料理とワインの店:BISTRO KRI-KRI
   

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左:MAY 右:十兵衛
撮影:岡崎伸彦
 
     
  BUPUPU音頭  
     
   今年、2012年が明けてほどなく十兵衛は胃拡張になった。大食いをしたわけではない。空気を呑み過ぎて胃が膨らんでしまった。胃薬の効能に「胃もたれや膨満感に」と謳われるが、正に膨満としかいい様がない状態である。腹全体がパンパンに膨らんで、触れば鋼鉄のよう。口からは真っ白な泡を吐くし、最悪だった。
 
  実は半年前にも胃拡張をやっていた。その時は夜の9時、近くの動物病院はどこもやっていなかった。あちこち電話をしてやっと見つけた病院で、胃捻転の疑いがあるからすぐに連れて来るようにと言われた。
 結局、捻転ではなかったが、胃拡張と捻転は密接な関わり合いがある。すぐに捻転に移行するし、捻転になれば死ぬ確率は非常に高い。捻じれた個所が壊死するからだ。「ポチたま」のだいすけ君の死因が確かこれだった。大型犬の大敵なのである。

 その時の十兵衛のレントゲンには空気がいっぱい映っていた。昔から水をよく飲む犬だが、飲み方が下手なのである。バシャバシャと音がすごくて空気ばかりが入ってしまう。口吻が長く舌も長い動物の特徴なのだろうか。若い時はいいが、老犬になると水の飲み方一つでも命取りになる。
 今回の胃拡張も夜に起こった。しかも日曜日。深夜も受け付ける動物救急センターまで連れて行った。宿直の獣医が胃に針を刺して水とガスを抜いてくれた。鎮静剤を使わなくても、十兵衛はおとなしくしていたそうだ。
 
  胃拡張になってから十兵衛は得意のガスが出にくくなった。たまに出てもすぐに空気を呑み込むから、体内の空気量は同じである。
 獣医に「ガスを出す方法ってありますか?」と聞いてみた。「さあ、お腹をさするぐらいでしょうか。大腸がここにありますから、こう時計まわりに」
 と自分のお腹をさすって見せた。この若い女医は知らない。十兵衛のような犬の場合、ナニが大きく、お腹に添うようにくっついているから、時計回りなんかしようものなら、手は山坂を何度も越えなくてはならない。つっかえては登り、降りてはまたすぐつっかえる。平らな部分の方が少ないのだから、お腹をさすっているのかナニをさすっているのか分からない。疲れ果てるまで続けても、ガスなんか出やしない。
 
 十兵衛の胃拡張は腰の麻痺からきている。麻痺によって内臓が下に落ち、十分に働かない。今回のように飲食のリズムが一度狂うと、挽回は難しい。それが麻痺ということであり、老犬ということであろう。
 二回目の胃拡張から二週間ほどで、また腹が膨らんだ。水は注意して与えているが、全然やらないわけにもいかない。いろいろなマッサージを試しているうちに、とうとうガスの出し方を発見した。
肛門をパクパクさせていると「PuPuPu」と小さな音がする。「Bu」と効率の良い音も混じる。勢いを得た私はひたすらパクパクに励む。赤い粘膜が縦になったり横になったり。70年代に流行ったウォホールのマリリン・モンローを思い出す。今しもその赤い唇がセクシーに歌っている。「チュッチュチュッチュチュッ、PUッチュチュ、BUッチュチュッ、BUーッ!」
 ああ、愛しき唇よ!
 

 
     
 
     
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