レッズ開発 アリイ販売(?) 1/24 VF-1Sファイター (半完成品)

*レッズ開発/有井販売による半完成品。定価税込み34,500円 98〜99年の15周年の製品。
ウザイ文章がヤな人は一番下にズバリのパーツ写真を用意したのでそっちへスクロールよろし。
原型は二宮氏に依るもので、TIAマクロスプラスの同氏の図面の立体化。
(ただし後述のとおりご本人も困惑するMG誌に掲載された作例とはほとんど別物状態。
歴代VF-1キット最大の1/24。資料によると99年6月の発売のようだ。
長らく模型店レインボーテンの在庫表に残っていたが、躊躇しているうちに消滅した。
(時期的にM3のプレゼントになったのでしょうか?)
当初ソフトビニールでの販売予定で、逆テーパーもへっちゃらな細かいディテールが
期待されたが、実際にはコールドキャスト製に素材が変更され、
塗装済み、未組み立ての形態での発売となった。
直前の発売予告では主翼可動のギミックがコールされていたが、
実際の製品では痕跡だけで接着指示になっている
基本的にTV版でコクピットのみ劇場版仕様。スケールからいって
田宮の1/32トムキャット相当のサイズ。
大きさも大きさだし値段が値段だけに購入はよほどの覚悟がないと難しかった。
バリエーションはノーマルのS型のみで(MG誌上で二宮氏が希望されていた)
スーパー仕様は出ていない。おそらく初回のみの生産だけで、販売数は100を超えていない
と思われる。

追記03/9/17:この項ペルシャたろー氏よりの情報。どうも有り難うございました。
心より感謝申し上げます。

実物を入手したので以下にレポートを記す。
まずファイター上面図をあしらった図版が描かれた驚く程巨大な段ボールケースを
開けると中から発泡スチロールのボックスが出てくる
それを上下に開くと中には幾つかのパーツに分配されたファイターが出てくる
機首一式から胴体、補助ブースター、足はインテイクから
エンジンナセル、ベントラルフィン、エンジンノズル、
収納された腕ブロックまでがすでに組み立てられている。
これに主翼ニ枚、尾翼二枚、首脚、主脚ニ本、三分割された首脚カバー、
二分割の主脚カバー2組、組み立てずみのバトロイドヘッド
(見える部分のみの再現)ヘッド用レーザー機銃4本、とドクロマークなどマーキング用の、
ステッカーとペラ紙のインスト、バキューム製のキャノピーに加えて、
あくまでおまけパーツとして12発の通常ミサイルが付属する。


(実はこの段階でとんでもない落とし穴が存在しているのだが
読者のみなさんは気付いただろうか?答は本稿を最後まで読めば出て来ます。
さあ、みんなでかんがえよー。)









いずれのパーツも下ごしらえをした上で基本塗装が施されており
一応、インストの指示通り数パーツを接着してステッカーを貼れば、
巨大バルキリーが完成するようにはなっているのだが、
前述したとおり、素材がポリストーン(石粉入りの樹脂、比重的には
ポリパテに近く、55センチを超えるこのキットではズシリどころではない重さ。)
のためうちのニ才児(レポート時点ね。)では胴体部分を
引きずっても運ぶことができない重さとなっている。
また機首と胴体は接着済みにもかかわらず、入手したキットでは
すでに千切れた状態になっていて、企画側のもくろみは最初から
失敗している。ペルシャたろー氏も指摘しているのだが、
キット付属の脚ではおそらく重量を支えるのは不可能と思われる。
なんらかの方法で重量軽減ができればいいが、ほぼ全てのパーツが中身の
詰まったムクになっていて、なおかつすでに接着済みのため肉抜きなどの
加工は困難を極める。(多分、素材的に切削作業そのものも困難であろう。)
フォルム的にはMG誌に載った二宮氏の作例そのままで発売時期
(長谷川1/72キット発売以前)を考慮せずとも優秀と
いうほかなく、ノーズから背ビレのラインや、上面の胸パーツ、
リップの薄いインテイクからノズルに至る形状も素晴らしく
申し分ないものなのだが、いかんせんディテールにおいて、1/24はおろか
1/72レベルに及ばないし、下拵えも200番くらいのペーパーで
ラフに行われており、(量産品としては普通。通常マスプロの完成品であれば
抜きと原型の段階で下拵えの負担を軽くする工夫がなされるのだが、
パーツ自体がアマチュアガレキレベルの構成なので下拵えの作業に
大きな負荷が掛かり、キチンと仕上げるにはワンオフ製作並の
労力が掛かると思われる。)塗装も原色系の塗料が漫然と塗られているため、
実物を見た印象はかなり悪い。特に脚柱などとろけたようなドロドロの造型だし、
車輪はホイール側面が判別出来ないほどに荒れていてタミヤ1/32のF-14や、
アカデミーの1/32 F-18等のパーツを流用交換したいところだが、前述の重量の
関係もあっておいそれとは行えない。着陸脚関係は見せ場のため非常に深刻な問題である。
フォルムとディテールを総合して見ると、博物館によく置いてある船や建築物なんかの
「凄く巨大でフォルムは正確なんだけど、のっぺりとしていて
精密感や緊張感のない散漫な縮尺展示物」の造型に近い。

 98/1のMG誌の記事によれば当初、大型のバトロイドをソフトビニールで製作する
構想であったものが、ファイターに変わり、素材もポリストーンに変更、
販売形式もショーケース入りの完全な完成品であったものが
半完成状態の組み立てキットになったということらしい。
ファイターをチョイスした段階でソフビを放棄したのは妥当な判断であるが
(ガシャポンやプライズのトイを見ればわかるが軟質樹脂でまっすぐな
主翼/尾翼を作る事はほぼ不可能で、例え湯煎などで曲がりを修正しても日常の
温度変化による事後変型は翼のような薄く長いパーツでは避けることができない。)
自壊するほどに重量が増すポリストーンでは企画ミスといわれても仕方のないところ。
組み立て済みパーツもある程度精密な塗装がされた上で半完成であれば
いいのだが、実際には全面黒塗りにされただけのコクピットパーツが接着済みでは
いくら原型にディテールが施されていても全く持って意味がない。
下手な事をされるのであれば、いっそパーツ状態のまま無塗装キットとして
供給してくれたほうが有り難いし、それならば普通のキャストキットとして
(それでも凄い重量になるはずだが。)生産したほうが遥かに親切であろう。
もし純粋なガレージキットとして販売されていたならば、後述の問題を差し引いても
これはこれで傑作キットとなったと思われる。
同様にキャノピーも製品では半端に切り取られた無塗装のバキューム製パーツが
付属しているのだが、それならば通常の飛行機ガレキが
そうしているようにキャスト製の絞り用原型を付けて欲しい所。
このほか、前述したように主翼は可動用を思わせる穴が開いており、
元々可動で開発されていて、予告でも動作する様子の写真が載っているのだが、
実際の製品では軸受けが切断処理された上、インストでも穴を無視して
接着せよと書いてある。付属のミサイルもインストに「今回のおまけです。」とあり、
適当に使ってくれと言う投げ遺りなもの。というのはこのミサイル
(ディテールが何も付いてない上、尾っぽに穴も開いてないとんでもない状態のもの)
いちおう12発入りでそのまま使えそうに思うが実際にはパイロンのパーツが
入っておらず、主翼側も取り付けを考慮していない
(パイロン取り付け部のパネルラインは彫ってる途中で挫けた痕跡有り)
という致命的な落とし穴がある。

そしてなによりこの製品にはガンポッドのパーツが入っていない。

(事前のMG誌の記事ではすでにガンポッドが
造型されているのになぜパーツ化されていないのかは謎。まさかとは思うが設計の段階で
考えてなくて、着陸脚が短すぎてガンポッドをつけられなかったのだろうか?
ちなみにMG誌の記事ではガンポッドは機体に付けられてなくて、よこちょに置いてある。) はどうもこの辺りを見るにつけ、実際の企画の経緯は分からないが、
非常に高いレベルの完成品販売を目指して企画され、生産と価格が折り合わず、
頓挫し、その後なし崩し的に生産、販売に至ったと見るのが正しいようだ。
総じて製品として十分煮詰められておらず、商品として成立しているとは言い難い。
(ガレージキットとしても不親切すぎるし、そこそこのレベルの完成品としても妥当な
ものとは言えない。)1/24という究極のハイエンドモデルの理想と現実が
墓標となってそこに横たわっていると言えよう。
基本的に完成不可能なモデルと考えるべきだがもしコレを入手してそれなりに
手をいれるのであれば、前述したタミヤ 1/32 F-14Aトムキャットや、
韓国アカデミーの1/32 F-18ホーネット等が流用パーツ取りに有効だと思われる。
特にアカデミーのホーネットは主翼の折り畳みギミックを有するのでコレを
尾翼基部に組み込めればなかなか面白いであろう。ともあれ鬼門は重量なので
腕ブロックを無理矢理にでも引き剥がして足を内側から切削するなどの力技が必要。
このほかうちの個体にあったように、よしんば機首と胴体の接続部が繋がっていても強度が
怪しいので金属シャフト等で補強が必要だが、この作業自体が重量増加をまねくため
これも一考が必要。理想はシリコンでキャストに複製しての作製だが規模が規模だけに
容易には勧められない。いずれにしても相当のスキルと覚悟が必要なので
心して挑戦してほしい。(04/2/5大幅改稿の上独立)。
04/2/6改稿:当初、着陸脚はメタル製と思われましたが、比重を測って
端を削って見たら、金属ではありませんでした。比重約2で地の色が白いので
本体と同様にポリストーンのようです。しかしながらポリストーンにしては
成型が凄まじくどろどろ(脚柱は円柱になってなくて木の枝のように屈曲し、車輪との
接続部はイモハンダで繋いだような状態、車輪自体も肉抜きやボルトはおろか
同心円のモールドすらない状態)で今一つ解せません。(最初はメタル製ゆえ
粗いモールドなのだとおもってたんですが。)
少なくともこの製品の開発にマイクロエース(アリイの鉄道模型部門)は
関わっていないようです。ここの精密ダイキャスト成型技術を応用すれば
目の覚めるようなパーツができるはずなのですが、、、、、、。

2013/5追記:意を決してツイッター上で二宮氏ご本人にお尋ねしたら
 ご本人もご自身の原型とは思えなかったとおっしゃっておられます。
当時はあちらの国に送った原型が無くなったり、破壊されることがよくあり、
まるで違うものが製品として返ってきたりしたそうで、これもそうだったのかもしれないが
確かめようもないとのこと、販売したレッズもこのあとしばらくでなくなってしまうので、
なんともいいがたいお話です。



04/2/7追加*参考写真

外箱

開封状態

全長56センチ

機首外観

機首裏面/首脚格納庫

機首接着痕跡

黒塗りコクピット

機首前方より

胴体部上面より

胴体胸アップ

胴体後方/エンジンノズル等

胴体後方より

胴体裏面

エンジンインテイク部

胴体側面より

胴体裏面/主脚収納庫

シリアルナンバー?

主翼表

主翼裏、途中で挫けたパネルライン?(パイロン取り付け部に注意)

尾翼

バトロイドヘッドパーツ

着陸脚格納庫ドア(裏)

レーザー機銃(4本付き)

AMM-1ミサイル?ただの筒?(12本付き、パイロンはありません。)

キャノピー

着陸脚1

着陸脚2

胴体と機首だけで3.2kg




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