美しいフレーズを演奏するために

文章にまとまりがあるのと同じように、音楽にも「まとまり」があります。この「まとまり」を感じて演奏しないと、とても乱暴な演奏に聴こえてしまいます。
美しく歌う・・・とはどういうことでしょうか?これからお話することを、是非試してみてください。乱暴に聴こえていた音楽が、美しく歌う音楽へと生まれ変わることでしょう。



オルガン・ピアノ2巻に出てくるフレーズですが、たいがいの生徒さんはで囲んだ「ド」に、なんの意識も持たずに弾いてきます。考えてもみてください。「私はピアノが大好きです。」という文章を「私はピアノが大好きです。」と言いますか?それとも、「私はピアノが大好きです。」と言いますか?前者は「です」の持つ音量が大きすぎです。伝えたいことが伝わりません。述語は控えめな音量で言うものですよね。

ということで、○で囲んだ「ド」を他の音と同じ音量で演奏すると、まるで「ミミミレ
ドー
という演奏に聴こえてしまうのです。私はこれを「尻もちをつく」と言っています。尻もちをついた音楽は美しくありません。

この最後の「ド」を、前の「レ」の3分の2、もしくは半分の音量で弾いてみてください。
言葉をかえて言うなら、特別大事に演奏する・・・ということです。この意識がとても大切です。フレーズ最後の音は、それはそれは大切に大切に扱わなければならない繊細な音なのです。ここで大切なのは、ドの前の音。「レ」を弾くと同時に、次の「ド」を大切に弾こうと思う意識です。

この例の場合、それほど難しくないので「尻もちをつかない」という上記のような説明をすれば、たいがいいっぺんでよくなります。しかし、ある程度レヴェルが高い曲になってくると、このことを忘れがちです。
その上、意識しようと努力しているのに、そのような音にならない場合があります。そういうときお勧めなのが「止める」練習です。

では、いつ「止める」のか?
そのタイミングは、大切に演奏したいと思う音の手前です。この例の場合、ミミミレ・・・でいったん止まり、次の「ド」の音色を頭の中で確実にイメージしてから弾くのです。

ミミミレ(「ドの音色想像」)・・・ドです。


この練習を何回か続け、確実に「意識」し、それを「指に伝える」ことができるようになるまでやります。それから普通に演奏してみてください。「意識してるつもり」が確実に「意識した音」へと変化しているでしょう。

次に、この4小節をもっと美しくするために・・・のお話です。すべての音を同じで演奏したのでは、セリフ棒読みの俳優と同じです。ただ、音符を羅列したにすぎない演奏になってしまいます。この4小節で、一番重きがあるのはどこだと思いますか?言葉をかえるなら、一番盛り上がるのはどこだと思いますか?

ヒント:音符を線で結んでみましょう。そして、その線の起伏がどうなっているかを見てみましょう。

大概の音楽は、楽譜上の音符の流れを「形」として見ていけば、どこに「重き」があるのかわかるものです。この4小節の場合、あきらかに「ミソソソ」と音の上がっている部分がありますね。
この音が上がる瞬間「ミ→ソ」を意識しましょう。この場合意識するだけで、そういう演奏になるのでは・・・と思います。

ただ、注意点がひとつ。「ソ」が一番高い音だからといって、「ミ
ソソソ」と弾いたのでは汚い演奏になってしまいます。感じるのは、「音が上がる瞬間」です。これから音が上がるぞ、と意識することが大切なのです。そこに「気持ちの高まり」があるのです。「ミ」での意識が大切です。

音で例を示すことができればよいのですが、ここではそれができません。あとは「あんばい」探しです。ご自身で、どのような「あんばい」が美しいのか、いろいろ試してみてください。アクセントは必要ありません。ただ音の流れを意識すればいいのです。様々な音楽でやってみてください。楽しいのではと思います。