『本番への準備(初心者用)』

中嶋@管理人


大人になってからピアノを始めた方。1人でステージに上がり、1人で最初から最後まで弾ききる。多くの目が自分ひとりに注がれるステージ。

こんな緊張を味わったのは生まれて初めて!
「頭が真っ白になりました。」
「何がなんだか、覚えてません。」

当然のことだと思います。たった一人のステージで味わう緊張感はピアノならではの緊張感。ピアノを習ったことのない人が、このような緊張感に出会う機会は、ほとんどないのですから。
でも、「真っ白になった」という経験は、とてもとても大切。「真っ白になるものなのだ」ということがわかれば、それに対処できるようになるからです。

「真っ白になった」経験のある方へ。

私が初心者の方々に本番前のレッスンで取り入れている、対処法をここにご紹介しようと思います。

1)音名ですべてうたえる

なんとなぁく指が覚えている。
ステージの上で「頭が真っ白」になり対応できなくなる箇所は、
この「なんとなぁく指が覚えている」場所です。
譜読みに慣れていない初心者の方は、
自分がどこを弾いているのか、どこを見たらよいのか、
緊張感でわけがわからなくなっているので、
楽譜が目の前にあっても曲を進めることができなくなるものです。

ところが、音名でしっかりとうたえるようにしておくと、
「真っ白」になっても、音楽を先に進めることができるようになります。
自分がどこを弾いているのか具体的にわかる。
自分がどの指を動かせばよいのか具体的にわかる。
「なんとなぁく」ではなく「はっきりと」わかっていることが、
緊張とうまく付き合うための一番重要なコツです。

右だけ、左だけ、それぞれ音名で最後までうたいます。
音名でスラスラうたえないところは、
本番頭が真っ白になる危ないところです。

2)音楽を流れで覚える

初心者の方は、どうしても1つ1つの音にこだわってしまいがちです。
1箇所間違えると音楽が止まってしまい、先へ進めなくなってしまうのです。
その1箇所にこだわればこだわるほど、
「あれ?私どこを弾いていたんだっけ?」
「どこから弾き始めたらいいんだろう?」と自分ひとりで解決できないところまで、
どんどんどんどん深みにはまってしまいます。

練習方法は2つあります。

@ 左手部分を演奏しながら、右手メロディをうたう。
  右手部分を音名で歌うと混乱してしまう方は、「ラララ〜」でも構いません。
  音楽を横の流れで感じること。これが目的です。

A 最初から最後まで、本番だと思って演奏する。
  これにはルールがあります。「間違えても途中でやめない」です。
  とにかく、最後まで弾くこと。間違えても止めずに、音楽を先へ進めること。
  練習前に、「途中でやめずに、気に入らなくても最後まで弾くぞ」と心に決めて弾き始めます。
  この練習には、効果的な練習のタイミングがあります。

  ・1日の練習の一番最初にやること

  このタイミングが、とってもとっても大切です。
  練習後上手に演奏できるのは当然です。
  しかし、練習前のこのときの演奏が、現時点の自分の演奏能力なのです。
  本番前にじっくり練習できるはずはなく、
  この練習前の通しの演奏が、本番自分ができる演奏と思うのが無難です。

3)集中を高める

 ・ 演奏前に楽譜をじっくり見て、体に演奏する音楽を取り込んでおく。

これは2)Aの練習のときに、取り入れると習慣になってよいと思います。
まず、自分がどんな点に気をつけて演奏しようと思っているのか、
頭の中で音楽を鳴らしながら、最初から最後まで楽譜を読みます。
そのとき、自分が演奏しようと思っている「ノリ」を感じながら読むことが大切です。

次に、イスに座ったら、数小節を頭の中で鳴らします。
このときも、重要なのは演奏しようと思っている楽曲の「ノリ」を感じることです。

十分に演奏する予定の曲を体で感じたら、
「弾き始めたら、途中でやめずに最後まで弾ききるんだぞ。」と覚悟を決めます。
気持ちの準備ができたら、鍵盤へ手を持っていき演奏を始めます。

この集中を高める方法は、初心者だけではなく、
すべてのレヴェルの生徒さんに効果的です。
私もこの方法を使って、集中力を高めるようにしています。
音楽への集中が、余計な概念を吹き飛ばしてくれます。

これら本番前の練習方法は、
先を見据えて以下のような時期に始めるとよいと思います。


1)の練習は、譜読みの段階からやれることです。
本番1ヶ月前にはできるようになっておきます。

2)の@の練習は、本番3、4週間前から取り入れると効果的です。

2)のAと3)は、本番2週間前くらいから同時に練習します。
練習前の1回だけでなく、
3,4時間ピアノに触らず「突然の通しの練習」として、
1日に何回か取り入れると、さらに効果的です。