料理とワインの店:BISTRO KRI-KRI  
   

ホーム
  ご来店になる前に
  歴史
  お知らせ
  メニュー
  最近のおすすめメニュー
  おすすめワイン
  マスターのコーナー
  マスターの奥さんのコーナー
  おもろいお客さん
  花族
  畑情報 嵐のち晴れ
  リンク集
  地図
  更新情報
   

 
花族
 
 
 
              カモミール
 だいぶ以前、匍匐性のカモミールを庭に植えると歩く度に甘い香りがすると何かで読んだ。早速、山梨に植えてみたが旺盛な雑草に負けて育たない。せめて周辺だけでもと丹念に草刈りをしたが、やっぱり成功しない。よほど土地に合わないのだと諦めた。
 それが今年、久しぶりに種を買った。ベランダの鉢植えなら雑草に煩わされず気楽にハーブが楽しめると思ったからだ。芽が出て喜んでいたら急激に数を減らしはじめ、とうとう消えてしまった。犯人はスズメだった。パン屑目当てに通ってくる親子のスズメが啄んでしまったのだ。タイムの花穂もあっという間に丸坊主である。親がエサを運ぶ間、小スズメはタイムの鉢の上でチュンチュン催促をするのだが、静かになったと思うと小さな花を食べている。食いつくした後でも鉢の中に顔を埋めて探すのだ。オレガノやヒソップも同様。イボタノキは親の方が地面に落ちた花をくわえて、さっとどこかへ飛んでいく。
裂地で花喰い鳥という優雅な模様があるが、まさにわが家には花喰いスズメがやってくる。

 母は散歩中に花を見つけると、一輪摘んでは髪に挿していた。私は髪に挿さずに口にくわえた。母の真似をしたくなかったわけだが、他人から見たら違いはなかったろう。二人とも何につけ派手で大仰、周囲からは浮いていたはずである。
二卵生双生児母娘と呼ばれたことを以前書いたが、当時は、顔はそれほど似ていなかった。私は誰が見ても父親そっくりであった。それが最近母に似てきた。デパートのトイレなどでふと鏡を見ると、母が立っているかと吃驚することがある。
つくづく顔の因縁ということを思う。幼い頃は両方の親に似ている人でも、成長していく段階でどちらかに近い顔になる。更に歳を取ると同性の親に似る事が多いようだ。思いは悲喜交々だろう。

 戸棚を整理していたら着物姿でキセルをくわえた自分の写真が出てきた。プロが撮ってくれたものだが、当時、煙草は吸っていたがキセルは手にしたことがなかった。多分、写真家の演出だったのだろう。キセルは自前だ。キセルを使わないのになぜ持っていたかというとお茶席用である。長短合わせて四本あった。そのうち一本は割れ、一本は差し上げた。残った二本は今でも小箪笥の中にある。 
お茶席では煙草盆にキザミ入れ、灰吹、火器、そして二本のキセルを揃えるのが大方の約束だ。すべてが鑑賞の対象になる。厳粛なお濃茶の後に寛ぐお薄、その席での大事な小道具なのだ。専用の器ではなく土産物など、小物の転用がきくので話も盛り上がる。たまに席中でキセルを本当に使う人もいるが、年配の男性に限られる。亭主との会話の妙が伴うと、なかなか味わいある景色になる。
体質に合わないようで、格好で吸った私の煙草は間もなく止めてしまった。

母は私が高校の頃から煙草を吸うようになった。娘との確執に疲れて覚えたのかもしれない。酒類はビールとワインを好んだがあまり強くはなかった。私はモスコミールというカクテルが好きで無茶飲みをしていた。母が「パパに似たのかしら」と心配していたのを覚えている。当時の実父は酒と煙草が切れない有様であった。
花に戻るが、母はお酒のグラスに花を入れて飲むのも好きだった。やはり芝居じみている。母こそが女優になりたかった人なのだろう。(2013年7月10日)

カモミール  キク科 和名はカミツレ。 リンゴの香りのするハーブ。名は「大地のリンゴ」という意味のギリシャ語からきている。

 
 
 
 
     
    目次
    ページの一番上へジャンプ