料理とワインの店:BISTRO KRI-KRI  
   

ホーム
  ご来店になる前に
  歴史
  お知らせ
  メニュー
  最近のおすすめメニュー
  おすすめワイン
  マスターのコーナー
  マスターの奥さんのコーナー
  おもろいお客さん
  花族
  畑情報 嵐のち晴れ
  リンク集
  地図
  更新情報
   

 
花族
 
 
 
サンキライ

 十二月になると、赤い実のついたサンキライの蔓が花屋に並ぶ。花材としてそのまま他の花と一緒に飾ってもいいし、もちろんリースを作ってもいい。この植物は昔から山に普通にあるものなので私も見つけては採取してきたが、花屋に並んでいるものほど実は立派でないことが多い。小鳥が先に見つけてしまうからだろうか。
 しかしそれも近頃はめっきり少なくなって、一本ひょろりと地面を張っている姿など見ると、せつなくて採取するどころではないのである。

 子供時代のクリスマスといえば、母と飾るクリスマス・ツリー、何がしかのプレゼント、大きなケーキが我が家の定番であった。ごく小さい時には継父も一緒に食事をした記憶があるが、小学生になってしばらくすると継父の姿はなかった。おそらく飲みに出ているか、自室へこもって出てこなかったのだろう。
 ケーキは銀座まで母と買いに行った。私がほとんど平らげていたのだが、そのせいなのか、ある時から急にケーキのアレルギーになってしまって、それが二十歳過ぎまで続いた。
 そのある時がいつだったのかを考えていて、ふと思い出したのは実父からのプレゼントのことである。それまで実父が私に物をくれたことは一度しかなかった。
 どういう経緯か、実父と母と私が銀座でお茶を飲んだことがあって、その時、チョコレートを買ってもらったのである。チョコレートは店の人が私に手渡してくれた。当時、実父は少しは名の知られた映画スターであり、店の人が阿ってプレゼントしてくれたと考えるのも自然のような気がするが。

 とにかく突然プレゼントが送られてきたのである。小さな箱だったことは覚えているが、中身を思い出すことができない。嬉しいはずのプレゼントが私には爆弾のように思えたからだろう。事実、そのことで継父の機嫌が一層悪くなったと記憶している。私はそれからの毎日を気をもみながら過ごすことになった。母が継父に手を上げられる姿を見ることが苦痛だったのである。そして、六年生になるころから私は絶対服従であった継父に楯突くようになっていった。当時の私には実父が正義で継父は不義、悪役であった。人間はそれほど単純に分けられるものではないと、まだ知らなかったのである。

 今、母の歌う降誕の賛美歌を思い出しながら、人生はどの人もこの人も哀しいものだと思うのである。あの、ひょろりと地を這うサンキライのように。(2005年12月13日)

 

 

 
サンキライ  ユリ科  サルトリイバラ。径6〜7ミリの実が多数集まり、葉脈から出る柄に球形につく。長さ2メートルほどの雌雄異株の落葉蔓性低木。
    
 
 
     
    目次
     
    ページの一番上へジャンプ