料理とワインの店:BISTRO KRI-KRI
   

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KRI-KRI MASTER

 

   そもそもくりくりという店はどのような店であるのか?「西参道 びすとろ・くりくり物語」(PHP研究所 クロダえり著)から抜粋してみよう。  
     
  「      ビストロクリクリの難関  
     
   くりくりのお客さんになるには、いくつかの難関を突破しなければならない。  
   まず、店の入り口であなたは迷わなければならない。ここはいったい何のレストランなのだろう。看板は目の前にある。そこには “アラブ風の料理もあります”と書いてある。よく見るとかすかにインド風という文字が透けて見える。インドを消してアラブにしたらしい。とにかく今ここは、アラブ風料理を出している店なのだ。だがなんだか釈然としない。「風」とは何だろう。「風」が表現する範囲は無限大のように思える。  
     
   アラブ「風」の料理、あるいはインド「風」の料理を作っている人と、アラブあるいはインド料理を食べようと思う人との間には相当な隔たりがあるはずだ。仮に食べる側が譲歩して、アラブ風でいいやインド風でいいやと思っても、それは同じだろう。いやそちらの隔たりの方が大きくはあるまいか。そう考えると、これはヤバイ。「風」は危ない。だいたい値段も書いていない。いかがわしい店かもしれない。あなたは看板の前から動けなくなる。  
     
   だが代々木公園を散々歩いてお腹が空いている。風も出てきた。震えはじめたカノジョが恨めしげにあなたを見上げている。このまま歩かせたのではまたフラれてしまうかもしれない。今度のカノジョはなかなかの美人なのだ。あなたは意を決して自動ドアの前に立つ。ドアは開かない。「タッチしなくちゃ」カノジョが言った。少し点数を落した。次は失敗すまい。  
     
   あなたは緊張して中に入る。すぐまたドアがある。ますますもって怪しげだ。あなたの眉間が険しくなる。この場で引き返した方がよくはないか。行くべきか行かざるべきか、あなたをハムレットのような苦悩が襲う。ハムといえば生ハムなんておいてないだろうか。あなたは生ハムメロンが大好物なのだ。だが待てよ、アラブ風の店にブタは置くまいな。しかし「風」だからな、あるかもしれない。いやいや、ないだろう。苦悩しているあなたの後ろからカノジョが気楽にホイのホイとドアを押して最初の難関を突破した。  
     
   突然、前衛ジャズがあなたの耳をつんざく。できればクラシックの方が良かった。あるいは「アラブ風」の民族音楽に小さな音で迎えてほしかった。あなたはカノジョの顔をそっとうかがう。カノジョはユーミンのファンなのである。こんな騒音は嫌いかもしれない。だが、カノジョは不思議の国のアリスのように目をかがやかせている。よし、ここで案内を待とう。あなたは財布の中身を思い出している。たしかもう一万円ちょっとしか残っていない。原宿でアクセサリーをねだられたのだ。レジにクレジット・カードのマークが見える。よし、これで大丈夫。  
     
   少し明るくなって案内を待つ。だが、いくら待っても案内が来ない。店の人は気づかないらしい。あなたはコッホンと咳をする。だめだ、音楽の音でかき消されてしまう。「すいませーん」。カノジョが大きな声を出した。すると無表情な女の人が「何人様ですか?」と出てきた。「ふたーり」カノジョが答える。「じゃ、そちらへ」と言ってその人は去って行った。  
     
   目の前には絵本が置いてある。これでも見て時間をつぶせというのだろうか。だが今はそんな気になれない。これから大人の時間が待っているわけだから。そのための腹ごしらえなのだし。
  あなたはそわそわと辺りをうかがう。客層は悪くないようだ。みな静かに食事している。音楽が変わった。今度は静かなボーカルだ。これならカノジョも喜ぶだろう。
 
     
 

 だが、いくら待ってもメニューがこない。キッチンに合図を送る。
「メニューがきてないんだけど」
「それがメニューです」と答えが返ってくる。それならそれでなぜ最初にそう言わない、カノジョが本を開いて「ほーんとだあ」とシャレている。カノジョさえ良ければ、ま、いっか。
  それからあなたは書かれているへんてこな名前を必死で解読しようとする。「ねえ早く決めよ、これとこれ」カノジョの方が迅速かつ楽天的だった。

 
     
   さて注文もしたし値段も高くはない。楽しい会話も始まった。するとまたしても音楽がかわる。今度は日本の民謡のようである。どうも雰囲気がロマンティックにいかない。ムードはこの後の都庁前で盛り上げよう。とにかく空腹をなんとかしなければ。
  待つこと二十分、やっとでてきた料理をひもじいあなたのナイフが切ろうとする。と、突如、帽子をかぶった変なおっさんが「間違えました」と、その皿を持っていってしまった。とうとうあなたは床にへたりこんでしまう。
  あなたは最後の難関を突破できなかったのだ。   PHP研究所 1993年発行 」
 
   
 
 
 注意  その後アラブ風はネパール風になり、今はワインと料理の店と銘打っている。
ポリシーの無さだけは貫かれているのです。
    * * *
   


  くりくりの歴史 

 くりくりは1966年、「ル・クレジオ」という名で店の歴史をスタートさせる。
 営業は、マスターの父母、妹二人、婿二人が携わっていた。その頃マスターは放浪の旅の最中で、アフガニスタンあたりにいた。
  当初はブティックを併設、マスターの妹がブテッィク部分を担当した。ちなみに父の方は昔、開進堂というところで天皇陛下のお菓子を作っていた。
 マスターがもどると、古物商免許を取得し古陶磁の販売や世界の民芸品も手掛け、ついでに海外旅行のツアーをなども企画した。まだインド、イランへの旅が希だった頃のことである。その後、改装を経て「くりくり」と改名、現在にいたる。
 古物商の方はただいま休業中。本人が古物になったせいだとは、口の悪いお客さんの弁である。

 
     
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