料理とワインの店:BISTRO KRI-KRI
   

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左:MAY 右:十兵衛
撮影:岡崎伸彦
 
     
  チルチルミチル  
     
 

  ハヤテと十兵衛の違いはまだまだある。テレビを観る観ないである。
  ハヤテは絶対にテレビを観なかった。むしろ避けていた。それは鏡も同様。自分には理解できないものとして絶対目を向けなかった。
 十兵衛は大のテレビっ子である。今も釘付けになっている。観ているのは「柳生十兵衛七番勝負」
  番組はいよいよ佳境に入った。
「十兵衛さま、ご無事でしたか」柳生十兵衛「ウム」犬の十兵衛「ムニャ」
「十兵衛っ、京で会おうぞっ」柳生十兵衛「ムッ」犬の十兵衛「ブッ」
 お座りをするとついオナラの出てしまう、我が十兵衛どのである。

 性格の違いもさりながら、性の違いも当然のように大きい。メスのハヤテにはシーズンという厄介なものがあった。下着をはかせても食い破ってしまうし、室内で飼うにはやはり苦労であった。それでオスを飼ったとき、掃除だけは楽になると思っていた。
 だがだが、である。これがもっと大変であった。
 年がら年中、何か出ているのである。最初は驚いて獣医に聞いた。「あの、大事なところから白い汁が出てて・・・」「あ、アレは心配いりませんよ」
  そのアレがいったい何なのかは聞き漏らしたが、おそらく雑菌を排除するシステムか何かなのだろう。実にこれが問題なのである。この汁が。

 犬は裸で暮らしている。近頃は洋服を着る犬も多いが、それも小型犬中心であろう。大型犬はいつもスッポンポンである。
 散歩しているとき、親子連れが必ずといっていいほど声を上げる。「おっきいワンちゃんねえ」幼い子供というのはなぜかソコへ目がいく。「あっ、ウンチぃ」「ちがうちがう、そうじゃなくてぇ・・」お母さんは返事に困る。ソコへ目がいくのは大人の男性も同じだ。まず沈黙である。頭の中で比べるらしい。しかし考えなくても勝負は歴然、どうやっても十兵衛が勝つ。ダテの剣豪ではないのだ。負けた人間はどうするか。どっと笑う。笑いにごまかさなければ生きていけない。

 さて人間に劣等感を抱かせる立派な刀も、いったん家に帰れば無軌道な機関銃になる。歩くたびにブラブラゆれて汁を撒き散らすからである。どこもここも点々と白い跡である。体高のある犬だから相当高いところまで飛びはねている。木の家具はまだいい。我が家は安い壁紙を貼ってあるが、これがわざわざ土壁に見せてるシロモノで。そこへ入り込んでしまった汁は拭くに拭けない。ゴシゴシやれば表面の砂が落ち、汁は消えても跡はハゲ。
 私は頭をかかえて蹲る。十兵衛が心配そうに寄ってきて「ブッ」とお座りをする。
「ほら、おまえのチルチルが、こんなとこにも飛んでるんだよ」
 なにかまずいことをしたと悟った剣豪、立ち上がるやブルブルッとテレ隠し。
 ああ、チルチル部屋に満つ。

 

 
     
 
     
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