お料理とワインの店 BISTRO KRI-KRI
   

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  いぬけい  
     
 
左:MAY 右:十兵衛
撮影:岡崎伸彦
 
     
  ヒジキと三年  
     
  「ヒジキ」ちゃんはポメラニアンである。この犬はひどく臆病なので、あまり近づかないようにしている。つれているのは屈強の男性なのだが、他の犬を見るとヒジキちゃんをさっとブルゾンのなかに隠してしまう。その所作がまた、やけに大仰である。まるで自分の犬以外はみな凶暴だといわんばかり。当のヒジキちゃんもすっかりその気になって、「わっ、オオカミだクマだライオンだキャンキャン」とブルゾンの下で吠えっぱなしだ。
 あそこまでの臆病さは、過去になにか犬としてつらい体験があったのかもしれない。
 
「三年」はペット・ショップの客よせ犬であった。ブルドックのメスで、こちらの方はまるで愛嬌が薄茶色の皮を着ているような犬だった。
 私はこの犬が大好きで、用がなくても店の前を通ればかならず立ちよるほどであった。このペット・ショップはうちのすぐそばにあるので、三日にあげず通っていたことになる。
「サンネン、サンネン」
 呼ぶと、暑いくちびるをひるがえして二階からころげ落ちてくる。その姿といったら、肉弾的突撃砲薄茶彩彩(?)なのだ。痛くはないかと心配になるが、なんせ肉弾重厚皮革薄茶彩彩である。痛点なんてなかろうというものだ。
 さてころげ落ちた薄茶彩彩は床の上でバンザイをしている。私は「よしよし」と腹をさすってやる。まぢかに見るは、つぶらな瞳につぶれた鼻。耳に届くは子豚の音頭かブウブウブウ。これで口元のほころばない人はいない。三年は、ほほえみを忘れた現代人の天使のような存在だった。
 その三年が消えた。店先から盗まれたのであった。人なつこいのがアダになった。
 
     
   今ではフェレットのイチローが客よせをしている。
 イチローはエサの時間にしか起きてこない。あとは小さなハンモックのなかで毛糸玉のように丸まって眠っている。指でつつくと、ぼんやりとした目をあけ二本の目立つ歯を見せてアクビをする。それから「エサはどこや?」と鼻をヒくヒクさせる。
 今日もイチローを起こしながら、三年はいったいだれの天使になったのだろうと考えている。
 
 
     
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