*別冊テレビランド ホビーボーイ 徳間書店刊


創刊は84年1月。いちおうは「テレビランド」の別冊の名称となっているが、
実際は不定期ながら年4回発行する季刊ホビー雑誌だった。実はこの本、
筆者(ロドリゲス)も風紋さんも名称すら知らず、たまたま入手した4号を見て
初めて存在に気付いたくらいだったからおそらく世の中的にも知名度は
極めて低いのではないかと思われる。
というのもこの本、純粋な模型雑誌とは言い難く、キャラクター/スケールモデルの
他、超合金系キャラクタートイはもちろん、いわゆるゲームウォッチ/LSIゲーム機から、
電子工作キット、(当時、各社が開発していた)家庭用汎用ゲーム機、
マイコンゲーム用プログラム(テキストデータ)、エアーソフトガン/モデルガン、
電動ラジコンカー、まで幅広く取り扱っており、どうにも捉えどころがないのだが、
(当時の)コロコロ/ボンボンの巻頭カラーグラビア部分だけを拡張して雑誌にして
しまったといえば分かりやすいか?ようするにジュブナイル臭の強い趣味雑誌であり、
実際、書店でもお子様向けコーナーに置かれていたような記憶がおぼろにあるので、
筆者はもろとも記憶から消していたらしい。(筆者は84年時点で18才)
しかしながらその内容は侮り難く、一線級のモデラーが何人も闊歩しているうえ、
ドサクサにまぎれて、マニアックな作例が挿入されていたりと、とんでもないことに
なっている。ジュブナイル向け模型本の時空列から言えば、徳間書店はすでにこの時期、
ロマンアルバムの別冊として模型作例本を二冊、「わんパックシリーズ」
(徳間書店の児童向け大百科本のシリーズ名)では作例本7冊、ジオラマ本3冊を
発行しており、模型雑誌創刊のノウハウは十分に確立していたと言える。
マクロスに関して言えば創刊号から作例記事があり、特に3号は事実上のマクロス特集号と
なっており一見の価値あり。現在10号までの存在を確認しているが、
号を重ねるごとにTVゲーム/エアガン系の比重が増していくため、
模型雑誌としての内容は初期の方が充実している。
ちょっと凄いよこの本。


84/1 創刊号 480円
*表紙はGMキヤノンVSザク。綴じ込みポスターを挟んで、巻頭カラー。
まずガンダム/ボトムズ/ダンバイン/マクロスのディオラマ6種、
(マクロスはピタバン1/200のミサイルポッドリガードの海上侵攻ディオラマ。)
続いて市販キット改のフィギュアが1ページで数十体分、この次が
スクラッチのメカ作例が8種、(ブルーシティのプテラスピスが渋すぎる。)
この辺ですでに普通の模型雑誌の物量を遥かに超えてしまっているのですが、
まだまだ続きます。
見開き2ページでサンダーバード格納庫ディオラマ3種+ゼロエックス号作例、
しかも欄外にはコンテナメカ4種+ペネロープ号まで入っているデラックスさ。
この後が見開き2ページで鉄道模型(Nゲージ)の巨大ディオラマ、
さらに次の1ページで海外製ヒロイックファンタジーモノのディオラマが
紹介されたのち、83/10の見本市レポート付きの新製品紹介が6ページ
あって、さらに、アニメージュの模型コンテストの応募作の紹介があって、
やっと前半のカラーページが終りです。壮絶です。恐ろしいのはほとんどの作例に
製作記事が用意してあって後半、図解入りで解説されているところ。
白黒ページに入って、人気電子ゲーム(ゲームウォッチ系やLSIゲームと言われるもの)
の攻略法の紹介があって、これが終わると当時出たばかりの家庭用汎用ゲーム機
2種の比較記事(任天堂ファミコン/セガSG-1000)、このあとバンダイのパソコン
「RX-78」(初期のMSX互換機)の紹介と専用ゲームのテキストデータが載っている。
続いて、電子ゲーム(前述と同様の小型専用機等、)の紹介があって、
(ここには知る人ぞ知るゲームマシン「アルカディア」の情報有り。
これは携帯LSIゲームなどを除いて最古のマクロスゲームのカセットが使用できた。)
ゲームコーナーがやっと終わり。ここで半分くらいかな。
このあと再び模型の記事に戻りシリコンゴム、メリテル、ポリテル、プラキャストの使用法まで
子細に解説。続いて国内外のメタルキットの紹介記事が4ページ。これに続いて巻頭カラーの
作例の解説ページが15ページ。続けて8ページが作例に伴う設定資料の収録と無駄のない
構成。このあと漫画「亜空転騒フィクサリア」が8ページあって、白黒最後の4ページは、
Nゲージ用ストラクチャー商品の紹介。このあと再びカラーページになります。後半はまず
ガレージキットの紹介が4ページで、海洋堂やゼネプロのキットが写真入りで
解説されております。さらに続いてのカラーページはモデルガン(発火式、ガス/エアガンにあらず。) によるサバイバルゲームのレポートとモデルガンの紹介が4ページあって、同時に
出たばかりのマルシン製モーゼルM712の組み立てレポートが欄外に載っています。
続いてエアガンの紹介が2ページ、増田屋とのタイアップなのか、同社の十徳トランシーバーの
紹介が漫画付きで2ページ載ってます。さらに完成品のラジコンカーの紹介が1ページ。
さらに3ページで当時新発売の電動チョロQの紹介記事なのですが、ここでは
「電動チョロQ(デジQとは縁も所縁もないただ直進するだけのもの)を走らせる専用コース」
の自作しています。ただそれだけならなにも驚くことはないのですが、ハンドル操作で
左右にステアリング出来るオーバルコースだとか、室内ランニングマシン方式で
無限に前進しつづけることの出来るコース(これもステアリング可)とかすごいことに
なっております。この後一眼レフで各種フィルター使用のジオラマ写真講座が4ページ
あります。さて最後にフルスクラッチのギャオスの記事なのですが、
これが「粘土原型作成/石膏型取り/ラテックス反転で薄皮作成/可動素体に被せる。」で構成される
フル可動アクションモデルだったりして、最後の最後まで凄いことになってます。
もちろんライター個人のプライベートな作り置きも多いんだろうけど、
端から端まで凄い物量です。感無量。ふう。



84/5 2号 480円
4ヶ月後の発行で要するに春号らしい。
とかいいつつ、表紙は1/60のジョニーライデンザク。表紙裏の広告が
ツクダホビーのカセット式汎用ゲーム機「オセロマルチビジョン」なのが
いかしてる。任天堂ファミコンが一人勝ちして支配体制を固めて、
ファミコンという言葉自体が普通名詞化して家庭用TVゲームのことを
指すようになるのはこのしばらくあとの話。
巻頭は例によってジオラマ特撮のグラビア。ガンダム3種、バイファム1種、
ダンバイン2種、オーガス1種ときて、さらにマクロス1種、
(作製はなんと千草巽氏で1/72スーパーファイター+1/5000強攻型マクロス)
モスピーダ1種、SF3D1種、これに見開きでドルバックのパワードスーツを
大々的にフィチャーしているのが非常に豪華。このあと十川俊一郎氏(!)の
ミリタリージオラマ紹介、山田卓司氏の人形改造紹介(!!)
西村なおや氏の異生物ジオラマ、高瀬ゆうじ氏のダンバインジオラマ
さらに野中寿雄氏(!!!)のF-16作例、越智信善氏のゴジラ/ガメラジオラマ、
と巨匠目白押しでわずか30ページの贅沢となっております。
このあと数ページ、ホビー情報として新製品紹介。これには
秋山徹郎氏と伊藤宏之氏とあさのまさひこ氏による商用ガレージキットフィギュア
の紹介が入っております。さてこのあと2色カラーに突入です。
ここでは電子工作キットのマイコンロボット「センサーロボ」
の遊び方の紹介。これが終わって、20ページほど
巻頭と後述の巻末からーページのジオラマ/作例の解説記事。
このあと設定資料の収録、ここでスーパーバトロイドが収録されていて
それと共に当時出たばかりの1/100スーパーバトロイドの詳しい紹介有り。
このキット、他誌が冷遇していただけにこの記事は今更ながらなんか嬉しい。
このコーナーの最後には新製品の三面図が入るのだが、この号は
1/144ジョニーライデンザク。このあとは連載漫画「フィクサリア」が7ページ。
さらに白黒ページで巻末のフィギュア特集の解説文。終わって、
ベーシックによるゲームのテキストデータ。続けてFM-7用市販ゲームソフトの
紹介。巻末カラーに戻ってナウシカディオラマ5種、ガレキのアンドロイドレディー
(これ空山氏のやつのパクリだっけ?)、フィクサリアのフィギュア、
オリジナル、ヒロイックファンタジーディオラマ、とよく分からない
牧歌的ディオラマ。と油断しているとこの後、フルスクラッチ4連発
ルナ・キャリア!スカイダイバー!(イマイキットのスカイ1にダイバー増設!)
オリジナルパワードスーツものフライングパッド”クリフ”、
フィクサリアのホバギー(?)まいったねこりゃ。このあと
アマチュア(大上敦志氏)の個人作品紹介が見開きで特集。
続いてエアガンのコーナーではマルゼンM59/マツシロモーゼル/
マツシロブラックホークの命中精度比較。さらにモデルガンの紹介は
MGC/WAのガバをベースとしたカスタムモデルの紹介。
さらに田宮の電動ラジコンカー「マイティー・フロッグ」の組み立て解説。
それと作例ジオラマの写真撮影の解説。巻末カラー最後は1/12バイクキット使用の
バリバリ伝説ジオラマ(CB+フィギュア2体、グンは頭から触角が生えてます。)
でお終い。創刊号より減っているもののやっぱり凄い物量です。はい。
なお裏表紙の広告のバンダイリアルホビーシリーズのキングギドラは
結局発売されなかった覚え有り。(販促用でおもちゃ屋では展示されてたはず。)


84/8 3号
さあ、いよいよマクロス特集の3号。表紙こそバイファムなのだが、巻頭の
ジオラマ4種(バイファム/ゴーグ/エルガイム/サザンクロス)に続いて
イマイの1/100スーパーバトロイドベースの改造記事が3連発。以下に列挙

1/100VF-1J(ノーマルでA型カラーリング) 久住辰夫氏製作
1/100VF-1A(アーマードで腕の装甲のみ脱着、可動部増設) 谷鉄一郎氏製作
1/100VF-1S(ノーマル、ロイ仕様)草刈健一氏製作
*いずれもイマイ1/100マクロスファクトリー上で撮影。キット2個潰しての
ノーマル化改造、ありそうで作例がほとんどなかったこのキット、
貴重な作製記事。

さらにイマイ1/72スーパーファイターをベースにしたストライクバルキリーの作例

1/72VF-1Sストライクバルキリー(ファイター、ビームキヤノン仕様)草刈健一氏製作
*機首延長、ビームキヤノン自作、コクピット周りを劇場版仕様へ。
意外なことだがこの時点で1/72のストライク仕様の作例は唯一のはず。
HJは黙殺状態だし、MGでの作例は高橋氏のアリイ1/100のため
1/72でビームキヤノンの自作は見た事がない。スタンダードながら非常に出来良し。

このほか1/5000マクロス強攻艦と輝のフィギュアの記事もあり。
フィギュアは制作者に注意。

1/5000マクロス強攻艦 森王氏製作
*ベースはイマイ1/5000要塞艦。強攻型に改造の上、パネルライン等の
ディテールアップ。さらに光学繊維による発光ギミックを備える。
グラビアでは駐機状態の1/100ガウォークと共に撮影されている。
なおこのマクロスなぜかTV版仕様。

一条輝パイロットスーツ(スケール不明) 千草巽氏製作
*パテによるフルスクラッチ、劇場版仕様。輝とあるが顔が写ってないので
詳細不明。現在は特撮系メカ原型氏(水物強し)かつてはロボット系
万能バキュームスクラッチャーで慣らした千草氏であるがその初期に於いては
フィギュアモデラーとして知られた存在であった。センセー、いまだに
紙やすりは240番ですか?

以上、非常に濃厚なマクロス作例記事でした。

このあとガンダムの作例3種、1/250色プラ改のFAガンダムはちょっと
傑作。さらにSF3Dとボトムズのジオラマがあって巻頭ジオラマ特撮は終わり。
続いてカラーはグンゼのドルバック、可変無限キャリバーの作例。
(凄いなあ、このキット。もし、グンゼが良いキャラクターアイテムの
版権取ってたら、歴史は変わっていたんだろうか?)
続いて4ページでMPCのスターウォーズものの作例。
ジェダイの時点のキットのラインナップ。ディテール云々は別として
カッコいいやね。このあとホビーボーイオリジナルガレキの紹介と
新製品紹介で巻頭のカラーは終わり。
続いて2色カラーはファミリーベーシックの解説とゲームサンプル。

*ファミリーベーシックは任天堂ファミコン用オプションパーツで
キーボードと乾電池駆動のRAMを増設することでベーシックを 走らせることが出来、テキスト入力で自作のゲームが動作した。 乾電池はメモリ保持用。ファミコンの創造的活用法として期待された
アイテムだったが、実際の販売は今一つだったようで、
原初の仮想現実アイテムであるパワーグローブと同様、不思議なレアアイテムの
一つとなっている。

白黒ページに入ってツクダのダンバインシュミレーションゲーム、
「ウイングキャリバー」の紹介記事が4ページ。おもしろいのは
ゲームの実況レポートに模型によるジオラマ再現の写真を入れていること。
続いて2ページで市販のマイコンゲームの紹介記事。
ここではFM7/PC88用ゲーム「MISS MACROSS」が紹介されている。
15ピースのパズルゲームだったらしい。発売元はテクノポリスソフト。
3200円也。

続いてホビーテクニック教室として石膏/とのこなどにテクスチャー紹介が
2ページ、終わって、巻頭カラーの作例解説が6ページ。
続いて中とじで設定資料とおもちゃショーの紹介記事。
このあと連載漫画「フィクサリア」が7ページ、読者コーナーが1ページ。
終わって再び作例解説があって、白黒ページは終わり。2色カラーに入って、
巨神ゴーグに登場する銃器をモデルガンで紹介、3ページ。続いて、
コンバットジョー改のキリコ・キユーピーが1ページ。
巻末カラーに入ってゾイド紹介が4ページ。作例は特になくタイアップ記事臭い。
同様にチェリコのビックレーシング(スロットレーシングのトイ)の記事が2ページ。
スロットカーがパラシュートを付けられたり、エリマキトカゲを括り付けられたり、
空中をジャンプさせられたり、非常に無理のある遊び方を強要されてます。
このあとリモコンカーの記事が2ページと田宮のラジコンカーの記事が2ページと
続きます。このあと再び模型作例にもどってガレキフィギュアのジオラマ2種、
スペース1999のムーンベースジオラマがあって2ページ。
続いて、シューティングゲームの立体化記事で2ページ。終わって
海洋堂等のガレキフィギュア情報。前号に続いてモデラー紹介は
土井慎一氏。最後に西村なおや氏のオリジナルメカワールド(ようわからん)が
あっておしまい。裏表紙はバンダイ、キャラコン(確か前進、後退回転の2動作が可能な
簡易ラジコン。)のゴジラシリーズ。そういやあCMもやってたねえ。



4号〜以下継続。






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