料理とワインの店:BISTRO KRI-KRI  
   

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オニシバリ
 

 植物図鑑を見ていたらオニシバリなる奇妙な名前の植物を見つけた。径七ミリの小さな花を咲かせ、分布は東北地方以南、花期は一月から三月とある。分布を考えれば山梨のどこかで一度ぐらい見ていてもいいはずだが、そこはジンチョウゲ科、目立たないのかもしれない。色も薄いグリーンときては葉に紛れてジンチョウゲより更に見つけにくかろう。香りがあるようにも書いていない。
 それにしてもオニシバリとは不思議な名前である。樹皮はねばりがあって強く、夏には葉を落として裸木になるとあるから、鬼でも縛れるということだろうか。逆に言えば、縛られるような小鬼が日本には沢山いたということだろう。

 いつだったか日本の鬼に関しての本を読んだことがある。その中で鬼たちは仏教や武士たちに利用され続けた存在だと書かれていた。鬼からすれば悪戯好きの弱点をつかれたことになる。利用した側が悪であり、された側の鬼が善なのである。源頼光に滅ぼされる酒呑童子はその最後に、「鬼神に横道なきものを・・」と叫んだという。
 また鬼には前鬼、後鬼なるものがいて、夫婦の鬼を呼ぶ。生駒山に住む身の丈三メートルの憤怒相の鬼二匹がこれで、亭主の鬼は赤目、女房は黄口と称する。ある坊さんが修行の邪魔をするこの二匹を捕らえて髪を切り、その怪力を封じ込めたという伝説がある。
 最後に人間が鬼になる場合のことも書かれていて、圧倒的に女性が多い。「好々爺はいても好々婆というのは聞いたことがない、因って」というのが見解のようだ。ちなみに著者は男性であった。
 しかしもし鬼が善というなら、鬼にならない好々爺こそ悪ではないか。だれが同胞たる女性を追い詰め、鬼にしてしまうのか。好々爺面こそ要注意だと思うが。

 さて好々婆がいないとなれば、どこもかしこも鬼婆だらけということになる。
 昔の本郷にも男児たちに「おにばばー」と呼ばれる婆がいた。囃されるような所業があったのか無かったのか。理由なんかどうでもいいのだろう。とにかく「おにばばー、おにばばー」とつき纏う。婆のほうも負けてはいない。石ころなど投げてよこす。それでも子供が怪我をすることはない。双方心得たものである。一種の遊びに近かったか。少し馬鹿にし、多く親しむ、その兼ね合いが絶妙だった。遠巻きに見ていた女児も今や立派な鬼婆世代。
 避けえぬ道なら、オニシバリに縛られるような小鬼ではなく、横道なき鬼婆を全うしたいものである。(2010年1月22日)

オニシバリ  ジンチョウゲ科 落葉低木。樹皮はねばりがあり強い。初夏、雌株に丸い赤い実がつく。夏に葉を落とすところから夏坊主の別名。

 
 
 
 
     
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