料理とワインの店:BISTRO KRI-KRI  
   

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ルコウソウ

 ガラスに入れたアサガオの続きを書こう。新年になると葉が黄色くなって見るからに弱々しく、一つ残った米粒大の花芽も咲かずに終るだろうと思っていたら、今日花芽が少し育って開きかけていた。本当に愛おしいほどしたたかな奴である。続きはまた次の機会に。

 さて、ルコウソウだ。ホームセンターのフェンスにひょろひょろと寄りかかり、葉は黄色く縮れ、売り物とも思えぬ代物が我が家のルコウソウの前身である。名前に惹かれて買ったのだがとても育つまいと思った。それが意に反してベランダ中に蔓を伸ばしたのだ。線状の葉は緑が濃く、フサフサと鳥の飾り羽のようだった。花の色は一種類ではなく一本の茎から白とピンクが咲く。そうやって年の暮まで咲いていた。花が終ると小さなロウソクのような形になった。

 昔、ビン入りのヨーグルトを食べていた。ヨーグルトには緑とかピンクの淡い色がついていた。メロンやイチゴの風味である。オレンジもあった気がする。その他もう一色ぐらいあったかもしれない。とにかく日替わりで届くのだった。最初こそ喜んで食べていたが、そのうち飽きてしまったようで、残ると翌日母が食べていた。しばらくするとヨーグルトのかわりにビン入りの牛乳が届くようになった。案の定牛乳もだんだん残すようになって、遊びに出るときに持ち出しては近所の子にやったりした。ある日、自分より小さな子供に牛乳を与えたら、その子がどのような具合かわからないが舌が牛乳ビンから出せなくなった。慌てて母を呼びに行って大事には至らなかったが、継父が家にいた時だったので、えらくぶたれた。以後、牛乳を持ちだすことはなくなった。小学校に上がって間もない頃ではなかったか。

 牛乳ビンに舌を入れてしまった女の子かどうかわからないが、路地で幼い女の子が下着を下ろさせられている所に行き合わせたことがある。男の子が命令したのだろう、女の子はふくれたお腹を出して笑っていた。男の子は二人いて、一人は私に気づいてコソコソいなくなった。残った男の子も振り返って驚いた顔をした。そして急に駆けだした。つられるように追いかけて、追いついてしまった。男の子が転んだからである。黙って前に立っただけなのに、男の子が大声で泣きだしたので今度はこちらが驚いた。
 
  その晩、男の子のお母さんがやって来た。母が「まあ」と言って私を呼んだ。問われるままに見たことを話した。相手は「やだわ」と男の子と同じ顔をした。それから母と二人で声を合わせて笑った。一段落すると私のことをしっかりしていると褒めて帰った。家の中が静かになると継父が二階から下りて来た。私はまたぶたれると思って身をすくめた。しかし継父は「タバコ」と言っただけだった。お金を渡されてピース缶を買いに行った。途中で立ち小便をしている大人を見た。大人が平気であんなところを出しているからいけないのだと思った。

  タバコ屋さんでキャラメルを二つもらった。帰ってからタバコと一緒に継父に渡すと、継父が二つとも私にくれた。母に一つ上げようとすると「お駄賃なんだから、あなたがお上がりなさい」と言った。一つを舐めてしまうと、残りを枕元に置いて寝た、翌朝、髪にくっついていた。私の寝相の悪さは天下一品だったのである。キャラメルのベタベタは母がきれいに取ってくれた。それから多分、いつものように三つ編みをしてくれたにちがいない。
 継父はその時どうしていたのかわからない。コーヒーでも挽いていたのだろうか。(2012年12月3日)

ルコウソウ ヒルガオ科 非耐寒性つる性多年草。 花は星型。マルバルコウソウ、ハゴロモルコウソウなどがある。

 
 
 
 
     
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