バランスのための練習

画家が遠近感を出すのと同じように、ピアノ演奏も「立体的」に聴こえる演奏とそうでない演奏というのがあります。基本は「バランス」によって音に遠近感を持たせること。この基本的な表現テクニックは、すでにピアノを習い始めの初期の楽譜から必要となってきます。

右手がメロディで左手が伴奏となっている曲。両手同じ音量で弾いたのでは、「ただピアノを鳴らしている」ようにしか聴こえません。メロディが浮き立って聴こえるようでなければならないのです。美しいバランスというものがどういうものなのか、耳で覚えるのが一番。是非ピアニストの演奏に耳を傾けてみてください。両手とも同じ音量で演奏している箇所の方が少ないでしょう。一体どういったバランスで演奏しているのか?そういう耳で聴いてみるのも面白いですね。

ところで、このバランス。実はとっても難しく、ピアノを習い始めの子どもにとっての最初の難関でもあります。(もちろん大人の生徒さんも) ということで、私はこういった曲にもう少しで入ると思う1,2ヶ月前くらいから、下記のような練習をしてもらっています。この練習で左右のバランスを身につけてから楽曲に取り組むと、本人の苦労がかなり減ります。あとはテクニックの問題ではなく、「どのようなバランスが美しいのか」という音楽的な欲求からのレッスンが可能となってきます。

人によっては長い期間かかる人もいます。(半年など) でもあきらめずに、ゆっくりじっくり取り組みます。そうすることによって、必ずできるようになるのです。
それでは、早速練習方法をご紹介しましょう。



最初から同時に鳴らして左右バラバラな音量で演奏することは、無理に等しいくらい難しいです。なので、上記の楽譜にあるように左右の音をずらして練習します。ルールは簡単です。「弱い音」から弾くということです。このずらしの段階で、「弱い音」が強くなってしまう人がほとんどです。大切なのは「弱い音」をかすれるくらい「弱く」、「強い音」をできる限り「強く」弾くことです。この左右の音量の差が大きければ大きいほど、いい練習になります。

確実にできるようになってきたら、ずらしを早めていきます。弱い音を弾いた直後に強い音を弾く・・・です。意識しなければならないのは、弱音です。この弱音が難しい!!できる限りかすれてもよいから「弱く」弾きます。

このすばやいずらしが確実になってきたら、同時に鳴らす意識を持ちましょう。一音ずつゆっくりゆっくり耳で確認しながら・・・です。できていないと思ったら、ずらしで指の感覚を思い出してください。

あきらめることなく、この練習を続けることによって、少しずつ感覚が身についてきます。