マクロスメカ図版探しは賽の河原。〜基本MOOK編3〜(模型製作指南書)

仮運用、暫定駆動中。

さて、模型製作指南書のコーナーです。60年代の昔から世に溢れる
模型の作りかたの本であります。82年といえばガンプラブームのまっただ中、
そりゃあマクロスも出てますぜ。それも結構侮り難いヤツが。




INDEX
*ホビーハンドブック1 超時空要塞マクロス 
*超時空要塞マクロス TV名場面模型ジオラマ再現 パート1
*マクロスからオーガスへSUPER PLASTIC MODEL MANUAL パート2
*コロタン文庫 最新プラモ作り全(オール)百科
*小学館名コーチ文庫 超時空要塞マクロスプラモシリーズ1
*最新版アニメSFプラモ大全科(改訂初版84/6)
*岡田徹也著 プラモデル 




*ホビーハンドブック1 超時空要塞マクロス (83/5 定価480円)小学館刊
放送初期に発売されたプラモデルの改造作例や書き下ろし図版によって
番組のバックボーンや裏設定を解説するMOOK。
体裁はジュブナイルというより絵本に近いのだが、(全文、漢字にルビあり。)
VFー1の開発過程(秘密裏に試作、試験飛行が行われ、その中で事故もあった等。
ガウォーク開発秘話も有り。)各デストロイドの内部構造図やパーソナルマーク、
機体マーキングの解説、アーマードバルキリーの分解図、マクロスの落下前想像図、
(マクロスザムービー収録のモノとは別稿。ここでは監察軍の艦船で、
ややレトロ風にデザインされている。)マクロス第二次艤装計画、
(腕をアームドに変えて、レーダー周りを強化等)
バルカン装備ファランクス、デストロイドマーク1、プロトタイプモンスター、
(両腕を持たない機体)スーパーやエリントシーカーに繋がる
バルキリーバリエーション、トマホーク流用のビームバズーカ装備VFー1
ディフェンダー流用の高速マシンガン装備のVFー1、挌闘戦強化型VFー1、
宇宙用に球形プロペラントタンクを増設したゴーストなどを
作例そのものは時代なりであるけれどデザインワークスでも再録されていない
河森、宮武両氏の書き下ろし図版も交えて立体化していて、
隠れたマニア本となっている。いわばプロが作った同人誌か?
なおスタッフリストに横山宏氏の名前が。
市場的にはレアな上高価。すくなくとも楽しい本であるのは間違いない。
追記:別項「マクロス作例集その2」に同書の作例紹介を
追加しました。あわせて参照ください。


*超時空要塞マクロス TV名場面模型ジオラマ再現 パート1(83/5 定価850円)
*マクロスからオーガスへSUPER PLASTIC MODEL MANUAL パート2(83/10 定価850円)

創映新社+有井+今井による模型販促も兼ねた作例本
1はかなり凄まじい内容。2は多少改善。作例は改造指示で元より悪くなっているのもある、
とほほなものの、色指定設定図など、(色コードを解読できれば)
よそでは見られない図版も多少あり。作者の表記が徹底してないので
誰が作ったのかよくわからないところもご愛敬。市場は高め。
追記:別項「マクロス作例集その2」に同書の作例紹介を
追加しました。あわせて参照ください。


> *コロタン文庫 最新プラモ作り全(オール)百科(82/12 定価580円)小学館刊
上記2冊に先駆けてマクロス放送開始直後に発売された児童用模型製作指南本。
内容は陸海空のスケールモデルに加えて当時模型界を席巻し始めていた
キャラクターモデルを扱っている。内容は当時の模型ライターが対象年令を
無視して書いたとしか思えない行き過ぎたもので、エリ8の地底ドリルまで
スクラッチしている。マクロスに関しては出たばかりの初期キットレビューと
初期設定状態の図版を若干収録。(早瀬アキとかね。)
マクロスの資料としてはどうでもいいんですが、あまりにも楽しいので追記。


*小学館名コーチ文庫 超時空要塞マクロスプラモシリーズ1 
  プラモ名人大作戦(83/9 定価390円)監修 十川俊一郎 小学館刊

表紙はミサイル装備の可変1/72バトロイドの写真でなかなか楽しい。
中身は一連の少年向け模型製作指南書なんだけど、
十川センセだけにジオラマ(歴史的表記)中心で
  基本工作、ベースの作り方から撮影アングルまで指示があり、
十分実用に耐える真剣な内容。海面の再現をケースごとに
数種の方法を示したりと教育的な要素も強い。
   実際写真自体も当時の下手な模型雑誌より立派で、70年代MM時代の
成果がここに結実している。作例そのものは大掛かりな改造のない素直な
ものだが組み合わせとAFV系の派手なウエザリングも手伝って
  塗りとポーズでカッコよく見せる良心的なものが多い。
題材はTVやイメージボードのジオラマ再現で、ネタ的には
  TV名場面模型ジオラマ再現1/2と被るが、いずれもこっちのほうが一枚上手。
(実質的な製作スタッフはほとんど同じのはずなんだが、
発売時期の関連もあるのかな?個人的には1/72のフルスクラッチのブリタイが楽しい。)
  巻末には83/9時点のカラー写真入りのマクロス模型リストがあり構成に無駄がない。
  このほか十川氏32才のカラー写真が見られる。
なおタイトルに1とあるがこのネタの2は出てないようだ。
またこのコーチ文庫シリーズはコロタンよりサイズが大きく、
  ビジュアルに振った児童書シリーズだったようで、数種を確認しているが、
  コロタンほどには人気にならなかったらしく、市場的には全く見かけない。
  といっても特殊な線画があるわけではなく、資料性は皆無だが楽しすぎる。
  近いうちに作例リストに追加予定。やっぱりこの手のジュブナイル作例本はやめられない。
  下忍さん資料ありがとうございました。心より感謝。


*最新版アニメSFプラモ大全科(改訂初版84/6 定価670円)秋田書店刊
  例によって年少者向け大百科系の一冊。「だいぜんか」と読むのだが音だけ聞くと
凄い元犯罪者みたいに聞こえる。これは秋田書店のジュブナイル本のシリーズ名らしく
巻末には怪奇大全科やらアニメロボット大全科など、ほかのシリーズも載ってます。
  編集は当時もはやキャラクターモデル誌と化していたマイアニメ編集部が
担当。内容は、まず巻頭カラーでバンダイ新製品(主にMSV、バイファム、エルガイム)、
  タカラ(ゴーグ)の新製品、イマイ/アリイの新製品(オーガス)+マクロスディオラマ。
  続いて塗装作例、ディオラマ作例(いずれもガンダム)さらに絶版プラモと同ボックスアートの
  紹介となってます。白黒の本編は2/3が各社(バンダイ/タカラ/イマイ/アリイ/青島)の
  製品情報となってんですが、このへんが妙に充実していてバンダイなんか
模型情報の購読申し込み先まで載ってます。
  (流石、雑誌編集部製だけあってマーチャンダイズに抜かりはないようだ。)
  付帯するキャプションも全てのキットをただただ過剰に賞賛する批判性のないもので、
一つ一つはかなり笑えるんだけど、続けて読んでいるとゲップが出てきます。
  (通販のインチキ健康/開運グッズのキャプションに似たり。)例えば、
「アーマードタイプの武骨なイメージは男のモデリングスピリッツを
十分刺激してくれるのだ」(1/72アーマードバルキリー)
  「特殊メッキ加工による限定品。重厚な鋼鉄の感覚が最高だ」
(1/72バトロイドアイアンタイプ)といったような表現が永々と続きます。
  さて、ここでのマクロス関係の記事について。かなりの種類が写真入りで紹介されていて
  当時(劇場公開前)はカタログ的に使えたはずなんだけど、イマイキットの紹介写真が
  ことごとく有井のスケール違いのものの写真なのでなにをかいわんやでございます。
(1/72バトロイド各型の写真は全部1/100可変の写真だったりします。)
  後半に入って、プラモの作り方と改造例ディオラマの作成法、これも通り一遍の無難な内容。
  続いてどれもどこかで見たような(セミプロ?)アマチュアの作品集があって、
  巻末にはアニメSFプラモの歴史として、鉄人28号からゼンマイ付きヤマトに至る、
  歴代絶版キットが紹介されているのだが、このコーナーだけは異常に力が入っていて、
  妙な気合いを感じさせるものとなっております。ハイ。
  (単に担当の人の問題かも知れません。シルバークロスだとか変なもの多いし。)
というところでまた来週〜〜〜。(ほんまか?)
  PS:書き忘れてたけど、資料的な価値はごじゃりませ〜〜〜ん。
  PS2:ところで男のモデリングスピリッツって何ですか?海@堂様の要求されたヤツ?


  *プラモデル 岡田徹也著(84/7 定価780円)フレーベル館刊
  さあさあ、いよいよ些末ネタに入ってきました。タイトルだけだとなんだかわからないこの本、
  サブタイトルに「子どもの実技教室シリーズ・7」とあり、要するに前述のプラモ作り等と同様の
  児童向け模型製作指南本。初出が84年だけにスケールモデルに加えてキャラクターモデルも
紹介されており、マクロスものは巻頭のカラ−ページにプラモカタログとして
有井1/72アーマード/グラ−ジ/トマホーク、1/100ガウォーク、1/160モンスター等の
  商品見本のような写真が紹介されている。もっともカタログと称しているからといって当時の
  新作リストなんかじゃなくて、ただ無作為に各ジャンルの模型のややつらい作例が
  二三点載せられているだけなので、時代的な資料性も皆無。内容も前述の指南本のような
楽しい暴走もなく無難な工作の解説。このあたりは流石アンパンマンの本屋さんゆえか。
模型研究家を称する著者はどうやら鉄道模型関係の人のようで
  キャラクターモデルは特にぞんざいな取り扱いになっており、
作例の1/144シャア専用ザク(初代。300円也)は継ぎ目消しなしのうえ、
  ピンク無塗装、足首は設定無視のデタラメな塗り分けなので
  当時の平均的ボンボン愛読小学生に鼻で笑われる内容になっている。
  まあ、時代の流れのなかでニューカマ−を良しとせず、冷淡な態度の先人は
多かったという話。ちなみに時代的にMSVの後期に当たり、
すでに小田雅弘氏や川口克己氏が活躍中なので素組みという失点も高い。
  総じてブームに乗って市場に溢れていた児童用模型指南本に後から慌てて参入して
自爆した時代の徒花と見るべきものなのだが、巻末の発行年度に恐るべき事実が記されていた。

   1984年7月 初版発行  1994年3月 第5刷発行

    筆者はこの本を地元の図書館の児童コーナーで見つけたのだが、すぐさま紀伊国屋の
新刊検索をしたのはいうまでもない。そこでは勿論1984に絶版。
出版元でも現行書籍ではない。一体なぜ、こんな本が5回も、それも10年渡って増刷されているのか?
  その答えはフレーベル館のサイトの今は繋がっていないリンクボタンの
  「図書館向けセット」に秘密があるのかもしれない。多分あなたも公立図書館で会えます。

フレーベル館さん、こんなのセットに入れてるんですか?



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