『恋愛 〜ゲーム〜』
春の花が咲き、陽も穏やかに差すようになった頃から、昼下がりの午後にはいつも神殿のすぐ側から、女神エーベを讃える唄とそれに寄り添うように聞こえる音楽。 曲が終わると、歌い手と弾き手の二人に大きな拍手が起こる。 「今日も、エルディーア様の歌が聴けて心が安らぎました。」 聴き入っていた一人が、穏やかな顔でお礼を述べる。 「私の歌で、安らぎを得ていただけるのでしたらいつでも聴きに来て下さい。」 女神を思わす微笑みで言葉を返す。「それに…」と、隣に座っている人物を見上げて、 「私だけでなくシルフィス様の伴奏があってのことですわ。」 彼女の隣で歌の伴奏をいていた若者が、「そんなこと無いですよ」と答える。 「もう一回うたって!」 二人を囲むようにできている人の輪の中から、子供がもう一回とせがむ。 「ごめんなさい。」 目を伏せ首を振り、申し訳なさそうに言う。 「これから午後のおつとめあるの。」 子供が、「え〜〜」と口を尖らせる。エルディーアが口を開くより先に、シルフィスがその子供の頭を撫でながらゆっくりと訊かせるように言う。 「明日またここにおいで。今度はいっぱい色んな歌を聴かせてあげるから…ね。」 「…わかった。」 大きく頷き、バイバイと手を振り広場のほうへと走っていく。途中で、一度振り返り「約束だよー!」と、大きな声で言うと走り去っていった。
手を振り笑顔で子供を見送っていたエルディーアの顔が、周りに人々が居なくなりシルフィスと二人きりになると、怜悧な微笑へと変わる。 「…わたくしの騎士様は、今日が何の日か覚えておいでですか?」
「では、デートの申し込みをしていただけますか?」
市井から少し離れた昼でもあまり人の訪れることはなく、夜はその気味の悪さから人が全く寄りつかない場所がある。
「お待たせしてしまいましたか?」
口調はエルディーアと同じものなのに、全然違う雰囲気が漂う。それは彼女の身に付けているものとその微笑みにあった。 「それでは…」 その言葉の合図でお互いが腰に帯びている剣を抜く。
初めてであったあの時、お互いに惹かれた
バレントデーには、あなたから
「腕を上げましたわね。」
「今年こそはあなたを手に入れたいですからね。」 バレントデーの日のデートで、勝っているシルフィスが答える。 「そうはいきませんわ。」 激しくぶつかり合う剣と眼差し。
![]() 「本気でいくわよ。…私の名前を呼んで。」 艶やかで、それでいてその瞳が映すものは冷たく…もう一人の彼女がシルフィスを呼ぶ。
「ノーチェ…」
幾度も繰り返すあなたとの秘め事…
それでも私は―――――――
Fin
URL問い合わせ方式で、しかもお持ち帰り自由という太っ腹な企画。 こんなにかっこいいノーチェ&シルに、ノーチェLOVEのこの私が 飛びつかないわけがあるでしょうか。 いや、ありえない! 早速ノーチェ部屋にお借りしてきました。 デザインもほぼそのままお借りしています。 お二人のコメントは、あの時だけの特典ということにして、 今回は私の説明文だけです。 |