『ANBAI』

中嶋@管理人


「あんばい」・・・・ほどよく。ここをこう演奏したい、と思う。でも、「あんばい」がよろしくない。こう演奏したい、と生徒がイメージしているとき、生徒の頭の中には「ほどよい」イメージがあるのだと思います。しかし、実際に演奏しているものが、自分が想像したとおりの「あんばい」になっているかどうか・・・。必ずしもそうではなかったりします。自分の演奏を客観的に聴くって、弾きながらだとなかなかできないものだからです。

難しいのは、そのように演奏したつもりになっている生徒に、
頭の中のイメージと実際のイメージのズレをどのように伝えるか・・・です。言葉では説明しきれない、とってもとっても不安定なもの、それが音楽の「あんばい」です。10人いれば10通りの「あんばい」があるわけで、もちろん生徒と私の感じている「あんばい」も異なるわけです。それを、いかにして生徒が求めている「あんばい」に近づけてあげるか。本当に悩みどころです。

生徒に歌わせてみたり、じっくりと2人で話し合ってみたり、私がいろいろ試奏してみたり。そうやって、生徒の持っている「あんばい」を引き出したり、なぜそういう「あんばい」にならないのかの原因を究明したりします。しかし、、実際のレッスンでそれを実行することができるかというと、これがなかなか・・・・。生徒と2人の呼吸が合えば、お互いに理解を深め合い、実のあるいいレッスンにすることができます。しかし、その時々でズレが生じてしまうことがあります。相手が先生だと思うと、なかなか自分の感じている「ズレ」を先生に伝えることができません。そして、先生である私はそれを感じつつも、生徒の感じている「ズレ」を引き出してあげることができない。お互いにその部分について会話をたくさん交わしていても、「ズレ」を解消できないこともあります。

また、
その「ズレ」の原因が私にははっきりと見えていて、生徒の求めている「あんばい」に近づける方法を私自身が感じ取り、それを指摘することができたとしても、その指摘を生徒が受け止められるか否か・・・ここにも難しさがあったりします。これは、生徒の問題というよりも、私自身のアプローチの方法がまだまだ未熟なのだと思います。この場合、一番重要なのは、「あんばい」に近づけるための練習方法を伝えるだけではなく、なぜその練習方法がよいのか、しっかりとその理由を伝えることでしょう。ただ理由を伝えればいいだけ・・・ですが、この理由、自分は伝えたつもりでいても、相手にはしっかりと伝わっていない場合があります。本当に言葉って難しいです。相手に自分の考えを伝えるには、ただ言葉を羅列するだけではなく、相手にその言葉を印象付ける工夫が必要なのでしょう。

このように講師は、いかに生徒の「あんばい」を導き出すかの工夫をしていかねばなりませんが、講師側の努力だけではどうしようもない場合もあります。
生徒側は、「答えは先生が持っている」と思うのではなく、常に自主的に「自分の音楽」というものを追及する姿勢が必要でしょう。