ある晴れた秋の日の早朝。
神殿の屋根の上に寝そべる者がいた。
正確には、屋根の上ではなくて出窓の上である。
裏庭に向かった奥向きの窓の上で、ちょうど、どの窓からも下の庭からも見えない位置だ。
そんな場所でようやく白み始めた空を見上げているのは、いったい誰なのか。
神官姿のエルディーアであった。
これもまた正確に言うならば、彼女の名前はいくつもある。あるのだが、今ここではエルディーアと読んでおこう。
朝の祈りの時間であるはずなのに屋根の上にいるということからもわかる通り、彼女は真面目な神官ではない。
それどころか、本来は神官ですらない。
その正体は、ダリスの間諜、白鴉であった。
ダリスに雇われて内部工作のため潜入している。いわば敵役なのである。
白鴉といえば、名の知られた手練れのはず。にもかかわらず、なぜ屋根の上なんかで寝ているのかというと、要するに、暇なのであった。
ここ数ヶ月、ぱったりと繋ぎも途絶え、どうやら、ダリスと自分とを繋いでいた組織は潰されてしまったらしい。
十月に入っても、結局何の騒ぎも起こせないまま、無駄に潜入の日々を送っている、というのが実情なのである。
そうだとすれば、さっさとここから逃げ出すという選択肢もあるだろう。
だが、そこは白鴉としてのプロの矜持。彼女は契約の期限までは、神官エルディーアとしてここに留まるつもりでいる。
とはいえ闇の世界に身を沈めた人間に、敬虔な神官生活が性に合うはずもない。
表向きは大人しくしているが、時にはこうして、他人に見つからないように、さぼり、否、息抜きをしている。
今の彼女は、やる気も技術も持て余して、退屈している状態であった。
そんなエルディーアが夜明けの空を眺めていると、ふと、視界のすみで動くものをとらえた。
何だろうと思って見てみると、彼女からは見上げるような形になる、二、三百メートル離れた裏庭の高い木の枝が、さわさわと揺れている。
鳥か小動物かと思う間もなく、するすると枝の間から姿を現したのは、アンヘル族の騎士見習い、シルフィスだった。
エルディーアは、もちろんシルフィスのことを知っている。
間諜として、王都に今いる人間のことは一通り知っていると言っても過言ではない。
もっとも、彼女が知っているのはあくまでも情報としてのレベル。
もしもダリスの陰謀が着々と進んでいたとすれば、二人の間に違った出会いがあったかもしれないが、それはまた別の物語。
今のところ二人の間に接点はなく、シルフィスの方はエルディーアを知らないでいた。
ある意味王都では有名人のシルフィスが木登りをしているのを、エルディーアは屋根の上から眺めている。
シルフィスの方は、見られているのにまったく気付く様子もなく、器用に木のてっぺんまで辿り着くと、まるで空に向かって祈るように何かを唱え始めた。
声が聞こえるほど近い距離ではない。
だから本来なら、シルフィスがわざわざ木に登って何を言っているのか、わからないはずだった。
だがしかし。幸か不幸か、忍びの技の一つとして、エルディーアは読唇術を身につけていた。
唇の動きから言葉を読み取るという、あれである。
それでもシルフィスの言葉がアンヘルのものであったなら、読み取ることはできなかったろう。
だがしかし。幸か不幸か、シルフィスはクラインの言葉を口にしていた。
エルディーアは遠いなりにも、シルフィスの言葉をなんとか知ることができた。
その口許に、ゆっくりと笑いが浮かぶ。
「へええ。あの子がそんなことをねえ」
それから数日後。
神殿の墓地に佇む長身の男がいた。
言わずと知れた、レオニスである。
今日は、亡き王妃の、月こそ違えど命日。できうる限り毎月の命日に墓参りをする、見かけによらずまめな男である。
今回は皇太子に遭遇することもなく、つつがなく墓参りを終えたレオニスは、背後の気配に振り返った。
「・・・・・・」
そこにいたのはエルディーアだった。
「神官を勤めております、エルディーアと申します」
「お前は・・・」
レオニスの表情がきつくなる。それを見てエルディーアの態度も変化した。
「さすがは出来ると噂の隊長さん。私のこともお見通しのようね」
その通り。既に王宮内部では、内通者としてエルディーアのことはつかんでいた。そろそろ仕掛けてくる頃かと思っていた矢先に声をかけられたので、レオニスはあからさまに警戒している。
「そんなに露骨に嫌そうな顔しなくてもよいでしょう。あなた方に危害を加えるつもりないわ」
今のところはね、と言ってエルディーアは笑う。
「今の私は失業中なの。どう? 私を雇う気はない?」
「雇うだと」
「そうよ。ただいま失業同然でね。今ならお安くしとくわよ」
なんとなく、というか、明らかに怪しい誘い文句である。
「クラインに仇なす輩が、何を言うか」
「まあ、そう固いこと言わないで。ろくに活躍できないまま終わっちゃったんだし。それより、私は情報収集と仕掛けのプロ。利用しない手はないと思うけど」
「寝返えろうというわけか」
「勘違いしないで。私はクラインのために働く気はないの」
エルディーアの言葉に、レオニスが眉をひそめる。
それに構わず、エルディーアはにっこりと、しかしはっきりと言った。
「私が取引したいのは、あなたよ、隊長さん」
どういうつもりか、とレオニスが問うより早く、エルディーアは矢継ぎ早に喋り始める。
「あなたって、いつもそうやってお墓参りしてるわよね。いいの、それが誰のお墓なのかとか、あなたの過去話とか、私、ちゃんと知ってるから。言ったでしょう、こちとらプロなのよ」
この喋り方、中世ヨーロッパ風とされているクラインには、あまり馴染まないような気もするが、裏稼業の人間ということで、お許しいただきたい。
「プロだから、そこから先のことも知っているつもりよ。ズバリ、あなたは恋をしているわね」
恋。
恋をするレオニス。
非常に不似合いのような気がする単語だが、エルディーアは恥ずかしげもなく言いつのる。
「しかも、恋は恋でも、忍ぶ恋。前回、若さゆえとはいえ、恋心に素直になりすぎたあなたは、今回は臆病なほどに慎重で、想いを外に出せないでいるのよね。隠しても私にはわかるわ」
レオニスはしばし沈黙していた。
こんなとき、おしゃべりという設定の男だったらまた違うリアクションをするのだろうが、そこは寡黙な男ということになっている。
余計な口は利かず、眉間に縦じわを刻んで、エルディーアの話を聞いていたが、一呼吸あいたところで、ようやく言葉を挟んだ。
「・・・・・・自分で言っていて恥ずかしくないか」
「全然」
そのレオニスの短い反撃を、エルディーアは一蹴した。
「だって、真実しか語っていないもの。もちろん、あなたが隠したい気持ちは尊重するわ。だって、今度の恋もあんまり大っぴらにはしづらいものね。愛があれば歳の差なんて、と世間では言うけれど、年下が年上にアタックするならともかく、年上が年下に、しかも自分の年令の半分くらいしか生きてないような若い子に告白するなんて、その上相手が見習いとして保護しなくてはならない子供ときたら、そうそう手軽に、歳の差は関係ない、なーんてお気楽な台詞、言えるわけないものね」
レオニスの顔に驚きの表情が走った。
「・・・・・・なんだと」
それまでも、機嫌がよさそうではなかったとはいえ、けっして驚いてはいなかったのに、初めて動揺を見せるレオニスであった。
エルディーアは追い討ちをかける。
「私にはわかっているのよ」
いったいなぜ、エルディーアはここまで自信満々なのか。
まさか、柱の影からそっと想い人を見つめてハンカチをかんでいるレオニスの姿を見たというのか。
それとも、夜な夜な想いのたけをこめた手紙を書いては破り書いては破りしているレオニスの姿を見たというのか。
あるいはもしや、毎月毎月今は亡き王妃の墓前で恋の悩みを独り語り、苦悩するレオニスの姿を見たというのか。
最後のは、結構ありそうな展開である。
「何を根拠に」
レオニスが尋ねる。
「それはいろいろあるけれど」
エルディーアは口許を緩め、いかにも意味ありげな笑顔を見せた。
「大通りにあの子がいる時って、大概あなたも少し離れてそこにいるでしょう。トラブルがあればすぐに駆けつけるって感じかしら。実際そうやって、いかにも通りすがりのような振りして声をかけたことも、一度や二度じゃないし」
「大した根拠とも思えんな」
レオニスは、不覚にも受けた打撃から立ち直りつつあったので、穏当に否定してみせた。
「そうかしら。そう思って気をつけて見ていれば、おのずからわかるものよ。むしろ他の連中の目が節穴すぎるわね。あなたが特別に目をかけているの、あからさまなのに。きっと、あなたの過去に目がくらんで、あなたを見損なっているのね」
そう言ったエルディーアの言葉には、レオニスをいたぶるような響きが感じられた。
「確かに意外ですもの、王都一の剣豪とうたわれた大のおとなが、あんな」
と、ここでいったん息を継ぐのも、微妙に意地悪だ。
「あんな?」
挑発に乗らず、鸚鵡返しにレオニスが促すと、エルディーアはまた、意味ありげに笑う。
「あんな子供に恋をするなんて」
それに続く言葉は、レオニスの心を凍りつかせるほどに衝撃的だった。
「好きなんでしょう、ガゼルが」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
これは、さすがのレオニスにも痛かった。あまりのことに、目が虚ろになっている。
なぜここでガゼル。
っていうか、こんな展開、ありなのか。
「いやあね、ここ、笑うとこでしょ!」
冗談のつもりだったらしい。
確かに、これまでエルディーアが語ってきた内容は、相手がガゼルでも当てはまる。
これがレオニスを陥れるための陰謀だったとしたら、それはそれで完璧だ。
「笑いとばす余裕もないほど、切羽詰ってるってことかしら、隊長さん」
断っておくが、エルディーアはふざけているわけではない。
いかにも噂好きおばさんような口ぶりだからといって、単に他人のコイバナで盛り上がりたいわけでもない。
無駄なおしゃべりなのではない。これはすべて、レオニスに対する先制攻撃なのであった。
一ヶ所を集中的に攻撃することによって、弱くなった一点から、相手を突き崩していく。戦闘の基本だ。
レオニスに精神的ダメージを与えることによって、今後の交渉を有利に運ぼうという、恐るべき深慮遠謀に基づいた作戦なのである。
作者によるページ稼ぎなどでは断じてないことも、付け加えておく。
「今さら本当の恋の相手を口にするのも野暮ってもんだわ。それに、私、あなたの邪魔をしたいんじゃないの。むしろその逆よ」
エルディーアは、凄みのある笑顔でレオニスとの間の距離を詰めてくる。
「あなたの恋の手助けをしたいの。その代わり、取引をしましょう」
再び態勢を立て直したレオニスは、
「代わりにお前の縁結びをしろとでも言うのか」
げんなりした口調ながら、一応の迎撃をする。
エルディーアはおかしそうに言う。
「ふふふ、そう来なくてはね。残念ながら、今のところ手伝ってほしいような恋はしていないの」
「だったら一体」
「ひとまず、私の願いはしばらくここにいたいってこと。クラインの外交にも内政にも手を出すつもりはないから、そっちから私にちょっかい出すのも、やめてほしいのよね」
つまりは、このまま泳がせておいてくれ、ということだ。
レオニスは、エルディーアに負けたつもりはなかったが、とりあえず逆らわないことにした。
「いつまでも、というわけにはいかないが、そちらから動かない限り、我が国の方から問題を大きくすることはないだろう。今のところは」
わざと、エルディーアが使った「今のところは」という言葉を強調したが、内容は妥当なものだ。これ以上のことを、一介の隊長が約束できるはずもない。
レオニスからすれば、取引というつもりはなく、ことを荒立てるのを避けただけだ。
エルディーアに何かを頼む気もないし、禁止する気もない。
そもそも、この時点で、レオニスの恋そのものについては、あるのが前提になってしまっている。
今さらそれを否定してみてもしょうがない、というのがレオニスの判断だ。
それでは結果的にエルディーアを利用し、エルディーアに利用されることになるのではないか、という疑問が出るかもしれない。
別にいいのである。あらゆるチャンスを生かして最後に勝つのが、真の武人なのである。
エルディーアが勝手に手伝ったせいで恋が実ったとしても、全然問題ないのである。
レオニスもそんなに心の狭い男ではないのである。
それでおっけーなのである。
そんな心の内をいちいち言葉にしなくとも、暗黙の了解が成立してしまうところ、二人はすっかり「大人」なのである。
とはいえ、大人のレオニスにも、確認しておかなければならないことがあった。
「なぜ、そんなにまでして関わろうとする」
ここで気をつけねばならないのは、実はエルディーアも、レオニスと同じ相手を狙っているのでは、ということだ。
恋をしていないなんていうのは嘘で、それこそ騙まし討ちにする腹かもしれない。
「そうね。なんといっても退屈してるから、というのが一番なんだけど」
答えてエルディーアは、朗らかに笑った。
「あの子をずっと見てきて思ったの。多分私も、あの子のことが好きなんだわ」
その笑いは、真に朗らかで、邪心のかけらもないものだったので、レオニスは信じる気になった。
エルディーアも、自分がまだそんな風に笑えるんだ、ということに驚きつつも満足していた。
話は数日前にさかのぼる。
シルフィスの木登りを目撃したエルディーアは考えた。
自分の知るシルフィスの性格から判断して、伊達や酔狂であんなことをするとは思えない。これには何かわけがあるはずだ。
神官の姿から目立たない服装に着替えると、手がかりを探すべく、街中へと出かけていったのが昼前のこと。
日没前には、あらかたの事情は明らかになった。
なぜシルフィスが早朝木に登っていたのか、その答えがシルフィスの心の中だけにあるのだとすれば、エルディーアがいくら調べ回ったとしても、知ることはできなかっただろう。
だが実際には、答えはシルフィスの心の中ではなくて、街の人々の噂話の中にあった。
誰にも見られずに神殿の木のてっぺんで願いごとを唱えれば、その願いが叶う。
そんな話が、今王都の若い娘たちの間で流行っていることがわかったからだった。
広場や大通りで娘たちの会話の断片から仕入れた情報を組み立てると、どうやらネタの大元は旅の吟遊詩人らしい。
当の吟遊詩人には出会えなかったが、最終的に喫茶店で、お忍びのつもりらしいがバレバレの王女と、魔法研究院の最重要機密らしいが超有名人、この二人の会話を聞くに及んで、エルディーアにはすべてが見えた。
「本当に願いごとが叶うんですかしら」
「さあね。あたしはイーリスの口から出まかせだと思うけど」
「えっ、そうなんですの」
「でも、信じる力が願いを叶えるっていうからね。鰯の頭も信心から」
「イワシってなんですの」
「魚。だからシルフィスがやってみるって言ったの、あたしはいいと思ってるんだ」
「きっと、騎士になれるようにって、願掛けするんでしょうね」
「真面目だからね。恋のお願いもしろってけしかけたんだけど、大丈夫かなあ」
「それもお願いするといいですわね。わたくし、応援してるんですのよ」
「確かめたいよねー」
「ダメですわ。誰にも知られないようにって、イーリスが言ってましたもの」
「だから、そんなのインチキだって。大事なのは、実現しようっていう本人の決意表明なんだってば」
異世界から来たという少女の言い分はなかなか面白い、とエルディーアは思った。
もしも吟遊詩人の言うまじないが正しいとすれば、エルディーアに見られてしまったシルフィスの願いごとは叶わないことになる。
だが、エルディーアは、王女と同じように、シルフィスの願いを応援したいと思っている。むしろ積極的に応援したいくらいだった。
どうせ偽神官。金を貰えばどんなやばい仕事でも引き受けるんだから、神様からは最も遠いところにいる人間だ。
そんな自分が立ち聞き、いや正確には寝転がって聞いてしまったからといって、シルフィスの願いが潰されてしまうなんて、そんなことがあってよいのか、いいやよくない。
こうしてエルディーアは、暇だったから、というのは嘘ではないのだが、ある意味、自分自身の存在意義、レゾン・デートル(多分フランス語)をかけて、シルフィスの願いごとを叶えるため、本気で力を貸すことにしたのであった。
シルフィスの願いごとが何だったのか。
読者の皆さまには既におわかりであろう。
エルディーアがレオニスに言ったことを思い出していただきたい。
エルディーアは、レオニスの手助けをするとは言ったが、シルフィスのためだと言った。レオニスのためではない。
なぜ、レオニスを助けることがシルフィスのためになるのか。
それは、そうすることによってシルフィスの願った結果がもたらされる場合でしか、ありえない。
ディアーナやメイも手伝いたいと言っていた、シルフィスの恋の行方を、エルディーアは自らの手で導こうとしたのだった。
いわば恋のキューピッドである。
しかし、いくら恋のキューピッドとはいえ、あまりにも露骨なことはやりたくなかった。
例えば、いきなり放課後体育館の裏に呼び出して「あんた、あの子のことが好きなんでしょ。あの子も好きなのよ。いいから付き合いなさい。付き合わないとどうなるかわかってるでしょうね」などと指示または命令または脅迫したりすることは、この場合ふさわしくない、とエルディーアは考えた。
自分が動いていることが表面に出てはいけない。それは裏の世界に生きる者の掟。
あくまでも、隠密裏に行動せねばならない。
また、今後の展開を自分に有利にするためには、「二人とも気付いてないだけで実は両思いなんだから放っておいてもそのうちうまくいくのでは」などということを、少なくともレオニスに気付かれてはならなかった。
シルフィスには自然にそうなったように思わせ、レオニスにはエルディーアのおかげでそうなったように思わせ、と言って、強制したり騙したりなどと、将来の二人の幸せに傷が付くようなことがあってはならないという、大変高度にプロフェッショナルな技巧が要求される設定なのであった。
そのように高度でプロフェッショナルな技巧は、いかにして発揮されたのか。
表面的には、シルフィスをデートに誘いたいとか、二人で話がしたいとか思った男は、ことごとく不都合に出会うこととなった。
急用が入ったりするのは当たり前、時によっては急に体調を崩すこともあった。
メインキャラなら、お茶に下剤が入れられるくらいで済んだが、騎士団の雑魚キャラなら、夜道で襲われてボコられちゃったりした。それもこれも治安が悪いせい、ということになって、騎士団はますます巡回に忙しくなったりするおまけがついた。
なんせ裏の顔は白鴉。殺されないだけマシ、という凶悪な存在なのである。
それがせいぜいありがちな嫌がらせ程度で済んでいるのだから、見逃してほしいのである。それもこれもシルフィスのためなのである。
こうして、エルディーアこと白鴉の、高度にプロフェッショナルな意識に基づいた、結果的にはせこい活動のおかげもあって、シルフィスの願いごとは叶うことになる。
もっとも、作者の立場としては、たとえ白鴉が何もしなかったとしても、シルフィスとレオニスは無事にエンディングを迎えたのではないか、ということは指摘しておきたい。
エルディーアは、神官として当分王都に滞在することになる。
レオニスに作った貸しは、今後も有効に活用する予定だ。
シルフィスとは、いずれもっとお近づきになって、頼りになるお姉さまの地位を獲得することを狙っている。
そのうち本名を教える間柄になりたい、というのが今のところの目標らしい。
皆さまにもエルディーア様のご加護がありますように、と願いつつ、筆を置く次第である。
2005年の10月に発行した『Angelot−天使世界−』のために書いたものです。
私に期待されてるのは、変な話のはずだ!という根拠の無い確信にもとづいて書きました。
隊長とエルディーアの会話という珍しいものが書けたので、満足。
これがカップリング創作なのかどうかについては、不問の方向でひとつよろしくです。
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