1/72VF-1キット詳細解説

仮運用、暫定駆動中。

さあ、長谷のVF-1も出た。スーパーも出た。ファイターは完璧だ
ところでバトロイドってどうなのよ?
そこでいまだ存在しない決定的な1/72バトロイド、ひいては完全変型三形態作製のためのキットパーツ指南。
インジェクション(一部ガレキ)キットのパーツと構造と設定資料との兼ね合いもノロノロと解説。

*なるたけ主観的な要素を排して事実関係と公式の図版との考察を行っていくつもりですが、
必ずしも絶対性のある記事ではありません。あくまで参考にそして気になれば原本/キットに当たって
各自で判断を付けてくださいまし。




@頭部@

インジェクション1/72で存在するヘッドパーツはバトロイド固定キットのもの、ガウォークのもの
可変シリーズのもの。の三種にそれぞれJ/S/A/Dが存在する。次点としてHCMのヘッドパーツも
S/Aが存在する。全般的に言ってサイズ的にはバトロイドの物が最も大きく、ガウォークと可変のものは
ほぼ同じ大きさで一回り小さくなっている(機首根元への収納のため1/100アーマードバルキリーと同サイズ。)
以下機種ごとに検証する。


J型に関しては大きさを除けばいずれのキットも同一の形状で
顎のない前後方向に長い形状。もっともいまだかつて顎を再現した上下方向に伸びた顔に近い造形は
存在しないのでかっこいいJヘッドを目指すなら下に伸ばしてマスク状の造形を目指すのが吉か?
ガウォーク以外のキットのレーザー機銃の基部はオモチャ用詳細設定に基づいて円周上に切り欠きが
設けられているが、図版ではあれほど深いものではない印象あり。同じくガウォークを除いてカメラアイ内部に
クリアパーツが付属している。J型は劇場版においてアーマード装備でしか登場せず、
設定図版はTv版と共用なのでヘッドパーツに関して劇場版/TVの作り分けは不要と考えるのが自然であろう。
もちろん劇場版の世界においてノーマルのJ型が存在すると想定して作るならば拳などを劇場版準拠に
変えるべきであるが。ところでJ型ヘッドの後方からの図版は見たことがない上、
ヘッドのみの図版(全て身体が伴う)もないので後方はある程度推測にならざるを得ない。
側面はアーマードバルキリーの図版で確認できるが、ここで描かれている頭部は前後に長く、
これをそのまま再現するとカメラアイが口のように見えてしまい正面図の精悍な印象と相反するため、
この図とかっこいいJ型ヘッドパーツは妥協点が難しい。J型ヘッドはこのほかJ型のファイターの裏面
の図版が頭頂部の参考になるが、図版によって面取りや面構成が矛盾するので全てを満足させるのは
困難が伴う。カメラアイ下面部と顎基部との繋がりも悩み始めるときりがない。
各種初期稿を年代順に追えばアーマードに描かれた形状が正解なのだが
オープニングとアイキャッチで見るアゴがせり出したイメージの印象をどう盛り込むかがミソ。
このほか頭頂部の面構成はカメラアイのフチからどういうふうに繋がるのかも重要な課題。
総合的にみて、現状では長谷バルのJヘッドが図版的には正解なのだが、サイズは1/100以下。
このほかギミック的にはバトロイドのものは前後のスイング、ガウォークのものは軸が出ていて回転、
可変のものはポリキャップを内装して回転するようになっている。

画像はうちで試製した1/72Jヘッド。結局今一つ結論でず。

S型もどのキットも大きさを除けばほぼ同一の形状で(ガウォークがやや長いが)、やはり前後方向に長い傾向は
変わらない。これは好みの問題であるが、全体の形状より、むしろカメラアイの形状が重要な要素のようだ。
キットはいずれもスリット状というか上下のラインが平行に走るゴーグルのような形状で
再現されており、初期の図版で描かれている、一つ目サイクロプスを連想させるような逆三角形の形状とは
印象が異なる。しかしながら後に追加されたスーパーや劇場版の図版では模型に準じた形状に
描かれるように変わって行くので(宮武氏の稿も多いのですが。)およそこの形状でも公式といえるであろう。
劇場版とTV版ではノーマル機の図版が頭に関して同じものだが、新規の追加図版では多少パネルラインが
追加され、透明フード越しに内部のカメラの状態が示されているのでこだわるならここの再現をどうぞ。
もっともTV版もこういうディテールであったと考えて、差異はないとの認識が自然だと思うが判断は各自で。
キットに話を戻すとガウォーク以外のものはカメラアイがクリアパーツになっている。
また図版で示される額ワキの矢印マークは凹モールドで再現されているが、これがマーキングなのか
パネルラインなのか、凹凸なのかはいまも議論が分かれるところ。
ギミックはバトロイドのものは今井版からバンダイ版への改修時に前後スイングがうしなわれて回転のみとなっている。
他はJ型と同じ構成。

うちの試製

A型も大きさを除いておよその形状は同じ。内容もTv版としてはほぼ問題ない。
(こだわればどこまでもいけるけれど。)むしろこのタイプの問題は劇場版とTV版で明白に形状が異なること。
TV版では頭部本体と面一だったカメラアイの基部が一段出張っており。本体形状も変化しているほか、
矢印マーキングなども追加されている別物。キットはTv版準拠だから、
劇場版前半のマックス機(地球上の戦闘はS)同じく劇場版前半のヒカル機(最終決戦時はもちろんS)、
劇場版柿崎機を再現するならこのヘッドパーツの自作/改造がが見せ場になろう。
資料的にはマクロスザムービーの豪華本に尽きる。ギミック構成はJと同じ。

D型は箱組み構成であることも影響してか、特に言及するべき内容はない。ほかと同様、
バトロイドのキットのみサイズが大きいくらいで形状は同じ。いずれのキットも形状的に問題はない。
注意点としては胸形状の差異もあって図版を見るかぎり首がほとんどない構成なのと
他機種と組合せる場合にこだわるなら身長を揃えるぐらいか?
(資料的にどの型も身長差は示されていないため、現状では同一の大きさと推測される、
図版で見るかぎりでも顎/首がない分、他機種と同じ大きさに見える)

付記:海洋堂のソフビキットのS型ヘッド。
比較的上下方向に長く本体は申し分ない形状。バトロイドとして一つの理想。
カメラアイも左右でやや絞られた形状で件の正面からの設定画の要素を含んでいる。
機銃廻りはあっさりしたディテールなのでここはそれぞれの腕の見せ所。
首は特殊な解釈のシリンダーと内部フレームむき出しの物だが
これを可動としてコピーするのもおもしろいはず。
キット自体が固定なので可動部はない。

付記2:長谷キットのヘッドパーツ

いずれも長谷川テイストのシャープなパーツであるが大きさは1/100より小さいため
これを可変なりのバトロイドキットに組合せるのは無理がある。持って行くなら1/100キット
になる、こと長谷のSに関しては機銃を前方に向ける関係から基部の円盤状の部分から
機銃がせり出したような形状になっているのでそのままではとても使えない。
*雑誌等で散見される長谷バルキリーを素体としたバトロイドについての考察は
いずれまとめるつもりなのでここでは一般的な設定資料に基づくバトロイドとファイターの
両立についての考察に限定する。

@腕@

1/72に限定すると現状で存在するインジェクションキットのVF-1の腕は
旧イマイ/バトロイド(再版のバンダイ版は拳が改造され、丸一モールドが追加されている)
旧イマイ/ガウォーク(スーパーファイター)J/S/A
旧イマイ/ガウォークD
旧イマイ/ガウォーク収納状態
旧イマイ/可変
長谷川ファイター
の6種。

まずバトロイドに付属のパーツは総じて巨大な上、(厚みにおいても20mmに近い)
肩装甲の下、上腕のの部分がどの図版にもよらない独自な造形のため、
これをベースにどうのこうのするのはほぼ不可能。
また肝心要の下腕も大きいだけでなく各エッジが直線でなく不思議なRを持つのでこの点でも
始末が悪い、拳も昔のバンダイのモーターライズロボットのような団子状のものに
丸い大穴が開いた時代掛かった形式で当時から呆れるものになっている。
バンダイ再販時に多少の改善があったが、これも手の甲がスクラッチのベースになるくらい。
ただしこのキット全体はは独自のバランスの上に成り立っているので
可変に流用するなどの改造を考えず、エッジやディテール等の小改造で仕上げた方が
見栄えのするものになる。このほか肩の装甲部分は大きさを別にすれば良好な
形状となっている。ちなみに筆者の作成したバトロイドキット(ターミナルのページ参照)
ではこのパーツの形状を修正したのちバランスを変えないように小型化、薄化したものとなっている。

続いてガウォークのパーツは一転して異常に小さい上、下腕の拳の基部はどう図版を読みちがえたのか、
先端に向けて絞られたなんともいいようのない形状となっている。
拳もバトロイドより無残なものでお話にならない。バトロイドで問題になった上腕もさらに意味不明の
分割がなされていて、ただの箱としてもベースにならない。肩の装甲に至っては小さい上、
フチにあるはずの斜めの面取り自体が薄弱で、いくらガウォークで主翼の影になるとはいえいただけない。
ただし、腕全体としてはひたすら小さい印象が強いが可変で問題となる厚みは12mmで、
可変モデル/ハイコン等と同じであり後述の可変キットの腕の形状を嫌って大改造をするなら
こちらをベースにするのも悪くはない、同時に可変で厚みの制限があったとしても、
実は縦横比や長さのバランスの取り方で薄いことを分かりにくくすることが可能である。
度々手前ミソであるが筆者のバトロイドは可変用に肩も腕も12mmの厚みで構成している。

その後発売されたD型ガウォークに付属の下腕(肘関節より上は従来のガウォークのまま)は
後述可変とほぼ同じ形状の新造パーツになっているが、市場的にレアで高価なためこれを
用いるのはなかなか勇気がいる。もっともこのキットに付属の新造の機首が捨てがたい形状を
持っているので探すだけの価値はあるが。これも12mm厚。

ガウォーク付属の収納状態の腕は左右一体の箱なので長谷キットのようなものは期待しないように。

とりあえず本命は可変キット付属の腕となる。下腕の形状も劇場版風の処理で妥当なものであり
上腕部も初めてまともなディテールを備えた形状になっている。肩の装甲も12mmの厚みの中で
面取りも入っているし、バトロイド固定モデルにもかろうじて流用して使えそうだ。
下腕の幅が腕全体を大きく見せるためのフェイクとしてやや広くなっているため
逆にこれを縮めて厚みとのバランスを取ると薄く見えなくなる。ただし拳の収納ギミックが
内部ギリギリまで入っているので幅詰めと同時になんらかの代替え策は必要になるが。
肩の装甲も厚みを変えず上腕ギリギリまで面取りを拡張してバランスを取ると逆に薄さが気にならなくなる。

長谷ファイターのものは厚みで10mmほどで歴代最も薄いのだが前述のように幅も縮めてあるため
それを感じさせないモノとなっている。一応、肩/上腕のディテールが入っていて、
(面取りはないが。)下腕は完全な形状のモノになっていて、手首の脇にあるシーカー部
(ライト、センサー等諸説あり)がモールドされている唯一のキット。もっともバトロイドに使うのであれば
バランス以前に肩の装甲を自作せざるをえないが。

追記:海洋堂製1/72VFー1Sソフトビニールキットの腕
もちろん良好な形状、下腕はやや長さの短い1/100旧イマイ風。上腕は肘に向かってテーパーの付いた
細めのもの。肩の装甲の側面は外に向かって開くガンダム風の処理。特筆すべきは手首の造型。
指一つ分、甲よりはみ出した解釈で表情も豊か。全体の厚みも12mmなのでこのままコピー造型して
可変に流用も不可能では無い。この点でも一見の価値あり。

、、とまずは各キットのパーツの概要を書いた訳だけど、要するに1/72ではこれっていう
腕は無いということ、1/100であれば旧イマイのスーパーなり、有井のなりからチョイスできるんだけど、
設定と比較していじるなら半ばスクラッチにならざるをえない。設定資料から腕に関して特記事項を
列挙すると、肩の装甲の側面は肘を真横に振出した時に干渉するのだが、これがガンダム式に
上に逃げるのか、内側に引き込まれるのか、構造についての公式設定はない。ちなみにPSゲーム、
VF-Xでは上腕と一体で番台の1/144初代ザクキットのような動きになっている。
上腕の形状に関しては一番古くからあるバトロイド図版では肘に向かって絞られていく
テーパーのあるやや太いデザインなのだが、ガウォーク〜後期の劇場版の追加図版になるにつれて
旧イマイ可変キット様のテーパーのない細いものに変わっていく。
手首はTV版/劇場版で劇的に変化したが、これに伴って
手首基部も大幅に変化しているので作り分けのポイントとなる。
また、型式によって腕の形状(TV版/劇場版の変更、VE-1は除く)は差異が無いとみるのが
自然であろう。(帯状のモールドへの考察は模型リスト1の稿を参照。)
また精密作業用の補助マニピュレーターは、最もこの手の作業から縁遠いと思われる
S型が装備していることからみても全ての機体に標準装備となっていると見るべきであろう。

いずれ後述する予定の変型構造との兼ね合いから腕を考察すると、まず収納状態の腕ブロックの
横幅から腕全体が決まってくる。繰り返しこの稿で述べているように可変キット/ハイコンで12mm*2
=24mmとなっており、これより厚みを増して横幅を大きくすると、足ブロックの幅を減らさない限り、
機体の幅=胸の横幅が増えていくことになる。(一つの基準として可変キットの場合、足は取り立てて
大きいわけではないのだが、既に主翼付け根裏のベーン部は皆無となっている。)胸の横幅が増える
ことはバトロイド形態のプロポーションにとってマイナスの要素であるから、ここの妥協点を
ドコに持って行くかが重要となる。個人的にはこの12mmが理想の数字だと考えている。
このほか可変キットの採寸は足ブロックのバランスなど十数年の時を超えて、理想に近いバランスを
教えてくれることが多い。
また前述の厚みとバランスを取る為、幅を縮めることはファイター時の機体裏面が薄くできる効果もある。
これに関連するが腕ブロックの収納と背面ブースターの展開は可変モデル作成の鬼門の一つであり、
これの解決はかなり難しい。スーパーファイターの後方からの図版を見れば根本的な無理が
あるのが良く分かる。ちなみに可変キットでは腕の収納位置を機体の下の方へ置いたうえ、
ブースターを薄いものとしている。(そのためブースターのノズルは本来三角形を成す配置であるはずが
横一直線に配置されている。)このへんをまとめて解決する機構を公開する予定。

このうえ手首まで収納しなきゃいけないから腕は大変だわ。


@次は胸でも書きます。つうことで以下続行@

*各部に言及してから相互の関係にいきます。また、解説用に手書き画像を追加予定



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