料理とワインの店:BISTRO KRI-KRI
   

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左:MAY 右:十兵衛
撮影:岡崎伸彦
 
     
  犬、山に登る  その3  
     
 

 櫛形山よりも、ひんぱんに登る山に茅ガ岳というのがある。ひんぱんにもなにも、通っている村がこの茅ガ岳の山麓にあるのだ。だから私はここを自分の庭と理解している。

 庭ならばこそ山菜取りをする。キノコ狩りをする。花見もすれば昼寝もする。林道も防火帯もジュクチしているから、知人が来れば案内もする。ついでにトウトウと庭の自慢話をする。
  だが、ひとつ困ったことがある。チンニュウ者が多いことだ。リュックなどかつぎ、辺りはばからぬ大声で「まあ、きれい」とか「弁当にしよう」とか言っている。それでも私は心の広い庭主だから、見て見ぬフリを通しているのだ。
 

 茅ガ岳は独立峰である。標高1700メートル。頂上に立つと、富士山から鳳凰三山、甲斐駒、八ヶ岳、秩父連山、そしてまた富士山と、ひとまわり見渡すことができる。
 いつだったか、この庭をパラグライダーのメッカにしようと試みたことがあった。その道の第一人者のTさんとともに奔走し、度重なる会合も持ったが、地元との誤差いかんともしがたく、空の演出家を自認していたTさんはとうとう灰皿、ではなく、サジを投げたのだった。
 

 頂上からすこし下ったところに、日本百名山で有名な深田久弥終焉の地がある。小さな碑が建っているだけだが、それがいかにも風情がある。またこの辺りは岩カガミの群生地で、季節になると可憐なピンクの花がフルフルと風にゆれたりする。
 行きも帰りもここまで来ると、ハヤテは片足をそこらの岩にのせて、じっと景色を眺めるのが常であった。犬に花をめでる感性があるとは思えないが、風を愛する心には天性のものがある。犬を飼って、その犬に惚れるようなことがあるとしたら、まちがいなくそれは、こんな瞬間なのである。

 
     
 
     
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