料理とワインの店:BISTRO KRI-KRI
   

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左:MAY 右:十兵衛
撮影:岡崎伸彦
 
     
  ラブに襲われたっ!  
     
 

 公園で押さえつけたときに十辺衛はまた首を痛めてしまった。首から肩にかけての関節痛は持病なのである。
十兵衛は飛ぶのが得意な犬だった。2メートルぐらいの壁なら簡単に飛び越えた。山の倒木や、公園のブッシュ、何でも飛んだ。フリスビーも得意で、高い木の枝などに置いておくと見事にジャンプして取る。枝も揺らさずに、である。当時の私は、さぞ「どや顔」になっていたことだろう。
 ハヤテも飛ぶ犬だったが十兵衛に比べたら小型だったし体重もなかった。十兵衛の骨格からすれば、あまり飛ばせてはいけなかったのかもしれない。

 数日後、私たちは西参道の高速下で休憩していた。そこは風通しがよくホッと一息つける馴染みの場所だった。十兵衛は横座り、私は縁石に座って本を読んで・・。と、青天のヘキレキとはこのことだろうか、突然黒ラブのオスが襲ってきた。飼い主はあっちゃの方で転倒している。私は咄嗟に十兵衛を背後に隠し、片手を突き出し「ノー」と叫んだ。英語で訓練を受けているだろうと思ったからだ。今考えれば訓練を受けた犬なら、飼い主をすっころばして休んでいる者を襲ったりしない。
 黒ラブは私の掌にドーンと当たるや、右から左から十兵衛に襲いかかろうとした。体重のある犬に襲われたら痛み止めを飲んでいる十兵衛の首は致命的なダメージを受ける。私は必至で腕を振り続けた。フェンス内にある自転車置場の男性二人が騒ぎを聞きつけて走って来た、が、来ただけだった。
 やがて飼い主がゼエゼエ追いつき、こちらも息を切らせ始めた黒ラブのリードを引いた。黒ラブは8才くらいか、意外に体力が無くて助かった。十兵衛はその時11才。あれで相手が4、5才だったらどうなっていたか。もっともそうなれば十兵衛も7、8才に若返るから、腰の麻痺以前。負けはすまい。
 右手はしばらく満足に動かせなかった。つき指をしたことがあるが、つき掌というのは初めてである。飼い主は歩きながら「どもすいませんね。あーイツツ、手ぇ擦りむいちゃったわ」と言っただけである。こちらが被った心身の痛手を考えればもう少しちゃんと謝って欲しかった。犬同士だからと考えているのだろうが、人間同士としては残念なことである。

  日にちを置かず、また同じ場所で黒ラブに会ってしまった。リードをビンと張ってやはり襲いかかろうとしたが、その時は母親ではなく大柄な息子が連れていたので何とか事なきを得た。
会いたくないと思えば会ってしまうのがこの世の常。バス停の前でふと前方を見ると、息子がぶらぶらと歩いて来る。黒ラブはすでに十兵衛と認識して身を低くしている。獲物を狙う仕草である。気付いた息子が動かそうとしても容易に動くものではない。引きずるようにして路地を曲がって行ったが、大型犬を飼うなら、リードを短く持ち、左側面につけて歩くという基本を守ってもらわなければ不安で仕方ない。

「今度襲って来たら、防げないかも」
「受けてしんぜよう」
「まともに立っていられない犬がよく言うこと」
「ソレガシの奥義、必殺座り剣」
「座ったまま負けるケン、じゃねえの?」
「ではこれは如何、秘剣死んだフリ」
「相手は喜んでガブッじゃない?ガブラドル・ガブリバー」
「いやいやソレガシではなくソコモトがソレガシの上で死んだフリをしている間にソレガシはソレガシでソコモトとソレガシでソレソコソレソレ、モトガシ、レガソシレ?」
「勝手にやってなさい」

 

 
     
 
     
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