料理とワインの店:BISTRO KRI-KRI
   

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  ますたーのおくさんのこーなー  
     
  いぬけい  
     
 
左:MAY 右:十兵衛
撮影:岡崎伸彦
 
     
  コウモンの段  
     
 

 犬を飼ってまず知ることは、犬というものが前と後ろで生きているということである。前とは鼻、後ろとは肛門である。確かに耳もいい。どんな物音も聞き逃さない。しかし音の正体を知るまで、犬は落ち着かないものだ。敵なのか味方なのか。この確認作業は鼻でする。空気を嗅ぎ、地面を嗅ぐ。
  相手が犬の場合は肛門を嗅ぐ。肛門の脇に匂いの腺があって、ここからでる匂いはその犬にしか出せない匂いらしい。つまり犬の認識票だ。異性間なら認識票次第で結婚も可能だ。顔なんか見ちゃいない。
 初代の飼い犬ハヤテも犬後に落ちず相当な肛門フェチであった。

 それは交差点で信号待ちをしていたときのことである。ハヤテは行儀よくオスワリをしている。
「あらま、おりこうさんね」
 声をかけてくるのは、だいたいが優しそうな中高年の女性である。私は余裕の笑顔でアイサツを返す。低い鼻もすこし高くなっている。
 だがそこに若い女性が入ってくると様相は一変する。キャツが意味不明の嬌声をあげるからだ。
「キャアーかーわいー。あーたしぃ、買いたい飼いたい解体したーい」
 連れの男性は、
「どひゃあ、ドーベルマンだぜ。やべえよ」
 と口とは裏腹にのんびりと言い、私の方をチラと見る。それは「こんな犬つれ歩いて、どーゆー性格してんだよ」という意味である。やがて横の信号が黄色になった。男性は正面に向き直る。
 そのときである。

♪ やおらハヤテ立ち上がりベンベン、眼前の肛門うち目指しベンベン♪

 と直撃してしまうのは。

♪ああその素早きこと疾風のごとく熱きこと火のごとし。やめさせようとする間もあらばこそする気もなくベベンベンベン♪

 くだんの男性はお尻を押さえて叫んでいる。横の「意味不明」は身体をねじって笑いころげている。ハヤテはというとすでに「動かざること山のごとく」オスワリしている。どうやら好みのナニではなかったらしい。

「やっぱり、おりこうちゃんだったわねえ」
 と中高年が袋からカリントウなど差し出している。
「あっ、食べ物はやらないでください。これっ、ハヤテッ」
 と今度は私も真剣に制止する。だがすでにカリントウは口中にあり、ハヤテに至福の表情をさせているのであった。

♪「ハヤテ丸、肛門の段」の終わりーい。チョンチョンチョンチョン♪

 

 
     
 
     
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