料理とワインの店:BISTRO KRI-KRI  
   

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ブーゲンビリア
 これも小学校の思い出である。当時、文京区立真砂小学校にはインド人の姉妹が通っていた。学校には三人が同時に通っていたが、他にもう一人いる四人姉妹だったように思う。  皆ほっそりとしていて足が長く、腰のあたりまである漆黒の髪が印象的だった。そしてみんなとても美人であった。肌理の細かな肌、大きな目、形の良い鼻、それらが三つ、ロシアのマトリョーシカ人形のように揃っていた。その中のお一人は後年タレントとしてテレビなどで活躍なさっていた。
 それから十年ほど経ってインド旅行のチラシを見たとき即座に行ってみたいと思ったのは、小学校の校庭に咲いていたエキゾティックな三つの花のせいだったかもしれない。

 インドでは姉妹に劣らず素敵な女性と知り合いになった。北部のダージリン、紅茶で有名な土地でのことである。
 当てもなく歩きながらある家の前を通りかかると、ブーゲンビリアの花を髪に挿した美少女が、それこそ絵から抜け出たように石段に腰掛けていたのである。思わず微笑みかけると向こうもにっこりと応え、何処から来たのかと問う。しばらく一緒に座り込んで話をした。やがて私の手帳に名前と住所を書きつけ、ペンフレンドになろうと言う。こちらも快諾して、それからも尚しばらくの間、二人してダージリンの真っ青な空を眺めていた。
 
 帰国してほどなく少女から絵葉書が来た。それを機に、私たちの文通は十年以上に及んだ。その間に彼女は会社勤めを始め、結婚もした。お互いに忙しくなってからはクリスマス・カードだけの付き合いになったが、添えてくる文章によって、あの青空の下で華やかに暮らしている様子が見て取れた。
 何時だったか、彼女のご主人が仕事で日本に来られたことがあった。生憎私は留守でお会いできなかったが、ヒンズーの神が身に着けるような首飾りを隣家に託して帰られた。
 その後、お子さんがたて続けに出来てカードはポツポツという感じになり、いつの間にか行き来がなくなってしまった。

 私の宝石箱にはインドで買ったものがゴチャゴチャと入っているが、圧巻はやはりあの首飾りであろう。大きさもさることながら、朱とピンクの混ざったような明るい色がまず目に飛び込んでくる。その色合いはインドの至る所で見かけたブーゲンビリアを思い出させる。そして勿論、贈り主である美少女のことも。
 首飾りを下げてみると、クリシュナの妖艶な仕草を真似してみたくなるから不思議である。(2006年8月27日)

 

 

ブーゲンビリア  オシロイ花科 ブラジル原産蔓性低木 茎には先の曲がったトゲがあり、三枚の美しい包葉が観賞の対象にされる。

 
 
 
     
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