料理とワインの店:BISTRO KRI-KRI
   

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左:MAY 右:十兵衛
撮影:岡崎伸彦
 
     
  コワイこわい  
     
 


 先日、近くの参宮橋公園でえらく叱られてしまった。十兵衛が花壇の端にオシッコをかけてしまったからだ。
 その日は小雨がちで、公園の芝生には小さなお子さんもよく見かけるワンちゃんたちもいなかった。そこはこじんまりした公園ながら種々の花がいつも咲きみだれていて、それらをスケッチするのを楽しみニしている。バラやハーブ類が多いが、奥の花壇にはビオラなどが丈の低い花々がいれ替わり植え込まれている。その前に座りこんで空を眺めるのも高台にあるこの公園の醍醐味なのである。

 しかし小雨の芝生に座ることはできない。立ったままぼんやりと花を眺めていると芝生を突っ切っておばさんが歩いてくる。やーな予感がした。
奥にある区の老人施設の風呂場が開放されているからか相応の年齢の人が普段からよく通る。芝生の外側に小道があるが、芝生を突っ切れば近道だ。と、十兵衛が警戒の姿勢を取った。吠えでもしたらまずいと思い、「十兵衛、いいんだよ」とリードを引いて身体を反転させる。常は「そうか、敵ではないんだな」と納得する。納得したはいいが、その日はシャーっとやってしまった。緊張から開放されて尿意を催してしまったらしい。シマッタと思ってペットボトルの水をかけてもアトのマツリ。
「ちょっとっ、なに花にオシッコさせてるのよっ」
(やっぱりキタか!)
「すいません、今水をかけましたから」
「水なんかかけたってダメよ。そこの花壇は四丁目の人間がきれいに作ってんだから」
(こっちは三丁目だしな)
「いつもはさせてないんですけど」
「いつもさせなくたって、今したじゃないっ」
(おおせごもっとも)
「以後気をつけますから許してください」

 おばさんが湯船に浸っている間、私は小雨に打たれながら考えた。十兵衛はめったに人を吠えない。相手が女性なら尚更だ。それなのに十兵衛は緊張していた。相手を男性と取り違えたか。ああ、私とて同年輩、そりゃないよ、十兵衛。
待てよ、あの顔かもしれない。かなり怖い顔で近づいてきた。普段から犬の存在が気になっているのだ。小さな公園で犬は喜ばしい訪問者ではない。特に大型犬は。きっと憤慨する出来事があったのだ。それで「また、大型犬が来てる」と怖い顔になったのだ。最初から迷惑ありきなのだ。誘発されてその通りになってしまった。テレパシーとは不思議なものである。

 そう思って向こうからくる年配の人たちの顔を観察してみると、これが揃って怖い顔なのだ。いつから日本人はこんな顔つきになったのだろう。ウィンドーに自分の顔が写った。わ、こわ。そういえば主人なんて鬼のような顔で自転車に乗っているな。だったら十兵衛は怖い顔に慣れているはずなのにな。十兵衛を見るときだけ優しい顔になっているのだろうか。
 チヂに思いは乱れてコンビニに入った。節分の豆を買い忘れていたからだ。
「え、もうこれしかないの?」
「ええ、今日までなのでもうそれだけなんですよ」
赤い鬼の面と豆のセットが一つぽつんとおかれていた。
 まいっか、まずこの面で十兵衛に慣れさせよう。と家で顔に当て「はーい、怖い顔のお友だちでーす」
十兵衛はいやーな顔をしてハウスに入ってしまった。お風呂から出てみるとお面は見事に八つ裂きにされていた。これじゃ逆効果だよ。

 
     
 
     
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