いつものように、演奏をしに、広場へ。
やがて聴衆の中に、姫が混じってくる。
嬉しそうな顔をして、演奏を聴いてくださっている、姫。
しかし、やがて、その頭がかくん、と揺れはじめる。
(…おや、子守歌になってしまったようですね…)
演奏が終わっても、まだ、目が覚めない。
まったく、無防備な寝顔だ。
「…ふう。困りましたね…。これではどこにも行けない。」
放っていくわけには、いかない。
仮にも、王家の一員なのだし、それに…
(ディアーナ姫、ですからね…。)
いつも演奏を聴きに来てくれる、姫。
そんなにちょこちょこと王宮を抜け出してきては、いけないだろうに。
それでも、きつくとがめられないのは、演奏を聴いている間の、姫の顔が、あまりに幸せそうだから。
(…まあ、もう少しだけ、このまま寝させておいて差し上げましょう…)
ゆっくり、お休みなさい。
つかのまの、うたたねの時間。
私が作り出した眠りが、心地よいものでありますように。