お料理とワインの店 BISTRO KRI-KRI
   

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  ますたーのおくさんのこーなー  
     
  いぬけい  
     
 
左:MAY 右:十兵衛
撮影:岡崎伸彦
 
     
  スイカ  
     
   「スイカ」は雑種のオス。新宿ワシントン・ホテル横の酒屋さんの犬であった。この犬はうちの犬と気があって、以前はずいぶん遊んでもらったものである。ところが二三年会わなかった間にスイカはすっかりうちの犬を忘れてしまって、自転車で通りかかったりするとものすごいケンマクで吠えるのだ。

「だれだワンワン、名をなのれ」(誰何してたりして)
「スイカ、スイカ、わすれちゃったの?」

 名前を呼ぶと、ますますゲッコウしてクサリもちぎらんばかりである。どうやら自分の名までわすれちまったらしい。
 しかたなくスゴスゴと立ち去るわけだが、しかしどうしてそんな名前をつけたのかと疑問は残る。
 スイカの飼い主はご夫婦ともにおだやかな人柄で、また見るから真面目そう。とても面白半分で犬の名前をつけるとはタイプとは思えない。ここはやはり、小さな息子さんがつけたと考えるのがダトウというものだ。だが、犬は白と茶のブチである。決して背中が緑で、腹は赤、そこに黒い斑点がぽつぽつと、というのではない。ナポレオンだのチュウハイだのならわかるが、どうしてまた八百屋でもないのにスイカなのだ。とにかく子どもの考えることはわからない。
 その息子さんもいまではご両親より背が高くなった。将来、どんな名前を自分の子どもにつけるのか楽しみである。
 そうこうするうち、都庁前の陸橋にさしかかった。おりしも夕焼け空である。しばし自転車をとめ、愛犬とともにスイカのような空をながめようではないか。
 
     
   スイカはそれから間もなく死に、酒屋さんの方も、つい先日そこを通ったらなくなっていた。さびしい限りである。  
 
     
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