料理とワインの店:BISTRO KRI-KRI
   

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左:MAY 右:十兵衛
撮影:岡崎伸彦
 
     
  オムツテンテン  
     
   下半身が動かない頃、オムツは必需品だった。犬用オムツには尻尾の穴が開いていて大型犬用は穴も大きい。尻尾をそこから出せばオムツが安定する。十兵衛のように断尾していると、そうはいかない。10センチほど残っている尾を穴から出しても、すぐにオムツの中に隠れてしまう。便意を催すとその短い尾が中で持ち上がるから、テントを張ったようになる。テントには大きな穴が開いているわけだから中のものがこぼれ落ちて本当の「落し物」になる。

「こんにちは。ボクは落し物です。ところで、ここはどこでしょう?」
「オムツの外」
「暗い中で明るい光が見えたと思ったら落ちていました。そうですか、ここは外の世界ですか。ではボクの持ち主はそこに横たわっているカタでしょうか?」
「元持ち主だけどね」
「確かに。もう手を離れていますから。この場合お尻を離れた、というべきでしょうが」
「あなた、顔に似合わず上品ね。出が良さそう」
「恐縮です」
「私のおかげかもしれないわ。あなたの元持ち主に美味しい高級料理を提供しているから」
「それはどうでしょう。ボクにウソは通じません」
「お通じのくせに」

 結局犬用オムツはやめた。同じ不都合ならスーパーで売っている人間用のほうが廉価である。大腿部の形状差はセロテープを駆使すれば事足りる。
大の方はそれでいいとして、小が難しい。寝ながらオムツの中にというわけにはいってくれない。膀胱を押したり揉んだりして促すことが大事になる。効かなければ無理やり犬を立たせることもしなければならない。「シーッ、シーッ」と合図も必要だ。それでも駄目なら一歩一歩移動させて散歩の気分を思い出させる。気分が高揚して突然ぴゅーっと出ることがある。この水鉄砲は壁を直撃である。膀胱を押さえていたりすると更に上向きになり犬も人間もびしょ濡れだ。我が家は床も壁もビニールだらけ。それでもやってくれれば良いが、出ないことの方が多い。夜中に戻るオットを動員しても数時間かかる。やっとオシッコが出ると、人間も犬もほっとした表情になる。

  オムツの交換も一苦労だ。動かないお尻は重い。こちらは汗をかくし腰も痛い。ふと気づけば、十兵衛がせつない目をして見上げている。そして、かすかにお尻を上げるような仕草をする。動かない身体で少しでも協力しようとしているのだ。これには正直涙が出る。
 犬とはやはり、神様が人間に与えてくれた特別の贈り物なのだろう。

 
     
 
     
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