『リズム練習が一番?』

中嶋@管理人


みなさん、リズム練習ってどれくらい取り入れてらっしゃいますか?私はというと、ほとんど取り入れていません。生徒を教えていて、「リズム練習が一番効果的」と判断することは、滅多にないからです。もちろん、リズム練習が効果的な場合もあります。全く取り入れていないわけではありません。しかし、それ以前に問題解決することの方が多いのです。

まず、何故リズム練習をするのか?理由は「音の粒が揃っていない」ということ。では、何故音の粒が揃わないのか?何故揃って聴こえてこないのか?リズム練習を取り入れるか、それ以外の練習方法の方が効果的かは、この「何故揃って聴こえないのか?」にあると思います。

【 技術的な問題があるため 】

この場合、どんな技術的な問題があるのか分析する必要があります。

1)親指で弾く際に、指で弾かずに手首で弾いている。

これが原因で粒が揃わない場合が、本当に多い!ベートーヴェンやショパンを演奏するようなレヴェルの人ですら、これが原因で粒が揃わないことが多いのです。この場合、どんなにリズム練習をしても意味がありません。手首で弾かずに「親指を動かして」演奏することを意識することが一番です。このとき、効果的なのは「声がけ」の方法です。

・手首を一定にして
・親指を動かして
・手首をガタガタさせないで
・手首を上下させないで
・指だけで弾いて
・手首をラクにして

さて、どの声がけが貴方に一番ヒットするでしょう?それは、人それぞれなんです。だから、いろぉんな声がけをしてみます。意識できるイメージをはっきりもてるようになったら、あとは、そのイメージ通りにゆっくりの練習をしてもらいます。

2)指が動いていない

これが原因で弾けない人も、本当に多い!この場合、リズム練習も効果的ですが、指の独立という物理的原因以上に、「指で弾く」という意識の足りなさが原因の場合の方が多い気がしています。大概腕に力を入れて、腕で弾いてしまう。速いパッセージになればなるほど、指が動かなくなる。これは、リズム練習より脱力&指を動かす意識を強く持つための訓練をする方が、ずっとずっと効果的なのです。

http://www.terra.dti.ne.jp/~emikosan/1-2.htm

上記ビデオはミューズクリニック内の基礎テクニック、A指を動かす・・・のビデオです。私はこの方法をよく使います。指が使えてないなぁと思ったら、必ずこれで確認します。弾けないパッセージの箇所の指使いで、この動きをするのです。2回ほどやるだけで、演奏がガラリと変わります。毎回練習の際に、これで確認するように伝えます。

こういった原因の場合「腕をラクにして」という声がけで直る人もいますが、大概この運動を取り入れる方が、脱力に成功します。

3)指が独立していない、ある指を意識できない

私がリズム練習を取り入れるのは、これが原因の場合です。ただ、闇雲にリズム練習をしたりはしません。必ず効果的なリズムが1つ2つあるはずなのです。だから、あらゆるリズムを取り入れることはしていません。

指が独立していないのは、どの指か?
どの指を意識できていないのか?

例えば、ブルグミュラーのアラベスク。これは中間部の左手16分音符でみなさん苦労なさるのではと思います。私も子どもの頃ここをすごく注意された覚えがあります。かなりいろんなリズム練習をさせられた記憶が・・・。(笑)

では、何故ここでみんな苦労するのでしょう?多くの原因は「鍵盤から指が離れない」からです。ある指がすばやく鍵盤から離れなければ、ここは弾けません。できない原因は「2→1→2」という指の動き。ここで1のあとの2が弾けない。1の前に弾いた2の指が、いつまでも鍵盤に残ってしまっているからです。2の指をすばやく鍵盤から離さない限り、ここは弾けないのです。

そのためには、裏拍である2の指を、かなり意識できていなければなりません。そこで、私が取り入れる練習方法が以下の方法です。

・2の指だけアクセントで弾く

この場合、アクセントの音とそうでない音の音量の差が重要です。2の指以外は、とてもとても弱く弾きます。

・タタン〜タタン〜タ

付点のリズム練習です。タッカの付点リズムではありません。この際意識したい指は2の指だからです。付点の音符にアクセントをつけて練習します。

・ティーヤッティーヤッタッ

「ヤッ」の2の指はスタッカート気味にアクセントをつけて。それ以外の音は、極力小さく弾きます。

・212、212、212

2の指にアクセントをつけて、すばやく弾きます。

今ここに4種類の方法を書きましたが、生徒さんにすべての方法を取り入れて練習してくるようにはいいません。レッスンの際に、どの練習方法が一番効果的か実験します。本当に効果的な練習の場合、これらの練習を4,5回やっただけで、効果があらわれます。4,5回やっても効果が現れない場合は、その練習方法を諦めます。やっても意味がないからです。とにかく、あらゆる練習方法を実験して、一番効き目のある練習方法を探し出し、その方法で練習してきてもらいます。

ここには、2の指が離れないという原因のための練習をご紹介しましたが、この部分の場合、先に説明した「指への意識」が足りないことが原因の場合もあります。その際は、2)の方法を使って練習してもらいます。

また、この部分について親指が原因の場合もあります。その場合は、もちろん1)の練習方法を取ります。

次に、物理的なことが原因ではない場合についてです。

【 拍子感を感じていない、まとまりを感じていない、
                音の動きを把握していないため 】


実は、弾けない原因の多くが、上記の技術的問題以上にこれが原因だったりします。粒が揃っていないのではなく、「揃って聴こえない」のです。流れている音楽の中で、機械的にすべての音が同じ音量で弾かれるパッセージなんてありません。実際には、微妙にそれぞれの音量が異なっているはずなのです。

だから、「揃っているか」「揃っていないか」ではなく、「揃って聴こえているか」「揃って聴こえていないか」なのです。スケールの練習で、拍子を感じて練習する重要性がここにあります。

拍子感を感じていない場合は、一度ピアノから離れて拍子を感じながら歌います。この場合、1と2と3と4と・・・という機械的な感じ方では意味がありません。拍子を音楽的に感じていなければなりません。また、拍子の感じ方は楽曲によって異なってきます。はぎれのよい拍子感なのか、1小節を1つに感じる丸みのある拍子感なのか。そういったイメージを手の動きで表現しながら、歌うのです。

上手に尺時定規な指揮をするのではありません。大切なのは強拍を音楽的に感じていること。弱拍から強拍への繋がりを感じていること。拍子をその楽曲のイメージに合わせて感じていることです。ということで私はあえて、小学校のときに習った指揮は使いません。ただただイメージ優先の手の動きでやります。

次にまとまりを感じているか感じていないか?音の動きを把握しているかいないか?これは連動していますね。どちらも同時に考え感じなければならないことです。このことによって、使うテクニックが変わってきます。なによりも、手首の使い方が変化しますし、意識をする基点となる指も異なってきます。

ひとつのパッセージを、1音1音バラバラで感じていても上手くは弾けません。その中には、音の方向性があるはずですし、なによりも「流れ」があるはずなのです。そのためには、音がどのように動き、どのようなまとまりで音楽が前へ進んでいるのか・・・です。

こういうとき、テクニックと音楽が一体化しているんだなぁとつくづく思います。ただただ一つ一つの音符を取って練習しても、練習時間が増えるだけで、弾けるようにはなりません。この音のまとまりと、拍子感に気づいただけで、弾けるようになるパッセージの多いこと!!

是非一度ピアノを離れて、楽譜を見てみてください。3,4小節続く16分音符のパッセージも、いくつかの単語によって成り立っていたりするのです。それに気づくだけで、弾くのがラクになりますし、より音楽的に美しく演奏することができます。