料理とワインの店:BISTRO KRI-KRI
   

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  いぬけい  
     
 
左:MAY 右:十兵衛
撮影:岡崎伸彦
 
     
  泳げない犬  
     
 

 ハヤテが泳げないとわかったのは、ハヤテがまだ1、2才のころであった。

 夏休みに山梨県の武川というところに遊びに行った。実はその前に海水浴へハヤテを連れていったのだが、折悪しく波が高くて泳がせるチャンスがなかった。ハヤテは打ち寄せる波を追いかけては噛みつき、挙句のはてに砂をバクバク食らって、翌日ボウダイな量のウンチを西参道にまき散らしてくれた。その恥ずかしかったのなんの。
 それでというわけではないが、川で泳がせてみることにしたのだった。

 武川は岩の多い川である。岩と岩の間に自然のプールがいくつもできている。その中の比較的大きなのを選んで私は飛び込んだ。ハヤテが岩の上で切なそうな声を上げている。
「ハヤテ、来い」
 真ん中辺で呼ぶと、何度かのチュウチョの後ザブンとハヤテが飛び込んだ。あとは犬なんだから自然に犬かきをするだろう。だがしかしバット、私の見たのは、世にもフシギな犬のクロールであった。
 

 まず上半身が縦に水面から出ている。馬が人をふり落とすときにするあの格好である。もちろん犬だってケンカや遊びの最中に同じような格好をよくする。だがそれも地上のことだ。ここは水中である。見るからに不自然ではないか。ハヤテ自身もそう感じるのだろう、アセッてますます身体が立っていく。宙に浮いた前足はバタンバタンとすさまじい音をたてて水面を打っている。
  そんなやり方でもすこしは前に進むらしく、水しぶきが徐々に近づいてくる。かいま見えるハヤテのクチビルはひきつって耳まで裂け、「赤ずきんちゃん」のオオカミ状態なのである。指差してバカ笑いをしていた私は、とつぜん頭をはたかれた。続けてアッパー、ボディ、蹴りまでくらって、気がつきゃハヤテがしがみついていた。

 これがなんとか足のつく場所だったからいいようなものの、そうでなかったら翌日の山梨日報に載るところだった。
「飼い主おぼれる!!?
  東京から遊びにきていたKさんは、泳げぬ愛犬にしがみつかれ、自らも川にはまり帰らぬ人となった。なお、ご主人のHさんは、ただ笑って見ていたとの目撃情報もあり・・」
 とかなんとか。クワバラクワバラ。
 

 さて岩場に上がり、水面に映るわが顔見れば、ミミズ腫れのオドロオドロしさ。
「これがほんとのお岩さん」なんて言う元気もない私であった。

 
     
 
     
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