料理とワインの店:BISTRO KRI-KRI
   

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  その十一 田舎の贈り物(一)
   
   

 

 
 
 畑仕事に疲れたら、お茶でも飲もう。いったん家に戻ってというなら、それも良かろう。
 庭で木や花を見ながら寄ってくるチョウやトンボたちと戯れていると、都会生活の憂さなどすっかり忘れてしまう。しかしいくら田舎でも、暑い盛りに炎天下でお茶は飲めない。そこで主人たちはテーブルを軒下に置いている。軒下には電灯が取り付けられていて、それは暗くなると自動的に点灯する。明るさぐらい村に提供したいと、百ワットの電球がギンギンに輝いているのだ。夜はその灯りを目指して昆虫の類が集まってくる。その昆虫たちの乱舞を楽しみにしているヤツ、それがクモである。クモを益虫とみなす男主人のお達しで、家はクモの巣だらけである。テーブルの上はそれこそ極上のクモの住まいで、「ヒヒヒ」という嬉しそうな笑い声まで聞こえてくるようだ。

 それは、主人夫婦が遅い昼食を食べている時だった。ナナフシという細い、枯れ枝のような昆虫がヨタヨタと紅茶のポットに近づいてきた。田舎へ来たばかりの頃は何を見てもキャーキャー叫んでいた女主人も、近頃はだいぶ昆虫に慣れてきて、この日もナナフシをつかむと、さっさとポットから移動させていた。開放されたナナフシのほうも「アーヤレヤレ」という感じで歩きだすから愉快である。テーブルから壁にとりついたナナフシは左右にユラユラ身体をゆすって拍子をとりながら上っていく。

 翌朝、焼き海苔を口に運んでいた主人夫婦の目の前で、なにかがブラブラと風になびいている。よく見ると昨日のナナフシが万歳をしてクモの糸にかかっていた。朝の光の中でそれはずいぶんと残酷な処刑に見えた。ショックが大きい女主人は、焼き海苔を落としてワタシにせしめられても、まるで気づかない。男主人は動揺を気取られまいとして、「あれ、鬼グモだなあ。去年は女郎グモだったのに色気がないなあ」などとわざとのんびりと欠伸して見せる。

 

   
 

教訓 昆虫ニ、感情移入シスギナイコト

                (つづく)
            
   
 

 

 

            

   
 
 
     
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