うん。

大滝: で、わかりにくいんだろうね、細かすぎて。

山下: (笑)、段取りをどうやって組んでるんだろ?

大滝: でも、細かい芸をね、するような人じゃないんだけれどもね(笑)。ときどきね、でもね、「今度ああいうこといってやろう」とか、思ってるらしいよ。

山下: あー、そう?

大滝: うん。

山下: 計画して来てるんだ。

大滝: あー、ねっ、結構ね。

山下: じゃぁ、確信犯なんだ。

大滝: 結構、計画性があるの。

山下: へぇー。

大滝: あの男は。意外や、意外。

山下: 変な人だなー。

大滝: 変わってるね。

山下: だけど、

大滝: 俺より変わってるよ、いっとくけど。

山下: まだ、先も、レコーディングやるときも絶対ありますね。

大滝: (笑)。

山下: 今度の、そのー、実和子さんのアルバムでも、絶対。

大滝: 奇声ってのが好きだなー、なんかなー。

山下: 確かにね。

大滝: そのー、ストレンジ・ボイスとか、クワイアーとか、あのー、あるんだよね。

山下: (笑)。

大滝: あの、向こうで、「ウォーッ」、最初から最後まで、「ウォーッ」っていってる歌がさ、おかしいんだよ。2分ぐらい経ってくると、ほんとにおかしいんだよ(笑)。

山下: しょうがねー(笑)。

大滝: ああいう、バカげたレコード、評価してくれないんだよなー。

山下: あの、黒沢君がやってる「名盤解放同盟」に死ぬほど入ってるじゃないですか、そのてが。

大滝: 最初っから最後まで、「ウォーッ」っていってるアメリカのレコード、あれ、好きなんだ(笑)。

山下: (笑)。

大滝: (笑)。

山下: 今度、そういうの持ってきましょうよ。

大滝: あっ、いいね。

山下: えぇ。

大滝: そういうのばっかを。

山下: バカバカしいのいきましょうよ。

大滝: いや、だから、今年ぐらいから、また、洋楽に戻そうかなっていうふうには、

山下: そうですね。

大滝: 瞬間、思ってたんだけどさ。

山下: 来年ぐらいからやりましょうよ、それね。

大滝: うーん。

山下: 次。こんなのどうでもいいよ。「ナイアガラ以降の山下作品のなかで、好きな曲を3曲あげてください」。

大滝: うーんとね、「ライド・オン・タイム」と「クリスマス・イヴ」と、うーん、

山下: 珍しいな。

大滝: 「ヘロン」かな?

山下: ふーん。

大滝: あのね、「クリスマス・イヴ」はね、

山下: えぇ。

大滝: 「東京五輪音頭」なんだよ。

山下: おー。(笑)、ちょっと待って、「東京五輪音頭」?はい。

大滝: で、次待たるるは、あのー、「世界の国からこんにちは」なんだよ。

山下: ほーっ。

大滝: あのー、そういうね、公共性、

山下: 公共性(笑)!

大滝: あれは、「みなさんいかがでしょうか?」っていうのは、あのー、っていう意味合いの、三波春夫との共通項ってのもあるのであって、

山下: ありますね。それは絶対ある。

大滝: あるんですよ。

山下: うん。

大滝: で、一見、個的に見えるテーマでも、その、幅広いっていう意味合いからいくと、

山下: うん(笑)。

大滝: 「クリスマス・イヴ」はね、「東京五輪音頭」なんだよ。

山下: (笑)。

大滝: 今回、つくづくそう思ったよ。

山下: まぁ、だけど、観客に奉仕するっていうか、聴衆に奉仕するスタンスは、絶対に三波春夫さんがいなかったら、僕、ないです。

大滝: あー。

山下: えぇ。あの人は、そのー、あくなき奉仕の精神っていうのかな?

大滝: うんうん。

山下: 「お客様は神様です」って、

大滝: そうそう。

山下: 平気でいってのけるね、

大滝: うんうん。

山下: あの、あれは、自信なかったらできないんですよ。

大滝: まったくね。

山下: 絶対、逆に。

大滝: うーん。

山下: あれは、やっぱり、あの人がいなかったら、それはないでしょうね、きっとね。

大滝: やっぱり、「エンターテイン」っていうことの、その、本質、まぁ、それは、戦前からの、そういう、浪曲なり、

山下: そうですね。

大滝: 芸能のね、

山下: そうですね、

大滝: 基本なわけだからね。

山下: 芸能の基本ですもんね、えぇ。

大滝: それを、みごとに、そのー、脈々と、

山下: (笑)。

大滝: そこを、芸能の基本を受け継いだっていうことなんだよね。

山下: 日本のロックって、それのアンチテーゼですもんね。

大滝: まぁね、そういう、70年代のやつはね。

山下: 絶対に客に媚び売らないっていうね。

大滝: 70年代はね。

山下: うん。

大滝: うん。

山下: なるほど。大滝さんの、また、話し戻りますけど、

大滝: へー、へー。

山下: あのー、高田文夫さんの線のラインの前に、先に上岡龍太郎さんってのがいらっしゃってね(笑)。

大滝: 上岡さんね(笑)。

山下: こないだ、フェスティバル・ホールに、観にいらっしゃったんですよ。

大滝: あー、そうらしいですね。

山下: えぇ。それ、僕、昔から知り合いの桂雀々さんという上方の落語の方がいらっしゃって。

大滝: うん。

山下: その方、まぁ、呼んできてくださったんですけど、

大滝: うーん。

山下: その伏線ってのがね、こないだ、大滝さんと電話で話ししたら(笑)、

大滝: あー。

山下: 上岡さんっていうのがね、要するに、「山下達郎ってのは、浪曲の節がある」っていってね。

大滝: 浪曲なんだってことを見抜いたんだから、やっぱり、その、芸能ごとをね、極めている人ってのはわかるんだね。

山下: 珍しい人ですね、でも。それを、だから大滝さんに聞いたってのがまたね(笑)。

大滝: なんかね。知らないわけですよ、彼は。だから、僕とあなたの関係を。

山下: あー、なるほど。

大滝: 知らずに切り出したわけですよ。

山下: あー、そう?

大滝: うん。

山下: へぇー。

大滝: それで、なんかの話しの流れのなかで、どういう流れだったか忘れたんだけど、「ポン」と出たわけですよ。

山下: ふーん。

大滝: で、「誰も信じてもらえんのですけど」みたいな感じでいわれて、

山下: ふーん(笑)。

大滝: で、「いや、そうなんですよ」っていう話しをしたら(笑)、

山下: (笑)。

大滝: 「やっぱりそうですか!」

山下: 「せやろ!」

大滝: 「ポーン」と膝うって、横にいる人に、「ほらっ!」なんていって(笑)。

山下: (笑)。

大滝: (笑)。

山下: おかしい。だけど、

大滝: なんかね、長年の、なんかね、こういうつかえがとれたみたいな感じで。あのー、いってましたけどね。

山下: だけど、上岡龍太郎さんが観に来る時代になったのかってね、なんか、感慨無量のものがありましたね。

大滝: ふーん。それがなんなの(笑)?

山下: それが「浪花節」のね、絡みでね。

大滝: うーん。だから、そのー、前からいってるけど、いろんなところに、いろんなん、いってるんですよね。

山下: うん。

大滝: だから、講談が野球中継にいったりとか、

山下: あー、なるほどね。

大滝: あのー、特にそうだよね。

山下: だから、あのー、

大滝: だから、「講談がなくなった」、「浪曲がなくなった」、なんかが「なくなった」っていってるんだけど、

山下: うん。

大滝: そのー、中身が、中身の精神が違う形を借りる場合と。で、形を維持しようっていうふうに思うと、どうしても、あのー、歌舞伎や能や、伝統芸能っていうことになって、

山下: ふん。

大滝: 「形を維持する」のか、「精神を維持する」のかっていうところの、やっぱり、ふたつの問題があって。で、なくなったもので、以前に、すごい大衆に愛されたっていうものは、なんか、形変えて、実は、あのー、次にいってるんだけれども、

山下: ふーん。

大滝: わかりにくいんだよね。

山下: うん。

大滝: 形が変わってるから。みんな、形に、やっぱり、惑わされて、そのー、中身が見えないっていうことなんだけれども、実は、その、脈々とあるんですよね。

山下: 確かにそうですね。

大滝: だから、そういうふうに、なっていって、当たり前なわけですね。だから、そのなかに、もちろんさ、三波春夫だけじゃなくてね、

山下: うん。

大滝: あのー、ラスカルズからする、その、イタリアの云々の、

山下: (笑)。

大滝: そのー、流れは前々からいつもいってるとおりだしね。

山下: めちゃくちゃですね、それって(笑)。

大滝: いや、それがだんだんなってきて、だから、あのー、あるわけですよ。

山下: えぇ。

大滝: きみの場合はね。だから、僕の場合は、まぁ、エルビスがあるんだけど、エルビスと片岡千恵蔵と、

山下: 片岡千恵蔵(笑)。

大滝: 柳亭痴楽なんだよね、どういうわけだか(笑)。この三つあわせると、あのー、僕になるっていうことなんだけどさ。

山下: うーん。

大滝: だから、そういう感じなんだけどさ。

山下: 歳とったせいか、だんだん、だんだん、やっぱり、その、大滝さんに20とか、21ぐらいのときにね、教えてもらったことが、だんだん、こう、有機的に、

大滝: あら、そう?

山下: 絡んできますね。

大滝: いえ、前から持ってましたよ、あなたの場合は。

山下: いや、僕、

大滝: 70年代とか、ああいうのってのは、「出さないように、出さないように」っていうような時代だったからね。

山下: だけど本来、だけど、ロックン・ロールと落語なんて、全く関係ないものだとして、自分のなかにあるわけじゃないですか。

大滝: あー、あのころはね。

山下: だけど、話芸としては、結局、例えば、ステージのMCとかね、

大滝: うーん。

山下: そういうようなのは、結局、話芸でしかないって、わかってくるのは、

大滝: そうなの、おんなじですよ。

山下: ほんとに30過ぎてからですもん。

大滝: うーん。

山下: それまで、そういうものがね、要するに、ロックという、その、ひとつの神聖なね(笑)、その、教条主義的かもしれないけど、ああいう、こう、洋楽から来たもののステージを構築するために、「そういうファクターがあるはずがない」っていうかね、

大滝: うん。

山下: そういう、やっぱり、だから、

大滝: でもね、やってるんですよ。気づかない、

山下: なんでしょうね。

大滝: 自分は気づかなかっただけなんで、結果はおんなじだったんですけどね。

山下: でも、それが気づくころに、昔、自分がやってたことを、「なんて無駄の多いようなことだったんだ」って思ったころには、結構、もう、いい歳になってきてね、

大滝: (笑)。

山下: 「あー、惜しいことしたな」とか、思うんだけど、まぁ、しょうがないでしょうね(笑)。

大滝: (笑)。どうも、それが人生らしいんだね、どうもね。

山下: なんでしょうね。気がついたときには。

大滝: (笑)。「さりとて、墓に布団も」(?)ってやつですからね、これはね。

山下: (笑)。でね、やっぱり、ご時世なんですけど、

大滝: はぁ。

山下: リクエストっていうのも、結局、裏技が欲しいっていうね。

大滝: あー。

山下: さっき、大滝さんが、もう、だから、あのー、「全部課金する」っていいましたけど。

大滝: うん。

山下: 例えば、この人は、えー、住所、名前書いてないんだけど(笑)、

大滝: (笑)。

山下: 「ラストダンスはヘイ・ジュード」の大滝バージョンとかね。

大滝: ないね。

山下: 「ポップ・スター」の大滝バージョン。

大滝: ない。

山下: (笑)。

大滝: あるけどない。

山下: 「あるけどない」ってやつでしょ(笑)?

大滝: うん。

山下: こういう手がすごく多いですね。

大滝: あー。それ、今までほら、フリーで、

山下: えぇ、やってたから。

大滝: パブリック・ドメインでやってたから、その、いつまでも、

山下: これからフリーじゃないそうです。

大滝: うーん、そう、課金する。

山下: (笑)。

大滝: 家計助けて(笑)。

山下: そのー、具体的に、それはほんとにやるんですか?なんかやろうと思ってるんですか?

大滝: なにが?

山下: その、別バージョン集とか。

大滝: あー、だからまとめてね。ヴォックス、

山下: ヴォックスどうするんですか?

大滝: だから、出るでしょ。

山下: 出るんですか?

大滝: いつかは出るでしょう。

山下: 「いつか」ってのが(笑)。

大滝: いや、だから、2001年には出るでしょ。

山下: 「ナイアガラの旅」ですね?

大滝: そうそう。その、新作と同時に出るんでしょ。そんときに入れますから。

山下: 「CD BOOK」が前出たやつ、「BLACK BOOK」とか、ああいうのはどうするんですか?

大滝: あれも出ますよ。

山下: 出ますか?

大滝: あれ、出てないの?

山下: 出てないでしょ、「BLACK BOOK」?

大滝: あー、そうなの?

山下: (笑)、また、とぼけちゃって、ほんとに。

大滝: いや、とぼけてないんだよ(笑)。このごろ、全然そっちの方、なんかね、気にしてないの。

山下: しょうがないな、もう。

大滝: なんか、でも、聴こうと思えば聴けるでしょ。ただね、高い金出して買うことはないですよ、いっときますけど。僕に1円も入ってきませんから。

山下: (笑)。

大滝: 課金するからな、これから。

山下: いっそのこと、だから、全部、「『BLACK BOOK』も出しゃいいのに」と思うの。

大滝: だから、「ついで」にと思って。

山下: あー、ついでに?

大滝: うん。

山下: じゃぁ、2001年にすべて、あれなんですね?

大滝: そうですね。

山下: もう、モノリスですね。

大滝: うん。あのー、2001年に全部、向けて、やってますから。

山下: すべて、いくわけですね?

大滝: そうですね。

山下: 21世紀に向けて。

大滝: まぁ、それが最後だと思って。

山下: (笑)。あと2年ですよ、でも。

大滝: そうなんだよ。

山下: えぇ。

大滝: うーん。

山下: もう、ついに。

大滝: だからね、やるから。

山下: うーん。だいたい、「2001年ナイアガラの旅」はほんとに出るんでしょうか?

大滝: うーん、その、「仮題」って書いてあったからね。

山下: (笑)。

大滝: だから、正式タイトルじゃないからね、いっとくけど。

山下: 期待は、

大滝: いや、出ますよ。

山下: あっ、そうですか?

大滝: うーん。

山下: 「夏バテ」はリイシューしないんですか?

大滝: あー、あー、そうですね。

山下: えぇ。

大滝: えー、今年も企画段階に、また上がると思いますけども。まぁ、出たら買ってください。

山下: あれって、ボーナス・トラックとかあるんですかね?

大滝: ありますよ。

山下: あるんです?

大滝: うん。っていうか、もう、「ベスト・オブ布谷文夫」っていうか。

山下: へぇーっ。

大滝: まぁ、「今世紀中に出した方がいいかな」っていう気がしますね。来世紀、

山下: あれ、ライツは、ナイアガラで持ってるんですか?

大滝: ん?

山下: ライツは取ったんですか?あのー、「夏バテ」は。

大滝: 「夏バテ」は、あのー、ポリドールから出ます。

山下: ポリドール?

大滝: うん。

山下: あっ、今もポリドールですもんね。

大滝: 向こうから出ます。

山下: なるほど。

大滝: で、よく考えたけどね、21世紀向きじゃないのよ、これは。

山下: (笑)。20世紀中に?

大滝: だから、20世紀中に出した方がいいんじゃないかと、あのー、今は思ってますけど。

山下: やっぱ、土着が少しでも残っているときに。

大滝: うーん、なんかね、今のうちにね、出しておいた方がいいなっていう気はしますね。

山下: (笑)。

大滝: これはね、あのー、マニア的にはおもしろいですよ。

山下: なるほど。

大滝: 一般向きじゃないですからね。一般の人は聴かないでください。

山下: あれ、「颱風」って、シングル・バージョンと違うんですよね?

大滝: 違います。

山下: アルバムとね。

大滝: えぇ。まるで、あのー、歌も違います。

山下: あれも、しかし、ほんとになんか、あの一瞬を切り取って「パッ」とつくったようなやつですもんね。

大滝: うーん。あのね、

山下: あれ、前でも、うしろでも、あんなの、なにもないですもんね。

大滝: あれね、でもね、歴史的に何の意義があったのかが、ようやくわかったのよ。これはね、

山下: どうぞ!

大滝: 深い!

山下: どうそ。

大滝: 深いからね、私のラジオ番組聴いて。

山下: あっ。

大滝: でね、全部いってないのはね、足りなかったの、時間が。

山下: ふーん。

大滝: 時間が今回も足りなくて、

山下: 製作時間?

大滝: うん、足りなかった。っていうか、いや、

山下: 番組の時間がね?

大滝: 番組の時間が足りなかったんで、そこまでいけなかったんだけども、

山下: うん。

大滝: あのー、「夏バテ」なり、「ナイアガラ音頭」、「ナイアガラ音頭」がなんだったのかっていうのがね、

山下: うーん。

大滝: ようやくわかったよ。

山下: 「ようやく」って、自分でつくってるやつが(笑)。

大滝: いや、つくってから、20年してわかるっていうことがあるよ、世の中には。

山下: (笑)。

大滝: いちお、だからね、つくってはみるもんだね。

山下: (笑)。

大滝: とはいいながらも。

山下: 自分でやったことが、実はあんまりよくわかってないという、

大滝: わかってなかった。

山下: のがね。えぇ。みなさん、確かにね、

大滝: だから、今もね、だから、「わかるようなことはあんまりやりたくない」っていうか。だから、「なんなんだろうな?」っていうようなことだったら、なんかやれそうな気がするんだけど。

山下: うーん。

山下: お送りいたしてまいりました、「山下達郎サンデー・ソング・ブック」。えー、毎年恒例の、大滝詠一さんをゲストにお招きいたしまして、「新春放談パート2」。えー、今年はですね、だいぶ話しの量が多くて、濃いいのでですね、例年でしたら、2週間で、割とカットして、編集したりするんですけど、まぁ、編集もつまらないということで、一挙にいってしまおうと。来週もう1週間、3週間お届けいたします。ナイアガラーのファンの方にはですね、喜んでいただけると思います。えー、来週は「ヒストリー・オブ・ジャパニーズ・ロック」と絡めて、はっぴいえんどの話しなどもですね、いろいろと、もっとお伺いすることができると思います。お楽しみに。

(誕生日メッセージは省略します)

山下: 「山下達郎サンデー・ソング・ブック」、来週もセイム・タイム・セイム・チャンネルで「新春放談パート3」、お楽しみに。みなさん、ごきげんよう、さよなら。

 いやー、この回の話しの長いこと。かかった曲は4曲ですが、そのうち2曲は、ほんの数フレーズのみ。起こしても、起こしても、テープの巻きが減りませんでした(涙)。しかし、それだけに、「濃い」話が繰り広げられて、とてもいい勉強になりました。
 この回の大滝さん、2001年にはすべて出すみたいな発言をしていますが、果たして、半分でも実現するでしょうか?もし、「CD BOOK」、「BLACK BOOK」がいっしょに出るとなれば、今のうちから貯金しておかないと一度には買えそうもありませんね。
 この放送で、大滝さん、達郎さんを喜ばせた多賀城市の佐藤さんですが、HPをお持ちになっています。ステッカーを作るに至った経緯、ハガキを読まれた直後のようすなども克明に記されていますので、ご一読をお勧めします。また、ステッカーですが、このページの博物館の「開館記念」にいただきましたので、こちらに展示させていただいています。


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