【フランスのグランドピアノ】

フランスでのピアノ演奏の最初の記録は、
1768年マドモアゼル・ルシャントルによる演奏。
このときの楽器の評判はあまり芳しくなかったそうですが、
1775年には当時有名だった歌手アルバネーゼが、
「歌の伴奏にはハープシコードよりも、
ピアノの方が適している」と言ったそうです。

この時期フランスで愛用されていたピアノの多くは、
イギリスやドイツから輸入されたスクエア・ピアノや、
ジルバーマンのグランド・ピアノでした。
ルイ16世は、1790年ベルギーの製作者タスカンのグランド・ピアノを購入しています。
当時はまだ外国の楽器で、
国内生産はされていなかったんですね〜。

あのフランスのピアノメーカーで有名なエラール。
セバスティアン・エラールが始まりです。
1777年イギリスのツンペのスクエア・ピアノをモデルに、
製作したのが最初でした。
その後、エラールのスクエア・ピアノは大人気となり、
「王の勅許を得ずにピアノを製造している」と
抗議を受けたほどでした。

そのとき、ルイ16世はピアノ製造の許可を与え、
エラールを庇護しました。
そして1789年のフランス革命。
エラールはイギリスに亡命しなければならなくなりました。

しかし、このイギリス行きはエラールにとってプラスに働いたようです。
ブロードウッドのグランド・ピアノに接することで、
グランド・ピアノのアクションを学べることになったからです。

1796年フランスに戻ったエラールは、
最初のグランド・ピアノを製作します。
その後改良を続け、1803年にはベートーヴェンに贈呈するまでになります。
エラールのピアノはイギリスと同じ突き上げ式でしたが、
エラールはこのイギリス式の持つ弱音と連打が難しいという点を改良しました。
鍵盤を完全に元に戻さなくても次の打鍵ができるようにしたのです。
イギリス式のダイナミズムとウィーン式の軽やかなアクションが同時に備わっている、
理想的なピアノが生まれました。
現代ピアノの原型とも言える形が、このとき生み出されたのですね。

・・・・ウィーン式アクションについて
   鍵盤に対してハンマーの向きが正反対。
   現代のピアノと逆向きにハンマーがついています。
   これは突き上げ式に対して、跳ね上げ式と呼ばれています。